特許第6103752号(P6103752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103752
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】パンツ型着用物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/496 20060101AFI20170316BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   A61F13/496 100
   A61F13/49 311Z
   A61F13/49 312Z
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-273908(P2012-273908)
(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-146549(P2013-146549A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】特願2011-278025(P2011-278025)
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(72)【発明者】
【氏名】山下 潤一
(72)【発明者】
【氏名】森田 晃央
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢司
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−234847(JP,A)
【文献】 特開2003−024382(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3090821(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の身体に近い側に位置する内層シートと着用者の身体から遠い側に位置する外層シートとから構成される外包材を有する、腹側部、股下部及び背側部を備え、
前記腹側部及び前記背側部における前記外包材に、幅方向に延びる複数の弾性部材が配置されており、該腹側部の両側縁部と該背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせて接合して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型着用物品であって、
前記サイドシール部は、前記物品の長手方向に沿って前記両側縁部を間欠的に超音波接合することによって形成されており、
前記弾性部材は、前記外層シートと前記内層シートの間において接着剤によってこれらのシートに固定されており、
前記接着剤による前記弾性部材の固定は、該弾性部材の両端域において行われ、
前記接着剤を施した領域が、前記サイドシール部の幅方向における外方寄りの側縁よりも、内方に位置しており、且つ前記接着剤を施した領域の幅方向の外方寄りの側縁部は、前記サイドシール部と一部重複しており、
前記両端域間の部位においては、前記弾性部材は前記外層シート及び前記内層シートと非接合状態になっている、パンツ型着用物品。
【請求項2】
前記接着剤を施した領域が、前記サイドシール部の幅方向における内方寄りの側縁よりも、内方に位置している請求項1に記載のパンツ型着用物品。
【請求項3】
前記弾性部材は、幅方向の外方寄りの端部が、前記サイドシール部よりもパンツ型着用物品の幅方向内方で終端している請求項1又は2に記載のパンツ型着用物品。
【請求項4】
前記両側縁部を間欠的に超音波接合することで形成された複数の接合部が、前記物品の長手方向に沿って列状に配置されており、
前記長手方向における前記接合部の長さをL1とし、前記長手方向において隣り合う前記接合部間の距離をL2としたとき、L1/(L1+L2)の値が0.1以上0.35以下となるように各接合部が配置されている請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパンツ型着用物品。
【請求項5】
各サイドシール部において、前記接合部の列が前記物品の幅方向にわたり複数設けられており、かつ前記物品の幅方向に沿って見たときに、各列間において前記接合部どうしに、重なり合わない部位が生じるように、各接合部が配置されている請求項4に記載のパンツ型着用物品。
【請求項6】
前記物品の幅方向に沿って見たときに、前記接合部の複数の列間において前記接合部どうしが全く重ならないように、各接合部が配置されている請求項5に記載のパンツ型着用物品。
【請求項7】
前記両側縁部における各接合面が、単一樹脂の繊維のみから構成される不織布からなる請求項1ないしのいずれか一項に記載のパンツ型着用物品。
【請求項8】
前記繊維が、ポリプロピレンのみからなる繊維である請求項に記載のパンツ型着用物品。
【請求項9】
前記サイドシール部が、超音波接合のみによって形成されている請求項1ないしのいずれか一項に記載のパンツ型着用物品。
【請求項10】
前記外包材における前記内層シート上に、吸収体を含む吸収性本体が配置されている請求項1ないしのいずれか一項に記載のパンツ型着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパンツ型着用物品に関する。本発明のパンツ型着用物品は、例えばパンツ型使い捨ておむつやパンツ型生理用ショーツ等のパンツ型吸収性物品として特に好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
パンツ型使い捨ておむつのサイドシール部は、物品の着用状態においては強固な接合が維持されることが要求される一方、廃棄時には容易に剥離できることが要求されている。また、強固な接合を維持しつつ、サイドシール部の柔らかさを向上させることも要求されている。
【0003】
パンツ型使い捨ておむつの技術分野においてこれまで提案されているサイドシール部としては、例えば特許文献1に記載されているとおり、接着剤とヒートシールとを併用して形成されたものが挙げられる。また、特許文献2に記載されているとおり、サイドシール部に、物品の上下方向に所定の間隔を隔てて配列された直線状の接着線群を、物品の幅方向に多列に配列したものも挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−213553号公報
【特許文献2】特開2002−11043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、低コスト及び低環境負荷の観点から、サイドシール部を構成する部材として、低坪量のシート材料を使用する場合や、物品の付加価値向上の観点から、伸縮性や風合い等が向上したシート材料を使用する場合がある。しかし、これらのシート材料を用いてサイドシール部を形成すると、該サイドシール部の強度を実用上十分な程度にまで高めることが容易でない場合がある。特に、製造経費の観点から、ポリプロピレン等からなる単一樹脂の繊維で構成された不織布を用いてサイドシール部を形成しようとすると、かかる単一樹脂の繊維は熱的損傷を受けやすく、ひとたび熱的損傷を受けると材料強度が極端に低くなってしまうという欠点があった。
【0006】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る使い捨て着用物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、着用者の身体に近い側に位置する内層シートと着用者の身体から遠い側に位置する外層シートとから構成される外包材を有する、腹側部、股下部及び背側部を備え、
前記腹側部及び前記背側部における前記外包材に、幅方向に延びる複数の弾性部材が配置されており、該腹側部の両側縁部と該背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせて接合して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型着用物品であって、
前記サイドシール部は、前記物品の長手方向に沿って前記両側縁部を間欠的に超音波接合することによって形成されており、
前記弾性部材は、前記外層シートと前記内層シートの間において接着剤によってこれらのシートに固定されており、
前記接着剤による前記弾性部材の固定は、該弾性部材の両端域において行われ、
前記接着剤を施した領域が、前記サイドシール部の幅方向における外方寄りの側縁よりも、内方に位置しており、
前記両端域間の部位においては、前記弾性部材は前記外層シート及び前記内層シートと非接合状態になっている、パンツ型着用物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サイドシール部の接合を、超音波を用いて行っているので、サイドシール部が硬い肌触りになることを効果的に防止される。しかも、サイドシール部の全域に、接着剤を施した領域が形成されることがないので、そのことによっても硬い肌触りになることを効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの斜視図である 。
図2図2は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつを展開して引き伸ばした状態を吸収性本体側から見た展開平面図である。
図3図3は、図1に示すおむつにおけるサイドシール部及びその近傍の部位を、I−I線に沿って切断したときの断面図である。
図4図4は、図1に示すおむつにおける、サイドシール部及びその近傍の部位での接着剤の存在領域と接合部との位置関係を示す模式図である。
図5図5は、サイドシール部における接合部の寸法の説明図である。
図6図6は、サイドシール部における接合部列間での接合部の配置関係を示す模式図である。
図7図7は、本発明の別の実施形態におけるサイドシール部及びその近傍の部位での接着剤の存在領域と接合部との位置関係を示す模式図(図4相当図)である。
図8図8は、本発明の別の実施形態のおむつを展開して引き伸ばした状態を吸収性本体側から見た展開平面図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1及び図2には、本発明のパンツ型着用物品の一実施形態としてのパンツ型使い捨ておむつが示されている。これらの図に示すパンツ型使い捨ておむつ1は、その腹側部A及び背側部Bにおいて、おむつ1の幅方向に延びる複数本の弾性部材8を有している。そして、腹側部Aの両側縁部6a,6a及び背側部Bの両側縁部6b,6bが接合されて形成された一対のサイドシール部7,7を有している。
【0011】
図1及び図2に示すように、おむつ1は、縦中心線CLに対して左右対称に形成されている。したがって以下の説明では、左右対称な部分については、主に、一方のみについて説明する。なお、各図中に示す「Y」方向は、腹側部Aと背側部Bとを結ぶおむつ1の長手方向であり、この方向は、縦中心線CLに平行である。また各図中に示す「X」方向は、長手方向と直交するおむつ1の幅方向であり、この方向は、縦中心線CLに直交する方向である。以下、おむつ1について詳細に説明する。
【0012】
図2に示すように、おむつ1は、液透過性の表面シート2と、液不透過性(撥水性も含む)の裏面シート3と、両シート2,3間に介在する吸収体4とを有する実質的に縦長の吸収性本体5、及び吸収性本体5の裏面シート3側に配され、かつ該吸収性本体5と接合固定された外包材6を備えている。後述するように、外包材6は、外層シート61と内層シート62とから構成されているので、吸収性本体5は、外包材6における内層シート上に配置されることになる。
【0013】
図2に示すように、おむつ1は、その長手方向(Y方向)に沿って、腹側部A、股下部C及び背側部Bをこの順で有している。おむつ1の腹側部Aは、着用時に、着用者の腹側に位置する部位である。背側部Bは、着用者の背側に位置する部位である。股下部Cは、着用者の股領域に位置する部位である。
【0014】
おむつ1において、吸収体4は、長手方向Yに長い矩形状をしている。表面シート2及び裏面シート3もそれぞれ矩形状であり、吸収体4の長手方向Yの両端縁から延出した部分において互いに接合され、かつ幅方向Xの両端縁から延出した部分においても互いに接合されている。このように接合することにより、縦長の矩形状の吸収性本体5が形成されている。
【0015】
図2に示すように、外包材6は、吸収性本体5の外方全域にわたって延出しており、長手方向Yの中央域において、幅方向Xの内方に向けて括れている。そして、外包材6の腹側部Aの両側縁部6a,6aの内面と背側部Bの両側縁部6b,6bの内面どうしを互いに重ね合わせ、合掌状に接合して、一対のサイドシール部7,7を形成することにより、図1に示すように、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOを有するパンツ型のおむつ1が形成される。
【0016】
外包材6は、図2に示すように、外層シート61及び内層シート62から形成されている。内層シート62は、着用者の身体に近い側に位置している。一方、外層シート62は、着用者の身体から遠い側に位置している。外層シート61は、おむつ1の最外表面を構成している。外包材6を構成する外層シート61及び内層シート62の間には、おむつ1の幅方向に延びる複数本の弾性部材8が配されている。詳述すると、外包材6を構成する外層シート61及び内層シート62の間には、弾性部材8であるウエスト弾性部材81、胴回り弾性部材82及びレッグ弾性部材83が配されており、腹側部A及び背側部Bの両側縁部6a,6a,6b,6bそれぞれには、ウエスト弾性領域(ウエストギャザー)、胴回り弾性領域(胴回りギャザー)及び環状となる一対のレッグ弾性領域(レッグギャザー)が形成されている。ウエスト弾性領域(ウエストギャザー)は、複数本のウエスト弾性部材81を、吸収性本体5よりも長手方向(Y方向)外方に間欠的に配し、それらを伸長状態で固着することにより形成されている。胴回り弾性領域(胴回りギャザー)は、複数本の胴回り弾性部材82を、ウエスト弾性部材81と外包材6の括れとの間の位置に、長手方向(Y方向)に間欠的に配し、それらを伸長状態で固着することにより形成されている。
【0017】
おむつ1の幅方向Xに沿ってみたとき、ウエスト弾性部材81は、吸収性本体5と重ならない部位に配置されている。詳細には、ウエスト弾性部材81は、吸収性本体5の長手方向端縁と、おむつ1のウエスト開口部端との間に配置されている。一方、胴回り弾性部材82については、おむつ1の幅方向Xに沿って見たとき、該胴回り弾性部材82は、吸収体4と重なる部位に配置されている。そして該胴回り弾性部材82は、吸収体4を横切らないように配置されている。詳細には、胴回り弾性部材82は、幅方向Xの外方寄りの端部が、サイドシール部7よりもおむつ1の幅方向内方で終端していることが好ましい。これとともに、幅方向Xの内方寄りの端部が、吸収体4の長手方向Yに沿う側縁の位置若しくは該側縁よりも外方で終端しているか、又は該側縁を若干超えて、吸収体4の下部に位置している。
【0018】
レッグ弾性領域(レッグギャザー)は、腹側部Aにおいては、複数本のレッグ弾性部材83を、腹側部Aの一方(図2の左側)の側縁部6aから腹側部Aの一方(図2の左側)の括れに沿って固着し、股下部CのY方向中央領域でX方向に横切り、腹側部Aの他方(図2の右側)の括れに沿って腹側部Aの他方(図2の右側)の側縁部6aに至るまで伸長状態で固着し、股下部Cの中央部(縦中心線CLを含む部位)でカットすることにより形成されている。同様に、レッグ弾性領域(レッグギャザー)は、背側部Bにおいては、複数本のレッグ弾性部材83を、背側部Bの一方(図2の左側)の側縁部6bから背側部Bの一方(図2の左側)の括れに沿って固着し、股下部CのY方向中央領域でX方向に横切り、背側部Bの他方(図2の右側)の括れに沿って背側部Bの他方(図2の右側)の側縁部6bに至るまで伸長状態で固着し、股下部Cの中央部でカットすることにより形成されている。各レッグ弾性部材83は、おむつ1の幅方向Xの外方寄りの端部が、サイドシール部7よりも内方の位置で終端している。
【0019】
各サイドシール部7は、図1及び図2に示すように、おむつ1の長手方向Yに沿って側縁部6a,6bを間欠的に接合することによって形成された複数の第1接合部70aからなる第1接合部列71aと、同じく複数の第2の接合部70bからなる第2接合部列71bとを有している。第1接合部列71a及び第2接合部列71bは、おむつ1の長手方向Yに沿って延び、かつおむつ1の幅方向Xにわたり配置されている。このように複数の接合部列71a,71bを設ける場合、サイドシール部7全体の強度の観点から、各接合部列(第1接合部列71a及び第2接合部列71b)の間は、図1及び図2に示すように、おむつ1の幅方向Xに沿って見たときに隙間がないことが好ましい。
【0020】
図3には、図1に示すおむつ1におけるサイドシール部7及びその近傍の部位を、図1中のI−I線に沿って切断し、長手方向Yから見た断面図が示されている。同図に示すとおり、サイドシール部7は、腹側部Aを構成する外包材6の側縁部6aと、背側部Bを構成する外包材6の側縁部6bとを、該外包材6における内層シート62どうしが対向するように重ね合わせて、接合部70a,70bによって接合することで形成されている。また、腹側部A及び背側部Bにそれぞれ配されたウエスト弾性部材81、胴回り弾性部材82及びレッグ弾性部材83は、外包材6を構成する外層シート61と内層シート62との間に配置されている。先に述べたとおり、ウエスト弾性部材81、胴回り弾性部材82及びレッグ弾性部材83におけるおむつ1の幅方向の外方寄りの端部は、サイドシール部7よりも内方の位置において終端している。つまり、これらの弾性部材81,82,83におけるおむつ1の幅方向Xの外方寄りの端部は、サイドシール部7には存在していない。また、これらの弾性部材81,82,83は、外層シート61と内層シート62との間において接着剤9によってのみ、これらのシート61,62に固定されている。つまり、これらの弾性部材81,82,83は、接着剤9以外の固定手段によっては、外層シート61及び内層シート62に固定されていない。更に、ウエスト弾性部材81及び胴回り弾性部材82に関しては、これらの接着剤9による固定は、図3に示すように、これらの弾性部材81,82の両端域において行われ、該両端域間の部位においては、これらの弾性部材81,82は外層シート61及び内層シート62と非接合状態になっている。非接合状態とすることによって、外包材6に大きな皺や襞が発生するので、良好な装着状態を得ることができるとともに、サイドシール部7及び接合部70a,70bが目立ちにくくなり、良好な外観を得ることができる。なお、弾性部材81,82が配置された部位においては、長手方向Yにおいて隣接する弾性部材81,82の間に、外層シート61と内層シート62を固定する接合部が、該弾性部材81,82を通らないように複数設けられている(図示せず)。この接合部の配置パターンによって、外包材6の皺や襞の形状を調整することができる。
【0021】
図4には、上述した接着剤9を施す部位が模式的に示されている。同図に示すとおり、接着剤9は、サイドシール部7の幅方向における外方寄りの側縁よりも、内方に位置する領域Dに施されている。詳細には、本実施形態においては、接着剤9を施した領域Dが、サイドシール部7の幅方向における内方寄りの側縁よりも、おむつ1の幅方向Xの内方の位置に形成されている。すなわち、サイドシール部7においては、接着剤は非存在状態になっている。つまり、サイドシール部7を構成する外層シート61と内層シート62との間、及び一方の内層シート62と他方の内層シート62との間においては、接着剤は非存在状態になっている。接着剤9は、おむつ1の幅方向X及び長手方向Yに延びる略矩形の領域Dに施されている。おむつ1の幅方向Xに関しては、接着剤9は、吸収性本体の側縁までは達していない。おむつ1の長手方向Yに関しては、接着剤9は、サイドシール部7の上下端の間の領域に少なくとも施されている。また、領域Dは、弾性部材81,82のすべて又は一部の端部域を含んでいる。この領域D内において、接着剤9は外層シート61及び内層シート62の全域に施されている。「全域に施されている」とは、ベタ塗りであることを要せず、例えば接着剤9をスパイラルパターンやΩ字パターンで塗布する場合も包含する。
【0022】
サイドシール部7に形成される接合部70a,70bを形成する手段として、本実施形態においては超音波接合を採用している。従来技術においては、サイドシール部は、熱エンボス加工による融着や接着剤による接着で形成されている場合が多かったが、これと異なり、本実施形態においては超音波接合を必須の手段としている。超音波接合は、ホーンの超音波振動によって生じる摩擦熱で対象物を接合させる。したがって、超音波接合によってサイドシール部7を形成することには、サイドシール部7が硬い感触を呈することを効果的に防止できるという利点がある。特に、コスト低減の目的で、接合対象物である内層シート62として単一樹脂の繊維のみから構成される不織布を用いる場合、該繊維は熱による損傷を受けやすいので、そのような繊維を含む対象物を接合する場合に超音波接合を採用することは、十分な接合強度を確保しつつ、サイドシール部7が硬くなることを効果的に防止し得る点から有効である。
【0023】
以上のとおり、サイドシール部7の形成に超音波接合を採用することは、接合対象物である、腹側部A及び背側部Bの両側縁部6a,6bにおける接合面、すなわち内層シート62が、単一樹脂の繊維のみから構成される繊維シート、例えば不織布である場合に特に有効である。「単一樹脂の繊維」とは、繊維の横断面での樹脂の組成が均一である繊維のことである。したがって単一樹脂の繊維は、一種類の樹脂から構成される繊維だけでなく、二種類の樹脂のブレンド物から構成される繊維も包含する。しかし、芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維などの複合繊維は包含しない。単一樹脂の繊維のみから構成される不織布としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド物等の繊維のみから構成されるスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。特に、ポリプロピレンのみからなる繊維のみから構成される不織布を内層シート62として用いる場合に、超音波接合を採用することが有効である。
【0024】
また、本実施形態においては、おむつ1の長手方向Yに沿って間欠的に接合部70a,70bを形成しているので、おむつ1の長手方向Yに沿って連続した接合部を形成するときに比較して、サイドシール部7が硬くなることが低減できる。間欠的に形成された接合部70a,70bを形成することは、サイドシール部7の接合面である内層シート62が、単一樹脂の繊維のみから構成される不織布からなる場合に特に有効である。
【0025】
超音波接合を採用して接合部70a,70bを間欠的に形成すると、おむつ1の長手方向Yで隣り合う接合部間に位置する繊維には、接合に起因する損傷がほとんど及ばないという利点がある。また、サイドシール部7のシール強度を向上させることができるという利点もある。
【0026】
更に、サイドシール部7に、弾性部材の端部域が存在しない場合には、その分だけサイドシール部7を構成する部材の数を減らすことができる。また、弾性部材の収縮に起因して、サイドシール部7が折れて角が立ち上がることを防止する。これらことによっても、サイドシール部7が硬い感触を呈することを効果的に防止できる。サイドシール部7に弾性部材の端部域が存在していないことは、サイドシール部7の形成時に加わる外力や熱等に起因する損傷を、弾性部材が受けないという点で有利でもある。
【0027】
サイドシール部7の形成に超音波接合を用いることには、上述のとおりの様々な利点がある一方で、超音波接合すべき部位に接着剤が存在していると、接合時に接着剤の染みだしが起こり、接合に支障を来す場合がある。そこで本実施形態においては、サイドシール部7を形成すべき領域を、接着剤の非存在領域となして、超音波接合時における接着剤の染みだしを防止している。また、サイドシール部7に接着剤が存在していないことで、その分だけサイドシール部7が硬くなることを効果的に防止できる。
【0028】
以上のとおり、本実施形態のおむつ1においては、サイドシール部7が、超音波接合のみによって形成されている。尤もこのことは、サイドシール部7の形成に超音波接合のみを採用することを意味するものではなく、例えば超音波接合と熱エンボスとを併用することは妨げられない。しかし、十分な接合強度を確保しつつ、サイドシール部7が硬くなることを効果的に防止し得る点からは、サイドシール部7の形成に超音波接合のみを採用することが好ましい。
【0029】
先に述べたとおり、超音波接合を採用して接合部70a,70bを間欠的に形成すると、サイドシール部7のシール強度を向上させることができる。この効果を一層顕著なものとする観点から、図5に示すように、おむつ1の長手方向Yに沿って配置された接合部列71においては、長手方向Yにおける接合部70の長さをL1とし、長手方向Yにおいて隣り合う接合部70間の距離をL2としたとき、L1/(L1+L2)の値が、次の関係となるように各接合部70が配置されていることが好ましい。L1/(L1+L2)の値は、0.1以上が好ましく、0.15以上が更に好ましく、また0.35以下が好ましく、0.25以下が好ましい。具体的には0.1以上0.35以下が好ましく、特に0.15以上0.25以下が更に好ましい。この関係は、おむつ1の長手方向YにおけるすべてのL1とL2との間で成立していることを要しない。尤も、サイドシール部7の強度向上を顕著なものとする観点からは、すべてのL1とL2との組のうちの20%以上のL1とL2との組が、上述の関係を満たしていることが好ましい。
【0030】
長手方向Yにおける接合部70の長さL1は、サイドシール部7に複数の接合部70を配置し、また十分な強度を得る観点から、0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が更に好ましく、また2mm以下が好ましく、1.5mm以下が更に好ましい。具体的には、0.2mm以上2mm以下が好ましく、0.3mm以上1.5mm以上が更に好ましい。幅方向Xにおける接合部70の長さL3は、十分な強度を得、またサイドシール部7がおむつ1に占めるバランスの観点から、0.5mm以上が好ましく、1mm以上が好ましく、また10mm以下が好ましく、7mm以下が更に好ましい。具体的には、0.5mm以上10mm以下が好ましく、1mm以上7mm以下が更に好ましい。
【0031】
なお、図5においては、接合部70は、長手方向Y及び幅方向Xに平行な矩形をしているので、前記のL1の値は幅方向Xに沿って一定であるが、L1の値が幅方向Xに沿って一定でない形状をしている場合には、L1の値は、幅方向Xに沿って測定された接合部70のL1の値のうち、最も値が大きな当該値と定義する。一方、L2の値に関しては、幅方向Xに沿って測定された接合部70間のL2の値のうち、最も値が小さな当該値と定義する。L3の値に関しては、長手方向Yに沿って測定される接合部70のL3の値のうち、最も値が大きな当該値と定義する。なお、本実施形態においては、図1及び図2に示すとおり、サイドシール部7に、おむつ1の長手方向に沿って二列の接合部列71a,71bが形成されているところ、上述したL1/(L1+L2)の値は、二列の接合部列71a,71bのうちの少なくとも一方が満たしていることが好ましく、両方の接合部列71a,71bが満たしていることが更に好ましい。
【0032】
シール強度を更に一層向上させる観点から、複数の接合部列71a,71bを形成する場合には、おむつ1の幅方向Xに沿って各接合部列71a,71bを見たときに、各接合部列71a,71b間において接合部70a,70bどうしに、重なり合わない部位が生じるように、各接合部70a,70bが配置されていることが好ましい。とりわけ、図6に示すとおり、各接合部列71a,71b間において接合部70a,70bどうしが全く重ならないように各接合部70a,70bが配置されていることが好ましい。
【0033】
図7には、本発明の別の実施形態が示されている。同図に示す実施形態が、先に述べた実施形態と異なる点は、弾性部材81,82を固定するための接着剤9を施す領域Dの範囲である。先に述べた実施形態では、接着剤9は、サイドシール部7の内方寄りの側縁よりも、おむつ1の幅方向Xの内方の位置に施されていたが、本実施形態では、接着剤9を施す領域Dにおけるおむつ1の幅方向Xの外方寄りの側縁部D1は、サイドシール部7と一部重複している。具体的には、領域Dの側縁部D1は、サイドシール部7に形成された第1接合部列71aと第2接合部列71bとの間に位置している。したがって、本実施形態においては、サイドシール部7は、接着剤9の存在領域を一部含んでいる。しかし、サイドシール部7の全域にわたっては、接着剤9は存在していない。一方、領域Dにおける幅方向Xの内方寄りの側縁部D2は、弾性部材81,82の端部よりも幅方向Xの内側に位置している。接着剤9を施す領域Dにおいては、腹側部A及び背側部Bのうちのいずれか一方又は双方における外層シート61と内層シート62との間に接着剤を施すことができる。しかし、腹側部Aの内層シート62と背側部Bの内層シート62との間は、接着剤9が非存在であることが好ましい。本実施形態によれば、第2接合部列71bにより十分な接合強度が得られる上、サイドシール部7に位置している接着剤9が、廃棄する際のサイドシール部7の引き裂き性の向上に寄与する点で有利である。しかも、接着剤9の存在領域は、サイドシール部7の全域にわたっていないので、超音波接合によってサイドシール部7を形成するときの接着剤9の染みだしは、過度なものとはならない。このように、本実施形態によれば、超音波接合によってサイドシール部7を形成するときの接着剤9の染みだしを抑えつつ、サイドシール部7の接合強度を得ることができる。
【0034】
図8には、本発明の更に別の実施形態が示されている。本実施形態においては、外包材は、腹側外包材と背側外包材とに分割されている。すなわち、本実施形態においては、パンツ型おむつ1Aは、着用者の腹側に配される腹側外包材63と、着用者の背側に配される背側外包材64と、腹側外包材63及び背側外包材64に架け渡して固定された縦長の吸収性本体5とを具備している。股下部Cには外包材は存在していない。そして、背側外包材64の両側縁部6aと腹側外包材63の両側縁部6bとが、先の実施形態と同様の態様で接合されて、一対のサイドシール部を有するパンツ型おむつ1Aが形成されている。本実施形態について、特に説明しない点に関しては、先に述べた実施形態に関する説明が適宜適用される。
【0035】
これまでに説明してきた実施形態のパンツ型使い捨ておむつの構成材料について説明すると、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、親水性で、かつ液透過性の不織布等を用いることができる。裏面シート3としては、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。樹脂フィルムは透湿性を有していてもよい。吸収体4としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であってもよい)又はこれに高吸収性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。
【0036】
外包材6を構成する外層シート61及び内層シート62としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、外層シート61及び内層シート62として、撥水性の不織布等を用いることができる。
【0037】
ウエスト弾性部材81、胴回り弾性部材82、レッグ弾性部材83としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。接着剤9としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えばホットメルト型接着剤を用いることができる。
【0038】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、弾性部材8は、おむつ1の幅方向における外方寄りの端部が、サイドシール部7よりもおむつ1の幅方向内方で終端していたが、これに代えて、弾性部材8は、サイドシール部7よりもおむつ1の幅方向内方で終端せず、その端部がサイドシール部7の位置に存在していてもよい。また、前記実施形態では、接着剤9は、図4のように領域D内において外層シート61及び内層シート62の全域に施されていたが、これに代えて、接着剤9をウエスト弾性部材81及び胴回り弾性部材82に直接施して、ウエスト弾性部材81及び胴回り弾性部材82と、外層シート61及び内層シート62とを接合してもよい。この場合、接着剤9は各弾性部材の接合個所となる部位に部分的に施されており、サイドシール部7よりもおむつ1の幅方向内方で各弾性部材に施された各接着剤を総合して領域Dとする。
【0039】
また、パンツ型使い捨ておむつに係るものであったが、本発明のパンツ型着用物品は、その他の物品、例えばパンツ型生理用ナプキン及びパンツ型失禁パッド等のパンツ型の吸収性物品や、吸収性本体ないし吸収体を具備しない、サニタリーショーツ、使い捨て下着などにも適用できる。
【0040】
また前記実施形態において、それぞれ複数本配されているウエスト弾性部材81及び胴回り弾性部材82は、それらのうちの一本又は二本以上について、外層シート61及び内層シート62との固定を、該弾性部材の全域において行ってもよい。
【0041】
また前記実施形態においては、サイドシール部7に形成された接合部列は、第1接合部列71a及び第2接合部列71bの二列であったが、これに代えて、接合部列を一列のみ形成してもよく、あるいは三列以上の接合部列を形成してもよい。
【0042】
また、前記実施形態においては、胴回り弾性部材82は、吸収体4を横切らないように配置されていたが、該胴回り弾性部材82は吸収体4を横切っていてもよい。
【0043】
また前記実施形態においては、サイドシール部7に形成された接合部は、おむつ1の幅方向及び長手方向と平行な辺を有する矩形であったが、これに代えて、三角形、逆三角形、円形若しくは楕円形、又はそれらの任意の組合せからなる形状の接合部を形成してもよい。
【0044】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下のパンツ型着用物品を開示する。
【0045】
<1> 着用者の身体に近い側に位置する内層シートと着用者の身体から遠い側に位置する外層シートとから構成される外包材を有する、腹側部、股下部及び背側部を備え、
前記腹側部及び前記背側部における前記外包材に、幅方向に延びる複数の弾性部材が配置されており、該腹側部の両側縁部と該背側部の両側縁部とを互いに重ね合わせて接合して形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型着用物品であって、
前記サイドシール部は、前記物品の長手方向に沿って前記両側縁部を間欠的に超音波接合することによって形成されており、
前記弾性部材は、前記外層シートと前記内層シートの間において接着剤によってこれらのシートに固定されており、
前記接着剤による前記弾性部材の固定は、該弾性部材の両端域において行われ、
前記接着剤を施した領域が、前記サイドシール部の幅方向における外方寄りの側縁よりも、内方に位置しており、
前記両端域間の部位においては、前記弾性部材は前記外層シート及び前記内層シートと非接合状態になっている、パンツ型着用物品。
【0046】
<2> 前記接着剤を施した領域が、前記サイドシール部の幅方向における内方寄りの側縁よりも、内方に位置している前記<1>に記載のパンツ型着用物品。
<3>前記弾性部材は、幅方向の外方寄りの端部が、前記サイドシール部よりもパンツ型着用物品の幅方向内方で終端している前記<1>又は<2>に記載のパンツ型着用物品。
<4> 前記両側縁部を間欠的に超音波接合することで形成された複数の接合部が、前記物品の長手方向に沿って列状に配置されており、
前記長手方向における前記接合部の長さをL1とし、前記長手方向において隣り合う前記接合部間の距離をL2としたとき、L1/(L1+L2)の値が0.1以上0.35以下となるように各接合部が配置されている前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<5> 各サイドシール部において、前記接合部の列が前記物品の幅方向にわたり複数設けられており、かつ前記物品の幅方向に沿って見たときに、各列間において前記接合部どうしに、重なり合わない部位が生じるように、各接合部が配置されている前記<4>に記載のパンツ型着用物品。
<6> 前記両側縁部における各接合面が、単一樹脂の繊維のみから構成される不織布からなる前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
【0047】
<7> 前記繊維が、ポリプロピレンのみからなる繊維である前記<6>に記載のパンツ型着用物品。
<8> 前記サイドシール部が、超音波接合のみによって形成されている前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<9> 前記外包材における前記内層シート上に、吸収体を含む吸収性本体が配置されている前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<10> 前記弾性部材は、ウエスト弾性部材及び胴回り弾性部材である前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<11> 前記サイドシール部においては、前記接着剤は非存在状態になっている前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
【0048】
<12> 前記接着剤を施した領域は、前記弾性部材のすべて又は一部の端部域を含んでいる前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<13> 前記接着剤を施した領域において、該接着剤は外層シート及び内層シートの全域に施されている前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<14> 前記接着剤は、前記弾性部材に直接施されて、該弾性部材と前記外層シート及び前記内層シートとを接合している前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<15> 前記外包材は、腹側外包材と背側外包材とに分割されており、該腹側外包材及び該背側外包材に架け渡して固定された縦長の吸収性本体とを具備している前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<16> 前記長手方向における前記接合部の長さをL1とし、前記長手方向において隣り合う前記接合部間の距離をL2としたとき、L1/(L1+L2)の値は、0.1以上が好ましく、0.15以上が更に好ましく、また0.35以下が好ましく、0.25以下が更に好ましく、具体的には0.1以上0.35が好ましく、特に0.15以上0.25以下が更に好ましい前記<1>ないし<15>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
【0049】
<17> 前記長手方向における前記接合部の長さをL1としたとき、L1は、0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が好ましく、また2mm以下が好ましく、1.5mm以下が更に好ましく、具体的には、0.2mm以上2mm以下が好ましく、0.3mm以上1.5mm以上が更に好ましい前記<1>ないし<16>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<18> 前記幅方向における前記接合部の長さをL3としたとき、L3は、0.5mm以上が好ましく、1mm以上が好ましく、また10mm以下が好ましく、7mm以下が更に好ましく、具体的には、0.5mm以上10mm以下が好ましく、1mm以上7mm以上が更に好ましい前記<1>ないし<17>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<19> 前記幅方向にわたり複数の接合部列が設けられており、各接合部列の間は、前記着用物品の前記幅方向に沿って見たときに隙間がない前記<1>ないし<18>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<20> 前記接着剤を施した領域の前記幅方向の外方寄りの側縁部は、サイドシール部と一部重複している前記<1>、<3>ないし<10>、<12>ないし<19>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<21> 前記サイドシール部は、前記両側縁部を間欠的に超音波接合することで形成された複数の前記接合部が、前記物品の前記長手方向に沿って列状に配置されており、該接合部の列が前記物品の前記幅方向にわたり複数設けられており、前記接着剤を施した領域の幅方向の外方寄りの側縁部は、前記接合部の1つの列と別の列との間に位置している前記<1>、<3>ないし<10>、<12>ないし<20>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
【0050】
<22> 前記サイドシール部は、前記両側縁部を間欠的に超音波接合することで形成された複数の前記接合部が、前記物品の前記長手方向に沿って列状に配置されており、該接合部の列が、一列のみ形成されている前記<1>ないし<4>、<6>ないし<20>に記載のパンツ型着用物品。
<23> 前記パンツ型着用物品は、 使い捨ておむつ、又はパンツ型生理用ナプキン、又はパンツ型失禁パッドである前記<1>ないし<22>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<24> 前記パンツ型着用物品は、 吸収性本体ないし吸収体を具備しない、サニタリーショーツ又は使い捨て下着である前記<1>ないし<22>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例の記載によって何ら制限されるものではない。
【0052】
〔実施例1〕
シール強度を測定する積層サンプルシートを作製した。坪量17g/m2のスパンボンド不織布を4枚重ね、以下の表1に示す寸法の超音波接合を行った。スパンボンド不織布は、単一樹脂のポリプロピレンのみからなる繊維(繊維径約15μm)で形成されたものを用いた。超音波接合には、BRANSON社の超音波発振器を用い、20kHzの条件で超音波接合を行った。接合によって形成された接合部は矩形の形状をしていた。先に述べた図5に示すL1及びL2の長さの方向であるY方向を不織布のCD方向と一致させた。また、L3の長さ方向であるX方向は不織布のMD方向と一致させた。接合部をY方向に複数配置した領域は100mmとし、かつ不織布のX方向の端部から10mm以内に設けた。超音波接合した積層体を、Y方向に30mmの長さで切断し、X方向50mm、Y方向30mmの大きさの積層サンプルシートを3個得た。この操作を別に作製した積層体12枚についても行い、合計で36個の積層サンプルシートを用意した。これらの積層サンプルシートについて、以下に示すシール強度の測定を行い、得られた値の平均値を算出した。その結果を以下の表1に示す。
【0053】
<シール強度の測定>
得られたサンプルシートについて、接合されていない端部(短辺)において、不織布を2枚ずつに2つに分けた。2つに分けられた端部をテンシロン引っ張り試験機(オリエンテック社製、商品名「RTA−100」)に把持(チャック)した。把持する際は、チャック間(チャック間距離20mm)に、積層サンプルシートの接合部が位置するようにした。次いで、積層サンプルシートにおける各端部が反対方向に移動するように引張速度300mm/minで引っ張った。引っ張りによって積層サンプルシートが破断したときの最大荷重を測定し、これをシール強度とした。
【0054】
〔実施例2ないし4〕
接合部の寸法を表1に示すとおりにする以外は、実施例1と同様にして積層サンプルシートを作製した。作製した積層サンプルシートについて、実施例1と同様にしてシール強度を測定した。得られたシール強度の平均値を表1に示す。
【0055】
〔比較例1〕
4枚の不織布の1枚目と2枚目の間、及び3枚目と4枚目の間に接着剤を塗布した以外は、実施例2と同様にして積層サンプルシートを作製した。接着剤は、ホットメルト型の接着剤(スチレン系)を接合部が形成される領域よりも広い領域(X方向には、端部からX方向の内方に30mmまでの領域、Y方向には連続)に、坪量15g/m2でコーターを用いて塗布し、塗布された領域に接合部を形成した。作製した積層サンプルシートについて、実施例1と同様にしてシール強度を測定した。得られたシール強度の平均値を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1ないし4の積層サンプルシートは、比較例1の積層サンプルシートに比して、シール強度が大幅に向上しており、パンツ型着用物品のサイドシール部に適用した場合には、十分な強度が得られることが判る。また、実施例1ないし4について、その接合部は柔らかくその硬さは気にならないことを、一方、比較例1については、接合部は柔らかいものの、実施例1ないし4に比較すると硬い感触であることを、複数のパネラーによって確認させた。
【符号の説明】
【0058】
1 パンツ型使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 吸収性本体
6 外包材
6a,6b 側縁部
61 外層シート
62 内層シート
7 サイドシール部
8 弾性部材
81 ウエスト弾性部材
82 胴回り弾性部材
83 レッグ弾性部材
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8