特許第6103757号(P6103757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103757
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】タッチ表示制御装置及び情報端末装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   G06F3/041 510
   G06F3/041 522
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-12922(P2013-12922)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-146093(P2014-146093A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】308017571
【氏名又は名称】シナプティクス・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089071
【弁理士】
【氏名又は名称】玉村 静世
(72)【発明者】
【氏名】太田 茂
(72)【発明者】
【氏名】東 優里
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆広
【審査官】 山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/137800(WO,A1)
【文献】 特開平07−182107(JP,A)
【文献】 特開平06−187087(JP,A)
【文献】 特開平07−064702(JP,A)
【文献】 特開2012−048295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示フレームのフレーム同期信号に同期してディスプレイパネルを表示制御するディスプレイコントローラと、タッチパネルを駆動してタッチ検出を行なうタッチパネルコントローラと、を有するタッチ表示制御装置であって、
前記ディスプレイコントローラは、前記フレーム同期信号の周期内における表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記フレーム同期信号の単数又は複数周期毎に変更する第1制御部を有し、
前記タッチパネルコントローラは前記タッチパネルの駆動とタッチ検出とを前記非表示期間に行なう第2制御部を有する、タッチ表示制御装置であって、
前記第1制御部は、フレーム同期信号に基づいて表示フレームを計数するフレームカウンタと、表示フレームにおける表示ライン同期信号に基づいて表示ラインを計数するラインカウンタと、ラインカウンタによる計数値とその期待値との比較結果及びフレームカウンタによる計数値に基づいて表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを決める論理回路と、を有し、表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記フレーム同期信号の複数周期で一巡するように周期単位で変更する、タッチ表示制御装置
【請求項2】
請求項1において、前記第1制御部は、前記フレーム同期信号の周期内に3個の表示期間と2個の非表示期間を形成する、タッチ表示制御装置。
【請求項3】
請求項1において、前記第1制御部は、前記フレーム同期信号の周期内に2個の表示期間と1個の非表示期間を形成する、タッチ表示制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記ディスプレイコントローラはバッファメモリを有し、
前記第1制御部は、前記バッファメモリに書き込まれた表示フレーム単位のデータを読み出して表示制御を行い、前記バッファメモリから表示フレーム単位のデータを読み出す動作を前記非表示期間中に休止する、タッチ表示制御装置。
【請求項5】
請求項2において、前記ディスプレイコントローラはバッファメモリを有し、
前記第1制御部は、前記非表示期間分だけ表示データの表示制御を遅延させるための遅延バッファとして前記バッファメモリを用い、前記遅延バッファの制御として、表示フレームの先頭の表示期間から最初の非表示期間まで前記バッファメモリに表示データを書き込まず、当該最初の非表示期間から前記バッファメモリに表示データを書き込む動作を開始し、前記バッファメモリに書き込まれた表示データの読み出しを当該最初の非表示期間の終了から開始し、次の表示期間の開始に合わせて前記バッファメモリからの読み出しを中断し、更に次の非表示期間の終了から前記バッファメモリからの読み出しを再開する、タッチ表示制御装置。
【請求項6】
請求項3において、前記ディスプレイコントローラはバッファメモリを有し、
前記第1制御部は、前記非表示期間分だけ表示データの表示制御を遅延させるための遅延バッファとして前記バッファメモリを用い、前記遅延バッファの制御として、表示フレームの先頭の表示期間から最初の非表示期間まで前記バッファメモリに表示データを書き込まず、当該最初の非表示期間から前記バッファメモリに表示データを書き込む動作を開始し、前記バッファメモリに書き込まれた表示データの読み出しを当該最初の非表示期間の終了から開始する、タッチ表示制御装置。
【請求項7】
請求項1において、前記ラインカウンタによる計数値の期待値は前記フレームカウンタによる計数値に応じて相違される、タッチ表示制御装置。
【請求項8】
請求項7において、前記論理回路は、ラインカウンタによる計数値の期待値を夫々複数個有する期待値グループをフレームカウンタによる計数値に応じて選択し、選択した期待値グループの期待値に一致するラインカウンタの計数タイミングで非表示期間の開始ライン位置と終了ライン位置を決定する、タッチ表示制御装置。
【請求項9】
請求項8において、前記第1制御部は、複数の期待値グループの中から前記ラインカウンタとの比較対象にする所定の期待値グループを選択するためのモードデータが書き換え可能に設定されるモードレジスタを更に有する、タッチ表示制御装置。
【請求項10】
請求項1において、1個の半導体基板に形成されたタッチ表示制御装置。
【請求項11】
ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルに重ねられ相互容量方式によるタッチ検出を可能にするタッチパネルと、表示フレームのフレーム同期信号に同期してディスプレイパネルを表示制御するディスプレイコントローラと、タッチパネルを駆動してタッチ検出を行なうタッチパネルコントローラと、を有する情報端末装置であって、
前記ディスプレイコントローラは、前記フレーム同期信号の周期内における表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記フレーム同期信号の単数又は複数周期毎に変更可能であり、
前記タッチパネルコントローラは前記タッチパネルの駆動とタッチ検出とを前記非表示期間に行ない、
前記ディスプレイコントローラは、フレーム同期信号に基づいて表示フレームを計数するフレームカウンタと、表示フレームにおける表示ライン同期信号に基づいて表示ラインを計数するラインカウンタと、ラインカウンタによる計数値とその期待値との比較結果及びフレームカウンタによる計数値に基づいて表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを決める論理回路と、を有し、表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記フレーム同期信号の複数周期で一巡するように周期単位で変更する、情報端末装置
【請求項12】
ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルに重ねられ相互容量方式によるタッチ検出を可能にするタッチパネルと、表示フレームのフレーム同期信号に同期してディスプレイパネルを表示制御するディスプレイコントローラと、タッチパネルを駆動してタッチ検出を行なうタッチパネルコントローラと、を有する情報端末装置であって、
前記ディスプレイコントローラは、前記フレーム同期信号の周期内における表示期間と非表示期間との配置を前記フレーム同期信号の単数又は複数周期毎に変更可能であり、
前記タッチパネルコントローラは前記タッチパネルの駆動とタッチ検出とを前記非表示期間に行ない、
前記ディスプレイコントローラは、フレーム同期信号に基づいて表示フレームを計数するフレームカウンタと、表示フレームにおける表示ライン同期信号に基づいて表示ラインを計数するラインカウンタと、ラインカウンタによる計数値とその期待値との比較結果及びフレームカウンタによる計数値に基づいて表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを決める論理回路と、を有し、表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記フレーム同期信号の複数周期で一巡するように周期単位で変更する、情報端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネルの表示制御とタッチパネルの駆動検出制御を行なうタッチ表示制御装置、さらにはこれを用いた情報端末装置に関し、例えばタブレットやスマートフォンなどの携帯情報端末装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タブレットやスマートフォンなどの携帯情報端末の表面にはディスプレイパネルとタッチパネルが重ねて配置或いは一体的に形成され、ディスプレイパネルの画面表示に応じてタッチパネルで行われるマルチポイントタッチによるタッチ座標からその操作を判別可能になっている。マルチポイントタッチに対応する相互容量方式のタッチパネルは、交差配置された駆動電極と検出電極の交差位置に多数の検出容量がマトリクス状に形成され、駆動電極を順次駆動したとき検出容量を介して検出電極に現れる電位変化を積分して検出信号を形成する。検出容量の近傍に指があるとその浮遊容量によって検出容量との合成容量値が小さくなり、この容量値の変化に応じた検出信号の相違によってタッチと非タッチを区別するようになっている。この種のタッチパネルについて例えば特許文献1に記載がある。
【0003】
また、液晶パネルは交差配置された走査電極と信号電極の各交点にTFTと呼ばれる薄膜トランジスタが配置され、薄膜トランジスタのゲートに走査電極、薄膜トランジスタのソースに信号電極、そして薄膜トランジスタのドレインにはコモン電極との間にサブピクセルとなる液晶素子及び蓄積コンデンサが接続されて、各画素が形成される。表示制御では順次走査電極が駆動され、走査電極単位で薄膜トランジスタがオン状態にされることで、ソースとドレイン間に電流が流れ、そのときソース電極線に加えられている各々の信号電圧が液晶素子に印加されて透過状態にされる。TFT液晶パネルについて例えば特許文献2に記載がある。
【0004】
特許文献3には、重ねて配置或いは一体的に形成されているディスプレイパネルとタッチパネルの間の容量性カップリングなどにより、タッチパネルの走査電極を駆動する駆動パルス電圧を高くするとそのノイズが上記容量性カップリングを通じて液晶パネルに悪影響を及ぼすことについて記載がある。同文献では走査電極を駆動する駆動パルス波形を選択可能とする対策を講じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国公開特許2007/0257890A1号明細書
【特許文献2】特開2006−301655号公報
【特許文献3】特開2012−234475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、重ねて配置或いは一体的に形成されているディスプレイパネルとタッチパネルの間の容量性カップリングなどによるノイズの影響はディスプレイパネルからタッチパネルにも及ぶことについて検討した。この検討によれば、前記フレーム同期信号の周期内におけるディスプレイパネルの表示期間に対してその非表示期間でタッチパネルを駆動してタッチ検出を行うようにすれば、ディスプレイパネルの駆動表示動作のノイズと、タッチセンサの駆動検出動作のノイズを相互に影響させないようにすることができる。
【0007】
しかしながら、フレーム周期の全期間でタッチセンスを行う場合に比べて非表示期間だけでタッチセンスを行う場合には、タッチセンスの応答動作が低下する虞がある。要するに、タッチセンスによる検出データを用いる座標演算をフレーム周期に一度の頻度でしか行うことができなくなる。更に、フレーム同期信号の周期内において表示期間と非表示期間の関係が固定であれば、表示フレームに輝度差が見えてしまう。特に、フレーム周期に複数回非表示期間を設定してタッチセンスの応答動作を向上させようとする場合には、表示フレーム内の輝度差は更に顕在化すると考えられる。
【0008】
本発明の目的は、ディスプレイパネルの駆動表示動作のノイズとタッチセンサの駆動検出動作のノイズが互いに他方に影響せず、且つ、表示フレーム内で非表示に伴う輝度差の顕在化を抑制することに資することができるタッチ表示制御装置、更には情報端末装置を提供することにある。
【0009】
上記並びにその他の課題と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される実施の形態のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
すなわち、表示フレームのフレーム同期信号の周期内における表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記フレーム同期信号の単数又は複数周期毎に変更可能な前記ディスプレイコントローラと、タッチパネルの駆動とタッチ検出とを前記非表示期間に行なうタッチパネルコントローラとを採用する。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される実施の形態のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0013】
すなわち、ディスプレイパネルの駆動表示動作のノイズとタッチセンサの駆動検出動作のノイズが互いに他方に影響しない。さらに、表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとが可変であるから、表示フレーム内の固定箇所に非表示による不所望な輝度差が見えてくることを抑制するのに資することができる。特に、表示フレーム内で非表示タイミングを複数回設定する場合は上記非表示による不所望な輝度差がちらつきとして見え易くなろうとするが、上記非表示タイミングの可変制御はそのような輝度差によるちらつきについても抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1はタッチ表示制御装置を適用したタブレットやスマートフォンなどの携帯情報端末装置の構成を例示するブロック図である。
図2図2は表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとが可変制御された状態を例示する説明図である。
図3図3図2の非表示可変タイミングで設定される非表示期間にタッチ検出動作を行う場合の主な動作タイミングを例示するタイミングチャートである。
図4図4は表示フレーム単位で表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングをサイクリックに相違させる制御ロジックの具体例を示すブロック図である。
図5図5は非表示期間におけるバッファリング機能の実現例を示す説明図である。
図6図6は表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとが可変制御された別の状態を例示する説明図である。
図7図7図6の非表示可変タイミングで設定される非表示期間にタッチ検出動作を行う場合の主な動作タイミングを例示するタイミングチャートである。
図8図8は非表示可変タイミングで設定される一つの非表示期間がフレーム周期の最後に割り振られている場合の動作タイミングを例示するタイミングチャートである。
図9図9は表示フレーム単位で表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングをサイクリックに相違させる制御ロジックの別の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される実施の形態について概要を説明する。実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0016】
〔1〕<フレーム周期内で表示と非表示のタイミングを可変制御し非表示でタッチ検出>
タッチ表示制御装置(1)は、表示フレームのフレーム同期信号に同期してディスプレイパネル(2)を表示制御するディスプレイコントローラ(4)と、タッチパネル(3)を駆動してタッチ検出を行なうタッチパネルコントローラ(6)と、を有する。前記ディスプレイコントローラは、前記フレーム同期信号(VSYNC)の周期内における表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記フレーム同期信号の単数又は複数周期毎に変更する第1制御部(26)を有する。前記タッチパネルコントローラは前記タッチパネルの駆動とタッチ検出とを前記非表示期間に行なう第2制御部(14)を有する。
【0017】
これによれば、表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとが可変であるから、ディスプレイパネルの駆動表示動作のノイズとタッチセンサの駆動検出動作のノイズが互いに他方に影響しない。さらに、表示フレーム内で非表示開始タイミングは固定ではないから、表示フレーム内の固定箇所に非表示による不所望な輝度差が見えてくることを抑制することができる。特に、表示フレーム内で非表示タイミングを複数回設定する場合は上記非表示による不所望な輝度差がちらつきとして見え易くなろうとするが、上記非表示タイミングを可変制御することによって、そのような輝度差によるちらつきについても見え難くする。
【0018】
〔2〕<フレーム同期信号の周期内に3個の表示期間と2個の非表示期間を形成>
項1において、前記第1制御部は、前記フレーム同期信号の周期内に3個の表示期間(図2のPD1_Gri、PD2_Gri、PD3_Gri))と2個の非表示期間(図2のNPD1_Gri,NPD2_Gri)を形成する。
【0019】
これによれば、フレーム周期内に非表示期間を2回採ることができ、タッチセンスによる検出データを用いる座標演算をフレーム周期に2回の頻度で行うことができるようになり、タッチセンスに対する応答速度を向上させることができる。しかも、非表示期間の開始タイミングは可変であるから、表示フレーム内で非表示タイミングが複数回あっても上記非表示による不所望な輝度差によるちらつきは見え難くされる。
【0020】
〔3〕<フレーム同期信号の周期内に2個の表示期間と1個の非表示期間を形成>
項1において、前記第1制御部は、前記フレーム同期信号の周期内に2個の表示期間(図6のPD1_Gri,PD2_Gri)と1個の非表示期間(図6のNPD1_Gri)を形成する。
【0021】
これによれば、フレーム周期内に非表示期間を1回採る場合も、非表示期間の開始タイミングは可変であるから、表示フレーム内で非表示による不所望な輝度差によるちらつきは見え難くされる。
【0022】
〔4〕<表示期間と非表示期間の配置をフレーム同期信号の複数周期で一巡するように変更>
項1乃至3の何れかにおいて、前記第1制御部は、表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記フレーム同期信号の複数周期で一巡するように周期単位で変更する(図2図6)。
【0023】
これによれば、表示と非表示の開始タイミングをサイクリックに変化させるから上記可変制御を効率的に行うことができる。
【0024】
〔5〕<フレームバッファとしてのバッファメモリを用いるときの非表示期間の形成>
項2又は項3において、前記ディスプレイコントローラはバッファメモリ(22)を有する。前記第1制御部は、前記バッファメモリに書き込まれた表示フレーム単位のデータを読み出して表示制御を行い、前記バッファメモリから表示フレーム単位のデータを読み出す動作を前記非表示期間中に休止する。
【0025】
これによれば、表示制御にフレームバッファとしてのバッファメモリを用いる場合にバッファメモリから表示用のデータを読み出す動作を一時的に休止する制御によって、非表示タイミングの制御を比較的簡単に行うことができる。
【0026】
〔6〕<遅延バッファとしてのバッファメモリを用いるときの非表示期間の形成>
項2において、前記ディスプレイコントローラはバッファメモリ(BUF1〜BUF8)を有する。前記第1制御部は、前記非表示期間分だけ表示データの表示制御を遅延させるための遅延バッファとして前記バッファメモリを用い、前記遅延バッファの制御として、表示フレームの先頭の表示期間から最初の非表示期間まで前記バッファメモリに表示データを書き込まず、当該最初の非表示期間から前記バッファメモリに表示データを書き込む動作を開始し、前記バッファメモリに書き込まれた表示データの読み出しを当該最初の非表示期間の終了から開始し、次の表示期間の開始に合わせて前記バッファメモリからの読み出しを中断し、更に次の非表示期間の終了から前記バッファメモリからの読み出しを再開する。
【0027】
これによれば、表示データをフレームバッファに描画せず表示データのストリームに追従して表示を行うような場合に、非表示期間に遅延バッファとしてバッファメモリに表示データを一時的に保持する制御を行うことによって、フレーム周期内に複数回の非表示タイミングを形成する制御を比較的簡単に行うことができる。
【0028】
〔7〕<遅延バッファとしてのバッファメモリを用いるときの非表示期間の形成>
項3において、前記ディスプレイコントローラはバッファメモリ(BUF1〜BUF8)を有する。前記第1制御部は、前記非表示期間分だけ表示データの表示制御を遅延させるための遅延バッファとして前記バッファメモリを用い、前記遅延バッファの制御として、表示フレームの先頭の表示期間から最初の非表示期間まで前記バッファメモリに表示データを書き込まず、当該最初の非表示期間から前記バッファメモリに表示データを書き込む動作を開始し、前記バッファメモリに書き込まれた表示データの読み出しを当該最初の非表示期間の終了から開始する。
【0029】
これによれば、表示データをフレームバッファに描画せず表示データのストリームに追従して表示を行うような場合に、非表示期間に遅延バッファとしてバッファメモリに表示データを一時的に保持する制御を行うことによって、フレーム周期内に1回の非表示タイミングを形成する制御を比較的簡単に行うことができる。
【0030】
〔8〕<フレームカウンタとラインカウンタを用いた表示期間と非表示期間の配置決め>
項4において、前記第1制御部は、フレーム同期信号に基づいて表示フレームを計数するフレームカウンタ(30)と、表示フレームにおける表示ライン同期信号に基づいて表示ラインを計数するラインカウンタ(31)と、ラインカウンタによる計数値とその期待値との比較結果及びフレームカウンタによる計数値に基づいて表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを決める論理回路(33、34)と、を有する。前記ラインカウンタによる計数値の期待値は前記フレームカウンタによる計数値に応じて相違される。
【0031】
これによれば、表示と非表示の開始タイミングをフレーム同期信号の複数周期で一巡するように周期単位で変更する制御をフレームカウンタとラインカウンタの計数値を用いて比較的簡単に実現する事ができる。
【0032】
〔9〕<ラインカウンタの期待値グループに応じて非表示期間の開始ラインと終了ラインを決定>
項8において、前記論理回路は、ラインカウンタによる計数値の期待値を夫々複数個有する期待値グループをフレームカウンタによる計数値に応じて選択し、選択した期待値グループの期待値に一致するラインカウンタの計数タイミングで非表示期間の開始ライン位置と終了ライン位置を決定する。
【0033】
これによれば、前記論理回路を比較的簡単に構成することができる。
【0034】
〔10〕<モードレジスタの設定値に応じた期待値グループの選択>
項9において、前記第1制御部は、複数の期待値グループの中から前記ラインカウンタとの比較対象にする所定の期待値グループを選択するためのモードデータが書き換え可能に設定されるモードレジスタ(37)を更に有する。
【0035】
これによれば、表示画像の性質、又はタッチパネルとディスプレイパネルの特性などに応じて最適な表示及び非表示タイミングを選択することが可能になる。
【0036】
〔11〕<半導体デバイス>
項1において、タッチ表示制御装置は1個の半導体基板に形成された半導体デバイス(4)である。
【0037】
これにより、単一デバイスであってもこれにオンチップされたディスプレイコントローラとタッチパネルコントローラとの相互に一方から他方へのノイズの影響を抑制することができる。
【0038】
〔12〕<フレーム周期内で表示と非表示のタイミングを可変制御し非表示でタッチ検出>
情報端末装置は、ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルに重ねられ相互容量方式によるタッチ検出を可能にするタッチパネルと、表示フレームのフレーム同期信号に同期してディスプレイパネルを表示制御するディスプレイコントローラと、タッチパネルを駆動してタッチ検出を行なうタッチパネルコントローラと、を有する。前記ディスプレイコントローラは、前記フレーム同期信号の周期内における表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記フレーム同期信号の単数又は複数周期毎に変更可能である。前記タッチパネルコントローラは前記タッチパネルの駆動とタッチ検出とを前記非表示期間に行なう。
【0039】
これによれば、表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとが可変であるから、ディスプレイパネルの駆動表示動作のノイズとタッチセンサの駆動検出動作のノイズが互いに他方に影響しない。さらに、表示フレーム内で非表示開始タイミングは固定ではないから、表示フレーム内の固定箇所に非表示による不所望な輝度差が見えてくることを抑制することができる。特に、表示フレーム内で非表示タイミングを複数回設定する場合は上記非表示による不所望な輝度差がちらつきとして見え易くなろうとするが、上記非表示タイミングを可変制御することによって、そのような輝度差によるちらつきについても見え難くする。したがってディスプレイパネルの表示品質とタッチパネルの検出性能の双方の向上に資することができる。
【0040】
〔13〕<フレーム周期内で表示と非表示のタイミングを可変制御し非表示でタッチ検出>
情報端末装置は、ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルに重ねられ相互容量方式によるタッチ検出を可能にするタッチパネルと、表示フレームのフレーム同期信号に同期してディスプレイパネルを表示制御するディスプレイコントローラと、タッチパネルを駆動してタッチ検出を行なうタッチパネルコントローラと、を有する。前記ディスプレイコントローラは、前記フレーム同期信号の周期内における表示期間と非表示期間との配置を前記フレーム同期信号の単数又は複数周期毎に変更可能である。前記タッチパネルコントローラは前記タッチパネルの駆動とタッチ検出とを前記非表示期間に行なう。
【0041】
これによれば、項12と同様の作用効果を得る。
【0042】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0043】
図1にはタッチ表示制御装置を適用したタブレットやスマートフォンなどの携帯情報端末装置の構成が例示される。同図に示される携帯情報端末装置1は、筐体の表面にドットマトリクス型のディスプレイパネル例えば液晶パネル(LCD)2と、相互容量方式によるタッチ検出を可能にするタッチパネル(TP)3とが重ねて形成されている。例えばタッチパネル3は液晶パネル2の表示面に重ねて配置された外付け構造、又は液晶パネル2にタッチパネル3を作り込んだインセル構造等の何れの構造を採用してもよい。
【0044】
液晶パネル2は、特に図示はしないが、例えば、交差配置された走査電極と信号電極の各交点にTFTと呼ばれる薄膜トランジスタが配置され、薄膜トランジスタのゲートに走査電極、薄膜トランジスタのソースに信号電極、そして薄膜トランジスタのドレインにはコモン電極との間にサブピクセルとなる液晶素子及び蓄積コンデンサが接続されて、各画素が形成される。表示制御では順次走査電極が駆動され、走査電極単位で薄膜トランジスタがオン状態にされることで、ソースとドレイン間に電流が流れ、そのとき信号電極を介してソースに加えられている各々の信号電圧が液晶素子に印加されて透過状態にされる。
【0045】
マルチポイントタッチに対応する相互容量方式のタッチパネル3は、特に図示はしないが、例えば、交差配置された駆動電極と検出電極の交差位置に多数の検出容量がマトリクス状に形成され、駆動電極を順次駆動したとき検出容量を介して検出電極に現れる電位変化を積分して検出信号を形成する。検出容量の近傍に指があるとその浮遊容量によって検出容量との合成容量値が小さくなり、この容量値の変化に応じた検出信号の相違によってタッチと非タッチを区別するようになっている。液晶パネル2に重ねられたタッチパネル3を用いることによって、液晶パネル2の画面表示に応じてタッチパネル3で行われるマルチポイントタッチによるタッチ座標からその操作を判別可能になる。そのための制御と演算処理をコントローラデバイス(CNTDEV)4とホストプロセッサ(HST)5が行う。特に制限されないが、ホストプロセッサ5には夫々図示を省略する、通信制御ユニット、画像処理ユニット、音声処理ユニット、及びその他アクセラレータなどが接続されることによって、携帯情報端末装置が構成される。
【0046】
図1においてタッチ表示制御装置は、特に制限されないが、前記液晶パネル2とタッチパネル3を制御するコントローラデバイス4として実現されている。コントローラデバイス4は、特に制限されないが、タッチパネルコントローラ(TPC)6、サブプロセッサ(MPU)7、及び液晶ドライバ(LCDD)8を有し、CMOS集積回路製造技術によって単結晶シリコンのような1個の半導体基板に形成されている。
【0047】
タッチパネルコントローラ6は前記タッチパネル3を駆動してタッチ検出を行なう。サブプロセッサ7は、ホストプロセッサ(HST)5から与えられるコマンドにしたがってタッチパネルコントローラ6の動作を指示し、タッチパネル3からタッチパネルコントローラ6が取得した検出データを用いてタッチ位置の座標演算を行う。ホストプロセッサ(HMPU)5は表示データを生成し、液晶ドライバ8はホストプロセッサ5から受け取った表示データを液晶パネル2に表示するための表示制御を行う。ホストプロセッサ5は、タッチパネル3へのタッチが発生したときの位置座標のデータをサブプロセッサ7から取得し、その位置座標のデータと液晶ドライバ8に与えて表示させた表示画面との関係から、タッチパネル3の操作による入力を解析する。
【0048】
図1においてタッチパネルコントローラ6は、例えば、駆動回路(TxD)10、検出回路(RxD)11、アナログディジタル変換回路(ADC)12、RAM13、及び第2制御部(TCNT)14を有する。駆動回路10はタッチパネル3の複数の駆動電極に順次駆動パルスを出力する。駆動された駆動電極に接続する検出容量を介して夫々の検出電極に現れる電圧変化は検出回路11の積分回路に夫々蓄積されて検出電極ごとに検出信号が形成される。検出信号はADC12でアナログ信号からディジタル信号に変換される。変換されたディジタル信号は検出データとしてRAM13に蓄積される。第2制御回路14は、駆動回路10の駆動タイミングを制御すると共に、これに同期して検出回路11及びADC12の動作タイミングとRAM13の書き込み動作を制御する。タッチパネル3の全面に対する駆動電極の駆動と検出動作、すなわち、タッチパネル3に対するフレーム単位の駆動検出動作、によって得られた検出データをRAM13に蓄積すると、第2制御回路14はその検出データからタッチの有無を判別して、タッチパネル2のタッチ位置の位置座標を演算し、その結果をホストプロセッサ5に与える。
【0049】
図1において液晶ドライバ8は、例えば、走査駆動回路(SCND)20、階調駆動回路(SIGD)21、フレームバッファメモリ(FBMRY)22、ラインラッチ回路(LTCH)23、電源回路24、システムインタフェース回路(SYSIF)25、及び液晶ドライバ8の全体的な制御を行う第1制御回路(LCNT)26を有し、フレーム同期信号に同期して液晶パネル2を表示制御する。図1ではフレーム同期信号を例えば垂直同期信号VSYNCとする。垂直同期信号VSYNCの1周期であるフレーム周期には、タッチパネル2の走査電極数に対応するサイクル数の水平同期信号HSYNCを包含する。特に制限されないが、垂直同期信号VSYNC及び水平同期信号HSYNCはコントローラデバイス4の外部から第1制御回路26に供給される。
【0050】
システムインタフェース25はホストプロセッサ5から表示コマンド及び表示データを受け取る。受け取った表示データは、その表示形態に応じ、表示タイミングに同期して直接ラインラッチ回路23に転送され、又は表示フレーム単位でフレームバッファメモリ22に描画されていから表示ライン単位でラインラッチ回路23に転送される。詳細は後述するが、ここではフレームバッファメモリ22は遅延バッファとしての利用も想定している。
【0051】
ラインラッチ回路23への表示データの転送は水平同期信号に同期される水平走査期間毎に行われる。階調駆動回路21はラインラッチ回路23にラッチされた表示データにしたがって液晶パネル2の複数の信号電極に階調電圧を並列的に出力する。走査駆動回路20はフレーム周期毎に水平同期信号HSYNCに同期して液晶パネル2の走査電極を順次駆動する。これによって走査電極単位で薄膜トランジスタがオン状態にされることで、ソースとドレイン間に電流が流れ、そのとき、水平走査期間毎にラインラッチ回路23にラッチされている表示データに基づいて階調駆動回路21が信号電極を介してソースに階調電圧としての信号電圧を液晶素子に印加する。これによって、フレーム周期単位で走査電極の順次走査駆動に同期した表示ライン単位で液晶素子が階調データで駆動される。階調駆動回路21が出力する階調電圧及び走査駆動回路20が出力する操作駆動電圧などは電源回路24で生成される。
【0052】
第1制御回路26はホストプロセッサ5から与えられる表示コマンドに従って上述の表示制御など、液晶ドライバ8の全体的な制御を行う。CNT1は走査駆動回路20に対する駆動制御信号、CNT2は階調駆動回路21に対する駆動制御信号、CNT3はラインラッチ回路23に対するラッチ制御信号、CNT4はフレームバッファメモリ22に対するアクセス制御信号、CNT4はシステムインタフェース回路25に対する入出力制御信号である。特に、第1制御回路26は垂直同期信号VSYNCの周期内における表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを垂直同期信号VSYNCの単数又は複数周期毎に変更する制御機能を有する。例えば図2には表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとが可変制御された状態を例示する。ここでは3個の表示フレームF1,F2,F3ごとに繰り返し可変制御が行われるものとし、各表示フレームは3個の表示期間と2個の非表示期間を有し、表示フレームF1,F2,F3の間で夫々の期間の開始タイミングが相違される。表示フレーにおいて最初の表示期間DP1_Gr1の開始は垂直同期信号のサイクルの開始に同期し、これに続く最初の非表示期間NDP1_Gr1の開始タイミング(最初の表示期間の終了タイミング)はT1_Gr1、その次に表示期間DP2_Gr1の開始タイミング(最初の非表示期間の終了タイミング)はT2_Gr1,その次の非表示期間NDP2_Gr1の開始タイミングはT3_Gr1、最後の表示期間DP3_Gr1に開始タイミング(第2回目の非表示期間の終了タイミング)はT4_Gr1とされる。表示フレームF2における各タイミングはT1_Gr2,T2_Gr2,T3_Gr2,T4_Gr2とされ、各期間はDP1_Gr2、NDP1_Gr2、DP2_Gr2、NDP2_Gr2、DP3_Gr2とされる。表示フレームF3における各タイミングはT1_Gr3,T2_Gr3,T3_Gr3,T4_Gr3とされ、各期間はDP1_Gr3、NDP1_Gr3、DP2_Gr3、NDP2_Gr3、DP3_Gr3とされる。夫々タイミングはフレーム周期内の時刻であり、夫々相違される。特に制限されないが、表示期間PD1_Gri、PD2_Gri、PD3_Gri(i=1,2,3)は夫々相違され、非表示期間NPD1_Grj、NPD2_Grj(j=1,2)は夫々同一とされる。本明細書において表示期間は表示動作期間と同意義、非表示期間は非表示動作期間及び表示動作停止期間と同意義である。
【0053】
前記第1制御回路26は表示ステータス信号DSTによって液晶パネル2の非表示期間であることをタッチパネルコントローラ6の第2制御回路14に通知する。第2制御回路14は、タッチパネル3の駆動とタッチ検出とを上記表示ステータス信号DSTで通知された非表示期間に行なう。第2制御回路14は、特に制限されないが、非表示期間毎にタッチパネル3の複数の駆動電極を一巡させて走査駆動し、タッチパネル3の全面における検出データを取得する動作(タッチフレームに対するタッチ検出動作)を実行させる。
【0054】
図3には図2の非表示可変タイミングで設定される非表示期間にタッチ検出動作を行う場合の主な動作タイミングが例示される。
【0055】
図3において入力データの欄にはホスト装置5から液晶ドライバ8に表示データが与えられるときの動作タイミングが示され、同図において出力データに欄には液晶ドライバ8が液晶パネル2に表示データを出力するときの動作タイミングが示される。入力データの欄のタイミングと出力データの欄のタイミングは時間的に必ずしも一致するものではなく、便宜上、1フレーム期間(垂直同期信号VSYNCの周期)を対応させている。表示データを一旦フレームバッファメモリ22に格納してから表示処理に移行する場合には入力データの欄のデータ入力タイミングに対して出力データの欄のデータ出力タイミングは大きく遅延する。一方、ホストプロセッサ5から供給された表示データをそのままリアルタイムで表示する場合などには入力データの欄のデータ入力タイミングに対して出力データの欄のデータ出力タイミングは内部動作による遅延程度になる。図示の表示動作ONの標記は表示期間、OFFの標記は非表示期間であって、タッチパネルの駆動及び検出期間(TPC動作期間)を意味する。非表示期間は表示フレームF1,F2,F3毎に相違される。
【0056】
図4には表示フレーム単位で表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングをサイクリックに相違させる制御ロジックの具体例が示される。第1制御回路26はフレームカウンタ(FCOUNT)30、ラインカウンタ(LCOUNT)31、期待値レジスタ回路32、セレクタ(SEL)33、表示非表示の期間制御ロジック(TLGC)34、及び表示動作の全体制御を行うコマンド制御ロジック(CLGC)35を有する。
【0057】
フレームカウンタ30は表示フレームの計数即ち垂直同期信号VSYNCを計数するカウンタであるが、ここでは初期値0から2まで計数した後に初期値に戻って計数を繰り返すラップアラウンドカウンタを構成する。
【0058】
ラインカウンタ31は表示フレームにおける表示ラインの計数即ち水平同期信号HSYNCを計数するカウンタであり、垂直同期信号VSYNCのサイクル毎に計数値がクリアされる。
【0059】
期待値レジスタ回路32はラインカウンタ31による計数値の期待値を夫々複数個有する3種類の期待値グループデータEXPGr1、EXPGr2、EXPGr3が書き換え可能に設定される。期待値グループデータEXPGr1は図2のフレームF1におけるタイミングT1_Gr1,T2_Gr1,T3_Gr1,T4_Gr1を夫々規定するための表示ライン数のデータ(表示ライン数データ)である。期待値グループデータEXPGr2は図2のフレームF2におけるタイミングT1_Gr2,T2_Gr2,T3_Gr2,T4_Gr2を夫々規定するための表示ライン数のデータ(表示ライン数データ)である。期待値グループデータEXPGr3は図2のフレームF3におけるタイミングT1_Gr3,T2_Gr3,T3_Gr3,T4_Gr3を夫々規定するための表示ライン数のデータ(表示ライン数データ)である。
【0060】
セレクタ33はフレームカウンタ30の計数値に応じて期待値グループデータを選択する。即ち、計数値が初期値0のとき期待値グループデータEXPGr1を選択し、計数値が初期値1のとき期待値グループデータEXPGr2を選択し、計数値が初期値2のとき期待値グループデータEXPGr3を選択する。
【0061】
期間制御ロジック34は、ラインカウンタ31による計数値(LCOUNTd)とセレクタ33で選択された期待値グループデータEXP_Gri(i=1,2,3)の期待値との大小関係に従って表示ステータス信号DSTのレベルを下記のとおりに決定する。すなわち、
(1)LCOUNTd <EXP1_GriのときDST=Hレベル、
(2)EXP1_Gri ≦LCOUNTd<EXP2_GriのときDST=Lレベル、
(3)EXP2_Gri ≦LCOUNTd<EXP3_GriのときDST=Hレベル、
(4)EXP3_Gri ≦LCOUNTd<EXP4_GriのときDST=Lレベル
(5)EXP4_Gri ≦LCOUNTd のときDST=Hレベル。
【0062】
したがって、この期間制御ロジック34により、セレクタ33で選択された期待値グループの期待値に一致するラインカウンタの計数タイミングで非表示期間の開始ライン位置と終了ライン位置が決定されることになる。要するに、表示ステータス信号DSTのハイレベルが表示期間を示し、ローレベルが非表示期間を示すことになる。
【0063】
表示ステータス信号DSTが与えられるコマンド制御ロジック35は、ホストプロセッサ5からコマンドCMD及びコマンドパラメータCPMが供給され、コマンドCMDのデコード結果とコマンドパラメータCPMを用いて、前記制御信号CNT1,CNT2,CNT3,CNT4,CNT5を生成する。前記制御信号CNT1,CNT2,CNT3,CNT4,CNT5はその制御機能に応じて垂直同期信号VSYNCおよび水平同期信号HSYNCに同期して生成されることになるが、特に、表示ステータス信号DSTの非表示期間においては、20による新たな走査電極の駆動、21による信号電極の駆動、及びラインラッチ回路23による新たな表示データのラッチ動作などの休止により、その期間で表示動作が停止される。更に、表示ステータス信号DSTが与えられるタッチパネルコントローラ6の第2制御回路14は表示ステータス信号DSTの非表示期間で上記タッチフレームに対するタッチ検出動作を行う。
【0064】
前記コマンド制御回路35は、表示データを一旦フレームバッファメモリ22に格納してからラインラッチ23に供給する形態で表示制御を行う場合には、上記非表示期間には前記フレームバッファメモリ22から表示フレーム単位のデータを読み出す動作を前記非表示期間中に休止すればよい。
【0065】
これに対して、フレームバッファメモリ22を極力使用せずに表示データのストリームをリアルタイムでラインラッチ回路23にラッチさせて表示する制御を行う場合には、上記非表示期間にホストプロセッサ5から供給される表示データなどを一時的に蓄積するバッファリング機能が必要になる。そのようなバッファリング機能はフレームバッファメモリ22の一部の記憶領域を利用し、又はラインラッチ回路23にラッチ回路の直列回路を事前に用意して利用する手法が考えられる。
【0066】
図5には非表示期間におけるバッファリング機能の実現例が示される。例えば夫々1表示ライン分の記憶容量を有する8ライン分のバッファ領域BUF1〜BUF8を用意する。バッファ領域BUF1〜BUF8は前述のようにフレームバッファメモリ22の一部の記憶領域であってもよいし、ラインラッチ回路23に事前に用意したラッチ回路の直列回路であってもよい。特に制限されないが、便宜上、ここでは1表示フレームに非表示期間を2回設け、各非表示期間を4表示ライン分の期間とする場合を一例とする。図5によれば、表示ステータス信号DSTのハイレベル期間ではホストプロセッサ5から供給された表示データに対してバッファ領域BUF1〜BUF8を用いず、ラインラッチ回路23の出力ラッチ段(図示せず)に与えて信号駆動回路21から階調電圧を出力させる(S1)。次いで、表示ステータス信号DSTがローレベルに反転されたときは、継続してホストプロセッサ5から供給された表示データを先頭のバッファ領域BUF1から順次後段に送って蓄積していく(S2)。この期間は非表示期間であり、表示動作が停止されており、この間にホストプロセッサ5から供給されてくる表示データはバッファ領域BUF1〜BUF4に一時的に蓄積されていく。このとき、表示ステータス信号DSTが再度ハイレベルにされることによって、バッファ領域BUF4の出力を用いて表示データをラインラッチ回路23の出力段に与える動作を開始することにより、4表示ライン分の遅延時間を経た後に、後続の表示データが欠けることなくそれを用いて信号駆動回路21から階調電圧を出力させることができる(S3)。次いで、表示ステータス信号DSTがローレベルに反転されたときは、継続してホストプロセッサ5から供給された表示データをその次のバッファ領域BUF5から順次後段に送って蓄積していく(S4)。この期間は非表示期間であり、表示動作が停止されており、この間にホストプロセッサ5から供給されてくる表示データはバッファ領域BUF5〜BUF8に一時的に蓄積されていく。このとき、表示ステータス信号DSTが再度ハイレベルにされることによって、バッファ領域BUF8の出力を用いて表示データをラインラッチ回路23の出力段に与える動作を開始することにより、更に4表示ライン分(合計8表示ライン分)の遅延時間を経た後に、後続の表示データが欠けることなくそれを用いて信号駆動回路21から階調電圧を出力させることができる(S5)。
【0067】
図6には表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとが可変制御された別の状態が例示される。ここでは2個の表示フレームF1,F2ごとに繰り返し可変制御が行われるものとし、各表示フレームは2個の表示期間と1個の非表示期間を有し、表示フレームF1,F2の間で夫々の期間の開始タイミングが相違される。表示フレーにおいて最初の表示期間DP1_Gr1の開始は垂直同期信号のサイクルの開始に同期し、これに続く最初の非表示期間NDP1_Gr1の開始タイミング(最初の表示期間の終了タイミング)はT1_Gr1、その次に表示期間DP2_Gr1の開始タイミング(最初の非表示期間の終了タイミング)はT2_Gr1とされる。表示フレームF2における各タイミングはT1_Gr2,T2_Gr2,T3_Gr2とされ、各期間はDP1_Gr2、NDP1_Gr2、DP2_Gr2とされる。夫々タイミングはフレーム周期内の時刻であり、夫々相違される。特に制限されないが、表示期間PD1_Gri、PD2_Gri(i=1,2)は夫々相違される。
【0068】
図7には図6の非表示可変タイミングで設定される非表示期間にタッチ検出動作を行う場合の主な動作タイミングが例示される。図7において入力データの欄にはホスト装置5から液晶ドライバ8に表示データが与えられるときの動作タイミングが示され、同図において出力データに欄には液晶ドライバ8が液晶パネル2に表示データを出力するときの動作タイミングが示される。入力データの欄のタイミングと出力データの欄のタイミングは時間的に必ずしも一致するものではなく、便宜上、1フレーム期間(垂直同期信号VSYNCの周期)を対応させている。表示データを一旦フレームバッファメモリ22に格納してから表示処理に移行する場合には入力データの欄のデータ入力タイミングに対して出力データの欄のデータ出力タイミングは大きく遅延する。一方、ホストプロセッサ5から供給された表示データをそのままリアルタイムで表示する場合などには入力データの欄のデータ入力タイミングに対して出力データの欄のデータ出力タイミングは内部動作による遅延程度になる。図示の表示動作ONの標記は表示期間、OFFの標記は非表示期間であって、タッチパネルの駆動及び検出期間(TPC動作期間)を意味する。非表示期間は表示フレームF1,F2毎に相違される。
【0069】
図6及び図7の動作形態についても特に図示はしないが図4と同様の構成を採用することによって実現することができる。期待値レジスタ回路32の期待値グループデータを2種類にすればよい。
【0070】
図8には非表示可変タイミングで設定される一つの非表示期間がフレーム周期の最後に割り振られている場合の動作タイミングが例示される。フレーム周期に対する非表示期間の割り当てはラインカウンタ31と比較される期待値の次第でどこにでも設定可能である。
【0071】
図9には表示フレーム単位で表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングをサイクリックに相違させる制御ロジックの別の例が示される。図4との相違点は、複数の期待値グループの中からラインカウンタ31との比較対象にする所定の期待値グループを選択するためのモードデータが設定されるモードレジスタ(MDREG)37を設けた点である。例えばセレクタ33の入力をモードレジスタ37の設定データに従って選択する。モードレジスタ37はホストプロセッサ5によって書き換え可能にされる。モードレジスタ37に設定されるモードデータ次第で図2図6のように非表示時期間の数が相違する表示形態を簡単に選ぶことができる。この場合にも表示と非表示の開始タイミングは期待値グループに設定する期待値の設定値に応じて自由に決定することができる。その他の構成は図4と同じであるから同じ参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0072】
以上の実施の形態によれば以下の作用効果を奏する。
【0073】
(1)表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとが可変であるから、ディスプレイパネル2の駆動表示動作のノイズとタッチセンサ3の駆動検出動作のノイズが互いに他方に影響しない。さらに、表示フレーム内で非表示開始タイミングは固定ではないから、表示フレーム内の固定箇所に非表示による不所望な輝度差が見えてくることを抑制することができる。特に、図2のように表示フレーム内で非表示タイミングを複数回設定する場合は上記非表示による不所望な輝度差がちらつきとして見え易くなろうとするが、上記非表示タイミングを可変制御することによって、そのような輝度差によるちらつきについても見え難くすることができる。
【0074】
(2)図2に例示されるようにフレーム周期内に非表示期間を2回採ることができるので、タッチセンスによる検出データを用いる座標演算をフレーム周期に2回の頻度で行うことができるようになる。したがって、フレーム周期に1回の頻度で座標演算を行う場合に比べてタッチセンスに対する応答速度を向上させることができる。しかも、非表示期間の開始タイミングは可変であるから、表示フレーム内で非表示タイミングが複数回あっても上記非表示による不所望な輝度差によるちらつきは見え難くなる。フレーム周期内に非表示期間を1回採る場合も、非表示期間の開始タイミングは可変であるから、表示フレーム内で非表示による不所望な輝度差によるちらつきは見え難い。
【0075】
(3)図2などで説明したように、表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを前記垂直同期信号VSYNCの複数周期で一巡するように周期単位で変更することにより、表示と非表示の開始タイミングをサイクリックに変化させるから非表示タイミングの可変制御を効率的に行うことができる。
【0076】
(4)ホストプロセッサ5から供給された表示データを一旦フレームバッファメモリ22に格納してから順次表示する表示形態においてフレームバッファメモリ22から表示フレーム単位のデータを読み出す動作を前記非表示期間中に休止することにより、非標示期間に続く表示データを消失することなく非表示タイミングの制御を比較的簡単に行うことができる。
【0077】
(5)図5で説明したように極力フレームバッファメモリ22を介することなく表示データをリアルタイムでラインラッチ回路23に供給して表示制御する形態において、非表示期間分だけ表示データの表示制御を遅延させるための遅延バッファ(バッファ領域BUF1〜BUF8)をフレームバッファメモリ22又はラインラッチ回路23に用意して、非表示期間に遅延バッファとしてバッファ領域に表示データを一時的に保持する制御を行うことによって、フレーム周期内に複数回の非表示タイミングを形成する制御を比較的簡単に行うことができる。
【0078】
(6)図4で説明したように、フレームカウンタ30とラインカウンタ31を用い、ラインカウンタのカウント値と期待値とを比較して表示期間の開始タイミングと非表示期間の開始タイミングとを決めることにより、そのタイミング制御に柔軟性を持たせて比較的簡単に実現する事ができる。特に、ラインカウンタ31による計数値の期待値を夫々複数個有する期待値グループをフレームカウンタ30による計数値に応じて選択し、選択した期待値グループの期待値に一致するラインカウンタ31の計数タイミングで非表示期間の開始ライン位置と終了ライン位置を決定すれば、タイミングロジック34の制御論理を大小比較回路を用いて比較的簡単に構成することができる。
【0079】
(7)図9のように複数の期待値グループの中から所定の期待値グループを選択するためのモードデータが書き換え可能に設定されるモードレジスタ37を採用することにより、表示画像の性質、又はタッチパネルとディスプレイパネルの特性などに応じて最適な表示及び非表示タイミングを容易に選択することが可能になる。
【0080】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0081】
例えば、フレーム同期信号は垂直同期信号に限定されず、その同期機能があれば何でも良い。また、ドットマトリクス型のディスプレイパネルは液晶パネルに限定される、エレクトロルミネッセンスパネルなどであってもよい。本発明はタブレットやスマートフォンなどの携帯情報端だけでなくその他の情報端末装置などに広く適用することができる。液晶ドライバ、タッチパネルコントローラ、及びサブプロセッサはシングルチップで構成されることに限定されず、マルチチップ又はそれぞれ個別に半導体集積回路化してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 携帯情報端末装置
2 液晶パネル(LCD)
3 タッチパネル(TP)
4 コントローラデバイス(CNTDEV)
5 ホストプロセッサ(HST)
6 タッチパネルコントローラ(TPC)
7 サブプロセッサ(MPU)
8 液晶ドライバ(LCDD)
10 駆動回路(TxD)
11 検出回路(RxD)
12 アナログディジタル変換回路(ADC)
13 RAM
14 第2制御部(TCNT)
20 走査駆動回路(SCND)
21 階調駆動回路(SIGD)
22 フレームバッファメモリ(FBMRY)
23 ラインラッチ回路(LTCH)
24 電源回路
25 システムインタフェース回路(SYSIF)
26 第1制御回路(LCNT)
VSYNC 垂直同期信号
HSYNC 水平同期信号
F1,F2,F3 表示フレーム
T1_Gri 非表示期間NDP1_Griの開始タイミング
T2_Gri 表示期間DP2_Griの開始タイミング
T3_Gri 非表示期間NDP2_Griの開始タイミング
T4_Gri 表示期間DP3_Griに開始タイミング
DST 表示ステータス信号
30 フレームカウンタ(FCOUNT)
31 ラインカウンタ(LCOUNT)
32 期待値レジスタ回路
33 セレクタ(SEL)
34 表示非表示の期間制御ロジック(TLGC)
35 コマンド制御ロジック(CLGC)
EXPGr1、EXPGr2、EXPGr 期待値グループデータ
BUF1〜BUF8 バッファ領域
37 モードレジスタ(MDREG)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9