(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6103940
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ビデオ・コンテンツを放送するための信号伝達方法、この信号伝達を用いた記録方法および記録装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/236 20110101AFI20170316BHJP
H04N 21/433 20110101ALI20170316BHJP
【FI】
H04N21/236
H04N21/433
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-546441(P2012-546441)
(86)(22)【出願日】2010年12月28日
(65)【公表番号】特表2013-516133(P2013-516133A)
(43)【公表日】2013年5月9日
(86)【国際出願番号】EP2010070823
(87)【国際公開番号】WO2011080283
(87)【国際公開日】20110707
【審査請求日】2013年12月19日
(31)【優先権主張番号】0959618
(32)【優先日】2009年12月28日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】タリオール,フランソワ−ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴーテイエ,エリツク
【審査官】
福西 章人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−101086(JP,A)
【文献】
特開2004−247788(JP,A)
【文献】
特開2002−125204(JP,A)
【文献】
特表2009−505515(JP,A)
【文献】
特開2000−083197(JP,A)
【文献】
特開2001−359004(JP,A)
【文献】
特開2002−142183(JP,A)
【文献】
特開2007−124383(JP,A)
【文献】
特開2005−311617(JP,A)
【文献】
特開2000−134588(JP,A)
【文献】
特開2000−041066(JP,A)
【文献】
特開2002−344889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
H04N 5/38−5/46
H04N 5/76−5/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信装置に放送されるオーディオビジュアルコンテンツを信号伝達する方法であって、前記オーディオビジュアルコンテンツがトランスポート・ストリームのトランスポート・パケットにおいて伝送されるデータ・パケットに符号化され、前記トランスポート・ストリームが前記オーディオビジュアルコンテンツを記述する信号伝達データと関連付けられており、前記方法は記述された各コンテンツについて、
記述された前記オーディオビジュアルコンテンツに関連する識別子を前記信号伝達データに挿入するステップであり、前記識別子が、一意なオーディオビジュアルコンテンツを特定するステップと、
前記識別子を、前記トランスポート・ストリームの少なくとも1つのビデオ・トランスポート・パケットに挿入するステップであり、前記トランスポート・パケットが、前記識別子に対応する前記符号化されたオーディオビジュアルコンテンツの少なくとも1つのデータ・パケットを含むステップとを含み、
前記識別子が、少なくとも1つのデータ・パケットを含む前記トランスポート・ストリームの少なくとも1つのメインESトランスポート・パケットに挿入され、前記メインESトランスポート・パケットは、前記トランスポート・ストリームのGOPを始めるパケットである、前記方法。
【請求項2】
前記識別子が、
前記オーディオビジュアルコンテンツのタイトル、
前記オーディオビジュアルコンテンツの放送の日付および理論的時間、
のうちのいずれか1つまたは1つ以上のある特徴から導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別子が、IPトランスポート・ストリームのRTPパケットの拡張フィールドに挿入される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記識別子が、私用データとして、MPEG2−TSトランスポート・ストリームのトランスポート・パケットのアダプテーション・フィールドに挿入される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の受信装置に放送されるオーディオビジュアルコンテンツを記録する方法であって、前記オーディオビジュアルコンテンツがトランスポート・ストリームのトランスポート・パケットにおいて伝送されるデータ・パケットに符号化され、前記トランスポート・ストリームが前記オーディオビジュアルコンテンツを記述する信号伝達データと関連付けられており、前記方法は前記受信装置において実行され、
前記信号伝達データを受信するステップと、
前記信号伝達データ中で、記録されるものとして選択されたオーディオビジュアルコンテンツに関連する識別子を検出するステップであり、前記識別子が、一意なオーディオビジュアルコンテンツを特定するステップと、
前記トランスポート・ストリームのトランスポート・パケットにおいて伝送されるデータ・パケットを受信するステップと、
前記トランスポート・ストリームの少なくとも第1のビデオ・トランスポート・パケット中で前記識別子を検出するステップと、
前記識別子が前記トランスポート・ストリームの前記第1のビデオ・トランスポート・パケット中で検出され、前記第1のビデオ・トランスポート・パケットが前記トランスポート・ストリームのGOPを始めるパケットであるときに、前記第1のビデオ・トランスポート・パケットに含まれる各データ・パケットを記録するステップとを含む、前記方法。
【請求項6】
前記記録するステップが、前記トランスポート・ストリームの第2のトランスポート・パケットに含まれるデータ・パケットを記録するステップを含み、前記第2のトランスポート・パケットが、前記識別子を含むトランスポート・パケットと関連付けられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
記録するオーディオビジュアルコンテンツを選択し、記録する前記オーディオビジュアルコンテンツに対応する前記信号伝達データから前記識別子を特定するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記信号伝達データに基づき前記トランスポート・ストリームのデータ・パケット受信を始動させるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記記録するステップが、前記トランスポート・ストリームの第2のトランスポート・パケットに含まれるデータ・パケットを記録するステップを含み、前記第2のトランスポート・パケットが、MPEG規格に準拠するストリームに含まれるPMTテーブルから得られる前記識別子を含む前記第1のビデオ・トランスポート・パケットと関連付けられる、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記識別子が、IPトランスポート・ストリームのRTPパケットの拡張フィールドに挿入される、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記識別子が、私用データとして、MPEG2−TSトランスポート・ストリームのパケットのアダプテーション・フィールドに挿入される、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
複数の受信装置に放送されるオーディオビジュアルコンテンツの記録装置であって、前記オーディオビジュアルコンテンツがトランスポート・ストリームのトランスポート・パケットにおいて伝送されるデータ・パケットに符号化され、前記トランスポート・ストリームが信号伝達データと関連付けられており、前記記録装置は、
前記信号伝達データを受信する受信機と、
前記信号伝達データ中の前記オーディオビジュアルコンテンツのそれぞれに関連する識別子を検出する手段であり、前記識別子が、一意なオーディオビジュアルコンテンツを特定し、前記識別子が記録するコンテンツに対応する手段と、
前記トランスポート・ストリームのトランスポート・パケットにおいて送信されるデータ・パケットを受信する受信機と、
前記トランスポート・ストリームの少なくとも1つのビデオ・トランスポート・パケット中で前記識別子を検出する手段であり、前記トランスポート・パケットが記録する前記オーディオビジュアルコンテンツの少なくとも1つのデータ・パケットを含み、前記ビデオ・トランスポート・パケットは前記トランスポート・ストリームのGOPを始めるパケットである手段と、
前記検出された識別子を含み、記録する前記コンテンツと関連する前記トランスポート・ストリームの前記トランスポート・パケットに含まれる各データ・パケットを記録する手段とを含む、前記記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ネットワークを介したディジタル・データ放送の分野に関する。より詳細には、本発明は、ビデオ・コンテンツおよびビデオ・サービスの信号伝達方法、ならびにこの信号伝達を用いてビデオ・コンテンツおよびビデオ・サービスを記録する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
より詳細には、本発明は、以下では単にデコーダと呼ぶ、ディジタル・テレビジョン受像機/デコーダに適用される。ネットワークは、より一般的には「イベント」と呼ばれる視聴覚番組、およびそれらを参照するためのデータを放送する。このデータは、例えば、DVB−SI仕様(「Digital Video Broadcast−Specification for Service Information」)で定義される。これらは、テーブル、および放送ネットワークを介して送信されるオブジェクトを記述する記述子の形態で提示される。サービスとは、所与のストリーム上で放送される中断のない一連のイベントである。
【0003】
通常、DVB−SI規格に準拠したストリームでは、以下のテーブルが見られる。すなわち、NIT、SDT、EIT、および場合によってはBATである。NITテーブルは、ネットワークの全体的な構造を定義するものであり、トランスポート・ストリームおよび放送サービスのリストを示す。SDTテーブルは、放送サービスに関する追加情報、例えばサービスの非暗号化名を提供する。EITテーブルは、各サービスのイベントのリストを示す。特に、EITテーブルは、放送中のイベントを示すことができる。BATテーブルについては、複数の放送ネットワークから得られるものであってもよい複数のサービスに類似している。
【0004】
これらのテーブルに含まれるデータを使用して、デコーダは、ユーザが必要とするイベントを放送するストリームを検索することができる。ソフトウェア・アプリケーションは、タイトル、テーマ、概要、放送時間など、放送イベントの特徴を表示する「電子番組ガイド」(略してEPG)を呼び出す。従って、ユーザの選択が容易になる。
【0005】
ユーザが不在の場合は、デコーダがイベントを記録することができる。そのために、
デコーダは、視聴覚番組を圧縮フォーマットで記憶するハード・ディスクを有している。そのために、デコーダは、例えばEPGに含まれる時間データを用いて、記録の開始および終了をトリガする。
【0006】
従来技術では、このトリガは、ユーザによってプログラムされたアラームによって、ユーザによって有利に拡張されたEPGの
情報を用いてプログラムされたアラームによって、またはイベント時に相対位置とともに同時に伝送される信号によって行われる。
【0007】
こうした様々なトリガ・システムは、信号伝達データに含まれる放送の理論的時間に基づいている。これらのシステムは、イベントの放送の(実際の)現実の時間とは相関がない。ここで、イベントの放送時間の修正はよく行われる。イベントの開始が早すぎる場合には、ユーザは、イベントの先頭を見逃してしまう。イベントが遅れたり、例えば広告によって中断されたりした場合には、ユーザは、イベントの最後を見逃してしまう。最後に、イベントをプログラム解除すると、ユーザは、無用にメモリ・スペースを占める不要な番組をデコーダに記録することになる。
【0008】
例えばVPS/PDC規格(「European Telecommunications Standards Institute(ETSI)」によって公開された、テレテキスト・データに隠されたコードを使用するETS 300 231規格に指定されるProgramme Delivery Control)を用いる、イベント中に伝送される信号それ自体を使用することに基づくトリガの解決策には、トリガを現実の放送時間と同期させるという利点がある。この規格で規定される精度は、1秒である。
【0009】
しかし、この解決策では、イベントを厳密に記録する、すなわちコンテンツの先頭および最後の両方で、またはコンテンツの中程(広告)で、最も近い画像で記録することができない。従って、イベントの記録の厳密な同期を可能にする解決策が望ましい。
【0010】
本発明の目的は、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服することである。
【0011】
この目的のために、本発明は、テレビジョン運営者から複数の受信装置に放送されるビデオ・コンテンツおよびビデオ・サービスの信号伝達手順であって、コンテンツが信号伝達ストリームと関連するトランスポート・ストリームにおいて伝送されるデータ・パケットに符号化される手順に関する。この方法は、ビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスのそれぞれに関連する一意識別子を信号伝達ストリームに挿入する挿入ステップと、一意識別子を、当該一意識別子に対応するビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスを伝送するトランスポート・ストリームのパケットに挿入する挿入ステップとを含む。
【0012】
トランスポート・パケットに挿入された識別子によって、開始時、終了時、または広告による番組の中断時に、準備できている最も近い画像でコンテンツを検出することが可能になるので有利である。
【0013】
本発明の特定の特徴によれば、ビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスのそれぞれに関連する一意識別子は、ビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスのタイトル、ビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスの
連続放送の理論的日付および理論的時間のうちのある特徴から導出される。本発明の特定の特徴によれば、一意識別子(M
i)は、MPEG規格に準拠するストリーム中で決定されるPIDによって識別されるメインと呼ばれるESデータ・パケットに挿入される。
【0014】
本発明の特定の特徴によれば、ビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスのそれぞれに関連する一意識別子は、IPトランスポート・ストリームのRTSパケットの拡張フィールドに挿入される。
【0015】
本発明の別の実施例によれば、ビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスのそれぞれに関連する一意識別子は、私用データとして、MPEG2−TSトランスポート・ストリームのESパケットのアダプテーション・フィールドに挿入される。
【0016】
さらに、本発明は、テレビジョン運営者から複数の受信装置に放送されるビデオ・コンテンツおよびビデオ・サービスの記録手順であって、コンテンツが、信号伝達ストリームと関連するトランスポート・ストリームにおいて伝送されるデータ・パケットに符号化される記録手順に関する。この方法は、信号伝達
ストリームを受信する受信ステップと、トランスポート・
ストリームで送信されるデータ・パケットを受信する受信ステップと、信号伝達ストリーム中のビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスのそれぞれに関連する一意識別子を検出する検出ステップと、記録するコンテンツと関連するトランスポート・ストリームのパケット中で一意識別子を検出する検出ステップと、記録するコンテンツとともにトランスポート・ストリームの各パケットを記録する記録ステップとを含む。
【0017】
本発明の特定の特徴によれば、この方法は、記録するビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスを選択し、記録するビデオ・コンテンツまたはビデオ・サービスに対応する信号伝達ストリームのデータから一意識別子を決定するステップをさらに含む。
【0018】
本発明の別の特定の特徴によれば、この方法は、信号伝達ストリームのデータからのトランスポート・ストリームのデータ・パケット受信を活動化するステップをさらに含む。
【0019】
本発明は、さらに、上述の記録方法を実施する記録装置に関する。
【0020】
本発明について、添付の図面を参照しながら、非限定的な実施例および有利な実施態様を用いて説明する。本発明は、これらの実施例および実施態様によって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】具体的な実施例による信号伝達および記録方法を示す図である。
【
図2】1つの実施例(DVB−IPTV)によるトランスポート・ストリーム・パケットを示す図である。
【
図3】1つの実施例(DVB−MPEG2−TS)によるトランスポート・ストリーム・パケットを示す図である。
【
図4】具体的な実施例による記録方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、クライアントが、例えば番組ガイドのデータを使用することによって放送されるビデオ・コンテンツの記録をプログラムする、方法および装置を含む。コンテンツの放送は、イベントE
iを構成する。本発明によれば、一意識別子M
iが、イベントE
iと関連付けられる。信号伝達データE
iにおいて定義されるこの識別子M
iは、記録するコンテンツのトランスポート・パケットに挿入される。このコンテンツに対応するデータ・パケットだけが、記録される。本発明には、コンテンツの先頭および最後の両方で、またはコンテンツの中程(広告)で、コンテンツの記録を最も近い画像と同期させるという利点がある。
【0023】
図1は、具体的な実施例による信号伝達および記録方法を示す。第1のステップ100で、テレビジョン運営者は、所与の日時のコンテンツの放送を準備する。この放送は、イベントE
iに対応する。ビデオ・コンテンツは、トランスポート・ストリームでクライアントに送信されるバイナリ・ストリームに圧縮される。第2のステップ110は、イベントE
iの信号伝達112を含む。イベントE
iの信号伝達に含まれる情報には、所与のチャネルにおける所与の日時におけるコンテンツの理論的放送に関するデータ、番組の非暗号化名、一意識別子M
iが含まれる。信号伝達112は、ステップ111でテレビジョン運営者によって準備され、ステップ113でクライアントによって受信される。ステップ120で、クライアントは、信号伝達情報112を解析し、記録するイベントE
iを選択し、このイベントE
iに関連する一意識別子M
iを決定する。ステップ130で、クライアントは、予定された放送時間に、当該チャネル上のデータ・パケットの受信を活動化する。ステップ140は、トランスポート・ストリーム142のE
iのデータ・パケットの受信143と、このストリームの、クライアントのデコーダの記憶手段への記録144とを含む。特定の特徴によれば、ステップ140は、信号伝達情報112、特にコンテンツの放送E
iの日時を用いて、デコーダを待機状態から連続受信143に自動的に活動化することを含む。実施例によれば、この伝送では、IPネットワーク(IPTV)あるいは衛星、無線、またはケーブル・タイプの放送ネットワーク(DVB MPEG2−TS)を使用する。
【0024】
特定の特徴によれば、一意識別子M
iは、ハッシュ関数で暗号化されたコンテンツのタイトルから導出される。変形形態によれば、一意識別子M
iは、ビデオ・コンテンツの
放送の理論的日時から導出される。識別子M
iは、デコーダが受信したデータ・パケットを、コンテンツと関連付けることができる。識別子M
iは、トランスポート・セッションのレベルで、例えばIPネットワークを介してRTPパケットで、またはDVBネットワークを介してMPEG2−TSのアダプテーション・フィールドで、送信される。一意識別子M
iは、コンテンツの放送と関連するメタデータで送信すると有利である。
【0025】
一実施例によれば、オーディオ・コンテンツおよびビデオ・コンテンツは、MPEG
規格の通信プロトコルに従って符号化される。エレメンタリまたはエレメンタリ・ストリーム(ES)として知られるパケットは、使用するコーデックの関数によってフォーマットが決まる一意タイプのデータ(ビデオ、オーディオ1またはオーディオ2)を含む。MPEGトランスポート・レイヤは、ESパケットのトランスポート・ストリームを規定する。各ESパケットは、MPEG2−TSパケットのヘッダ中にあるそのPIDによって特定される。コンテンツに関する異なるPIDが、サービスに関連するPMTに記述されている。様々なESパケットの中で、メインESパケットが決定される。このメインESパケットは、体系的に復号されるパケットであると有利である。例えば、各GOP(Group of Pictures)で始まる第1のパケット、すなわち各イントラ・ピクチャである。
【0026】
一意識別子は、各メインESに挿入されると有利である。さらに、M
i識別子は、イベントの間を通して同じESによってトランスポートされると有利である。この特徴により、トランスポート・ストリームに挿入する識別子の反復が大幅に低減される。デコーダは、識別子を用いてメインESパケットを検出し、これを、PMTテーブルを用いてストリームのその他のESパケットと関連付ける。これらのパケットは全て、記録のためにデコーダに記憶される。もちろん、本発明は、この実施例に限定されない。特に、コンテンツが無線伝送である場合には、メインESはオーディオ・タイプのESである。特に、コンテンツがスケーラブルなビデオ・コンテンツである場合には、各ESパケットをメイン・パケットとすることができる。
【0027】
実施例によれば、コンテンツは、放送IPネットワークを介して放送されるので、DVB−IPTV規格(「DVB−IPTV 1.4:Transport of MPEG 2 TS Based DVB Services over IP Based Networks」、TS 102 034 V1.4.1、2009年8月参照)で定義されるIPTVサービスを提供する。
【0028】
IPTVの具体的な実施例によれば、トランスポート・ストリームは、2003年7月の、H.Schulzrinne、S.Casner、R.FrederickおよびV.JacobsonによるRFC 3350「RTP:A Transport Protocol for Real−Time Applications」に詳述されるRTPプロトコルを使用する。
図2は、このDVB−IPTVの具体的な実施例によるRTPトランスポート・ストリームのパケットを示す。
【0029】
DVB−IPTVの具体的な実施態様によれば、信号伝達は、SD&S(DVB−IPTVの「Service Discovery and Selection」)やBCG(DVB−IPTVの「Broadcast Content Guide」)や、さらにはTV−Anytimeなどの番組ガイド技術によって実現される。
【0030】
特定の特徴によれば、識別子M
iは、例えばハッシュ関数によって圧縮することによってDVB−IPTV番組ガイド(Broadband Content Guide)に導入されるCRID(Content Reference Identifier)から導出される。識別子M
iは、信号伝達情報とともに送信される。
【0031】
別の特定の特徴によれば、識別子M
iは、データ・パケット(上述のようにメイン・パケットであると有利である)をトランスポートするRTPパケットでも送信される。
図2では、新しいRTPヘッダ・フォーマットが定義され、これは、RTPヘッダ201と、ヘッダ201のビットXで埋められるRTPヘッダ拡張202とを含む。ヘッダ302の拡張フィールドは、「一意識別子」フィールドM
iを含むと有利である。この新しいフィールドは、32ビットで符号化される。ヘッダ202の新しい拡張フィールドのタイプ203および長さ204は、完了すると有利である。
【0032】
別の実施例によれば、コンテンツは、MPEG2−TS規格(ISO/IEC 13818−1:「Information technology − generic coding of moving pictures and associated audio information:Part 1:Systems」参照)を用いて、衛星放送、ケーブルまたは無線ネットワークを介して放送される。
【0033】
DVB−MPEG2−TSの具体的な実施例によれば、MPEG2−PSIテーブルおよびDVB−SIテーブルに基づく信号伝達が、トランスポート・ストリーム自体に挿入される。
【0034】
図3は、DVB−MPEG2−TSの実施例によるトランスポート・ストリームMPEG2−TS301のパケット302、306を示す。TSパケット302、306は、ヘッダ303、任意選択のアダプテーション・フィールド304、および有用なデータ305で構成される。特定の特徴によれば、識別子M
iは、私用データのトランスポート専用のアダプテーション・フィールド304で送信される。このフィールドは、上述のように、メインESをトランスポートするパケット306のみに付加されると有利である。このフィールドは、そのうちの4バイトが識別子M
iのためのものであり、1バイトが識別子M
iである私用データのサイズを示す、7個の付加バイトを含む。
【0035】
図4は、具体的な実施例による記録方法を示す。開始状態401で、イベントE
iの信号伝達の第1の受信ステップに達する。イベントE
iの信号伝達は、特に、コンテンツのタイトル、予定されている放送開始の日時、放送の終了日時、放送チャネルについての情報を含む。イベントE
iの信号伝達は、本発明による一意識別子M
iをさらに含む。ステップ403で、信号伝達情報が復号され、E
iに関連する識別子M
iが検出される。この信号伝達の受信および復号により、ユーザは、EPGを介して、放送されるコンテンツについて知らされる。ステップ404で、ユーザは、イベントE
iおよびマーカM
iに対応する記録するコンテンツを選択する。従来技術では、記録は、予定されている放送の開始時間および終了時間からトリガされる。変形形態によれば、トランスポート・ストリームの活動化および受信は、任意選択ステップ405で、予定されている放送の開始時間および終了時間からトリガされる。安全性をさらに高めるために、開始時間および終了時間に対してマージンを設ける。別の変形形態によれば、受信406は、記録する番組を放送しているチャネル上で連続的に活動化される。ステップ407で、イベントE
iに対応する一意識別子M
iが、トランスポート・パケット中で検出される。この識別子M
iが記録するコンテンツの識別子M
iに対応する場合には、このパケットは、記録するコンテンツに関連するメインESパケットである。この情報およびPMTテーブルを用いて、ステップ408で、コンテンツのパケットが記録装置の記憶手段に記録される。理論的終了時間によって検出される、または異なる識別子M
iを搬送する所定数のパケットを受信したことによって検出される記録の終了時に、再び初期状態に戻る。
【0036】
図5は、本発明を実施する記録装置を示す。受信装置は、例えばネットワークに接続されたディジタルTV受像機/デコーダ(「セット・トップ・ボックス」)、IPネットワークへのアクセス・ゲートウェイ、またはハイブリッド・ネットワークの場合には各ネットワーク上で受信機能を提供する装置である。この装置は、本発明の実施例を実施するのに有用な物理的手段、例えば、プロセッサ510(CPU)、ランダム・アクセス・メモリ530(例えばRAM)、プログラム・メモリ520(例えばROM)、ハード・ディスク540、および復調器(ケーブル、衛星または無線)、IPポート、ADSL復調器、移動ネットワーク用の3Gモデムなどの少なくとも1つのネットワーク・インタフェース550を含む。ネットワーク・インタフェースは、IPネットワーク、テレビジョン放送ネットワーク、移動ネットワークにおけるトランスポート・チャネル560でのデータの受信に適している。デコーダは、第2のコンテンツを視聴している間にコンテンツを記録することができるように、第2のネットワーク・インタフェースを含むと有利である。CPUは、データ・パケットを、RAMメモリまたはハード・ディスクに、識別子M
iに関する情報から得たファイルの形態で記録する。一実施例によれば、CPUは、記録したビデオ・ストリームを復号する機能も提供し、復号したコンテンツをテレビジョン・スクリーンなどの表示装置に送信する。