(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104016
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】液晶パネル検査装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20170316BHJP
G01B 11/30 20060101ALI20170316BHJP
G01N 21/958 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
G02F1/13 101
G01B11/30 A
G01N21/958
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-75884(P2013-75884)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-202779(P2014-202779A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】水野 邦広
(72)【発明者】
【氏名】蔵所 啓一
(72)【発明者】
【氏名】菊田 誠
【審査官】
磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−040201(JP,A)
【文献】
特開2007−086563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光板が無い液晶パネルを検査する液晶パネル検査装置であって、
昇降台と、
該昇降台上に配置されるワークテーブルであって全体に矩形の開口部を有する枠体を備え前記昇降台の上方で前記液晶パネルを保持すべく該液晶パネルの縁部を前記枠体で受けるワークテーブルと、
前記ワークテーブル上の液晶パネルの上方及び下方に配置される第1及び第2の偏光板であって互いに偏光方向を所定の関係に保持される第1及び第2の偏光板と、
前記ワークテーブル上の前記液晶パネルを前記第2の偏光板を通して前記液晶パネルの下面から該下面にほぼ直角な照射光で照射するバックライトユニットと、
前記ワークテーブル上の前記液晶パネルを前記下面の下方から角度的に照射するための傾斜照明光源と、
前記昇降台の上昇位置で前記液晶パネルの点灯検査のために該液晶パネルの画素に電圧を印加するためのプローブユニットと、
前記バックライトユニットからの前記直角な照射光及び前記傾斜照明光源からの斜め照射光のいずれか一方を選択的に受けた状態で前記第1の偏光板を通して前記液晶パネルの上面を撮影するための撮像装置と、
前記ワークテーブル内に配置され、前記傾斜照明光源からの斜め照射光が前記第2の偏光板を経ることなく適正な入射角で前記液晶パネルへ入射するように、前記斜め照射光の一部を前記液晶パネルの下面の周辺部に案内する反射手段とを含む、液晶パネル検査装置。
【請求項2】
前記反射手段は、前記液晶パネルの大きさに応じた該液晶パネルの下面への均一な斜め照射を可能とすべく、前記ワークテーブルに支持された軸の回りに回動可能に支持されており、該反射手段は、前記軸の回りに回動させるための作動装置により、適正な角度に保持される、請求項1に記載の液晶パネル検査装置。
【請求項3】
前記反射手段は、該反射手段で反射して前記液晶パネルに入射する前記下面への入射角が60度以上90度未満に設定されるように前記作動装置により角度を調整される、請求項2に記載の液晶パネル検査装置。
【請求項4】
前記反射手段の前記軸は前記ワークテーブルの前記矩形の開口部の互いに対向する一対の辺の一方の辺に沿って配置され、前記傾斜照明光源は前記一対の辺の他方の辺に沿って伸長すべく配置されている、請求項2又は3に記載の液晶パネル検査装置。
【請求項5】
前記反射手段は、上縁で水平な軸を介して前記ワークテーブルに支持された反射鏡からなり、前記作動装置は前記反射鏡を所望の前記立ち上がり角度で保持すべく前記反射鏡に作動的に結合されている、請求項4に記載の液晶パネル検査装置。
【請求項6】
前記作動装置は、電動モータにより回転可能なボルト部材と該ボルト部材に螺合するナット部材とを備えるボールねじ機構及びリニアモータのいずれか一方を含む、請求項5に記載の液晶パネル検査装置。
【請求項7】
前記傾斜照明光源は、その高さ位置が前記第2の偏光板よりも高い高さ位置にあるように前記昇降台に支持されている、請求項1に記載の液晶パネル検査装置。
【請求項8】
前記ワークテーブルはスペーサ部材を介して前記昇降台から間隔をおいて保持されており、前記傾斜照明光源は前記スペーサ部材により規定される前記ワークテーブルと前記昇降台との間の空間に配置されている、請求項7に記載の液晶パネル検査装置。
【請求項9】
前記ワークテーブルの前記枠体は、大きさの異なる液晶パネルに適するように前記開口部の各辺の寸法が調整可能である、請求項1に記載の液晶パネル検査装置。
【請求項10】
前記ワークテーブルは、前記液晶パネルに適する前記開口部が設けられたワークテーブルに取り替え可能となるように、前記昇降台上に取り外し可能に支持されている、請求項1に記載の液晶パネル検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板が組み込まれていない状態の液晶パネルをバックライトで照らして撮像装置で撮影し、その画像から液晶パネルの欠陥アドレスを判定する液晶パネル検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の検査装置に特許文献1に記載の検査装置がある。この従来の検査装置は、
図7に示されているように、非点灯検査部Aと、点灯検査部Bとを備える。非点灯検査部Aでは、偏光板が組み込まれていない液晶パネル1は、その各画素に電圧が印加されない非点灯(非駆動)状態で検査を受ける。また、点灯検査部Bでは、液晶パネル1は、その各画素にプローブユニット2を経て電圧が印加された点灯(駆動)状態で検査を受ける。
【0003】
非点灯検査部Aでは、ワークテーブル3上の液晶パネル1の上方及び下方に一対の偏光板4a、4bが配置される。バックライト光源5は、下方の偏光板4bを通して液晶パネル1の下面1bにこれと直角な光を照射する。ワークテーブル3には、鏡6が垂直に保持されており、バックライト光源5からの光の一部が鏡6の反射により液晶パネル1の周辺に向けられ、これにより液晶パネル1の周辺部における光量が増大される。
【0004】
液晶パネル1は、このバックライト光源5の光を受けた状態で、上方の偏光板4aを通して撮像装置7により上面1aを撮影される。一対の偏光板4a、4bは、偏光方向を互いに平行に配置される。また非点灯状態の液晶パネル1を透過する光は、透過する間に位相を90度回転される。そのため、液晶パネル1を経る光路に散乱因子が存在しない限り、液晶パネル1を透過するバックライト光源5の光は偏光板4aによって進行を遮断される。その結果、バックライト光源5からの光は撮像装置7により捉えられることはなく、撮像装置7によって黒画面が得られる。しかし、液晶パネル1に欠陥が存在したり、液晶パネル1の面1a、1bに異物が付着していると、バックライト光源5からの強い光が欠陥や異物によって散乱を生じる。散乱光の一部は偏光板4aを透過することから、撮像装置7により、前記欠陥や異物が黒画面上の輝点として観察される。
【0005】
液晶パネル1の面1a、1bに付着した異物は、例えば洗浄によって除去できることから、この異物による輝点を考慮の対象から取り除く必要がある。そのために、液晶パネル1は、次に同じ非点灯検査部Aで傾斜照明光源8を用いた非点灯検査を受ける。この非点灯検査では、バックライト光源5に代えてワークテーブル3に組み込まれた傾斜照明光源8が点灯される。また、鏡6は傾斜照明光源8からの光の妨げとならないように、
図7の非点灯検査部Aに破線で示す水平な格納位置に収容される。ワークテーブル3上の液晶パネル1は、傾斜照明光源8からの斜め照射光を偏光板4bを通すことなく下面1bから受ける。この斜め照射光は、撮像装置6に直接に到達することはなく、液晶パネル1の面1a、1bに付着した異物により散乱を受ける。しかし、傾斜照明光源8からの斜め照射光は、液晶パネル1内の欠陥によっては、前記異物ほどに強い散乱を受けない。その結果、傾斜照明光源8下で、偏光板4aを通して撮像装置7によって撮影される液晶パネル1の面1aの黒画面では、前記異物による輝点と、前記欠陥による輝点とをそれらの輝度差によって判別することができる。
【0006】
したがって、バックライト光源5下での非点灯検査部Aで得られた輝点データと、傾斜照明光源8下での非点灯検査部Aで得られた輝点データとの比較により、いずれの輝点が真の欠陥(画素欠陥)による輝点かを判定できる。
【0007】
しかしながら、前記した非点灯検査部Aでの両検査では、黒画面上で輝点が表示されるために、欠陥によるものであると判定された輝点の画素アドレスすなわち欠陥の正確な画素アドレスを迅速に決定することはできない。
【0008】
そこで、前記した非点灯検査部Aでの両検査で欠陥であると判定された輝点の画素アドレスを求めるために、液晶パネル1は、点灯検査部Bで、プローブユニット2を経て電圧が印加された点灯(駆動)状態で検査を受ける。点灯検査部Bでは、液晶パネル1は、バックライト光源5′からの光を偏光板4bと同様な偏光板4b′を通して受けた状態で、偏光板4aと同様な偏光板4a′を通して撮像装置7′により撮影される。この撮影により、液晶パネル1の点灯画面に前記欠陥及び異物が黒点として捉えられ、また前記点灯画面には各画素を区画するブラックマトリクスが捉えられる。したがって、撮像装置7′の撮影画面から前記欠陥による輝点に対応する黒点のアドレスを容易に読み取ることができ、これにより真の欠陥の画素アドレスが容易に判明する。
【0009】
その結果、この欠陥の画素アドレスに基づいて、欠陥画素を適正に修理することが可能となる。
【0010】
しかしながら、前記した従来の液晶パネル検査装置では、非点灯検査部Aと、点灯検査部Bとのそれぞれに各検査部を構成するための装置の設置スペースが必要となり、フットプリントが大きくなる。また、液晶パネル1を両検査部A、B間で移送する必要があり、非点灯検査部Aで得られた輝点と点灯検査部Bで得られた黒点とを対応付けるために液晶パネル1の正確な配置が必要となることから、ラインタクトの短縮化の点で不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−40201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の目的は、従来の前記した欠点を除去し、コンパクトであり、迅速かつ正確に液晶パネルの欠陥アドレスを特定し得る液晶パネル検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従来のフットプリントの問題及び液晶パネルの両検査部A、B間での移送を防止するには、点灯検査部Bのプローブユニット2を非点灯検査部Aに組み込むことが考えられる。しかし、点灯検査部Bのプローブユニット2を単に非点灯検査部Aに組み込んだとしても、傾斜照明光源8からの斜め照射によっては液晶パネル1の傾斜照明光源が配置された側と反対側の周辺部に適正な斜め照射光が十分に到達せず、液晶パネル1の周辺部で適正な照射光が不足することがある。この不充分な斜め照射光は、傾斜照明光源8下での非点灯検査部Aで輝点の迅速かつ容易な判定作業の妨げとなる。
【0014】
そこで、本発明は、この傾斜照明光源光下の非点灯検査で、液晶パネルの周辺部での斜め照射光の増大を図るべく、基本的には、ワークテーブル内に、傾斜照明光源からの斜め照射光が液晶パネルの下方に配置された偏光板を経ることなく適正な入射角で前記液晶パネルへ入射するように、斜め照射光の一部を前記液晶パネルの下面の周辺部に案内する反射手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
すなわち、本発明は、偏光板が無い液晶パネルを検査する液晶パネル検査装置であって、昇降台と、該昇降台上に配置されるワークテーブルであって全体に矩形の開口部を有する枠体を備え前記昇降台の上方で前記液晶パネルを保持すべく該液晶パネルの縁部を前記枠体で受けるワークテーブルと、前記ワークテーブル上の液晶パネルの上方及び下方に配置される第1及び第2の偏光板であって互いに偏光方向を所定の関係に保持される第1及び第2の偏光板と、前記ワークテーブル上の前記液晶パネルを前記第2の偏光板を通して前記液晶パネルの下面から該下面にほぼ直角な照射光で照射するバックライトユニットと、前記ワークテーブル上の前記液晶パネルを前記下面の下方から角度的に照射するための傾斜照明光源と、前記昇降台の上昇位置で前記液晶パネルの点灯検査のために該液晶パネルの画素に電圧を印加するためのプローブユニットと、前記バックライトユニットからの前記直角な照射光及び前記傾斜照明光源から前記斜め照射光のいずれか一方を選択的に受けた状態で前記第1の偏光板を通して前記液晶パネルの上面を撮影するための撮像装置と、前記ワークテーブル内に配置され、前記傾斜照明光源からの斜め照射光が前記第2の偏光板を経ることなく適正な入射角で前記液晶パネルへ入射するように、前記斜め照射光の一部を前記液晶パネルの下面の周辺部に案内する反射手段とを含む。
【0016】
本願発明に係る液晶パネル検査装置によれば、単一の昇降台上に設けられたバックライトユニットからの照射光下で非点灯検査を行い、前記バックライトからの照射光に代えて前記傾斜照明光源下で非点灯検査を行い、さらにバックライトユニットからの照射光下で前記プローブユニットを用いた点灯検査を行うことができる。そのため、従来のように液晶パネルを非点灯検査部Aから点灯検査部Bに移送する必要なしに迅速に一連の検査を行うことができ、また両検査部A、Bでの位置合わせが不要となる。したがって、コンパクトな装置構成で迅速に検査を行うことができ、タクトタイムの短縮化が可能となる。
【0017】
さらに、前記傾斜照明光源光下の非点灯検査では、前記反射手段は、前記斜め照明光源からの斜め照射光が第2の偏光板を経ることなく適正な入射角で前記液晶パネルへ入射するように、前記斜め照射光の一部を前記液晶パネルの下面に案内する。したがって、前記傾斜照明光源光下の非点灯検査で前記液晶パネルの周辺部に斜め照射光の光量不足が生じることはない。したがって、この光量不足による不具合を解消して、前記傾斜照明光源光下での非点灯検査で輝点の迅速かつ容易な判定作業が可能となる。
【0018】
前記液晶パネルの大きさに応じた該液晶パネルの下面への均一な斜め照射を可能とすべく、前記反射手段を前記ワークテーブルに支持された軸の回りに回動可能に支持することができる、また、前記軸の回りに回動させるための作動手段により、前記反射手段を適正な角度に保持することができる。
【0019】
前記反射手段は、該反射手段で反射して前記液晶パネルに入射する前記下面への入射角が60度以上90度未満に設定されるように前記作動装置により角度を調整することができる。
【0020】
前記反射手段の前記軸は前記ワークテーブルの前記矩形の開口部の互いに対向する一対の辺の一方の辺に沿って配置することができ、前記傾斜照明光源は前記一対の辺の他方の辺に沿って伸長すべく配置することができる。前記反射手段及び傾斜照明源は、前記矩形開口部の4辺のそれぞれに、互いに対をなすように配置することができる。
【0021】
前記反射手段は、上縁で水平な軸を介して前記ワークテーブルに支持された反射鏡で構成することができる。この場合、前記作動装置は前記反射鏡を所望の前記立ち上がり角度で保持すべく前記反射鏡に作動的に結合することができる。
【0022】
前記作動装置は、電動モータにより回転可能なボルト部材と該ボルト部材に螺合するナット部材とを備えるボールねじ機構及びリニアモータのいずれか一方を含むことができる。
【0023】
前記傾斜照明光源は、その高さ位置が前記第2の偏光板よりも高い高さ位置にあるように前記昇降台に支持することができる。また、前記傾斜照明光源は前記昇降台上で該昇降台に支持された前記バックライトのためのベースを介して前記昇降台に支持することができる。
【0024】
前記ワークテーブルはスペーサ部材を介して前記昇降台から間隔をおいて保持することができる。この場合、前記傾斜照明光源は前記スペーサ部材により規定される前記ワークテーブルと前記昇降台との間の空間に配置することができる。
【0025】
前記ワークテーブルの前記枠体は、大きさの異なる液晶パネルに適するように前記開口部の各辺の寸法が調整可能とすることができる。このような枠体は、例えば各部材を平行移動可能なように、井桁状に組み合せることにより、実現できる。
【0026】
前記した調整可能な枠体を用いることに代えて、前記液晶パネルに適する前記開口部が設けられたワークテーブルに取り替え可能となるように、該ワークテーブルを前記昇降台上に取り外し可能に支持することができる。
【0027】
前記したような液晶パネルの大きさに応じて前記開口部が調整可能なワークテーブルや前記液晶パネルに適する前記開口部が設けられたワークテーブルに取り替え可能な構成を採用する場合は、前記反射手段を前記ワークテーブルに支持された軸の回りに回動可能に支持し、前記軸の回りに回動させるための作動手段により、前記反射手段を適正な角度に保持する前記した構成を組合せることが望ましい。なぜならが、液晶パネルの大きさの如何に拘わらず適正な入射角範囲で以て液晶パネルを斜め照射光で均一に照射することができるからである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、前記したように、液晶パネルを2つの検査部間で移送することなく単一の装置上で行えることから、検査装置のコンパクト化を図ることができ、タクトタイムの短縮化を図ることができる。さらに、傾斜照明光源光下での非点灯検査で輝点の迅速かつ容易な判定作業が可能となることから、タクトタイムの一層の短縮化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る液晶パネル検査装置を概略的に示す断面図である。
【
図2】バックライト光源光下での非点灯(非駆動)検査ステップにある液晶パネル検査装置を示す断面図である。
【
図3】傾斜照明光源光下での非点灯(非駆動)検査ステップにある液晶パネル検査装置を示す断面図である。
【
図4】バックライト光源光下での点灯(駆動)検査ステップにある液晶パネル検査装置を示す断面図である。
【
図5】各検査ステップで撮像装置によって得られる撮像画面を示し、(a)は
図2に示すバックライト光源光下での非点灯(非駆動)検査ステップで得られた撮像画面であり、(b)は
図3に示す傾斜照明光源光下での非点灯(非駆動)検査ステップで得られた撮像画面であり、(c)は
図4に示すバックライト光源光下での点灯(駆動)検査ステップで得られた撮像画面である。
【
図6】本発明に係る液晶パネル検査装置の他の例を示す
図3と同様な断面図である。
【
図7】従来の液晶パネル検査装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る液晶パネル検査装置10は、一対の偏光板を有しない液晶パネル12の検査に用いられる。液晶パネル12は、矩形の平面形状を有し、その一方の面(上面)12aの各辺部分には液晶パネル12の各画素に駆動電圧を印加するための従来よく知られた電極(図示せず)が配列されている。
【0031】
液晶パネル検査装置10は、
図1で見て上下方向である垂直方向(z軸方向)に沿って昇降可能な昇降台14と、該昇降台上に支持され、被検査体である液晶パネル12を保持するためのワークテーブル16と、該ワークテーブル上に保持された液晶パネル12の上面12aをワークテーブル16の上方から撮影可能な例えばCCDカメラのような撮像手段18とを含む。
【0032】
昇降台14は、例えばz軸に直角なxy平面のx、y方向に移動可能であり、またz軸の回りに回転可能なxyzθステージで構成することができる。この昇降台14上には、従来よく知られたバックライトユニット20がワークテーブル16上に保持された液晶パネル12のほぼ直下に位置するように配置されている。バックライトユニット20は、その光放射面20aがワークテーブル16上に保持された液晶パネル12の下面12bとほぼ平行となるように、ユニットベース20bで昇降台14に取り付けられている。
【0033】
撮像手段18とバックライトユニット20との間には、第1及び第2の偏光板22a、22bが液晶パネル12の上方及び下方にそれぞれ位置するように配置されている。図示の例では、撮像手段18として、3台のカメラ18a、18a、18aが用いられており、各カメラ18aは撮影領域を僅かに重複させるように整列して配置されている。また、3枚の第1の偏光板22aが各カメラ18aに対応して配置されている。これに代えて、単一の第1の偏光板22aで各カメラ18aの撮影領域を覆うことができる。
【0034】
第2の偏光板22bは、光強度の均等化を図るための光拡散板24を介してバックライトユニット20の光放射面20a上に配置されている。第1の偏光板22a及び第2の偏光板22bはその偏光方向が互いに平行となるように保持されている。
【0035】
液晶パネル12を保持するワークテーブル16は、スペーサ26を介して昇降台14上に該昇降台から上方へ間隔をおいて保持されかつ矩形の液晶パネル12の各辺に沿って配置された辺部分を有する全体に矩形の枠体28を備える。枠体28は、矩形の開口部28aを有し、枠体28の各辺部分は液晶パネル12の対応する各辺部分を受ける。前記した光拡散板24及び第2の偏光板22bを経るバックライトユニット20からの光は、ワークテーブル16の開口部28aを通して、液晶パネル12の下面12bに該面とほぼ直角な角度で照射可能である。
【0036】
スペーサ26によってワークテーブル16と昇降台14との間に保持された空間30には、例えば4つの直線状の傾斜照明光源32が配置されている。
図1にはその4つの傾斜照明光源32のうちの互いに対向する2つが示されている。各傾斜照明光源32は、液晶パネル12の対応する各辺とほぼ平行に伸長しかつ相互に共同してバックライトユニット20の光放射面20aを取り巻くように配置されている。また、各傾斜照明光源32は、液晶パネル12の外方領域の下方で第2の偏光板22bよりも高い高さ位置に保持されるように、ブラケット32aでバックライトユニット20のユニットベース20b上に支持されている。傾斜照明光源32をユニットベース20bに支持することに代えて、昇降台14に直接支持することができる。
【0037】
ワークテーブル16の内方すなわち枠体28の開口部28aの側には、枠体28の対応する辺部分に沿って例えば反射鏡のような反射手段34がその反射面34aを開口部28aの中央に向けて配置されている。各反射手段34は、ほぼ水平に配置されかつワークテーブル16に支持された軸36により、上縁でワークテーブル16に回動可能に支持されている。また、ワークテーブル16には、各反射手段34を軸36の周りに回動させる作動装置38が設けられている。
【0038】
各作動装置38は、反射面34aと水平面との狭角である反射手段34の立ち上がり角度θを調整しかつ所望の設定角に保持すべく、対応する反射手段34の下縁に作動的に連結されている。このような作動手段38として、例えば図示しないが電動モータと、該電動モータにより回転可能なボルト部材と、該ボルト部材に螺合するナット部材とを備える従来よく知られたボールねじ機構、あるいはリニアモータ等を採用することができる。
【0039】
作動装置38は、各立ち上がり角度θを90度未満に設定することにより、後述するように開口部28aの対応する各辺の一方に配置された各反射手段34が対向する他方の辺に沿って配置された傾斜照明光源32からの斜め照射光をそれぞれ液晶パネル12の下面12bへの入射角が適正となるように、下面12bに案内する。
【0040】
図1に示す例では、液晶パネル12の大きさに応じた開口部28aを有するワークテーブル16を取り替え可能とするために、ワークテーブル16は図示しないがボルトナット組立体又は解除可能なクランプ機構等によってスペーサ26に取り外し可能に結合されている。
【0041】
図1には実線で示された液晶パネル12に適した大きさの開口部28aを有するワークテーブル16が実線で示され、またそれよりも小さな寸法を有する液晶パネル12′に適した大きさの開口部28a′を有するワークテーブル16′が仮想線で示されている。
【0042】
液晶パネル12の寸法に応じてワークテーブル16の全体を前記したようにワークテーブル16′に取り替えることに代えて、例えば特開2007−163426号公報に開示されているように、4つの辺部材を平行移動可能に井桁状あるいは卍状に結合することにより、寸法が調整可能な開口部28aを有する枠体28を構成することができる。
【0043】
ワークテーブル16の上方には、該ワークテーブル上の液晶パネル12の点灯検査のために該液晶パネルを駆動する従来よく知られたプローブユニット40が配置されている。プローブユニット40は、昇降台14の上昇位置で液晶パネル12の前記電極にその対応するプローブ40aを接触させる。
【0044】
撮像手段18は、液晶パネル12の検査の際、液晶パネル12との距離が一定となるように設定される。各撮像手段18により得られた画像データは、従来よく知られた画像処理装置42に送られる。
【0045】
以下、液晶パネル検査装置10を用いて液晶パネル12を検査する手順を説明する。
【0046】
[バックライト照射光下での非点灯検査]
バックライト照射光下での非点灯検査では、傾斜照明光源32は消灯状態におかれ、バックライトユニット20すなわちバックライト光源が点灯される。また、プローブユニット40の各プローブ40aは、
図2に示されているように、液晶パネル12の前記電極に非接触の状態におかれることから、液晶パネル12は非点灯(非駆動)状態におかれる。
【0047】
この非点灯状態では、バックライトユニット20の光放射面20aから放射された光は光拡散板24によって好適に分散された状態で第2の偏光板22bを透過する。バックライトユニット20からの光は、第2の偏光板22bを経ることにより、偏光に変換され、該偏光が液晶パネル12にほぼ直角に入射する。液晶パネル12は、非駆動状態におかれていることから、前記偏光は液晶パネル12の透過によってその偏光面を90度回転される。この偏光面を90度回転された偏光は、第1の偏光板22aにより透過を遮断される。
【0048】
その結果、各カメラ18aで前記偏光が捉えられることはなく、第1の偏光板22aを通した液晶パネル12の画像は、液晶パネル12の上面12aあるいは下面12bに異物が付着せずまた液晶パネル12の画素に欠陥が存在しない限り、各カメラ18aで撮影され、そのデータが画像処理装置42で処理されて得られる液晶パネル12の撮影画面は、黒画面として観察される。しかし、液晶パネル12の上面12aや下面12bに異物が付着しあるいは液晶パネル12の画素内部に異物があると、これらが前記偏光の散乱原因となり、その散乱光が第1の偏光板22aを通して撮像手段18に輝点として捉えられる。
【0049】
前記したバックライトユニット20からの光が光拡散板24及び第2の偏光板22bを経て得られる前記偏光は、直角に近似する角度θの立ち上がり角度に保持された反射面34aによって実質的に液晶パネル12の周辺部に向けられることはない。
【0050】
図5(a)は画像処理装置42から得られた前記黒画面上に点在する輝点の例を示す。
図5(a)に示す例では、4つの輝点44a、44b、44c、44dが観察される。
【0051】
これら4つの輝点44a、44b、44c、44dのうち、いずれが画素欠陥ではない液晶パネル12の上面12aや下面12bに付着した異物によるものであるのか、また画素欠陥と見なせる液晶パネル12の画素内部の異物によるものであるのかを判別する必要がある。この異物の付着による輝点と画素欠陥による輝点とを判定するために、次に述べる傾斜照明光源光下での非点灯検査が行われる。
【0052】
[傾斜照明光源光下での非点灯検査]
傾斜照明光源下の非点灯検査では、バックライトユニット20に代えて傾斜照明光源32が点灯され、バックライトユニット20は消灯状態におかれる。また、プローブユニット40の各プローブ40aは、
図3に示されているように、液晶パネル12の前記電極との非接触状態におかれることから、液晶パネル12は非点灯(非駆動)状態におかれる。
【0053】
傾斜照射光源32からの光は、光拡散板24及び第2の偏光板22bを経ることなくワークテーブル16上の液晶パネル12の下面12bに向けて斜め上方に照射される。液晶パネル12の各辺に沿って傾斜照射光源32が配置されているが、当該傾斜照射光源が近接する液晶パネル12の対応する前記辺の近傍にはこの傾斜照明光源からの光は十分に到達しに難い。例えば
図3で見て図中の右方に位置する傾斜照射光源32から放射される斜光は、直接には、液晶パネル12の図中右方に位置する周辺部に十分に到達し難い。同様に、図中の左方に位置する傾斜照射光源32から放射される斜光は、直接には、液晶パネル12の図中左方に位置する周辺部に十分に到達し難い。
【0054】
しかしながら、本発明に係る液晶パネル検査装置10では、軸36によりワークテーブル16に回動可能に支持され作動装置38により立ち上がり角度θが適正な角度に調整された反射手段34が設けられている。そのため、例えば
図3の右方に設けられた傾斜照射光源32から放射される斜光の一部は、反対側にある
図3の左方に設けられた反射手段34の反射面34aにより、液晶パネル12の下面12bの図中右方に位置する周辺部に向けて、α度の入射角で案内される。同様に、
図3の左方に設けられた傾斜照射光源32から放射される斜光の一部は、反対側にある右方に設けられた反射手段34の反射面34aにより、液晶パネル12の下面12bの図中左方に位置する周辺部に向けてα度の入射角で案内される。
【0055】
これら反射手段34の反射面34aでの反射光によって、液晶パネル12の各周辺部の光量が増大されることから、該周辺部での光量不足が解消される。反射手段34の前記した立ち上がり角度θは、反射面34aへの入射角αが60度以上90度未満となるように、90度未満の適正な角度に調整することができる。
【0056】
傾斜照射光源32からの斜めの照射光は、散乱を受けない限り、第1の偏光板22aを経て撮像手段18に到達することはない。しかしながら、液晶パネル12の上面あるいは下面12a、12bに異物が付着していると、この異物の散乱光の一部が第1の偏光板22aを経て撮像手段18に捉えられる。また、液晶パネル12内の欠陥でも、散乱が生じるが前記異物ほどに強い散乱を受けない。その結果、傾斜照射光源32の斜め照射光下で、第1の偏光板22aを通して撮像手段18によって撮影される液晶パネル1の面1aの黒画面では、
図5(b)に示されているように、
図5(a)に示したと同じ位置に4つの輝点44a、44b、44c、44dが観察される。しかしながら、異物による輝点と、前記欠陥による輝点との間に明確な輝度差が生じることから、画像処理装置42は、該画像処理装置に適切な閾値が設定されることにより、それらの輝度差によって異物による輝点と画素欠陥による輝点とを判別する。図示の例では、輝点44b、44c、44dが異物によるものであり、輝点44b、44c、44dよりも輝度が低い輝点44aが画素欠陥によるものである。したがって、輝点44aが検出対象である画素欠陥であると判定することができる。
【0057】
この傾斜照射光源32からの斜めの照射光は、前記したように、反射手段34によって液晶パネル12の周辺部での光量不足が補われることから、液晶パネル12のほぼ全域に所望の光量で行き渡る。したがって、前記した異物による輝点と画素欠陥による輝点とが液晶パネル12のたとえ周辺部に位置したとしていても、その輝度差によって比較的容易かつ確実に両者を判別することが可能となる。
【0058】
[点灯検査]
続いて、ワークテーブル16上の液晶パネル12は、各画素を駆動した状態での点灯検査を受ける。この点灯検査では、
図4に示されているように、プローブユニット40の各プローブ40aは、ワークテーブル16上の液晶パネル12の対応する前記電極に接触し、各画素に駆動電圧が供給される。そのため、液晶パネル12の各画素はこれを透過する光の偏光面を回転させることない。したがって、傾斜照射光源32に代えて再びバックライトユニット20が点灯されると、バックライトユニット20からの光は光拡散板24及び第2の偏光板22bを経て均等な偏光に変換されるが、この偏光は、液晶パネル12が駆動状態におかれていることから、その偏光面を回転させることなく液晶パネル12を透過し、第1の偏光板22aに達する。この第1の偏光板22aは偏光面を回転されていない前記偏光の透過を許す。その結果、撮像手段18によって得られる液晶パネル12の画像は、点灯画面すなわち液晶パネル12が白黒パネルのときには白画面となり、液晶パネル12がカラーパネルのときにはフィルタの配色に応じた色画面となる。
【0059】
この点灯画面では、
図5(c)に示されているように、前記した画素欠陥及び異物がそれぞれに対応する黒点44a、44b、44c、44dとして捉えられ、また前記点灯画面には各画素を区画するブラックマトリクス46が捉えられる。
図5(a)及び
図5(b)で得られた黒画像あるいはその画像データから輝点44aが画素欠陥によるものと判定されており、この輝点44aに対応する点灯画面上の黒点44aの画素アドレスは、ブラックマトリクス46が写り込んだ
図5(c)の画像又はその画像データから容易に得ることができる。したがって、
図5(c)の黒点44aの画素アドレスを容易に得ることができる。
【0060】
本発明に係る液晶パネル検査装置10によれば、前記したように、液晶パネル12の前記した全検査ステップを単一の液晶パネル検査装置10の単一のワークテーブル16上で行えることから、検査装置のコンパクト化を図ることができ、タクトタイムの短縮化を図ることができる。さらに、傾斜照明光源32の斜光下での非点灯検査で、反射手段34によって液晶パネル12の周辺部に十分な照射光を案内することができることから、液晶パネル12の周辺部においても、液晶パネル12の面12a、12bに付着した異物による輝点と画素欠陥による輝点とを迅速かつ容易に判定することができるので、タクトタイムの一層の短縮化が可能となる。
【0061】
図6は、
図1に仮想線で示したように、
図1に実線で示された液晶パネル12よりも小さな寸法を有する液晶パネル12′に適した大きさの開口部28a′を有するワークテーブル16′を用いた例を示し、
図3と同様な、傾斜照明光源光下での非点灯検査を示す図面である。
【0062】
図6に示すように、大型の液晶パネル12を取り扱う場合に比較して小型の液晶パネル12′を取り扱う場合、反射手段34の立ち上がり角度θは、前者の場合よりも小さな値に設定されている。この反射手段34の立ち上がり角度θは、前記した大型の液晶パネル12における場合と同様に、ワークテーブル16′の作動装置38′の操作により、液晶パネル12′の周辺部に十分な光量を確保することができるように、液晶パネル12′の下面12b′への入射角αが適正な角度範囲(60度以上90度未満)となる角度に設定される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々に変更することができる。例えば反射手段の立ち上がり角度θを固定的とすることができる。また、撮像手段18として単一のカメラを用いることができ、必要とする画像解像度に応じてカメラの台数を増加することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 液晶パネル検査装置
12、12′ 液晶パネル
12a、12a′ 液晶パネルの上面
12b、12b′ 液晶パネルの下面
14 昇降台
16、16′ ワークテーブル
18 撮像手段
20 バックライトユニット
22a、22b 偏光板
26 スペーサ
28 枠体
32 傾斜照射光源
34 反射手段
34a 反射面
36 軸
38 作動装置
40 プローブユニット