特許第6104023号(P6104023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104023
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E05C 9/06 20060101AFI20170316BHJP
   E05B 63/14 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   E05C9/06
   E05B63/14 D
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-81555(P2013-81555)
(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公開番号】特開2014-202045(P2014-202045A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107560
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 惣一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐野 龍大
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0092606(US,A1)
【文献】 実開昭61−108465(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸先側縦材に、グレモン装置と、錠ケースを有する錠装置とを備え、グレモン装置は、ハンドルと、ハンドル操作に連動して上下動する上係合部材及び下係合部材と、上係合部材又は下係合部材とハンドルとの間に配置し且つ上係合部材又は下係合部材に連結した錠ケース収納部材とを有し、上係合部材は上方に移動して上枠に係合し、下係合部材は下方に移動して下枠に係合するものであり、錠ケース収納部材は中空を有すると共に戸先側面に錠ケースよりも上下寸法の長い錠ケース挿通孔が形成してあり、錠ケースは錠ケース収納部材の中空内に配置してあると共に錠ケース挿通孔を介して戸先側縦材に固定してあり、上係合部材又は下係合部材に連動して錠ケース収納部材が錠ケースに対して上下動することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア等の建具に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、扉の戸先側縦材101にグレモン装置103と、錠ケース105を有する錠装置107を備える建具109では、グレモン装置103のハンドル111の操作に連動して、上係合部材113と下係合部材115とが互いに上下反対方向に移動して、各々枠116に係合したり、係合を解除するようにしてあるが、下係合部材115は錠ケース105との干渉を避けるためにクランク状にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、下係合部材115をクランク状にすると、クランクのコーナ117に負荷がかかり易くなる為、下係係合材115の剛性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、グレモン装置と錠装置とを備える建具において、グレモン装置と錠ケースとの干渉を避けることができ且つグレモン装置の下係合部材及び上係合部材の剛性の低下を防止できる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、戸先側縦材に、グレモン装置と、錠ケースを有する錠装置とを備え、グレモン装置は、ハンドルと、ハンドル操作に連動して上下動する上係合部材及び下係合部材と、上係合部材又は下係合部材とハンドルとの間に配置し且つ上係合部材又は下係合部材に連結した錠ケース収納部材とを有し、上係合部材は上方に移動して上枠に係合し、下係合部材は下方に移動して下枠に係合するものであり、錠ケース収納部材は中空を有すると共に戸先側面に錠ケースよりも上下寸法の長い錠ケース挿通孔が形成してあり、錠ケースは錠ケース収納部材の中空内に配置してあると共に錠ケース挿通孔を介して戸先側縦材に固定してあり、上係合部材又は下係合部材に連動して錠ケース収納部材が錠ケースに対して上下動することを特徴とする建具である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明では、錠ケースは錠ケース収納部材に形成してある中空内に配置して錠ケース挿通孔を介して戸先側縦材に固定してあると共に錠ケース挿通孔は錠ケースの上下寸法よりも長くしてあるから、中空内に配置した錠ケースを残して錠ケース収納部材が上下動でき、上係合部材、下係合部材及び錠ケース収納部材が錠ケースと干渉することがない。
更に、上係合部材及び下係合部材を移動方向に沿って直線状にできるから、これらの部材の剛性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態にかかる建具の戸先側縦材に設けたグレモン装置及び錠装置を抜き出して示す正面図である。
図2図6に示すA−A断面図である。
図3】錠ケース収納部材の図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
図4】下係合部材の図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
図5】グレモンケースの図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図6】本実施の形態にかかる建具を室内側から見た正面図である。
図7】従来の建具の戸先側縦材に設けたグレモン装置及び錠を抜き出して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図6に示すように、本実施の形態に係る建具1は、防音ドアであり、枠3と扉5とを備えており、扉5はフラッシュ戸であり、扉5の戸先側縦材7には、グレモン装置9と錠装置11(図1参照)とが設けてある。枠3は上枠3a、下枠3b、戸先側竪枠3cを備える。
図1に示すように、錠装置11は、本実施の形態では、上下に合計2箇所設けてあり、各錠装置11は、サムターン13(図6参照)と、錠ケース15とを備えており、上側にある錠装置11には開閉ハンドル17と、開閉ハンドル17の操作により出没するラッチ19とが設けてある。また、各錠ケース15にはサムターン13の軸13aと、サムターンの13の操作により出没するデッドボルト21が設けてある。
【0010】
グレモン装置9は、グレモンハンドル23と、グレモンケース25と、上係合部材27と、下係合部材29と、錠ケース収納部材31とを備えている。
図1及び図5に示すように、グレモンケース25には、上側に上係合部材27の下端を挿入してグレモンケース内に設けてあるリンク機構に連結してあり、下側に連結部材33の上端を挿入してグレモンケース内に設けてあるリンク機構に連結してあると共に、戸先側竪枠3cに向けて出没するデッドボルト35(図1参照)が設けてある。グレモンケース25は、グレモンハンドル23を操作すると内部にあるリンク機構により、上係合部27を上方に連結部材33を下方に移動すると共にデッドボルト35を突出し、又は上係合部材27を下方に連結部材33を上方に移動すると共にデッドボルト35を没するようになっている。
図5に示すように、連結部材33の下端には断面コ字形状の上ブラケット37の上壁37aがナット39で止めてある。上ブラケット37の両側壁37b、37bには各々ねじ孔40が形成してある。
【0011】
図1図3に示すように、錠ケース収納部材31は、中空形材であり、戸先側壁31aには、錠ケース15を挿入する錠ケース挿通孔41が形成してある。錠ケース15は錠ケース挿通孔41を介して戸先側縦材7の戸先側壁7aに取付金具43により固定してある。錠ケース挿通孔41は錠ケース15の上下寸法H1よりも長い寸法H2にしてあり、錠ケース15に対して錠ケース収納部材31が相対的に上下に移動自在になっている。
錠ケース収納部材31の正面には、サムターン13の軸13aを配置する上下に長い長孔45が各錠ケース15に対応して形成してあり、サムターン13の軸13aに対して錠ケース収納部材31が上下動可能にしてある。また、錠ケース収納部材31の正面には、ラッチハンドル17の軸を挿通する長孔47a及び固定部材を挿通する長孔47bが形成してある。
【0012】
図5に示すように、錠ケース収納部材31の上端部には、中空内に上述の上ブラケット37を収納して、上ブラケット37が錠ケース収納部材31の戸先側から止めるねじ49で固定してある。
図3に示すように、錠ケース収納部材31の下端部には、上ブラケット37と同様に断面コ字形状を成す下ブラケット51が固定されている。下ブラケット51は、錠収納ケース31の戸先側壁31aと吊元側壁31bとにねじ53で固定してある。この下ブラケット51の下壁51aには、下係合部材29の上端部が螺合するねじ孔55が形成されている。
【0013】
図4に示すように、下係合部材29は、上端部にねじ部57を、下端部に枠係合部59を有する直線状の棒状部材である。枠係合部59は、下枠3bに形成してある係合孔に挿入することで下枠3bに係合する。尚、上係合部27は図4に示す下係合部材29と同種の部材を用いており、ねじ部57を下にしてグレモンケース25の上側から挿入してグレモンケース内に設けてあるリンク機構に螺合により取付けてあり、枠係合部59を上にして上枠3aに係合するようにしてある。
【0014】
次に、本実施の形態にかかる建具1におけるグレモン装置9と錠装置11との組付けについて説明する。
図1及び図5に示すように、グレモンケース25の下端部に連結部材33の上端部を挿入してグレモンケース25内のリンク機構に連結部材33の上端部を螺合して取付けると共に連結部材33の下端部を上ブラケット37の上壁37aに螺合して取付けおく。また、図3に示すように錠ケース収納部材31の下端部に下ブラケット51をねじ53で取付けると共に下ブラケット51に下係合部材29のねじ部57を螺合して、錠ケース収納部材31に下係合部材29を取付けておく。
そして、図1に示すように、戸先側縦材7に、上ブラケット37と共にグレモンケース25を戸先側縦材7の見込み面から挿入して、グレモンケース25を戸先側縦材7に固定する。
次に、戸先側縦材7に、錠ケース収納部材31と共に下係合部材29を下から挿入して、上ブラケット37と錠ケース収納部材31を連結する。上ブラケット37と錠ケース収納部材31の連結は、図5に示すように、上ブラケット37を戸先側から止めるねじ49で錠ケース収納部材31に止める。
その後、上係合部材27のねじ部57を下にして、戸先側縦材7に上から挿入してグレモンケース25内のリンク機構に螺合して取付ける。
次に、戸先側縦材7の見込み面から錠ケース収納部材31の錠ケース挿通孔41を介して中空部内に錠ケース15を挿入し、錠ケース15を戸先側縦材7に固定する。
最後に、戸先側縦材7の見付け面にラッチハンドル17、グレモンハンドル23及びサムターン13を取付ける。
【0015】
本実施の形態にかかる建具の作用及び効果について説明する。
錠装置11の操作は、ラッチハンドル17の操作によりラッチ19を没して、扉5を開き、ラッチハンドルを戻して扉5を閉じる。
扉5を施錠するときには、各錠装置11のサムターン13を操作して各デッドボルト21を突出させて枠に係合させる。
グレモン装置9の締め操作は、グレモンハンドル23を操作すると、上係合部材27が上方に移動すると共に連結部材33が下方に移動し、上係合部材27の枠係合部59が上枠3aに当接して室内側に移動して係合すると共に、連結部材33に連結してある錠ケース収納部材31と下係合部材29が下方に移動して、下係合部材29の枠係合部59が下枠3bに当接して室内側に移動して係合する。さらに、グレモン装置9のデッドボルト35が突出して戸先側竪枠3cに係合する。これにより、扉5を枠3に引き寄せて密着させ、建具1の防音を図ることができる。
【0016】
本実施の形態によれば、図1に示すように、錠ケース15は錠ケース収納部材31に形成してある中空内に配置して、錠ケース挿通孔41を介して戸先側縦材7に固定してあると共に錠ケース挿通孔41の上下寸法H2は錠ケース15の上下寸法H1よりも長くしてあるから、中空内に配置した錠ケース15を残して錠ケース収納部材31が上下動でき、上係合部材27、下係合29及び錠ケース収納部材31が錠ケース15と干渉することがない。
更に、上係合部材27及び下係合部材29をその移動方向に沿う直線状にできるから、これらの部材27、29の剛性の低下を防止できる。
【0017】
上述したグレモン装置9と錠装置11との組付けについて説明したように、上ブラケット37を設けたグレモンケース25、下係合部材29を連結した錠ケース収納部材31及び錠ケース15のように、パーツに分けて戸先側縦材7に組み込めるので、組付け及び取り外しが容易であり、また、上係合部材27及び下係合部材29が各々螺合によって所定の部品に取付けてあり、上ブラケット37と錠ケース収納部材31とが戸先側からのねじ49で着脱可能に連結してあるので、各部品の交換の必要が生じた場合に、全てを取り外さなくても、必要な部分、例えば、上係合部材27、錠ケース収納部材31、下係合部材29、錠ケース15等を取り外して交換することが可能なので、メンテナンス性が良好である。
特に、図5に示すように、上ブラケット37は断面略コ字形状にして戸先側から止めるねじ49で錠ケース収納部材31に止めてあり、図3に示すように、下ブラケット51は断面略コ字形状にして戸先側と戸尻側から止めるねじ53で錠ケース収納部材31に止めてあるから、組み立てやすく且つメンテナンス性が良い。
また、上ブラケット37と下ブラケット51とは同一形状であり、同種のものを用いることができるから、部品種類を少なくできる。上係合部材27と下係合部材29も同一形状であり、同種のものを用いることができるから、部品種類を少なくできる。
錠ケース収納部材31は、中空形材に錠ケース挿通孔41や、長孔45、47a、47bを加工するだけであるから、簡易な構成で且つ加工が容易である。
本実施の形態では、2箇所に錠装置11を設けているので、防犯性が高い。
【0018】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、建具1は、ドアに限らず、開きサッシ等で合っても良い。
錠ケース15及び錠ケース収納部材31をグレモンケース25の上に設け、上係合部材27とハンドル23との間に錠ケース収納部材31配置して、錠ケース収納部材31を上係合部材27に連結しても良い。
戸先側縦材7は、フラッシュ戸の縦材に限らず、框戸の竪框であっても良い。
【符号の説明】
【0019】
1 建具
3 枠
7 戸先側縦材
9 グレモン装置
11 錠装置
15 錠ケース
23 グレモンハンドル(ハンドル)
27 上係合部材
29 下係合部材
31 錠ケース収納部材
41 錠ケース挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7