【実施例】
【0047】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0048】
本発明で用いられる物性の測定方法及び条件は以下のとおりである。
<造粒顆粒の平均粒子径[μm]>
ロータップ式篩振盪機(平工製作所製、シーブシェーカーA型)によりJIS標準篩を用いて試料20gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、篩下積算分布における積算50質量%粒子径を平均粒子径とした。
【0049】
<錠剤の崩壊試験>
第16改正日本薬局方、一般試験法「崩壊試験法」に従って実施した。試験液は水を用いた。
【0050】
<錠剤の口腔内崩壊試験>
健康な成人男子3人を被験者として、口腔内の唾液で錠剤が完全に崩壊する時間を測定した。各人2回測定し、3人の平均値を算出した。
【0051】
<錠剤の硬度>
一般的に使用される錠剤硬度測定器(Tablet Tester 8M/DR.SCHLEUNIGER製)にて、錠剤の硬度を測定した。1錠ずつ錠剤硬度を測定し、20錠分の錠剤硬度の平均値を算出した。
【0052】
<服用感>
健康な成人男子3人を被験者として、口腔内の錠剤の服用感を官能的に評価した。錠剤の味や食感に問題がない場合を「良好」とし、粉っぽさを感じる場合は、「もさつき感あり」、顆粒などのザラツキを感じた場合は、「違和感あり」として判定した。各人2回測定し、2回とも「良好」である場合のみ、その被験者の服用感の評価を「良好」と判定した。そして、例えば、もさつき感について、被験者が1回目に何も感じず、2回目にもさつき感を感じた場合は、その被験者の評価は「もさつき感あり」とし、同様に、1回でも顆粒などのザラツキを感じた場合は、「違和感あり」として判定した。
【0053】
[
参考例1]
市販のパルプ(重合度約1350)を細断したもの1500kgと、0.08Nの塩酸水溶液約9000Lを低速撹拌機に入れ、撹拌速度80rpmで撹拌しながら、約120℃で、約2時間加水分解し、平均重合度が約230の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、ヌッチェを使用し、固形分約40%になるようにろ過し、ろ過残渣を更に純水で洗浄し、アンモニア水で中和後、純水を加えて固形分濃度約20%のセルロース分散液とした。これを噴霧乾燥して、セルロース粉末Aを得た。セルロース粉末Aの粉体物性を表1に示す。
【0054】
[
参考例2]
市販のパルプ(重合度約880)を細断したもの1500kgと、0.11Nの塩酸水溶液約9000Lを低速撹拌機に入れ、撹拌速度80rpmで撹拌しながら、約120℃で、約2時間加水分解し、平均重合度が約150の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、ヌッチェを使用し、固形分約40%になるようにろ過し、ろ過残渣を更に純水で洗浄し、アンモニア水で中和後、純水を加えて固形分濃度約20%のセルロース分散液とした。これを噴霧乾燥して、セルロース粉末Bを得た。セルロース粉末Bの粉体物性を表1に示す。
【0055】
[
参考例3]
参考例1と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール22kgを溶解させた液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールの複合組成物Aを得た(固形分として、セルロース類:糖類は、約90:10)。複合組成物Aの粉体物性を表1に示す。
【0056】
[
参考例4]
参考例2と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール22kgを溶解させた液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールの複合組成物Bを得た(固形分として、セルロース類:糖類は、約90:10)。複合組成物Bの粉体物性を表1に示す。
【0057】
[
参考例5]
参考例1と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール77.8kgを溶解させた液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールの複合組成物Cを得た(固形分として、セルロース類:糖類は、約72:28)。複合組成物Cの粉体物性を表1に示す。
【0058】
[
参考例6]
参考例1と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール1.0kgを溶解させた液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールの複合組成物Dを得た(固形分として、セルロース類:糖類は、約99.5:0.5)。複合組成物D粉体物性を表1に示す。
【0059】
[実施例7]
参考例1と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール20kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)2.2kgを溶解させた液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンの複合組成物Eを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類は、約90:9:1)。複合組成物Eの粉体物性を表1に示す。
【0060】
[実施例8]
参考例2と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール20kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)2.2kgを溶解させた液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンの複合組成物Fを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類は、約90:9:1)。複合組成物Fの粉体物性を表1に示す。
【0061】
[
参考例9]
参考例1と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール39.0kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)23.7kgを溶解させた液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンの複合組成物Gを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類は、約76:15:9)。複合組成物Gの粉体物性を表1に示す。
【0062】
[実施例10]
参考例1と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール19.6kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)2.2kgと軽質無水ケイ酸0.4kgを懸濁溶解させたセルロース分散液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンと軽質無水ケイ酸の複合組成物Hを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類:無機化合物は、約90:8.8:1:0.2)。複合組成物Hの粉体物性を表1に示す。
【0063】
[実施例11]
参考例2と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール19.6kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)2.2kgと軽質無水ケイ酸0.4kgを懸濁溶解させたセルロース分散液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンと軽質無水ケイ酸の複合組成物Iを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類:無機化合物は、約90:8.8:1:0.2)。複合組成物Iの粉体物性を表1に示す。
【0064】
[
参考例12]
参考例1と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール11.7kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)11.7kgと軽質無水ケイ酸10.5kgを懸濁溶解させたセルロース分散液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンと軽質無水ケイ酸の複合組成物Jを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類:無機化合物は、約85.5:5:5:4.5)。複合組成物Jの粉体物性を表1に示す。
【0065】
[
参考例13]
市販の結晶セルロース(商品名:セオラスUF−702/旭化成ケミカルズ製)を用いて固形分濃度約20%のセルロース分散液を1000kg作製後、その分散液に市販のエリスリトール(カーギルジャパン製)22kgを溶解させたセルロース分散液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールの複合組成物Kを得た(固形分として、セルロース類:糖類は、約90:10)。複合組成物Kの粉体物性を表1に示す。
【0066】
[実施例14]
市販の結晶セルロース(商品名:セオラスPH−301/旭化成ケミカルズ製)を用いて固形分濃度約20%のセルロース分散液を1000kg作製後、その分散液に市販のエリスリトール(カーギルジャパン製)20kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)2.2kgを溶解させたセルロース分散液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンの複合組成物Lを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類は、約90:9:1)。複合組成物Lの粉体物性を表1に示す。
【0067】
[実施例15]
市販の結晶セルロース(商品名:セオラスUF−702/旭化成ケミカルズ製)を用いて固形分濃度約20%のセルロース分散液を1000kg作製後、その分散液に市販のエリスリトール(カーギルジャパン製)19.6kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)2.2kgと軽質無水ケイ酸0.4kgを懸濁溶解させたセルロース分散液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンと軽質無水ケイ酸の複合組成物M得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類:無機化合物は、約90:8.8:1:0.2)。複合組成物Mの粉体物性を表1に示す。
【0068】
実施例の粉体物性について、以下の表1にまとめる。
【0069】
【表1】
【0070】
[実施例16]
参考例1から実施例15で得た粉体(単成分のセルロース粉末)及び複合組成物をそれぞれ、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名);菊水製作所製)を用いて打錠(打圧1kN、錠剤重量350mg、10.5mmφ、平錠)した。その錠剤物性を表2に示す。
参考例1及び
参考例2は速い崩壊性を示したが、錠剤硬度は実用硬度(50N)以下であった。
参考例3から実施例15は実用硬度以上でありながら口腔内の崩壊時間は30秒以下と良好な結果であった。
【0071】
実施例の実験結果について、以下の表2にまとめる。
【0072】
【表2】
【0073】
[実施例17]
参考例1から実施例15で得たそれぞれの複合組成物を134g、N−アセチルグルコサミンを500g、エリスリトールを337g、アルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)24gを混合均一後、ステアリン酸カルシウムを5.5g加え、再度混合後、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名);菊水製作所製)を用いて打錠(打圧12kN、12mmφ、14.5R、550mg)した。
参考例1及び
参考例2は、速い崩壊性を示したが、錠剤硬度は実用硬度(50N)以下であった。
参考例3から実施例15は、いずれも口腔内崩壊錠として、満足良く崩壊性と、口当りも良い服用感が得られた。その錠剤処方と錠剤物性を表3に示す。
【0074】
実施例の実験結果について、以下の表3にまとめる。
【0075】
【表3】
【0076】
[比較例1]
参考例1と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール107.7kgを溶解させた液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールの複合組成物aを得た(固形分として、セルロース類:糖類は、約65:35)。複合組成物aの粉体物性を表4に示す。
【0077】
[比較例2]
参考例2と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール25.6kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)30.8kgを溶解させた液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンの複合組成物bを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類は、約78:10:12)。複合組成物bの粉体物性を表4に示す。
【0078】
[比較例3]
参考例1と同じ方法で作製した固形分濃度約20%のセルロース分散液1000kgに市販のエリスリトール23.9kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)2.4kgと軽質無水ケイ酸13.2kgを懸濁溶解させたセルロース分散液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンと軽質無水ケイ酸の複合組成物cを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類:無機化合物は、約83.5:10:1:5.5)。複合組成物cの粉体物性を表4に示す。
【0079】
[比較例4]
市販の結晶セルロース(商品名:セオラスUF−702/旭化成ケミカルズ製)を用いて固形分濃度約20%のセルロース分散液を1000kg作製後、その分散液に市販のエリスリトール(カーギルジャパン製)107.7kgを溶解させたセルロース分散液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールの複合組成物dを得た(固形分として、セルロース類:糖類は、約65:35)。複合組成物dの粉体物性を表4に示す。
【0080】
[比較例5]
市販の結晶セルロース(商品名:セオラスPH−301/旭化成ケミカルズ製)を用いて固形分濃度約20%のセルロース分散液を1000kg作製後、その分散液に市販のエリスリトール(カーギルジャパン製)39.0kgと市販のアルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)23.7kgを溶解させたセルロース分散液を噴霧乾燥して、セルロースとエリスリトールとアルファー化デンプンの複合組成物eを得た(固形分として、セルロース類:糖類:デンプン類は、約78:10:12)。複合組成物eの粉体物性を表4に示す。
【0081】
比較例の実験結果について、以下の表4にまとめる。
【0082】
【表4】
【0083】
[比較例6]
比較例1から比較例5で得た粉体及び複合組成物をそれぞれ、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名);菊水製作所製)を用いて打錠(打圧1kN、錠剤重量350mg、10.5mmφ、平錠)した。その錠剤物性を表5に示す。全てにおいて錠剤硬度が不足する結果であった。
【0084】
比較例6の実験結果について、以下の表5にまとめる。
【0085】
【表5】
【0086】
[比較例7]
比較例1から比較例5で得たそれぞれの複合組成物を134g、N−アセチルグルコサミンを500g、エリスリトールを337g、アルファー化デンプン(SWELSTAR FD−1:旭化成ケミカルズ製)24gを混合均一後、ステアリン酸カルシウムを5.5g加え、再度混合後、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名);菊水製作所製)を用いて打錠(打圧12kN、12mmφ、14.5R、550mg)した。その錠剤物性を表6に示す。全てにおいて錠剤の崩壊試験時間が30秒以上で、満足良く崩壊性が得られなかった。
【0087】
比較例6の実験結果について、以下の表6にまとめる。
【0088】
【表6】