(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主体情報保持部は、知的財産の主体を識別する第1識別情報と、その主体を識別する第2識別情報と、前記知財情報保持部を母集団とするその主体についての統計情報と、を対応付けて保持し、
本検索システムはさらに、統計情報に基づいて、前記第1検索部によって抽出された第1識別情報と第2識別情報との組を選別する選別部を備え、
前記検索結果送信部は、前記選別部によって選別された組を送信することを特徴とする請求項1に記載の検索システム。
前記主体情報保持部は、知的財産の主体を識別する第1識別情報と、その主体を識別する第2識別情報と、前記知財情報保持部を母集団とするその主体についての統計情報と、を対応付けて保持し、
前記検索結果送信部は、前記第1検索部によって抽出された第1識別情報と第2識別情報との組に統計情報を対応付けて送信することを特徴とする請求項1または2に記載の検索システム。
前記第2検索部は、前記第2検索部によって抽出された第1識別情報に、前記検索情報取得部によって取得される第2識別情報とは異なる第2識別情報が対応付けられている場合、その異なる第2識別情報を取得し、
前記検索結果送信部は、前記第2検索部によって抽出された第1識別情報と前記第2検索部によって取得された異なる第2識別情報との組を、ネットワークを介してユーザ端末に送信することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の検索システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0012】
本実施の形態に係る特許情報検索システムは、知的財産の情報、例えば公開特許公報(公開、公表、再公表)や特許公報(公告、特許)の情報を保持する特許情報検索データベースサーバ(以下、データベースサーバを単にデータベースと称する)を有する。ユーザは、デスクトップPC(Personal Computer)やラップトップPCなどのユーザ端末を使用して特許検索式を生成し、特許情報検索システムに送信する。特許情報検索システムは、受信した特許検索式に基づき特許情報検索データベースを検索し、検索結果をユーザ端末に提供する。
【0013】
特許情報検索システムは、特許検索式を作成する際の補助機能として、特許検索式に含まれるべき出願人名または権利者名(以下、出願人・権利者名と総称する)を決めるための出願人・権利者辞書機能を有する。出願人・権利者名は特許を受ける権利や特許権の主体の名称である。
【0014】
特に特許情報検索システムは、特許検索式を生成するための画面をユーザ端末のディスプレイに表示させる際、出願人・権利者名を照会するための機能を合わせて提供する。出願人・権利者辞書機能では、出願人・権利者名についての異表記検索や部分一致検索や前方・後方一致検索が可能となっている。また、出願人・権利者辞書機能では、ユーザは提示された検索結果に含まれる出願人識別番号をキーとして、出願人・権利者名を再度検索することができる。
出願人識別番号は、出願人・権利者を特定する識別番号であり、基本的には我が国の特許庁により付与され、申請人識別番号とも称される。
【0015】
これにより、特許検索式に含めるべき出願人・権利者名をユーザが決める際に発生しがちな漏れを低減することができる。
【0016】
図1は、特許情報検索システム2の模式的な説明図である。特許情報検索システム2は、Webアプリケーションサーバ4と、出願人・権利者データベース6と、特許情報検索データベース8と、を備える。
【0017】
Webアプリケーションサーバ4に対するクライアントすなわち複数のユーザ端末10は、不図示のインターネットなどのネットワークを介してWebアプリケーションサーバ4と接続され、Webアプリケーションサーバ4によって提供される特許検索のためのWebサービスを利用することができる状態にある。特に複数のユーザ端末10のそれぞれにはWebサービスを利用するためのWebブラウザがインストールされている。
【0018】
特許情報検索システム2は、複数のユーザ端末10が並行してすなわち実質的に同時に特許情報検索システム2に接続することが可能なように構成される。
【0019】
特許情報検索データベース8は、特許庁によって提供される特許や商標といった知的財産権の内容や審査に関する情報が蓄積されたデータベースである。具体的には特許であれば、特許庁から提供される公開特許公報や特許公報、整理・標準化データなどの情報が蓄積されたデータベースである。特許情報検索データベース8は、知的財産の内容を保持する。「知的財産の内容」は、本実施の態様では、特許出願または特許権の内容、特に特許出願書類の全記載事項であってもよい。特許情報検索データベース8では、各公報に、その公報の出願人・権利者名や出願人住所や出願人識別番号や発明者名や公開年月日や出願年月日や要約などの検索のためのキーワードが対応付けられている。
【0020】
図2は、出願人・権利者データベース6を示すデータ構造図である。出願人・権利者データベース6は、出願人・権利者の情報を集めたデータベースである。出願人・権利者データベース6は、表示用の出願人・権利者名と検索用の出願人・権利者名と出願人識別番号と出願人住所と出現頻度と最終出現年とを対応付けて保持する。
【0021】
表示用の出願人・権利者名は、出願情報すなわち公開特許公報や特許公報の中に記載されたままの出願人・権利者名である。
検索用の出願人・権利者名は、表記の揺れをなくした出願人・権利者名であり、特許情報検索データベース8に検索のためのキーワードとして登録されている出願人・権利者名と共通のものであってもよい。
出現頻度は、特許情報検索データベース8において出願人・権利者名が現れる頻度である。特に出現頻度は、出願人・権利者名が特許情報検索データベース8中に現れた回数または出願人・権利者名に対応する公報の数である。
最終出現年は、特許情報検索データベース8において出願人・権利者名が最後に現れた年である。特に最終出現年は、特許情報検索データベース8の中で出願人・権利者名が使われた最終の年または出願人・権利者名に対応する最新の公報の公開年月日に含まれる年である。
【0022】
特許情報検索システム2または特許情報検索システム2の管理者は、特許情報検索データベース8を統計的に解析し、出願人・権利者データベース6に登録されている各出願人・権利者名に対する出現頻度および最終出現年を登録または更新する。すなわち、出現頻度および最終出現年は、特許情報検索データベース8を母集団とする出願人・権利者名についての統計情報である。特に出現頻度は特許情報検索データベース8に含まれる、出願人・権利者に対応する情報の量である。最終出現年は、特許情報検索データベース8に含まれる、出願人・権利者に対応する最新の情報の基準時刻である。
【0023】
図3は、Webアプリケーションサーバ4の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0024】
Webアプリケーションサーバ4はユーザ端末10と特許情報検索システム2との間での情報のやり取りを制御するユーザインタフェースとして機能する。Webアプリケーションサーバ4は、出願人・権利者辞書機能を実現する名称照会部102と、ユーザにより生成された特許検索式に基づき特許情報検索データベース8に対する検索処理を実行する検索処理部104と、を含む。
【0025】
名称照会部102は、検索キー取得部106と、名称検索部108と、検索結果提示部110と、検索識別番号取得部112と、識別番号検索部114と、名称反映部116と、選別部118と、を有する。
検索処理部104は、特許検索式取得部120と、特許検索部122と、特許検索結果送信部124と、を有する。
【0026】
検索キー取得部106は、ユーザ端末10からネットワークを介して、検索対象のキーを取得する。
図4は、ユーザ端末10のディスプレイに表示される検索画面300の代表画面図である。Webアプリケーションサーバ4は、ネットワークを介してユーザ端末10のディスプレイに検索画面300を表示させる。検索画面300は、検索対象文献設定領域302と、検索対象期間設定領域304と、特許検索式設定領域306と、検索ボタン308と、検索履歴表示領域310と、を有する。検索対象文献設定領域302は、ユーザが検索対象の文献を指定するための領域である。検索対象期間設定領域304は、ユーザが検索対象の期間を指定するための領域である。検索履歴表示領域310は、検索の履歴を表示する。
【0027】
特許検索式設定領域306は、検索対象の文献および検索対象の期間以外の検索条件を指定するための領域である。検索項目は、IPC(International Patent Classification)や要約や出願人・権利者名や発明者名などである。ここで、ユーザが検索項目として出願人・権利者名を選択すると、検索キー取得部106は、照会ボタン312を特許検索式設定領域306に表示させる。ユーザは、出願人・権利者辞書機能を利用したい場合、照会ボタン312を指定するすなわち押し下げる。
【0028】
図5は、ユーザ端末10のディスプレイに表示される検索画面314の代表画面図である。検索画面314は、検索対象文献設定領域302と、検索対象期間設定領域304と、特許検索式設定領域306と、検索ボタン308と、出願人・権利者入力補助領域316と、を有する。検索キー取得部106は、照会ボタン312が指定されると、検索履歴表示領域310に代えて出願人・権利者入力補助領域316を表示させる。出願人・権利者入力補助領域316は、キーワード入力領域318と、名称検索ボタン320と、入力ヘルプ表示領域322と、戻るボタン324と、を有する。
【0029】
ユーザは、出願人・権利者名を検索するための所望のキーワードを、キーワード入力領域318にキーボード等を介して入力する。検索キー取得部106は、名称検索ボタン320が押し下げられると、キーワード入力領域318に入力されているキーワードを、ユーザ端末10からネットワークを介して取得する。
【0030】
入力ヘルプ表示領域322は、キーワード検索のヘルプを表示する。
戻るボタン324が押し下げられると、検索キー取得部106は出願人・権利者入力補助領域316を閉じ、代わりに検索履歴表示領域310を表示させる。
【0031】
図3に戻り、名称検索部108は、検索キー取得部106によって取得されるキーワードに対応する出願人・権利者名を、その出願人・権利者名に対応付けられた出願人識別番号と共に出願人・権利者データベース6から抽出する。名称検索部108は、検索キー取得部106によって取得されるキーワードをキーとして出願人・権利者データベース6を検索し、キーワードに対応する出願人・権利者名と出願人識別番号と出願人住所と出現頻度と最終出現年との組を抽出する。
【0032】
特に名称検索部108は、検索キー取得部106によって取得されるキーワードに基づく部分一致検索、前方・後方一致検索または完全一致検索を実行する。名称検索部108は、キーワードが複数の文言を含む場合、それらの文言の間でのAND演算やOR演算を可能とする。例えば、キーワードが「$甲 総合$」である場合、名称検索部108は、「甲」の前方一致、かつ「総合」で後方一致する出願人・権利者名を出願人・権利者データベース6から検索する。
【0033】
選別部118は、名称検索部108における検索結果すなわち名称検索部108によって抽出された組を、出現頻度に基づいて選別する。特に選別部118は、出現頻度がしきい値、例えば1、以下の組を検索結果から除外する。これにより、例えば誤って振られた出願人識別番号のノイズを低減することができる。なお、選別部118は最終出現年に基づいて選別を行ってもよい。
【0034】
検索結果提示部110は、選別部118によって絞り込まれた検索結果を、ネットワークを介してユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10のディスプレイに表示させる。
図6は、ユーザ端末10のディスプレイに表示される検索画面326の代表画面図である。検索画面326は、検索対象文献設定領域302と、検索対象期間設定領域304と、特許検索式設定領域306と、検索ボタン308と、出願人・権利者入力補助領域316と、名称検索結果表示領域328と、候補セットボタン330と、再検索ボタン332と、出願人・権利者式プレビュー表示領域334と、を有する。
【0035】
検索結果提示部110は、キーワード入力領域318に検索を行ったキーワードを表示させる。
検索結果提示部110は、名称検索部108によって抽出され選別部118によって選別された組を名称検索結果表示領域328に表示させる。名称検索結果表示領域328は、チェックボックスと、表示用の出願人・権利者名と、出願人識別番号と、出願人住所と、出現頻度と、最終出現年と、をリスト形式で表示する。名称検索結果表示領域328は、出願人識別番号ごとに対応する行を有する。すなわち、検索結果提示部110によって出願人識別番号が異なる複数の組がユーザ端末10に送信される場合、名称検索結果表示領域328は対応する複数の行を有する。
【0036】
名称反映部116は、名称検索結果表示領域328のチェックボックスがチェックされると、チェックされたチェックボックスに対応する出願人・権利者名を出願人・権利者式プレビュー表示領域334に表示させる。複数のチェックボックスがチェックされた場合、名称反映部116は、対応する複数の出願人・権利者名をOR演算で結合した式を出願人・権利者式プレビュー表示領域334に表示させる。
【0037】
名称反映部116は、候補セットボタン330が押し下げられると、出願人・権利者式プレビュー表示領域334に表示されている出願人・権利者名を特許検索式設定領域306に反映させる。より具体的には、名称反映部116は、候補セットボタン330が押し下げられると、出願人・権利者式プレビュー表示領域334に表示されている出願人・権利者名を、特許検索式設定領域306の検索項目「出願人・権利者」に対応する出願人・権利者名入力領域336に自動的に入力する。すでに何らかのキーワードが出願人・権利者名入力領域336に入力されている場合は、名称反映部116はOR演算を追加した後で、出願人・権利者式プレビュー表示領域334に表示されている出願人・権利者名を反映させる。
【0038】
ユーザは、名称検索結果表示領域328に表示される検索結果を見て、出願人識別番号による再検索を望む場合、名称検索結果表示領域328に表示される複数の異なる出願人識別番号のなかから再検索対象の出願人識別番号を選択し、対応するチェックボックスをチェックする。
検索識別番号取得部112は、再検索ボタン332が押し下げられると、チェックされたチェックボックスに対応する出願人識別番号を、ユーザ端末10からネットワークを介して取得する。
【0039】
図3に戻り、識別番号検索部114は、検索識別番号取得部112によって取得される出願人識別番号に対応する出願人・権利者名を出願人・権利者データベース6から抽出する。識別番号検索部114は、検索識別番号取得部112によって取得される出願人識別番号をキーとして出願人・権利者データベース6を検索し、キーに対応する出願人・権利者名と出願人識別番号(これは、検索識別番号取得部112によって取得される出願人識別番号と同一である)と出願人住所と出現頻度と最終出現年との組を抽出する。
【0040】
選別部118は、識別番号検索部114における検索結果すなわち識別番号検索部114によって抽出された組を、出現頻度に基づいて選別する。
検索結果提示部110は、そのように選別部118によって絞り込まれた検索結果を、ネットワークを介してユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10のディスプレイに表示させる。
【0041】
図7は、ユーザ端末10のディスプレイに表示される検索画面338の代表画面図である。検索画面338は、検索対象文献設定領域302と、検索対象期間設定領域304と、特許検索式設定領域306と、検索ボタン308と、出願人・権利者入力補助領域316と、識別番号検索結果表示領域340と、候補セットボタン330と、再検索ボタン332と、出願人・権利者式プレビュー表示領域334と、を有する。
【0042】
検索結果提示部110は、識別番号検索部114によって抽出され選別部118によって選別された組を識別番号検索結果表示領域340に、名称検索結果表示領域328と同様の形式で表示させる。
【0043】
ユーザは、識別番号検索結果表示領域340において、特許検索式に加えたい出願人・権利者名に対応するチェックボックスをチェックし、候補セットボタン330を押し下げる。名称反映部116はその出願人・権利者名を特許検索式設定領域306の出願人・権利者名入力領域336に反映する。このように、出願人・権利者名入力領域336に入力される情報は、識別番号検索部114によって抽出された出願人・権利者名のなかからユーザによってユーザ端末10を使用して選択された出願人・権利者名を含んでもよい。
【0044】
図3に戻り、特許検索式取得部120は、検索ボタン308が押し下げられると、上記のように出願人・権利者辞書機能を利用して入力された出願人・権利者名を含む特許検索式を取得する。特に特許検索式取得部120は、検索対象文献設定領域302に対する入力内容および検索対象期間設定領域304に対する入力内容および特許検索式設定領域306に対する入力内容に基づき特許検索式を生成する。
【0045】
特許検索部122は、特許検索式取得部120によって生成された特許検索式に基づき特許情報検索データベース8を検索する。
特許検索結果送信部124は、特許検索部122における検索結果をネットワークを介してユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10のディスプレイに表示させる。
特許検索部122および特許検索結果送信部124における処理は、例えば非特許文献1に記載されるような公知の特許検索技術を使用して構成されればよい。
【0046】
以上の構成による特許情報検索システム2の動作を説明する。
図8は、特許情報検索システム2における一連の処理を示すフローチャートである。ユーザは、出願人・権利者名の検索キーワード候補を調査するため、出願人・権利者入力補助領域316のキーワード入力領域318に検索キーワードを入力し、名称検索ボタン320を押し下げる(S202)。特許情報検索システム2は、画面表示処理以外の内部処理として、入力されたキーワードに合致する出願人・権利者名を出願人・権利者データベース6から探す(S204)。その際、特許情報検索システム2は表記揺れを吸収する。また、特許情報検索システム2は出現頻度を確認して、出現頻度の比較的低いものは無視できるようにする。
【0047】
特許情報検索システム2は、画面表示処理として、ステップS204で用意されたデータの「出願人・権利者名、出願人識別番号、出願人住所、出現頻度、最終出現年」を名称検索結果表示領域328に表示させる(S206)。ユーザは、表示された出願人・権利者名の候補から必要な情報が得られるまで、ステップS202のキーワードを変えることができる。つまり、ステップS202、ステップS204およびステップS206の操作を繰り返し行うことができる(S208)。
【0048】
ユーザは、ステップS206で表示された出願人・権利者名の候補から出願人識別番号で紐づいた情報をさらに検索したいかどうか確認する(S210)。さらに出願人識別番号で紐づいた情報を検索したい場合(S210のYes)、ユーザはステップS206で名称検索結果表示領域328に表示された出願人・権利者名を選択し、これらの持つ出願人識別番号と同じ出願人識別番号を持つ出願人・権利者名を調査する機能を実行する(S212)。
【0049】
既に必要な情報が揃っており、さらなる検索の必要がない場合(S210のNo)、ユーザはステップS206で名称検索結果表示領域328に表示された出願人・権利者名を選択し、出願人・権利者名入力領域336に反映させる(S214)。
【0050】
特許情報検索システム2は、内部処理として、ステップS212において選択された出願人識別番号に合致する出願人・権利者名およびその出願人・権利者名に合致し別の出願人識別番号を持つデータを出願人・権利者データベース6から探す(S216)。その際、特許情報検索システム2は出現頻度を確認して、頻度の低いものは無視できるようにする。
【0051】
特許情報検索システム2は、画面表示処理として、ステップS216で用意されたデータの「出願人・権利者名、出願人識別番号、出願人住所、出現頻度、最終出現年」を識別番号検索結果表示領域340に表示させる(S218)。ユーザは、表示された出願人・権利者名の候補から必要な情報が得られるまで、ステップS212の選択肢を変えることができる。つまり、ステップS212、ステップS216およびステップS218の操作を繰り返し行うことができる(S220)。
【0052】
一例では、ステップS212において(出願人・権利者名「AAAA」、出願人識別番号「pppp」)が選択された場合、ステップS218において、
(出願人・権利者名「AAAA」、出願人識別番号「pppp」)
(出願人・権利者名「AAAA」、出願人識別番号「pprr」)
(出願人・権利者名「BBBB」、出願人識別番号「pppp」)
(出願人・権利者名「BBBB」、出願人識別番号「prpr」)
(出願人・権利者名「CCCC」、出願人識別番号「pppp」)
等が識別番号検索結果表示領域340に表示される。
【0053】
出願人・権利者名の候補から必要な情報が得られた場合(S220のYes)、ユーザはステップS218で識別番号検索結果表示領域340に表示された出願人・権利者名を選択し、出願人・権利者名入力領域336に反映させる(S214)。
【0054】
特許情報検索システム2は、画面表示処理として、ユーザによって選択された出願人・権利者名を出願人・権利者名入力領域336に表示させる(S222)。ユーザは、特許検索式を送信する(S224)。特許情報検索システム2は、内部処理として、特許検索式に基づいた特許情報検索データベース8に対する検索処理を実行する(S226)。特許情報検索システム2は、画面表示処理として、ステップS226における検索結果をユーザ端末10のディスプレイに表示させる(S228)。ユーザは、検索結果を取得する(S230)。
【0055】
本実施の形態に係る特許情報検索システム2によると、特許検索式に含めるべき出願人・権利者名のキーワード検索が可能となる。加えて、その検索結果に含まれる出願人識別番号をキーとして再度検索を実行することができる。したがって、ユーザは、特許検索式の出願人・権利者名部分を構築するに当たり、出願人・権利者名そのものだけでなく出願人識別番号で関連付いている入力候補をより容易に取得することができる。
また、ユーザは、キーワード検索と識別番号検索とを行ったり来たりすることにより、漏れが少なく自分の欲しい形により近い出願人・権利者名の検索式を構築することができる。
【0056】
出願人・権利者名をキーのひとつとして特許検索を行う際に発生しやすい検索漏れには、主に以下の3つがある。
(1)同一企業が別表記で出願された場合などの表記揺れによる検索漏れ。
(2)グループ会社を含め忘れることによる検索漏れ。
(3)合併による社名変更などの企業組織再編による検索漏れ。
【0057】
本実施の形態に係る特許情報検索システム2によると、出願人・権利者名のキーワード検索により(1)および(2)の検索漏れを低減することができる。加えて、出願人識別番号による再検索機能により、(3)の検索漏れを低減することができる。
【0058】
特許情報検索データベース8のデータ量は比較的多く、また特許情報検索システム2の要となる部分なので、名寄せ等の目的でその内容を頻繁に改変することは比較的困難である。そこで、本実施の形態に係る特許情報検索システム2では、特許情報検索データベース8とは別によりデータ量の少ない出願人・権利者データベース6を設け、出願人・権利者辞書機能は出願人・権利者データベース6を使用して実現している。これにより、社名変更や表記揺れが発生した場合でも、出願人・権利者データベース6をそのような社名変更や表記揺れに対応するように更新することができる。その結果、特許情報検索データベース8に手を加える必要性を低減しつつ、出願人・権利者名についての検索漏れを低減できる。
【0059】
また、本実施の形態に係る特許情報検索システム2では、検索結果として出願人・権利者名だけでなく対応する出願人住所もユーザに提供される。したがって、ユーザは例えば検索結果の中に同名の企業が存在する場合でもそれらを識別することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る特許情報検索システム2では、検索結果として出願人・権利者名だけでなく対応する出現頻度や最終出現年もユーザに提供される。したがって、ユーザはそれらの統計情報を参考にして、対応する出願人・権利者名が有用な情報かどうかを識別できる。
【0061】
また、本実施の形態に係る特許情報検索システム2は、一旦キーワード検索の結果をユーザに提示し、提示される結果に含まれる出願人識別番号に基づく再検索を可能としている。このように逐次ユーザに結果を提示して判断させる構成としたので、出願人・権利者名の検索式を生成する際のノイズを低減できる。
【0062】
以上、実施の形態に係る特許情報検索システム2の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0063】
実施の形態では、Webアプリケーションサーバ4と出願人・権利者データベース6と特許情報検索データベース8とは別々のサーバである場合について説明したが、これに限られず、例えばWebアプリケーションサーバ4の機能と出願人・権利者データベース6の機能と特許情報検索データベース8の機能とをひとつの装置すなわちサーバで実現してもよい。
【0064】
実施の形態では、特許情報検索データベース8を使用した特許検索機能に出願人・権利者辞書機能を追加する場合について説明したが、これに限られず、例えば実用新案権や意匠権や商標権などの他の知的財産の情報を保持するデータベースを使用した検索機能に、実施の形態に係る技術的思想を適用してもよい。この場合、実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
実施の形態では、検索キー取得部106によって取得されるキーワードに基づきまず出願人・権利者名を検索し、次に出願人識別番号に基づく検索を行う場合について説明したが、これに限られず、その順番は逆でもよい。この場合、特許検索式に含まれるべき出願人識別番号を決める際の出願人識別番号辞書機能が実現され、出願人識別番号についての検索漏れを低減できる。
【0066】
図8の主にステップS202、S204、S206、S212、S216、S218に係る処理の具体例を以下に示す。
【0067】
ユーザはキーワード入力領域318に検索キーワードとして「甲」を入力する。特許情報検索システム2は入力された検索キーワード「甲」をキーとして、出願人・権利者データベース6の出願人・権利者名を検索する。この検索の結果、「甲精工株式会社 111」、「甲工業株式会社 999」の2組が抽出されたとする(「111」、「999」は出願人識別番号)。特許情報検索システム2は、抽出された2組を名称検索結果表示領域328に表示させる。
【0068】
ユーザは、名称検索結果表示領域328において「甲精工株式会社 111」の組を選択し、再検索ボタン332を押し下げる。特許情報検索システム2は、選択された組「甲精工株式会社 111」の出願人識別番号「111」をキーとして、出願人・権利者データベース6の出願人識別番号を検索する。この検索の結果、「甲精工株式会社 111」(ステップS204(名称キーワード検索)により既に得られていた組)、「乙株式会社 111」(「甲」というキーワード検索だけでは抽出されない想定外の名称)の2組が抽出されたとする。特許情報検索システム2はさらに、抽出された「乙株式会社 111」の組の出願人・権利者名「乙株式会社」をキーとして、出願人・権利者データベース6の出願人・権利者名を検索する。ここで、「甲精工株式会社」と出願人識番号「111」で紐付けられている「乙株式会社」について、「111」とは異なるまた別の出願人識別番号「222」が付されている場合、この検索により「乙株式会社 222」が抽出される。特許情報検索システム2は、「甲精工株式会社 111」、「乙株式会社 111」および「乙株式会社 222」の3組を識別番号検索結果表示領域340に表示させる。
【0069】
このように、「乙株式会社 222」の組をも識別番号検索結果表示領域340に表示させることにより、ユーザは、検索対象とする出願人識別番号の候補を増やしながら繰り返し識別番号検索を行うことができる。その結果、関連した企業の情報をより網羅的に洗い出すことができる。