特許第6104114号(P6104114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104114
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20170316BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   F24C15/00 M
   H05B6/12 324
   H05B6/12 313
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-194432(P2013-194432)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-59721(P2015-59721A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂村 知一
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−339936(JP,A)
【文献】 特開2010−170855(JP,A)
【文献】 実開平05−083606(JP,U)
【文献】 特開2012−097913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B6/12
F24C9/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの上部に設けられ、被加熱物が載置される天板と、
前記本体ケースの内部に設けられ、前記天板上の被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記天板の前部に設けられ、少なくとも前記加熱手段の火力を指示する静電容量式のタッチキーと、
前記本体ケースの手前に位置する人を感知する人感センサーと、
前記タッチキーからの指示に基づいて設定火力を設定し、前記加熱手段の火力が前記設定火力になるように制御し、前記加熱手段の火力を制御しているときに、前記人感センサーにより人が感知されることなく、前記タッチキーからの指示を検知したときには、前記加熱手段の火力を低くする制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記加熱手段の火力を低くした際に、噴き溢れの発生を報知し、噴き溢れの発生を報知してから第1設定時間を経過しても、前記人感センサーにより人が感知されなかったときには、前記加熱手段の制御を停止し、前記第1設定時間の経過後に、前記人感センサーにより人が感知されたときに、前記タッチキーからの指示を継続して検知したときには、前記加熱手段の制御を停止することを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記加熱手段の火力を制御しているときに、前記人感センサーにより人が感知され、前記タッチキーからの指示を第2設定時間以上継続して検知されると、噴き溢れの発生を報知することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記制御手段は、噴き溢れの発生を報知してから第3設定時間を経過しても、前記タッチキーからの指示を継続して検知したときには、前記加熱手段の火力を低くすることを特徴とする請求項記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記加熱手段の火力を低くしてから第4設定時間の経過後に、前記人感センサーにより人が感知されなくなったときには、前記加熱手段の制御を停止することを特徴とする請求項記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第4設定時間の経過後に、前記人感センサーにより人が感知されても、前記タッチキーからの指示を継続して検知したときには、前記加熱手段の制御を停止することを特徴とする請求項記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記制御手段は、前記加熱手段の制御を停止する前に、当該加熱手段の制御を停止する旨を前記噴き溢れの発生を報知したときよりも大きな音量で報知することを特徴とする請求項2、4、5の何れか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、天板に載置された被加熱物を加熱コイルにより誘導加熱し、被加熱物の内容物を調理する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器として、耐熱強化ガラス製の天板に設けられた操作部に、天板に印刷された電極を触ることにより、電気的容量が変化することで反応する静電容量式のタッチキーを用いたものがある。この操作部は、天板に凹凸がないため、天板の手入れなどの取り扱いが容易となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−339936号公報(第5頁、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の加熱調理器では、加熱調理中に調理容器から噴き溢れた内容物がタッチキーに接触した場合、タッチキーが内容物に反応して誤動作し、ユーザーが意図しない加熱動作が起きる可能性がある。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、調理容器から噴き溢れた内容物によって、静電容量式のタッチキーが誤動作しても、その誤動作による加熱動作を抑えることができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理器は、本体ケースの上部に設けられ、被加熱物が載置される天板と、本体ケースの内部に設けられ、天板上の被加熱物を加熱する加熱手段と、天板の前部に設けられ、少なくとも加熱手段の火力を指示する静電容量式のタッチキーと、本体ケースの手前に位置する人を感知する人感センサーと、タッチキーからの指示に基づいて設定火力を設定し、加熱手段の火力が設定火力になるように制御し、加熱手段の火力を制御しているときに、人感センサーにより人が感知されることなく、タッチキーからの指示を検知したときには、加熱手段の火力を低くする制御手段とを備え、制御手段は、加熱手段の火力を低くした際に、噴き溢れの発生を報知し、噴き溢れの発生を報知してから第1設定時間を経過しても、人感センサーにより人が感知されなかったときには、加熱手段の制御を停止し、第1設定時間の経過後に、人感センサーにより人が感知されたときに、タッチキーからの指示を継続して検知したときには、加熱手段の制御を停止する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加熱手段の火力を制御しているときに、人感センサーにより人が感知されることなく、タッチキーからの火力の指示を検知したときには、加熱手段の火力を低くなるようにしている。このように、加熱調理器の前に人が居ないときに、噴き溢れが発生したとしても、加熱手段の火力を下げるようにし、また、加熱手段の火力を制御しているときに、その火力を指示したタッチキー以外のタッチキーが噴き溢れよって誤動作したとしても、加熱手段の火力を下げるようにしているので、安全性を確保できる加熱調理器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る加熱調理器の外観を示す斜視図。
図2】実施の形態に係る加熱調理器の回路構成を示すブロック図。
図3】実施の形態に係る加熱調理器の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は実施の形態に係る加熱調理器の外観を示す斜視図である。
図1に示す加熱調理器100は、本体ケース1の上部に設けられた天板2と、本体ケース1内に天板2に接近して配置された加熱手段である左加熱コイル13及び右加熱コイル14(図2参照)と、本体ケース1内の左加熱コイル13側の下方に設置されたグリル調理器9とを備えている。左加熱コイル13及び右加熱コイル14は、内加熱コイルと、内加熱コイルの外周を囲むように設けられた外加熱コイルとで構成されている。被加熱物で調理容器が大きいときには、内加熱コイルと外加熱コイルの両方が使用され、調理容器が小さいときには、内加熱コイルのみが使用される。なお、本実施の形態においては、加熱手段として2つの加熱コイル13、14を用いているが、これは一例であって、加熱コイルの個数は限定されるものではない。また、2つの加熱コイル13、14をそれぞれ内加熱コイルと外加熱コイル(2重コイル)により構成しているが、これも一例であって、1重の加熱コイル、3重の加熱コイルなどで構成してもよい。
【0010】
天板2は、四辺形に形成された耐熱強化ガラスよりなり、外周に額縁状のフレーム3が装着された状態で本体ケース1の上部に取り付けられている。天板2の左右方向の上面には、調理容器の載置位置を示すリング形状の左加熱部4及び右加熱部5が配置されている。左加熱部4は、天板2の下方に配置された左加熱コイル13と対向しており、右加熱部5は、天板2の下方に配置された右加熱コイル14と対向している。
【0011】
また、天板2の手前側の前部には、左操作部6と右操作部7とが配置され、天板2の手前側の中央部には、操作方法や注意喚起、左加熱コイル13及び右加熱コイル14の動作状態などを表示する液晶表示部8(LCD)が配置されている。左操作部6には、例えば、左加熱コイル13の火力の指示や、揚げ物、煮物等の加熱調理を指示する複数のタッチキー6aが設けられている。右操作部7には、例えば、右加熱コイル14の火力の指示や、揚げ物等の加熱調理を指示する複数のタッチキー7aが設けられている。それぞれのタッチキー6a、7aは、天板2を形成する耐熱強化ガラスの下方に静電容量式のキースイッチが配置されている。タッチキー6a、7aを構成する各電極とGNDとの間には、後述する表示操作制御回路からの交流電圧の印加に基づいて静電容量が発生する。タッチキー6a、7aを指で短押し(例えば2秒以下)したり、調理容器から噴き溢れた内容物が接触したりした場合には、その静電容量が大きくなる。
【0012】
フレーム3の後部には、吸気口カバー10及び排気口カバー11が取り外し自在に設けられている。本体ケース1の吸気口カバー10の下には、本体ケース1内に空気を取り込むための吸気口が設けられている。また、本体ケース1の排気口カバー11の下には、本体ケース1内に取り込んだ空気及びグリル調理器9内の空気を排気するための排気口が設けられている。
【0013】
グリル調理器9は、本体ケース1の前面に開口を有する直方体形状のグリル庫と、グリル庫の開口を開閉するグリル扉と、グリル庫内の上下に配置された上ヒーター及び下ヒーター(例えば、シーズヒーター)とを備えている。本体ケース1のグリル扉の右側の前面には、人(ユーザー)を感知する人感センサー12が設けられている。この人感センサー12には、例えば、人体から発せられる赤外線量(体温)を感知する赤外線センサーが用いられている。
【0014】
次に、加熱調理器100の回路構成について、図2に基づいて説明する。
図2は実施の形態に係る加熱調理器の回路構成を示すブロック図である。
前述の加熱調理器100は、インバータ回路21、22と、インバータ制御回路23と、制御手段を備えた表示操作制御回路24と、人感センサー制御回路25と、音声制御回路26及びスピーカー27とを備えている。
【0015】
インバータ回路21は、インバータ制御回路23からの駆動信号(PWM)の入力に基づいて、直流電力を高周波電力に変換し、左加熱コイル13に高周波電流を供給する。インバータ回路22は、前記と同様に、インバータ制御回路23からの駆動信号の入力に基づいて、直流電力を高周波電力に変換し、右加熱コイル14に高周波電流を供給する。
【0016】
インバータ制御回路23は、表示操作制御回路24からの設定火力に基づいて駆動信号を生成し、その駆動信号によりインバータ回路21、22を駆動する。また、インバータ制御回路23は、設定火力とインバータ回路21、22の出力電力(火力)とがほぼ同一となるように駆動信号を生成し、その駆動信号によりインバータ回路21、22を駆動する。
【0017】
人感センサー制御回路25は、人感センサー12からの赤外線量に基づいて信号(例えば電圧)を生成し、その信号を表示操作制御回路24に入力する。音声制御回路26は、表示操作制御回路24からの指示に基づいて、噴き溢れ発生のメッセージをスピーカー27から発音させる。この音声制御回路26は、2回目以降のメッセージをスピーカー27から発音させる際、音量を上げて発音させる。
【0018】
表示操作制御回路24は、人感センサー制御回路25からの信号が入力されたときに、その信号レベルが予め設定された閾値を超えているかどうかを判定し、信号レベルが閾値を超えているときに、人が感知されたと判定する。また、表示操作制御回路24は、タッチキー6a、7aの短押しによる静電容量の変化(反応)を検知したときには、タッチキー6a、7aからの指示として、その指示に基づいて設定火力を設定し、インバータ制御回路23に入力する。
【0019】
また、表示操作制御回路24は、例えば、右加熱コイル14の火力を制御しているときに、人感センサー12により人が感知されることなく、タッチキー7aの反応(指示)を例えば3秒以上継続して検知したときには、右加熱コイル14の火力を噴き溢れを抑える火力まで低くする。なお、右加熱コイル14の火力を制御しているときに、右加熱コイル14の火力を指示したタッチキー7a以外のタッチキー7aが、噴き溢れによって3秒以上継続して反応した場合も、噴き溢れを抑える火力まで低くする。
【0020】
表示操作制御回路24は、右加熱コイル14の火力を低くした際に、噴き溢れの発生のメッセージを音声制御回路26を介してスピーカー27から発音させる。
【0021】
表示操作制御回路24は、噴き溢れの発生を報知してから例えば5秒(第1設定時間)を経過しても、人感センサー12により人が感知されなかったときには、前回よりも大きな音量で火力を停止するメッセージをスピーカー27から発音させ、その後に、右加熱コイル14の制御を停止する。
【0022】
表示操作制御回路24は、5秒(第1設定時間)経過後に人感センサー12により人が感知されたときに、タッチキー7aからの反応(指示)を継続して検知したときには、前記と同様に、火力を停止するメッセージをスピーカー27から発音させ、その後に、右加熱コイル14の制御を停止する。
【0023】
また、表示操作制御回路24は、人感センサー12により人が感知されているときに、タッチキー7aからの反応(指示)を例えば3秒(第2設定時間)以上継続して検知したときには、噴き溢れの発生のメッセージを音声制御回路26を介してスピーカー27から発音させる。なお、右加熱コイル14の火力を制御しているときに、右加熱コイル14の火力を指示したタッチキー7a以外のタッチキー7aが、噴き溢れによって3秒以上継続して反応しても、噴き溢れを抑える火力まで低くする。
【0024】
表示操作制御回路24は、噴き溢れの発生を報知してから例えば5秒(第3設定時間)を経過しても、タッチキー7aからの反応(指示)を継続して検知したときには、右加熱コイル14の火力を噴き溢れを抑える火力まで低くする。
【0025】
表示操作制御回路24は、右加熱コイル14の火力を低くしてから例えば5秒(第4設定時間)経過後に、人感センサー12により人が感知されなくなったときには、前回よりも大きな音量で火力を停止するメッセージをスピーカー27から発音させ、その後に、右加熱コイル14の制御を停止する。
【0026】
表示操作制御回路24は、5秒(第4設定時間)経過後に、人感センサー12により人が感知されていても、タッチキー7aからの反応(指示)を継続して検知したときには、前記と同様に、火力を停止するメッセージをスピーカー27から発音させ、その後に、右加熱コイル14の制御を停止する。
【0027】
前記のように構成された加熱調理器100の動作を図3に基づいて説明する。
図3は実施の形態に係る加熱調理器の動作を示すフローチャートである。
表示操作制御回路24は、例えば、左操作部6に設けられた複数のタッチキー6aのうち、何れか1つのタッチキー6aから左加熱コイル13の火力の指示を受けると、その指示に基づいて設定火力を設定し、その設定火力で左加熱コイル13が加熱動作を開始するように、インバータ制御回路23を制御する。この時、人感センサー12によって人(ユーザー)が感知されている。
【0028】
その後、表示操作制御回路24は、再び、人感センサー12によって人が感知されているかどうかを判定する(S1)。表示操作制御回路24は、人感センサー制御回路25からの信号レベルが閾値を超えたときには、人が感知されたと判定してS13に移行するが、人感センサー制御回路25からの信号レベルが閾値未満のときには、人が感知されていないと判定して、タッチキー6aが反応したかどうかを判定する(S2)。表示操作制御回路24は、タッチキー6aの反応を検知しなかったときには、そのタッチキー6aが反応したかどうかの判定を繰り返す。
【0029】
一方、表示操作制御回路24は、タッチキー6aの反応を検知したときには、その反応が例えば3秒以上継続されたかどうかを判定する(S3)。表示操作制御回路24は、タッチキー6aの反応が3秒以上継続されたときには、調理容器からの噴き溢れによってタッチキー6aが誤動作したとして(S4)、左加熱コイル13の火力が噴き溢れを抑える火力まで低くなるように、インバータ制御回路23を制御する(S5)。その後、表示操作制御回路24は、音声制御回路26を起動し、噴き溢れが発生したメッセージをスピーカー27から発話させる(S6)。
【0030】
そして、表示操作制御回路24は、5秒(第1設定時間)を経過したかどうかを判定し(S7)、メッセージを発音してから5秒を経過したときには、人感センサー12によって人が感知されたかどうかを判定する(S8)。表示操作制御回路24は、人感センサー制御回路25からの信号レベルと閾値との比較から人が感知されたと判定したときには、人が加熱調理器100の前に戻ってきたとして、タッチキー6aの反応を検知したかどうかを判定する(S9)。表示操作制御回路24は、タッチキー6aの反応を検知しなかったときには、ユーザーによる操作と判定して現状態を維持する(S10)。つまり、表示操作制御回路24は、ユーザーによって左操作部6のタッチキー6a上の噴き溢れが拭き取られたとして、設定火力が低減された状態で制御される左加熱コイル13の加熱動作を維持する。
【0031】
表示操作制御回路24は、S8において、人感センサー12によって人が感知されなかったときには、人が加熱調理器100の前に居ない状態が継続されているとして、音声制御回路26を起動し、火力を停止するメッセージを前回より大きな音量でスピーカー27から発話させる(S11)。そして、表示操作制御回路24は、左加熱コイル13の火力が停止(ゼロ)となるように、インバータ制御回路23を介して左加熱コイル13の加熱制御を停止する(S12)。また、表示操作制御回路24は、S9において、タッチキー6aの反応を検知したときには、噴き溢れ状態が継続されているとして、前記と同様に、火力を停止するメッセージをスピーカー27から発話させる(S11)。そして、表示操作制御回路24は、左加熱コイル13の火力が停止(ゼロ)となるように、インバータ制御回路23を介して左加熱コイル13の加熱制御を停止する(S12)。
【0032】
表示操作制御回路24は、S1において、人感センサー12により人が感知されたときには、タッチキー6aの反応を検知したかどうかを判定する(S13)。表示操作制御回路24は、タッチキー6aの反応を検知しなかったときには、そのタッチキー6aが反応したかどうかの判定を繰り返す。一方、表示操作制御回路24は、タッチキー6aの反応を検知したときには、その反応が例えば3秒(第2設定時間)以上継続されたかどうかを判定する(S14)。表示操作制御回路24は、タッチキー6aの反応が3秒以上継続されたときには、調理容器からの噴き溢れによってタッチキー6aが誤動作したとして(S15)、音声制御回路26を起動し、噴き溢れが発生したメッセージをスピーカー27から発話させる(S16)。
【0033】
そして、表示操作制御回路24は、5秒(第3設定時間)を経過したかどうかを判定し(S17)、メッセージを発音してから5秒を経過したときには、タッチキー6aの反応を検知したかどうかを判定する(S18)。表示操作制御回路24は、タッチキー6aの反応を検知しなかったときには、ユーザーによる操作と判定して現状態を維持する(S19)。つまり、表示操作制御回路24は、ユーザーによって左操作部6のタッチキー6a上の噴き溢れが拭き取られたとして、設定火力が低減された状態で制御される左加熱コイル13の加熱動作を維持する。
【0034】
また、表示操作制御回路24は、S18において、タッチキー6aの反応を検知したときには、噴き溢れによってタッチキー6aの誤動作が継続されているとして、左加熱コイル13の火力が噴き溢れを抑える火力まで低くなるように、インバータ制御回路23を制御する(S20)。その後、表示操作制御回路24は、音声制御回路26を起動し、噴き溢れが発生したメッセージを前回より大きな音量でスピーカー27から発話させる(S21)。
【0035】
そして、表示操作制御回路24は、再び5秒(第4設定時間)を経過したかどうかを判定し(S22)、その5秒を経過したときには、人感センサー12によって人が感知されたかどうかを判定する(S23)。表示操作制御回路24は、人感センサー制御回路25からの信号レベルと閾値との比較から人が感知されたと判定したときには、タッチキー6aの反応を検知したかどうかを判定する(S24)。表示操作制御回路24は、タッチキー6aの反応を検知しなかったときには、ユーザーによる操作と判定して現状態を維持する(S25)。つまり、表示操作制御回路24は、ユーザーによって左操作部6のタッチキー6a上の噴き溢れが拭き取られたとして、設定火力が低減された状態で制御される左加熱コイル13の加熱動作を維持する。
【0036】
表示操作制御回路24は、S24において、タッチキー6aの反応を検知したときには、噴き溢れ状態が継続されているとして、音声制御回路26を起動し、火力を停止するメッセージを前回より大きな音量でスピーカー27から発話させる(S26)。そして、表示操作制御回路24は、左加熱コイル13の火力が停止(ゼロ)となるように、インバータ制御回路23を介して左加熱コイル13の加熱制御を停止する(S27)。
【0037】
また、表示操作制御回路24は、S23において、人感センサー12によって人が感知されていないと判定したときには、加熱調理器100の前から人が立ち去ったとして、音声制御回路26を起動し、火力を停止するメッセージを前回より大きな音量でスピーカー27から発話させる(S28)。そして、表示操作制御回路24は、前記と同様に、左加熱コイル13の火力が停止(ゼロ)となるように、インバータ制御回路23を介して左加熱コイル13の加熱制御を停止する(S27)。
【0038】
以上のように実施の形態においては、以下のような効果が得られている。
(1)加熱調理器100の前にユーザーが居ないときに、噴き溢れがあった場合、左・右加熱コイル13、14の火力を低くなるようにしている。これにより、噴き溢れの拡大を抑えることができる。また、その際に、加熱調理器100の前に居ないユーザーに対して、噴き溢れがあった旨を音声で知らせるようにしているので、左・右操作部6、7上の噴き溢れを早めに拭き取ることが可能になり、噴き溢れによる誤動作を抑えることができる。
【0039】
(2)噴き溢れの発生を報知してから5秒を経過しても、加熱調理器100の前にユーザーが居ないときには、前回よりも大きな音量で火力を停止することを音声で報知し、その後に加熱制御を停止するようにしている。これにより、噴き溢れが拭き取られなくても、誤動作による加熱を防止でき、安全性を確保できる。
【0040】
(3)噴き溢れの発生の報知により、加熱調理器100の前にユーザーが戻ってきても、左・右操作部6、7上の噴き溢れが拭き取られなかったときには、大きな音量で火力を停止することを音声で報知し、その後に加熱制御を停止するようにしている。これにより、誤動作による加熱を防止でき、安全性を確保できる。また、ユーザーにとって加熱停止の原因が故障でないことを事前に認識できるので、加熱調理の再開が可能であることを知ることができ、使い勝手がよい。
【0041】
(4)加熱調理器100の前にユーザーが居るときに、噴き溢れがあった場合には、噴き溢れの発生を音声で知らせるようにしているので、噴き溢れを速やかに拭き取ることが可能になる。また、噴き溢れの発生を報知してから5秒を経過しても、左・右操作部6、7上の噴き溢れが拭き取られなかったときには、左・右加熱コイル13、14の火力を低くなるようにしているので、噴き溢れの拡大を抑えることができ、安全性を確保できる。
【0042】
(5)火力を低くした後(5秒経過後)に、加熱調理器100の前にユーザーが居なくなったときには、前回よりも大きな音量で火力を停止することを音声で報知し、その後に加熱制御を停止するようにしているので、誤動作による加熱を防止でき、安全性を確保できる。また、ユーザーにとって加熱停止の原因が故障でないことを事前に認識できるので、加熱調理の再開が可能であることを知ることができ、使い勝手がよい。
【0043】
(6)火力を低くした後(5秒経過後)に、加熱調理器100の前にユーザーが居たとしても、左・右操作部6、7上の噴き溢れが拭き取られていなかったときには、大きな音量で火力を停止することを音声で報知し、その後に加熱制御を停止するようにしている。これにより、誤動作による加熱を防止でき、安全性を確保できる。また、ユーザーにとって加熱停止の原因が故障でないことを事前に認識できるので、加熱調理の再開が可能であることを知ることができ、使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0044】
1 本体ケース、2 天板、3 フレーム、4 左加熱部、5 右加熱部、6 左操作部、6a タッチキー、7 右操作部、7a タッチキー、8 液晶表示部、9 グリル調理器、10 吸気口カバー、11 排気口カバー、12 人感センサー、13 左加熱コイル、14 右加熱コイル、21、22 インバータ回路、23 インバータ制御回路、24 表示操作制御回路、25 人感センサー制御回路、26 音声制御回路、27 スピーカー、100 加熱調理器。
図1
図2
図3