(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104128
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】建機キャブのルーフパネル構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/06 20060101AFI20170316BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
B62D25/06 A
B60J1/00 W
B60J1/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-221203(P2013-221203)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-81065(P2015-81065A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390001579
【氏名又は名称】プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】林田 俊也
(72)【発明者】
【氏名】吉永 康紀
【審査官】
林 政道
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−129596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/06
B60J 1/00
E02F 9/16
B62D 33/06
B66C 13/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフパネルの天窓貼付箇所に複数の窓孔が並ぶように中桟を残して窓孔を穿って形成し、しかるのち、前記ルーフパネルをキャブ本体の頂部に周溶接して形成する建機キャブのルーフパネル構造において、
前記中桟の長手方向の一方を前記ルーフパネルから切り離すと共にその間に隙間を形成し、前記ルーフパネルを前記キャブ本体に周溶接したのち、その切り離した中桟とルーフパネルを繋ぎプレートで溶接接合することを特徴とする建機キャブのルーフパネル構造。
【請求項2】
前記隙間は、前記中桟の切断端部がルーフパネル側に延長するように鉤型に形成された請求項1に記載の建機キャブのルーフパネル構造。
【請求項3】
前記繋ぎプレートは、前記中桟よりも幅広に形成され、前記繋ぎプレートの外周縁が前記中桟に溶接されると共に前記ルーフパネルに溶接された請求項1又は2に記載の建機キャブのルーフパネル構造。
【請求項4】
前記窓孔に臨むルーフパネル及び中桟に、ウェザーストリップを環状に設け、前記複数の窓孔を上方から覆うように天窓を配置すると共に、前記ウェザーストリップと密着させ、かつ、前記天窓の外周部を前記ルーフパネルに接着した請求項1から3のいずれかに記載の建機キャブのルーフパネル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天窓を有する建機キャブのルーフパネル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、天窓13を有する建機キャブには、ルーフパネル20とキャブ本体1とを別々に製作した後、キャブ本体1にルーフパネル20の外周を周溶接して取り付けるものがある。
【0003】
かかる建機キャブに天窓13を設ける場合、キャブ本体1に取り付ける前のルーフパネル20の天窓貼付箇所5に予め窓孔6が並ぶように中桟7を残して窓孔6を穿って形成し、しかるのち、ルーフパネル20をキャブ本体1の頂部3に周溶接し、ルーフパネル20に天窓13を接着剤で貼り付けている。一般に建機キャブのルーフパネル20には落石等に耐える強度が求められ、中桟7はルーフパネル20の強度向上に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3180325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ルーフパネル20はキャブ本体1の頂部3に周溶接されるものであり、中桟7はルーフパネル20に一体に形成されるものであったため、キャブ本体1にルーフパネル20が溶接されたときの溶接歪みには逃げ場がなく、中桟7の中央部が撓んで上下方向に変形することがあった。中桟7の中央部が上方に変形した場合、中桟7が天窓13と干渉し、防水性能に影響する。また、中桟7の中央部が下方に変形した場合、中桟7と天窓13との隙間が大きくなり、室内からの見栄えが悪化する。
【0006】
本発明の目的は、溶接歪みによる中桟の上下方向の変形を防止できる建機キャブのルーフパネル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明は、ルーフパネルの天窓貼付箇所に複数の窓孔が並ぶように中桟を残して窓孔を穿って形成し、しかるのち、前記ルーフパネルをキャブ本体の頂部に周溶接して形成する建機キャブのルーフパネル構造において、前記中桟の長手方向の一方を前記ルーフパネルから切り離すと共にその間に隙間を形成し、前記ルーフパネルを前記キャブ本体に周溶接したのち、その切り離した中桟とルーフパネルを繋ぎプレートで溶接接合するものである。
【0008】
前記隙間は、前記中桟の切断端部がルーフパネル側に延長するように鉤型に形成されてもよい。
【0009】
前記繋ぎプレートは、前記中桟よりも幅広に形成され、前記繋ぎプレートの外周縁が前記中桟に溶接されると共に前記ルーフパネルに溶接されてもよい。
【0010】
前記窓孔に臨むルーフパネル及び中桟に、ウェザーストリップを環状に設け、前記複数の窓孔を上方から覆うように天窓を配置すると共に、前記ウェザーストリップと密着させ、かつ、前記天窓の外周部を前記ルーフパネルに接着してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の建機キャブのルーフパネル構造によれば、溶接歪みによる中桟の上下方向の変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は、本発明の一実施の形態に係る建機キャブの頂部分解組立図であり、(b)は、(a)の要部拡大図である。
【
図4】(a)はキャブ本体に溶接する前のルーフパネルの斜視図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
【
図5】(a)は中桟に繋ぎプレートを溶接する工程の説明図であり、(b)はルーフパネルに繋ぎプレートを溶接する工程の説明図である。
【
図6】ルーフパネルに天窓を貼り付ける工程の説明図である。
【
図7】他の実施の形態を示す中桟の要部拡大図である。
【
図8】従来のルーフパネル構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。なお、後述する実施の形態における前後左右は建機キャブのフロント、リアを基準とする。例えば、フロント方向は前方、リア方向は後方といい、左右は建機キャブ内に乗り込みフロント方向を向いたオペレータにとっての左右をいう。
【0014】
図1及び
図2に示すように、建機キャブの組立は、キャブ本体1とルーフパネル2とを別々に製作した後、キャブ本体1の頂部3にルーフパネル2を周溶接、すなわち、全周に亘って連続的又は断続的に溶接することで行う。
【0015】
キャブ本体1は、鋼製パイプ等を箱形に組み付けてフレーム4を形成し、フレーム4に前後左右の壁面となるパネルPを取り付けることで形成される。キャブ本体1の頂部3のフレーム4は後述するルーフパネル2の外周を囲むように枠状に形成される。
【0016】
図4(a)に示すように、ルーフパネル2の製作は、ルーフパネル2の天窓貼付箇所5に、3つの窓孔6と2つの中桟7とを形成することで行う。天窓貼付箇所5は、ルーフパネル2の前端部に位置される。窓孔6と中桟7は、打ち抜き加工等によりルーフパネル2の天窓貼付箇所5に複数の窓孔6が並ぶように中桟7を残して窓孔6を穿って形成する。このとき、窓孔6を矩形状に形成すると共に左右方向に等間隔で整列させ、かつ、窓孔6の前縁8が同一直線上で並ぶように形成する。
【0017】
また、
図4(b)に示すように、ルーフパネル2に窓孔6を穿つとき、各中桟7の前方部分をルーフパネル2から切り離すと共にその切り離した中桟7とルーフパネル2と間に隙間9を形成する。隙間9は、窓孔6の前縁8よりも前方のルーフパネル2に形成すると共に、中桟7の切断端部10を窓孔6の前縁8よりも前方のルーフパネル2側に延長させるように鉤型に形成する。具体的には、隙間9は、平面視コ字状に形成する。これにより、中桟7の切断端部10はルーフパネル2の前端部Fに対して凸状となる。各中桟7の前方に形成された隙間9は、3つの窓孔6を連結して一つの孔とする。これにより、キャブ本体1にルーフパネル2を周溶接したとき、ルーフパネル2が自由に変形する一方で中桟7自体が変形することはない。隙間9が切断端部10の変位を許容し、ルーフパネル2の溶接歪みを吸収するようになっている。また、隙間9は、鉤型に形成されることで中桟7の位置決めを容易にする。
【0018】
なお、中桟7の前方部分をルーフパネル2から切り離すものとしたが、中桟7の長手方向(前後方向)の一方がルーフパネル2から切り離されればよい。具体的には、中桟7の後方部分をルーフパネル2から切り離すと共にその間に隙間9を形成するものとしてもよい。この場合、隙間9は中桟7の切断端部10を後方に延長させるように鉤型に形成するとよい。窓孔6は後縁11が一直線上で並ぶように形成されるとよい。また、隙間9の形状はコ字状に限るものではなく、円弧状やV字状等の他の鉤型であってもよい。またさらに、中桟7の位置決めが不要な場合、
図7に示すように、隙間9は直線状であってもよい。この場合、隙間9は、前縁の位置が窓孔6の前縁8(中桟7の後方部分を切り離したときは窓孔6の後縁11)と同一直線上となるように形成されるとよい。
【0019】
ルーフパネル2がキャブ本体1に周溶接されたら、
図5(a)、(b)に示すように、切り離した中桟7とルーフパネル2とを繋ぎプレート12で溶接接合する。具体的には、中桟7より幅広に形成された繋ぎプレート12を隙間9を上方から覆うように配置し、繋ぎプレート12の外周を中桟7に溶接すると共にルーフパネル2に溶接して中桟7とルーフパネル2とを接合する。中桟7に繋ぎプレート12を溶接した後、ルーフパネル2に繋ぎプレート12を溶接する。このとき、ルーフパネル2はキャブ本体1との周溶接で歪んでいることがあるが、中桟7は隙間9を介してルーフパネル2から離間されているため、中桟7の切断端部10が、隙間9の範囲内で変位することで歪みを吸収でき、中桟7の長手方向の中央部に発生する撓みを小さく又は発生させないようにできる。そしてこれにより、中桟7の形状を安定してほぼ一定にできる。また、繋ぎプレート12を中桟7より幅広に形成することでルーフパネル2と中桟7との接合部分の強度を確保できる。なお、繋ぎプレート12は中桟7及びルーフパネル2の上面に溶接されるものとしたが、中桟7及びルーフパネル2の下面に溶接されるものとしてもよい。
【0020】
この後、
図6に示すように、ルーフパネル2の天窓貼付箇所5に天窓13を貼り付ける。具体的には、
図3に示すように、窓孔6に臨むルーフパネル2及び中桟7にウェザーストリップ14を環状に設け、複数の窓孔6を上方から覆うようにルーフパネル2上に天窓13を配置すると共に、ルーフパネル2に天窓13の外周部を接着剤15を介して接着する。ウェザーストリップ14は断面U字状に形成されており、ルーフパネル2及び中桟7を繋ぎプレート12ごとU字の内側に収容する。中桟7が上下方向に変形していることはないため、中桟7が天窓13と干渉して防水性能が低下したり、天窓13との隙間が大きくなって室内からの見栄えが悪化することはなく、天窓13の止水性及びインテリア質感を向上させることができる。
【0021】
このように、中桟7の長手方向の一方をルーフパネル2から切り離すと共にその間に隙間9を形成し、ルーフパネル2をキャブ本体1に周溶接したのち、その切り離した中桟7とルーフパネル2を繋ぎプレート12で溶接接合するため、簡易な構造で溶接歪みによる中桟7の上下方向の変形を防止でき、天窓13の防水能力の低下や見栄えの悪化を防ぐことができる。
【0022】
また、隙間9は、中桟7の切断端部10がルーフパネル2側に延長するように鉤型に形成されるものとしたため、中桟7の切断端部10とルーフパネル2を繋ぎプレート12で溶接接合するとき容易に位置決めできる。
【0023】
繋ぎプレート12は、中桟7よりも幅広に形成され、繋ぎプレート12の外周縁が中桟7に溶接されると共にルーフパネル2に溶接されるものとしたため、中桟7の切断端部10とルーフパネル2とを簡易な構造で強固に接合できる。そして、ルーフパネル2の強度を確保できる。
【0024】
窓孔6に臨むルーフパネル2及び中桟7に、ウェザーストリップ14を環状に設け、複数の窓孔6を上方から覆うように天窓13を配置すると共に、ウェザーストリップ14と密着させ、かつ、天窓13の外周部をルーフパネル2に接着するものとしたため、中桟7とルーフパネル2とを繋ぎプレート12で溶接接合した構造としても天窓13とルーフパネル2との間の防水性を確保できる。
【符号の説明】
【0025】
1 キャブ本体
2 ルーフパネル
3 頂部
5 天窓貼付箇所
6 窓孔
7 中桟
9 隙間
10 切断端部
12 繋ぎプレート
13 天窓
14 ウェザーストリップ