(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104133
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】LED素子を用いた発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/64 20100101AFI20170316BHJP
【FI】
H01L33/64
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-237700(P2013-237700)
(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公開番号】特開2015-99813(P2015-99813A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126583
【弁理士】
【氏名又は名称】宮島 明
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 豪一郎
【審査官】
高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−149712(JP,A)
【文献】
特開2005−175048(JP,A)
【文献】
特開2007−088472(JP,A)
【文献】
実開平06−029148(JP,U)
【文献】
特開2006−047718(JP,A)
【文献】
特開2010−023028(JP,A)
【文献】
特開平05−079500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
F21V 1/00−15/04,23/00−37/00,99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に実装されたLED素子と、
前記LED素子を囲うように配置された枠状の支持部材と、
前記支持部材の上に配置された波長変換部材と、
前記LED素子を覆うように封止する透光性封止部材と、
前記波長変換部材と前記透光性封止部材の間に形成された空気層とを備え、
前記支持部材には、外部と空気層との間で通気が可能な放熱孔が形成されたLED発光装置において、
前記支持部材の上部と下部に、それぞれ1つ以上の第1の放熱孔と第2の放熱孔を有し、
前記第1の放熱孔は、支持部材の中心に対して基板面と水平方向にずらした向きで配置され、
前記第2の放熱孔は、前記中心に対し前記基板面と水平方向に第1の放熱口と逆方向にずらして配置されること、
を特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記第1の放熱孔または前記第2の放熱孔の少なくとも一部が、左または右に湾曲していること、
を特徴とする請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記第1の放熱孔の断面積が、支持部材の外面から内面に向かうに従って小さくなっており、前記第2の放熱孔の断面積が支持部材の外側から内側に向かうに従って大きくなること、
を特徴とする請求項1または2に記載のLED発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED素子を用いた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LED素子と蛍光体を含有した透光性材料とで構成され、LED素子から放射された光と、LED素子から放射された光によって蛍光体が励起されてLED素子とは異なる発光色の光を放射する励起光とを組み合わせて、所望の光色、例えば白色光を得るようにした発光装置が知られている。
【0003】
特許文献1の発光装置は、LED素子を封止部材で封止するとともに、この封止部材を囲うように枠体が基板上に配置され、その枠体の上に、蛍光体を含有する透光性部材からなる色変換部材を配置して構成される。この発光装置は、更に色変換部材及び枠体とLED素子を封止する封止部材との間に空気層を備え、LED素子および色変換部材が発生した熱により空気層が暖められ、色変換部材及び枠体に、内部の空気を外部に放出可能な貫通孔を備えた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−174877(第8頁−第9頁、
図4、
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたLED素子を用いた発光装置では、より高電力でLED素子を点灯させた場合においては、LED素子および色変換部材から発せられる熱を空気層の空気により十分効率的に受け取ることができていない。その結果として、LED素子および色変換部材に残った熱により、色変換部材やLED素子の熱による劣化を引き起こす要因になり、これに起因して発光装置としての寿命が短くなってしまう問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、発光装置内部の放熱性を向上させることができる発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の発光装置は、基板上に実装されたLED素子と、LED素子を囲うように配置された枠状の支持部材と、支持部材の上に配置された波長変換部材と、LED素子を覆うように封止する透光性封止部材と、波長変換部材と透光性封止部材の間に形成された空気層とを備え、支持部材には、外部と空気層との間で通気が可能な放熱孔が形成されたLED発光装置において、支持部材の上部と下部にそれぞれ1つ以上の第1の放熱孔と第2の放熱孔を有し、第1の放熱孔は支持部材の中心に対し基板面と水平方向にずらした向きで配置され、第2の放熱孔は中心に対し基板面と水平方向に第1の通気口と逆方向にずらした向きで配置されることを特徴とする。
【0008】
また、第1の放熱孔または第2の放熱孔の少なくとも一部が、左または右に湾曲していることが望ましい。
【0009】
さらに、第1の放熱孔の断面積が支持部材の外面から内面に向かうに従って小さくなっており、第2の放熱孔の断面積が支持部材の外側から内側に向かうに従って大きくなるこ
とが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、波長変換部材と透光性封止部材の間に形成された空気層に気流の渦を発生させることで、波長変換部材および透過光性部材と外部から流入した空気の接触時間を延ばすことで、より効率的に熱交換を行うことが可能となると共に、熱を受け取った空気をスムーズに外部に放出することが出来る。これにより、装置内部の放熱性を向上させることができる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】本発明の第1実施形態を示す図であり(a)は
図2に示すB−B断面図、および(b)は
図2に示すC−C断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態における第1の放熱孔6と第2の放熱孔を有する支持部材3の製造方法を説明する図であり(a)は下支持部材、(b)は中支持部材、(c)は上支持部材である。
【
図5】本発明の第2実施形態を示す図であり(a)は
図2に示すB−B断面図、および(b)は
図2に示すC−C断面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態を示す図であり(a)は
図2に示すB−B断面図、および(b)は
図2に示すC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を
図1〜3を用いて説明する。
【0014】
図1は各実施形態におけるLED発光装置12を示す概略斜視図であり、
図2は
図1におけるA−A断面図である。
LED発光装置12は基板2上に電極パターン5が設けられており、その電極パターン5上にLED素子1が電極パターン5と電気的に接続されている。本実施例においてLED素子1は、図示しない樹脂にてダイボンド実装し、図示しないワイヤーにて電極パターン5と電気的に実装しているが、他にフリップチップ実装や半田実装等、どのような実装方法を用いてもよい。
【0015】
基板2の材質は樹脂、セラミックや金属などが使用可能であり、放熱性を考慮すればアルミニウム等の金属が好ましい。基板2の材質として金属を有する際には、電極パターン5と基板2の間にアルミナ膜等の絶縁層が必要となる。
【0016】
基板2に設けられるLED素子1は、所望の色を発するものであればどのようなものでも良いが、本実施形態においてはGaN系青色LED素子を用いている。LED素子1は、透光性材料からなる透光性封止部材8により封止される。
【0017】
また、基板2に配した環状の支持部材3上部の色変換部材4は、色変換部材4と透光性封止部材8の間に空気層9を形成するように離間して配置される。また色変換部材4は、透光性樹脂に蛍光体を含有する。蛍光体は所望の色を形成できればどのようなものを用いても構わないが、耐光性、耐熱性を有しているものが好ましく、本実施形態においては青
色光を受けて黄色光を発するYAG蛍光体を用いることで、LED発光装置12は白色光を放射することができる。透光性封止部材8および色変換部材4を形成する透光性樹脂は、透光性、耐光性、耐熱性を有する材料であればどのようなものを用いてもよく、例えば透光性を有するシリコーン樹脂やエポキシ樹脂が用いられる。
【0018】
環状の支持部材3は、空気層9と外部をつなぐ少なくとも1つの第1の放熱孔6と、第1の放熱孔6よりも下にあって空気層9と外部をつなぐ少なくとも1つの第2の放熱孔7を有する。これらの放熱孔は、第1の放熱孔6で主に空気層9の空気を外部に排出し、第2の放熱孔7で主に外部から空気層9に空気を取り込む役割を担う。
【0019】
次に、第1の実施形態における支持部材3に形成された第1の放熱孔6の構成及び作用については
図3(a)を用いて、第2の放熱孔7の構成及び作用については
図3(b)を用いて、それぞれ説明する。
【0020】
第1の放熱孔6は、基板2と水平方向に支持部材3の中心に向かって左側へずれて設けられている。また、第2の放熱孔7は、第1の放熱孔6とは逆に、基板と水平方向に支持部材3の中心に向かって右側へ(第1の放熱孔とは逆方向に)ずれて設けられている。
【0021】
ここで「中心」とは、図形のちょうど真ん中の1点(環状の支持部材3の中心位置に相当する点)を指し、円においては丁度真ん中にある点、楕円においては長軸と短軸の交点となる点、長方形や平行四辺形等の点対称の図形においては図形の重心、をそれぞれ「中心」と定義する。
【0022】
このような構造とすることによって、支持部材3の第2の放熱孔7から空気層9に入った空気は、LED素子1の点灯時に発生する熱によって上昇すると同時に、第2の放熱孔7の支持部材3を中心に対し基板2と水平方向にずらすことで、第2の放熱孔7が空気層9に侵入する空気の流れに対し方向付けする役割を担い、空気層9内にて効率的に渦を巻く。そして、第1の放熱孔6は、支持部材33の中心に向かって第2の放熱孔7と逆向きにずれた配置することで、空気層9内の空気が第1の放熱孔6によって気流の流れを阻害されることなくスムーズに空気を外部に排出する。これにより、空気層8に流入した空気が渦を巻いて上昇することで、空気がより長時間光透過性部材8および色変換部材4と接触することができ、光透過性部材8および色変換部材4から熱をより効率的に奪うことができる。また、上記作用を受けて、熱を受け取った空気がスムーズに外部に排出されるため、さらに効率的に熱を外部に放出することが出来る。
【0023】
次に、本実施形態に記載のLED発光装置12における支持部材3の製造方法を
図4を用いて説明する。支持部材3は、
図4(a)記載の下支持部材3a、
図4(b)に記載の中支持部材3b、
図4(c)に記載の上支持部材3cを組み合わせて形成される。
【0024】
下支持部材3a、中支持部材3b、上支持部材3cは金属やセラミックス等の熱伝導性の高い材料で、上支持部材3cには第1の放熱孔6の上部を構成する凹部6bが、中支持部材3bには第1の放熱孔6の下部を構成する凹部6aと第2の放熱孔7の上部を形成する凹部7bが、下支持部材3aには第2の放熱孔7の下部を構成する凹部7aをそれぞれ形成する。また、上支持部材3cには色変換部材をはめ込むための位置決め凹部13を形成する。位置決め凹部13以外の各凹部はどのような方法で形成してもよいが、支持部材の材料が金属である場合には、例えばレーザー照射にて、セラミックスであれば粉末成形にてそれぞれ形成することができる。また、位置決め凹部13はセラミックであれば粉末成形や削り出しにて、金属であればプレス成型にて作ることができる。
【0025】
そして、下支持部材3a、中支持部材3b、上支持部材3cを、第1の放熱孔6、第2
の放熱孔7を形成するように各凹部がそれぞれ重なるように図示しない接着手段、例えば樹脂性接着剤や金属溶接で接着することで支持部材3を形成する。上記方法を用いれば、本発明の様に作用する他の形状の放熱孔を作成することが可能となる。
【0026】
なお、完成した支持部材3を、
図1、
図2に記載のようにLED素子が実装、封止された基板2上に配置し、位置決め凹部13に色変換部材4を接着、配置することで、LED発光装置12を製造することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を
図5を用いて説明する。本実施形態は、第1の実施形態よりも放熱特性をさらによくした形態で、第1の実施形態と異なる点は、第1の放熱孔6と第2の放熱孔7の形状の特徴が異なる点のみで、他の構成は同じである。
【0028】
図5a及び
図5bに示されるように、第1の放熱孔6は、外部から空気層9に向かうに従って右に湾曲しており、第2の放熱孔7は、外部から空気層9に向かうに従って左に湾曲した構造となっている。
【0029】
上記構成とすれば、色変換部材4の支持部材3の第2の放熱孔7から空気層9に入った空気が、よりスムーズに渦を巻きながら空気層9を鉛直上方向に上昇し、第1の放熱孔6を通って外部に抜けることができ、より効果的な放熱が可能となる。
【0030】
なお、本実施形態では、放熱孔全てが湾曲した例を示したが、一部が湾曲した構成や、S字形のような左右両方へ湾曲した構成とした構成としても構わない。
【0031】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を
図6を用いて説明する。本実施形態は、第1、第2の実施形態よりもさらに放熱特性をよくした形態で、第1、第2の実施形態とは、
図6に示すように第1の放熱孔6と第2の放熱孔7の形状の特徴が異なる。
【0032】
第1の放熱孔6は、
図6aに示すように、色変換部材4の支持部材3の外面から内面に向かうに従って断面積が小さくなっており、第2の放熱孔7は
図6bに示されるように、色変換部材4の支持部材3の内面から外面に向かうに従って断面積が小さくなるような構造を有している。
【0033】
上記構成とすることで、第1の放熱孔6は、内部から外部への空気の流れは抵抗が少ないので流れやすいが、外部から内部へは抵抗が大きいので流れに難くなる。これにより、空気層9から外部により空気を送り出し易くなり、更に第2の放熱孔7は、第1の放熱孔6と逆の形状になっているので、外部から空気層9により空気を取り込み易くなる。上記作用を受けて、より優先的に第2の放熱孔7から空気を取り入れ第1の放熱孔6から空気を排出することができる様になり、空気の流れを厳密に規制して、より効果的な放熱が可能となる。
【0034】
なお、上述した各実施形態では、簡略化のために第1の放熱孔6、第2の放熱孔7をそれぞれ1つとして説明してきたが、空気の入れ替え効率の観点から第1の放熱孔6、第2の放熱孔7を共に、複数の孔を有することがより好ましい。
【0035】
また、各実施形態における図において、支持部材3は環状として説明してきたが、環状に限らず、三角形や、長方形、ひし形や五角形などのLED素子を囲うことができる枠状であれば、空気層9にある空気は渦を巻くことが出来るため、どのような形でもよい。しかし、よりスムーズに空気を流すことが出来ることから環状である方が好ましい。
また、各実施形態における第1の放熱孔6、第2の放熱孔7の中心軸に対するずれの角度を大きくすればするほど、LED素子1から出る光が支持部材3の外部に出難くなるため、光漏れを少なくしたい場合には、各放熱孔の中心軸に対するずれの角度を大きくすることが好ましい。
【0036】
また、各実施形態において、第1の放熱孔6は水平方向に中心に向かって左に、第2の放熱孔7は水平方向に中心に向かって右にずれて配置する形態にて説明してきたが、この向きに限定するものではなく、第1の放熱孔6と第2の放熱孔7の向きが水平方向で支持部材3の中心に向かって逆向きであればよい。
【符号の説明】
【0037】
1 LED素子
2 基板
3 支持部材
4 色変換部材
6 第1の放熱孔
7 第2の放熱孔
8 透光性封止部材
9 空気層
11 透光性封止部材
12 LED発光装置