(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104140
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】乗り物内装品用空気搬送装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
B60H1/34 651A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-250173(P2013-250173)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-114009(P2014-114009A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2013年12月3日
【審判番号】不服2015-22065(P2015-22065/J1)
【審判請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】10 2012 023 908.4
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514185921
【氏名又は名称】ジェンサーム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス グラウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン グシュウェントナー
【合議体】
【審判長】
紀本 孝
【審判官】
大山 広人
【審判官】
莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−297034(JP,A)
【文献】
実開平6−59109(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ハウジング(42)と、
(b)前記ハウジング(42)内に配置された原動機(46)と、
(c)前記原動機(46)から間隔をおいて設けられていて、前記原動機の作動を制御するように構成された、制御装置(60)と、
(d)シート(4)の静的領域(5)の着座面に対し相対的に可動とされた空調快適ゾーン(16)と、
を備えた、乗り物(1)のシート(4)用の空調装置(3)における空気搬送装置(40)であって、
(イ)前記ハウジング(42)の内部には、少なくとも羽根車(44)が配置されていて、前記制御装置(60)が、前記羽根車(44)を駆動する電子装置とされ、
(ロ)前記制御装置(60)が、前記乗り物(1)の中央電子制御装置とは異なるものとされ、
(ハ)前記空調快適ゾーン(16)が、前記シート(4)に備えられかつ前記シート(4)に対し相対的に可動とされたふくらはぎサポートに設けられ、
(ニ)前記原動機(46)と前記ハウジング(42)とが前記空調快適ゾーン(16)に配置されているとともに、前記制御装置(60)が前記ハウジングの外側において前記静的領域(5)に配置されている
ことを特徴とする空気搬送装置(40)。
【請求項2】
前記ハウジング(42)の内部に、前記羽根車(44)および前記原動機(46)の少なくともいずれかの状態パラメータおよび作動パラメータを検知するためのセンサ(48)がさらに配置されており、
前記制御装置(60)が、少なくとも1つの接続導線(52)を介して、前記原動機および前記センサ(48)と接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の空気搬送装置(40)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空気搬送装置(40)を有することを特徴とする乗り物(1)のシート(4)用の空調装置(3)。
【請求項4】
請求項3に記載の空調装置(3)を備えていることを特徴とする乗り物シート(4)。
【請求項5】
請求項4に記載の乗り物シート(4)または請求項3に記載の空調装置(3)を備えることを特徴とする乗り物(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、請求項1の前段に記載の空気搬送装置である。この空気搬送装置は、たとえばシート、アームサポート等の利用者接触面の通気、温度調整または空調の際に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
背もたれおよび着座面を空調するように構成されたシートが知られている。空調されるハンドル、ファンも知られている。しかしながら、利用者が触れる面がある場合、これらの面を空調することはできず、または空調できたとしても非常にコストが高くなる。
【0003】
それゆえ、空調困難な領域、特に動的領域および静的領域をも除湿、通気することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来の不具合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した背景に対し、請求項1の構成を備えた技術コンセプトが提案される。他の有利な構成は他の請求項および以下の説明から見て取れる。
【0006】
原動機とその作動を制御する制御装置とを備えた空気搬送装置は、制御装置が原動機から間隔をおいて設けられていれば、さらに、特に空気搬送装置がハウジングを有し、該ハウジング内に少なくとも原動機が配置され且つ制御装置がこのハウジングの外側に配置されていれば、より平坦に構成することができる。羽根車と、該羽根車および/または原動機の状態パラメータおよび作動パラメータとを検知するためのセンサとが、ハウジングの内部に配置されていれば、制御装置を少なくとも1つの接続導線を介して原動機およびセンサと接続させることができる。これは、コスト上好ましく、且つ確実な制御を可能にする。
【0007】
乗り物の乗り物内装品用空調装置がこのような空気搬送装置を有していれば、省スペースな取り付けが可能となる。制御装置が空調快適部品または乗り物の静的領域に配置され、空調快適部品が静的領域に対し相対的に可動な空調快適ゾーンを有し、空気搬送装置の原動機またはハウジングが可動な空調快適ゾーンに配置され、制御装置が空調快適部品の静的領域に配置されていれば、空調快適部品の可動部分をも空調することができる。これは、特に、内装品が乗り物シートであり、制御装置がシートの静的領域に付設され、空調快適ゾーンがふくらはぎサポートに付設されている場合に合目的である。
【0008】
本発明は、さらに、乗り物シートにも関する。乗り物シートが上述の空調装置を備えていれば、その可動部分をもコスト的に好ましく通気することができる。
【0009】
本発明は、さらに乗り物に関する。乗り物が、本発明による乗り物シート、対応する可動内装品、または本発明による空調装置を備えていれば、乗客の快適さを、特に極端な空調域(extremen Klimaregionen)において向上させる。
【0010】
以下の説明および請求の範囲で本発明の詳細を説明する。これらの実施態様は本発明を理解するためのものである。しかしながら、これらの実施態様は例示的な性格を有するにすぎない。もちろん、独立請求項によって定義された本発明の範囲内で記載した個々の構成要件または複数の構成要件を削除、変形または補足してもよい。また、異なる実施態様の構成要件を互いに組み合わせることももちろん可能である。重要なことは、本発明のコンセプトが実質的に再構成されていることである。1つの構成要件が少なくとも部分的に満たされていれば、このことは、この構成要件が完全に満たされているということ、または、実質的に完全に満たされていることをも含んでいる。なお「実質的に」というのは、再構成により、認知できる範囲で望ましい利益が獲得できるということを意味している。これは、特に、対応する構成要件が少なくとも50%,90%,95%または99%満たされていることを意味することができる。最小量が記載されている場合、もちろんこの最小量を上回っても使用することができる。部材の数量が少なくとも1つと記載されている場合、これは2つ、3つまたはそれ以上の複数の部材を備えた実施形態も含んでいる。1つの物品に対し記載されている場合、他の同種の物品の主要部分または全体に適用することもできる。間隔は、何も記載されていなければ、その境界点をも含んでいる。
【0011】
以下の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による空気搬送装置を含む空調装置を備えたシートを有する乗り物を部分的に見た縦断面図である。
【
図2】空調装置をも併せて示した
図1のシートの拡大縦断面図である。
【
図3】
図2の空調装置の空気搬送装置の、シートに組み込む前の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は乗り物1を示している。乗り物とは、例えば陸上車両、水上車両、軌道車両、航空車両、特に飛行機、船、自動車のような人および/または物品を搬送する装置である。
【0014】
乗り物1は、空調快適部品(Klimakomfort-Gegenstand)2、例えば内装品を有している。空調快適部品とは、客室の利用者が触ることのできる部品であればどのような部品であってもよい。例えばアームサポート、ドアトリム、シート等である。
【0015】
空調快適部品2は、好ましくは、例えば発泡ポリウレタンから成るクッション25を有している。クッション25は好ましくはカバー30で覆われている。
【0016】
空調快適部品2、または乗り物1は、好ましくは静的領域5を有している。静的領域とは例えば着座面である。空調快適部品2は、静的領域5に対し相対的に可動である少なくとも1つの空調快適ゾーン16を有している。空調快適ゾーンとは、例えば乗り物シート4の回動可能なふくらはぎサポート(Wadenauflage)であり、または、回動可能なアームレストである。「可動」とは、特に少なくとも変位可能であること、または、少なくとも回動可能であることを意味している。
【0017】
空調快適ゾーン16には、カバー30の下において空調装置3が付設されている。これは、例えば乗り物1の客室内で利用者が触れる面の温度調整/空調のような、空調対象ゾーン内での温度、湿度および/または空気移動の制御に用いられる全ての装置を表わす。
【0018】
このような空調装置3は、少なくとも1つの通気装置20を有している。これは、例えば搭載した空調機、少なくとも部分的に空気を透過させる間隔保持媒体、間隔保持編物および/または空調用インサートのような特定の面領域または空間領域において、目的に応じて空気成分または空気流を変化させて換気を行うのに利用できる各種装置を表わす。
【0019】
少なくとも1つの通気装置20は、少なくとも1つの空気搬送装置40を有している。これは、例えば軸流ファン(Axialventilatoren)のような、空気を空調快適部品2へ出入させるために適した各種装置、特に流動機械を表わす。しかし、ここではラジアルファン(Radialventilatoren)が有利である。その数量は、例えば1つの空調快適ゾーン16につき1つの空気搬送装置40が設けられているように選定することができる。
【0020】
合目的的には、少なくとも1つの通気装置20は少なくとも1つの空気案内装置22を有している。これにより、目的に応じて少なくとも1つの空調快適ゾーン16から少なくとも1つの空気搬送装置へ、またはその逆へ、空気を案内することが可能になる。空気案内装置は、好ましくは少なくとも1つの空気分配層2221を有している。これは、その面に沿って少なくとも1つの方向で、好ましくは少なくとも2つの方向で空気を透過させる平面部品を表わす。これにより、空気搬送装置40から空気案内装置22へ供給された空気を、合目的的には空調快適ゾーン16へ分配し、または、この空調快適ゾーン16にある空気を吸い込んで空気案内装置22を介して空気搬送装置40へ供給することが可能になる。空気分配層は、例えば少なくとも部分的に間隔保持編物(Abstandsgewirke)、けば付きフォイル(Noppenfolie)等から形成されている。
【0021】
合目的的には、少なくとも1つの空気案内装置22は少なくとも1つの被覆装置224を有している。これは、例えば発泡通路、フォイルまたはチューブのような、空気案内装置22内へ案内された空気を止めて、望ましくない個所で空気案内装置から流出させる各種装置を表わす。
【0022】
被覆装置は、好ましくは少なくとも部分的に、繊維製平面材、例えば織物、空気透過フォイル(例えばPET,PA,PPまたはPU)と、好ましくはポリウレタンから成る空気透過性発泡材と、繊維材またはポリアクリル、PAもしくは硬質PVCのような硬質プラスチックを備えた空気制止層と、から形成されている。
【0023】
少なくとも1つの空気搬送装置40および/または少なくとも1つの空気案内装置22は、好ましくは少なくとも部分的に空調快適ゾーン16から間隔をもって配置され、例えば乗り物シートの、利用者とは逆の側(Bサイド(B-Seite))に配置されている。
【0024】
本発明による空気搬送装置40は、好ましくはベンチレータであり、好ましくは、少なくとも1つの吸込み穴と少なくとも1つの排流穴とを備えたハウジング42を有している。好ましくは、少なくとも1つの吸込み穴はシートの周囲と接触し、少なくとも1つの排流穴は空気案内装置22に接続されている。
【0025】
ハウジング42内には、ハブ45を備えた少なくとも1つの羽根車44が配置されている。羽根車44の回転軸線に沿って該回転軸線上には、羽根車と結合されてこれとともに回転する軸が配置されている。しかしながら、軸は固定軸であってもよく、その結果羽根車はこの軸に対し相対的にも回転する。
【0026】
空気搬送装置40は、好ましくは少なくとも1つの原動機、特に電動機を有している。原動機、特に電動機は好ましくは少なくとも部分的にハブ45の内部に配置されている。好ましくは、電動機のロータはハブ45と固定結合されている。原動機のステータは好ましくは空気搬送装置40のハウジング42に配置されており、これと固定結合されている。
【0027】
原動機46または羽根車44には、空気搬送装置の状態パラメータおよび/または作動パラメータを検知するセンサ48が付設されている。センサ48は好ましくはホールセンサである。センサは、好ましくは電動機46のコイルの磁場を検知して、原動機46、ステータおよび/羽根車44の位置、方向および/または速度を監視する。
【0028】
空気搬送装置40は、少なくとも1つの制御装置60を有している。制御装置とは、特に、空気搬送装置40または羽根車44を駆動する電子装置である。可動である空調快適ゾーン16内にはスペースが不足しているため、制御装置60はハウジング42の外側に収納されると好ましい。好ましくは、制御装置は空調快適部品2の静的領域5に配置され、そこに固定されている。制御装置は、接続導線52を介してハウジング内の原動機およびセンサ48と接続されている。制御装置は、プラグ62を介して搭載電圧源および乗り物中央制御装置に接続可能である。特に、制御装置60は乗り物中央電子制御装置とは異なる。
【0029】
好ましくは、接続導線52はカップリング装置51を有し、カップリング装置において接続導線を断続させることができる。これにより制御装置と空気搬送装置の残りの部材とを互いに別個に取り付けて、作動のために後で互いに接続させることができる。
【0030】
本発明は以下の特徴を有する。
[1] 原動機(46)と、前記原動機の作動を制御する制御装置(60)と、を備えた空気搬送装置(40)であって、
前記制御装置(60)が前記原動機(46)から間隔をおいて設けられ
、
前記空気搬送装置(40)がハウジング(42)を有し、
前記ハウジング(42)の内部に少なくとも羽根車(44)が配置され、
前記制御装置(60)は、前記羽根車(44)を駆動する電子装置であり、
前記制御装置(60)は、乗り物中央電子制御装置とは異なっていることを特徴とする空気搬送装置(40)。
[2]
前記ハウジング内
に前記原動機(46)が
さらに配置されており、
前記制御装置(60)が前記ハウジングの外側に配置されていることを特徴とする、[1]に記載の空気搬送装置(40)。
[3] 前記ハウジング(42)の内部に
、前記羽根車(44)および前記原動機(46)の少なくともいずれかの状態パラメータおよび作動パラメータを検知するためのセンサ(48)
がさらに配置されており、
前記制御装置(60)が、少なくとも1つの接続導線(52)を介して、前記原動機および前記センサ(48)と接続されていることを特徴とする、[1]または[2]に記載の空気搬送装置(40)。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の空気搬送装置(40)を有することを特徴とする乗り物(1)の乗り物内装品用の空調装置(3)。
[5] 前記制御装置(60)が、空調快適部品(2)または乗り物(1)の静的領域(5)に配置されており、
前記空調快適部品(2)が、前記静的領域(5)に対し相対的に可動である空調快適ゾーン(16)を有しており、
前記空気搬送装置(40)の前記原動機(46)またはハウジング(42)が、可動である前記空調快適ゾーン(16)に配置されており、
前記制御装置(60)が、前記空調快適部品(2)の前記静的領域(5)に配置されていることを特徴とする、[4]に記載の空調装置(3)。
[6] 内装品が乗り物シート(4)であり、
前記制御装置(60)がシートの静的領域に設けられており、
前記空調快適ゾーン(16)が、ふくらはぎサポートに設けられていることを特徴とする、[4]に記載の空調装置(3)。
[7] [4]〜[6]のいずれかに記載の空調装置(3)を備えていることを特徴とする乗り物シート(4)。
[8] [7]に記載の乗り物シート(4)、可動内装品、または[4]〜[6]のいずれかに記載の空調装置(3)を備えることを特徴とする乗り物(1)。
【符号の説明】
【0031】
1 乗り物
2 空調快適部品
3 空調装置
4 乗り物シート
5 静的領域
16 空調快適ゾーン
20 通気装置
22 空気案内装置
25 クッション
30 カバー
40 空気搬送装置
42 ベンチレータハウジング
44 羽根車
45 ハブ
46 原動機
48 センサ
51 カップリング装置
52 接続導線
60 制御装置
62 プラグ
224 被覆装置
2221 空気分配層