(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記現在のインタージョブ時間が、前記スリープモードごとの前記最適なタイムアウト時間を計算するステップにより算出される最も短い最適なタイムアウト時間に達すると、準備モードから前記スリープモードのうちの1つに切り替えるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
前記インタージョブ時間の予測分布が、所定の日の異なる時間、所定の週の日の異なる時間、所定の月の日の異なる時間、所定の年の日の異なる時間のうちの少なくとも1つに依存し、
前記スリープモードごとの前記最適なタイムアウト時間を計算するステップには、所定の日の異なる時間、所定の週の日の異なる時間、所定の月の日の異なる時間、所定の年の日の異なる時間のうちの少なくとも1つに関する異なる最適なタイムアウト時間を計算することが含まれる、請求項2に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記に記載した通り、エネルギー消費の低減が多くの分野で大きな問題になっている。この期待に応えるために、本明細書の方法およびシステムでは、異なるレベルでエネルギーを機器が消費し、このレベルは予測される使用頻度に従って、調整可能であるという事実を有効に利用する。例えば、新しい文書を印刷するために待機している間、スリープモードでは、プリンタがより少ないエネルギーしか消費しないが、その一方で、このスリープモードを使用すると、印刷モードに戻るために(すなわち、機器を「起動」させるために)付加的なエネルギーが必要となる。全体のエネルギー消費を最適化するために、本明細書の方法およびシステムでは、その後、機器がより低い消費モードに切り替えられなければならないタイムアウトの延滞を最適に調整する。スリープモードが1つの場合、力まかせ探索で最適条件に達することができるが、スリープモードがK個ある場合それではコスト高になる可能性があり、そのときの複雑さは「N
K」である(「N」はテストするタイムアウトの数)。
【0013】
本明細書の方法およびシステムでは、最適なマルチタイムアウトの計算(N
KからKNへの)の複雑さを緩和する、(「N」は機器により受け入れられる異なるタイムアウトの数、Kはスリープモードの数)。本明細書の方法およびシステムで、タイムアウトが制限されていないときと、有効な値の有限集合に制限されているときとの両方で機能する。現在、最も複雑な印刷機器に関してもこの「K」は2を超えないが、10以上の異なるタイムアウトを受け入れる機器もある。さらに、本明細書の方法およびシステムでは、1分から1時間までの例示的な精度の最適なタイムアウトを提供し、したがって、「N」は60となり得る。本明細書の方法およびシステムでは、計算時間に大きな影響を及ぼすことなく、全てのタイムアウトに対してかなり細かい精度(秒単位までも)を有することが可能である。「K=2」の簡単な場合でさえ「N」が「3600」になり、力まかせ探索では、コンピュータ的にコストがかかる。
【0014】
力まかせ探索の方法では、予測されるコスト関数のオラクルを実行し、可能性のあるK個のタイムアウトの組み合わせ全てを試す、したがって複雑さはN
Kとなる。タイムアウトが増加する順序でなければならないという制限を考慮に入れたとしても、この複雑さは著しく緩和しない(「K」だけで除算されるが、同じ程度の「N」の多項式が残る)。1つの構成に関する最適なコスト計算が頻繁に発生しないオフラインの設定でさえも、異なる機器のパターン、需要に対する異なる条件(例えば、時刻ごとの、またはその他の識別可能な条件)などに対応して、多くの構成に関して繰り返す必要があるため、この複雑さを緩和することは有用である。さらに、将来的に機器がオンラインで自己の最適なタイムアウトを計算することができる可能性があり、その場合、この複雑さの問題が重要になる。本明細書の方法およびシステムでは、各モードのタイムアウトに関する1つの独立した項の合計として予測されるコスト関数を示し、これらのタイムアウトは増加順序で並ぶという制限だけでつながる。
【0015】
本明細書の方法およびシステムでは、機器のタイムアウト時間(機器が「準備」モードのままでいる、印刷ジョブ終了後の期間)を制御することにより、機器のエネルギー節約モードの使用を最適化する。タイムアウト時間が終わると、通常は「スリープ」モードと呼ばれる、低エネルギー消費モードに機器は切り替わる。本明細書の方法およびシステムでは、この結果を機器が複数の低いエネルギー消費モードを有するケースに一般化する。
【0016】
制御機器にインタージョブ時間の予測分布P、および各機器のモードのエネルギー消費パターンの記述を入力する。インタージョブ時間の分布Pは、一般的なものでも、またはジョブ要求が発生する世界の特定な監視状態で条件付けられたものでもよい(例えば、その日の時間、その週の時間、その年の時間などであるが、その他の特定な条件も使用可能である)。
【0017】
「P」を条件付けすることで、タイムアウトとモード制御も状態に対して条件付けを行うことができるため、より正確な最適化が実現する。しかし、「P」を条件付けることは状態に依存して制御が効果的に行われる場合にのみ有効である。このことにより、機器に状態の変化を知らせるために(これは単純に不可能であり得る、さもなければはコストをかけてネットワークトラフィック生成し得る)、制御機器と機器の間で余計な通信が必要となる可能性がある。さらに「P」はデータから算出するため、状態に関する条件付けがより制限され、これらの条件に一致する有効データは少なく、したがって、予測はあまり正確ではない。
【0018】
厳密に言うと、インタージョブ時間とは、機器のある印刷段階の終了から次の印刷段階の開始までの時間である。このデータを直接取得できない場合、ジョブ要求間の時間(到着間時間)により近似値をとることができ、このジョブ要求間の時間は、機器からよりもむしろ印刷サーバからより簡単に取得可能であり、その長さはジョブ印刷時間および潜在的なキューイング効果を無視する。
【0019】
例えば、米国特許第8,230,248号明細書を参照すると(上記の開示は参照することにより本明細書に組み込まれるものとする)、中にはたった2つのモード(印刷モードの他に)、準備モードとスリープモードしか前提としていない方法もある。それとは異なり、本明細書の方法およびシステムは、「K+1」個のモードのセットを考慮し、「k=1...K+1」の各モードが、一定と仮定される特定な電力レベル
【数1】
を有する。本明細書の方法およびシステムでは、減少する電力により並び替えられるモードを前提とする、すなわち、
【数2】
はきっちりと減少している。モード推移コストが無い場合、最適な方法では、最も低い消費モード「K+1」に直接ジャンプする。本明細書のいくつかの方法およびシステムでは、各モードの推移に関連する固定されたコストがあることを前提とし、そのコストには、(例えば、いくつかの構成部品をウォームアップするための)エネルギー、ユーザの影響(待機時間)などが含まれる。本明細書の方法およびシステムでは、さらに同じ方向へのモード推移コストは累積される。すなわち、「k
1,h,k
2」が(増加する値、または減少する値により)並び替えられるときはいつでも、推移コスト「k
1:k
2」は、推移のコスト「k
1:h」と「h:k
2」との合計であることを前提とする。これらの条件では、ゆっくりと長くなるタイムアウトのシーケンスにより、最適な制御が完全に実行されていることを下の手段を用いて簡単に示すことができる。
【0020】
印刷終了直後(時間0で)を、モード1と設定する。
「k=1...K」に関して、
時間「k」までモード「k」に留まり、次いでモード「k+1」に推移する。
その後もずっとモード「K+1」に留まる。
【0021】
このループは非同期的に中断し、印刷ジョブの到着によりリセットされる。但し、設定「(τ
k)k=1...K」(または、「k=1」の場合は「0」)は、スキッピング状態「k」になる。モード推移コストは、ベクトル「(b
k)
k=1...K」に完全に取り込まれる(但し、それぞれの「b
k」は、「k=1...K」に対する「k:k+1」と「k:k+1」の累積推移コストである。)。新しいジョブが到着すると、常に制御はモード1に戻らなければならず、そのため、いつも各推移「k:k+1」は最終的にその終了時に、推移「k+1:k」により補償されることを説明するために、これが簡単な方法である。
【0022】
このソリューションは、次の通り提示される。
【0023】
所与のP、
【数3】
および「(b
k)
k=1...K」の場合、時間「x」での制御「τ=(τ
k)
k=1...K」のもとによるコスト率を「c(x,τ)」とすると、
「τ」に対して最小化することにより最適な制御が得られる。
【数4】
【0024】
下線を引かれた項は、実際にはPに関連する相補累積分布関数「Ψ´」であり、したがって、目的関数は
【数5】
となる。関数「Ψ´」およびその基本要素「Ψ」は下記のように定義される。
【数6】
【0025】
次に、定義によれば、コスト率関数「c」は、下記の式により算出することができる。
【数7】
但し、「δ」は、Dirac密度であり、「τ」は「τ
0=0」および「τ
K+1=∞」および「b
K+1=0」の状態で拡張される陰関数表示である。
したがって、下記の式となる。
【数8】
【0026】
最終的に、本明細書の方法およびシステムでは下記の値を得る。
【数9】
【0027】
式(1)の中の目的関数は、分離した項の合計と類似しており、したがって、合計内の各項を別々に最適化させようとする。しかし、「τ」が非減少でなくてはならないという制限を通して連結が暗黙的に行われる。依然として、次の通りに最適化を増加的に行われ得る。本明細書の方法およびシステムでは、全ての「k=0...K」および全ての時間の関数「f」に関して、次の記数法が使用される。
【数10】
【0028】
次に、目的の最適な値(1)が「g
*K(∞)」により算出されるところを観察する。本明細書の方法およびシステムでは最初に下記の式を示す。
【数11】
【0029】
実際は目的の値(1)の分解した値を用いて、独立した項を合計して、本明細書の方法およびシステムでは、全ての「k=1...K」および「t≧0」に関して下記の式を有する。
【数12】
【0030】
したがって、「k=1...K」に対して、上方向に伝播(2)させることにより、「g
*K」を計算することができ、その終わりに目的の最適な値(1)を「g
*K(∞)」として計算することができる。反対に、この最適条件が到達する独立変数「τ
*」は、「k=K...1」に関して下方向に伝播させることにより算出することができる。
【数13】
【0031】
一実施形態(一般的ソリューションである)では、本明細書の方法およびシステムは、次の通り行われる。「F」を(「R
+」上の)関数の空間とし、この関数の空間「F」に「1,Ψ,Ψ´」が架けられる。「F
*」をFの区分、すなわち、
【数14】
の形態の関数の空間とする。但し、「(f
i)
i∈I」は「F」における関数の有限族であり、「(D
i)
i∈I」は「R
+」の区間分割である。「F」における各関数は、(例えば、「1,Ψ,Ψ´」に沿った3つのスカラー成分により)有限的にことができ、したがって、「F
*」における各関数もその部分「D
i」の境界の一覧として有限的に示すことができ、それらの部分「D
i」ごとの「F」の対応する要素の(有限)表現である。
【0032】
加算することより空間「F」は安定し、したがって、空間「F*」も加算により安定するということを示すことが容易になる。実際、本明細書の方法およびシステムは下記の式を有する。
【数15】
【0033】
これにより、「F」内の加算に基づいて、「F
*」内の加算の実装形態が提供される(F内の加算の方が簡単である)。
【0034】
次の前提のもとでは、演算子「↓」によっても空間「F
*」が安定することを示すことができる。
【数16】
実際には、「(f
i)
ni=1」は、「F」内の関数の有限族であり、「(D
i)
ni=1」が「R+」の区間分割であり、各(D
i)が(「T
0=0」で「T
n=∞」の状態の)間隔「[T
i−1,T
i)」である場合、本明細書の方法およびシステムは下記のようになる。
【数17】
但し、
【数18】
は、スカラーの族
【数19】
と共に再帰的に次の通りに定義される関数の族である。
【数20】
【0035】
各
【数21】
が「F
*」内である前提(A)により、「F
*」上の演算子「↓」の実装形態が提供される。
【0036】
それ故に、前提(A)のもとでは、加算および演算子「↓」の両方により空間「F
*」は安定する。したがって、(2)により、全ての関数「g
*k」は「F
*」内であり、それらの表現を計算することができる。
【0037】
この前提(A)は、どちらかと言えばマイルドであり、ほとんどの場合に当てはまる。コンピュータ的には、次の通り定義されるプロシージャ「
GLMB」の実装形態を有することと同等である。スカラー「T,q,z」を与えられたプロシージャである「Greatest Lower Monotonic Bound」(
GLMB)は、の「F
*」内の表現「z+↓(1
(T,∞)(Ψ
q‐z))」に戻る。但し、「Ψ
q=Ψ+
qΨ´」である。
【0038】
プロシージャ「
GLMB」は次の基本要素から算出することができる。
・プロシージャ「
EVAL」:スカラー「q,t」を与えられ、「t」で「Ψ
q」の値に戻る。「
EVAL(q,t)」は、非公式には、「Ψ
q」の値の単純順序の0オラクルである。
・プロシージャ「
TREND」:スカラー「q,t」を与えられ、スカラー「s」および「u>t」に戻る。したがって、「u」が最も大きな数字になり、「Ψ
q」が[t,u]できっちりと減少する(この場合「s」=‐1)、または[t,u]上でゆっくりと長くなる(この場合「s」=1)。「
TREND(q,t)」は、非公式には、「t」の右側に「Ψ
q」の傾向だけでなく、スカラー「u>t」も与える順序(ほぼ)1オラクルであり、(上方向に:「s」=1または下方向に:「s」=‐1、「s」は基本的に「Ψ
q」の導関数の符号である)、このスカラー「u>t」になるまでこの傾向が続く。下記の式を参照する。
【数22】
但し、「η」は、分布「P」に関連するハザード関数である。したがって、ハザード関数を分析することにより、プロシージャ「
TREND」を計算することができる。
【0039】
基本要素「
EVAL」および「
TREND」を用いて、プロシージャ「
GLMB(T,q,z)」を次の通り、誘導的に実行することができる。
1 「t,s=
TREND(q,T)」とする。
2 「s=+1」の場合、
3 「z
0=min(
Z,EVAL(q,T)」とする。
4 「R=1
[T,t)z
0」とする。
5 それ以外は#したがって「s=―1」。
6 「z
0=min(
Z,EVAL(q,t)」とする。
7 「z
0=z」の場合、「R=1
[T,t)z」とする。
8 それ以外「
EVAL(q,T)≦z」の場合、「R=1
[T,t)Ψ
q」とする。
9 それ以外は、#したがって、「Ψ
q(T)>z>Ψ
q(t)」かつ「Ψ
q」が「(T,t)」上で減少する。
10 「Ψ
q(t
*)=z」となるよう「t
*∈(T,t)」とする。
11 「R=1
[T,t*)z+1
[t*,t)Ψ
q」とする。
12 「t=∞」の場合、Rに戻り、それ以外は「R+
GLMB(t,q,z
0)」となる。
【0040】
図1には、それぞれ異なるサブケースを有する「s=+1」(左)および「s=―1」(右)のケースが示される。緑の平坦線は、「Ψ
q」を示す(明確に区別するために、直線で示されているが、合計「s」により与えられる、同じ単調性に対して全ての形状であり得ることを前提とする)。青の点線は、「z+↓(1
(T,∞)(Ψ
q―z))」を示し、この点線は、一定(水平)か、または(2本の線が重なるところで)「Ψ
q」と一致するかのどちらかである。例えば、
図1の右上の角では、「Ψ
q」は、Tの右側で「t」まで減少するが、区間(T,t)全体に渡って「z」の上になる。このケースでは、この図で示される通り、「z+↓(1
(T,∞)(Ψ
q―z))」が、「z」で一定のままであることを示すことは簡単である。
【0041】
但し、上記のプロシージャ「
GLMB」の10列目(
図1の中段の右のケースに対応する)では、「Ψ
q(t
*)=z」となるように「t
*∈(T,t)」を見つけなければならない。これは、プロシージャ「
EVAL」を用いて、単純に2等分することにより実行することができる。というのも、正確に、このケースでは「Ψ
q」は「T」と「t」の間できっちりと減少し、「T」で「z」の上をスタートし、端「t」で「z」の下で終了しているためである。
【0042】
いくつかの非常に特別なケースでは、等式(2)を分析的に解くことが可能である。
【0043】
「P」が指数関数、すなわち、「dP(x)=exp(―λx)dx」の場合、本明細書の方法およびシステムは下記の要素を含む。
【数23】
【0044】
この場合、「g
*k」は、「p
kexp(―λt)+q
k」の形の指数関数であり、等式(2)は下記のようになる。
【数24】
【0045】
最適なソリューションを下記の要素により、再構築することができる。
【数25】
k<k
*の場合τ
*k=0それ以外は∞。
【0046】
すなわち、印刷段階が終了後、機器はすぐにモード「k
*」にジャンプし、ずっとその状態でいる(次の印刷段階まで)。
【0047】
「P」が離散的、すなわち、
【数26】
の場合、本明細書の方法およびシステムは下記の要素を含む。
【数27】
【0048】
注目すべき局面は、「g
k」および「g
*k」を、中間点でなく、分布の指示集合の点でのみ計算する必要があることである。したがって、「g
k」および「g
*k」は、分布の指示集合上のそれらの値のn次元のベクトルと一致し得る。等式(2)は、簡単なベクトル演算となる。
【0049】
「P」がヒストグラム分布、すなわち、
【数28】
で、但し
【数29】
の場合、ソリューションは正確に前のケース(離散分布)と類似し、分布の変更点「(T
i)
ni=1」でのみ計算する必要があり、等式(2)はn次元ベクトルを処理する。のソリューションの複雑さは、順序「n
K」すなわち、ベクトルの次元を等式(2)内の繰り返しの数で乗算したものとなる。次元「n
K」の全ての空間を探索することにより、等式(1)を解くための力まかせ法とこれを比較する(モードKの数のいくらかの関数にのみ除算される「n」と同じ複雑さを産み出す制限「τ
1≦...≦τ
K」を考慮に入れて)。
【0050】
ある例では、本明細書の方法およびシステムでは、次の通り3つの集合「
DATA」,「
POLICY」,「
PROFILE」を与えられることを前提とする。
【0051】
「
DATA」内の各要素は、「D」、「f」の組である。「D」はインタージョブ時間のバッグであり特別な順序はない、「f」は正の数字の任意のバッグを、「R
+」全般に亘る予測分布を算出するモデルに合わせる方法である。バッグ「D」は、機器上で集められる実データ、または「f」により戻される可能性のある分布により生成される模擬データでよい。本明細書の方法およびシステムでは、ワイブル分布および指数分布を模擬実験し、指数分布のクラスおよびヒストグラム分布のクラスを合わせる(ヒストグラム分布のクラスの場合、バイナリ形式(bins)の高性能の最適化を用いないで)。
プロシージャ「
PROTOCOL」
1 「H=φ」とする。
2 各
DATA内のD,fごとに、
3 「D」を訓練セット「T」とテストセット「E」とに分離する。
4 「f」に従って「T」を合わせることにより得られる「d」を分布とする。
5 「
PROFILE」内の「a
1:K,b
1:K」ごとに、
6 「
PROFILE」内の「p」ごとに、
【数30】
とする。
【数31】
とする。
9 「((D,f),(a
1:K,b
1:K)p,r)」を「H」に付け加える。
10 「H」に戻る。
【0052】
「
PROFILE」内の各要素は、同じ長さのベクトル「a
1:K」と「b
1:K」の組であり、異なるモードによる機器のエネルギーパターンを示す。本明細書の方法およびシステムでは、関心のある空間の部分に焦点を合わせるための特別な方法を用いて、ランダムに生成されたパターンを使用する。
【0053】
「
POLICY」内の各要素は、分布(R
+に渡る)およびパターンを取得し制御を計算する、すなわち、分布情報を有するパターンのモードにタイムアウトを割り当てる関数である。
本明細書の方法およびシステムは、次のような方針を用いる。
・最適な方針は本明細書に記載される方法により計算される。
・「全てゼロ」の方針:「τ
1=...=τ
K=0」(どのような分布であっても)
・「全ての無限」の方針:「τ
1=...=τ
K=∞」(どのような分布であっても)
・「分離したLR」の方針:「τ
*0=0」を計算し、次いで
【数32】
を計算する。
これは、ナイーブな方法で制限「τ
1≦...≦τ
K」を実行する分離した問題のように等式(1)を解くことを意味する。
・「RLを切り離す」方針:「τ
*K+1=∞」を計算し、次いで
【数33】
を計算する。
上記と同じく反転させるトリックを用いて制限を実行する。
【0054】
プロトコルは、「
DATA」,「
PROFILE」,「
POLICY」の組み合わせごとに性能評価尺度を計算する(8列目の「r」の「後悔」)。このプロトコルは予想されるツールの使用(本明細書の方法およびシステムと類似する)を模倣する。データ収集段階、次に、ログデータ上の訓練段階、実データ上の模擬実験または機器の実際の設定。8列目で、関数「Γ(τ,(a
1:K,b
1:K),E」は、インタージョブ時間「E」に提出されたパターン「(a
1:K,b
1:K)」を用いて、タイムアウト「τ」を機器に適用する実際のコストを示す。乗算定数まで、この分布が「E」に関連する経験分布のとき、それはまさに等式(1)の目的関数である。したがって、その点別の値と、その最小値の両方を、等式(2)を用いて、計算することは簡単である。
【0055】
ヒストグラム分布を合わせると、ここで提示された最適な方針は、一貫して他の方針よりもうまく機能する。指数分布を合わせると、結果はより変化し易いが、最適な方針は一貫して優れている。特に、訓練に対して用いられた分布クラスに従って、データを模擬実験するとき、最適な方針の優位性がより顕著になる。
【0056】
ワイブル分布に関する最適な方針の計算は、本明細書の方法およびシステムで可能であるが、特別に簡易化したソリューションではないため、上記の一般のソリューションに依存しなければならず、プロシージャ「
EVAL」および「
TREND」は、次の式を用いて計算される(時間単位を選択して1の変化量を与える)。
【数34】
【0057】
図2は、異なる低電力モード(スリープモード)を有する機器で実行可能な、本明細書の例示的な方法を示すフローチャートである。これらの電力モードには、準備モード、アクティブモード、および少なくとも2つの低電力スリープモードが含まれる。スリープモードは、全てのオフモード(機器がほとんど電力を消費しない)に加えて、準備モードの電力消費に対して電力を削減する。したがって、スリープモードいくらかの電力を消費するが、準備モードより少ない電力しか消費しない。
【0058】
さらに、スリープモードに入る前に満了する必要のあるタイムアウト時間を調整することができる。「タイムアウト」時間とは、機器が作動しない状態の時間の長さであり、このタイムアウト時間の後、機器は自動的に準備モードから(またはスリープモードのうちの1つから)相対的に低い電力スリープモードに切り替わる。
【0059】
この例示的な方法では、アイテム100で、スリープモードにより行われた節電、およびスリープモードから準備モードに戻るために必要な推移電力コストに基づいて、スリープモードごとのエネルギー消費パターンを入力する(このエネルギー消費パターンは、製造業者により規定される、または測定により前もって計算される)。したがって、上記に示す通り、このエネルギー消費パターンは、ベクトル「a
1:K」(電力消費コスト)とベクトル「b
1:K」(ユーザ固有の最適化のためにユーザによる調整可能な電力推移コスト)の組である。これらのベクトルは同じ長さであり、その異なるモードでの機器のエネルギーパターンを示す。
【0060】
さらに、この方法では、アイテム102で、履歴訓練データ、および/または、経験データに基づいて、前もって計算されたインタージョブ時間の予測分布を入力する。上記で記載した通り、「
DATA」内の各要素は、「D」,「f」の組であり「D」は特定な順序の無いインタージョブ時間のバッグであり、「f」は正の数の任意のバッグをモデルに合わせ、「R+」全体に渡り予測分布を生成する方法である。「インタージョブ」時間とは、動作に関して機器に対して生成された要求間の時間の長さである。
【0061】
この方法では、次にアイテム104で、スリープモードのエネルギー消費パターン(100)、およびインタージョブ時間の予測分布(102)に基づいて、スリープモードごとに最適なタイムアウト時間を自動的に計算することができる。上記に示す通り、「
POLICY」内の各要素は、分布(R+に渡る)およびパターンを取得し、制御を計算する、すなわち、分布の情報を有するパターンのモードにタイムアウト割り当てる関数である。
【0062】
インタージョブ時間の予測分布は、その日の異なる時間、その週の日々の異なる時間、その月の日々の異なる時間、その年の日々の異なる時間などに対して異なる可能性がある。したがって、アイテム104では、スリープモードごとに複数の最適なタイムアウト時間、すなわち、その日の異なる時間、その週の日々の異なる時間、その月の日々の異なる時間、その年の日々の異なる時間などのそれぞれに対して、1つの最適なタイムアウト時間を計算することができる。
【0063】
この方法では、スリープモードごとの最適なタイムアウト時間を計算した後、アイテム106で、現在の機器の使用頻度を自動的に監視して、現在のインタージョブ時間を算出する。すなわち、アイテム106では、最後の要求が生成されてからの(または、機器の最新の動作モードの最後の動作からの)稼働時間の長さを監視して、現在のインタージョブ時間を計算する。
【0064】
次いで、現在のインタージョブ時間が長くなると(機器により要求が生成されるまで現在のインタージョブ時間は経過し長くなり続ける)、この例示的な方法では、アイテム108〜アイテム110で、複数のスリープモードの間を段々と切り替え(毎回、相対的に低い電力モードに切り替える)、最終的に全てのタイムアウトが満了し、機器が最も低い電力スリープモードに入るまでこれを続ける。
【0065】
したがって、現在のインタージョブ時間が最も短い最適なタイムアウト時間に達すると、この方法では、アイテム108で、まずフル電力(準備または動作)モードから複数のスリープモードのうちの1つに自動的に切り替える。より具体的には、最も短い最適なタイムアウト時間が満了すると、アイテム108で、フル電力モードから最適なタイムアウト時間のうちの最も短いタイムアウト時間に関するスリープモードに、この機器は自動的に切り替わる。
【0066】
次いで、次に短い最適なタイムアウト時間が満了すると、この方法では、アイテム110で、低い電力スリープモードに自動的に切り替える。より具体的には、次に短い最適なタイムアウト時間が満了すると、アイテム110で、前回のスリープモードから、次に短い最適なタイムアウト時間に関する別のスリープモードに、機器は自動的に切り替わる。経過中の現在のインタージョブ時間が長くなると、この処理を続けて、連続したより低い電力スリープモードに自動的に段々と切り替える。
【0067】
アイテム110では、全てのスリープモードに切り替える必要はなく、例えば、いくつかのスリープモードが同じ長さの(または、同様に近い)最適なタイムアウト時間を有する場合、いくつかのスリープモードをスキップすることができる。1つのスリープモードを、次に長い電力スリープモードとして、同じタイムアウト時間で設定することができ、そのようはスリープモードが最適なタイムアウト時間を有していない場合、常にそのスリープモードをスキップする。また、異なるスリープモードが(例えば、5%、10%、25%など)前もって設定された互いに異なるパーセンテージより多い場合、所望すれば、スリープモード間でのみ切り替えを行う。別の実施形態では、切り替えの回数に関して制限(3回、5回、10回、など)を設けることができ、その制限に達すると、すぐに機器は最も低い電力スリープモードになることができる。
【0068】
図3に示す通り、本明細書の例示的なシステムの実施形態は、様々な物理的位置206に配置される様々なコンピュータ処理機器200および204を含む。コンピュータ処理機器200および204には、印刷サーバ、印刷機器、パーソナルコンピュータなどが含まれ、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク202(無線または有線)を通して、これらと通信することができる(互いに動作可能に接続する)。
【0069】
図4には、本明細書の実施形態で使用可能なコンピュータ処理機器200が示され、このコンピュータ処理機器200には、例えば、印刷サーバ、パーソナルコンピュータ、携帯用コンピュータ機器などが含まれ得る。コンピュータ処理機器200は、制御装置/プロセッサ224および通信ポート(入力/出力)226を含み、この通信ポートは、プロセッサ224およびコンピュータ処理機器200の外部のコンピュータネットワーク202に動作可能に接続する。また、このコンピュータ処理機器200は、少なくとも1つの、グラフィックユーザインターフェース組立体236などの付属の機能部品を含むことができ、このグラフィックユーザインターフェース組立体236も外部電源228から(電源222を通して)供給される電力により動作する。
【0070】
入力/出力機器226は、コンピュータ処理機器200と通信するために用いられる。プロセッサ224は、コンピュータ処理機器の種々の動作を制御する。持続性の外部コンピュータ記憶媒体機器220(例えば、光学式、磁気式、コンデンサ式でよい)は、プロセッサ224により読取り可能であり、命令を格納し、プロセッサ224がこの命令を実行して、本明細書に記載される関数などの種々の関数をコンピュータ処理機器により実行することができる。したがって、
図4に示す通り、本体の筺体200は1つ以上の機能部品を含み、これらの機能部品は電源222からの交流電流(AC)228から供給される電力により動作する。電源222は、電力貯蔵要素(例えば、バッテリ)を含むことができ、かつ、外部の交流電源228に接続し、その外部電力を、種々の部品が必要とする種類の電力に変換する。
【0071】
図5には、本明細書の実施形態で使用可能な印刷機器204であるコンピュータ処理機器が示され、この印刷機器204には、例えば、プリンタ、複写機、多機能機器、多機能機器(MFD)などが含まれ得る。この印刷機器204は、上記の構成部品の多くと、プロセッサ224に動作可能に接続する少なくとも1つのマーキング機器(印刷エンジン)210、シート供給214からマーキング機器(複数可)210に媒体シート供給するために配置される媒体経路216などを含む。印刷エンジン(複数可)から種々のマーキングを受け取った後、媒体シートは随意的に仕上げ装置208に渡され、この仕上げ装置208により様々な印刷済みシートに対し、折り畳み、ホチキス留め、ソートなどを行うことができる。また、この印刷機器204は、少なくとも1つの付属する機能部品(スキャナ/ドキュメントハンドラ212などの)を含むことができ、これらの機能部品も外部電源228から(電源222を通して)供給される電力により動作する。
【0072】
したがって、
図3〜
図5には、コンピュータ処理機器200、204の外部の少なくとも1つの機器200、204に操作可能に(直接的に、または間接的に)接続するインターフェース226、およびこのインターフェース226に動作可能に接続するプロセッサ224が示される。機器200、204のうちの1つが、その他の多くの機器200、204のタイムアウト時間を制御することができる、または、個々の機器が自己のタイムアウト時間を制御することができる。プロセッサ224は、インターフェース226を通して、複数の異なるスリープモードごとのエネルギー消費パターンを受け取り、このエネルギー消費パターンは機器200、204に関して使用可能である。再度記載するが、このスリープモードでは電力を消費するが、機器200、204の準備モードより少ない電力を消費する。各エネルギー消費パターンは、スリープモードにより行われる節電、およびスリープモードから準備モードに戻るために必要な推移電力コストに基づく。
【0073】
プロセッサ224は、インターフェース226を通して、機器200、204に関するインタージョブ時間の予測分布を受け取る。インタージョブ時間とは、機器200、204に対して生成される動作に関する要求間の時間の長さである。さらに、プロセッサ224は、各スリープモードのエネルギー消費パターン、およびインタージョブ時間の予測分布に基づいて、スリープモードごとの最適なタイムアウト時間を計算する。各機器200、204は、機器200、204の使用頻度を自動的に監視して、現在のインタージョブ時間を算出する。さらに、現在のインタージョブ時間がスリープモードごとの最適なタイムアウト時間より長くなると、プロセッサ224は、機器200、204を制御し、スリープモード間でこの機器200、204を相対的に低い電力スリープモードに自動的に切り替える。したがって、現在のインタージョブ時間が、スリープモードごとの最適なタイムアウト時間を計算することにより、生成される最も短い最適なタイムアウト時間に達すると、プロセッサ224は、機器200、204を制御して、準備モードから複数のスリープモードのうちの1つに自動的に切り替える。