特許第6104180号(P6104180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6104180-スライドリングシール 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104180
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】スライドリングシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/34 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   F16J15/34 A
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-553788(P2013-553788)
(86)(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公表番号】特表2014-510239(P2014-510239A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】DE2012000050
(87)【国際公開番号】WO2012110016
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2014年11月26日
(31)【優先権主張番号】102011011475.0
(32)【優先日】2011年2月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509340078
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル ブルシェイド ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL BURSCHEID GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス デングラー
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−155663(JP,A)
【文献】 米国特許第06494459(US,B1)
【文献】 欧州特許出願公開第01353099(EP,A1)
【文献】 米国特許第04256315(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向に延びる平面で切断した断面で見て山形断面のスライドリング(1′)及び/又はカウンタパートスライドリングから少なくとも成るスライドリングシールであって、前記スライドリング(1′)及び/又はカウンタパートスライドリングの半径方向脚部(10)は台形に形成されたシール体(2)用の滑り領域を形成しており、軸方向脚部(11)は前記台形に形成されたシール体(2)用の取付け部を形成しており、前記シール体(2)は、前記滑り領域の半径方向外側に、前記半径方向脚部(10)を少なくとも部分的に覆うように係合して二次シールを形成する付加部(4)を備えており、該付加部(4)は、少なくとも前記半径方向脚部(10)の領域に、前記スライドリングシールの取付け状態において前記半径方向脚部(10)の外周面(12)に支持され、軸方向に見て複数の汚れ防止リップを形成する成形部(6)を有しており該成形部(6)が前記スライドリングシールの取付け時に滑り領域としての半径方向脚部(10)の外周面(12)を滑る、スライドリングシールにおいて、
前記付加部(4)の、半径方向に見て前記成形部(6)とは反対の側(7)に、前記成形部(6)と等しい輪郭の別の成形部(8)が形成されていることを特徴とする、スライドリングシール。
【請求項2】
走行装置シールとして形成されている、請求項1記載のスライドリングシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載のスライドリングシール、特に走行装置シールに関する。
【0002】
台形ゴムリングを備えた走行装置シールの場合、侵入する汚れは高圧下(例えば無限軌道のカーブ走行)で台形ゴムリングの軸方向力に影響を及ぼす。必要な封鎖力とは逆方向に作用する力は、封鎖力を生ぜしめる軸方向力を低下させるだけでなく、完全に消失させることもあるので、汚れがスライドリングシールのシールギャップを通り、例えば下流側に支持された伝動装置に侵入する恐れがある。力の増大は、摩擦損失の増大により、シールの過熱延いては損傷につながる恐れがある。
【0003】
この問題は以前から知られており、シールの欠陥による伝動装置の摩耗若しくは伝動装置の故障を甘受することはできない。
【0004】
最初の解決手段は、DE19955860A1に記載されている。ここに開示されたスライドリングシール、特に走行装置シールは、横断面がほぼ皿形のリング状のシール体を取り付けるために設定された周面を備えた、山形断面のスライドリング及び/又はカウンタリングから成っており、この場合、シール体は、シール脚部の領域へ案内された二次シールを有している。この解決手段では、外部から汚れが侵入すると、二次シールリップが畳み込まれ、延いては上述した問題と同じ問題が発生するということが判った。
【0005】
US4256315に記載のスライドリングシール、特に走行装置シールも、前掲のDE19955860A1に開示されたスライドリングシールと同様に、やはり二次シールを有している。二次シールは、スライドリング若しくはカウンタリングの外周面において部分的にか、若しくはスライドリング若しくはカウンタリングの外周面の全面に載置されている。この場合も、汚れの侵入により生ぜしめられる軸方向力が、不都合な汚れの侵入を伴うスライドリングシールの開放を生ぜしめることは回避され得ない。
【0006】
本発明の課題は、スライドリングシール、特に走行装置シールを改良して、侵入する汚れのいかんによらず、シールの所要の封鎖力の低下が生ぜしめられることはなく、これにより、一方ではシールの耐用年数且つ他方では下流側に接続された構成部材、例えば伝動装置構成部材等、の耐用年数を増大させることにある。
【0007】
この課題は、山形断面のスライドリング(1′)及び/又はカウンタリングから少なくとも成るスライドリングシールであって、前記スライドリング(1′)及び/又はカウンタリングの半径方向脚部(10)は台形に形成されたシール体(2)用の滑り領域を形成しており、軸方向脚部(11)は前記台形に形成されたシール体(2)用の取付け部を形成しており、前記シール体(2)は、前記滑り領域の半径方向外側に、前記半径方向脚部(10)を少なくとも部分的に覆うように係合して二次シールを形成する付加部(4)を備えており、該付加部(4)は、少なくとも前記半径方向脚部(10)の領域に、前記スライドリングシールの取付け状態において前記半径方向脚部(10)の外周面(12)に支持された、軸方向に見て汚れリップを形成する成形部(6)を有している、スライドリングシールにおいて、前記付加部(4)の、半径方向に見て前記成形部(6)とは反対の側(7)に、前記成形部(6)と等しい輪郭(8)が形成されていることを特徴とする、スライドリングシールにより、解決される。
【0008】
本発明の有利な改良は、従属請求項に記載されている。
【0009】
特に前掲のUS4256315に記載のスライドリングシールと類似した、やはり二次シールを形成する付加部が、複数の汚れリップを形成する成形部を有していることにより、付加部は、最早侵入する汚れによってシールの封鎖に必要な封鎖力が低下されるほど大幅にずらされることはなくなる。
【0010】
室内に挿入された成形部は、ラビリンス状に形成されていてよく、これにより、ラビリンスに侵入する汚れも、下流側に配置された構成部材、例えば伝動装置構成部材等、に向かって搬送される前に固着する。
【0011】
本発明の別の思想では、汚れリップを形成する成形部は、波形成形部として形成されてよい。
【0012】
有利には、汚れリップは横断面で見て三角形又は四角形に形成されている。
【0013】
スライドリングシール、特に走行装置シールのスライドリング及びカウンタリングは、ケーシング部材に多重に組み込まれる。この場合も、取り付けるケーシング部材に対して良好な静的シールを生ぜしめるために、付加部の、半径方向で見て成形部とは反対の側に、成形部にほぼ等しい輪郭を設けることが更に提案される。この輪郭は、取り付けるケーシング部材の対応面と作用結合している。
【0014】
提案された二次シールの幾何学形状に基づき、汚れの力作用による二次シールの折畳み又は変形は、確実に防止される。提案された幾何学形状は、侵入しようとする汚れの力をそのときどきのケーシング部材に直接に導出するので、シール自体に更なる影響が及ぶ恐れはない。それどころか、二次シールを半径方向に強く圧縮することにより、スライドリングのセンタリングが更に改善されて、そのときどきのケーシング部材及びエラストマに対するスライドリング及び/又はカウンタリングの保持モーメントが高められる。
【0015】
つまり、本発明による構成に基づき、シールの耐用年数のみならず、下流側に配置された構成部材、例えば伝動装置構成部材等、の耐用年数も著しく増大され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】取付け前の位置で示した走行装置シールの断面図である。
図2】取付け後の位置で示した走行装置シールの断面図である。
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【0018】
図1は、エラストマ材料から製造されたシール体2を備えて、走行装置シールとして形成されたスライドリングシール1を、取付け前の位置で断面して示した図である。シール体2は、横断面をほぼ台形に形成された、周方向に延びる基体を有していて、この基体には、周方向に見て、半径方向と軸方向とに延びる付加部3が一体的に成形されている。これらの付加部3は、後でスライドリングシール1用の相対回動防止部を形成する。同様に、シール体2から一体的に加工成形された軸方向脚部4は、軸方向に延びる、付加部として形成されている。この付加部4は、その内周面5に、汚れリップを形成する成形部6を有していて、この成形部6を介して、付加部4はスライドリング1′に支持されている。必要に応じて、成形部6はラビリンスとして、又は様々な幾何学的な輪郭を備えた波形成形部として形成されてよい。これにより、軸方向脚部4は、二次シールを形成している。付加部4の、半径方向に見て成形部6とは反対の側に位置する外周面7には、別の成形部8が複数の隆起部として形成されていて、これらの隆起部は、スライドリング1′が取り付けられるケーシング部材9と作用結合した状態で、静的シールを形成する。スライドリング1′は、半径方向脚部10と軸方向脚部11とを有している。軸方向脚部11は、シール体2用の取付け部を形成している。取付け状態において付加部4は、スライドリング1′の半径方向外側の周面12に、汚れリップを形成する成形部6で以て載着している。図面では、スライドリング1′をシール体2と共に、ケーシング部材9に圧入しようとしている状態が示されている。
【0019】
図2には、スライドリングシール1が取付け後の位置で示されている。スライドリング1′とシール体2の他に、ケーシング部材9も認識することができる。更に、スライドリング1′の外周面12に載着された、汚れリップを形成する成形部6を認識することができる。この場合、シール体2の軸方向脚部4の成形部6は、取付けの過程でスライドリング1′の半径方向脚部10の外周面12に押し付けられつつ、軸方向に滑動することが、図1図2との比較から認められる。つまり、半径方向脚部10はシール体2用の滑り領域を形成している。図1に示した付加部4の外周面7の輪郭は、ここでは最早認識することができない。それというのも、ケーシング部材9の取付け穴にシール体2を軸方向に圧入したことにより、突出しているエラストマ材料8が凹部領域に移動されているからである。
【0020】
付加部4に向かって侵入するであろう汚れは、成形部6に基づいて、最早付加部4のずれ若しくは変形を生ぜしめることはない。シール体2の上述した幾何学形状は、侵入しようとする汚れの力を、スライドリングシール1を包囲しているケーシング9内へ直接に導出するので、スライドリングシール1若しくはスライドリング1′に更なる影響が及ぶ恐れはない。それどころか、付加部4の半径方向での強力な圧縮に基づいて、スライドリング1′のセンタリングが更に改善され、この場合、そのときどきのケーシング部材9に対する、ケーシング部材9内のスライドリング1′の保持モーメントが高められる。これにより、スライドリングシール1及びスライドリングシール1の下流側に配置された構成部材の耐用年数が著しく増大される。
図1
図2