特許 6104185 燃焼制御装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6104185

(24)【登録日】2017年3月10日

(45)【発行日】2017年3月29日

(54)【発明の名称】燃焼制御装置

(51)【国際特許分類】

   F23N 5/00 20060101AFI20170316BHJP

   F23N 1/02 20060101ALI20170316BHJP

【ＦＩ】

   F23N5/00 T

   F23N1/02 101

【請求項の数】1

【全頁数】7

(21)【出願番号】特願2014-1636(P2014-1636)

(22)【出願日】2014年1月8日

(65)【公開番号】特開2015-129613(P2015-129613A)

(43)【公開日】2015年7月16日

【審査請求日】2016年3月24日

(73)【特許権者】

【識別番号】000006666

【氏名又は名称】アズビル株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100123434

【弁理士】

【氏名又は名称】田澤 英昭

(74)【代理人】

【識別番号】100101133

【弁理士】

【氏名又は名称】濱田 初音

(74)【代理人】

【識別番号】100173934

【弁理士】

【氏名又は名称】久米 輝代

(74)【代理人】

【識別番号】100156351

【弁理士】

【氏名又は名称】河村 秀央

(72)【発明者】

【氏名】鈴木 加代

(72)【発明者】

【氏名】山田 晃

(72)【発明者】

【氏名】山岸 覚

(72)【発明者】

【氏名】西山 武志

(72)【発明者】

【氏名】石井 重樹

【審査官】 黒石 孝志

(56)【参考文献】

【文献】 特開平８−１４５３４３（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００８−５１３９１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平１１−６３４８６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０００−４６３２１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００６−３４９３１２（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１４−５９４６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｆ２３Ｎ ５／００

Ｆ２３Ｎ １／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

位置が変化することで、バーナへの空気の供給量を調整するダンパと、
前記ダンパを駆動するダンパモータと、
燃焼に関するパラメータに基づき前記ダンパモータを比例制御する比例調節器と、
前記比例調節器による制御のＯＮ／ＯＦＦを切替える第１のリレー接点と、
前記第１のリレー接点がＯＦＦ状態の場合において、前記ダンパを高燃焼位置又は低燃焼位置に設定するよう前記ダンパモータの動作を切替える第２のリレー接点と、
前記第１，２のリレー接点を切替える燃焼制御器とを備えた燃焼制御装置であって、
前記燃焼制御器は、
前記第１のリレー接点をＯＦＦ状態にして、前記第２のリレー接点を切替えて前記ダンパの位置を調整することで、前記高燃焼位置及び前記低燃焼位置を設定する第１の調整モード動作部と、
前記第１のリレー接点をＯＮ状態にして、前記比例調節器に疑似パラメータを入力することで、前記ダンパの動作確認を行う第２の調整モード動作部とを備えた
ことを特徴とする燃焼制御装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

この発明は、燃焼室内の燃焼を制御する燃焼制御装置に関するものである。

【背景技術】

【0002】

特許文献１に開示されるような工場やビルに設置された燃焼室内の燃焼を制御する燃焼制御装置において、高燃焼運転と低燃焼運転を切替え可能なものが知られている。この高燃焼運転及び低燃焼運転は、メインバーナへの空気の供給量を調整するダンパを高燃焼位置又は低燃焼位置に変えることで行う。

【0003】

従来から、図３に示すように、ダンパの位置を制御するダンパモータ１０には、電源１０１、電源トランス１０２、比例調節器１０３及び第１，２のリレー接点１０４，１０５が接続されている。ここで、比例調節器１０３は、燃焼に関するパラメータ（例えば温度）に基づきダンパモータ１０を比例制御するものである。また、第１のリレー接点１０４は、比例調節器１０３による制御のＯＮ／ＯＦＦを切替えるものである。また、第２のリレー接点１０５は、第１のリレー接点１０４がＯＦＦ状態の場合において、ダンパを高燃焼位置又は低燃焼位置に設定するようダンパモータ１０の動作を切替えるものである。なお、第１，２のリレー接点１０４，１０５は、不図示の燃焼制御器で制御される。

【0004】

そして、燃焼制御装置でプレパージを行う際には、第１のリレー接点１０４をＯＦＦ側（端子１１側）に切替えて、第２のリレー接点１０５をＨｉ側（端子１０側）に切替えてダンパを高燃焼位置に移動させる。これにより、空気を最大流量で流してプレパージを行うことができる。そして、所定時間プレパージを行なった後、第２のリレー接点１０５をＬｏ側（端子１１側）に切替えてダンパを低燃焼位置に移動させる。そして、第１のリレー接点１０４をＯＮ側（端子９側）に切替えて比例調節器１０３による制御を行う。

【0005】

一方、低燃焼運転において、メインバーナへの空気の供給量が多すぎる、またはガスの供給量が少なすぎる場合には、保炎できず、失火してしまう。また、空気の供給量が少なすぎると、空気の流れを検知するエアーフロースイッチが入らない場合がある。そのため、ダンパの低燃焼位置の調整を行う必要がある。また、ダンパの高燃焼位置の調整と、比例調節器１０３による制御に伴うダンパの動作確認も行う必要がある。

【0006】

ここで、上記位置調整及び動作確認は、燃焼制御装置が燃焼停止中に行われる。一方、従来構成では、燃焼停止中には、第１，２のリレー接点１０４，１０５を動かすことができない。そのため、ジャンパー線を用いて手動で行う必要がある。

【0007】

すなわち、図３において、ダンパの高燃焼位置及び低燃焼位置の調整を行う場合には、まず、ジャンパー線を用いて、始めに端子８，９を短絡後、端子９，１０を短絡させて第２のリレー接点１０５をＨｉ側に切替えた状態にする。そして、この状態でダンパを手動で動かして高燃焼位置を設定する。次に、ジャンパー線を用いて端子９，１１を短絡させて第２のリレー接点１０５をＬｏ側に切替えた状態にする。そして、この状態でダンパを手動で動かして低燃焼位置を設定する。

【0008】

また、図３において、比例調節器１０３による制御に伴うダンパの動作確認を行う場合には、ジャンパー線を用いて端子８，９を短絡させて第１のリレー接点１０４をＯＮ側に切替えた状態にする。そして、この状態で比例調節器１０３に擬似パラメータ（擬似信号）を入力し、ダンパが当該擬似パラメータに応じた動作を行うかを確認する。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0009】

【特許文献1】特開平０５−１２６４７５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0010】

上述したように、従来の燃焼制御装置では、ダンパの高燃焼位置及び低燃焼位置の調整と、比例調節器１０３による制御に伴うダンパの動作確認を行う場合に、ジャンパー線を用いて行っている。そのため、その作業が煩雑であるという課題がある。

【0011】

この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、追加配線を行うことなく、容易に素早く、ダンパの高燃焼位置及び低燃焼位置の調整と、比例調節器による制御に伴うダンパの動作確認を行うことができる燃焼制御装置を提供することを目的としている。

【課題を解決するための手段】

【0012】

この発明に係る燃焼制御装置は、位置が変化することで、バーナへの空気の供給量を調整するダンパと、ダンパを駆動するダンパモータと、燃焼に関するパラメータに基づきダンパモータを比例制御する比例調節器と、比例調節器による制御のＯＮ／ＯＦＦを切替える第１のリレー接点と、第１のリレー接点がＯＦＦ状態の場合において、ダンパを高燃焼位置又は低燃焼位置に設定するようダンパモータの動作を切替える第２のリレー接点と、第１，２のリレー接点を切替える燃焼制御器とを備えた燃焼制御装置であって、燃焼制御器は、第１のリレー接点をＯＦＦ状態にして、第２のリレー接点を切替えてダンパの位置を調整することで、高燃焼位置及び低燃焼位置を設定する第１の調整モード動作部と、第１のリレー接点をＯＮ状態にして、比例調節器に疑似パラメータを入力することで、ダンパの動作確認を行う第２の調整モード動作部とを備えたものである。

【発明の効果】

【0013】

この発明によれば、上記のように構成したので、追加配線を行うことなく、容易に素早く、ダンパの高燃焼位置及び低燃焼位置の調整と、比例調節器による制御に伴うダンパの動作確認を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】この発明の実施の形態１に係る燃焼制御装置の全体構成を示す図である。

【図2】この発明の実施の形態１における燃焼制御器の構成を示す図である。

【図3】ダンパモータの構成を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態１．
図１はこの発明の実施の形態１に係る燃焼制御装置の全体構成を示す図である。
燃焼制御装置は、図１に示すように、燃焼室１に組み込まれたメインバーナ２及びパイロットバーナ３と、パイロットバーナ３を点火する点火トランス４と、燃焼室１内でバーナ火炎の有無を検出可能な火炎検出器５と、送風機６によりメインバーナ２に空気を供給する空気供給系７と、メインバーナ２及びパイロットバーナ３にガス等の燃料を供給する第１，２の燃料供給系８，９と、空気供給系７に設けられた後述するダンパ１２を駆動するダンパモータ１０と、第１，２の燃料供給系８，９に設けられた後述するバルブ１３〜１６及びダンパモータ１０を制御する燃焼制御器１１とを備えている。なお、燃焼制御器１１は、ダンパモータ１０に接続された第１，２のリレー接点１０４，１０５（図３参照）を個別に制御する機能も有している。

【0016】

また、メインバーナ２に空気を供給する空気供給系７には、位置が変化することで、単一の配管内の流体流量を制御するダンパ１２が接続されている。
また、メインバーナ２に燃料を供給する第１の燃料供給系８には、単一の配管内の流体流量を制御するとともに、燃焼制御装置の燃焼停止中に配管内の流体がメインバーナ２側に漏れることを防止するバルブ１３，１４が直列に接続されている。
同様に、パイロットバーナ３に燃料を供給する第２の燃料供給系９には、単一の配管内の流体流量を制御するとともに、燃焼制御装置の燃焼停止中に配管内の流体がパイロットバーナ３側に漏れることを防止するバルブ１５，１６が直列に接続されている。
当然のことながら、第１，２の燃料供給系８，９は上流側をより高圧にすることで下流側へ燃料を流す。

【0017】

また、ダンパモータ１０には、従来構成と同様に、図３に示すような電源１０１、電源トランス１０２、比例調節器１０３及び第１，２のリレー接点１０４，１０５が接続されている。
ここで、比例調節器１０３は、燃焼に関するパラメータ（例えば温度）に基づきダンパモータ１０を比例制御するものである。また、第１のリレー接点１０４は、比例調節器１０３による制御のＯＮ／ＯＦＦを切替えるものである。また、第２のリレー接点１０５は、第１のリレー接点１０４がＯＦＦ状態の場合において、ダンパ１２を高燃焼位置又は低燃焼位置に設定するようダンパモータ１０の動作を切替えるものである。なお、第１，２のリレー接点１０４，１０５は、燃焼制御器１１で制御される。

【0018】

次に、燃焼制御器１１の構成について、図２を参照しながら説明する。
燃焼制御器１１は、図２に示すように、通常モード動作部１１１、第１の調整モード動作部１１２、第２の調整モード動作部１１３及びモード遷移部１１４から構成されている。

【0019】

通常モード動作部１１１は、第１，２の燃料供給系８，９に設けられたバルブ１３〜１６及びダンパモータ１０を制御して、通常の燃焼制御を行う通常モードで動作するものである。この通常モードでの動作は、従来の燃焼制御と同様であり、その詳細説明は省略する。

【0020】

第１の調整モード動作部１１２は、燃焼制御装置が起動停止中に、第１のリレー接点１０４をＯＦＦ状態にして、第２のリレー接点１０５を切替えてダンパ１２の位置を調整することで、高燃焼位置及び低燃焼位置を設定する第１の調整モード（試運転モード）で動作するものである。
第２の調整モード動作部１１３は、燃焼制御装置が起動停止中に、第１のリレー接点１０４をＯＮ状態にして、比例調節器１０３に擬似パラメータ（疑似信号）を入力することで、ダンパ１２の動作確認を行う第２の調整モード（試運転モード）で動作するものである。

【0021】

モード遷移部１１４は、外部からの要求に応じ、通常モード動作部１１１、第１の調整モード動作部１１２又は第２の調整モード動作部１１３のうちのいずれかを動作させることで、モード切替えを行うものである。なお、モード遷移部１１４は、燃焼制御装置が起動停止中の場合にのみ第１，２の調整モードに遷移できるものとする。

【0022】

次に、上記のように構成された燃焼制御装置による第１，２の調整モードでの動作について説明する。まず、第１の調整モードの動作（ダンパ１２の高燃焼位置及び低燃焼位置の調整）について説明する。なお起動停止中では、第１のリレー接点１０４はＯＦＦ側（図３の端子１１側）に切替えられている。

【0023】

燃焼制御装置が起動停止中において、作業者が燃焼制御器１１に対して操作を行い第１のモードへの遷移を要求すると、モード遷移部１１４は、第１の調整モード動作部１１２を動作させるようモード切替えを行う。そして、第１の調整モード動作部１１２は、まず、第２のリレー接点１０５をＨｉ側（図３の端子１０側）に切替える。そして、この状態でダンパ１２を手動で動かして高燃焼位置を設定する。次に、第２のリレー接点１０５をＬｏ側（図３の端子１１側）に切替える。そして、この状態でダンパ１２を手動で動かして低燃焼位置を設定する。これにより、従来のようなジャンパー線を用いることなく、ダンパ１２の高燃焼位置及び低燃焼位置の調整を行うことができる。

【0024】

次に、第２の調整モードの動作（比例調節器１０３による制御に伴うダンパ１２の動作確認）について説明する。
燃焼制御装置が起動停止中において、作業者が燃焼制御器１１に対して操作を行い第２のモードへの遷移を要求すると、モード遷移部１１４は、第２の調整モード動作部１１３を動作させるようモード切替えを行う。そして、第２の調整モード動作部１１３は、第１のリレー接点１０４をＯＮ側（図３の端子９側）に切替える。そして、この状態で比例調節器１０３に擬似パラメータ（擬似信号）を入力し、ダンパ１２が当該擬似パラメータに応じた動作を行うかを確認する。これにより、比例調節器１０３による制御に応じてダンパ１２が正常に動作しているかを確認することができる。

【0025】

以上のように、この実施の形態１によれば、燃焼制御器１１に、燃焼制御装置が起動停止中に、第１，２のリレー接点１０４，１０５を個別に動作させる第１，２の調整モードを追加するように構成したので、追加配線を行うことなく、容易に素早く、ダンパ１２の高燃焼位置及び低燃焼位置の調整と、比例調節器１０３による制御に伴うダンパ１２の動作確認を行うことができる。また、第１，２の調整モードは、燃焼制御装置が起動停止中の場合にのみ遷移可能なため、誤使用を防ぐことができる。

【0026】

なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。

【符号の説明】

【0027】

１ 燃焼室
２ メインバーナ
３ パイロットバーナ
４ 点火トランス
５ 火炎検出器
６ 送風機
７ 空気供給系
８，９ 第１，２の燃料供給系
１０ ダンパモータ
１１ 燃焼制御器
１２ ダンパ
１３〜１６ バルブ
１０１ 電源
１０２ 電源トランス
１０３ 比例調節器
１０４，１０５ 第１，２のリレー接点
１１１ 通常モード動作部
１１２，１１３ 第１，２の調整モード動作部
１１４ モード遷移部

【図1】

【図2】

【図3】