特許第6104242号(P6104242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104242サルモネラおよび大腸菌を培養するための培養培地、方法、ならびにサルモネラおよび大腸菌を検出するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104242
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】サルモネラおよび大腸菌を培養するための培養培地、方法、ならびにサルモネラおよび大腸菌を検出するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20170316BHJP
   C12Q 1/10 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   C12N1/20 A
   C12Q1/10
【請求項の数】14
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2014-519362(P2014-519362)
(86)(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公表番号】特表2014-520537(P2014-520537A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】CA2012050468
(87)【国際公開番号】WO2013006969
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年4月17日
(31)【優先権主張番号】61/506,937
(32)【優先日】2011年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514008974
【氏名又は名称】フードチェク・システムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FOODCHEK SYSTEMS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルチネツ,ガブリエラ
(72)【発明者】
【氏名】トリンブライ,ルノー
(72)【発明者】
【氏名】ラロシェル,ヤニキム
【審査官】 鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第96/040861(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0061516(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0019883(US,A1)
【文献】 モダンメディア [食水系感染症病原体の検査法],2010年,Vol. 56, No. 12,pp. 337-340 (35-38)
【文献】 J. Gen. Microbiol.,1990年,Vol. 136,pp. 887-896
【文献】 J. Bacteriol.,1986年,Vol. 166, No. 1,pp. 51-58
【文献】 J. Bacteriol.,2005年,Vol. 187, No. 3,pp. 8039-8046
【文献】 J. Bacteriol.,1989年,Vol. 171, No. 6,pp. 3316-3323
【文献】 J. Bacteriol.,1999年,Vol. 181, No. 17,pp. 5317-5329
【文献】 J. Gen. Microbiol.,1976年,Vol. 95,pp. 173-176
【文献】 Nat. Rev. Microbiol.,2010年,Vol. 8, No. 4,pp. 290-295
【文献】 Int. J. Food Microbiol.,1998年,Vol. 45,pp. 43-53
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/20
C12Q 1/04
C12Q 1/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.001g/L〜0.05g/Lの濃度の塩化カルシウム、
1g/L〜6g/Lの濃度のリン酸二水素カリウム、
0.01g/L〜0.5g/Lの濃度の硫酸マグネシウム、
0.1g/L〜1g/Lの濃度の塩化ナトリウム、
0.5g/L〜10g/Lの濃度のリン酸水素二ナトリウム、
0.1g/L〜1g/Lの濃度のクエン酸、
1g/L〜4g/Lの濃度のyeast extract、
0.1mg/L〜1.0mg/Lの濃度のビタミンB12、
1.0g/L〜3.0g/Lの濃度のエタノールアミン、
0.01g/L〜0.05g/Lの濃度の硫酸鉄、および
0.5g/L〜2.0g/Lの濃度のピルビン酸ナトリウム
を含む、生物学的に有効な濃度の栄養分の混合物を含む、食品または環境サンプル中のサルモネラ属菌(salmonella spp.)または大腸菌(E.coli)の検出に用いるための培養培地。
【請求項2】
栄養分の混合物が3g/Lの濃度のyeast extractを含む、請求項1に記載の培養培地。
【請求項3】
塩化カルシウムが0.013g/Lの濃度で存在する、請求項1に記載の培養培地。
【請求項4】
リン酸二水素カリウムが3g/Lの濃度で存在する、請求項1に記載の培養培地。
【請求項5】
硫酸マグネシウムが0.12g/Lの濃度で存在する、請求項1に記載の培養培地。
【請求項6】
塩化ナトリウムが0.5g/Lの濃度で存在する、請求項1に記載の培養培地。
【請求項7】
クエン酸が0.547g/Lの濃度で存在する、請求項1に記載の培養培地。
【請求項8】
ビタミンB12が0.5mg/Lの濃度で存在し、
エタノールアミンが2.0g/Lの濃度で存在し、
硫酸鉄が0.019g/Lの濃度で存在し、かつ、
ピルビン酸ナトリウムが1.0g/Lの濃度で存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の培養培地。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の培養培地中でサンプルをインキュベートする工程を含む、食品または環境サンプル中のサルモネラ属菌(salmonella spp.)または大腸菌(E.coli)を培養する方法。
【請求項10】
培養培地が3g/Lの濃度のyeast extractを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
培養培地が、
0.5mg/Lの濃度のビタミンB12、
2.0g/Lの濃度のエタノールアミン、
0.019g/Lの濃度の硫酸鉄、および、
1.0g/Lの濃度のピルビン酸ナトリウムを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
大腸菌(E.coli)が、大腸菌157、志賀毒素産生大腸菌(STEC)および腸管出血性大腸菌(EHEC)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
サルモネラ属菌(salmonella spp.)が、サルモネラ・チフィリウム(salmonella typhimurium)およびサルモネラ・エンテリカ(salmonella enterica)である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
インキュベートする工程の後にサルモネラ属菌(salmonella spp.)または大腸菌(E.coli)を検出する工程をさらに含み、前記検出が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、レクチン結合、単純拡散、側方拡散、抗体結合、ラテラルフロー、免疫学的検出、ELISAまたはフロースルーによるものである、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
1.分野
開示される主題は、概して、微生物を培養する培地および方法ならびに微生物を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連刊行物
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
第1の実施形態において、生物学的に有効な濃度の:コバラミン化合物およびアルカノールアミンを含む培養培地が開示される。
【0004】
実施形態において、上記コバラミン化合物は、コバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン(adenoslycobalamin)、ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミンからなる群より選択される。
【0005】
実施形態において、上記アルカノールアミンは、エタノールアミンである。
実施形態において、細菌の培養培地が開示される。
【0006】
実施形態において、細菌は、サルモネラ属菌(salmonella spp.)または大腸菌属菌(E.coli spp.)である。
【0007】
実施形態において、細菌は、サルモネラ・チフィリウム(salmonella typhimurium)、大腸菌(E.coli)157、志賀毒素産生(Shigatoxin)大腸菌または腸管出血性大腸菌である。
【0008】
実施形態において、コバラミン化合物は、約0.002Mより高い濃度で存在し、前記アルカノールアミンは、約0.001mg/リットルより高い濃度で存在する。
【0009】
さらなる一連の実施形態において、生物学的サンプルを培養するための方法が開示され、その方法は、生物学的に有効な濃度の:コバラミン化合物およびアルカノールアミンの存在下においてそのサンプルをインキュベートする工程を包含する。
【0010】
実施形態において、上記コバラミン化合物は、コバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミンからなる群より選択される。
【0011】
実施形態において、上記アルカノールアミンは、エタノールアミンである。
実施形態において、上記方法は、細菌を培養するための方法である。
【0012】
実施形態において、上記細菌は、サルモネラ属菌または大腸菌属菌である。
実施形態において、上記細菌は、サルモネラ・チフィリウム、大腸菌157、志賀毒素産生大腸菌または腸管出血性大腸菌である。
【0013】
実施形態において、アルカノールアミンは、約0.002Mより高い濃度で存在し、前記コバラミン化合物は、約0.001mg/リットルより高い濃度で存在する。
【0014】
上記方法は、サンプル中のサルモネラ属菌または大腸菌属菌を検出するための方法である。
【0015】
実施形態において、上記方法は、サンプル中のサルモネラ属菌または大腸菌属菌を検出するための方法であり、上記アルカノールアミンは、エタノールアミンである。
【0016】
実施形態において、上記方法は、PCR、レクチン結合、単純拡散、側方拡散、抗体結合、ラテラルフローまたはフロースルーの工程をさらに包含する。
【0017】
さらなる一連の実施形態において、サルモネラ属菌および大腸菌属菌を培地中で優先的に培養する方法が開示され、その方法は、コバラミン化合物とアルカノールアミンとの生物学的に有効な組み合わせをその培地に添加する工程を包含する。
【0018】
さらなる一連の実施形態において、培養培地に添加するための組成物が開示され、その組成物は:コバラミン化合物およびアルカノールアミンを含む。
【0019】
実施形態において、上記コバラミン化合物は、コバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミンからなる群より選択される。
【0020】
実施形態において、上記アルカノールアミンは、エタノールアミンである。
実施形態において、上記組成物は、細菌の増殖のための組成物である。
【0021】
実施形態において、上記細菌は、サルモネラ属菌または大腸菌属菌である。
さらなる一連の実施形態において、生物学的サンプル中のサルモネラ・チフィリウム、大腸菌157、志賀毒素産生大腸菌および腸管出血性大腸菌を検出するための方法が開示され、その方法は、生物学的に有効な濃度の:エタノールアミン;ならびにメチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミンからなる群より選択されるコバラミン化合物の存在下においてそのサンプルを培養する工程を包含する。
【0022】
本明細書の主題の特徴および利点は、添付の図面に図示されているような、以下の選択された実施形態の詳細な説明に照らすとより明らかになるだろう。理解されるように、開示されるおよび特許請求される主題は、すべてが請求項の範囲から逸脱することなく様々な点において改変が可能である。したがって、図面および説明は、限定的ではなく、本質的に例証としてみなされるべきであり、主題の完全な範囲は、請求項に示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】ビタミンB12の化学構造である。
図1B】一般的なコバラミン化合物の化学構造である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
選択された実施形態の詳細な説明
用語
本開示において、単語「含む」は、その単語の前にある項目が含まれるが具体的に述べられていない項目は除外されないことを意味するために、非限定的な意味において使用される。ある実施形態が、ある特徴または特性を含むと示される場合、その実施形態の別の変化形において、その実施形態が、当該特徴からなり得るか、または当該特徴から本質的になり得ることも企図されることが理解されるだろう。不定冠詞「a」によるあるエレメントに対する言及は、文脈が、1つおよびただ1つのそのエレメントが存在することを明らかに要求していない限り、そのエレメントの2つ以上が存在する可能性を排除しない。
【0025】
本開示において、終点による数値の範囲の列挙は、その範囲内に包含されるすべての数値(すべての自然数、すべての整数およびすべての分数の中間値を含む)を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5などを含む)。
【0026】
本開示において、単数形「an」および「the」は、その内容が明らかに他のことを指示していない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「化合物(a compound)」を含む組成物に対する言及は、2つ以上の化合物の混合物を包含する。
【0027】
本開示において、用語「または」は、その内容が明らかに他のことを指示していない限り、通常、「および/または」を含む意味で使用される。
【0028】
本開示において、別段示されない限り、本明細書および請求項において使用される量または成分を表しているすべての数値、特性の測定値などは、すべての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、文脈に照らして反対のことまたは必然のことが示されていない限り、本開示に示される数値のパラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて、ならびに測定および定量の不正確さに照らして、変動し得る近似値である。請求項の範囲に対する均等論の適用を制限せずに、各数値パラメータは、報告されている有効数字の数値に照らして、および通常の丸めの手法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。本開示の広範囲に示されている数値の範囲およびパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例に示されるそれらの数値の値は、これが、本開示の妥当性の限りならびに開示されるおよび特許請求される主題と従来技術との相違と一致する限りにおいてのみ広く理解される。
【0029】
本開示において、用語「培地(media)」、「培地(medium)」、「ブロス」、「培養培地(culture medium)」、「培養培地(culture media)」、「培養ブロス」などのすべては、細菌もしくは微生物(microbe)もしくは微生物(microorganism)または病原体の菌株もしくは種であり得る所望の微生物を培養するのに適した栄養分の混合物のことを指す。実施形態において、培地は、本明細書中に定義されるような任意のコア培地であり得るかまたはそれを含み得、粉末または濃縮物の形態で調製され得る。
【0030】
実施形態において、培地は、pH緩衝剤を含む。1つの一連の実施形態において、pH緩衝剤は、リン酸二水素カリウムとリン酸水素二カリウムとの混合物であるが、別の生物学的に適合性の緩衝剤(例えば、MOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、3−モルホリノプロパン−1−スルホン酸;3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸;3−N−モルホリノプロパンスルホン酸;および4−モルホリンプロパンスルホン酸としても知られる)および好適な炭酸カルシウム緩衝剤)も好適であり得、それらは、その培地にとって所望のpHを達成するように当業者によって容易に選択され、実行される。
【0031】
実施形態において、培地は、複数の成分を含み、所望の濃度の特定の成分を含む液体培地を提供するための所定の体積の水との混和に適した、通常、「粉末」、「濃縮物」、「粉末培地」、「培地粉末」、「培地濃縮物」、「濃縮培地」などとも呼ばれる粉末または濃縮物の形態で提供され得る。そのような粉末培地または濃縮培地は、完全であり得、これは、それが使用前に好適な水、通常、滅菌水への溶解だけが必要であることを意味する。あるいは、実施形態において、粉末培地または濃縮培地は、不完全であり得、これは、使用に適した完全培地を提供するために追加の成分を加える必要があることを意味する。実施形態において、粉末培地または濃縮培地は、細菌を培養する際に実際に使用するための培地を生成するための希釈に適した濃縮された形態において少なくとも部分的に水和した培地も包含する。本明細書中で使用される用語「培地(medium)」または「培地(media)」は、文脈が他のことを要求しない限り、細菌および微生物を培養するのに適した濃度で成分を有する最終的な培地と、希釈に適した粉末培地または濃縮培地の両方を包含することが理解されるだろう。用語「ActeroSalmonella/STEC」増菌培地または「AEM」培地および類似の用語は、実施形態に係る培地のことを広く指すために使用される。
【0032】
本開示において、用語「ビタミンB12」および「コバラミン」は、それらの通常の意味を有し、その両方が、図1Aに示される構造式を有するビタミンのことを指し、式中、Rは、実質的に正常なビタミンB12活性または本明細書中で特許請求される主題の実施形態における使用に適した活性と適合する任意の基を表す。特定の実施形態において、前述の限定ではないが、中央のCo2+イオンに配位結合するリガンドRは、Me、OH、CN、5’−デオキシアデノシルであり得る。さらなる念のためであって限定するわけではないが、ビタミンB12およびその生物学的に活性な誘導体に対する別名としては:B−12、B12、ビタミンB複合体(B Complex Vitamin)、ベズミル(Bedumil)、コバラミン(Cobalamin)、コバラミン(Cobalamine)、コバミン(Cobamin)、コバミン(Cobamine)、ビタミンB複合体(Complexe Vitaminique B)、シアノコバラミン(Cyanocobalamin)、シアノコバラミン(Cyanocobalamine)、シアノコバラミニウム(Cyanocobalaminum)、シコベミン(Cycobemin)、ヒドロキソコバラミン(Hydroxocobalamin)、ヒドロキソコバラミン(Hydroxocobalamine)、ヒドロキソコバラミニウム(Hydroxocobalaminum)、ヒドロキソコベミン(Hydroxocobemine)、ヒドロキソコベミン(Hydroxocobemine)、ヒドロキソコバラミン(Idrossocobalamina)、メチルコバラミン(Methylcobalamin)、メチルコバラミン(Methylcobalamine)、ビタズリン(Vitadurin)、ビタズリン(Vitadurine)、ビタミン(Vitamina)B12、ビタミン(Vitamine)B12、リボフラビン、ビタミンB2;フラビン(Flavin);フラビン(Flavine);ラクトフラビン;リボフラビン;ビタミンB−2;およびビタミンGが挙げられる。
【0033】
同様に、用語「コバラミン化合物」は、ビタミンB12またはコバラミンと実質的に生物学的に等価な化合物のすべてを包含すると理解される。例えば、限定するわけではないが、当業者は、実施形態において、ビタミンB12またはコバラミン化合物に対する言及が、シアノコバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキシルコバラミンおよび他の機能的に等価な化学物質(それらのすべてが当業者によって容易に特定される)を包含すると理解されるべきであることを容易に理解するだろう。
【0034】
実施形態において、コバラミンの種々の改変されたまたは結合体化された形態が、生物学的に有効であり得、そのすべてが、当業者によって容易に認識され、用語「コバラミン化合物」の中に含まれると理解されることがさらに理解されるだろう。広範な態様において、コバラミン化合物は、図1Bに図示される一般構造の任意の化合物を包含し得、式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15は、互いに同じであっても異なってもよく、独立してHであり得るか、または直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、環式シクロアルキルであり得、種々の方法(そのすべてが当業者に容易に明らかである)で分枝され得るかもしくは置換され得、独立して、少なくとも0、1、2、3、4、5、6、7、8個またはそれ以上の炭素原子を含み得るかもしくは含む。特定の実施形態において前述の限定ではないが、中央のCo2+イオンに配位結合するリガンドR15は、Me、OH、CN、5’−デオキシアデノシルであり得る。
【0035】
本開示において、用語「アルカノールアミン」(あるいは「アミノアルコール」とも呼ばれる)は、アルカン骨格上にアルコール基およびアミノ基を含む有機化合物のことを意味する。アルカノールアミンの非限定的な例としては、メタノールアミン、エタノールアミン、ジメチルエタンメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ヘプタミノール、イソエタリン、ノルエピネフリン、プロパノールアミン、ペンタノールアミン、スフィンゴシン、式N(H)R1,R2を有するジ−アルカノールアミンおよび式NR1,R2,R3を有するトリ−アルキルアノールアミンが挙げられる。特定の実施形態において、アルカノールアミンは、エタノールアミンであり得るか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれ以上の炭素原子を有する骨格を含み得、かつ2つ以上のアミン基もしくは2つ以上のヒドロキシル基もしくは2つ以上のアミン基および2つ以上のヒドロキシル基を含み得る。実施形態において、アルカノールアミンは、置換アルカノールアミンであり得る。特定の実施形態において、アルカノールアミンは、エタノールアミンであり得る。念のため、エタノールアミンに対する別名には、モノエタノールアミン、2−アミノエタノール、コラミン、アミノエタノール、2−ヒドロキシエチルアミン、グリシノール、オラミン(Olamine)、エチルオラミン(Ethylolamine)、2−アミノ−1−エタノールが含まれる。特定の実施形態において、アルカノールアミンは、プロピレングリコール、モノイソプロパノール、エチレングリコール、2−1アミノアセトアルデヒド、アミノプロピオニトリル、エチレンジアミン、2−アミノプロパノール、1,2,ジアミノプロパン、N−メトリアミノエタノール(methlyaminoethanol)、2−ヒドロキシエチルヒドラジン、3−アミノ−1−プロパノール、2−フルオロエタノール、グリコールアミド、2−アミノエタノール、(R)−(−)1,2,プロパンジオールからなる群より選択される。
【0036】
本開示において、文脈が他のことを要求しない限り、アルカノールアミンもしくはコバラミン化合物を含む培地もしくは溶液、または「1つの」アルカノールアミンもしくはコバラミン化合物などに対する言及は、2つ、3つまたは複数のアルカノールアミンもしくはコバラミン化合物、またはアルカノールアミンとコバラミン化合物の両方を包含し得ることが理解されるだろう。したがって、限定ではなく例として、培地が1リットルあたり1グラムのアルカノールアミンを含むという詳述は、その1グラムが、種々のアルカノールアミンの混合物(その重量がまとめて合計1グラムの重量である)を含み得ることを企図している。同様におよびまた、限定ではなく例として、混合物が1グラムのコバラミン化合物を含むという規定は、その1グラムが、1つ以上のコバラミン化合物、例えば、メチルコバラミン、シアノコバラミンおよび/または他のコバラミン化合物の一部(そのまとめた量が合計1グラムである)を含むことを企図していると理解されるべきである。
【0037】
本開示において、動詞「緩衝する」は、培養培地であり得る溶液のpHを、当業者に容易に明らかになる方法で所定の範囲内に安定化することを意味する。名詞「緩衝剤」は、溶液のpHを安定化するのに適した化学物質のことを意味する。
【0038】
本開示において、用語「基本」または「コア」培地またはブロスとは、当業者が容易に認識するある特定の必要とされる基本成分を含む不完全なブロスのことを指し、その不完全なブロスの詳細な組成は、培養される微生物の増殖を可能にしつつも変動し得る。したがって、実施形態において、限定するわけではないが、コア培地は、塩、緩衝剤およびタンパク質エキスを含み得、実施形態において、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウムならびに塩化カルシウムを含み得る。実施形態において、1リットルのコア培地は、表1に示される一般的な処方を有し得るが、別の実施形態において、コア培地は、水、寒天、タンパク質、アミノ酸、カエゼイン(caesein)加水分解物、塩、脂質、炭水化物、塩、ミネラルおよびpH緩衝剤のうちの1つ以上を含むかまたは含み得、エキス(例えば、肉エキス、酵母エキス、トリプトン、フィトン、ペプトンおよび麦芽エキス)を含み得、実施形態において、培地は、ルリア・ベルターニ(LB)培地;低塩LB培地(1%ペプトン、0.5%酵母エキスおよび0.5%NaCl)、SOB培地(2%ペプトン、0.5%酵母エキス、10mM NaCl、2.5mM KCl、10mM MgCl、10mM MgSO)、SOC培地(2%ペプトン、0.5%酵母エキス、10mM NaCl、2.5mM KCl、10mM MgCl、10mM MgSO、20mMグルコース)、Superbroth(3.2%ペプトン、2%酵母エキスおよび0.5%NaCl)、2×TY培地(1.6%ペプトン、1%酵母エキスおよび0.5%NaCl)、TerrificBroth(TB)(1.2%ペプトン、2.4%酵母エキス、72mM K2HPO4、17mM KH2PO4および0.4%グリセロール)、LB MillerブロスまたはLB Lennoxブロス(1%ペプトン、0.5%酵母エキスおよび1%NaCl)であり得るか、またはそれらを含み得る。特定の実施形態において、1つ以上の成分がコア培地から省かれることがあることが理解されるだろう。実施形態において、培地は、簡易培地、複合培地または限定培地であり得、強化培地であり得、多種多様の方法(そのすべてが当業者に容易に理解される)で添加され得る。広範な態様において、当業者は、培地が、1種類以上の微生物の増殖の補助に広く適した任意の組成を企図することを理解するだろう。
【0039】
【表1】
【0040】
表1において、XおよびYは、グラムとして表される数値である。XおよびYの各々は、独立して、0.0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0もしくは19.0超、または任意のその間の数であり得、特定の実施形態において、X〜Yの範囲は、XおよびYのいずれかの値によって範囲が定められ得る。特定の実施形態において、酵母エキスは、種々の形態で使用され得、Bacto(商標)Yeast Extractに対する一連の代替物は、当業者によって容易に選択されることが理解されるだろう。例としては、特定の実施形態において、トリプトン、肉エキスおよび植物エキスが好適な代替物であり得、別の緩衝剤が使用され得、いくつかの実施形態では、マグネシウム、カルシウムおよびナトリウムの別の塩が使用され得、特定の実施形態では、マグネシウム、カルシウムおよびナトリウムに対する代替物が選択され得る。当業者は、基本培地に対する処方を特定の目的に適するように容易に適切に調整する。本明細書中に開示される増菌の有効性に適合する基本培地に対する任意およびすべての変化形が、特許請求される主題の範囲内に含まれるように意図されることが理解されるだろう。
【0041】
表2は、コア培地の1つの可能性のある実施形態に対する処方を示している。
【0042】
【表2】
【0043】
当業者は、所望の微生物の増殖が、当該微生物に適した選択された温度において最もよく促進されることを容易に理解するだろう。特定の実施形態において、培養工程は、約39℃において行われ得、使用されるブロスは、試験のためのサンプルの接種の前にこの温度に予熱され得る。本明細書中に開示される実施形態において、培養工程は、33℃〜43℃の任意の温度において行われ得、約33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、もしくは39℃、もしくは40℃、もしくは41℃、もしくは42℃もしくは43℃、または33℃〜34℃、34℃〜35℃、35℃〜36℃、36℃〜37℃、37℃〜38℃、38℃〜39℃、39℃〜40℃、40℃〜41℃、41℃〜42℃もしくは42℃〜43℃、または34℃〜43℃、もしくは35℃〜42℃、もしくは36℃〜42℃、38℃〜42℃、もしくは39℃〜41℃、もしくは39℃〜40℃、もしくは38℃〜39℃、もしくは39℃〜40℃、もしくは40℃〜41℃、もしくは41℃〜42℃もしくは42℃〜43℃の温度において行われ得る。
【0044】
本開示において、培地の「強化(enrichment)」または「添加(supplementing)」とは、1つ以上の所望の微生物の増殖、繁殖または他の特徴を促進するための選択された成分(「サプリメント(supplements)」または集合的に「サプリメント(supplement)」とも呼ばれる)の付加のことを指し、「強化された」または「添加された」培地は、そのように強化された培地である。「強化液」または「添加液」または「サプリメント」または「付加溶液」とは、これらの追加の成分を含む溶液のことを指す。実施形態において、強化液に含まれる成分は、アルカノールアミンとコバラミン化合物との生物学的に有効な組み合わせを含み得、実施形態において、そのアルカノールアミンは、エタノールアミンであり得、コバラミン化合物は、コバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミンからなる群より選択され得る。特定の実施形態において、サプリメントは、サルモネラ属菌または大腸菌属菌の増殖を促進し得るか、または選択し得る。添加液または強化液は、そのような成分の最終的な所望の濃度より実質的に高い濃度の活性成分を含み得、レシピエント培地(recipient medium)のコア成分の体積または濃度に対して望ましくないまたは過剰な変更なしに、そのレシピエント培地へのサプリメントの付加が行われ得ることが理解されるだろう。実施形態において、強化液は、約1mg/mlのコバラミン化合物もしくは約0.125mg/mlのコバラミン化合物または約16.6Mアルカノールアミンを含み得るか、あるいは培地へのコバラミン化合物およびアルカノールアミンの付加が大腸菌属菌およびサルモネラ属菌の増殖を促進するのに生物学的に有効であるような相対濃度および絶対濃度でコバラミン化合物とアルカノールアミンの両方を含み得る。実施形態において、そのアルカノールアミンは、エタノールアミンであり得、コバラミン化合物は、コバラミンであり得る。
【0045】
実施形態において、培地の強化は、約1リットルの培地に、約4mlの0.125mg/mlのコバラミン化合物溶液および約2mlの16.6Mアルカノールアミン溶液を加えることを含み得、実施形態において、アルカノールアミンは、エタノールアミンであり得、コバラミン化合物は、コバラミンであり得る。しかしながら、これらの量が特定の要件に適するように変動し得ることが当業者によって容易に理解されるだろうし、別の実施形態では、最終的な強化培地は、約1×10−6、2×10−6、3×10−6、4×10−6、5×10−6、6×10−6、7×10−6、8×10−6、9×10−6、1×10−5、2×10−5、3×10−5、4×10−5、5×10−5、6×10−5、7×10−5、8×10−5、9×10−5、1×10−4、2×10−4、3×10−4、4×10−4、5×10−4、6×10−4、7×10−4、8×10−4、9×10−4、1×10−3、2×10−3、3×10−3、4×10−3、5×10−3、6×10−3、7×10−3、8×10−3、9×10−3、1×10−2、2×10−2、3×10−2、4×10−2、5×10−2、6×10−2、7×10−2、8×10−2、9×10−2、1×10−1、2×10−1、3×10−1、4×10−1、5×10−1、6×10−1、7×10−1、8×10−1、9×10−1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10g/リットルまたは9×10g/リットル超のコバラミン化合物を含み得、特定の実施形態では、コバラミン化合物は、上限および下限が前述の任意の値によって定義される範囲内であり得、約1×10−3g/リットルであり得、特定の実施形態では、1×10−4〜1×10−1g/リットルもしくは1×10−4〜1g/リットルであり得るか、または1×10−4g/リットル、1×10−3g/リットル、1×10−2g/リットルもしくは1×10−1g/リットル超であり得る。同様に、強化培地中のアルカノールアミンの濃度は、0.02Mアルカノールアミンの近似値であり得るかまたはそれを超えることがあるが、特定の実施形態では、強化培地は、少なくとも約1×10−6、2×10−6、3×10−6、4×10−6、5×10−6、6×10−6、7×10−6、8×10−6、9×10−6、1×10−5、2×10−5、3×10−5、4×10−5、5×10−5、6×10−5、7×10−5、8×10−5、9×10−5、1×10−4、2×10−4、3×10−4、4×10−4、5×10−4、6×10−4、7×10−4、8×10−4、9×10−4、1×10−3、2×10−3、3×10−3、4×10−3、5×10−3、6×10−3、7×10−3、8×10−3、9×10−3、1×10−2、2×10−2、3×10−2、4×10−2、5×10−2、6×10−2、7×10−2、8×10−2、9×10−2、1×10−1、2×10−1、3×10−1、4×10−1、5×10−1、6×10−1、7×10−1、8×10−1、9×10−1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10またはそれらより多いエタノールアミンまたはその生物学的に有効な前駆体もしくは改変された形態を含み得、特定の実施形態では、2×10−3〜2×10−1Mアルカノールアミンを含み得、実施形態において、2×10−3〜2Mアルカノールアミンを含み得、実施形態において、アルカノールアミンは、エタノールアミンであり得るかまたはエタノールアミンを含み得ることが当業者によって容易に理解されるだろう。実施形態に係る強化されたブロスの特定の実施形態において、アルカノールアミンは、約0.001M、0.002M、0.01M、0.02M、0.1Mまたは0.2Mを超える濃度であり得、コバラミン化合物は、約0.001mg/ml、0.01mg/mlまたは0.1mg/mlを超える濃度であり得る。
【0046】
本開示において、「培養条件」は、微生物を培養するためのパラメータのことを意味し、それには、培養培地の化学組成および物理的特性、ならびに培養の温度、撹拌、封じ込めおよび持続時間ならびに微生物の増殖に影響し得る他の任意のパラメータが含まれる。したがって、特定の実施形態において、培養物は、33℃〜43℃の任意の温度において維持され得、約33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃もしくは43℃、または33℃〜34℃、34℃〜35℃、35℃〜36℃、36℃〜37℃、37℃〜38℃、38℃〜39℃、39℃〜40℃、40℃〜41℃、41℃〜42℃もしくは42℃〜43℃、または34℃〜43℃もしくは35℃〜42℃もしくは36℃〜42℃、38℃〜42℃、もしくは39℃〜41℃、もしくは39℃〜40℃、もしくは38℃〜39℃、もしくは39℃〜40℃、もしくは40℃〜41℃もしくは41℃〜42℃、もしくは42℃〜43℃の温度または目的の細菌の増殖に適合する他の任意の温度範囲において行われ得る。特定の実施形態において、培養温度は、約39℃であり得る。本明細書中に開示される培地を使用して微生物を培養するために43℃超および33℃未満の温度も使用され得ることが理解されるが、しかしながら、大腸菌属菌またはサルモネラ属菌の培養を望む場合、43℃〜33℃の範囲を外れる温度は、他の所望でない微生物の相対的により速い増殖をもたらし得るか、または目的の微生物の増殖の促進においてより有効でない場合があることが見出されている。培養培地のpHは、通常、7〜8に設定され、例えば、特定の実施形態において、約7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9もしくは9.0であるか、または前述の値のいずれか2つによって範囲が定められる範囲内であり得る。したがって、特定の実施形態において、培養培地のpHは、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8または7.9の下限および7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9または9.0の上限を有する範囲内である。1つの実施形態において、培地は、7.8〜8.4のpHを有し、別の実施形態において、培地は、7.9〜8.3のpHを有し、なおもさらなる実施形態において、培地は、8.0〜8.2のpHを有する。
【0047】
pH7〜9の範囲を外れるpHも、実施形態において使用可能であり得るが、その培養の効率および選択性に悪影響があり得ることが理解されるだろう。培養物は、サンプルへの接種後の任意の所望の期間にわたって生育され得るが、実施形態において、通常の方法による試験を可能にするのにサルモネラ属菌または大腸菌属菌の含有量を十分に増菌するのに7時間の培養時間で十分であることが見出されている。しかしながら、別の実施形態では、特定の目的のために、培養時間は、それよりも長いかまたは短く、最長1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14時間もしくはそれ以上であるか、またはそれら未満である。当業者は、特定の要件を満たすのに適した培養期間を容易に選択する。
【0048】
本開示において、「微生物」は、病原性のある細菌であり得る細菌のことを意味し、実施形態において、サルモネラ属菌または大腸菌属菌である。特定の実施形態において、サルモネラは、サルモネラ・チフィリウムであり、大腸菌は、大腸菌157、志賀毒素産生大腸菌(STEC)または腸管出血性(Enterohemoragic)大腸菌(EHEC)である。本開示において、微生物を「検出する」は、微生物または微生物の変化が実際に検出されるか否かに関係なく、生物学的サンプル中の微生物の有無または微生物の存在の変化を観察する任意のプロセスのことを意味する。換言すれば、微生物または微生物のレベルの変化についてサンプルを検査する行為は、その微生物が存在しないまたは感度レベル未満であると判定されるとしても「検出」である。検出は、定量的、半定量的または非定量的な観察であり得、1つ以上のコントロールサンプルとの比較に基づき得る。検出は、微生物の有無が評価される任意のサンプルに適用され得、特定の実施形態では、前述の一般性を限定しないが、サンプルは、任意の形態の生物学的材料であるかまたはそれを含み、すりつぶされたまたはすりつぶされていない、食肉、鳥肉、魚肉、海産物、野菜、果実、乳製品、乳、卵、パック詰め食品(packaged food)、缶詰食品、瓶詰食品もしくは包装食品(wrapped food)または拭き取りパッド(swipe pads)もしくは拭い取り繊維(wipes)を含み得る。種々の検出方法が可能であり、これらは、当業者によって容易に選択され、実行されることが理解されるだろう。特定の実施形態において、検出は、PCR、リアルタイムPCR、レクチン、単純拡散、側方拡散、免疫学的検出、ラテラルフローまたはフロースルーの方法を使用して行われ、そのような方法は、EIAおよびELISAに基づくアッセイを含み、蛍光検出または比色検出の組み込みを含み得、免疫クロマトグラフィー技術を含み得、分子手法(例えば、DNAハイブリダイゼーションおよびPCRベースのアッセイ)を組み込み得る。実施形態において、検出は、FoodChek(商標)のMICT(商標)検査法および装置を使用して行われ、ここで、標的検体を殺滅するために、増菌された培養物のアリコートを加熱する。加熱されたサンプルを、病原体の抗原に結合する抗体に結合体化されたナノサイズの磁気粒子を含むサンプル/結合体パッドから構成されるラテラルフローカセットに充填する。その検査は、捕捉ゾーンと呼ばれる細いストリップに第2の抗体も含む。毛細管流動によって、充填された液体はサンプルパッドを通過して結合体パッドに達し、そこで標的細菌は、その抗体でコーティングされた粒子に結合する。この免疫複合体は、捕捉ゾーンに向かってテストストリップ中を流動する。結果は、捕捉ゾーンにおける磁気粒子の蓄積である。標的病原体が存在しない場合、免疫複合体は形成されず、粒子は捕捉ラインに蓄積せず、その検査結果は陰性である。さらに下流では、同様の形式であるが異なる試薬でストリップ状にされた(stripped)コントロールラインによって、その検査が正しく行われたことおよびそれらの試薬がなおも活性であることが確かめられる。そのカセットは、低濃度の磁気粒子を検出することができる機器において読まれる。その検出器は、テストストリップが検出コイル群の下を通過するとき、そのテストストリップに沿って磁場の小さな変化を検知する。そのコイルは、特徴的なシグナルプロファイルが、テストラインまたはコントロールラインに結合した磁気粒子の存在によって生成されるように交互方向に巻かれる。その機器は、検出シグナルを、各個別のカセット上に貼付されたバーコードにコードされている正の閾値の値と比較し、次いで、陽性または陰性の結果を報告する。結果は、その機器の液晶ディスプレイスクリーン上に表示され、印刷されるか、または関連するコンピュータに移される。そのバーコードは、すべての解析パラメータに加えて、検査名、ロット番号および使用期限もコードし、それらは、検査結果とともに印刷される。サルモネラ属菌、大腸菌属菌および他の微生物に対する種々の認識されている検査手順は、当業者に広く知られており、そのような当業者は、そのような好適な検出方法を本明細書中に開示される培養物および培養方法と容易に組み合わせることが理解されるだろう。限定目的ではなく例証目的で、特定の実施形態において、可能性のある検出方法は、米国特許第6483303号;米国特許第6597176号;米国特許第6607922号;米国特許第6927570号;米国特許第7323139号(これらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用され、場合により本明細書の実施形態においてまたは本明細書の実施形態とともに使用され得るFoodChek(商標)MICT(商標)検査法をさらに説明する)のいずれかに開示されている主題を含むかまたは使用する。
【0049】
本開示において、用語「生物学的に有効」は、所望の生物学的効果を有する化合物、化学物質または化合物もしくは化学物質の混合物もしくは組み合わせのことを意味する。したがって、アルカノールアミンとコバラミン化合物との生物学的に有効な混合物または組み合わせに対する言及は、その混合物が、所望の微生物の増殖を優先的に促進する所望の効果を有することを意味し、実施形態において、その微生物は、大腸菌属菌またはサルモネラ属菌のうちの1つ以上であり得る。
【0050】
本開示において、用語「濃縮された」は、1つ以上の化学物質または成分に関して使用される場合、化学物質もしくは成分または化学物質もしくは成分の混合物をそれらの望ましい作用濃度より有意に高い濃度で含む調製物のことを意味する。したがって、例えば、0.02Mの濃度で化学物質を使用することが望まれる場合、その化学物質の好適な濃縮溶液は、20M溶液であり得、その濃縮液を例えば培養培地に加えることによって、その培養培地の他の成分の濃度を別途実質的に変更することなく、所望の作用濃度を得ることができる。
【0051】
本開示において、特定の微生物「の増殖を優先的に促進する」および特定の微生物を「優先的に培養する」という用語および類似の用語は、他の微生物の増殖に優先して特定の微生物の増殖を促進または補助する培養条件に関して使用される。したがって、実施形態において、他の微生物に優先してサルモネラ属菌および大腸菌属菌の増殖および分裂を増加させる方法および培地が開示される。したがって、それらの用語は、特定の微生物の増殖が、サンプル中の他の微生物と比べて増強される(その他の微生物の増殖は阻害され得る)条件または増大し得る条件のことを示し、いずれの場合も、所望の促進される微生物の割合は、その培養物中の他の微生物と比べて上昇する。実施形態において、培養物の増殖は、もっぱらまたは実質的にもっぱら、目的の微生物の増殖であり得る。
【0052】
本開示において、用語「サンプル」および「生物学的サンプル」は、その文脈と一致する、最も広い可能性のある同じ意味を有し、限定するわけではないが、通常、目的の1つ以上の微生物の存在について試験されることが望まれるもののことを指し、それが実際に任意の微生物または目的の任意の微生物を含むか否かおよびそれがサルモネラ属菌または大腸菌属菌を含むか否かに関係なく、そのような主題のすべてを包含する。実施形態において、サンプルは、ある片もしくは部分を採取することによって、または拭き取り、拭い取り、濾過、塗抹もしくは他の任意の好適な方法(それらのすべてが、当業者によって容易に理解され、実行され、選択される)を使用することによって、得られ得る。特定の実施形態において、サンプルは、食品の原料であるかもしくはそれを含むか、または植物もしくは動物材料であるかもしくはそれを含むか、あるいは食肉、海産物、魚肉、野菜、果実、サラダ、予め作られた食事、卵、乳製品、混合されたおよび混合されていない食品の原料、缶詰品、または他の任意の形態の新鮮な、生の、調理された、調理されていない、冷凍された、冷蔵された、すりつぶされた、切り刻まれた、缶詰された、パック詰めされた、加熱処理された、乾燥された、貯蔵された、精製されたもしくは保存された食材の何でもであるかもしくはそれらを含む。さらなる実施形態において、サンプルは、目的の微生物が存在するかを判定することが望まれる環境、表面、容器または場所から採取され得、例えば、限定するわけではないが、調理場表面、料理表面、食品貯蔵容器、食器、冷蔵庫、冷凍庫、陳列容器、包装材料、生きている植物および動物、ならびに使用者にとって興味深い可能性がある他の任意の環境、場所、表面または材料の何でもである。当業者は、実施形態において使用するための任意のサンプルを選択する、得るおよび取り扱うのに適した方法を理解し、実行する。選択された実施形態において、サンプルは、食肉、魚肉、海産物、野菜、卵または乳製品のサンプルである。
【0053】
ある実施形態の培養培地:
ある実施形態において、生物学的に有効な濃度の:コバラミン化合物およびアルカノールアミンを含む培養培地が開示される。その実施形態の変化形において、その実施形態の他の変化形を限定しないが、コバラミン化合物は、コバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミンからなる群より選択される。その実施形態の特定の変化形において、アルカノールアミンは、エタノールアミンである。実施形態において、培養培地は、細菌の培養培地であり、実施形態において、細菌は、サルモネラ属菌および大腸菌属菌または前述のもののいずれかであるかまたはそれらを含む。その実施形態の変化形において、細菌は、サルモネラ・チフィリウム、大腸菌157、志賀毒素産生大腸菌もしくは腸管出血性大腸菌であるか、またはそれらを含み得る。
【0054】
その実施形態の変化形において、コバラミン化合物は、0.002Mより高い濃度で存在し、アルカノールアミンは、0.001mg/リットルより高い濃度で存在する。一連の変化形において、大腸菌は、大腸菌157であり、サルモネラは、サルモネラ・チフィリウムであり、ある実施形態では、生物学的サンプルは、食品サンプル(それは食肉サンプルであり得、すりつぶされた食肉サンプルであり得る)である。
【0055】
実施形態の例:
組成物の非限定的な例の組成および用途ならびに実施形態に係る培地の例の使用法は、以下のとおりである。
【0056】
培地を調製するために、14,2gの粉末のコア培地成分を1リットルの蒸留水に懸濁する。この例に係るコア培地の組成を表3に示す。最終的な容器に分注し、121℃で15分間オートクレーブすることによって滅菌する。室温に冷却する。使用前に、1リットルあたり2mLのエタノールアミン溶液(サプリメント1)および1リットルあたり0,5mLのビタミンB12(サプリメント2)を加える。十分混合する。これらのサプリメントは、表4にさらに例証されている。その培地のpHは、7.9〜8.5であり、目標値は約8.2である。
【0057】
それらの成分に対する製造者の情報が提供されるが、これは、単に例としてであって、限定の意図はないことが理解されるだろう。当業者は、同じもしくは等価な材料または好適なグレードが一連の別の供給源から入手され得ることを容易に理解し、当業者は、表3に列挙されている成分に対する好適な代替物を容易に決定する。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
品質管理の場合
性能:S.チフィリウム(S.Typhimurium) ATCC14028および大腸菌O157:H7 ATCC43895を接種することによって調製された培地1リットルあたり10mLを試験する。両方が、好適なインキュベーション期間の後にその培地中で生育されるべきである。ネガティブコントロールは、いかなる接種材料もなしに、同じ培地を同じまたはそれより長い時間にわたってインキュベートすることである。そこには、細菌または微生物の明らかな増殖はないはずである。
【0061】
前述の混合物(「基本」または「コア」ブロスまたは「培地」とも呼ばれる)が冷却されると、コアブロスを強化するためまたは添加するための組成物が加えられる(その組成物は、エタノールアミンおよびビタミンB12を含む)。実際には、エタノールアミンおよびビタミンB12は、使用の直前に培地に加えられ得る。そのビタミン溶液およびエタノールアミンは使用前に滅菌されるべきであることが当業者によって理解されるだろう。ある実施形態において、ビタミンB12溶液は、水1mlあたり1mgのビタミンB12(1mg/mL)を混合することによって調製され、濃縮されたエタノールアミンおよびビタミンB12溶液は、使用前に濾過滅菌される。
【0062】
当業者は、便宜上、基本ブロスまたは完全ブロスが濃縮物として調製され得、使用が望まれるときに滅菌水で希釈され得ることも容易に理解するだろう。
【0063】
実施形態において、次いで、生物学的サンプルが、所望の体積の強化培地に加えられ、所望の温度で所望の期間にわたって維持される。検出される微生物が、サルモネラ属菌である場合、その実施形態のある例では、培養培地の温度は、約38℃〜40℃であり、さらなる変化形では、約39℃である。実施形態において、その培養物は、任意の所望のまたは必要な撹拌とともに、任意の所望の時間にわたって、所望の温度で維持される。培養の目的が、目的の微生物の検出である場合、約7(7)時間またはそれ以上の培養時間が、ほとんどの試験手順にとって適切であり得るが、特定の変化形の実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10時間またはそれ以上の時間が、選択されるだろう。しかしながら、当業者は、特定の目的にとって必要であり得るかまたは望まれ得るように、培養条件の時間、撹拌および温度を容易に調整し得る。
【0064】
ある実施形態に係る培養方法:
さらなる実施形態において、生物学的サンプルを培養するための方法が開示され、その方法は、そのサンプルを生物学的に有効な濃度の:コバラミン化合物およびアルカノールアミンの存在下においてインキュベートする工程を包含する。その実施形態の変化形において、その培地は、培養培地の実施形態に係る培地である。特定の実施形態において、コバラミン化合物は、コバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミンからなる群より選択され;実施形態において、アルカノールアミンは、エタノールアミンである。その実施形態に係る方法は、細菌を培養するための方法であり得る。その実施形態の変化形において、細菌は、サルモネラ属菌もしくは大腸菌属菌であるか、またはサルモネラ属菌と大腸菌属菌の両方を包含する。その実施形態の変化形において、細菌は、サルモネラ・チフィリウム、大腸菌157、志賀毒素産生大腸菌または腸管出血性大腸菌を包含する。その実施形態の変化形において、アルカノールアミンは、0.002M、0.02Mまたは0.2Mより高い濃度で存在し得、コバラミン化合物は、0.001g/リットル、0.01g/リットルまたは0.1g/リットルより高い濃度で存在し得る。実施形態において、上記方法は、生物学的サンプル中のサルモネラ属菌もしくは大腸菌属菌またはその両方を検出するための方法である。
【0065】
実施形態において、上記方法は、PCR、レクチン結合、単純拡散、側方拡散、抗体結合、ラテラルフローまたはフロースルーの工程を包含する。
【0066】
さらなる実施形態において、上記方法は、培地中でサルモネラ属菌および大腸菌属菌を優先的に培養するための方法であり、その方法は、培地に生物学的に有効な濃度のコバラミン化合物およびアルカノールアミンを添加する工程を包含する。
【0067】
ある実施形態に係る培地サプリメント:
さらなる一連の実施形態において、培養培地に添加するための組成物が開示される。実施形態において、そのような組成物は、コバラミン化合物およびアルカノールアミンを含む。その実施形態の変化形において、限定するわけではないが、コバラミン化合物は、コバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミンからなる群より選択される。実施形態において、アルカノールアミンは、エタノールアミンである。実施形態において、その組成物は、細菌の増殖用である。実施形態において、その細菌は、サルモネラ属菌または大腸菌属菌であるかまたはそれらを含み、実施形態において、サルモネラ・チフィリウム、大腸菌157、志賀毒素産生大腸菌および腸管出血性大腸菌である。
【0068】
ある実施形態に係る細菌を検出するための方法:
さらなる実施形態において、生物学的サンプル中の細菌を検出するための方法が開示される。実施形態において、他の実施形態を限定するわけではないが、その細菌は、大腸菌属菌およびサルモネラ属菌のいずれかまたはその両方であるかまたはそれらを含む。その実施形態の特定の変化形において、その方法は、エタノールアミンとコバラミン化合物との生物学的に有効な組み合わせの存在下においてサンプルを培養する工程を包含する。実施形態において、コバラミン化合物は、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミンからなる群より選択される。
【0069】
その実施形態の変化形において、サンプル中のサルモネラ属菌または大腸菌属菌であり得る微生物を検出するための方法が開示される。その実施形態の変化形において、その方法は、順を追って:生物学的に有効な量のエタノールアミンおよびコバラミン化合物を含むある体積の培地中でサンプルを培養する工程;ならびにその培養物中の大腸菌属菌またはサルモネラ属菌を検出する工程を包含する。その実施形態において、エタノールアミンおよびビタミンB12の濃度は、他の実施形態と一致して選択される。実施形態において、培養物は、微生物を検出する前に、目的の微生物の増殖を可能にするのに好適な温度および他の条件において好適な時間にわたってインキュベートされる。特定の実施形態において、検出工程は、PCR、レクチン、単純拡散、側方拡散、免疫学的検出、ラテラルフローもしくはフロースルーの方法を使用することによって細菌を検出する工程を包含するか、または他の任意の好適な検出方法を使用し得る。
【0070】
ある実施形態に係る培地中で微生物を好適な培養条件下で好適な時間にわたって培養した後、目的の微生物の存在が、当業者に容易に明らかな一連の方法のいずれか1つによって検出される。そのような方法としては、PCR検出、リアルタイムPCR検出、レクチン結合、単純拡散、側方拡散、免疫学的検出、ラテラルフローまたはフロースルーの方法が挙げられるがこれらに限定されない。限定するわけではないが、免疫学的方法としては、免疫沈降、ブロッティング、イムノラジオアッセイもしくは磁気リガンドに関連する免疫沈降が挙げられるか、または他の任意の好適な免疫学的方法を含み得る。特定の実施形態において、培養物のアリコートは、検査前に微生物を殺滅するために加熱されるかまたは別途処理される。加熱されたサンプルは、目的の微生物に特徴的な抗原(antigents)または核酸配列の存在を識別する所望の方法によって処理される。
【0071】
1つの実施形態において、培地は、FoodChekの専売の検査法とともに使用される。そのような方法は、本明細書中でMICTと呼ばれる。広範には、MICTプロセスの1つの実施形態において、増菌された培養物のアリコートは、標的検体を殺滅するために加熱され得る。加熱されたサンプルは、病原体の抗原に結合する抗体に結合体化されたナノサイズの磁気粒子を含むサンプル/結合体パッドから構成されるラテラルフローカセットに充填される。その検査は、捕捉ゾーンと呼ばれる細いストリップに第2の抗体も含む。毛細管流動によって、充填された液体はサンプルパッドを通過して結合体パッドに達し、そこで標的細菌は、その抗体でコーティングされた粒子に結合する。この免疫複合体は、捕捉ゾーンに向かってテストストリップ中を流動する。結果は、捕捉ゾーンにおける磁気粒子の蓄積である。標的病原体が存在しない場合、免疫複合体は形成されず、粒子は捕捉ラインに蓄積せず、その検査結果は陰性である。さらに下流では、同様の形式であるが異なる試薬でストリップ状にされたコントロールラインによって、その検査が正しく行われたことおよびそれらの試薬がなおも活性であることが確かめられる。そのカセットは、低濃度の磁気粒子を検出することができる機器において読まれる。その検出器は、テストストリップが検出コイル群の下を通過するとき、そのテストストリップに沿って磁場の小さな変化を検知する。そのコイルは、特徴的なシグナルプロファイルが、テストラインまたはコントロールラインに結合した磁気粒子の存在によって生成されるように交互方向に巻かれる。その機器は、検出シグナルを、各個別のカセット上に貼付されたバーコードにコードされている正の閾値の値と比較し、次いで、陽性または陰性の結果を報告する。結果は、その機器の液晶ディスプレイスクリーン上に表示され、印刷されるか、または関連するコンピュータに移される。そのバーコードは、すべての解析パラメータに加えて、検査名、ロット番号および使用期限もコードし、それらは、検査結果とともに印刷される。MICTの方法および装置の実施形態は、米国特許第7323139号、米国特許第6927570号、米国特許第6607922号、米国特許第6597176号、米国特許第6518747号、米国特許第6483303号、米国特許第6046585号、米国特許第6275031号、米国特許第6437563号(これらの開示全体が参照により本明細書に援用される)の1つ以上に示されている。当業者は、多種多様の別の検査方法が使用され得ることを容易に理解するだろう。
【0072】
実施形態に係る培地は、サルモネラの単離および同定のための標準的なプロトコルにおける少なくとも第1の増菌工程を置き換え得る。
【0073】
実施形態において、約1cfuしか含まない可能性がある最初の接種材料からおよそ7時間のインキュベーションにおいて、いくつかの現行の検出法に必要な標的微生物レベル(すなわち約10〜10cfu/ml)に達することが可能である。他の実施形態では、そのようなレベルに達することが可能であり得る。実施形態において、検出工程は、MICTプロセスを使用し得る。実施形態において、最初のサンプルは、食肉であり得、そのサンプルは、約375gの食肉であり得るが、しかしながら、当業者は、任意の好適なサイズおよび性質のサンプルが特定の目的のために選択され得ることを認識するだろう。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、上記の実施形態の例証として提示されるものであって、特許請求される様々な実施形態の主題の範囲を限定しない。
【0075】
表5は、サルモネラ細菌を培養するための培地(ActeroSalmonella/STEC増菌培地とも呼ばれる)に対する処方を示している。
【0076】
その実施形態に係る培地の組成および使用法は、以下のとおりである。14,2gの粉末培地成分を1リットルの蒸留水に懸濁する。最終的な容器に分注し、121℃で15分間オートクレーブすることによって滅菌する。室温に冷却する。使用前に、1リットルあたり2mLのエタノールアミン溶液(サプリメント1)および1リットルあたり0,5mLのビタミンB12(サプリメント2)を加える。十分混合する。その培地のpHは、7.9〜8.5であり、目標値は約8.2である。
【0077】
【表5】
【0078】
品質管理の場合
性能:S.チフィリウム ATCC14028および大腸菌O157:H7 ATCC43895を接種することによって調製された培地1リットルあたり10mLを試験する。両方が、好適なインキュベーション期間の後にその培地中で生育されるべきである。ネガティブコントロールは、いかなる接種材料もなしに、同じ培地を同じまたはそれより長い時間にわたってインキュベートすることである。そこには、細菌または微生物の明らかな増殖はないはずである。
【0079】
上記混合物(「基本」または「コア」培地またはブロスとも呼ばれる)が冷却されたら、エタノールアミンおよびビタミンB12が加えられる。一般に、そのエタノールアミンおよびビタミンB12は、使用の直前に培地に加えられる。そのビタミン溶液およびエタノールアミンは使用前に滅菌されるべきであることが当業者によって理解されるだろう。実際には、そのビタミンB12溶液は、水1mlあたり1mg(1mg/mL)または1mlあたり1mg(1mg/ml)を混合することによって調製され、そのエタノールアミンおよびビタミンB12溶液は、濾過滅菌される。
【0080】
当業者は、便宜上、基本ブロスまたは完全ブロスが濃縮物として調製され得、使用が望まれるときに滅菌水で希釈され得ることも容易に理解するだろう。
【0081】
試験方法
325gのすりつぶされた複合牛肉サンプルに対するサンプルを調製する。
1.培地を恒温器内で一晩(10〜20時間)またはウォーターバス内で数時間保持することによって、基本培地を39℃に予熱する。
2.増菌の直前に、2mLのエタノールアミンおよび500μLの1mg/mLのB12ビタミン溶液を1Lの予熱された基本培地に加える。回転させ、反転させることによって、十分に混合する。
3.フィルター付きのストマッカーバッグにおいて、2部の予熱された培地(エタノールアミンとB12ビタミンの両方を含む)を1部のサンプルに(例えば、650mLの添加された培地を325gのすりつぶされた牛肉に)加える。
4.Stomacher(登録商標)3500において150rpmで30秒間、サンプルをストマッキング処理する。
5.バッグを緩く閉じ、増菌のためにサンプルをウォーターバスにおいて39℃で7時間インキュベートする。多数のサンプルが解析される場合、サンプルバッグの間の水の温度が、インキュベーション時間を記録し始める前に39℃に達していることを確かめる。有益かつ正確な結果を得るためには、増菌時間を正確に管理することが重要である。
6.7時間後、サンプルをウォーターバスから取りだし、内容物を再懸濁する。
【0082】
サンプルが調製されたら、上に記載されたようなFoodChekの解析プロセスを使用して、または任意の従来の試験方法を使用して、サルモネラ属菌または大腸菌属菌が検出され得る。1つの例において、サルモネラ属菌は、好適な選択的抗体を使用して検出され得る。適切な感度の検出方法を使用する実施形態において、感度は、1cfu/325gのすりつぶされた牛肉であり得る。そのような適切な感度の検出方法は、選択的抗体の使用を含み得る。
【0083】
さらなる実施例
補給物および試薬:蒸留/脱イオン滅菌水。任意の供給源;テトラチオネートブロス(TT)−Quelab Laboratories,Quebec,Canada;Rappaport−Vassiliadis大豆ペプトンブロス(RVS)−Oxoid,Hampshire,England;Rappaport−Vassiliadisブロス(RV);キシロースリジンTergitol−4寒天(XLT4)−Difco Becton Dickinson,New Jersey,USA;BGスルファ寒天(BGS)−Difco Becton Dickinson,New Jersey,USA;キシロースリジンデオキシコレート寒天(XLD)−Quelab Laboratories,Quebec,Canada;Hektoen Enteric寒天(HE)−Quelab Laboratories,Quebec,Canada;トリプルシュガーアイアン(TSI)−Difco Becton Dickinson,New Jersey,USA;リジン鉄寒天(LIA)−BBL Becton Dickinson,New Jersey,USA;Salmonella抗血清−Difco Becton Dickinson,New Jersey,USA;腸内細菌科(enterobacteriacae)の識別用のAPI20Eキット−Biomerieux,Marcy−L’etoile,France;プラスチック接種針および10μL白金耳(calibrated loops)。任意の供給源;滅菌ピペット,10mL−任意の供給源。
【0084】
装置:39℃±0.5を提供することができる据置型恒温器Symphony(商標)(VWR,USA)または等価物;35℃±2.0を提供することができる据置型恒温器,モデル1555(VWR,USA)または等価物;39℃±0.5を提供することができるウォーターバス(Polyscience,USA)または等価物;42℃±0.2を提供することができるサーモスタット制御式の循環式ウォーターバス(Lindberg/Blue,USA)または等価物;43℃±0.2を提供することができるサーモスタット制御式の循環式ウォーターバス(Lindberg/Blue,USA)または等価物;500μLを正確に分注することができるマイクロピペット−任意の供給源;25、100および325gのサンプルを計量するための上皿天秤−任意の供給源;強化ブロス中で食品サンプルを十分混合するためのストマッカー−Sewardモデル3500(Seward,London,England)または等価物;強化ブロス中で食品サンプルを十分混合するためのストマッカー−Seward Model 400(Seward,London,England)または等価物;ボルテックスミキサー(VWR,USA)。
【0085】
培地の一般的な調製法:ActeroSalmonella/STECを調製するために、14.2gの粉末培地を1リットルの蒸留水に懸濁し、十分混合する。最終的な容器に分注し、121℃で15分間オートクレーブすることによって滅菌する。室温に冷却する。場合よっては、調製の直後に培地を使用する場合、その培地をオートクレーブする必要はないことが見出されているが、この場合、その培地を調製するために滅菌水を使用することが好ましい。使用前に、2mLのサプリメント1(16.6Mエタノールアミン)および0,5mLのサプリメント2(1mg/mlビタミンB12)を1リットルのコア培地に無菌状態において加える。
【0086】
製造者の指示書に従って他の培地を調製する。
さらなる材料および試薬:5%のヒツジ血液を含むTrypticase大豆寒天プレート(血液寒天)−BBL Becton Dickinson,New Jersey,USA;TTブロス(TT Hajna)−Quelab Laboratories,Quebec,Canada;トリプトン大豆寒天(TSA)−Quelab Laboratories,Quebec,Canada;トリプトン大豆ブロス(TSB)−Oxoid,Hampshire,England;プレートカウント寒天(PCA);リン酸緩衝食塩水(PBS)−Oxoid,Hampshire,England;改変レインボー寒天(mRBA)−Biolog,California,USA;亜硫酸ビスマス寒天(BS)−Difco Becton Dickinson,New Jersey,USA;ラクトースブロス−Quelab Laboratories,Quebec,Canada;緩衝ペプトン水(BPW)−Fluka Analytical,St−Louis,USA;55℃±0.2を提供することができる等温ウォーターバス(Fisher Scientific,USA)または等価物。公定法(reference methods)を行うために必要な材料、方法および試薬は、USDA/FSIS Microbiology Laboratory guidebook,3rd Edition,Rev.#4,http://www.fsis.usda.gov/PDF/MLG_4_05.pdfにおけるIsolation and identification of Salmonella from,meat,poultry and eggs productsという標題のChapter4;USDA/FSIS Microbiology Laboratory guidebook,3rd Edition,Rev.#1,http://www.fsis.usda.gov/PDF/Mlq_5B_01.pdf におけるDetection and Isolation of non−O157 Shiga−toxin Producing Escherichia coli(STEC)from Meat Productsという標題のChapter5B;FDA Bacterial Analytical Manual,8th Edition,November 2011 Version,http://www.fda.gov/Food/ScienceResearch/LaboratoryMethods/BacteriologicalAnalyticalManualBAM/ucm070149.htmにおけるSalmonellaという標題のChapter5にさらに詳述されている。
【0087】
サンプル調製:サンプル調製は、そのサンプルのタイプおよびサイズに依存する。したがって、サンプルを調製するプロトコルは、それらの状態を反映するように選択される。選択されたサンプルタイプに対する調製方法を下記でさらに説明する。
【0088】
解析:サンプルの解析は、そのサンプルのタイプに依存する。したがって、そのサンプルを調製するプロトコルは、サンプルタイプを反映するように選択されるべきである。
【0089】
解釈および試験結果報告:結果は、US FDA Bacteriological Analytical Manual Chapter5ならびにUSDA FSIS Microbiology Laboratory Guidebook Chapter4.05および5B.01に従って確かめられる。これらの両方が、当業者によって十分に理解され、法律が許す限り、それらの全体が参照により本明細書中に援用される。
【0090】
内部妥当性確認研究:
以下の妥当性確認研究を行った:
1.ロバストネス研究:
2つのパラメータ:温度およびインキュベーション時間を改変する(modfying)効果を評価するロバストネス研究を行った。そのロバストネスの変数およびそれらのそれぞれの範囲を表6に示す。
【0091】
方法:選択寒天プレート上での3つの純粋培養物の増殖の解析によって、各試験範囲条件を評価した。サルモネラ属菌の代表としてS.チフィリウム ATCC14028を選択し、XLT4およびBGS寒天プレートにおける結果を解析した。STECとして大腸菌O157:H7 ATCC43895を選択し、改変レインボー寒天上で解析し、非標的菌株としてE.フェカリス(E.faecalis) ATCC19433を選択し、XLT4、BGSおよび改変レインボー寒天上で解析した。
【0092】
上記3つのパラメータのために、上記菌株を、5%ヒツジ血液を含むTrypticase大豆寒天(血液寒天とも呼ばれる)上に画線し、35℃±1℃で一晩インキュベートした。標的菌株のいくつかのコロニーを、35℃±1℃において6〜7時間、9mLのTSBに移した。各培養物を新鮮TSBにおいて1:10希釈し、同じ温度において一晩インキュベートした。次いで、低接種レベル(fractional inoculation level)(1サンプルあたり0.5cfu)が得られるようにこれらの培養物をActeroSalmonella/STEC ActeroSalmonella/STECブロスにおいて希釈した。その培養物を、評価されるパラメータ以外は標準的なプロトコルを使用して生育した。
【0093】
非標的菌株については、接種レベルが10倍高いことを除いては同じ培養方法を使用した。各標的の10反復および非標的の5反復を、各パラメータについて試験した。
【0094】
結果:結果に対して行われたPOD(検出確率)解析によると、有意差は観察されなかった(表6)。最も端の条件のdPOD(検出確率の差)の信頼区間は、ゼロを含むので、各パラメータ間に統計的有意差はない。ゆえに、試験される温度および時間の小さな変更は、ActeroSalmonella/STECがS.チフィリウム ATCC14028および大腸菌O157:H7 ATCC43895を回収する能力に有意に影響しなかった。いずれの場合も、ActeroSalmonella/STECサンプル中に非標的菌株E.フェカリス ATCC19433の存在は検出されなかった(データ示さず)。
【0095】
【表6】
【0096】
2.包括的研究(Inclusivity Studies):
上記ブロスがサルモネラ属菌およびSTEC菌株を増菌する能力を試験するために、サルモネラのほとんどすべての種(ラクトース陽性菌株を含む)に相当する109(109)個のサルモネラ菌株(表7)およびSTEC種(「ビッグシックス」および大腸菌O157ファミリーに属する菌株)に相当する50個の志賀毒素産生大腸菌菌株(STEC)(表8)を解析した。
【0097】
方法:すべてのサルモネラ属菌およびSTEC菌株を血液寒天上に画線し、35℃において一晩インキュベートした。いくつかのコロニーを、35℃において6〜7時間、10mLのTSBに移した。各培養物を新鮮TSBにおいて1:10希釈し、同じ温度において一晩インキュベートした。次いで、ActeroSalmonella/STECブロスに低濃度(1.0〜20CFU/mL)の菌株を接種するためにその培養物を希釈した。各菌株を3つ組で培養した。その培養物を39±0.5℃においてウォーターバス内で7時間生育した。10μLの各サンプルをサルモネラ選択寒天プレート(XLT4、BGS、XLDおよびHE)上に画線することによって、サルモネラ菌株の増殖を解析した。STEC菌株の場合、改変レインボー寒天プレート上に画線することによって、増殖を確かめた。
【0098】
結果:サルモネラ属菌およびSTEC菌株に対する包括的研究の結果をそれぞれ表7および8に要約する。ActeroSalmonella/STECブロスにおいて試験された110個のサルモネラの菌株のうち、6つが遅い増殖を示し、3つは生育しなかった。全体で、109個のうち106個(97.2%)のサルモネラ菌株が、ActeroSalmonella/STECブロスにおいて生育し、特定の選択寒天プレート上で識別することができた。STEC種に関しては、試験された50個(100%)の菌株が、ActeroSalmonella/STECブロスにおいて生育し、選択寒天プレート上で識別することができたが、2つは、その他と比べて遅い増殖を示す。ゆえに、全体的には、標的菌株の98.1%が、増菌用に使用された条件において識別された。
【0099】
【表7-1】
【0100】
【表7-2】
【0101】
【表7-3】
【0102】
【表8-1】
【0103】
【表8-2】
【0104】
3.排他的研究(Exclusivity Studies):
サルモネラおよび大腸菌の遺伝的近縁種として選択された31(31)個の非標的菌株ならびに同じ環境に見られた種をActeroSalmonella/STEC増菌培地において試験した。それらは、細菌および酵母の異なる25個の属である。
【0105】
方法:各非標的菌株を血液寒天上に画線し、35℃において一晩インキュベートした。次いで、各非標的菌株をそれらの最適条件において培養した。各細菌懸濁液を希釈して、標的菌株に対して使用される平均濃度より10倍高い平均濃度でActeroSalmonella/STECブロスに接種した。この工程を3つ組で行った。そのActeroSalmonella/STECブロス中での増殖を39±0.5℃において、ウォーターバス内で7時間および恒温器内で18時間試験した。次いで、それらをサルモネラおよびSTECに対する特定の選択寒天プレート上で解析することにより、それらが生育しているか、およびActeroSalmonella/STECブロスが何らかの理由で、結果の誤解釈を招き得る表現型を変化させたかを検証した。
【0106】
結果:排他性の結果を表9に要約する。ほとんどの非標的菌株は、選択寒天プレート上で生育しなかった。増殖が観察できたものはいずれも、サルモネラもしくはSTEC菌株に類似し得る表現型を示さなかったか、または選択寒天プレート上の結果の誤解釈を招き得る表現型を示さなかった。
【0107】
【表9】
【0108】
4.サンプル調製:種々の食品のすべてを、実験を行っている場所の近くの小売店から購入した。
【0109】
5.食品の試験:マトリックス研究(5つのタイプの食品を使用する)を行うことにより、標準的な増菌と比較して、サルモネラおよびSTEC菌株をActeroSalmonella/STECブロスから回収する能力を評価した。試験される食品のタイプに応じて、種々の増菌条件を使用した。上記食品は、2つの理由により選択された:1)関連する形態の食中毒または汚染の発生における影響の頻繁さおよび2)標的菌株によって補助されるストレスタイプ(低温および熱ストレス)の機能。
【0110】
方法:
全液卵:
サンプル調製:S.エンテリティディス(S.enteritidis)(鶏手羽肉から単離されたもの)をTSBA上に画線し、35℃において一晩インキュベートした。いくつかのコロニーを、35℃において6〜7時間、9mLのTSBに移した。その培養物を新鮮TSBにおいて1:10希釈し、同じ温度において一晩インキュベートした。接種前に、1.5mLの培養物を、ウォーターバス内で55℃において2分間加熱処理することにより、接種材料の50〜80%の損傷を行った。選択および非選択寒天プレート上での増殖を比較することによって、損傷の程度を測定した。接種材料に対して得られた損傷の程度は、63%だった。5500mLの全液卵に、部分的陽性(fractionally positives)の結果(1CFU/100g)が得られるレベルで接種し、手で振り混ぜることによって均質化した。1500mLの全液卵を接種しないままにした。その2つの部分を4℃において48時間貯蔵することにより、細菌をその食品中で安定化させた。安定化の期間の後の汚染レベルを推定するためにMPN(最確数)解析を準備した。接種部分を、2セットの20個の100gのサンプルに分割し、非接種部分をフィルター付きのストマッカーバッグにおいて10個の100gのサンプルに分割した。
【0111】
ActeroSalmonella/STEC増菌:1セット(20個の接種サンプルおよび5個の非接種サンプル)を、300mLの予熱されたActeroSalmonella/STECブロスとともに30秒間ストマッキング処理し、ウォーターバス内で39±0.5℃において7時間インキュベートした。次いで、そのサンプルを、ブリリアントグリーンサルファ寒天(BGS)およびキシロースリジンTergitol4寒天(XLT4)上に直接画線し、すべての推定コロニーを、サルモネラに対するUSDA/FSIS参照プロトコルに従って、生化学的手順および血清学的手順によって確認した。
【0112】
ActeroSalmonella/STEC増菌の確認:増菌されたActeroSalmonella/STECサンプルから0.5mlを10mLのテトラチオネート(Hajna)ブロスに移し、0.1mlを10mLの改変Rappaport−Vassiliadis大豆ブロス(RVS)に移し、42±0.5℃において22〜24時間インキュベートした。次いで、それらをBGSおよびXLT4に画線し、35℃において18〜24時間インキュベートした。コロニーが小さいかまたは肉眼で見えない場合、それらをさらに18〜24時間、再インキュベートした。プレート1枚あたり最大3つの典型的なコロニーを拾い、TSIおよびLIAの斜面に移した。MLG4.05におけるような生化学的手順および血清学的手順を行うことにより、陽性のサンプルを確かめた。
【0113】
公定法による増菌:第2のセット(20個の接種サンプルおよび5個の非接種サンプル)を、35±2.0℃において18〜24時間、900mLの緩衝ペプトン水において増菌し、次いで、サルモネラに対するUSDA/FSIS参照プロトコルに従って処理した。MPNサンプルを同じ方法で処理した。すべての推定陽性サンプルを、USDA/FSISが推奨する生化学的および血清学的同定にまわした。
【0114】
未加工冷凍ホタテガイ:
サンプル調製:S.セントポール(S.saintpaul)を血液寒天上に画線し、35℃において一晩インキュベートした。いくつかのコロニーを、35℃において6〜7時間、9mLのTSBに移した。その培養物を新鮮TSBにおいて1:10希釈し、同じ温度において一晩インキュベートした。1700グラム(1700g)の未加工冷凍ホタテガイに、部分的陽性の結果(1.25CFU/25g)が得られるレベルで接種し、手で振り混ぜることによって均質化した。300グラム(300g)の未加工冷凍ホタテガイを接種しないままにした。その2つの部分をマイナス20℃において2週間貯蔵することにより、細菌をその食品中で安定化させた。安定化の期間の後の汚染のレベルを推定するためにMPN(最確数)解析を準備した。接種部分を、2セットの20個の25gのサンプルに分割し、非接種部分を2セットの5個の25gのサンプルに分割した。
【0115】
ActeroSalmonella/STEC増菌:1セット(20個の接種サンプルおよび5個の非接種サンプル)を、50mLの予熱されたActeroSalmonella/STECブロスとともに30秒間ストマッキング処理し、ウォーターバス内で39±0.5℃において7時間インキュベートした。次いで、そのサンプルを、キシロースリジンデオキシコレート寒天(XLD)およびHektoen Enteric寒天(HE)上に直接画線し、すべての推定コロニーを、サルモネラに対するBAM5参照プロトコルに従って、生化学的手順および血清学的手順によって確認した。
【0116】
ActeroSalmonella/STEC増菌の確認:増菌されたActeroSalmonella/STECサンプルから1.0mlを10mLのテトラチオネートブロスに移し、0.1mlを10mLのRappaport−Vassiliadisブロス(RV)に移し、それぞれ35±2℃および42±0.5℃において22〜24時間インキュベートした。次いで、それらをBam5におけるように選択寒天プレート上に画線し、サルモネラに対するBAM5参照プロトコルに従って、生化学的手順および血清学的手順によって推定陽性を確かめた。
【0117】
公定法による増菌:第2のセットのサンプル(20個の接種および5個の非接種)を、35±2℃において24±2時間インキュベートし、サルモネラに対するBAM5公定法におけるように処理した225mLのラクトースブロスにおいて増菌した。すべての推定陽性サンプルを、FDAが推奨するような生化学的および血清学的同定にまわした。
【0118】
生のすりつぶされた鶏肉:
サンプル調製:自然に汚染された生のすりつぶされた鶏肉を使用した。部分的(低レベル)陽性の結果を得るために、自然に汚染されたすりつぶされた鶏肉を、汚染されていない製品と慎重に混合することにより、均一性が保証された(1300グラム(1300g)を調製した)。高レベルの部分のために、250グラム(250g)の自然に汚染されたすりつぶされた鶏肉を希釈しないままにした。MPN解析を、すりつぶされた鶏肉におけるサルモネラのレベルを測定するように設定した。低レベル汚染部分を2セットの20個の25gのサンプルに分割し、高レベル汚染部分を10個の25gのサンプルに分割した。そのすべてのサンプルを、フィルター付きのストマッカーバッグに入れた。
【0119】
ActeroSalmonella/STEC増菌:1セット(20個の低レベルサンプルおよび5個の高レベルサンプル)を、50mLの予熱されたActeroSalmonella/STECブロスとともに30秒間ストマッキング処理し、恒温器内で39±0.5℃において20時間インキュベートした。次いで、それらを、BGSおよびXLT4上に画線し、35℃において18〜24時間インキュベートし、すべての推定陽性コロニーを、サルモネラに対するUSDA/FSIS参照プロトコルに従って、生化学的手順および血清学的手順によって確認した。
【0120】
ActeroSalmonella/STEC増菌の確認:増菌されたActeroSalmonella/STECサンプルから、0.5mlを10mLのテトラチオネート(Hajna)ブロスに移し、0.1mlを10mLの改変Rappaport−Vassiliadis大豆ブロス(RVS)に移し、42±0.5℃において22〜24時間インキュベートした。次いで、それらをBGSおよびXLT4に画線し、35℃において18〜24時間インキュベートした。コロニーが小さいかまたは肉眼で見えない場合、それらをさらに18〜24時間、再インキュベートした。プレート1枚あたり最大3つの典型的なコロニーを拾い、TSIおよびLIAの斜面に移した。MLG4.05におけるような生化学的手順および血清学的手順を行うことにより、陽性のサンプルを確かめた。
【0121】
公定法による増菌:第2のセットのサンプル(20個の接種サンプルおよび5個の非接種サンプル)を、35±2.0℃において18〜24時間、900mLの緩衝ペプトン水において増菌し、次いで、サルモネラに対するUSDA/FSIS参照プロトコルに従って処理した。MPNサンプルを同じ方法で処理した。すべての推定陽性サンプルを、USDA/FSISが推奨するような生化学的および血清学的同定にまわした。
【0122】
スプラウト:
サンプル調製:S.モンテビデオ(S.montevideo)を血液寒天上に画線し、35℃において一晩インキュベートした。いくつかのコロニーを35℃において6〜7時間、9mLのTSBに移した。その培養物を新鮮TSBにおいて1:10希釈し、同じ温度において一晩インキュベートした。1500グラム(1500g)のスプラウトを、部分的陽性の結果(1.0CFU/25g)が得られるレベルで接種し、手で振り混ぜることによって慎重に均質化した。400グラム(400g)のスプラウトを接種しないままにした。その2つの部分を4℃において48時間貯蔵することにより、細菌をその食品中で安定化させた。安定化の期間の後の汚染のレベルを推定するためにMPN解析を準備した。接種された部分を、2セットの20個の25gのサンプルに分割し、接種されなかった部分を2セットの5個の25gのサンプルに分割した。
【0123】
ActeroSalmonella/STEC増菌:1つのセット(20個の接種サンプルおよび5個の非接種サンプル)を、150mLの予熱されたActeroSalmonella/STECブロスとともに30秒間ストマッキング処理し、ウォーターバス内で39±0.5℃において7時間インキュベートした。増菌されたActeroSalmonella/STECサンプルから、1.0mlを10mLのテトラチオネートブロスに移し、0.1mlを10mLのRappaport−Vassiliadisブロス(RV)に移し、それぞれ43±0.2℃および42±0.2℃において18時間インキュベートした(なぜなら、スプラウトは、高微生物負荷量を有すると考えられるからである)。次いで、それらをBam5におけるように選択寒天プレート上に画線し、サルモネラに対するBAM5参照プロトコルに従って、生化学的手順および血清学的手順によって推定陽性を確認した。
【0124】
ActeroSalmonella/STEC増菌の確認:確認のために、ActeroSalmonella/STECサンプルの2回増菌物(double enrichment)をさらに6時間、合計24時間インキュベーションしなおした(FDAが推奨するように)。次いで、それらをBam5におけるような選択寒天プレート上に画線し、サルモネラに対するBAM5参照プロトコルに従って、生化学的手順および血清学的手順によって推定陽性を確認した。
【0125】
公定法による増菌:第2のセットのサンプル(20個の接種および5個の非接種)を、35±2℃において24±2時間インキュベートし、サルモネラに対するBAM5公定法におけるように処理した225mLのラクトースブロスにおいて増菌した。すべての推定陽性サンプルを、FDAが推奨する生化学的および血清学的同定にまわした。
【0126】
結果:比較方法研究(comparison method study)のすべての結果を表10、11に要約する[全液卵において、39℃のウォーターバスでの7時間の増菌のためにActeroSalmonella/STECブロスを使用したとき、20個のサンプルのうち10個が陽性と検出された。USDA/FSIS参照プロトコルに従ったActeroSalmonella/STEC増菌サンプルの2回増菌物は、100%という特異性に対する結果が確認された(表10)。公定法によって試験された20個のサンプルのうち、10個が陽性と確認された。非接種サンプルのすべてが、FoodChek ActeroSalmonella/STEC増菌法とUSDA/FSIS公定法の両方によって陰性と見出された(表11)。
【0127】
A)未加工冷凍ホタテガイにおいても、ActeroSalmonella/STECブロスを使用したFoodChek増菌法の性能は、公定法と似ていた。ウォーターバス内での7時間の増菌のためにActeroSalmonella/STECブロスを効率的に使用したとき、20個の接種サンプルのうち5つが、100%という特異性で部分的レベルにおいて陽性と確認された(表10)。FDA(BAM5)公定法は、4つの陽性サンプルを検出した。すべての非接種サンプルが、両方の方法によって陰性と確認された。得られた結果の統計解析(対応のない研究)は、FoodChek ActeroSalmonella/STEC増菌法とUSDA/FSIS公定法との間に有意差が無いことを示している(表11)。
【0128】
B)生のすりつぶされた鶏肉では、自然に汚染されたサンプルを試験した。ActeroSalmonella/STECブロスを使用した39℃の恒温器内での20時間の増菌からなるFoodChek ActeroSalmonella/STEC法は、解析された20個のうち7つの陽性を検出した。ActeroSalmonella/STECにおいて増菌されたサンプルの2回増菌による確認によってもまた、100%という特異性に対する同じ7つの陽性が得られる(表10)。公定法は、試験された20個のうち10個の陽性サンプルを検出した。両方の方法が、5個の自然に汚染された高レベルサンプルを検出した。それが対応のない研究であるとき、得られた結果の統計解析は、FoodChek ActeroSalmonella/STEC増菌法とUSDA/FSIS公定法との間に有意差が無いことを示している(表11)。
【0129】
C)スプラウトでは、ActeroSalmonella/STECブロスにおける39℃のウォーターバス内での7時間の第1の増菌、ならびにTTブロスおよびRVにおけるそれぞれ43℃および42℃のウォーターバス内での18時間の第2の増菌からなるFoodChek増菌法は、調製された20個のうち11個の確定陽性サンプルを見出した(表10)。公定法の場合、残念なことに、典型的なコロニーはほとんど単離されず、それらは生化学的検査によってすべて陰性だった。単離されなかった典型的なコロニーの再単離を最大3回試みたが、いずれも生化学的検査によってサルモネラについて陽性と見出されなかった。見出された唯一の陽性結果は、MPN解析の50gのサンプルである。ここで得られた結果の統計解析は、両方の方法の間に有意差があることが示されている(表11)。
【0130】
【表10】
【0131】
【表11】
【0132】
本明細書中に提示された実施形態および実施例は、特許請求される主題の一般的性質の例証であって限定ではない。これらの実施形態が、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、様々な用途のために様々な方法で容易に改変および/または適合され得ることを当業者は理解するだろう。本明細書の請求項は、別の実施形態およびその主題の等価物のすべてを含むがこれらに限定されないと理解されるべきである。本明細書中で使用される句、単語および用語は、例証であって限定ではない。法律が許す限り、本明細書に引用されたすべての参考文献が、その全体が参照により本明細書に援用される。本明細書中に開示される種々の実施形態の任意の態様が、一連の可能性のある別の実施形態において組み合され得ること、および別の特徴の組み合わせ(それらのすべてが特徴の組み合わせを変更させる)が、特許請求される主題の一部を形成すると理解されるべきであることが理解されるだろう。特定の実施形態は、開示されるエレメントのいずれか1つ以上を二者択一的に含み得るか、それらからなり得るか、またはそれらを排除し得る。
【0133】
独占的な特性または権利が請求される本発明の実施形態は以下のとおりで定義される:
図1A
図1B