(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(5)水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、ポリ(α−オレフィン)液状物、エチレン−プロピレン共重合液状物、プロピレン−α−オレフィン共重合液状物、エチレン−α−オレフィン共重合液状物、液状ポリブテン、液状水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状水添ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状水添ポリイソプレン、液状ポリブタジエンポリオール、および液状ポリイソプレンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の重合性組成物。
前記重合物層に用いられる光学用粘着シートを製造するための重合性組成物であって、該重合性組成物が請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合性組成物であることを特徴とする重合性組成物。
請求項7に記載の重合性組成物に、光重合開始剤が感光可能な光を照射して、重合させることによって得られる、厚さ10〜500μmの重合物層を有する光学用粘着シート。
画像表示部を有する基部と透光性の保護部との間に光学用粘着シートを用いて重合物層を貼り付ける工程を有する画像表示装置の製造方法であって、該光学用粘着シートが請求項8に記載の光学用粘着シートであることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体的に説明する。
なお、本明細書に記載の「重合物」とは、重合性組成物を重合して得られる重合物であれば、形態等に特に制限はなく、本明細書に記載の「光学用粘着シート」も重合物に含まれることを意味する。
また、本明細書に記載の「画像表示部と透光性の保護部との間に介在させる重合物層」とは、画像表示部と透光性の保護部との間の全ての重合物層を意味し、例えば、
図2の5aと5bのいずれも含まれることを意味する。
また、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を意味する。
さらに、本明細書における「(ポリ)エステルポリオール」とは、1分子中に1つ以上の−COO−結合(カルボン酸エステル結合)を有し、かつ2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物を意味し、本明細書における「(ポリ)カーボネートポリオール」とは、1分子中に1つ以上の−OCOO−結合(カーボネート結合)を有しかつ2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物を意味する。
【0015】
なお、本明細書では、本発明(I)の重合性組成物の必須原料成分である成分(1)の原料になり得る(ポリ)エステルポリオールを製造する際に、(ポリ)エステルポリオールの原料であるポリオール(即ち、−COO−結合(カルボン酸エステル結合)を有さないポリオール)が残存する場合には、このポリオールも(ポリ)エステルポリオールには含まれるものと定義する。加えて、本明細書では、(ポリ)エステルポリオール中に含まれる原料ポリオールの他に、新たに、使用する(ポリ)エステルポリオールの原料で成分であるポリオールを加えて、本発明(I)の重合性組成物の必須成分である成分(1)が製造された場合、この加えられたポリオールは、たとえ−COO−結合(カルボン酸エステル結合)を有さないポリオールであっても、(ポリ)エステルポリオールに含まれるものとする。
また、本明細書では、本発明(I)の重合性組成物の必須原料成分である成分(1)の原料になり得る(ポリ)カーボネートポリオールを製造する際に、(ポリ)カーボネートポリオールの原料であるポリオール(即ち、カーボネート結合を有さないポリオール)が残存する場合には、このポリオールも(ポリ)カーボネートポリオールには含まれるものとする。加えて、本明細書では、(ポリ)カーボネートポリオール中に含まれる原料ポリオールの他に、新たに、使用する(ポリ)カーボネートポリオールの原料で成分であるポリオールを加えて、本発明(I)の重合性組成物の必須成分である成分(1)が製造された場合、この加えられたポリオールは、(ポリ)カーボネートポリオールに含まれるものとする。
【0016】
まず、本発明(I)について説明する。
本発明(I)は、画像表示装置の画像表示部と透光性の保護部との間に介在させる重合物層を形成するための重合性組成物であって、該重合性組成物が、下記成分(1)〜成分(4)を必須成分として含むことを特徴とする重合性組成物である。
成分(1) ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物およびポリエーテル構造単位有する(メタ)アクリロイル基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種
成分(2) 成分(1)以外の液状(メタ)アクリロイル基含有化合物
成分(3) 液状水添ポリブタジエンポリオール、液状水添ポリイソプレンポリオールおよび水添ダイマージオールからなる群より選ばれる少なくとも1種
成分(4) 光重合開始剤
【0017】
なお、本明細書に記載の「(ポリ)エステルポリオールから誘導された構造単位」とは、1分子中に1つ以上の−COO−結合(カルボン酸エステル結合)を有しかつ2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物から少なくとも1つのアルコール性水酸基のHを除いた構造を意味する。
また、本明細書に記載の「(ポリ)カーボネートポリオールから誘導された構造単位」とは、1分子中に1つ以上のカーボネート結合を有しかつ2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物から少なくとも1つのアルコール性水酸基のHを除いた構造を意味する。
【0018】
まず、本発明(I)の重合性組成物の必須原料成分である成分(1)について説明する。
本発明(I)の重合性組成物の必須原料成分である成分(1)は、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物および(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリロイル基含有化合物である。
【0019】
ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物とは、1分子中に、ポリオレフィン構造単位と(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に制限はない。ポリオレフィン構造単位としては、ポリジエン構造単位を有する化合物が好ましく、例えば、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、6−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン、5−メチル−1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンおよび1,3−オクタジエンからなる群より選ばれる1種以上のジエンを重合させて得られるポリジエン構造単位を挙げることができる。
これらの中で好ましいものとしては、ポリブタジエン構造単位、ポリイソプレン構造単位あるいはポリ(ブタジエン−イソプレン)構造単位である。
【0020】
ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の市販品としては、例えば、ポリイソプレン構造単位を有するメタクリロイル基含有化合物であるクラプレンUC−102、UC−203(株式会社クラレ製)、ポリブタジエン構造単位を有するメタクリロイル基含有化合物であるNISSO−PB TE−2000(日本曹達株式会社製)、ポリブタジエン構造単位を有するアクリロイル基含有化合物であるNISSO−PB TEA−1000(日本曹達株式会社製)等を挙げることができる。
なお、NISSO−PB TE−2000やNISSO−PB TEA−1000はNISSO−PB G−1000、G−2000(日本曹達株式会社製)等のポリブタジエンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物である。このように、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造するための原料として、ポリオレフィンポリオールは有用であり、これらの市販品としては、前述のポリオレフィンポリオールの市販品であるポリブタジエンポリオールであるNISSO PB G−1000、G−2000、G−3000(日本曹達株式会社製)以外に、水酸基末端液状ポリブタジエンであるPoly bd(出光興産株式会社製)、水酸基末端液状ポリイソプレンであるPoly Ip(出光興産株式会社製)、液状ポリブタジエンジオールであるKRASOL(Cray Valley社製)等を挙げることができる。
【0021】
ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、以下の方法によって製造することができる。
まず、ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを必須原料成分に用いて、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る場合について説明する。
【0022】
ポリブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオールに代表されるポリオレフィンポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上有するものであるが、水酸基を2〜4個有することが好ましい。また、ポリオレフィンポリオールの水酸基価は、10〜80mgKOH/gであることが好ましく、さらに好ましくは17〜70mgKOH/g、特に好ましくは23〜65mgKOH/gである。ポリオレフィンポリオール化合物の水酸基価が10mgKOH/gより小さくなると、得られる(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物の分子量と粘度が高くなりすぎ、ハンドリング性も悪くなり、取り扱いが困難となる傾向にある。また、ポリオレフィンポリオール化合物の水酸基価が80mgKOH/gより大きくなると、重合時の体積収縮率は大きくなりすぎたり、重合物の凝集力が高くなりすぎ、重合物の粘着性能が十分に発揮されない場合があり、好ましいこととは言えない。
なお、ポリブタジエンポリオールとは、水酸基を含有するブタジエンのホモポリマーである。ポリイソプレンポリオールは、水酸基を含有するイソプレンのホモポリマーのことである。
【0023】
有機ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアナト基を有する有機化合物であれば特に制限はない。具体的には、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、リシントリイソシアネート、リシンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネートおよびノルボルナンジイソシアネート等を挙げることができ、これらを単独で、または2種以上組合せて使用することができる。
本発明(I)の重合性組成物の必須成分である成分(1)は、その後の配合の自由度を考慮すると、粘度が低いことが望ましい。この目的に合致する有機ポリイソシアネート化合物としては、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびノルボルナンジイソシアネートが好ましく、さらに好ましくは、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,2,4−トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネートであり、最も好ましいのは、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,2,4−トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネートである。
【0024】
アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートは、1分子中にアルコール性水酸基を有する(メタ)アクリレートであれば特に制限はない。具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルメタクリレート等を挙げることができる。
これらの中で、本発明(I)の必須成分である成分(1)の重合速度を考慮すると、好ましいものとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレートである。イソシアネート基との反応性を考慮すると、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートが好ましく、最も好ましいのは、4−ヒドロキシブチルアクリレートである。
【0025】
ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法として、ジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウレートのような公知のウレタン化触媒の存在下または非存在下で、ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより合成が出来るが、触媒の存在下で反応させたほうが、反応時間を短縮する意味では好ましい。ただし、多く使用しすぎると、最終的に硬化膜としての実使用時の物性値に悪影響を及ぼす可能性があるので、使用量は、ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートの総量100質量部に対して0.001〜1質量部であることが好ましい。
【0026】
原料の仕込みを行う順番については特に制約はないが、化合物の末端を、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物でほぼ完全に封止される場合には、通常は、有機ポリイソシアネート化合物および必要に応じてウレタン化触媒を反応器に投入し、撹拌を行い、その後、反応器内の温度を40℃〜140℃、好ましくは50℃〜120℃で、ポリオレフィンポリオール、さらに必要に応じて、ポリオレフィンポリオール以外のポリオール成分を順次投入し、その後、反応器内の温度を50℃〜160℃、好ましくは60℃〜140℃でこれらを反応させる。その後、反応器内の温度を30℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃で、重合禁止剤および必要に応じてウレタン化触媒を添加し、滴下によりアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを投入する。滴下中、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜100℃に維持することが好ましい。滴下終了後、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜100℃に維持し、反応を完結させる。
【0027】
また、化合物の末端の一部のみを、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物で封止される場合には、通常、有機ポリイソシアネート化合物、必要に応じて重合禁止剤および/またはウレタン化触媒を反応器に投入し、撹拌を行い、その後、反応器内の温度を30℃〜120℃、好ましくは50℃〜110℃で、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレート滴下により投入する。滴下中、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜110℃に維持することが好ましい。滴下終了後、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜110℃に維持し、反応させる。その後、上記反応生成物を、ポリオレフィンポリオール、さらに必要に応じて、このポリオレフィンポリオール以外のポリオール成分を入れた反応器に、撹拌しながら、反応器内の温度を30℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃に維持できるように投入し、投入後、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜100℃に維持し、反応を完結させる。
【0028】
本発明(I)の必須成分である成分(1)として用いたとき、オリゴマーの粘度上昇の抑制あるいは重合時の体積収縮率の低減の必要がある場合には、化合物の末端の一部のみを、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物で封止されるオリゴマーであることが望ましい。
【0029】
原料の仕込みモル比(即ち、(ポリオレフィンポリオールやポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数を合わせたときの水酸基の総数)/(使用された有機ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基の総数)/(アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物の使用数を合わせたときの水酸基の総数))は、目的とするポリウレタンの分子量に応じて調節する。
ただし、化合物の末端を、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物でほぼ完全に封止される場合には、ポリオレフィンポリオールの使用数およびこのポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数を合わせたときの水酸基の総数より使用される有機ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基の総数を多くする必要がある。
この場合には、ポリオレフィンポリオールの使用数およびこのポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数を合わせたときの水酸基の総数と、有機ポリイソシアネート化合物中のイソシアナト基の総数の比が、1.0に近いと分子量が大きくなり、1.0からずれて小さくなると分子量は小さくなる。
【0030】
原料の仕込みモル比には特に制限はないが、有機ポリイソシアネート化合物中のイソシアナト基の数と、ポリオレフィンポリオールの使用数およびこのポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数を合わせたときの水酸基の総数の比は、1.5:1以上であることが好ましい。
この比が1.5:1よりも小さい場合には、粘度が高くなりすぎる場合があり、好ましいこととは言えない。
【0031】
また、化合物の末端の一部のみを、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物で封止される場合には、ポリオレフィンポリオールの使用数、このポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物の使用数を合わせたときの水酸基の総数を、使用される有機ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基の総数より多くする必要がある。
ただし、この場合には、ポリオレフィンポリオールの使用数、このポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物の使用数を合わせたときの水酸基の総数と、有機ポリイソシアネート化合物中のイソシアナト基の総数の比は、2:1以下であることが好ましい。
この比が2:1よりも大きい場合には、アクリロイル基を有さない分子が多くなり、重合後の重合物の形状保持性が悪化あることがあり、好ましいこととは言えない。
【0032】
この方法でポリオレフィンポリオールを原料成分として用いて合成されるウレタン(メタ)アクリレートを合成する際に、ポリオレフィン構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートも製造されることがあるが、本明細書では、ポリオレフィンポリオール構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートは、本発明(I)の必須成分である成分(1)には含まれないものと定義する。例えば、ポリオレフィンポリオール、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを使用して、成分(1)であるポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造する場合、ポリオレフィン構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートである、下記式(1)の化合物も製造される。
【0034】
しかし、本明細書では、式(1)の化合物は、ポリオレフィン構造単位を有していないので、成分(1)には含まれないことを意味する。
【0035】
次に、ポリオレフィンポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料成分に用いて、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る場合について説明する。
ポリオレフィンポリオールは前述の通りである。
上記の原料になり得るイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等を挙げることができる。
2−イソシアナトエチルアクリレートとしては、例えば、昭和電工株式会社製のカレンズAOI(登録商標)等を挙げることができる。
2−イソシアナトエチルメタクリレートとしては、例えば、昭和電工株式会社製のカエレンズMOI(登録商標)等を挙げることができる。
【0036】
1分子内にウレタン結合を含有し、かつ末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートは、一般的に、以下の方法によって合成される。
なお、ポリオレフィンポリオールの水酸基の全てをイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応させても、ポリオレフィンポリオールの水酸基の一部のみを、イソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応させて、一部の水酸基を残してもいっこうにかまわない。
ポリオレフィンポリオールの水酸基の全てをイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応させる場合には、ポリオレフィンポリオールの水酸基の総数と、使用したイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのイソシアナト基の総数の比が1以上である必要がある。
ポリオレフィンポリオールの水酸基の一部のみを、イソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応させて、一部の水酸基を残す場合には、ポリオレフィンポリオールの水酸基の総数より、使用したイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのイソシアナト基の総数を少なく仕込む必要がある。
なお、この時イソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応せずにそのまま残るポリオレフィンポリオールが存在しうるが、このポリオレフィンポリオールは、成分(1)には含まれないものとする。ポリオレフィンポリオールが液状ポリブタジエンポリオール、液状ポリイソプレンポリオールである場合には、成分(5)に含まれる。
【0037】
製造方法には特に制約はないが、一般に、ポリオレフィンポリオール、重合禁止剤および必要に応じてウレタン化触媒や酸化防止剤を添加し、反応器内に投入し、撹拌を開始し、反応器内の温度を40℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃に昇温する。その後、イソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を滴下投入する。滴下の間、反応器内の温度を40℃〜130℃、好ましくは50℃〜110℃に制御する。滴下終了後、撹拌を継続しながら、反応器内の温度を40℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃に維持し、反応を完結させる。
【0038】
また、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物中にウレタン結合を含有しない場合は、ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応および/またはポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合反応により目的物を得る。この(メタ)アクリレート化合物中の(メタ)アクリロイル基の数は、1分子中に1個以上あればよく、2〜4個がより好ましい。
ウレタン結合を含有しないポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の代表的な合成例として、ポリブタジエンジオールとアクリル酸エステルとのエステル交換反応、あるいはポリブタジエンジオールとアクリル酸との脱水縮合反応によって生成する(メタ)アクリレート化合物の構造式、およびポリイソプレンジオールとアクリル酸エステルとのエステル交換反応、あるいはポリイソプレンジオールとアクリル酸との脱水縮合反応によって生成する(メタ)アクリレート化合物の構造式を、それぞれ、式(2)および式(3)に示す。
【0040】
(式(2)中、l、m、nは1以上の整数である。)
【0042】
(式(3)中、a、b、cは1以上の整数である。)
【0043】
ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応により成分(1)の(メタ)アクリレート化合物を製造する場合には、一般的に、ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとをエステル交換触媒の存在下で、加熱することによりエステル交換反応を行い、発生する相応する低級アルキルアルコールを留去することによって成分(1)の(メタ)アクリレートを製造するものであり、例えば、特開2011−195823号公報や特開2006−45284号公報に記載の方法によって製造することができる。
【0044】
また、ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合反応によって成分(1)の(メタ)アクリレートを製造する場合には、ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸を、エステル化触媒の存在下、加熱して脱水反応することによって製造される。しかし、150℃以上の高温に加熱して反応を行うと、脱水縮合反応中にアクリロイル基のラジカル重合を起こしてしまう危険性がある。従って、シクロヘキサンやトルエンといった水と共沸する溶媒の存在下でエステル化反応を行い、前記溶媒と水を共沸させることにより、脱水縮合反応によって生成した水を反応器外に除去することが一般的である。エステル化反応に使用される触媒としては、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒を挙げることができる。
【0045】
前述のように、成分(1)のウレタン結合を含有しないポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造する方法としては、ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応する方法と、ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合反応する方法に2種類があるが、溶媒を使用しないで済むこと、精製工程を行わないあるいは行っても簡略化できることから、工業的には、ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応で成分(1)のウレタン結合を含有しないポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造する方法の方が好ましい。
【0046】
次に、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物について説明する。
水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物とは、1分子中に、水添ポリオレフィン構造単位と(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に制限はない。水添ポリオレフィン構造単位としては、水添ポリジエン構造単位を有する化合物が好ましく、例えば、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、6−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン、5−メチル−1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンおよび1,3−オクタジエンから選ばれる1種以上のジエンを重合させて得られるポリジエン構造単位を水素化して得られる構造単位を挙げることができる。
これらの中で好ましいものとしては、ポリブタジエン構造単位を水素化して得られる構造単位、ポリイソプレン構造単位を水素化して得られる構造単位あるいはポリ(ブタジエン−イソプレン)構造単位を水素化して得られる構造単位である。
【0047】
水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の市販品としては、例えば、水添ポリブタジエン構造単位を有するアクリロイル基含有化合物であるNISSO−PB TEAI−1000(日本曹達株式会社製)等を挙げることができる。
なお、NISSO−PB TEAI−1000は、NISSO−PB GI−1000(日本曹達株式会社製)等の水添ポリブタジエンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有アクリレートの反応生成物である。このように、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造するための原料として、水添ポリオレフィンポリオールは有用であり、これらの市販品としては、前述の水添ポリブタジエンポリオールの市販品であるNISSO PB GI−1000以外に、NISSO PB GI−2000、GI−3000(日本曹達株式会社製)以外に、水酸基末端液状水添ポリイソプレンであるエポール(出光興産株式会社製)等を挙げることができる。
【0048】
水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、以下の方法によって製造することができる。
まず、水添ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを必須原料成分に用いて、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る場合について説明する。
【0049】
水添ポリブタジエンポリオールや水添ポリイソプレンポリオールに代表される水添ポリオレフィンポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上有するものであるが、水酸基を2〜4個有することが好ましい。また、水添ポリオレフィンポリオールの水酸基価は、10〜80mgKOH/gであることが好ましく、さらに好ましくは17〜70mgKOH/g、特に好ましくは23〜65mgKOH/gである。水添ポリオレフィンポリオール化合物の水酸基価が10mgKOH/gより小さくなると、得られる(メタ)アクリル基含有水添ポリオレフィン化合物の分子量と粘度が高くなりすぎ、ハンドリング性も悪くなり、取り扱いが困難となる傾向にある。また、水添ポリオレフィンポリオール化合物の水酸基価が80mgKOH/gより大きくなると、重合時の体積収縮率は大きくなりすぎたり、重合物の凝集力が高くなりすぎ、重合物の粘着性能が十分に発揮されないことが好ましいこととは言えない。
なお、水添ポリブタジエンポリオールとは、水酸基を含有するブタジエンのホモポリマーの水素化物である。水添ポリイソプレンポリオールは、水酸基を含有するイソプレンのホモポリマーの水素化物のことである。
【0050】
有機ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアナト基を有する有機化合物であれば特に制限はない。具体的には、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、リシントリイソシアネート、リシンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネートおよびノルボルナンジイソシアネート等を挙げることができ、これらを単独で、または2種以上組合せて使用することができる。
本発明(I)の重合性組成物の必須成分である成分(1)は、その後の配合の自由度を考慮すると、粘度が低いことが望ましい。この目的に合致する有機ポリイソシアネート化合物としては、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびノルボルナンジイソシアネートが好ましく、さらに好ましくは、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,2,4−トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネートであり、最も好ましいのは、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび2,2,4−トリメチルヘキサンメチレンジイソシアネートである。
【0051】
アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートは、1分子中にアルコール性水酸基を有する(メタ)アクリレートであれば特に制限はない。具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルメタクリレート等を挙げることができる。
これらの中で、本発明(I)の必須成分である成分1の重合速度を考慮すると、好ましいものとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレートである。イソシアネート基との反応性を考慮すると、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートが好ましく、最も好ましいのは、4−ヒドロキシブチルアクリレートである。
【0052】
水添ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法として、ジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウレートのような公知のウレタン化触媒の存在下または非存在下で、水添ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより合成が出来るが、触媒の存在下で反応させたほうが、反応時間を短縮する意味では好ましい。ただし、多く使用しすぎると、最終的に硬化膜としての実使用時の物性値に悪影響を及ぼす可能性があるので、使用量は、水添ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートの総量100質量部に対して0.001〜1質量部であることが好ましい。
【0053】
原料の仕込みを行う順番については特に制約はないが、化合物の末端を、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物でほぼ完全に封止される場合には、通常は、有機ポリイソシアネート化合物および必要に応じてウレタン化触媒を反応器に投入し、撹拌を行い、その後、反応器内の温度を40℃〜140℃、好ましくは50℃〜120℃で、水添ポリオレフィンポリオール、さらに必要に応じて、水添ポリオレフィンポリオール以外のポリオール成分を順次投入し、その後、反応器内の温度を50℃〜160℃、好ましくは60℃〜140℃でこれらを反応させる。その後、反応器内の温度を30℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃で、重合禁止剤および必要に応じてウレタン化触媒を添加し、滴下によりアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを投入する。滴下中、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜100℃に維持することが好ましい。滴下終了後、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜100℃に維持し、反応を完結させる。
【0054】
また、化合物の末端の一部のみを、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物で封止される場合には、通常、有機ポリイソシアネート化合物、必要に応じて重合禁止剤および/またはウレタン化触媒を反応器に投入し、撹拌を行い、その後、反応器内の温度を30℃〜120℃、好ましくは50℃〜110℃で、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレート滴下により投入する。滴下中、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜110℃に維持することが好ましい。滴下終了後、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜110℃に維持し、反応させる。その後、上記反応生成物を、水添ポリオレフィンポリオール、さらに必要に応じて、この水添ポリオレフィンポリオール以外のポリオール成分を入れた反応器に、撹拌しながら、反応器内の温度を30℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃に維持できるように投入し、投入後、反応器内の温度を30℃〜120℃、望ましくは50℃〜100℃に維持し、反応を完結させる。
【0055】
本発明(I)の必須成分である成分(1)として用いたとき、オリゴマーの粘度上昇の抑制あるいは重合時の体積収縮率の低減の必要がある場合には、化合物の末端の一部のみを、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物で封止されるオリゴマーであることが望ましい。
【0056】
原料の仕込みモル比(即ち、(水添ポリオレフィンポリオールや水添ポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数を合わせたときの水酸基の総数)/(使用された有機ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基の総数)/(アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物の使用数を合わせたときの水酸基の総数))は、目的とするポリウレタンの分子量に応じて調節する。
ただし、化合物の末端を、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物でほぼ完全に封止される場合には、水添ポリオレフィンポリオールの使用数およびこの水添ポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数を合わせたときの水酸基の総数より使用される有機ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基の総数を多くする必要がある。
この場合には、水添ポリオレフィンポリオールの使用数およびこの水添ポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数を合わせたときの水酸基の総数と、有機ポリイソシアネート化合物中のイソシアナト基の総数の比が、1.0に近いと分子量が大きくなり、1.0からずれて小さくなると分子量は小さくなる。
【0057】
原料の仕込みモル比には特に制限はないが、有機ポリイソシアネート化合物中のイソシアナト基の数と、水添ポリオレフィンポリオールの使用数およびこの水添ポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数を合わせたときの水酸基の総数の比は、1.5:1以上であることが好ましい。
この比が1.5:1よりも小さい場合には、粘度が高くなりすぎる場合があり、好ましいこととは言えない。
【0058】
また、化合物の末端の一部のみを、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物で封止される場合には、水添ポリオレフィンポリオールの使用数、この水添ポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物の使用数を合わせたときの水酸基の総数を、使用される有機ポリイソシアネート化合物のイソシアナト基の総数より多くする必要がある。
ただし、この場合には、水添ポリオレフィンポリオールの使用数、この水添ポリオレフィンポリオール以外のポリオールの使用数およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを含む水酸基を分子中に1つ有する化合物の使用数を合わせたときの水酸基の総数と、有機ポリイソシアネート化合物中のイソシアナト基の総数の比は、2:1以下であることが好ましい。
この比が2:1よりも大きい場合には、アクリロイル基を有さない分子が多くなり、重合後の重合物の形状保持性が悪化あることがあり、好ましいこととは言えない。
【0059】
この方法で水添ポリオレフィンポリオールを原料成分として用いて合成されるウレタン(メタ)アクリレートを合成する際には、ポリオレフィンポリオールを原料成分として用いて合成されるウレタン(メタ)アクリレートを合成する際に説明したのと同様に、水添ポリオレフィン構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートも製造されることがあるが、本明細書では、水添ポリオレフィンポリオール構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートは、本発明(I)の必須成分である成分(1)には含まれないものと定義する。例えば、水添ポリオレフィンポリオール、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを使用して、成分(1)である水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造する場合、水添ポリオレフィン構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートである、前述の式(1)の化合物も製造されるが、式(1)の化合物は、水添ポリオレフィン構造単位を有していないので、成分(1)には含まれないことを意味する。
【0060】
次に、水添ポリオレフィンポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料成分に用いて、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る場合について説明する。
水添ポリオレフィンポリオールは前述の通りである。
上記の原料になり得るイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、前述の2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0061】
1分子内にウレタン結合を含有し、かつ末端に(メタ)アクリロイル基を有する水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートは、一般的に、以下の方法によって合成される。
なお、水添ポリオレフィンポリオールの水酸基の全てをイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応させても、水添ポリオレフィンポリオールの水酸基の一部のみを、イソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応させて、一部の水酸基を残してもいっこうにかまわない。
水添ポリオレフィンポリオールの水酸基の全てをイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応させる場合には、水添ポリオレフィンポリオールの水酸基の総数と、使用したイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのイソシアナト基の総数の比が1以上である必要がある。
水添ポリオレフィンポリオールの水酸基の一部のみを、イソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応させて、一部の水酸基を残す場合には、水添ポリオレフィンポリオールの水酸基の総数より、使用したイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのイソシアナト基の総数を少なく仕込む必要がある。
なお、この時イソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物と反応せずにそのまま残る水添ポリオレフィンポリオールが存在しうるが、この水添ポリオレフィンポリオールは、成分(1)には含まれないものとする。この水添ポリオレフィンポリオールが液状水添ポリブタジエンポリオール、液状水添ポリイソプレンポリオールである場合には、後述の成分(2)の液状ポリブタジエンポリオール、液状ポリイソプレンポリオールに含まれる。
【0062】
製造方法には特に制約はないが、一般に、水添ポリオレフィンポリオール、重合禁止剤および必要に応じてウレタン化触媒や酸化防止剤を添加し、反応器内に投入し、撹拌を開始し、反応器内の温度を40℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃に昇温する。その後、イソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を滴下投入する。滴下の間、反応器内の温度を40℃〜130℃、好ましくは50℃〜110℃に制御する。滴下終了後、撹拌を継続しながら、反応器内の温度を40℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃に維持し、反応を完結させる。
【0063】
また、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物中にウレタン結合を含有しない場合は、水添ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応および/または水添ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合反応により目的物を得る。この(メタ)アクリレート化合物中の(メタ)アクリロイル基の数は、1分子中に1個以上あればよく、2〜4個がより好ましい。
ウレタン結合を含有しない水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の代表的な合成例として、水添ポリブタジエンジオールとアクリル酸エステルとのエステル交換反応、あるいは水添ポリブタジエンジオールとアクリル酸との脱水縮合反応によって生成する(メタ)アクリレート化合物の構造式、および水添ポリイソプレンジオールとアクリル酸エステルとのエステル交換反応、あるいは水添ポリイソプレンジオールとアクリル酸との脱水縮合反応によって生成する(メタ)アクリレート化合物の構造式を、それぞれ、式(4)および式(5)に示す。
【0065】
(式(4)中、l、m、nは1以上の整数である。)
【0067】
(式(5)中、a、b、cは1以上の整数である。)
【0068】
水添ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応により成分(1)の(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造する場合には、一般的に、水添ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとをエステル交換触媒の存在下で、加熱することによりエステル交換反応を行い、発生する相応する低級アルキルアルコールを留去することによって成分(1)の(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造するものであり、例えば、特開2011−195823号公報や特開2006−45284号公報に記載の方法によって製造することができる。
【0069】
また、水添ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合反応によって成分1の(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造する場合には、水添ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸を、エステル化触媒の存在下、加熱して脱水反応することによって製造される。しかし、150℃以上の高温に加熱して反応を行うと、脱水縮合反応中にアクリロイル基のラジカル重合を起こしてしまう危険性がある。従って、シクロヘキサンやトルエンといった水と共沸する溶媒の存在下でエステル化反応を行い、前記溶媒と水を共沸させることにより、脱水縮合反応によって生成した水を反応器外に除去することが一般的である。エステル化反応に使用される触媒としては、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒を挙げることができる。
【0070】
前述のように、ウレタン結合を含有しない水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造する方法としては、水添ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応する方法と、水添ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合反応する方法に2種類があるが、溶媒を使用しないで済むこと、精製工程を行わないあるいは行っても簡略化できることから、工業的には、水添ポリオレフィンポリオールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応で製造する方法の方が好ましい。
【0071】
次に、(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物について説明する。
(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物とは、1分子中に(ポリ)エステルポリオールから誘導された構造単位と、(メタ)アクロイル基を有する化合物であれば、特に制限はない。
(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料になり得る(ポリ)エステルポリオールは、1分子中に1つ以上の−COO−結合(カルボン酸エステル結合)を有しかつ2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物であれば、特に制限はない。
【0072】
(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料になり得る(ポリ)エステルポリオールとしては、例えば、鎖状の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸から誘導される構造単位と鎖状の炭化水素鎖を有するポリオールから誘導される構造単位を有する(ポリ)エステルポリオール、脂環構造含有の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸から誘導される構造単位と鎖状の炭化水素鎖を有するポリオールから誘導される構造単位を有する(ポリ)エステルポリオール、鎖状の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸から誘導される構造単位と脂環構造含有の炭化水素鎖を有するポリオールから誘導される構造単位を有する(ポリ)エステルポリオール、脂環構造含有の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸から誘導される構造単位と脂環構造含有の炭化水素鎖を有するポリオールから誘導される構造単位を有する(ポリ)エステルポリオール、芳香環構造含有の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸から誘導される構造単位と鎖状の炭化水素鎖を有するポリオールから誘導される構造単位を有する(ポリ)エステルポリオール、芳香環構造含有の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸から誘導される構造単位と脂環構造含有の炭化水素鎖を有するポリオールから誘導される構造単位を有する(ポリ)エステルポリオール、鎖状の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸から誘導される構造単位と芳香環構造含有の炭化水素鎖を有するポリオールから誘導される構造単位を有する(ポリ)エステルポリオール、脂環構造含有の炭化水素鎖を有するポリカルボン酸から誘導される構造単位と芳香環構造含有の炭化水素鎖を有するポリオールから誘導される構造単位を有する(ポリ)エステルポリオール等を挙げることができる。
【0073】
これらのポリオールの中で、好ましいものは、炭素数8以上のポリオールである。
炭素数8以上のポリオールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,1−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカンジメタノール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカジオール、1,12−トデカンジオール、ダイマージオール、水添ダイマージオール等を挙げることができる。
これらの炭素数8以上のポリオールの中で、特に好ましいものは、水添ダイマージオールである。
【0074】
また、前記ポリカルボン酸の中で、好ましいものは、カルボン酸構造(−COOH)中の炭素を除いた炭素数が7個以上であるポリカルボン酸である。
これらのポリカルボン酸としては、1,9−ノナンニ酸、セバシン酸、1,12−ドデカンニ酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等を挙げることができる。
カルボン酸構造(−COOH)中の炭素を除いた炭素数が7個以上であるポリカルボン酸の中で、特に好ましいものは、セバシン酸、1,12−ドデカンニ酸、水添ダイマー酸である。
【0075】
(ポリ)エステルポリオールを構成する原料のポリオールとポリカルボン酸の好ましい組み合わせとしては、炭素数8以上のポリオールと、カルボン酸構造(−COOH)中の炭素を除いた炭素数が7個以上であるポリカルボン酸の組み合わせであり、特に好ましいのは、水添ダイマージオールと、セバシン酸、1,12−ドデカンニ酸および水添ダイマー酸の中から選ばれる少なくとも1種以上の組み合わせである。
【0076】
一般に「ダイマー酸」とは、エチレン性二重結合を2〜4個有する炭素数14〜22の脂肪酸(以下、不飽和脂肪酸Aという)、好ましくはエチレン性二重結合を2個有する炭素数14〜22の脂肪酸とエチレン性二重結合を1〜4個有する炭素数14〜22の脂肪酸(以下、不飽和脂肪酸Bという)、好ましくはエチレン性二重結合を1もしくは2個有する炭素数14〜22の脂肪酸とを二重結合部で反応して得られる二量体酸をいうものとする。上記で不飽和脂肪酸Aとしてはテトラデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、オクタデカジエン酸(リノール酸等)、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、オクタデカトリエン酸(リノレン酸等)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸等)等が挙げられ、リノール酸がもっとも好ましい。また、不飽和脂肪酸Bとしては、上記例示のものに加え、エチレン性二重結合を1個有する炭素数14〜22の脂肪酸としての、テトラデセン酸(ツズ酸、マッコウ酸、ミリストオレイン酸)、ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸等)、オクタデセン酸(オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸等)、エイコセン酸(ガドレイン酸等)、ドコセン酸(エルカ酸、セトレイン酸、ブラシジン酸等)等が挙げられ、オレイン酸もしくはリノール酸がもっとも好ましい。
【0077】
上記二量化反応において、不飽和脂肪酸Aと不飽和脂肪酸Bとの使用比率(モル比率)は1:1.2〜1.2:1程度が好ましく、1:1がもっとも好ましい。上記二量化反応は、公知の方法、例えば特開平9−136861号公報に記載された方法に従って行うことができる。すなわち例えば、不飽和脂肪酸Aおよび不飽和脂肪酸Bにルイス酸やブレンステッド酸型の液体もしくは固体状の触媒、好ましくはモンモリロナイト系活性白土を、A+Bに対して1〜20重量%、好ましくは2〜8重量%添加し、200〜270℃、好ましくは220〜250℃に加熱することにより行うことができる。反応時の圧力は、通常やや加圧された状態であるが常圧でも良い。反応時間は、触媒量と反応温度により変わるが、通常5〜7時間である。反応終了後、触媒を濾別し、ついで減圧蒸留して未反応原料や異性化脂肪酸類を留去し、その後、ダイマー酸留分を留出して得ることができる。上記二量化反応は、二重結合の移動(異性化)およびディールス・アルダー反応を通して進行するものと思われるが、本発明はこれに縛られるものではない。
【0078】
得られるダイマー酸は、通常、二重結合の結合部位や異性化によって、構造が異なるダイマー酸の混合物であり、分離して使用しても良いが、そのまま使用できる。さらに、得られるダイマー酸は、少量のモノマー酸(例えば3重量%以下、特に1重量%以下)やトリマー酸以上のポリマー酸等(例えば3重量%以下、特に1重量%以下)を含有していてもよい。
【0079】
本明細書に記載の「水添ダイマー酸」とは、上記ダイマー酸の炭素−炭素二重結合を水素化して得られる飽和ジカルボン酸をいうものとする。
【0080】
上記ダイマー酸として、例えばリノール酸とリノール酸もしくはオレイン酸とから製造される炭素数36のダイマー酸を原料として用いた場合には、水添ダイマー酸の主成分の構造は、以下の式(6)および式(7)で表される構造である。
【0082】
(式中、R
1およびR
2はいずれもアルキル基であり、かつR
1およびR
2に含まれる各炭素数、aおよびbの合計は28(即ち、R
1に含まれる炭素数+R
2に含まれる炭素数+a+b=28)である。)
【0084】
(式中、R
3およびR
4はいずれもアルキル基であり、かつR
3およびR
4に含まれる各炭素数、cおよびdの合計は32(即ち、R
3に含まれる炭素数+R
4に含まれる炭素数+c+d=32)である。)
【0085】
水添ダイマー酸の市販品としては、例えば、PRIPOL(登録商標)1009等(クローダ社製)、EMPOL(登録商標)1008およびEMPOL(登録商標)1062(BASF社製)を挙げることができる。
【0086】
本明細書に記載の「水添ダイマージオール」とは、上記のダイマー酸、上記の水添ダイマー酸およびその低級アルコールエステルの少なくとも1種を触媒存在下で還元して、ダイマー酸のカルボン酸あるいはカルボキシレート部分をアルコールとし、原料に炭素−炭素二重結合を有する場合にはその二重結合を水素化したジオールを主成分としたものである。
例えば、式(6)および式(7)で表される構造の化合物を主成分とする水添ダイマー酸を還元して水添ダイマージオールを製造した場合には、水添ダイマージオールの主成分の構造は、以下の式(8)および式(9)で表される構造である。
【0088】
(式中、R
5およびR
6はいずれもアルキル基であり、かつR
5およびR
6に含まれる各炭素数、eおよびfの合計は30(即ち、R
5に含まれる炭素数+R
6に含まれる炭素数+e+f=30)である。)
【0090】
(式中、R
7およびR
8はいずれもアルキル基であり、かつR
7およびR
8に含まれる各炭素数、gおよびhの合計は34(即ち、R
7に含まれる炭素数+R
8に含まれる炭素数+g+h=34)である。)
【0091】
水添ダイマージオールの市販品としては、例えば、PRIPOL(登録商標)2033等(クローダ社製)やSoVermol(登録商標)908(BASF社製)を挙げることができる。
【0092】
(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料になり得る(ポリ)エステルポリオールは、前記のポリカルボン酸と、前記のポリオールを必須成分とするポリオール成分を、エステル化触媒の存在下で縮合反応を行うことによって製造することができる。
上記エステル化反応は、水を除去するので、150〜250℃程度の反応温度で反応を行うことが一般的である。反応時の圧力は、常圧または減圧条件下で反応することが一般的である。
【0093】
また、(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料になり得る(ポリ)エステルポリオールは、前記のカルボン酸の低級アルキルエステルと、前記のポリオール必須成分とするポリオール成分を、エステル交換触媒の存在下でエステル交換反応を行うことによっても製造することができる。
上記エステル交換反応は、アルコールを除去するので、120〜230℃程度の反応温度で反応を行うことが一般的である。反応時の圧力は、常圧または減圧条件下で反応することが一般的である。
【0094】
なお、本明細書では、(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料になり得る(ポリ)エステルポリオールを製造する際に、(ポリ)エステルポリオールの原料であるポリオール(即ち、−COO−結合(カルボン酸エステル結合)を有さないポリオール)が残存する場合には、このポリオールも(ポリ)エステルポリオールには含まれるものとする。
即ち、(ポリ)エステルポリオール中に、8質量%の原料ポリオールが残存している場合、このポリオールも(ポリ)エステルポリオールに含まれることを意味する。
【0095】
また、本明細書では、(ポリ)エステルポリオール中に含まれる原料ポリオールの他に新たにポリオールを加えて、(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物が製造された場合、この加えられたポリオールは、たとえ−COO−結合(カルボン酸エステル結合)を有さないポリオールであっても、(ポリ)エステルポリオールに含まれるものとする。
即ち、(ポリ)エステルポリオールの原料ポリオール成分に水添ダイマージオールを使用して、(ポリ)エステルポリオールを合成した際に、合成品100質量部中に8質量部の原料である水添ダイマージオールが残存し、さらに、水添ダイマージオール5質量部を加えて成分(1)が製造された場合、成分(1)の合成の際に残存した原料水添ダイマージオール、およびその後加えた水添ダイマージオールもともに(ポリ)エステルポリオールに含まれることを意味する。
【0096】
ただし、本発明(I)の成分(1)の(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料として使用される(ポリ)エステルポリオールの水酸基価は、好ましくは20〜100mgKOH/gの範囲であり、より好ましくは25〜80mgKOH/gであり、さらに好ましくは30〜65mgKOH/gである。
【0097】
この本発明(I)の(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料として、(ポリ)エステルポリオールの原料のなり得るポリオールが使用される場合、(ポリ)エステルポリオール100質量部に対して、30質量部以下であることが望ましく、好ましくは、25質量部以下である。
【0098】
(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を合成する方法は特に制限はないが、例えば、(ポリ)エステルポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを必須原料に用いて、付加反応することにより得られる(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物や、(ポリ)エステルポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料に用いて、付加反応することにより得られる(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を挙げることができる。
【0099】
まず、(ポリ)エステルポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを必須原料成分に用いて、付加反応することにより得られる(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物について説明する。
(ポリ)エステルポリオールは、前述の通りである。
有機ポリイソシアネート化合物は、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物や添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料成分で説明した有機ポリイソシアネート化合物と同様のものである。
アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートも、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物や添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料成分で説明したと同様のものである。
また、その合成法も、ポリオレフィンポリオールと(ポリ)エステルポリオールを置き換えることによって、前述の、ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを必須原料成分に用いて、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る場合についての説明の際に記載した方法と同様の方法により製造することができる。
【0100】
この方法で(ポリ)エステルポリオールを原料成分として用いて合成されるウレタン(メタ)アクリレートを合成する際には、ポリオレフィンポリオールを原料成分として用いて合成されるウレタン(メタ)アクリレートを合成する際に説明したのと同様に、(ポリ)エステル構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートも製造されることがあるが、本明細書では、(ポリ)エステル構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートは、本発明(I)の必須成分である成分(1)には含まれないものと定義する。例えば、(ポリ)エステルポリオール、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを使用して、成分(1)である(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造する場合、(ポリ)エステル構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートである、前述の式(1)の化合物も製造されるが、式(1)の化合物は、(ポリ)エステル構造単位を有していないので、成分(1)には含まれないことを意味する。
【0101】
次に、(ポリ)エステルポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料成分に用いて、(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る場合について説明する。
(ポリ)エステルポリオールは、前述の通りである。
上記の原料になり得るイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、前述の2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等を挙げることができる。
(ポリ)エステルポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料成分に用いて、(ポリ)エステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る方法は、ポリオレフィンポリオールを(ポリ)エステルポリオールに置き換えることによって、前述のポリオレフィンポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料成分に用いて、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る方法と同様の方法により行うことができる。
【0102】
次に、(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物について説明する。
(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物とは、1分子中に、(ポリ)カーボネートポリオールから誘導された構造単位と、(メタ)アクロイル基を有する化合物であれば、特に制限はない。1分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基と1つ以上のウレタン結合が共に含有してもよい。また、原料になり得る(ポリ)カーボネートポリオールは、1分子中に1つ以上のカーボネート結合(−OCOO−)を有しかつ2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物であれば、特に制限はない。
【0103】
(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料になり得る(ポリ)カーボネートポリオールとしては、例えば、鎖状の炭化水素鎖を有するポリオールを原料に用いて製造される(ポリ)カーボネートポリオール、脂環構造含有の炭化水素鎖を有するポリオールを原料に用いて製造される(ポリ)カーボネートポリオール、芳香環構造含有の炭化水素鎖を有するポリオールを原料に用いて製造される(ポリ)カーボネートポリオール等を挙げることができる。
【0104】
(ポリ)カーボネートポリオールの原料となり得るポリオールの中で、好ましいものは、炭素数8以上のポリオールである。
炭素数8以上のポリオールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,1−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカンジメタノール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカジオール、1,12−トデカンジオール、ダイマージオール、水添ダイマージオール等を挙げることができる。これらの炭素数8以上のポリオールの中で、さらに好ましいものは、1,10−デカジオール、1,12−トデカンジオール、水添ダイマージオールであり、最も好ましいものは、水添ダイマージオールである。
【0105】
(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料になり得る(ポリ)カーボネートポリオールは、前記ポリオール成分と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートあるいはアルキレンカーボネートをエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応を行うことによっても製造することができる。
上記エステル交換反応は、アルコールを除去するので、80〜230℃程度の反応温度で反応を行うことが一般的である。反応時の圧力は、常圧または減圧条件下で反応することが一般的である。
【0106】
また、(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料になり得る(ポリ)カーボネートポリオールは、前記ポリオールとホスゲンとの反応によっても製造することができる。
上記の反応は、100℃以下の反応温度で反応を行うことが一般的であり、塩酸が発生するので、塩基を用いて塩酸をトラップすることが一般的である。
【0107】
なお、本明細書では、本発明(I)の重合性組成物の必須原料成分である成分(1)の原料になり得る(ポリ)カーボネートポリオールを製造する際に、(ポリ)カーボネートポリオールの原料であるポリオール(即ち、カーボネート結合を有さないポリオール)が残存する場合には、このポリオールも(ポリ)カーボネートポリオールには含まれるものとする。
即ち、(ポリ)カーボネートポリオール中に、原料であるポリオールが8質量%残存している場合、この残存ポリオールは(ポリ)エステルポリオールには含まれることを意味する。
【0108】
また、本明細書では、(ポリ)カーボネートポリオール中に含まれる原料ポリオールの他に新たにポリオールを加えて、(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物が製造された場合、この加えられたポリオールは、たとえカーボネート結合を有さないポリオールであっても、(ポリ)カーボネートポリオールに含まれるものとする。
【0109】
即ち、(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を合成した際に、合成品100質量部中に8質量部の原料であるポリオールが残存し、さらに、ポリオール5質量部を加えて(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物が製造された場合、成分(1)を合成の際に残存した原料ポリオール、およびその後加えたポリオールもともに(ポリ)カーボネートポリオールに含まれることを意味する。
【0110】
ただし、本発明(I)の(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料として使用される(ポリ)カーボネートポリオールの水酸基価は、好ましくは20〜100mgKOH/gの範囲であり、より好ましくは25〜80mgKOH/gであり、さらに好ましくは30〜65mgKOH/gである。
【0111】
(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料として、(ポリ)カーボネートポリオールの原料になり得るポリオールが使用される場合、(ポリ)カーボネートポリオール100質量部に対して、30質量部以下であることが望ましく、より好ましくは25質量部以下である。
【0112】
(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を合成する方法は特に制限はないが、例えば、(ポリ)カーボネートポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを必須原料に用いて、付加反応することにより得られる(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物や、(ポリ)カーボネートポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料に用いて、付加反応することにより得られる(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を挙げることができる。
【0113】
まず、(ポリ)カーボネートポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを必須原料成分に用いて、付加反応することにより得られる(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物について説明する。
(ポリ)カーボネートポリオールは、前述の通りである。
有機ポリイソシアネート化合物は、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物や水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料成分で説明した有機ポリイソシアネート化合物と同様のものである。
アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートも、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物や水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の原料成分で説明したと同様のものである。
【0114】
また、(ポリ)カーボネートポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを必須原料成分に用いて、付加反応することにより得られる(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の合成方法も、ポリオレフィンポリオールと(ポリ)カーボネートポリオールを置き換えることによって、前述の、ポリオレフィンポリオール、有機ポリイソシアネート化合物およびアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを必須原料成分に用いて、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る場合についての説明の際に記載した方法と同様の方法により製造することができる。
【0115】
この方法で(ポリ)カーボネートポリオールを原料成分として用いて合成されるウレタン(メタ)アクリレートを合成する際には、ポリオレフィンポリオールを原料成分として用いて合成されるウレタン(メタ)アクリレートを合成する際に説明したのと同様に、(ポリ)カーボネート構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートも製造されることがあるが、本明細書では、(ポリ)カーボネートポリオール構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートは、本発明(I)の必須成分である成分(1)には含まれないものと定義する。例えば、(ポリ)カーボネートポリオール、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを使用して、成分(1)である(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を製造する場合、(ポリ)カーボネート構造単位を有さないウレタン(メタ)アクリレートである、前述の式(1)の化合物も製造されるが、式(1)の化合物は、(ポリ)カーボネート構造単位を有していないので、成分(1)には含まれないことを意味する。
【0116】
次に、(ポリ)カーボネートポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料成分に用いて、(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る場合について説明する。
(ポリ)カーボネートポリオールは前述の通りである。
上記の原料になり得るイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、前述の2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート等を挙げることができる。
(ポリ)カーボネートポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料成分に用いて、(ポリ)カーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る方法は、ポリオレフィンポリオールを(ポリ)カーボネートポリオールに置き換えることによって、前述のポリオレフィンポリオールおよび1分子中に1つイソシアナト基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須原料成分に用いて、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を得る方法と同様の方法により行うことができる。
【0117】
本発明(I)における成分(1)の使用量は、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して10〜50質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、12〜40質量%であり、特に好ましくは、13〜35質量%である。成分(1)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して10質量%未満の場合には、本発明(I)の重合性組成物の重合時の体積収縮率が大きくなるあるいは重合しづらくなる可能性があり、好ましいこととは言えない。また、成分(1)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して50質量%より多い場合には、本発明(I)の重合性組成物の粘度が高くなる場合があり、好ましくない。
【0118】
次に、本発明(I)の重合性組成物の必須原料成分である成分(2)について説明する。
成分(2)は、液状(メタ)アクリロイル基含有化合物であり、成分(1)以外のものであれば、特に制限はない。例えば、鎖状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、環状脂肪族基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、芳香環構造を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、複素環構造を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物等を挙げることができる。
【0119】
これらの中で好ましいものとしては、炭素数6以上の炭化水素基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物である。炭素数6以上の炭化水素基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルエチルアクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルエチルメタクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシルメタクリレート等の環状脂肪族基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物、メトキシトリエチレンアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ラウリルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、4−メチル−2−プロピルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、4−メチル−2−プロピルヘキシルメタクリレート等の鎖状脂肪族基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物等を挙げることができる。
【0120】
これらの中で、耐熱着色性能を考慮すると、好ましいものとしては、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルエチルメタクリレート、メトキシトリエチレンアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ラウリルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、4−メチル−2−プロピルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、4−メチル−2−プロピルヘキシルメタクリレートであり、後述の成分(6)の希釈効率を考慮すると、さらに好ましくは、ラウリルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、4−メチル−2−プロピルヘキシルアクリレート、イソノニルメタクリレート、2−プロピルヘプチルメタクリレート、4−メチル−2−プロピルヘキシルメタクリレートであり、光重合速度を考慮すると、特に好ましくは、ラウリルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレート、4−メチル−2−プロピルヘキシルアクリレートである。
【0121】
さらに、本発明(I)の重合性組成物には、成分(2)にアルコール性水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物を含むことができかつ好ましい。
アルコール性水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルメタクリレート等を挙げることができる。
【0122】
本発明(I)の重合性組成物に使用した場合の相溶性を考慮すると、これらの中で好ましいものとしては、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートであり、さらに好ましいのは、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートであり、最も好ましいのは、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートである。
【0123】
成分(2)の使用量は、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して10〜30質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、13〜25質量%であり、特に好ましくは、15〜22質量%である。成分(2)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して10質量%未満であると、本発明(I)の重合性組成物の粘度が高くなる場合があり、好ましくない。また、成分(2)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して30質量%より多い場合には、本発明(I)の重合性組成物の重合時の体積収縮率が大きくなる可能性があり好ましいことではない。
【0124】
次に、本発明(I)の重合性組成物の必須成分である成分(3)について説明する。
成分(3)は、液状水添ポリブタジエンポリオール、液状水添ポリイソプレンポリオールおよび水添ダイマージオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0125】
液状水添ポリブタジエンポリオールとは、ポリブタジエンポリオールあるいはポリブタジエンポリカルボン酸を還元水素化して得られる構造を有する液状ポリオールであり、日本曹達株式会社製 NISSO−PB GI−1000、NISSO−PB GI−2000、NISSO−PB GI−3000等を挙げることができる。
【0126】
液状水添ポリイソプレンポリオールとは、ポリイソプレンポリオールあるいはポリイソプレンポリカルボン酸を還元水素化して得られる構造を有する液状ポリオールであり、例えば、出光興産製のエポール等を挙げることができる。
水添ダイマージオールは、上記で説明してあるので、ここでは省略する。
【0127】
これらの中で、耐熱着色性を考慮すると好ましいものとしては、液状水添ポリブタジエンポリオール、液状水添ポリイソプレンポリオールであり、特に好ましいものとしては、液状水添ポリブタジエンポリオールであり、低誘電率を考慮すると好ましいものとしては、液状水添ポリブタジエンポリオール、液状水添ポリイソプレンポリオールであり、特に好ましいものとしては、液状水添ポリブタジエンポリオールである。
【0128】
成分(3)の使用量は、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して10〜45質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、12〜40質量%であり、特に好ましくは、15〜37質量%である。成分(3)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して10質量%未満であると、本発明(I)の重合性組成物の誘電率が高くなる場合があり、好ましくない。また、成分(3)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して45質量%より多い場合には、本発明(I)の重合性組成物の重合時の硬化物の強度が小さくなる可能性があり好ましいことではない。
【0129】
次に、本発明(I)の重合性組成物の必須成分である成分(4)について説明する。
本発明(I)の必須成分である成分(4)は、光重合開始剤である。
成分(4)の光重合開始剤は、近赤外線、可視光線、紫外線等の光の照射により、ラジカル重合の開始に寄与するラジカルを発生する化合物であれば、特に制限はない。
【0130】
成分(4)の光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−ドデシルフェニル)プロパン−1−オン、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパノン、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸またはそのテトラメチルエステル、4,4′−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン)、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、フルオレノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0131】
また、光重合開始剤として、メタロセン化合物を使用することもできる。メタロセン化合物としては、中心金属がFe、TI、V、Cr、Mn、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Lu、Ta、W、Os、Irなどに代表される遷移元素を用いることができ、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル]チタニウムを挙げることができる。
【0132】
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0133】
これらの中で、好ましいものとしては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドであり、特に好ましいものとしては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドであり、最も好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドの単独使用、あるいは1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンと2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドの併用である。
【0134】
また、
図1や
図2における透光性の保護部103には、画像表示部105に対する紫外線保護の観点から紫外線領域をカットする機能が付与されていることが多い。その場合、可視光領域でも感光可能な光重合開始剤である2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドを使用することが好ましく、特に好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドである。
【0135】
成分(4)の使用量は、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して0.1〜4.0質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、0.3〜3.0質量%であり、特に好ましくは、0.5〜2.0質量%である。成分(4)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して0.1質量%未満であると、重合開始剤の重合開始性能不足になる場合があり好ましくない。また、成分(4)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して4.0質量%より多くなると、後述の本発明(II)の重合物を、高温環境下においた場合に、着色しやすくなる場合があり、好ましいこととは言えない。
【0136】
さらに、本発明(I)の重合性組成物には、下記の成分(5)を含むことができかつ好ましい。
成分(5) 水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、ポリ(α−オレフィン)液状物、エチレン−プロピレン共重合液状物、プロピレン−α−オレフィン共重合液状物、エチレン−α-オレフィン共重合液状物、液状ポリブテン、液状水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状水添ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状水添ポリイソプレン、液状ポリブタジエンポリオール、および液状ポリイソプレンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種
【0137】
水添ポリプタジエンとは、ブタジエン重合物を還元水素化して得られる、常温で液状物であり、例えば、日本曹達株式会社製のNISSO−PB BI−2000、NISSO−PB BI−3000等を挙げることができる。
【0138】
水添ポリイソプレンとは、イソプレン重合物を還元水素化して得られる、常温で液状の化合物であり、クラレ製のLIR−200等を挙げることができる。
【0139】
ポリ(α−オレフィン)液状物とは、α−オレフィンの重合により製造される液状物であり、α−オレフィンとは炭素−炭素二重結合を分子末端に1つ有する炭化水素化合物であり、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等を挙げることができる。
【0140】
プロピレンとα−オレフィン共重合液状物とは、プロピレンとα−オレフィンとを共重合することによって製造される液状重合物である。α−オレフィンとは炭素−炭素二重結合を分子末端に1つ有する炭化水素化合物であり、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等を挙げることができる。
【0141】
エチレンとα−オレフィン共重合液状物とは、エチレンとα−オレフィンとを共重合することによって製造される液状重合物である。α−オレフィンとは炭素−炭素二重結合を分子末端に1つ有する炭化水素化合物であり、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等を挙げることができる。
【0142】
液状ポリブテンとは、イソブテンの単独重合、n−ブテンの単独重合、イソブテンおよびn−ブテンの共重合等のイソブテンあるいはn−ブテンを(共)重合成分に含む液状重合物であり、末端の一方に炭素−炭素不飽和結合を有する化合物である。液状ポリブテンの市販品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー製の日石ポリブテンLV−7、LV−50、LV−100、HV−15、HV−35、HV−50、HV−100、HV−300等を挙げることができる。
【0143】
液状水添ポリブテンとは、前記液状ポリブテンを、水素添加して得られる側鎖を有する液状物であり、例えば、日油製のパームリール4、パームリール6、パームリール18、パームリール24、パームリールEX等を挙げることができる。
【0144】
液状ポリブタジエンとは、常温で液状のブタジエン重合物であり、例えば、エボニックデグサ製のPOLYVEST110、POLYVEST130や日本曹達株式会社製のNISSO−PB B−1000、NISSO−PB B−2000、NISSO−PB B−3000等を挙げることができる。
【0145】
液状ポリイソプレンとは、常温で液状のイソプレン重合物であり、例えば、クラレ製のクラプレン LIR−30等を挙げることができる。
【0146】
液状ポリブタジエンポリオールとは、分子末端に水酸基を2つ以上有しかつポリブタジエン構造単位を有する、常温で液状の重合物であり、例えば、日本曹達株式会社製のNISSO−PB G−1000、NISSO−PB G−2000、NISSO−PB G−3000、出光興産株式会社製のPoly bd等を挙げることができる。
【0147】
液状ポリイソプレンポリオールとは、分子末端に水酸基を2つ以上有しかつポリイソプレン構造単位を有する、常温で液状の重合物であり、例えば、出光興産株式会社製のPoly ip等を挙げることができる。
【0148】
成分(5)の使用量は、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して5〜35質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、7〜32質量%であり、特に好ましくは、10〜30質量%である。成分(5)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して5質量%未満であると、本発明(I)の重合性組成物の誘電率および粘度が高くなる場合があり、好ましくない。また、成分(5)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して35質量%より多い場合には、本発明(I)の重合性組成物の重合時の硬化物の強度小さくなる可能性があり好ましいことではない。
【0149】
さらに、本発明(I)の重合性組成物には、下記の成分(6)を含むことができかつ好ましい。
成分(6) 水添石油樹脂、テルペン系水添樹脂、および水添ロジンエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種
【0150】
水添石油樹脂とは、石油系樹脂を水素還元して得られる樹脂である。水添石油樹脂の原料である石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族−芳香族共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂およびこれらの水添物等の変性物が挙げられる。合成石油樹脂は、C5系でも、C9系でもよい。
【0151】
テルペン系水添樹脂とは、テルペン系樹脂を水素還元して得られる樹脂である。テルペン系水添樹脂の原料であるテルペン系樹脂としては、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂、β−リモネン樹脂、α−リモネン樹脂、ピネン−リモネン共重合樹脂、ピネン−リモネン−スチレン共重合樹脂、テルペン−フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。これらのテルペン系樹脂の多くは、極性基を有しない樹脂である。
水添ロジンエステルとは、ロジン系樹脂を水添して得られる水添ロジンをエステル化あるいはロジンをエステル化して得られるロジンエステルを水素還元して得られた樹脂である。ロジン系樹脂粘着付与剤としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジンなどの変性ロジンなどが挙げられる。
【0152】
本発明(I)における成分(6)の使用量は、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して10〜50質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、12〜40質量%であり、特に好ましくは、13〜35質量%である。成分(6)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して10質量%未満の場合には、本発明(I)の重合性組成物の重合時の硬化膜の形状を保持しにくくなる可能性があり、好ましいこととは言えない。また、成分(6)の使用量が、本発明(I)の重合性組成物の総量に対して50質量%より多い場合には、本発明(I)の重合性組成物の粘度が高くなる場合があり、好ましくない。
【0153】
また、本発明(I)の重合性組成物を後述の本発明(IV)の画像表示装置の製造方法に用いる場合には、本発明(I)の重合性組成物の重合時の体積収縮率は、3.5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、2.7%以下であり、もっとも好ましいのは2.3%以下である。本発明(I)の重合性組成物の重合時の体積収縮率が、3.5%よりも大きい場合には、重合性組成物が重合する際に重合物に蓄積される内部応力が大きくなりすぎ、重合物層5aあるいは5bと、それらに接している画像表示部2、保護部3またはタッチパネル7との界面に歪みができてしまい、好ましいこととは言えない。
本発明(I)の重合性組成物の25℃における粘度は、特に制限はないが、ハンドリング上、10000mPa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは、7000mPa・s以下であり、特に好ましくは、5000mPa・s以下である。
【0154】
なお、本明細書に記載の粘度は、25℃で粘度5000mPa・s以下の粘度の組成物に関しては、コーン/プレート型粘度計(BrookfIeld社製、型式:DV−II+Pro、スピンドルの型番:CPE−42)を用いて、温度25.0℃、回転数10rpmの条件で測定した値である。
25℃における、本発明(I)の重合性組成物の粘度が1000mPa・s以下にすると、本発明(I)の重合性組成物をディスペンサーを用いた線引き塗布法で塗布する場合には、塗布後、液の広がりが容易になり、その結果、必要箇所に均一の厚みで該組成物がいきわたることが容易になり、さらに、気泡の巻き込みが抑制されやすくなる。
【0155】
本発明(I)の重合性組成物は、重合抑制剤や禁止剤、酸化防止剤を添加することができかつ好ましい。
【0156】
重合禁止剤や重合抑制剤としては、重合禁止能あるいは重合を抑制する機能を有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、フェノチアジン、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、トルキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−アシロキシ−p−ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、ジ−t−ブチル・パラクレゾールヒドロキノンモノメチルエーテル、アルファナフトール、アセトアミジンアセテート、アセトアミジンサルフェート、フェニルヒドラジン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルピリジニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレート、ジ(トリメチルベンジルアンモニウム)オキザレート、トリメチルベンジルアンモニウムマレート、トリメチルベンジルアンモニウムタータレート、トリメチルベンジルアンモニウムグリコレート、フェニル−β−ナフチルアミン、パラベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン、ジニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸、シクロヘキサノンオキシム、ピロガロール、タンニン酸、レゾルシン、トリエチルアミン塩酸塩、ジメチルアニリン塩酸塩およびジブチルアミン塩酸塩等が挙げられる。
これらは単独でも、あるいは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0157】
これらの中でも、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−アシロキシ−p−ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、ジ−t−ブチル・パラクレゾールヒドロキノンモノメチルエーテルおよびフェノチアジンが好適に用いられる。
【0158】
通常、重合禁止剤は、本発明(I)の重合性組成物の総量に対し、0.01〜5質量%の添加量になるよう調整することができる。ただし、重合禁止剤の量は、成分(1)、成分(2)および成分(5)に予め含まれている重合禁止剤を加味した値である。即ち、一般には、成分(1)、成分(2)および成分(5)に予め重合禁止剤が含まれているが、この重合禁止剤と新たに添加する重合禁止剤の総量を併せた量が、本発明(I)の重合性組成物の重合性組成物の総量に対し、0.01〜5質量%の添加量になることを意味する。
【0159】
酸化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸の炭素数7〜9のアルキルエステル、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、3,9−ビス[2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、N,N′,N″−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等を挙げることができる。これらの中で、好ましいものは、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートであり、最も好ましいのは、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
【0160】
通常、酸化防止剤は、本発明(I)の重合性組成物の総量に対し、0.01〜5質量%の添加量になるよう調整することができる。ただし、重合禁止剤の量は、成分(1)〜(6)等の他の成分に予め含まれている酸化防止剤を加味した値である。即ち、一般には、成分(2)等に予め酸化防止剤が含まれている場合があるが、この酸化防止剤と新たに添加する酸化防止剤の総量を併せた量が、本発明(I)の重合性組成物やの総量に対し、0.01〜5質量%の添加量になることを意味する。
【0161】
次に、本発明(II)について説明する。
本発明(II)は、本発明(I)に記載の重合性組成物を重合して得られる重合物である。
本発明(II)の重合物は、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、LED等を光源として、光重合開始剤が感光可能な光を、ガラスやプラスチックの基材を介して照射して、重合性組成物を重合することにより得られるものである。
【0162】
また、本発明(II)の重合物は、画像表示装置の画像表示部と、透光性の保護部との間に介在させる重合物層として使用される重合物である。この重合物は、23℃、周波数1MHz、印加電圧100mVの条件下での2mm厚の当該重合物の誘電率が3.1以下でありかつ2枚のガラス間に存在する200μm厚に調整された当該重合物の、95℃で500時間の条件で保存した後のJIS Z 8729に記載の色座標b
*値が1.0未満になることが好ましい。
【0163】
なお、本明細書に記載の「23℃、周波数1MHz、印加電圧100mVの条件下での重合物の誘電率」とは、2mm厚の試験片(重合物)を、23℃の環境下で、Agilent Technologies社製のインピーダンスアナライザとして、4294A プレシジョン インピーダンス・アナライザ 40Hz−110MHzを使用し、テストフィクスチャとして、Agilent Technologies社製の16451B 誘電体テスト・フィクスチャを使用して測定された、周波数1MHz、印加電圧100mVの条件下での重合物の誘電率である。
【0164】
図2あるいは
図3に示すAdd−On(Out−Cell)型静電容量方式タッチパネル搭載表示装置中の表示部とタッチパネルとの間に充填される重合物(層)(
図2および
図3に記載の5bの重合物(層))やカバーガラス−タッチセンター一体型静電容量方式タッチパネル搭載表示装置中の表示部とタッチセンター一体型の保護部との間に充填される重合物(層)(
図4および
図5に記載の5bの重合物(層))に本発明(II)の重合物を使用する場合には、本発明(II)の重合物の誘電率は低いことが好ましい。具体的には、23℃、周波数1MHz、印加電圧100mVの条件下での2mm厚の重合物の誘電率が3.1以下になる重合物を使用することが好ましく、さらに好ましくは、23℃、周波数1MHz、印加電圧100mVの条件下での2mm厚の重合物の誘電率が3.0以下になる重合物を使用することである。
【0165】
また、本明細書に記載の「2枚のガラス間に存在する200μm厚に調整された重合物」とは、厚さ0.7mmの2枚の光学ガラス(コーニング社製 商品名:イーグルXG)の間に、200μmのシート状の重合物を挟み込んで得られる重合物、あるいは、厚さ0.7mmの2枚の光学ガラス(コーニング社製 商品名:イーグルXG)の間に重合性組成物を介在させ、前記光学ガラス越しに、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、LED等を光源として、光重合開始剤が感光可能な光を照射することにより得られる、厚さ200μmの重合物であり、重合物層の外側の2枚のガラスに挟まれた部分には、スペーサ、ガスケット、あるいは封止剤等が全く含まれていないものである。
【0166】
さらに、本明細書に記載の「95℃で500時間の条件で保存した後のJIS Z 8729に記載の色座標b
*値」とは、前記2枚のガラス間に存在する200μm厚に調整された重合物を、95℃の環境下で、500時間保持した後、23℃の環境下で、JIS Z 8729に記載の方法により、測定された色座標(psychometric chroma coordinates)のb
*の値である。ただし、このb
*の値を測定する際に用いられたリファレンスは厚さ0.7mmの光学ガラス(コーニング社製 商品名:イーグルXG)1枚である。本発明(II)においては、上記条件で測定されたb
*の値は1.0未満であることが必要である。さらに、好ましくは0.9未満であり、さらに好ましくは、0.8未満である。上記条件で測定されたb
*の値が1.0以上になると、経時で370〜450nmの光の透過率が減少していることになり、好ましくない。
【0167】
25℃における、本発明(II)の重合物の屈折率は、1.48〜1.52が好ましい。25℃における屈折率が、1.48未満あるいは1.52より大きくなる場合、保護部の材質である光学ガラスやポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂の屈折率に比べて低くなりすぎるので、表示部から保護部に至る間の界面における屈折率差がやや大きくなり、表示部から映像光の散乱および減衰がやや大きくなり、好ましいこととは言えない。
【0168】
また、本発明(II)の重合物の、23℃における引張弾性率は、1×10
7Pa以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1×10
3〜1×10
6Paである。23℃における引張弾性率を1×10
7Pa以下にすることによって、画像表示部および保護部に対して、重合性組成物の重合時に体積収縮に起因する応力の影響による歪みの発生を防止することができる。
なお、本明細書に記載の引張弾性率は、500mm/minの引張速度で試験を行ったときの値である。
【0169】
次に、本発明(III)について説明する。
本発明(III)は、本発明(I)の重合性組成物を塗布し、光重合開始剤が感光可能な光を該組成物に照射して、重合させることによって得られる、厚さ10〜500μmの重合物層を有する光学用粘着シートである。
本発明(III)の光学用粘着シートは、シートの両面が粘着面(粘着剤層表面)となっている両面粘着シートであってもよいし、シートの片面のみが粘着面(粘着剤層表面)となっている片面粘着シートであってもよい。中でも、2つの部材同士を貼り合わせる観点からは、両面粘着シートであることが好ましい。なお、本明細書において、「粘着シート」という場合には、テープ状のもの、即ち、「粘着テープ」も含まれるものとする。
【0170】
本発明(III)光学用粘着シートは、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプ」の光学用粘着シート(以下、「基材レス光学用粘着シート」と称する場合がある)であってもよいし、基材を有するタイプの光学用粘着シートであってもよい。上記基材レス光学用粘着シートとしては、例えば、本発明の重合物からなる重合物層のみからなる両面粘着シートや、本発明の重合物からなる重合物層と該重合物層以外の粘着剤層からなる両面粘着シート等が挙げられる。基材を有するタイプの粘着シートとしては、基材の少なくとも片面側に本発明の重合物からなる重合物層を有していればよい。中でも、光学用粘着シートの薄膜化、透明性などの光学物性向上の観点からは、基材レス光学用粘着シート(基材レス両面光学用粘着シート)が好ましく、より好ましくは、本発明の重合物からなる重合物層のみからなる基材レス両面の光学用粘着シートである。なお、上記の「基材(基材層)」には、粘着シートの使用(貼付)時に剥離されるセパレータ(剥離ライナー)は含まない。
【0171】
本発明(III)の光学用粘着シートの重合物層の厚みは、好ましくは10〜500μmであり、より好ましくは10〜350μmであり、さらに好ましくは10〜300μmである。重合物層の厚さが500μmを超えると、塗工時の巻き取り時にシワが生じたり、加湿により白濁化しやすくなる場合があり、好ましいこととは言えない。重合物層の厚さが10μm未満では、重合物層が薄いために応力分散ができなくなり、剥がれが生じやすくなる場合がある。
【0172】
本発明(III)の光学用粘着シートは、画像表示装置の画像表示部と、透光性の保護部との間に介在させる重合物層として使用されるものである。例えば、
図2あるいは
図3に示すAdd−On(Out−Cell)型静電容量方式タッチパネル搭載表示装置中の表示部とタッチパネルとの間に充填される重合物(層)(
図2および
図3に記載の5bの重合物(層))やカバーガラス−タッチセンター一体型静電容量方式タッチパネル搭載表示装置中の表示部とタッチセンター一体型の保護部との間に充填される重合物(層)(
図4および
図5に記載の5bの重合物(層))に本発明(III)の光学用粘着シートを使用する場合には、本発明(III)の光学用粘着シートの誘電率は低いことが好ましい。具体的には、23℃、周波数1MHz、印加電圧100mVの条件下での2mm厚の光学用粘着シートの誘電率が3.1以下であるものを使用することが好ましく、さらに好ましくは、23℃、周波数1MHz、印加電圧100mVの条件下での2mm厚の光学用粘着シートの誘電率が3.0以下であるものを使用することである。
【0173】
2枚のガラス間に存在する200μm厚に調整された当該粘着シートの、95℃で500時間の条件で保存した後のJIS Z 8729に記載の色座標b
*値が1.0未満であることにあることが好ましい。
【0174】
本発明(III)の光学用粘着シートは、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、LED等を光源として、光重合開始剤が感光可能な光を照射して、重合性組成物を重合することにより得られるものである。
【0175】
本発明(III)においては、上記条件で測定されたb
*の値は1.0未満であることが好ましい。さらに、好ましくは0.9未満であり、最も好ましくは、0.8未満である。上記条件で測定されたb
*の値が1.0以上になると、経時で370〜450nmの光の透過率が減少していることになり、好ましくない。
【0176】
25℃における、本発明(III)の光学用粘着シートの屈折率は、1.48〜1.52が好ましい。25℃における屈折率が、1.48未満あるいは1.52より大きくなる場合、保護部の材質である光学ガラスやポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂の屈折率に比べて低くなりすぎるので、表示部から保護部に至る間の界面における屈折率差がやや大きくなり、表示部から映像光の散乱および減衰がやや大きくなり、好ましいこととは言えない。
【0177】
(光学用粘着シートの重合物層の形成方法)
本発明(III)の光学用粘着シートの重合物層の形成方法は、公知あるいは慣用の重合物層の形成方法を用いることが可能であり、特に限定されないが、本発明の重合性組成物のようなアクリロイル基を有する重合性組成物を重合させて、光学用粘着シートの重合物層を形成させる場合には、例えば、以下の(1)〜(3)などの方法が挙げることができる。
(1)光重合開始剤を含むアクリロイル基を有する重合性組成物に、必要に応じて添加剤を含む組成物を、基材またはセパレータ(剥離ライナー)上に塗布(塗工)し、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、LED等の光源を用いて、光重合開始剤が感光可能な光を照射して、該組成物を重合することにより重合物層を形成する。
(2)光重合開始剤を含むアクリロイル基を有する重合性組成物に、さらに溶剤、必要に応じて添加剤を含む組成物(溶液)を、基材またはセパレータ(剥離ライナー)上に塗布(塗工)し、乾燥および低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、LED等の光源を用いて、光重合開始剤が感光可能な光を照射して、該組成物を重合することにより重合物層を形成する。
(3)上記(1)で形成した重合物層をさらに乾燥させる。
なお、上記の重合物層の形成方法における塗布(塗工)には、公知のコーティング法を用いることが可能であり、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどを用いることができる。
【0178】
(基材)
本発明(III)の光学用粘着シートが基材を有する場合、基材としては、特に制限されないが、プラスチックフィルム、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板などの各種光学フィルムが挙げられる。上記プラスチックフィルムなどの素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の(ポリ)エステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、(ポリ)カーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、商品名「アートン(環状オレフィン系ポリマー;JSR製)」、商品名「ゼオノア(環状オレフィン系ポリマー;日本ゼオン製)」等の環状オレフィン系ポリマーなどのプラスチック材料が挙げられる。なお、プラスチック材料は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、上記の「基材」とは、光学用粘着シートを被着体(光学部材等)に使用(貼付)する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分である。粘着シートの使用時(貼付時)に剥離されるセパレータ(剥離ライナー)は「基材」には含まない。
上記の中でも、基材としては、透明基材が好ましい。上記「透明基材」とは、例えば、可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361に準じる)が85%以上である基材が好ましく、さらに好ましくは88%以上である基材をいう。また、基材のヘーズ(JIS K7361に準じる)は、例えば、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。上記透明基材としては、PETフィルムや、商品名「アートン」、商品名「ゼオノア」などの無配向フィルムなどが挙げられる。
上記基材の厚さは、特に限定されず、例えば、12〜75μmが好ましい。なお、上記基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。また、基材表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
本発明(III)の光学用粘着シートが基材を有する場合、基材としては各種の機能性フィルムを用いることができる。その場合、本発明の粘着シートは、機能性フィルムの少なくとも片面に本発明の粘着剤層を有する粘着型機能性フィルムとなる。上記の機能性フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、光学的機能性(偏光性、光屈折性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有するフィルム、導電性を有するフィルム(ITOフィルムなど)、紫外線カット性を有するフィルム、ハードコート性(耐傷付き性)を有するフィルム等が挙げられる。さらに具体的には、ハードコートフィルム(PETフィルムなどのプラスチックフィルムの少なくとも片面にハードコート処理が施されたフィルム)、偏光フィルム、波長板、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護フィルム、プリズム、カラーフィルターなどが挙げられる。なお、上記の「板」および「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態を含むものとし、たとえば、「偏光フィルム」は、「偏光板」、「偏光シート」も含むものとする。また、「機能性フィルム」は「機能性板」、「機能性シート」を含むものとする。
【0179】
(他の粘着剤層)
また、本発明(III)の光学用粘着シートが、他の粘着剤層を有する場合、他の粘着剤層としては、特に制限されず、例えば、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、(ポリ)エステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤から形成された公知慣用の粘着剤層が挙げられる。上記粘着剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明(III)の光学用粘着シートにおいては、基材も他の粘着剤層も含まない場合には、本発明(I)の重合性組成物を重合して得られる重合物層、また、他の粘着剤層を含む場合には、本発明(I)の重合性組成物を重合して得られる重合物層と、この他の粘着剤層を合わせた層、また、基材を含む場合には本発明(I)の重合性組成物を重合して得られる重合物層と、この基材を合わせた層、また、他の粘着剤層と基材をともに含む場合には、本発明(I)の重合性組成物を重合して得られる重合物層、他の粘着剤層および基材を合わせた層を「粘着剤層」と定義する。
【0180】
(セパレータ)
本発明(III)の光学用粘着シートの粘着剤層表面(粘着面)は、使用時まではセパレータ(剥離ライナー)により保護されていてもよい。なお、本発明の光学用粘着シートが両面粘着シートである場合、各粘着面は、2枚のセパレータによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているセパレータ1枚により、ロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。セパレータは粘着剤層の保護材として用いられており、被着体に貼付する際に剥がされる。また、本発明の粘着シートが基材レス粘着シートの場合には、セパレータは粘着層の支持体の役割も担う。なお、セパレータは必ずしも設けられていなくてもよい。上記セパレータとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。上記剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。上記フッ素ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、セパレータは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、セパレータの厚さ等も特に制限されない。
【0181】
次に、本発明(IV)について説明する。
本発明(IV)は、画像表示部を有する基部と、透光性の保護部と、前記基部と前記保護部との間に介在する重合物層とを含む画像表示装置の製造方法であって、該方法が本発明(I)の重合性組成物を前記基部と前記保護部との間に介在させる工程、および光重合開始剤が感光可能な光を前記重合性組成物に照射して重合物層を形成する工程を含むことを特徴とする画像表示装置の製造方法である。
なお、本明細書に記載の「前記基部と前記保護部との間」とは、画像表示部を有する基部と透光性の保護部との間の全て部分を意味し、例えば、
図2の5aと5bのいずれの場所も「前記基部と前記保護部との間」という表現に含まれることを意味する。
【0182】
以下に、画像表示装置の好ましい実施の形態について図面を参照して、より具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一または同等の構成要素を表している。
例えば、
図1、
図2および
図4は、本発明に係る画像表示装置の一実施形態の要部を示す断面図である。
図1、
図2および
図4に示すように、本実施の形態の画像表示装置1は、図示しない駆動回路に接続され、所定の画像表示を行う画像表示部2と、この画像表示部2に所定の距離をおいて近接対向配置された透光性の保護部3とを有している。
なお、本明細書に記載の「画像表示装置」としては、画像を表示する装置であれば、特に限定されるものではなく、種々のものに適用することができる。例えば、携帯電話、携帯ゲーム機器等の液晶表示装置あるいは有機EL表示装置があげられる。本実施形態の画像表示部2は、液晶表示装置の液晶表示パネルである。
なお、画像表示部2が液晶表示パネルである場合には、
図2あるいは
図4に示すように、その表面に偏光板6a、6bが設けられている。
【0183】
本実施形態の画像表示装置1の製造方法としては、例えば、まず、画像表示部2上の周縁部に、スペーサ4と図示しない突堤部を設け、これらの内側の領域に本発明(I)の重合性組成物を所定量滴下する。
そして、画像表示部(液晶表示パネル)2のスペ−サ4上に保護部3を配置し、画像表示部(液晶表示パネル)2と保護部3との間の空隙に、本発明(I)の重合性組成物を隙間なく充填する。
その後、保護部3を介して、本発明(I)の重合性組成物に対して、本発明(I)の重合性組成物の必須成分である成分(4)が感光可能な光を照射することにより、本発明(I)の重合性組成物を重合させる。これにより、目的とする画像表示装置1を得る。
【0184】
この画像表示装置1によれば、重合物層5と保護部3との屈折率が同等であるため、輝度やコントラストを高めて視認性を向上させることができる。
また、画像表示部(液晶表示パネル)2および保護部3に対し、重合性組成物の重合時の体積収縮により引き起こされる応力の影響を最小限に抑えることができるので、液晶表示パネル2および保護部3において歪みがほとんど発生せず、その結果、画像表示部(液晶表示パネル)2に変形が発生しないので、表示不良のない高輝度および高コントラストの画像表示が可能になる。
また、
図2や
図4の5bの重合物層に本発明(II)の重合物が用いられた場合には、5bの重合物層の重合物の誘電率は低く維持されるので、この重合物層の厚みを薄くしても、画像表示装置の誤作動を防止することができ、画像表示装置の薄型化に寄与できる。
【0185】
次に、本発明(V)について説明する。
本発明(V)は、画像表示部を有する基部と透光性の保護部との間に光学用粘着シートを用いて重合物層を貼り付ける工程を有する画像表示装置の製造方法であって、該光学用粘着シートが、本発明(III)の光学用粘着シートであることを特徴とする画像表示装置の製造方法である。
なお、本明細書に記載の「画像表示部を有する基部と透光性の保護部との間に光学用粘着シートを用いて重合物層を貼り付ける」とは、画像表示部を有する基部と透光性の保護部との間のいずれの部分を貼り付けても、「画像表示部を有する基部と透光性の保護部とを光学用粘着シートを用いて重合物層を貼り付ける」という表現に含まれることを意味し、例えば、
図2の5aと5bのどちらに粘着シートを用いて貼り付けても、「画像表示部を有する基部と透光性の保護部とを光学用粘着シートを用いて貼り付ける」という表現に含まれることを意味する。
【0186】
画像表示部を有する基部と、透光性の保護部とを光学用粘着シートを用いて貼り付ける工程の例示を目的として、第1の基材がタッチセンサー一体型保護部であり、第2の基材が偏光板付きの表示部である
図5の表示装置での製造工程を例に説明する。
本発明(III)の光学用粘着シートを、第1の基材であるタッチセンサー一体型保護部のタッチセンサー搭載面側で隣接させて配置する工程と、第2の基材である偏光板付きの表示部の表面を本発明(III)の光学用粘着シートと隣接させて配置する工程と、本発明(III)の光学用粘着シートを加熱および/または加圧して段差または隆起に追従させる工程と、さらに、必要に応じて本発明(III)の光学用粘着シートに光重合開始剤が感光可能な光を照射する工程を含む方法によって製造することができる。これらの工程は様々な順序で行うことができる。
【0187】
例えば1つの具体的方法として、最初に、本発明(III)の光学用粘着シートの1方の面を第1の基材であるタッチセンサー一体型保護部のタッチセンサー搭載面側で隣接させて配置し、第2の基材である偏光板付きの表示部の表面を本発明(III)の光学用粘着シートのもう1方の面と隣接させて配置する。すなわち本発明(III)の光学用粘着シートに段差または隆起を有する表面が向くようにして、タッチセンサー一体型保護部(第1の基材)と偏光板付きの表示部(第2の基材)で本発明(III)の光学用粘着シートを挟む。次に、本発明(III)の光学用粘着シートを加熱および/または加圧して、粘着シートを段差または隆起に追従させる。その後、必要に応じて、タッチセンサー一体型保護部(第1の基材)側および/または偏光板付きの表示部(第2の基材)側から、これらの基材を通して本発明(III)の光学用粘着シートに光重合開始剤が感光可能な光を照射する。このようにして、タッチセンサー一体型保護部(第1の基材)の段差または隆起の近傍に空隙を形成することなく、タッチセンサー一体型保護部(第1の基材)と偏光板付きの表示部(第2の基材)を接着することができる。この実施態様では、タッチセンサー一体型保護部(第1の基材)と偏光板付きの表示部(第2の基材)を本発明(III)の光学用粘着シートに隣接させてから、当該粘着シートを加熱および/または加圧するため、偏光板付きの表示部(第2の基材)の被着表面に段差や隆起がある場合(即ち、画像表示モジュールに取り付けられた偏光板上に当該粘着シートを適用する場合)に、偏光板付きの表示部(第2の基材)の段差や隆起にも当該粘着シートを追従させて、それらの形状近傍においても空隙の形成を防止することができる。
【0188】
上記方法では、光重合開始剤が感光可能な光を照射する場合には、第1の基材および第2の基材の少なくとも一方が、それらを通して本発明(IV)の光学用粘着シートに、光重合開始剤が感光可能な光を照射できるように、少なくとも部分的に透明である。第1の基材の段差または隆起の部分が紫外線を透過しない場合、第1の基材側から紫外線を照射すると、その段差または隆起の部分の直下には紫外線が照射されないが、照射された部分で発生したラジカルの移動などにより非照射部分においても粘着シートの重合がある程度進行する。
【0189】
別の具体的方法としては、本発明(III)の光学用粘着シートの1方の面をタッチセンサー一体型保護部(第1の基材)に段差または隆起を有する表面側(即ち、タッチセンサー搭載面側)で隣接させて配置した後、当該粘着シートを加熱および/または加圧して、当該粘着シートを段差または隆起に追従させる。その後、必要に応じて、本発明(III)の光学用粘着シートの開放面に紫外線を照射して、当該粘着シートをさらに重合した後、偏光板付きの表示部(第2の基材)を当該粘着シートのもう1方の面に隣接させて配置して、第2の基材を当該粘着シートに貼り付ける。剥離フィルムが透明であれば、必要に応じて、剥離フィルムを通して粘着シートに紫外線を照射することもできる。この例では、当該粘着シート全面に光重合開始剤が感光可能な光を照射することができるため、より均一に当該粘着シートを重合することができる。第1の基材が、当該粘着シートの重合に必要な光重合開始剤が感光可能な光を照射できるように少なくとも部分的に透明であれば、必要に応じて、第1の基材側から紫外線を照射することもできる。このようにして、第1の基材の段差または隆起の近傍に空隙を形成することなく、第1の基材と第2の基材を接着することができる。
【0190】
上記加熱工程は、対流式オーブン、ホットプレート、ヒートラミネーター、オートクレーブなどを用いて行うことができる。粘着シートの流動を促進して、より効率的に粘着シートを段差または隆起に追従させるために、ヒートラミネーター、オートクレーブなどを用いて、加熱と同時に加圧することが好ましい。オートクレーブを用いた加圧は、光学用粘着シートの脱泡に特に有利である。本発明の光学用粘着シートの加熱温度は、当該粘着シートが軟化または流動して段差または隆起に十分に追従する温度であればよく、一般に約30℃以上、約40℃以上、または約60℃以上とすることができ、約150℃以下、約120℃以下、または約100℃以下とすることができる。粘着シートを加圧する場合、与える圧力は、一般に約0.05MPa以上、または約0.1MPa以上、約2MPa以下、または約1MPa以下とすることができる。
【0191】
必要に応じて行われる、上記の光重合開始剤が感光可能な光を照射する工程は、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプなどを光源として用いる、一般的な紫外線照射装置、例えばベルトコンベア式の紫外線照射装置を用いて行うことができる。紫外線照射量は、一般に、約1000mJ/cm
2〜約5000mJ/cm
2である。
【0192】
次に、本発明(VI)について説明する。
本発明(VI)は、本発明(IV)または本発明(V)に記載の方法によって製造された画像表示装置である。
本発明(VI)の画像表示装置は、表示装置の本体が光学ガラスから形成されている場合、一般的にその屈折率(n
D)は、1.49〜1.52となる。なお、屈折率(n
D)が、1.55程度の強化ガラスも存在する。
保護部3は、画像表示部2と同程度の大きさの板状、シート状またはフィルム状の透光性部材から形成されている。この透光性部材としては、例えば、光学ガラスやプラスチック(ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂等)を好適に用いることができる。保護部3の表面もしくは裏面には、反射防止膜、遮光膜、視野角制御膜等の光学層を形成してもよい。
保護部3がアクリル樹脂から形成されている場合には、一般的にその屈折率(n
D)は1.49〜1.51となる。
保護部3は、画像表示部2の周縁部に設けられたスペ−サ4を介して画像表示部2上に設けられている。このスペ−サ4の厚さは0.05〜1.5mm程度であり、これにより画像表示部2と保護部3との表面間距離が1mm程度に保持される。
また、保護部3の周縁部には、輝度およびコントラストを向上させるため、図示しない枠状の遮光部が設けられている。
【0193】
まず、本発明(IV)の画像表示装置の製造方法によって製造された画像表示装置について詳しく説明する。
画像表示部2と保護部3との間には、重合物層5a、5bが介在している。本発明(IV)の画像表示装置の製造方法によって製造された画像表示装置の場合には、この重合物層5aや重合物層5bには、本発明(II)の重合物が介在するため、可視光領域の透過率が90%以上になる。ここで、重合物層5aや重合物層5bの厚みは10〜500μmとなるようにすることが好ましい。さらに好ましくは、10〜350μmであり、特に好ましくは、10〜300μmである。
また、重合物層5aや重合物層5bには、本発明(II)の重合物が介在するため、25℃における屈折率(n
D)は、1.45〜1.55、好ましくは、1.48〜1.52になるので、画像表示部2や保護部3の屈折率とほぼ同等になるので好ましい。これにより、画像表示部2からの映像光の輝度やコントラストを高め、視認性を向上させることができる。
本発明(IV)の画像表示装置の製造方法によって画像表示装置を製造する場合、重合物層5aや重合物層5bには、本発明(II)の重合物が介在するため、23℃における引張弾性率を、1×10
7Pa以下、好ましくは、1×10
3〜1×10
6Paになる。従って、画像表示部および保護部に対して、重合性組成物の重合時に体積収縮に起因する応力の影響による歪みの発生を防止することができる。
本発明(IV)の画像表示装置の製造方法によって画像表示装置を製造する場合、重合物層5aや重合物層5bには、本発明(I)の重合物が介在するため、重合性組成物の重合時の体積収縮率が、4.0%以下、好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは2.7%以下になる。これにより、重合性組成物が重合する際に重合物層に蓄積される内部応力を低減させることができ、重合物層5aとタッチパネル7または保護部3との界面や、重合物層5bとタッチパネル7、画像表示部2あるいは保護部3との界面に歪みができることを防止できる。したがって、重合性組成物を、タッチパネル7と保護部3との間、タッチパネル7と画像表示部2との間、あるいは画像表示部2と保護部3との間に介在させ、その重合性組成物を重合させた場合に、重合物層5と画像表示部2、保護部3、タッチパネル7との界面で生じる光の散乱を低減させることができ、表示画像の輝度を高めると共に、視認性を向上させることができる。
また、本発明(I)の重合物を重合物層5bに用いる場合には、これらの重合物の誘電率が低いので、重合物層5bの厚みを薄くすることができる。
【0194】
次に、本発明(V)の画像表示装置の製造方法によって製造された画像表示装置について詳しく説明する。
画像表示部2と保護部3との間には、重合物層5a、5bが介在している。本発明(V)の画像表示装置の製造方法によって製造された画像表示装置の場合には、この重合物層5aや重合物層5bには、本発明(III)の光学用粘着シートが介在するため、可視光領域の透過率が90%以上になる。ここで、重合物層5aや重合物層5bの厚みは10〜500μmとなるようにすることが好ましい。さらに好ましくは、10〜350μmであり、特に好ましくは、10〜300μmである。
また、重合物層5aや重合物層5bには、本発明(III)の光学用粘着シートが介在するため、25℃における屈折率(n
D)は、1.45〜1.55、好ましくは、1.48〜1.52になるので、画像表示部2や保護部3の屈折率とほぼ同等になるので好ましい。これにより、画像表示部2からの映像光の輝度やコントラストを高め、視認性を向上させることができる。
また、本発明(V)の画像表示装置の製造方法によって画像表示装置を製造する場合、重合物層5aや重合物層5bには、本発明(III)の光学用粘着シートが介在するため、画像表示部や保護部の段差や隆起にも当該粘着シートを追従させて、それらの形状近傍においても空隙の形成を防止することができる。
また、本発明(III)の光学用粘着シートは柔軟性を有するので、保護部3や画像表示部2、タッチパネル7が凹凸形状を有していても、さらには、画像表示ユニットの表示面に凹凸表面形状を有する層(例えば、偏光板)が設けられていたとしても、シート自体の内部残留応力が緩和されており、画像表示装置における表示ムラを防止することができる。例えば、
図4の表示装置の場合、光学用粘着シートは充分な接着力および親水性を有しているため、高温高湿環境下でも、画像表示部2の表示面(例えば、偏光板)と光学用粘着シート(即ち、重合物層5b)との界面、および光学用粘着シート(即ち、重合物層5b)とタッチセンサー一体型保護部3aとの界面で気泡や剥がれが発生せず、また、白化も生じない。
【0195】
本発明(VI)の画像表示装置に使用される光学ガラス板としては、液晶セルの液晶を挟持するガラス板や液晶セルの保護板として使用されているものを好ましく使用できる。また、使用されるアクリル樹脂板としては、液晶セルの保護板として使用されているものを好ましく使用できる。これらの光学ガラス板やアクリル樹脂板の平均表面粗度は、通常、1.0nm以下である。
【0196】
また、本発明(VI)の画像表示装置は、画像表示部2と保護部3との間に本発明(I)の重合物または本発明(III)の光学用粘着シートが用いられた重合物層5が充填されているので、衝撃に強い。
加えて、画像表示部2と保護部3との間に空隙を設けていた従来例に比して薄型に形成することができる。
また、本発明(VI)の画像表示装置は種々の態様をとることができる。例えば、
図3や
図5に示すように、スペーサ4を省略して画像表示装置1を製造してもよい。
図3の重合物層5bの場合には、例えば、画像表示部2上の偏光板6a上に、本発明(I)の光重合性組成物を塗布し、その上にタッチパネル7を重ね、前述と同様に光重合を行うか、あるいは、例えば、保護部3、重合物層5a、タッチパネル7および重合物層5b(即ち、光学用粘着シート5b)からなる積層体を画像表示部2上の表示面(即ち、偏光板6a表面)に貼り合わせることで得られる。
また、
図5の重合物層5bの場合には、例えば、画像表示部2上の偏光板6a上に、本発明(I)の光重合性組成物を塗布し、その上にタッチセンサー一体型保護部3aを重ね、前述と同様に光重合を行うか、あるいは、例えば、タッチセンサー一体型保護部3aおよび重合物層5b(即ち、光学用粘着シート5b)からなる積層体を画像表示部2上の表示面(即ち、偏光板6a表面)に貼り合わせることで得られる。
また、本発明は、上述した液晶表示装置のみならず、例えば、有機EL、プラズマディスプレイ装置等の種々のパネルディスプレイに適用することができる。
【実施例】
【0197】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ制限されるものではない。
【0198】
<粘度の測定>
粘度は以下の方法により測定した。
試料1mLを使用して、コーン/プレート型粘度計(Brookfield社製、型式:DV−II+Pro、スピンドルの型番:CPE−42)を用いて、温度25.0℃、回転数10rpmの条件で粘度がほぼ一定になったときの値を測定した。
【0199】
<数平均分子量>
数平均分子量は下記条件でGPCにより測定したポリスチレン換算の値である。
装置名:日本分光株式会社製HPLCユニット HSS−2000
カラム:ShodexカラムLF−804
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/min
検出器:日本分光株式会社製 RI−2031Plus
温度:40.0℃
試料量:サンプルループ 100μL
試料濃度:0.5wt%前後に調製
【0200】
(実施合成例1)
コンデンサー、滴下ロート、温度計および撹拌機付きの300mLセパラブルフラスコに、ポリブタジエンポリオール(日本曹達株式会社製 商品名:NISSO−PB G−2000 水酸基価47.3mgKOH/g)180g、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)1.17gおよびジオクチル錫ジラウレート20mgを入れ、オイルバスを用いて、内温を50℃に昇温した。その後、2−イソシアナトエチルメタクリレート(商品名;カレンズMOI 昭和電工株式会社製)22.86gを滴下ロートから15分かけて滴下した。滴下している間、内温が70℃を超えないようにした。滴下終了後、70±2℃の内温を管理して、撹拌を継続した。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基のC=O伸縮振動の吸収が見られなくなったので、撹拌を止め反応を終了し、ウレタン基を含有するポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物1を得た。
【0201】
(実施合成例2)
撹拌機および蒸留装置のついた1リットル四口フラスコに、ポリブタジエンポリオール(日本曹達株式会社製 商品名:NISSO−PB G−3000 水酸基価29.5mgKOH/g)540.0g、アクリル酸n−ブチル101g、ジオクチル錫ジラウレート0.81gおよびペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)3.51gを投入し、空気気流下で、130℃に加熱して生成してくるn−ブタノールおよびアクリル酸n−ブチルの混合液を還流しながら、10時間程度かけて徐々に反応系外に留去した。n−ブタノールおよびアクリル酸n−ブチルが出なくなった後、真空ポンプを用いて、反応系内を10kPaまで減圧にし、再度n−ブタノールとアクリル酸n−ブチルを系外に留去した。1.5時間程度50Pa保持した後、反応器を冷却して、ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物2を得た。
【0202】
(実施合成例3)
攪拌装置、温度計、滴下ロートおよびコンデンサーを備えた100mLの反応容器に、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの混合物(商品名:VESTANAT(登録商標) TMDI エボニックデグサ製)23.93g、ジオクチル錫ジラウレート11mgおよびペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)5.74gを反応容器に投入し、4−ヒドロキシブチルアクリレート16.41gを滴下ロートで滴下投入した。滴下中、反応容器内の温度は70℃以下になるようにした。滴下終了後、2時間、反応器内の温度を65〜70℃に維持したまま、撹拌を継続して反応生成物(以下、反応生成物αと記す。)を得た。
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた300mLの反応容器に、ポリイソプレンポリオール(出光興産株式会社製 商品名:Poly ip 水酸基価47.3mgKOH/g)150gおよびジオクチル錫ジラウレート12mgを投入し、撹拌を開始した。その後、60℃に温度を維持した反応生成物α46.1gを数回に分けて反応容器内に投入した。その間、反応器内の温度は、70℃より高くならないようにした。その後、反応器内の温度を65〜70℃に維持して撹拌を継続した。IRでイソシアナト基のC=O伸縮振動の吸収がなくなったことを確認して反応を終了した。液体クロマトグラフィーで分析した結果、生成物中に、4−ヒドロキシブチルアクリレート:VESTANAT(登録商標) TMDI=2:1(モル比)の反応生成物(即ち、下記式(10)と下記式(11)の混合物)が3質量%存在することが確認された。この4−ヒドロキシブチルアクリレート:VESTANAT(登録商標) TMDI=2:1(モル比)の反応生成物をウレタンアクリレートモノマーαとする。また、反応生成物から前記ウレタンアクリレートモノマーαを除いたものをウレタン基を含有するポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物3とする。
【0203】
【化10】
【0204】
【化11】
【0205】
(実施合成例4)
コンデンサー、滴下ロート、温度計および撹拌機付きの300mLセパラブルフラスコに、水添ポリブタジエンポリオール(日本曹達株式会社製 商品名:NISSO−PB GI−2000 水酸基価47.3mgKOH/g)180g、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)1.17gおよびジオクチル錫ジラウレート20mgを入れ、オイルバスを用いて、内温を50℃に昇温した。その後、2−イソシアナトエチルメタクリレート(商品名;カレンズMOI 昭和電工株式会社製)22.86gを滴下ロートから15分かけて滴下した。滴下している間、内温が70℃を超えないようにした。滴下終了後、70±2℃の内温を管理して、撹拌を継続した。赤外吸収スペクトルでイソシアネート基のC=O伸縮振動の吸収が見られなくなったので、撹拌を止め反応を終了し、ウレタン基を含有する水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物4を得た。
【0206】
(実施合成例5)
撹拌機および蒸留装置のついた1リットル四口フラスコに、水添ポリブタジエンポリオール(日本曹達株式会社製 商品名:NISSO−PB GI−3000 水酸基価29.5mgKOH/g)540.0g、アクリル酸n−ブチル101g、ジオクチル錫ジラウレート0.81gおよびペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)3.51gを投入し、空気気流下で、130℃に加熱して生成してくるn−ブタノールおよびアクリル酸n−ブチルの混合液を還流しながら、10時間程度かけて徐々に反応系外に留去した。n−ブタノールおよびアクリル酸n−ブチルが出なくなった後、真空ポンプを用いて、反応系内を10kPaまで減圧にし、再度n−ブタノールとアクリル酸n−ブチルを系外に留去した。1.5時間程度50Pa保持した後、反応器を冷却して、水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物5を得た。
【0207】
(実施合成例6)
攪拌装置、温度計、滴下ロートおよびコンデンサーを備えた100mLの反応容器に、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの混合物(商品名:VESTANAT(登録商標) TMDI エボニックデグサ製)23.93g、ジオクチル錫ジラウレート11mgおよびペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)5.74gを反応容器に投入し、4−ヒドロキシブチルアクリレート16.41gを滴下ロートで滴下投入した。滴下中、反応容器内の温度は70℃以下になるようにした。滴下終了後、2時間、反応器内の温度を65〜70℃に維持したまま、撹拌を継続して反応生成物αを得た。
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた300mLの反応容器に水添ポリイソプレンポリオール(出光興産株式会社製 商品名:エポール 水酸基価47.3mgKOH/g)150gおよびジオクチル錫ジラウレート12mgを投入し、撹拌を開始した。その後、60℃に温度を維持した反応生成物α46.1gを数回に分けて反応容器内に投入した。その間、反応器内の温度は、70℃より高くならないようにした。その後、反応器内の温度を65〜70℃に維持して撹拌を継続した。IRでイソシアナト基のC=O伸縮振動の吸収がなくなったことを確認して反応を終了した。液体クロマトグラフィーで分析した結果、実施合成例3と同様に生成物中に、4−ヒドロキシブチルアクリレート:VESTANAT(登録商標) TMDI=2:1(モル比)の反応生成物(即ち、上記式(I)と上記式(II)の混合物)が3質量%存在することが確認された。この4−ヒドロキシブチルアクリレート:VESTANAT(登録商標) TMDI=2:1(モル比)の反応生成物をウレタンアクリレートモノマーαとする。また、反応生成物から前記ウレタンアクリレートモノマーαを除いたものをウレタン基を含有する水添ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物6とする。
【0208】
(実施合成例7)
攪拌機、水分離器付き反応容器中にSovermol(登録商標)908(BASF製水添ダイマージオール、水添ダイマージオール純度97.5質量%)270.0g、EMPOL(登録商標)1008(BASF製水添ダイマー酸、水添ダイマー酸純度92.0%%)171.0gおよびジオクチル錫ジラウレート100mgを仕込み、約240℃ 、常圧下から始めて縮合水を流出させながら減圧しつつ脱水エステル化反応を行い、水酸基価59mgKOH/g、数平均分子量2000で、水添ダイマージオールを15質量%含む、ポリエステルポリオールと水添ダイマージオールの混合物(以下、「ポリエステルポリオールA」と記す。)を得た。
【0209】
(実施合成例8)
攪拌装置、温度計、滴下ロートおよびコンデンサーを備えた100mLの反応容器に、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの混合物(商品名:VESTANAT(登録商標) TMDI エボニックデグサ製)21.89g、ジオクチル錫ジラウレート12mgおよびペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)5.74gを反応容器に投入し、4−ヒドロキシブチルアクリレート15.16gを滴下ロートを用いて滴下投入した。滴下中、反応容器内の温度は70℃以下になるようにした。滴下終了後、2時間、反応器内の温度を65〜70℃に維持したまま、撹拌を継続して反応生成物(以下、反応生成物αと記す。)を得た。
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた300mLの反応容器に、前述の(ポリ)エステルポリオールA 180.0gおよびジオクチル錫ジラウレート12mgを投入し、撹拌を開始した。その後、60℃に温度を維持した反応生成物α33.7gを数回に分けて反応容器内に投入した。その間、反応器内の温度は、70℃より高くならないようにした。その後、反応器内の温度を65〜70℃に維持して撹拌を継続した。IRでイソシアナト基のC=O伸縮振動の吸収がなくなったことを確認して反応を終了した。液体クロマトグラフィーで分析した結果、実施合成例3と同様に生成物中に、4−ヒドロキシブチルアクリレート:VESTANAT(登録商標) TMDI=2:1(モル比)の反応生成物αが3質量%存在することが確認された。反応生成物から前記ウレタンアクリレートモノマーαを除いたものをウレタン基を含有するポリエステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物7とする。
【0210】
(実施合成例9)
攪拌装置、温度計、滴下ロートおよびコンデンサーを備えた300mLの反応容器に、前述の(ポリ)エステルポリオールA180.0g、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)5.74gおよびジオクチル錫ジラウレート20mgを投入し、撹拌を開始した。その後、2−イソシアナトエチルアクリレート(商品名:カレンズ(登録商標)AOI 昭和電工製)13.4gを滴下して投入した。その間、反応器内の温度は、70℃より高くならないようにした。その後、反応器内の温度を65〜70℃に維持して撹拌を継続した。IRでイソシアナト基のC=O伸縮振動の吸収がなくなったことを確認して反応を終了した。製造されたウレタンアクリレートをポリエステル構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物8とする。
【0211】
(実施合成例10)
攪拌装置および還流可能な蒸留装置を備えた500mlの反応容器中にPripol(登録商標)2033(クローダ製水添ダイマージオール、水酸基価202mgKOH/g)366.6g、ジエチルカーボネート(東京化成工業製)54.3g、チタンテトラブトキシド0.2g、ジオクチル錫オキシド(商品名:DOTO 北興化学工業株式会社製)0.12gを仕込み、オイルバスを用いて、130℃に昇温し、その後反応の進行に伴い温度180℃まで昇温した。圧力も常圧下から始めてエタノールを流出させながら減圧しつつエステル交換反応を行った。なお、エタノールが留出の際に、一緒に留出したジエチルカーボネート(東京化成工業製)の量をガスクロマトグラフィーで確認して、留出量分のジエチルカーボネートを追添した。エタノールの総留出量は29.5gであった。水酸基価57.3mgKOH/gである(ポリ)カーボネートポリオール(以下、(ポリ)カーボネートポリオールAと記す。)を得た。
【0212】
(実施合成例11)
攪拌装置、温度計、滴下ロートおよびコンデンサーを備えた300mLの反応容器に、前述の(ポリ)カーボネートポリオールA 177.8g、Pripol(登録商標)2033(クローダ製水添ダイマージオール、水酸基価202mgKOH/g)2.2g、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)5.74gおよびジオクチル錫ジラウレート20mgを投入し、撹拌を開始した。その後、2−イソシアナトエチルメタクリレート(商品名:カレンズ(登録商標)MOI 昭和電工製)14.7gを滴下して投入した。その間、反応器内の温度は、70℃より高くならないようにした。その後、反応器内の温度を65〜70℃に維持して撹拌を継続した。IRでイソシアナト基のC=O伸縮振動の吸収がなくなったことを確認して反応を終了した。製造されたウレタンメタクリレートをポリカーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物9とする。
【0213】
(実施合成例12)
攪拌装置、温度計、滴下ロートおよびコンデンサーを備えた100mLの反応容器に、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの混合物(商品名:VESTANAT(登録商標) TMDI エボニックデグサ製)21.89g、ジオクチル錫ジラウレート12mgおよびペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名:IRGANOX1010)5.74gを反応容器に投入し、4−ヒドロキシブチルアクリレート15.16gを滴下ロートを用いて滴下投入した。滴下中、反応容器内の温度は70℃以下になるようにした。滴下終了後、2時間、反応器内の温度を65〜70℃に維持したまま、撹拌を継続して反応生成物(以下、反応生成物αと記す。)を得た。
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた300mLの反応容器に、前述の(ポリ)カーボネートポリオールA178.9g、Pripol(登録商標)2033(クローダ製水添ダイマージオール、水酸基価202mgKOH/g)1.1gおよびジオクチル錫ジラウレート12mgを投入し、撹拌を開始した。その後、反応器内の温度を65〜70℃に維持して撹拌を継続した。IRでイソシアナト基のC=O伸縮振動の吸収がなくなったことを確認して反応を終了した。液体クロマトグラフィーで分析した結果、実施合成例3と同様に生成物中に、4−ヒドロキシブチルアクリレート:VESTANAT(登録商標) TMDI=2:1(モル比)の反応生成物αが3質量%存在することが確認された。反応生成物から前記ウレタンアクリレートモノマーαを除いたものをウレタン基を含有するポリカーボネート構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物10とする。
【0214】
(実施配合例1)
前記ポリオレフィン構造単位を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物1 60.0質量部、イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製 商品名:ISTA)20.0質量部、水添ダイマージオール(クローダ製 商品名:Pripol2033)20.0質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製 商品名:Irgacure 184)0.8質量部および2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Lambson製 商品名:SpeedCure TPO)0.4質量部を自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名:あわとり錬太郎 ARE−310)を用いて混合した。この配合物を重合性組成物A1とした。重合性組成物A1の25℃での粘度は5700mPa・sであった。
【0215】
(実施配合例2〜実施配合例11および比較配合例1〜比較配合例2)
実施配合例1と同様の方法によって、表1に示す配合組成に従って配合した。実施配合例2〜11で調製した配合物を、それぞれ重合性組成物A2〜重合性組成物A11とし、比較配合例1および比較配合例2で調製した配合物を、それぞれ、重合性組成物B1と重合性組成物B2とした。
【0216】
【表1】
※1 ウレタンアクリレート 紫光 UV−3000B(ポリエステルタイプのウレタンアクリレート 日本合成化学工業株式会社製)
※2 クラプレン UC−203(ポリイソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物 株式会社クラレ製)
※3 イソボルニルアクリレート (商品名;IBXA 大阪有機化学工業株式会社製)
※4 ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート (商品名;FA−512M 日立化成工業株式会社製)
※5 ラウリルアクリレート (商品名;ブレンマーLA 日油株式会社製)
※6 イソステアリルアクリレート (商品名;ISTA 大阪有機化学工業株式会社製)
※7 2−ヒドロキシプロピルメタクリレート (商品名;HPMA 三菱レイヨン株式会社製)
※8 4−ヒドロキシブチルアクリレート (商品名;4HBA 大阪有機化学工業株式会社製)
※9 2−ヒドロキシブチルメタクリレート (商品名;ライトエステルHOB(N) 共栄社化学株式会社製)
※10 テルペン系水添樹脂 CLEARON(登録商標) P85 (ヤスハラケミカル株式会社製)
※11 テルペン系水添樹脂 CLEARON(登録商標) K100 (ヤスハラケミカル株式会社製)
※12 テルペン系水添樹脂 CLEARON(登録商標) M105 (ヤスハラケミカル株式会社製)
※13 水添ポリブタジエンポリオール NISSO−PB GI−1000 (日本曹達株式会社製)
※14 水添ポリイソプレンポリオール エポール (出光興産株式会社製)
※15 水添ダイマージオール Pripol(登録商標)2033 (クローダ製)
※16 水添ポリブタジエン NISSO−PB BI−2000 (日本曹達株式会社製)
※17 ポリ(α−オレフィン)液状物 Spectrasyn40 (エクソンモービル株式会社製)
※18 エチレン−α−オレフィン共重合液状物 HC−40 (三井化学株式会社製)
※19 液状ポリブテン HV−35 (JX日鉱日石エネルギー株式会社製)
※20 液状ポリブタジエン POLYVEST 110 (エボニックデグサ製)
※21 IRGANOX1010 (化合物名:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] BASF製)
※22 光重合開始剤 SpeedCure TPO (化合物名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド Lambson製)
※23 光重合開始剤 IRGACURE 184 (化合物名:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン BASF製)
【0217】
<光学用粘着シートの製造>
表1に示す重合性組成物A1〜重合性組成物A11、重合性組成物B1および重合性組成物B2を、それぞれ、アプリケーターを用い、膜厚が200μmとなるようにシリコーンでコートされたポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)フィルム(100mm×100mm×50μm)に塗布し、上面を25μm厚のシリコーンでコートされたPETフィルムで覆った後、メタルハライドランプを用いたコンベア式紫外線照射装置(株式会社ジーエス・ユアサライティング製、商品名:GSN2−40)を用い、シリコーンでコートされたPETフィルム越しに、照射強度190mW/cm
2(365nmの値)、照射量2800mJ/cm
2(365nmの値)の条件で紫外線を照射して重合させ、離型PETフィルムに挟まれた膜厚が約200μmの光学用粘着シートを得た。重合性組成物A1〜重合性組成物A11、重合性組成物B1および重合性組成物B2を用いて製造された前記光学用粘着シートを、それぞれ、粘着シートA1〜粘着シートA11、粘着シートB1および粘着シートB2とした。
【0218】
<前記粘着シートを用いた試験片の作成方法および初期の光学特性評価>
前記粘着シートA1〜粘着シートA11、粘着シートB1および粘着シートB2で、それぞれ、気泡が界面に入らないように、2枚のガラス板(50mm×50mm×0.7mm、ガラスの種類 商品名:EAGLE XG(登録商標)、CORNING製)で該粘着シートの両面から挟むように貼りつけることにより、試験片を作成した。
粘着シートA1〜粘着シートA11、粘着シートB1および粘着シートB2を用いて、作成された試験片を、それぞれ、試験片AS1〜試験片AS11、試験片BS1および試験片BS2とした。これらの試験片の全光線透過率、b
*を後述の方法により測定した。その結果を表3に記す。
【0219】
<試験片の作成方法および初期の光学特性評価>
前記重合性組成物A4〜重合性組成物A11、重合性組成物B1および重合性組成物B2を、それぞれ、バーコーターを用い、膜厚が200μmとなるようにガラス板(50mm×50mm×0.7mm、ガラスの種類 商品名:EAGLE XG(登録商標)、CORNING製)に塗布し、同種同形のガラス板で挟みこみ、メタルハライドランプを用いたコンベア式紫外線照射装置(株式会社ジーエス・ユアサライティング製、商品名:GSN2−40)を用い、ガラス板越しに、照射強度190mW/cm
2(365nmの値)、照射量2800mJ/cm
2(365nmの値)の条件で紫外線を照射して重合させ、ガラス板に挟まれた膜厚が約200μmの評価試験用の重合物膜を得た。重合性組成物A4〜A11、重合性組成物B1および重合性組成物B2を用いて製造された、前記ガラス板に挟まれた膜厚が約200μmの評価試験用の重合物膜を、それぞれ試験片AL4〜試験片AL11、試験片BL1および試験片BL2とした。これらの試験片の全光線透過率、b
*を後述の方法により測定した。その結果を表3に記す。
【0220】
<全光線透過率の測定>
ガラス板(50mm×50mm×0.7mm ガラスの種類 商品名:EAGLE XG(登録商標) CORNING製)1枚をリファレンスに用いて、前記試験片AS1〜試験片AS11、試験片AL4〜試験片AL11、試験片BS1、試験片BS2、試験片BL1および試験片BL2の全光線透過率を、JIS K 7361−1に準拠して測定した。その結果を表3に記す。
【0221】
<b
*の測定>
ガラス板(50mm×50mm×0.7mm ガラスの種類 商品名:EAGLE XG(登録商標) CORNING製)1枚をリファレンスに用いて、前記試験片AS1〜試験片AS11、試験片AL4〜試験片AL11、試験片BS1、試験片BS2、試験片BL1および試験片BL2のb
*を、JIS Z 8729に準拠して測定した。その結果を表3に記す。
【0222】
<ヘーズの測定>
ガラス板(50mm×50mm×0.7mm ガラスの種類 商品名:EAGLE XG(登録商標) CORNING製)1枚をリファレンスに用いて、前記試験片AS1〜試験片AS11、試験片AL4〜試験片AL11、試験片BS1、試験片BS2、試験片BL1および試験片BL2のヘーズを、JIS K 7136に準拠して測定した。その結果を表3に記す。
【0223】
<誘電率の測定>
2枚のシリコーンでコートされたPETフィルムを用いて、その間に、重合性組成物A1〜重合性組成物A11、重合性組成物B1および重合性組成物B2を、膜厚が2mmになるように挟み込み、メタルハライドランプを用いたコンベア式紫外線照射装置(株式会社ジーエス・ユアサライティング製、商品名:GSN2−40)を用い、シリコーンでコートされたPETフィルム越しに、照射強度190mW/cm
2(365nmの値)、照射量2800mJ/cm
2(365nmの値)の条件で紫外線を照射して重合させ、シリコーンでコートされたPETフィルムに挟まれた膜厚が約2mmの評価試験用の重合物膜を得た。この重合物膜をシリコーンでコートされたPETフィルムから剥離し、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー株式会社製、商品名:4294A プレシジョン・インピーダンス・アナライザ 40Hz−110MHz)を用いて測定した。その結果を表2に記す。
【0224】
なお、重合性組成物A1〜重合性組成物A11、重合性組成物B1および重合性組成物B2を重合して得られた、シリコーンでコートされたPETフィルムを剥離した厚さ2mmの重合物膜を、それぞれ、重合物膜A1〜重合物膜A11、重合物膜B1および重合物膜B2とする。
【0225】
<重合時の体積収縮率の測定>
重合前の重合性組成物A1〜A11、重合性組成物B1および重合性組成物B2と、それらを重合した重合物の密度を、自動比重計(型式:DMA−220H、新光電子株式会社製)を用いて、23℃の温度条件で測定し、下記の式から重合時の体積収縮率を求めた。
重合時の体積収縮率(%)=(重合物の密度−重合性組成物の密度)/(重合物の密度)×100
その結果を表2に記す。
【0226】
<屈折率の測定>
前記重合物膜A1〜重合物膜A11、重合物膜B1および重合物膜B2を使用して、JIS K 7105に準拠して測定した。その結果を表2に記す。
【0227】
<引張弾性率の測定>
前記重合物膜A1〜重合物膜A11、重合物膜B1および重合物膜B2を、それぞれ引張り試験機(株式会社島津製作所製、EZ Test/CE)に固定し、23℃において、引っ張り速度500mm/minで試験を行い、引張弾性率を求めた。その結果を表2に記す。
【0228】
<高温条件下で保存したときの全光線透過率、b
*値およびヘーズの測定>
前記試験片AS1〜試験片AS11、試験片AL4〜試験片AL11、試験片BS1、試験片BS2、試験片BL1および試験片BL2を、それぞれ70℃、85℃および95℃の恒温機に入れ、500時間経過後の試験片を用いて、前記の方法により、全光線透過率、b
*値およびへーズを測定した。その結果を表3に記す。
【0229】
<高温多湿条件下で保存したときの全光線透過率、b
*値およびヘーズの測定>
前記試験片AS1〜試験片AS11、試験片AL4〜試験片AL11、試験片BS1、試験片BS2、試験片BL1および試験片BL2を、それぞれ温度60℃,湿度90%RHの恒温恒湿機に入れ、500時間経過後の試験片を用いて、前記の方法により、全光線透過率、b
*値およびへーズを測定した。その結果を表3に記す。
【0230】
【表2】
【0231】
【表3】
【0232】
表2、表3の結果より、本発明(I)の重合性組成物は、重合時の体積収縮率が低く、かつ本発明(II)の重合性組成物を重合して得られた重合物は、高温条件で長期間保存した場合にも、着色等の外観変化が起こりにくく、良好な光透過性を維持できることがわかった。