(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104251
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】対応するカウンターインデクシングを備えたプラスチックモデルに挿入するための、インデクシングを備えたラボアナログ
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-533785(P2014-533785)
(86)(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公表番号】特表2014-528293(P2014-528293A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2012004043
(87)【国際公開番号】WO2013050116
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2014年11月20日
(31)【優先権主張番号】102011115031.9
(32)【優先日】2011年10月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399011900
【氏名又は名称】ヘレーウス クルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Kulzer GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト イューベリュック
【審査官】
川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/115443(WO,A1)
【文献】
特表2011−504390(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/005490(WO,A2)
【文献】
特開平10−314186(JP,A)
【文献】
特開2002−095680(JP,A)
【文献】
独国実用新案第202011001969(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
義歯を製造するための、顎の少なくとも1つの部分的な領域の三次元モデル(20)を製造する方法であって、
ラボアナログ(11,21)がモデル(20)における凹所に配置され、
前記モデル(20)において前記ラボアナログ(11,21)を位置決めするために、前記凹所の形成後に前記ラボアナログ(11,21)が挿入される前記モデル(20)に円筒形又は円錐形の凹所としての前記凹所が形成され、
該凹所は、凹所の長手方向軸線を中心として一点回転対称又は複数点回転対称性で形成され、少なくとも幾つかの領域において同じ回転対称性を有する前記ラボアナログ(11,21)が、用いられ、これにより前記凹所に嵌合するか、又は前記ラボアナログ(11,21)におけるねじ山(25)に嵌合する対向するねじ山(28)が前記凹所に形成され、
前記凹所を備えた前記モデル(20)の前記凹所を作製するために、患者の口腔のデジタル化が使用され、前記凹所の形状がコンピュータのメモリユニットから読み出され、前記凹所の複数の嵌合形状は、個々のラボアナログ(11,21)に割り当てられ、前記凹所は、入力装置によって選択されかつ/又はコンピュータにより前記モデル(20)を形成するためのデータに応じて決定される
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記凹所は、コンピュータにより決定される、前記ラボアナログ(11,21)の可能な凹所の予備選択から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
長手方向軸線に沿って少なくとも幾つかの領域において前記凹所と同じ回転対称性を有するラボアナログ(11,21)が使用され、該ラボアナログは、前記凹所に正確に嵌合する又は前記ラボアナログのねじ山(25)が前記凹所の対応するねじ山(28)と正確に嵌合する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記モデル(20)を作製するために、CADによって補助されるステレオリソグラフィ法が使用され、前記モデル(20)は、プラスチックから形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記モデルは、光硬化性プラスチックから形成されている、請求項4記載の方法。
【請求項6】
選択された前記凹所に属する形状は、前記モデル(20)を作製する前に、凹所として、顎の測定された仮想のデジタル化されたモデルに組み込まれる、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
前記ラボアナログ(11,21)は、正確な嵌合によって、前記ラボアナログを差し込む又は螺入する及び/又は凹所における対応するロックイン位置におけるロックイン位置と係合させることによって、前記凹所に導入される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記モデル(20)及び前記凹所は1つの方法ステップで製造され、前記モデル(20)の外形は、患者における測定に基づいて求められ、前記凹所の形状は、予め規定される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ラボアナログ(21)におけるねじ山(25)と嵌合するリミットストッパ(29)を備えた対応するねじ山(28)が、前記モデル(20)における前記凹所に形成される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ラボアナログ(21)の前記ねじ山(25)は、リミットストッパ(29)を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ラボアナログ(11,21)を挿入するための凹所を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を実施するための、義歯を製造するための顎のモデルであって、対応するねじ山(28)が、前記凹所に設けられており、該対応するねじ山(28)は、ラボアナログ(11,21)のねじ山(25)と係合し、これにより、前記ラボアナログ(11,21)は、前記モデル(20)に、位置的に固定されかつ回転方向で固定されて配置可能であることを特徴とする、義歯を製造するための顎のモデル。
【請求項12】
前記凹所にリミットストッパ(29)を備えた対応するねじ山(28)が設けられており、該対応するねじ山(28)は、ラボアナログ(11,21)の、リミットストッパ(29)を備えるねじ山(25)と係合する、請求項11記載のモデル。
【請求項13】
対応するロックイン位置が前記凹所に提供されており、前記ロックイン位置において前記ラボアナログ(11,21)に係合し、前記ラボアナログ(11,21)を固定された位置に保持する、請求項11または12記載のモデル。
【請求項14】
顎のモデル(20)における凹所に挿入するための領域(13)と、義歯を取り付けるためのヘッド部分(12)とを有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を実施するための、義歯を製造するためのラボアナログにおいて、
前記領域(13)は、リミットストッパ(29)を備えた雄ねじ山(25)を有し、これにより、前記ラボアナログ(21)は、位置的に固定されかつ回転方向で固定された状態で、嵌合する雌ねじ山(28)を備えた前記凹所に配置されることを特徴とする、義歯を製造するためのラボアナログ。
【請求項15】
前記ラボアナログ(11,21)は、該ラボアナログ(11,21)を前記凹所における固定位置に保持する、凹所における対応するロックイン位置で係合するためのロックイン位置を有する、請求項14記載のラボアナログ。
【請求項16】
前記ラボアナログ(11,21)は、マウント(22)又はアバットメント(22)を締め付けるための締付手段(23)を有する、請求項14または15記載のラボアナログ。
【請求項17】
前記ラボアナログ(11,21)は、前記領域(13)にセメントを受け入れるためのアンダカットを有し、前記ラボアナログ(11,21)を、セメント固定技術によって挿入することもできる、請求項14から16までのいずれか1項記載のラボアナログ。
【請求項18】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を実施するための、顎のモデル(20)を製造するための装置において、
該装置は、顎の仮想三次元モデル(20)を作製するためのコンピュータと、メモリユニットとを有し、前記仮想三次元モデル(20)を作製するためのデータは前記メモリユニットに保管されており、少なくとも1つの凹所の少なくとも1つの形状は、前記メモリユニットに保管されており、前記凹所の形状は、前記ラボアナログ(11,21)の少なくとも1つの領域(13)の外形に対応しかつ割り当てられており、前記凹所の正確な位置及び/又は位置をコンピュータによって計算することができる及び/又はユーザによって選択することができ、仮想三次元モデル(20)に加えることができ、前記装置は、前記モデル(20)を作製するために前記コンピュータによって制御可能である生産機を有する又はこのような生産機に接続することができ、前記凹所の複数の嵌合する形状が個々のラボインプラント(11,21)に割り当てられておりかつ前記メモリユニットに保管されており、凹所を入力装置によって選択することができる及び/又は前記凹所は前記コンピュータによって前記仮想モデル(20)を作製するためのデータに応じて予め設定されていることを特徴とする、顎のモデルを製造するための装置。
【請求項19】
前記凹所は、コンピュータにより決定される、前記ラボアナログ(11,21)の可能な凹所の予備選択から選択することができる、請求項18記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯を製造するための顎の少なくとも部分的な領域の三次元モデルを作製する方法であって、ラボアナログがモデルにおける凹所に配置される方法に関する。
【0002】
本発明は、ラボアナログの挿入のための凹所を有する、特にこのような手順を行うための、義歯を作製するための顎のモデル、及び、顎のモデルにおける凹所に挿入するための領域と、義歯の形成のためのヘッド部分とを有する、特にこのような手順を行うための、義歯を製造するためのラボアナログに関する。
【0003】
最後に、本発明は、このような方法を実施するための顎のモデルを作製するための装置にも関する。
【0004】
デンタルインプラントは、抜き取られた又は脱落した歯と置き換わるために歯科において使用される。そうするために、デンタルインプラントは顎骨に挿入される。独国特許出願公開第102007029105号明細書は、顎骨に挿入されたポスト部分と、義歯が取り付けられるマウント部分とを有するデンタルインプラントを開示している。ポスト部分と、マウント部分とは、ねじによって結合される。さらに、ポスト部分と、マウント部分とは、インデクシング(向きづけ)を備えた構造を成し、インデクシングは、マウント部分があらゆる角度でポスト部分に挿入可能であることを防止する。
【0005】
ラボアナログは、後で患者に挿入される義歯を実験室においてモデル化する機会を歯科技術者に提供することが要求される。したがって、ラボアナログは、材料特有のジオメトリ及び形状を有する。ほとんどの場合、印象材料を用いて印象が形成され、この印象を用いて、患者の顎の石膏モデルが、次いで、石膏によって印象を成形することによって形成される。次いで、ラボアナログは、適切な位置において患者の顎のモデルに挿入される。したがって、ラボアナログのジオメトリ及び形状は、石膏に適応させられなければならない。したがって、液体石膏が流れ込むことができるアンダカットは、場合によっては提供され、ラボアナログが硬化した後に、これらのアンダカットによって形成された形状は、ラボアナログを適切な位置に保持する。従来技術によるこのようなラボアナログは、
図1に概略的な断面図で示されている。一体化されたラボアナログを備えた顎のこのモデルは、歯科技術者によって使用され、これにより、患者の口腔における状況に適応するように義歯を成形する。
【0006】
現在では、時には、この方法の代わりに、顎のためのモデル及び据え付け状況を提供するために別の方法が用いられてきた。ステレオリソグラフィの方法を用いて、患者の口腔における三次元状況がまず記録され、水で、電気コンピュータメモリにデジタル式に保管される。この目的のために、たいていはCADプログラムが用いられる。次いで、顎のモデルは、レーザを利用して光硬化性プラスチックを用いて公知の形式で形成される。次いで、プラスチックモデルために使用することもできるラボアナログは、顎のこのプラスチックモデルに挿入される。次いで、顎のプラスチックモデルは、歯科技術者による義歯の取付けのために再び使用されてよい。
【0007】
いずれの場合にも、円形断面を備えた円筒状領域を有するラボアナログが、顎のモデルに挿入される。円筒状領域にアンダカットが設けられてもよい。ラボアナログの上側に義歯が形成される。円筒状領域は、顎のモデルにおける対応する凹所に挿入される。ラボアナログのヘッド部分は、デンタルインプラントのマウント部分のヘッドのように成形されており、デンタルインプラントは、次いで、患者の口に直接に挿入される。これは、義歯がデンタルインプラントのヘッドに正確に嵌合することを保証する。
【0008】
このことの欠点は、顎のモデルにおける据え付け位置が、歯科技術者のために正確に規定されないということである。すなわち、歯科医による義歯の挿入時に、義歯が患者の口腔内の状況に正確に合致しないことが起こりえる。したがって、歯科医は、現場で義歯を調節しなければならないか、又は最悪の場合には、全く新たな義歯が再び作製されなければならない。ラボアナログも、正確な位置に容易に固定することができないので、位置変化、ひいては欠陥のある義歯が、義歯の製造中にさえ生じ得る。ラボアナログは、モデルに、回転可能にかつ長手方向に可動に配置される。
【0009】
したがって、本発明の課題は、従来技術の欠点を克服することである。特に、顎のモデル、特に可能な限り高い精度でステレオリソグラフィによって準備されたプラスチックモデルを利用して義歯を製造するための可能性が見いだされた。これにより、義歯の製造において不良品がより少なくなり、歯科医は、義歯を挿入するときに、多くの付加的な調節、好適には調節を全く行う必要がない。さらに、顎のモデルの製造において現代の方法を用いることが可能であるべきである。しかしながら、それと同時に、現在市場で調達可能な、できるだけ多くのデンタルインプラントが適用可能であるべきである。方法、及びその方法を実施するための適切な機器が利用可能であるべきである。
【0010】
方法に関する本発明の課題は、モデルに円筒形又は円錐形の凹所が形成され、モデルにラボアナログを位置決めするために、前記凹所にラボアナログが挿入される。凹所は、凹所の長手方向軸線を中心として一点回転対称性又は複数点回転対称性を持って形成されており、少なくとも幾つかの領域において同じ回転対称性を有するラボアナログが、凹所に嵌合するように用いられるか、又はラボアナログのねじ山に嵌合する対向するねじ山が凹所に形成されていることによって達成される。
【0011】
この場合における円筒形のジオメトリは、あらゆる所望の底面を有する円筒体であると理解される。この場合における円錐対称性は、円錐として理解されるのみならず、領域がヘッド部分から義歯のマウント部までテーパしている全てのジオメトリをも含む。一定のテーパは、本発明の意味における円錐対称性のための前提条件ではないが、本発明によればそれが好ましい。なぜならば、このようなラボアナログは、顎のモデルにおける凹所により簡単に導入することができるからである。さらに、例えばロックイン位置、アンダカット及び/又は粗い部分などの付加的な構造が、ラボアナログの領域の表面に設けられていてよく、厳密に言えば、これは、円筒対称性又は円錐対称性を逸脱させている。対応するねじ山を備えた凹所は、好適には、円形の底面を備えた円筒形であり、円形の円筒状領域と、嵌合するねじ山とを備えたラボアナログの使用のために設計されている。
【0012】
凹所の長手方向軸線は、ラボアナログをそれに沿って凹所に挿入することができ、また凹所から取り出すことができる軸線である。長手方向軸線は、通常、凹所の中心軸線上に位置する。円筒形又は円錐形の基本形状は、対称軸線を予め規定することができる。回転対称性の一点軸線の場合、長手方向軸線は、回転対称性の一点軸線を意味し、これは、円錐形又は円筒形の基本形状の回転対称軸線と一致する。ほとんどの場合、円筒形状又は円錐形状はここでは、インプラントの領域、ひいては凹所の基本形状のために選択されており、凹所によって、この基本形状の対称性は、溝、凹所又は突出部によって中断されている。したがって、基本形状の回転対称軸線は、対称軸線として理解すべきである。
【0013】
方法の最後のステップとしてラボアナログのヘッド部分又はラボアナログのアバットメントに義歯が取り付けられることが規定されてよい。
【0014】
本発明による方法において、凹所、好適には凹所を備えたモデル、特に患者の口腔のデジタル化を作製するためにコンピュータが使用されることも可能であり、この場合、凹所の形状がコンピュータメモリユニットから読み出され、特に、様々なラボアナログに適合する形状が、好適にはコンピュータによって及び/又は入力ユニットを使用することによってユーザによって選択された凹所に割り当てられる。
【0015】
モデルを作製するためにコンピュータを使用する場合、これは、モデルを作製するための全てのデータが既にコンピュータに保管されており、したがって、モデルの表面がそこに保管されているという、特別な組合せ効果を生ずる。したがって、最も適した又はコンピュータによって前もって選択された又は保管された唯一のものであるラボアナログに適合する凹所が今や適切な位置に配置されるように、顎のモデルの表面が修正されることだけが必要である。次いで、モデルは、修正された表面を備えて構成することができ、すなわち、嵌合する凹所を備えて構成することができる。
【0016】
少なくとも長手方向軸線に沿った幾つかの領域において凹所と同じ回転対称性を有するラボアナログが使用され、このラボアナログは、好適には、凹所に正確に嵌合する又はラボアナログのねじ山がレセプタクルの逆のねじ山と正確に嵌合する、ということも可能である。このようなラボアナログの使用時、凹所が、ラボアナログの領域に嵌合し、したがって、ラボアナログはモデルに十分に固定されることが確実である。
【0017】
さらに、モデルを製造するために、CADによって補助されたステレオリソグラフィ法が使用され、モデルは、好適にはプラスチック、特に好適には光硬化性プラスチックから形成される、ということが可能である。
【0018】
このような方法は、本発明による方法を実施するために特に適している。なぜならば、凹所を、このようにして、単純な、容易に得られるコンピュータを使用して、一切の大きな計算労力なしに、顎のモデルに十分に一体化させることができるからである。
【0019】
モデルを製造する際、あるラボアナログと嵌合する凹所のためのある所定の形状が予め設定される及び/又は複数の異なるラボアナログと嵌合する複数の異なる形状から凹所のための形状が選択される、ということが可能であり、その形状は、モデルを作製する前に、凹所として、顎の測定された、仮想の、デジタル化されたモデルに一体化される。
【0020】
このように、特にユーザフレンドリな及び/又は可変の方法を設計することができる。本発明の強度は特にこのような可能性と共に有利に実施することができる。
【0021】
本発明の別の実施の形態は、ラボアナログが嵌合形式で凹所内に導入され、好適には、凹所における対応するロックイン位置におけるロックイン位置で差し込まれる又はねじ込まれる及び/又は係合する、ということを定めてよい。モデルにおけるラボアナログの回転方向で固定された及び/又は位置的に固定された配置は、特にこのようにして達成され、したがって、高品質の義歯を取り付ける可能性が存在する。
【0022】
モデル及び凹所が1つのステップで製造され、モデルの外形は、好適には、患者における測定及び予め規定された凹所の形状に基づいて作製される、ということを定めることもできる。
【0023】
付加的な作業ステップの排除は作製におけるコスト及び時間を節約する。
【0024】
さらに、本発明によれば、ラボアナログにおけるねじ山と嵌合するストッパを備えた対応するねじ山が凹所に形成され、ラボアナログのねじ山も好適にはストッパを有する、ということを定めることができる。
【0025】
この手段は、ラボアナログのよりよい位置決め及び固定のためにも機能する。
【0026】
本発明の課題は、特にこのような方法を実施するための、義歯を製造するための顎のモデルであって、ラボアナログを挿入するための凹所を有し、凹所は、形状が円筒形又は円錐形であり、かつ長手方向軸線に沿って一点回転対称軸線又は複数点回転対称軸線を有し、これにより、少なくとも幾つかの領域において同じ回転対称性を有するラボアナログが、回転方向で固定された状態で凹所又は、好適には凹所に提供されたストッパを備えた対応するねじ山に配置され、前記ストッパは、好適にはラボアナログにおけるストッパを備えたねじ山と嵌合し、これにより、ラボアナログは、位置的に固定された状態でモデルに配置されることにより達成される。
【0027】
このようなモデルは、高品質の義歯の製造のために回転方向で固定された又はさらには位置的に固定された構成の使用のための基礎を提供する。
【0028】
これは、対応するロックイン位置が凹所に提供されており、このロックイン位置においてラボアナログに係合し、ラボアナログを固定された位置に保持する、ということによって定められてよい。
【0029】
これは、モデルの凹所に挿入されたラボアナログをよりよくかつより正確に固定することができるようにも機能する。
【0030】
本発明の課題は、特にここで説明された方法のうちの1つを実施するための、義歯を作製するためのラボアナログであって、顎のモデルにおける凹所に挿入するための領域と、義歯を取り付けるためのヘッド部分とを有し、領域は、円筒形又は円錐形であり、かつ領域の長手方向軸線を中心とする一点又は複数点回転対称軸線を有し、これにより、ラボアナログは、回転方向で固定された状態で、嵌合形状を備えた凹所に配置されるか、又は領域は、雄ねじ山、好適にはストッパを備えた雄ねじ山を有し、これにより、ラボアナログは、固定位置において、嵌合する雌ねじ山を備えた凹所に配置される、ラボアナログによって達成される。
【0031】
このようなラボアナログは、特に本発明によるモデルと一緒に使用されたときに、本発明の実施を生じる。挿入されたラボアナログの領域の長手方向軸線を中心とする回転対称性から逸脱により、これは、ラボアナログのヘッド部分/上側部分に取り付けられた義歯が常に、顎のモデルに対して正確な位置に取り付けられ、患者の口腔におけるインプラントの長手方向軸線に関して正確な角度であとで使用されることを保証する。同じ議論が、顎のモデルにおける非回転対称の凹所の利点に関しても用いられてよい。
【0032】
ここで、ラボアナログが、ラボアナログを凹所に位置的に固定された状態で保持する、凹所における対応するロックイン位置で係合するためのロックイン位置を有する、ということを定めることができる。
【0033】
これは、やはり、顎のモデルにおけるラボアナログの固定を高め、ひいては、義歯の品質を高めるために機能する。
【0034】
さらに、ラボアナログが長手方向に凹所を有する、ということを定めることもできる。
【0035】
このような凹所は、容易に使用されるが、モデルから再び取り外すこともできる、長手方向軸線を中心とする一点又は複数点回転対称性を備えた特に単純なマウントを有するインプラントの実施のために適している。
【0036】
発明の別の実施の形態によれば、ラボアナログが、マウント又はアバットメントを固定するための固定手段を有する、ということを定めることができる。
【0037】
義歯は、ラボアナログに固定されたマウント又はアバットメントに取り付けられてよい。これは、取付け状態を安定させる。
【0038】
さらに、ラボアナログが、この領域にセメントを受け入れるためのアンダカットを有し、これにより、ラボアナログを、セメント固定技術と共に2つの機能で用いることもできる、ということを定めることができる。
【0039】
このようなラボアナログは、本発明による方法とともに使用することができるだけでなく、義歯を作製するための従来の方法のために使用されてもよい。この従来の方法においては、ラボアナログは、モデルにおいてセメント固定され、アンダカットは、セメントが、ラボアナログと緊密な結合を形成することを保証するために機能する。したがって、このようなラボアナログは普遍的に使用することができ、これにより、市場に供給するために1つの製造ラインで十分である。
【0040】
本発明の課題は、既に述べたような本発明による方法の実施のための、顎のモデルを作製するための装置であって、この装置は、顎の仮想三次元モデルを作製するためのコンピュータと、メモリユニットとを有し、モデルを作成するためのデータはメモリユニットに保管されており、少なくとも1つの凹所の少なくとも1つの形状はメモリユニットに保管されており、凹所の形状はそれぞれラボアナログの少なくとも1つの領域の外形に対応しており、凹所の適切な位置及び/又は配置をコンピュータによって計算することができる及び/又はユーザによって選択することができ、仮想三次元モデルに加えることができ、装置は、モデルを作製するためにコンピュータによって制御することができる生産機を有する又はこのような生産機に接続することができる、装置によっても達成される。
【0041】
本発明による方法を実施するためのコンピュータの使用は特に適している。なぜならば、このようなモデルを作製するための新たな方法は、コンピュータの補助とともに既に使用されており、これにより、製造される義歯の改良を達成するためには、凹所の表面及び/又はラボアナログに関するデータの、ソフトウェアへの単純な付加が記録されることだけが必要だからである。
【0042】
様々な凹所の複数の形状がメモリユニットに保管されており、モデルを形成するためのデータに応じて、凹所を入力装置によって選択することができる及び/又は凹所はコンピュータによって予め選択されてよく、特に、凹所は、凹所に嵌合するラボアナログのコンピュータによる予備選択から選択されてよい、ということを定めることができる。
【0043】
様々なラボアナログの1つの可能な使用、及び特に適切なラボアナログの選択は、生ぜしめられる最終結果におけるさらなる改良の可能性を開拓する。
【0044】
本発明は、顎のモデルを作製するための"ラピッドプロトタイピング"及び/又はステレオリソグラフィ法などの現代の方法を用いる場合に、円形の横断面を有さないモデル内に導入するための領域を備えたラボアナログが用いられる場合に義歯の品質の改良が可能であり、この対称性は、ラボアナログが挿入されるモデルにおける凹所によっても達成される、という驚くべき発見に基づく。したがって、本発明による様々な手段により、ラボアナログを特に正確な位置に、すなわち回転方向で固定された又はさらには位置的に固定された配置でモデルに配置することが可能になり得る。
【0045】
さらに、凹所のために必要とされる表面が仮想モデルに即座に一体化され、かつモデルが作製において即座に作製されるならば、嵌合する凹所はモデルの作製において即座に顎のモデルに形成されてよい。両方が一回の作業ステップにおいて行われると、まずモデルが作製され、凹所を形成するために材料を再び研削する必要はない。さらに、複数の異なるラボアナログ、及びこれらのラボアナログを取り付ける凹所が保管されており、これにより、選択のために利用可能であるならば、嵌合するラボアナログを用いた特に取付け良好な凹所は、直接に選択されてもよい。
【0046】
ここで、概略的に示された4つの図面に基づいて発明の典型的な実施の形態を例示するが、発明はこれらに限定されるわけではない。加えて、1つの図面は、従来技術によるラボアナログも示している。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】従来技術によるラボアナログの概略的な断面図である。
【
図2】本発明によるラボアナログの概略的な斜視図である。
【
図3】本発明による第2のラボアナログの概略的な斜視図である。
【
図4】ラボアナログが挿入された、顎の本発明によるモデルの概略的な断面図の詳細である。
【
図5】本発明による3つの異なるラボアナログの、ラボアナログの長手方向軸線に対して垂直な概略的な断面図である。
【0048】
図1は、従来技術によるラボアナログ1の概略的な断面図を示しており、ラボアナログ1の長手方向軸線は、断面の中央において水平方向に延びている。ラボアナログ1は、ヘッド部分2と、顎のモデルに挿入することができる後方領域3とを有する。ヘッド部分2は、ヘッド部分2に実際の義歯(図示せず)を取り付けるために機能する。そうするために、ラボアナログ1は患者の顎のモデルに埋め込まれ、これにより、作製される義歯は、患者の口腔における所定の位置に嵌合する。したがって、ラボアナログ1は、モデルに挿入され、そこで石膏モデルに一体化される。石膏がラボアナログ1を十分に固定するために、後方領域2にアンダカット4が設けられており、このアンダカット4は石膏によって充填され、これにより、ラボアナログ1とモデルとの安定した結合を保証する。ラボアナログ1は、円形の底面を有する円筒形のジオメトリを有し、すなわち、ラボアナログ1の長手方向軸線に対して垂直(すなわち
図1の図平面に対して垂直)な全ての断面は円形である。
【0049】
このような
図1に示されたようなラボアナログ1は、プラスチックモデルを用いる場合に義歯を作製するためにも用いられる。このようなプラスチックモデルは、例えば、患者の口腔及び/又は口腔の影響される部分をスキャニングし、自動化されたプロセスにおいてプラスチックモデルを形成することによって作製される。例えば、このようなモデルを成形するためにステレオリソグラフィが利用されてよい。
【0050】
しかしながら、このように構成された義歯の場合、患者の口腔内のインプラント位置と正確に合致しないという問題が生じ得る。そうするために、本発明の一部として、ラボアナログ1の回転対称性(
図1におけるラボアナログ1の断面の中央における仮想の水平な線)により、モデルの凹所においてラボアナログ1の長手方向軸線を中心にしてラボアナログ1が回転させられる恐れがあり、これにより、義歯の形成においてこのようなずれが生じ得ることが分かった。
【0051】
図2は、この問題を解決する、本発明によるラボアナログ11の概略的な斜視図である。ラボアナログ11は、ヘッド部分12と、プラスチックモデルに挿入することができる円筒形領域13とを有する。円筒形領域13は、非円形の底部領域を有する円筒ジオメトリを有する。円筒の側面は、延在した溝14を有し、この溝14は、円筒形領域13の回転対称性を損なわせている。したがって、ラボアナログ11の円筒形領域13は、円筒の軸線を中心とする一点回転対称性を有する。言い換えれば、円筒形領域13は、円筒の軸線を中心とする360°の回転によってのみ最初の状態に再び変換させることができる。その結果、ラボアナログ11は、1つの位置においてのみ顎のモデルにおける凹所(図示せず)に挿入することができる。したがって、ラボアナログ11の位置は回転方向で固定される。
【0052】
次いで、このようにして固定されたラボアナログ11上に作製された義歯(図示せず)は、患者の口腔内に、同じ角度で正確に配置される。なぜならば、ラボアナログ11のヘッド部分12は、実際のデンタルインプラントのヘッド部分と全く同じ形状を有するからである。義歯の作製において、義歯は、常にモデルの同じ位置に保持され、作製中にねじれたり、回転することはできない。本発明によるラボアナログ11のヘッド部分12は、有利には、回転対称状態から逸脱していてもよい。しかしながら、市場で利用可能なデンタルインプラントにおいて現在見られる全てのその他のヘッド部分12は実現され得る。雌ねじ山又はその他の固定手段(図示せず)を備えたドリル穴がヘッド部分に設けられてよく、このドリル穴にアバットメントを取り付けることができる。
【0053】
図3は、本発明による第2のラボアナログ11の概略的な斜視図を示しており、ラボアナログ11はこの場合、凹所14を備えた、一貫して円筒対称性を有する。上側12はこの場合、ラボアナログ11のヘッド部分12であり、顎のモデルに導入することができる領域はこの場合、軸線全体に沿ったラボアナログ11であってよい。ラボアナログ11は、正確に1つの位置において、適切に成形された凹所を有する顎のモデルにおける凹所に挿入され得る。凹所は、ラボアナログ11の反転形状を形成しているが、同じ高さを有する必要はない。円筒形のラボアナログ11の代わりに、ヘッド部分12から離れる方向にテーパした円錐形のラボアナログが用いられてもよい。
【0054】
図4は、顎の本発明によるモデル20の概略的な断面図を示しており、このモデル20は、モデル20に挿入された本発明によるラボアナログ21を有する。締付手段23によってラボアナログ21に取り付けられたマウント22が、ラボアナログ21の上側に配置されている。義歯はマウント22に配置されてよい。ラボアナログ21は、ラボアナログの長手方向軸線に沿ってモデル20の凹所に導入されている。ラボアナログ21は、円筒形であり、雄ねじ山25を有する。
【0055】
モデル20は、顎サドル26及び歯27及び/又は歯のモデルを含む。モデル20は、プラスチックから形成されており、ステレオリソグラフィ法を用いることによって作製されている。対向する顎部分(図示せず)も、噛んだ状態及び/又は口を閉じた状態を表すことができるモデル20の部分である。これにより、顎のモデル20は、点線で示したように、左右へのみ続いていない。
【0056】
モデル20は、歯27の間の位置において、円筒形の穴の形状の凹所を有する。凹所の内壁には雌ねじ山28が設けられており、この雌ねじ山28にラボアナログ21の雄ねじ山が係合する。ねじ山25,28又はねじ山25,28のうちの少なくとも一方は、リミットストッパ29によって閉鎖されている。リミットストッパ29は、モデル20におけるラボアナログ21の位置を規定するために機能する。これは、モデル20におけるラボアナログ21の正確な位置を保証し、すなわち、これにより、ラボアナログ21は回転方向及び位置的に固定される。
【0057】
図2又は
図3に示したようなラボアナログ11の場合、凹所は、突出部を備えた円筒形の穴として適切なモデルに形成され、この突出部は、長手方向溝14に係合し、これにより、ラボアナログ11を、回転方向で固定された位置に保持する。この構成の利点は、
図4によるラボアナログ21をよりしっかりとかつより正確に固定することができる一方で、ラボアナログ11を迅速に取り外すことができるということに見ることができる。
【0058】
以下に、本発明による方法の典型的な実施の形態を説明する。適合する義歯を作製するために、患者の口腔が計測される。そうするために、口腔及び/又は特に顎のそれぞれの部分の三次元画像が記録される。このデータは、コンピュータメモリにおいて保管されかつ処理される。
【0059】
顎又は顎の一部の仮想三次元CADモデルが、コンピュータにおけるこのデータから計算される。様々なラボアナログ11,21に割り当てられた様々な凹所が、コンピュータメモリに保管されている。コンピュータは、様々な凹所をどのようにモデル20に配置することができるかを計算する。最も安定しかつ最も合理的な態様が選択されるか、又は最も安定した又は最も合理的な態様が、基準として、例えば、様々な凹所のための顎サドル26における凹所の領域におけるモデル20の壁部の厚さ、又はどのラボアナログ11,21が、顎における位置のために最も適しているか、を用いて、ディスプレイ装置における提案として表示される。
【0060】
これに代えて、ユーザは、全ての利用可能な保管された凹所のうち最も適していると考える凹所を選択してよい。選択された凹所が不可能である又は不適切である、すなわち、例えば十分に安定しているように見えない場合にはコンピュータが計算によって示す、ということを規定することも可能である。同様に、凹所の1つの可能な形状のみが、あるタイプのラボアナログ11,21のために保管されてよい。
【0061】
次に、選択された凹所又は唯一の予め規定された凹所は、入力装置によって顎の仮想モデルと組み合わされる。したがって、凹所は、デンタルインプラントが患者の顎に配置される、顎の仮想モデルにおける位置において、仮想モデルの表面として計算される。次いで、実際のモデル20は、公知の方法、例えば、"ラピッドプロトタイピング"法を用いて、新たな仮想モデルから形成される。この目的のために、ステレオリソグラフィ法が特に適している。したがって、コンピュータは、このような方法を実施することができる生産機に接続されている。
【0062】
この凹所に割り当てられたラボアナログ11,21を、このように作製されたモデル20の凹所に挿入することができる。
図4に関して、ラボアナログ21はモデル20の凹所に螺入されてよい。実際の義歯は、現実の環境において、マウント22及び/又はラボアナログ11,21のアバットメント22に形成することができる。ラボアナログ11,21がモデル20から取り外される又は再び挿入される場合にはいつでも、ラボアナログ11,21は、顎のモデル20における同じ位置に常に位置する。これは、義歯がまさに正確な形状を有することを保証することができる。さらに、義歯は、特に良好な適合が保証されるように、実際のデンタルインプラントにおいても、患者の口腔における同じ位置に配置される。
【0063】
図5は、顎モデルに導入されるために設けられたラボアナログの4つの異なる領域の断面の概略的な断面図を示す。これらの領域は、長手方向軸線に沿った異なる位置で切断されている。最初の3つの断面は、1つ又は2つの凹所を備えた円形のベースを示しており、凹所は、長手方向軸線を中心とする回転対称性を損なわせている。すなわち、図示されたラボアナログの全ての領域は、長手方向軸線を中心とする一点回転対称性を有する。これらの領域は、円筒形又は円錐形であってよい。
【0064】
その代わりに、六角形の断面を持つ領域を有するラボアナログが用いられる場合、領域及び/又は凹所は、六点回転対称性を有する。言い換えれば、領域及び凹所の面は、360°以下の長手方向軸線を中心とする6つの異なる回転によって幾何学的に一方が互いの中に入っている。矩形又はだ円形の断面は、二点対称性につながる。
【0065】
図5による第4の概略的な断面図は、三角形の断面、すなわち三点回転対称性を持つ領域を有するラボアナログを示す。ラボアナログは、同じ三点回転対称性を有する凹所に挿入することができる。
【0066】
つまり、前記説明及び請求の範囲、図面典型的な実施の形態に開示された発明の特徴は、個々に又はあらゆる組合せで、様々な実施の形態における発明の実施のために必須であってよい。
【符号の説明】
【0067】
1,11,21 ラボアナログ
2,12 ヘッド部分
3 後方領域
4 アンダカット
13 円筒形領域
14 長手方向溝
20 モデル
22 マウント/アバットメント
23 締結手段
25 雄ねじ山
26 顎サドル
27 歯
28 雌ねじ山
29 リミットストッパ