特許第6104258号(P6104258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104258
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】電池用活物質
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20170316BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   H01M4/58
   H01M4/36 C
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-536188(P2014-536188)
(86)(22)【出願日】2012年10月10日
(65)【公表番号】特表2014-530473(P2014-530473A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2012070049
(87)【国際公開番号】WO2013057023
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年9月15日
(31)【優先権主張番号】102011084646.8
(32)【優先日】2011年10月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513159239
【氏名又は名称】ロックウッド リチウム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Rockwood Lithium GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】サンシク ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ブレッサー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヴィンター
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ パッセリーニ
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−245762(JP,A)
【文献】 特開2010−092599(JP,A)
【文献】 特開2009−211818(JP,A)
【文献】 特開2011−204564(JP,A)
【文献】 再公表特許第2011/039890(JP,A1)
【文献】 国際公開第2011/056847(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/58
H01M 4/36
H01M 10/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池用活物質の製造法において、以下の工程a)〜d):
a)電気化学的に活性な粒子を装入する工程であって、その際、電気化学的に活性な粒子としてLi2Sを使用する工程
b)任意に、この電気化学的に活性な粒子を粉砕して、走査型電子顕微鏡で測定した平均粒度が2μm未満となるようにする工程、
c)適当な有機溶剤中にあってもよい有機炭素化合物を添加し、混合する工程、
d)この混合物を、保護ガス下に、有機化合物の分解限界を上回りかつ電気化学的に活性な粒子の分解温度を下回る温度へと加熱する工程であって、それにより、有機炭素化合物が分解して炭素となり、この炭素が均一な層として電気化学的に活性な粒子の表面上に堆積するものとする工程
を含むか又はこれらの工程からなることを特徴とする方法。
【請求項2】
ールミルにより粉砕することによって、かつ/又は、手動で粉砕することによって、電気化学的に活性な粒子の粒度を低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機炭素化合物として、サッカロース及び/又はポリアクリロニトリルを使用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
有機炭素化合物としてポリアクリロニトリルを使用し、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程d)において、850℃まで加熱し、この温度を2〜5時間保持する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
電極及び/又は電池における、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法により製造された活物質の使用。
【請求項7】
リチウム金属電池及び/又はリチウムイオン電池における正極材としての、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法により製造された活物質の使用。
【請求項8】
正極材の製造法において、以下の工程:
i)請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法により製造された活物質を装入する工程、
ii)少なくとも一つの電子伝導性添加物を、場合により少なくとも一つの適当なバインダーの添加下に加入する工程、
iia)任意に、さらなる添加物を添加する工程、
iii)材料を混合する工程、
iv)得られた材料を乾燥させる工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
工程i)〜iv)からなる、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はDE102011084646の優先権を主張する。この優先権書類を本明細書に完全に援用する。
【0002】
本願で引用する全ての刊行物を本明細書に完全に援用する。
【0003】
本発明は電池用活物質に関する。
【0004】
従来技術:
例えば電気自動車における電池、またさらには再生可能エネルギー(例えば風力エネルギー、太陽エネルギーなど)のための蓄電体技術における電池としての用途には、従来提供ないし販売されているものよりも明らかに高い比エネルギーを伴う再充電可能な電池の新たな技術開発が必要とされている。
【0005】
リチウム硫黄電池は、この用途分野に関して非常に有望な技術の一つである。例えば、元素硫黄(S8)の理論重量容量は1672mAhg-1であり、換言すればその理論エネルギー密度は最大で2600Whkg-1である(即ち、すでに広く普及しているリチウムイオン技術のエネルギー密度の最大で5倍にものぼる)。
【0006】
さらに、硫黄ないし硫黄をベースとする電極材を使用することで、例えば特に本来の内在的な「過充電保護機構」や、健康上の懸念がなく、環境に優しく、原料産出が豊富であり、さらには運搬や製造のコストが低いといった、さらなる全般的な利点がもたらされる。
【0007】
しかしながら、正極材としての硫黄の使用は、以下に挙げる一連の課題をも抱えている:
− 硫黄及び硫黄をベースとする化合物(例えばLi2S)の電子伝導性及びイオン伝導性が極めて低い。
− 充放電過程の間に中間形成される多硫化リチウム(Li2n、但し2<n<8)が、使用される有機液体電解質に非常に溶解しやすい。それによって、一方では電子非伝導性で非溶解性のLi22及びLi2Sが正極表面に析出するため、これを電気化学的にさらに利用することができなくなる。また他方では、この多硫化物は負極側にも拡散し、そこでLi22及びLi2Sとして析出することがあり、これによって負極表面の不活性化が生じるか、又はそこで再度還元されてもとの正極側へと拡散する。最後に記載したケースはいわゆる「シャトル機構」と呼ばれ、これによって比容量が低下し、また電池の自己放電が増加する。
− 他の観点では、すでに記載したように活物質のイオン伝導性が極めて低いことに基づいて、活物質と液体電解質との接触面ができるだけ大きいことが必要となる。
− 充放電サイクルを繰り返している間、これに伴って繰り返される一連の体積膨張ないし体積減少によって電極のモルホロジーが変化し、その結果硫黄粒子が凝集し、それによってまたもや極めて低い電子伝導性及びイオン伝導性がマイナスに作用する。この場合、電気化学的に活性となるのは粒子凝集体の表面のみであり、この活性は当然のことながら粒子の凝集によって低下する。これによってまたもや、達成可能な比容量が低下する(Jeon et al. Journal of Materials Processing Technology 143-144 (2003) 93-97)。
【0008】
これにより全体として、実際に達成可能な容量は、理論上可能であるものを明らかに下回り、多くの場合サイクルの進行中にすぐに低下する。
【0009】
それによってサイクル安定性が低下し、さらに充放電過程の効率が低下する。
【0010】
Ji & Nazar Journal of Materials Chemistry 20 (2010) 9821 -9826及びJi et al. Nature Materials 8 (2009) 500-506には、このような課題についての十分な概説及び序論が記載されている。
【0011】
硫黄電極の放電過程は、包括的には全体として以下の反応式により表すことができる:
16Li+S8−−>8Li2
この反応式から、正極材として元素硫黄を使用するには他のリチウム源が必須であることがわかる。従って、負極として多くの場合金属リチウムが用いられるが、この金属リチウムは、充放電サイクルを繰り返している間に樹枝状晶を生じるというリスクを抱えている。
【0012】
従来技術ではすでに、元素硫黄の代わりに放電過程の最終生成物、つまりLi2Sを出発材料として使用する試みが部分的になされている。
【0013】
Li2Sを正極材として広範に使用するために克服すべき課題は、元素硫黄と類似している。なぜならば、当然のことながら電気化学反応が同じであるためである。相違しているのは、オリジナルの生成物を出発原料として使用する点のみである。
【0014】
相応する従来技術が、例えばWang et al. Electrochimica Acta 55 (2010) 7010-7015; Wang et al. Carbon 46 (2008) 229-235;Wang et al. Electrochemistry Communications 4 (2002) 499-502;Hassoun & Scrosati Angewandte Chemie 49 (2010) 2371-2374;Wang et al. Adv. Funct. Mater 13, No.6 (2003) 487-492;Choi et al. Journal of Alloys and Compounds 449 (2008) 313-316;Zhang et al. Electrochimica Acta 54 (2009) 3708-3713;Choi et al. Materials Science Forum 510-511 (2006) 1082-1085及びJi et al. Nature Materials 8 (2009) 500-506から知られている。
【0015】
従来技術で挙げられている方法は、多くの場合、元素硫黄(S8)を出発材料として使用することに限定されている。例えば、スパッタ技術による硫黄粒子の炭素被覆に関する技術が記載されている(Y.-J. Choi et al., Journal of Power Sources 184 (2008), 548-552)。しかしながらこの技術は、非常に煩雑であって高コストであるために、またこの技術は量的なキャパシティが限られていることに基づいて、大工業的規模へのスケールアップには適さない。
【0016】
さらに、極めて様々な形状のメソ多孔質炭素化合物における、又は極めて様々な形状のメソ多孔質炭素化合物による、硫黄の種々の熱導入ないし熱吸収が記載されており、その際、硫黄の溶融温度が比較的低い(115℃)ことが利用されている。しかしながら、これは全体としては同様に非常に煩雑であり、通常はナノスケールもしくはナノ構造化された炭素材の使用が必要であって、この炭素材も非常に高コストである。
【0017】
特に、Yang et al., Nano Lett. 2010, 10, 1486-1491に記載されているようなn−ブチルリチウムによる事後的なリチオ化も、複数の付加的な方法工程と一連の付加的な試薬の使用を伴うために、同様に高コストであり、大工業的な利用には役に立たない。
【0018】
Qiu et al., Electrochimica Acta 55 (2010), 4632-4636に記載されているようなポリマーナノ繊維の使用も、方法が煩雑であるために大規模への転用はほとんど期待できない。同時に、そのようなポリマー、即ち電気化学的に不活性な添加物を多量に使用することによって、「電池」系全体で見て、実際に達成可能な重量容量、重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度が明らかに低下する。
【0019】
さらに、ここでも元素硫黄が使用されており、この元素硫黄の溶融温度が比較的低いことが、またもやポリマーマトリックスへの硫黄の熱導入のための重要な前提条件となっている。
【0020】
電子伝導性炭素マトリックスの形成に、多層カーボンナノチューブを使用する場合(Yuan et al., Journal of Power Sources 189 (2009), 1141 -1146)、又はナノワイヤ(これ自体がすでに非常に高価である)を使用する場合、これらの材料を大規模で利用することもほとんど不可能であると考えられる。
【0021】
とりわけ、上記の解決手法の多くにおいては、硫黄を炭素に施与することに留意すべきである。これはまたもや、硫黄の融点の方が低いために可能であるに過ぎない。さらに、とりわけこのような組合せ方は、リチオ化に関する体積膨張(〜+22%、He et al., Journal of Power Sources 190 (2009) 154-156参照)を考慮したものである。
【0022】
しかしながらこの場合、すでに記載したように、この体積変化によって充放電過程の進行中に電極モルホロジーが変化することを常に考慮しなければならない。従って、特にできる限り密な硫黄粒子配置によってできる限り高い体積エネルギー密度を達成することが望まれているために硫黄粒子を互いにできる限り密に配置する、という場合には、炭素への硫黄の施与は、硫黄粒子の直接的な接触、従ってすでに言及したような粒子凝集、さらには炭素材からの活物質の分離、従って電子伝導性の消失といったリスクを常に抱えている。
【0023】
さらに、リチウムイオンと硫黄との接触面積ができる限り大きくなることを保障するためには、確かに一方では硫黄と電解質との接触面積ができるかぎり大きいことが望ましいが、他方ではこれによって溶解した多硫化物イオンが拡散し、これによってすでに記載したマイナスの随伴現象が生じてしまい、このことは硫黄をベースとする電極材料の開発に当たって主要な課題の一つとなっている。
【0024】
Hassoun et al, Journal of Power Sources 196 (2011) 343-348から、単純な混合により得られるLi2S−C複合体が知られている。Li2S粒子の一様ないし均一な被覆は達成されていない。Moskon et al., Journal of Power Sources 174 (2007) 683-688から、クエン酸水で被覆し、次いで熱処理して得られる、炭素で被覆されたTiO2粒子が知られている。
【0025】
課題:
本発明の課題は、特に、後に可能となるプロセスの大工業的な応用を考慮しながら、従来技術の公知の欠点を克服することであった。それに応じて、とりわけ、電池用活物質を製造するための、低コストで効率的でかつ確実な方法を見出すことが望まれていた。さらに、相応して有利な電池用活物質、相応する電極及び電池自体を提供することが課題であった。
【0026】
解決法:
前記課題は、本発明による方法、本発明による使用、及び本発明による材料により解決される。
【0027】
概念定義:
本発明の範囲内で、他に記載がない限り、量データはいずれも質量データと理解されるべきである。
【0028】
他に記載がない限り、ナノメートル範囲又はマイクロメートル範囲でのサイズデータは、走査型電子顕微鏡(REM)で測定したものであるか、もしくはそのように測定すべきものである。本発明の範囲では、「室温」という概念は20℃の温度を意味する。温度データは、他に記載がない限り摂氏(℃)である。
【0029】
他に記載がない限り、挙げられた反応ないし方法工程は、常圧(大気圧)で、即ち1013mbarで実施するものである。
【0030】
本発明の範囲内で、「及び/又は」、「かつ/又は」との表現は、それぞれの列挙で挙げられた要素の、各々の任意の組合せ及び全ての組合せを含む。
【0031】
詳細な説明:
本発明の対象は、特に、電池用活物質の製造法において、以下の工程a)〜d):
a)電気化学的に活性な粒子を装入する工程、
b)任意に、この電気化学的に活性な粒子を粉砕して、走査型電子顕微鏡で測定した平均粒度が2μm未満となるようにする工程、
c)適当な有機溶剤中にあってもよい有機炭素化合物を添加し、混合する工程、
d)この混合物を、保護ガス下に、有機化合物の分解限界を上回り、好ましくは300℃を上回り、かつ電気化学的に活性な粒子の分解温度を下回る温度へと加熱する工程であって、それにより、有機炭素化合物が分解して炭素となり、この炭素が均一な層として電気化学的に活性な粒子の表面上に堆積するものとする、
を含むか又はこれらの工程からなることを特徴とする方法である。
【0032】
電気化学的に活性な粒子として、本発明の範囲内では、方法において特にLi2S粒子を使用する。その際、Li2Sのイオン及び電子伝導性が非常に低いことに基づき、高い比表面積を達成するためには、REMで測定した平均粒度が2μm未満であることが必要である。使用するLi2Sがすでに2μm未満の平均粒度を有している場合には、粉砕は不要である(しかしながら、行ってもよい。)。
【0033】
添加すべき炭素化合物ないし炭素源は、保護ガス下に電気化学的に活性な粒子の溶融温度を下回る温度で加熱した際に、これらの炭素化合物ないし炭素源が分解して炭素となるように選択する必要がある。好ましくは、本発明の範囲内では炭素化合物として、糖、特にサッカロース又はポリアクリロニトリルを使用する。ポリアクリロニトリルは、糖と比較してN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に可溶であるという利点を有しており、これによってLi2S粒子上に一様な炭素被覆が生じる。このことは、充放電過程の間の効率の改善によって確認することができる。
【0034】
炭素源として糖を使用した場合にも、卓越した結果を達成することができる。この結果は多くの場合、文献から公知である結果を明らかに上回るものである。
【0035】
炭素化合物を分解して炭素にするために、炭素化合物を、保護ガス下に、好ましくはヘリウム、ネオン、アルゴン又は窒素下に、特に好ましくは窒素下に、2〜5時間、好ましくは3時間、850℃まで、好ましくは550℃〜750℃の温度に加熱する。その際、分解温度までの加熱は、原則的に生成物への影響なく任意の加熱勾配で行うことができるが、実地上の理由から、好ましくは約2〜4℃/分、特に3℃/分の温度上昇を選択する。
【0036】
加熱ないし温度の保持は、当業者に公知の炉内で、好ましくは管炉内で行うことができる。
【0037】
このように製造された炭素層で包囲されたLi2S粒子を、その後さらに加工して電極にすることができる。相応する方法も同様に本発明の対象であり、工程i)〜iv):
i)上記の本発明による方法により製造された活物質を装入する工程、
ii)少なくとも一つの電子伝導性添加物を、場合により少なくとも一つの適当なバインダーの添加下に加入する工程、
iia)任意に、さらなる添加物を添加する工程、
iii)材料を混合する工程、
iv)得られた材料を乾燥させる工程
を含むか又はこれらの工程からなる。
【0038】
使用可能な電子伝導性添加物の例は、例えば炭素含有材料である。
【0039】
使用可能な好ましい炭素含有材料は、カーボンブラック、合成黒鉛又は天然黒鉛、グラフェン、炭素ナノ粒子、フラーレン又はその混合物からなる群から選択されたものである。使用可能なカーボンブラックは、例えばケッチェンブラック(R)の名称で入手可能である。使用可能な好ましいカーボンブラックは、例えば商品名Super P(R)又はSuper P(R) Liで入手可能である。
【0040】
炭素含有材料は、1nm〜500μm、好ましくは5nm〜1μm、特に好ましくは10nm〜60nmの範囲内の平均粒度を有することができる。
【0041】
好適なバインダーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、セルロース、セルロース誘導体ポリ(ビニリデンジフルオリドヘキサフルオロプロピレン)コポリマー(PVDF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)及びポリビニリデンフルオリド(PVDF)である。好ましくは、本発明の範囲内ではポリビニリデンフルオリド(PVDF)をバインダーとして使用する。
【0042】
さらなる添加物とは、例えば被覆されたリチウム粉末であってよい。この粉末は、本来の活物質のリチウムの当初の不可逆的な損失を補うためのリチウムリザーバーとして作用し得る。しかしながら通常は、さらなる添加物を添加しなくてもよい。
【0043】
さらに、活物質を、少なくとも一つの電子伝導性添加物と、少なくとも一つの適当なバインダーと一緒に、通常の比で混合することができる。本発明の一変法において、活物質:添加物:バインダーの質量比は4:5:1である。
【0044】
このようにして製造した正極材を、その後、当業界で慣用の様式で電極へと加工することができる。
【0045】
例えばこの正極材を、集電体として作用するアルミニウム箔、ニッケル箔又はAl/Ni箔に施与することができる。また、当業界で周知慣用の他の集電体を用いることもできる。
【0046】
刊行物においてすでに何度も議論されている通り、好適な電解質や適当なセパレータの選択も重要である(Peled et al. J. Electrochem. Soc, 136, No.6 (1989) 1621 -1625;Jin et al. Journal of Power Sources 117 (2003) 148-152;Chang et al. Journal of Power Sources 112 (2002) 452-460参照)。
【0047】
本発明の範囲内では、電解質として当業者に公知の全ての電解質を使用することができ、これには以下のものが含まれる:
当業者に公知のリチウム含有伝導性塩を含む有機電解質、並びに、伝導性塩を含むイオン性液体、例えば、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(PYR14TFSI)中のリチウム−ビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)又はリチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、伝導性塩を含むポリマー電解質、例えば、LiFSI(及び任意にPYR14TFSI)を含むポリエチレンオキシド(PEO)、並びに、任意に液体の有機電解質、例えば、TEGDME中のLiCF3SO3、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/ジエチルカーボネート(DEC)/プロピレンカーボネート(PC)からの任意の混合物中のLiPF6、並びに、ジメトキシエタン(DME)及び1,3−ジオキソラン(DOL)からの混合物中のLiTFSI又はLiPF6又はLiBF4、又は、イオン性液体、固体電解質及び任意の組合せ。
【0048】
好ましくは、以下の群から選択されたものを使用することができる:1−ブチル−1−メチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド中のリチウム−ビス(フルオロスルホニル)イミド又はリチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、LiTFSIを含むポリエチレンオキシド、LiTFSI及びPYR14TFSIを含むポリエチレンオキシド、TEGDME中のLiCF3SO3、エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネートからの任意の混合物中のLiPF6、ジメトキシエタン/1,3−ジオキソラン中のLiTFSI、ジメトキシエタン/1,3−ジオキソラン中のLiPF6、ジメトキシエタン/1,3−ジオキソラン中のLiBF4、3:7のテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)/1,3−ジオキソラン中のLiCF3SO3、及びその混合物。
【0049】
特に好ましくは、電解質として、3:7のテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)/1,3−ジオキソラン中のLiCF3SO3を使用する。
【0050】
本発明の範囲内では、セパレータとして、ポリプロピレン及び/又はポリプロピレンをベースとするセパレータ、ガラス繊維をベースとするセパレータ、セラミックセパレータ及びその混合物ないし組合せからなる群から選択されたものを使用することができる。ポリマー電解質並びに固体電解質の場合には、これらは同時にセパレータとしても作用し得る。特に好ましくは、セパレータとして例えばCelgard(R) 2325として販売されている三層膜セパレータを使用する。
【0051】
本発明の本質的な観点は、活物質を製造する際に水を溶剤として使用しないことであり、それというのも、さもなくばLi2O及びH2Sが生じてしまうためである。それに伴って活物質は「消失」してしまう。
【0052】
さらに本発明の対象は、リチウム金属電池及び/又はリチウムイオン電池における正極材としての、本発明により製造された活物質の使用である。
【0053】
本発明は幾つかの顕著な利点を有しているが、そのうち幾つかを以下に記述する;
活物質としての硫化リチウム(Li2S)の使用は、理論な観点で比容量が比較的低い(1166mAhg-1)ことを除けば、元素硫黄と比較していくつかの利点を有している。硫化リチウム(Li2S)はすでにリチオ化されているため、リチウム硫黄電池における使用に加えて、リチウムイオン電池における正極材としての使用も可能である。これによって、金属リチウム以外の負極材(例えば黒鉛、ケイ素、スズなど)の利用が可能になるため、ここに挙げた材料は負極側への金属リチウムの使用から解放される。
【0054】
このことは実際の利用可能性に関して極めて大きな利点の一つであり、それというのも、金属リチウムの使用はなおも樹枝状晶形成のリスクを抱えているためである。
【0055】
他方で、これによって材料の汎用性が高まり、かつ、リチウムイオン技術からのすでに商業的に成功しているかもしくは将来的な全ての負極材の併用が可能となる。さらに、Li2Sを出発材料として使用することによって、炭素包囲体内の亀裂を招く硫黄のリチオ化の間の体積膨張が事前に生じることとなる。このようにして、Li2S粒子を包囲する炭素層は、充放電過程を繰り返し行っている間であっても損傷のないままである。
【0056】
その結果、実際に達成される比容量(ひいては電池のエネルギー密度)が増加し、サイクル安定性が明らかに改善され、さらにはほぼ100%の充放電サイクル効率を達成することができた。
【0057】
全体として、これによって、特に系全体において利用可能なリチウムイオンの供給が限られておりリチウム金属を使用した場合のように大過剰のリチウムイオンが利用可能であるわけではない場合に、達成できるサイクル数が明らかにより増加する。このことは特に、負極として例えば黒鉛を使用するリチウムイオン電池における正極材として材料を使用することを考慮すると極めて重要であり、それというのも、このような系では外部のリチウム源を利用することができないためである。
【0058】
さらに、製造された活物質の電子伝導性は、均一な炭素包囲体自体によって著しく向上する。これによって、Li2S粒子及びその凝集体は電子絶縁を生じなくなる。ここで、電子絶縁によってこのLi2S粒子及びその凝集体は電気化学的に不活性になり、ひいてはさらなる充放電過程にもはや利用できなくなってしまう。
【0059】
特に、均一な炭素包囲体によって、電解質中に溶解した多硫化物の流出及び正極表面へのその析出(これは、正極表面に析出した活物質の電気化学的不活性化につながる)、並びに負極表面へのその析出(これは、負極の不活性化の増大、並びに特に、硫黄をベースとする電池系の自己放電の原因であるいわゆる「シャトル機構」の発現につながる)が、効果的に妨げられる。
【0060】
さらに、均一な炭素包囲体によって硫黄粒子ないしLi2S粒子の物理的接触が妨げられるため、サイクル進行中の粒子凝集が活発に抑制される。
【0061】
本発明の範囲内では、元素硫黄ではなく好ましくはLi2Sを正極用出発材料として使用した。
【0062】
本発明の範囲内では、電気化学的に活性な粒子のために一種の「マイクロリアクター」を製造したが、これは以下の要求を考慮したものである:
− 可溶性の多硫化物が正極表面ないし負極側へと拡散し、そこで析出すること(不活性化及び「シャトル機構」)を防止する。
− 充放電過程の間の粒子凝集を防止する。
− 集電体との電子的接触を保障する。
【0063】
同時に本発明の範囲内では、リチウムイオンが活物質へと確実に輸送されるようにするために、このマイクロリアクターの「外被」が液体電解質透過性であることを保障した。さらに、リチオ化及び脱リチオ化による公知の体積変化を考慮した。
【0064】
「リアクター外被」には炭素を使用したが、それというのも、炭素は、高い電子伝導性を有しており、可溶性の長鎖多硫化物をこの「リアクター」の内部に保持しつつ、同時に、電解質及びリチウムイオンを透過するためである。
【0065】
さらに、出発材料として元素硫黄の代わりにLi2Sを使用することによって、以下のような利点を利用することができた:
− Li2Sは元素硫黄よりも明らかに高い融点を有しており、この融点は約938℃である。
− この比較的高い温度が、本発明による活物質の製造法に、即ち、粒子への均一な炭素層ないし炭素包囲体の施与に必要である。
− リチオ化の「先行」によって、これに伴う体積膨張も先行するため、そのような体積膨張による炭素被覆の損傷を懸念する必要がない。
− Li2Sはすでにリチウムを含有しているため、負極側に必ずしも金属リチウムを使用する必要がなく、他の負極材を使用してもよい。
【0066】
本発明による方法は、低コストな材料(例えば、糖、アセトニトリル及びポリアクリロニトリル)を使用して実施するものであり、このことは、極めて大きな経済的利点と、少なくとも部分的に環境上の利点とを意味する。
【0067】
本発明による方法は全体として低コストであり、それというのも複雑な装置構成がなくてもよいためである。従って、大工業的な利用を極めて迅速かつ容易に実現することができる。
【0068】
本発明による方法では、必要な電解質量がごくわずかである(これは電池のコストに大きく影響する)ばかりでなくさらに、意想外にも、わずかな量のみを使用することで、比容量の増加、効率の向上、さらにはサイクル安定性の改善といった点で、そのような電池の性能が改善される。
【0069】
さらに本発明による方法は、容易で、かつ比較的大きな経済的並びにその他の支出なしに、大工業的規模へと転用可能である。
【0070】
本発明により製造された活物質を使用して達成された結果は、刊行物に公表されている大部分の結果よりも優れている。これに関して、より十分な比較ができるようにするためには、達成された比容量についての値が常に活物質としてのLi2Sの割合に対するものであることに留意すべきである。
【0071】
本発明による活物質のための幾つかの変法の例を、以下のように特徴付けることができる:
変法1は、電池用活物質であり、その際、この活物質は電気化学的に活性な粒子を含有しており、この粒子は均一な外被で被覆ないし包囲されている。
【0072】
変法2は、変法1による活物質であり、その際、電気化学的に活性な粒子はLi2S粒子である。
【0073】
変法3は、変法1又は2による活物質であり、その際、外被は高い電子伝導性を有している。
【0074】
変法4は、一つ以上の前出の変法による活物質であり、その際、外被は液体電解質透過性である。
【0075】
変法5は、一つ以上の前出の変法による活物質であり、その際、外被は炭素を含有している。
【0076】
変法6は、一つ以上の前出の変法による活物質であり、その際、外被に含まれる炭素は有機炭素源に由来するものである。
【0077】
変法7は、一つ以上の前出の変法による活物質であり、その際、外被に含まれる炭素は有機炭素源の熱分解により生成されたものである。
【0078】
変法8は、一つ以上の前出の変法による活物質であり、その際、外被に含まれる炭素はサッカロース又はポリアクリロニトリルの熱分解により、好ましくはポリアクリロニトリルの熱分解により生成されたものである。
【0079】
変法9は、一つ以上の前出の変法による活物質であり、その際、外被で被覆ないし包囲された電気化学的に活性な粒子に電子伝導性添加物が添加されている。
【0080】
本発明には、本発明による活物質又は本発明による方法により製造された活物質を使用して製造された電池、並びに、本発明による活物質又は本発明による方法により製造された活物質の相応する使用も含まれる。
【0081】
その際、本発明の種々の態様を、例えば種々の従属請求項の態様に限定することなく、任意の様式で互いに組み合わせることができる。
【0082】
本発明の特別な手法により得られた、電気化学的に活性な粒子の表面上の炭素層は、均一で、一様で、連続した被覆である。すでに炭素を包含している物質を活物質と混合するという従来技術から公知である方法では、このような被覆を得ることはできない。
【0083】
本発明を、以下の図及び実施例に関連して説明するが、これに限定されるものではない。
【0084】
図の説明:
図1は、本発明による方法により炭素源としてのサッカロースに由来する炭素で被覆したLi2Sを活物質として使用した3つの電極を用いた測定に関する3つのグラフを示したものである。実施例1及び2により製造を行った。
【0085】
その際、それぞれ、サイクル数に対して比容量(mAhg/硫黄)及び効率(パーセント)をプロットした。
【0086】
グラフ1は、電解質100μl及びC/50=0.02755mAでの測定を示したものである。
【0087】
グラフ2は、45μl及びC/50=0.02635mAでの測定を示したものであり、グラフ3は、30μl及びC/50=0.02420mAでの測定を示したものである。
【0088】
パラメーターは、3つ全ての測定についてそれぞれ同一であった:
Cレート:C/50
C/50のCレートとは、一般に、完全な理論容量での電極の充(放)電が50時間となるような印加電流密度である。
定電流サイクルの電圧範囲1.2〜3.5V
電極表面積:1.13cm2
(炭素被覆Li2Sをベースとする電極の定電流サイクル。炭素源としてサッカロースを使用し、使用する電解質の量を変化させた:上方の図は100μl(C/50≒0.02755mA)、中央の図は45μl(C/50≒0.02635mA)、下方の図は30μl(C/50≒0.02420mA)である。適用したCレート:C/50、カットオフ電位:1.2及び3.5V vs Li+/Li)。
【0089】
図2は、本発明による方法により炭素源としてのポリアクリロニトリルに由来する炭素で被覆したLi2Sを活物質として使用した3つの電極を用いた測定に関する3つのグラフを示したものである。実施例1及び2により製造を行った。
【0090】
グラフ1は、電解質60μl及びC/50=0.01524mAでの測定を示したものである。
【0091】
グラフ2は、45μl及びC/50=0.01617mAでの測定を示したものであり、グラフ3は、30μl及びC/50=0.01422mAでの測定を示したものである。
【0092】
パラメーターは、全ての測定について図1と同一であった。
(炭素被覆Li2Sをベースとする電極の定電流サイクル。炭素源としてPANを使用し、使用する電解質の量を変化させた:上方の図は60μl(C/50≒0.01524mA)、中央の図は45μl(C/50≒0.01617mA)、下方の図は30μl(C/50≒0.01422mA)である。適用したCレート:C/50。カットオフ電位:1.2及び3.5V vs Li+/Li)。
【0093】
図3は、硫黄を活物質として用いた従来技術による電極の測定に関するグラフを示したものであり、電解質は30μlであり、C/50=0.01358mAである。パラメーターは図1及び図2と同一であった。(硫黄をベースとする電極の定電流サイクル。適用したCレート:C/50≒0.01358mA。カットオフ電位:1.2及び3.5V vs Li+/Li)。
【0094】
図4は、二つのX線回折図を示す。ここで、上方の図は出発材料Li2SのX線回折図を示す。下方の図は、本発明による方法で550℃で炭素で被覆されたLi2SのX線回折図を示す。
【0095】
ここから、Li2Sの構造が炭素被覆後も保持されたままであることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】本発明による方法により炭素源としてのサッカロースに由来する炭素で被覆したLi2Sを活物質として使用した3つの電極を用いた測定に関する3つのグラフを示す図。
図2】本発明による方法により炭素源としてのポリアクリロニトリルに由来する炭素で被覆したLi2Sを活物質として使用した3つの電極を用いた測定に関する3つのグラフを示す図。
図3】硫黄を活物質として用いた従来技術による電極の測定に関するグラフを示す図。
図4】X線回折図を示す図。
【実施例】
【0097】
実施例1−活物質の製造:
平均粒度を低下させるため、Li2S 3gを、ボールミル(ZrO2ボール 30g)で、潤滑助剤としてアセトニトリル10mlを用いて粉砕した。その際、この粉砕を200〜400rpmで20分間実施し、その後、10分間放置した。これを30回繰り返した。
【0098】
その後、この粉砕したLi2S 9gとサッカロース1gとを、第二のバッチではこの粉砕したLi2S 9gとポリアクリロニトリル溶液1g(PAN 1gとNMP 9gとから製造したもの)とを、乳鉢内でそれぞれ30分間混合した。
【0099】
引き続き、この混合物を管炉へと移した。
【0100】
そこで、窒素雰囲気下に温度を室温から3℃/分の加熱速度で550℃へと上昇させ、この温度を窒素雰囲気下に(等温)3時間保持した。
【0101】
実施例2−活物質の製造:
最初のうちは実施例1の通りに行った。
【0102】
但し、管炉内で窒素雰囲気下に、温度を室温から3℃/分の加熱速度で300℃へと上昇させ、この温度を2時間保持した。次いで、温度を同じ加熱速度で750℃へと上昇させ、窒素雰囲気下に(等温)3時間保持した。
【0103】
実施例3−電極の作製:
実施例1で製造したそれぞれの活物質40gとSuper P(R) Li 50gとを、ミキサー(ボールミル)中で200〜400rpmで1時間混合し、その後、10分間休止した。これを3回繰り返した。
【0104】
次いで、10%PVDF溶液それぞれ100gを300〜600rmpで1時間混合し、その後、10分間休止した。これを3回繰り返した。
【0105】
得られた生成物を、室温で乾燥室内で24時間乾燥させ、次いでさらに60℃で2時間、80℃で2時間及び100℃で2時間乾燥させた。
【0106】
この乾燥させた正極材を用いて、成分を「ポーチバッグ」内に配置することにより電極を作製した。その際、Al/Ni集電体、電解質として3:7の比のTEGDME/1,3−ジオキサン中の0.5M LiCF3SO3、及びセパレータとしてCelgard(R) 2325を使用した。
【0107】
実施例3−従来技術による電極の作製(比較):
実施例2の通りに行ったが、但し活物質として硫黄を使用した。
【0108】
結果:
実施例2及び実施例3(比較例)により作製した電極を用いて測定を行った。その結果を、図1(Cで被覆されたLi2S;出発材料:サッカロース)及び図2(Cで被覆されたLi2S;出発材料:ポリアクリロニトリル)並びに図3(硫黄、被覆なし=比較例)に示す。
【0109】
図1〜3のグラフから、従来技術による電極が有する効率が、本発明による活物質を用いた電極が有する効率よりも著しく低いことが明らかである。
【0110】
さらに、本発明による活物質を用いた電極が有するサイクル安定性が、従来技術による電極が有するサイクル安定性と比較して改善されていることが明らかである。
図1
図2
図3
図4