特許第6104270号(P6104270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104270安定化したミクロポーラス結晶性材料、その製造方法およびNOxの選択触媒還元のための使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104270
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】安定化したミクロポーラス結晶性材料、その製造方法およびNOxの選択触媒還元のための使用方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/02 20060101AFI20170316BHJP
   C01B 39/54 20060101ALI20170316BHJP
   B01J 29/85 20060101ALI20170316BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20170316BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   C01B39/02ZAB
   C01B39/54
   B01J29/85 A
   B01J29/76 A
   B01D53/86
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-544966(P2014-544966)
(86)(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公表番号】特表2015-505290(P2015-505290A)
(43)【公表日】2015年2月19日
(86)【国際出願番号】US2012067485
(87)【国際公開番号】WO2013082560
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年11月26日
(31)【優先権主張番号】61/566,106
(32)【優先日】2011年12月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503003957
【氏名又は名称】ピーキュー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】ホン−シン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・イー・コーミアー
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・モデン
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/054034(WO,A2)
【文献】 特表2010−524677(JP,A)
【文献】 特表2004−536756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 − 39/54
B01D 53/86
B01D 53/94
B01J 21/00 − 38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3〜10の範囲のアルミナに対するシリカのモル比(SAR)を有し、アルカリ土類、希土類、アルカリ類またはそれらの混合物から選択される第1金属と、銅、鉄またはそれらの混合物から選択される第2金属とを含み、アルミニウムに対する第1金属の原子比が0.05〜0.80である、有機構造指向剤(OSDA)からの有機材料を用いないミクロポーラス結晶性材料。
【請求項2】
前記材料が、二重6員環(d6r)の基礎単位および8員環の開孔を有する結晶構造を含む、請求項1に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項3】
前記材料がCHA構造を含む、請求項1に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項4】
前記結晶構造が、LEV、AEI、AFT、AFX、EAB、ERI、KFI、SAT、TSCおよびSAVの構造コードを含む、請求項2に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項5】
前記第1金属が、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、混合された希土類酸化物、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項6】
前記第1金属および前記第2金属が前記材料内に、液相もしくは固体イオン交換、含浸により導入され、または直接合成により組み込まれる、請求項1に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項7】
前記材料が、アルミニウムに対するカルシウムの原子比が0.05〜0.50でカルシウムを含む、請求項1に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項8】
前記材料が、アルミニウムに対する銅の原子比が0.05〜0.20で銅を含む、請求項1に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項9】
前記材料が、アルミニウムに対する鉄の原子比が0.05〜0.30で鉄を含む、請求項1に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項10】
前記材料が0.3〜5ミクロンの平均結晶寸法を含む、請求項1に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項11】
前記材料が、10体積パーセント以下の水蒸気の存在下で、700〜800°Cの温度にて、1〜16時間暴露された後、その表面積およびミクロポア容積の少なくとも70%を保持する、請求項1に記載のミクロポーラス結晶性材料。
【請求項12】
排出ガスを、請求項1〜11のいずれか1項に記載のミクロポーラス結晶性材料を含む物品に少なくとも部分的に接触させることを含む、排出ガス中の窒素酸化物の選択触媒還元方法。
【請求項13】
前記接触させる工程が、アンモニア、尿素、アンモニア発生化合物または炭化水素化合物の存在下で実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ナトリウム、カリウム、アルミナ、シリカ、水および必要に応じて結晶性のシード材料を混合してゲルを形成し、前記ゲルが、0.5未満のシリカに対するカリウム(K/SiO)のモル比と、0.35未満のシリカに対する水酸化物(OH/SiO)のモル比を有する工程と、
前記ゲルを容器中で、80°C〜200°Cの温度で加熱して、結晶性の生成物を形成する工程と;
前記生成物をアンモニアで交換する工程と;
第1金属および第2金属を、液相もしくは固体イオン交換、含浸により前記結晶性材料に導入するか、または直接合成により前記結晶性材料に組み込む工程と;
を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のミクロポーラス結晶性材料を製造する方法。
【請求項15】
前記アルミナおよびシリカの供給源が、カリウム交換したY型ゼオライト、プロトン交換したY型ゼオライト、アンモニア交換したY型ゼオライト、ケイ酸カリウムまたはそれらの混合物を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願発明は、2011年12月2日に出願された米国仮特許出願第61/566,106に基づく優先権を主張し、当該仮出願は参照することによりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0002】
本開示は概して、3〜5オングストロームの範囲の開孔(pore opening)を有するミクロポーラス結晶性材料であって、アルカリ土類、希土類、アルカリ類またはそれらの混合物から選択される第1金属ならびに鉄および/または銅から選択される第2金属を含む材料を提供する。本開示はまた、そのようなミクロポーラス結晶性材料の使用方法に関し、排出ガス中の窒素酸化物(NO)の選択触媒還元(SCR)のための使用方法を含む。
【0003】
窒素酸化物(NO)は、主にその腐食作用のために、汚染ガスとして長い間知られている。実際に、それらは酸性雨を引き起こす主たる原因である。NOによる汚染の主な原因は、ディーゼル自動車、ならびに石炭火力発電所およびタービンのような固定汚染源の排出ガス中にそれらが排出されることである。これらの有害な排出を避けるために、SCRが採用され、NOを窒素と水に変換する際のゼオライト触媒の使用を伴う。
【0004】
従って、排出ガス中のNOの選択触媒還元を許容するために、向上した性能および水熱安定特性を有する、改良されたミクロポーラス結晶性材料に対する、継続的な要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この要求に取り組むために、発明者らは、アルカリ土類、希土類、アルカリ類またはこれらの混合物から選択される第1金属と、鉄、銅またはこれらの混合物から選択される第2金属とを含み、3〜5オングストロームの範囲の開孔を有し、3〜10の範囲のアルミナに対するシリカのモル比(SAR)を有する材料を見出した。一実施形態において、材料は、有機構造指向剤(OSDA)を用いない方法により合成される。一実施形態において、材料は、国際ゼオライト学会の構造委員会(Structure Commission of the International Zeolite Association)により規定されるCHA構造を含む。一実施形態において、材料は、二重6員環(d6r)の基礎単位および8員環の開孔を有する結晶構造を含んでよく、国際ゼオライト学会の構造委員会により規定されている骨格種類で例示されるように、LEV、AEI、AFT、AFX、EAB、ERI、KFI、SAT、TSCおよびSAVの構造コードを有する。
【0006】
本明細書で説明される材料は、優れた水熱安定特性を示す。例えば、開示された材料は、10体積パーセント以下の水蒸気の存在下で、700〜900°Cの温度にて、1〜16時間暴露された後、その表面積およびミクロポア容積の少なくとも70%を一般的に保持する。
【0007】
開示されたミクロ結晶性材料を用いる、排出ガス中の窒素酸化物の選択触媒還元方法もまた開示される。一実施形態において、当該方法は:
排出ガスを、3〜5オングストロームの開孔を有するミクロポーラス結晶性材料を含む物品と、少なくとも部分的に接触させることを含み、当該材料はアルカリ土類、希土類、アルカリ類またはその混合物から選択される第1金属と、鉄、銅またはその混合物から選択される第2金属とを含む。
【0008】
当然ながら、本明細書で説明される材料は、溝付きのまたはハニカム形状の本体(またはボディー)の形態のもの;ボール、ペブル(pebble)、ペレット、タブレット、押出成形物、他の粒状体またはそれらの組合せのような充填層;ミクロスフェア;またはプレートもしくはチューブのような構造部材のような物品において、使用してよい。
【0009】
当業者が理解するであろうように、溝付きのもしくはハニカム形状の本体または構造部材は、予め形成したハニカム形状本体に前記結晶性材料をウォッシュコートすることにより、または前記結晶性材料を含む混合物を押出成形することにより形成される。
【0010】
上述した主題に加えて、本開示には、以下に説明されるような、多くの他の例示的な特徴が含まれる。上述の説明および以下の説明はともに、例示的にすぎないことが理解されるべきである。
【0011】
添付の図面が本明細書に取り込まれ、かつ本明細書の一部を構成する。全てのNH−SCRデータは、以下の条件下で収集された:500ppmNOx;NH/NO=1.0;5vol%O;残部のN;空間速度=50,000h−1
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、10パーセント水/空気中で、700°Cにて16時間、蒸気処理した後の、Caを有するFe−チャバザイトおよびCaを有しないFe−チャバザイトのSCRデータを比較する。
図2図2は、10パーセントの水/空気中で、700°Cにて16時間、蒸気処理した後の、Caを有するCu−チャバザイトおよびCaを有しないCu−チャバザイトのSCRデータを比較する。
図3図3は、10パーセントの水/空気中で、900°Cにて1時間、蒸気処理した後の、Caを有するCu−SAPO−34およびCaを有しないCu−SAPO−34のSCRデータを比較する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
・定義
「水熱的に安定(Hydrothermally stable)」とは、一定時間の間、(室温と比較して)高い温度および/または湿度条件に暴露した後で、初期表面積および/または初期ミクロポーラス容積のうち一定のパーセンテージを保持する能力を有することを意味する。例えば、一実施形態において、自動車の排出ガス中に存在するものをシミュレートする条件、例えば、例えば、10体積パーセント(vol%)以下の水蒸気の存在下において、1時間以内の時間、または16時間以内の時間、例えば1〜16時間の間、700〜900°Cの温度が含まれる、900°C以下の温度でという条件に暴露された後に、その表面積およびミクロポア容積の少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、少なくとも90%また少なくとも95%を保持することを意味することを意図している。
【0014】
「初期表面積」とは、何らかのエージング条件に暴露される前の、新しく作製された結晶性材料の表面積を意味する。
【0015】
「初期ミクロポア容積」とは、何らかのエージング条件に暴露される前の、新しく作製された結晶性材料のミクロポア容積を意味する。
【0016】
「直接合成」(または何らかの言い換え)とは、ゼオライトが形成された後の、イオン交換または含浸法のような金属ドーピングプロセスを必要としない方法を指す。
【0017】
「国際ゼオライト学会の構造委員会により規定される」とは、「ゼオライトの骨格種類の図表集(Atlas of Zeolite Framework Types)」Baerlocherら編、第6改訂版(Elsevier 2007)(参照することにより全体が本明細書に取り込まれる)に記載されている構造を含むが、これらに限定されるものではない構造を意味することを意図する。
【0018】
「二重6員環(d6r)」とは、「ゼオライトの骨格種類の図表集(Atlas of Zeolite Framework Types)」Baerlocherら編、第6改訂版(Elsevier 2007)(参照することにより全体が本明細書に取り込まれる)に記載された、構造的な基礎単位である。
【0019】
「選択触媒還元」または「SCR」とは、酸素の存在下において(一般的にはアンモニアでもって)NOを還元して、窒素とHOとを形成することを指す。
【0020】
「排出ガス」とは、産業的なプロセスまたは操業において、内燃エンジンによって形成される、例えば、任意の形態の自動車からの、任意の廃ガスを指す。
【0021】
本明細書で用いられる「選択される」という用語は、個々の要素または2つの(またはそれより多い)要素の組み合わせを選択することを指す。例えば、本明細書で説明される大型結晶で有機を含まないチャバザイトの金属部分は、銅および鉄から選択されてもよいが、これは、金属が、銅もしくは鉄、または銅および鉄の組み合わせを含んでもよいことを意味する。
【0022】
本発明は、アルカリ土類、希土類、アルカリ類、またはそれらの混合物から選択される第1金属と、鉄、銅またはその混合物から選択される第2金属とを含む材料を開示する。アルカリ土類金属は、周期表の第2属元素に位置する6つの元素である。本明細書で用いられる第1金属を構成し得るアルカリ土類金属の非制限的な例として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムもしくはバリウム、またはその混合物を含む。
【0023】
一実施形態において、材料は、二重6員環(d6r)の基礎単位と8員環の開孔を有する結晶構造を含んでもよく、国際ゼオライト学会の構造委員会により規定されている骨格種類で例示されるように、CHA、LEV、AEI、AFT、AFX、EAB、ERI、KFI、SAT、TSCおよびSAVの構造コードを有する(Ch.Baerlocher、L.B.McCuskerおよびD.H.Olson「ゼオライトの骨格種類の図表集」第6改訂版、Elsevier、アムステルダム、2007)。
【0024】
例えば、ミクロポーラス結晶性材料は、アルミノケイ酸塩チャバザイトのようなミクロポーラスアルミノケイ酸塩ゼオライトを含んでもよい。
【0025】
本明細書で説明される材料は、一般的に、3〜10、例えば5〜7のアルミナに対するシリカのモル比(SAR)を有する。
【0026】
材料は、有機構造指向剤(Organic structure directing agent)(OSDA)を用いない方法により合成してもよい。
【0027】
一実施形態において、材料は、CHAの骨格型を備えるSAPO−34のような、シリコアルミノホスフェート(SAPO)モレキュラーシーブを含む。結晶性のSAPOモレキュラーシーブ構造は、結晶性材料の全重量の1〜20重量パーセントの量のSiOを含む。
【0028】
当業者が理解するであろうように、第1および第2金属は、液相もしくは固体イオン交換により材料内に導入してよく、または直接合成により材料内に組み込んでよい。
【0029】
一実施形態において、第1金属は、材料の全重量の少なくとも0.2重量パーセントの量を構成し、一実施形態において、0.2〜5.0重量パーセントの範囲の量である。一実施形態において、第1金属は、結晶性材料の全重量の0.2〜5.0重量%の量でカルシウムを含む。
【0030】
アルミニウムに対する第1金属の原子比は、0.05〜0.80の範囲であってもよい。一実施形態において、材料の第1金属はカルシウムであり、アルミニウムに対するカルシウムの原子比は0.05〜0.50である。
【0031】
本明細書において説明するように、銅のような第2金属は、結晶性材料の全重量の0.5〜10.0重量%の量を構成してもよい。一実施形態において、材料の第2金属は銅であり、アルミニウムに対する銅の原子比は0.05〜0.20である。
【0032】
ミクロポーラス結晶性材料はまた、結晶性材料の全重量の0.5〜10.0重量%の量で鉄を含んでもよい。一実施形態において、材料の第2金属は鉄であり、アルミニウムに対する鉄の原子比は0.05〜0.30である。
【0033】
材料は一般的には、0.3ミクロン以上10ミクロン未満(例えば、0.3〜5.0ミクロン)の平均寸法を有する結晶を含む。
【0034】
本明細書で説明される材料は、優れた水熱安定特性を示す。例えば、開示された材料は一般的に、10体積パーセント以下の水蒸気の存在下で、1〜16時間の間、700〜900°Cの温度に暴露された後で、その表面積およびミクロポア容積の少なくとも70%を保持する。
【0035】
本明細書に開示される材料は:
ナトリウム、カリウム、アルミナ、シリカ、水および必要に応じて結晶性のシード材料(seed material)の供給源(またはソース、source)を混合して、シリカに対するカリウム(K/SiO)のモル比が0.5未満であり、かつシリカに対する水酸化物(OH/SiO)のモル比が0.35未満であるゲルを形成する工程と;
前記ゲルを容器中で、80°C〜200°Cの温度で加熱して、結晶性の生成物を形成する工程と;
前記生成物をアンモニアで交換する工程と;
第1および第2金属を、液相もしくは固体イオン交換、含浸により前記結晶性材料に導入するか、または直接合成により組み込む工程と;
を含む方法によって合成してもよい。
【0036】
一実施形態において、開示されたアルミナおよびシリカの供給源は、カリウム交換したY型ゼオライト、プロトン交換したY型ゼオライト、アンモニア交換したY型ゼオライト、ケイ酸カリウムまたはそれらの混合物を含む。
【0037】
開示されたミクロ結晶性材料を用いる、排出ガス中の窒素酸化物の選択触媒還元方法もまた、開示される。一実施形態において、当該方法は、
排出ガスを、3〜5オングストロームの開孔を有するミクロポーラス結晶性材料を含む物品に、少なくとも部分的に接触させる工程であって、
当該材料が、アルカリ土類、希土類、アルカリ類またはその混合物から選択される第1金属と、鉄、銅またはその混合物から選択される第2金属とを含んでいる工程、を含む。
【0038】
一実施形態において、接触させる工程は、アンモニア、尿素またはアンモニア発生化合物の存在下で実施してもよい。
【0039】
別の実施形態において、接触させる工程は、炭化水素化合物の存在下で実施してもよい。
【0040】
上述のとおり、説明される方法で用いられる材料は、二重6員環(d6r)の基礎単位および8員環の開孔を有する結晶構造を含んでもよく、当該結晶構造は国際ゼオライト学会の構造委員会により規定される骨格型で例示されるような、CHA、LEV、AEI、AFT、AFX、EAB、ERI、KFI、SAT、TSCおよびSAVの構造コードを有する。
【0041】
本明細書で説明される方法は、前述した材料を利用し、ミクロポーラスアルミノケイ酸塩ゼオライト、例えばアルミノケイ酸塩チャバザイトを含む。
【0042】
開示された方法に用いられるアルミノケイ酸塩材料は、一般的に、3〜10、例えば5〜7のアルミナに対するシリカのモル比(SAR)を有する。
【0043】
一実施形態において、開示された方法で用いられる材料は、シリコアルミノホスフェート(SAPO)モレキュラーシーブ、例えば、CHA骨格型を有するSAPOモレキュラーシーブを含む。開示された方法で用いられる結晶性のSAPOモレキュラーシーブは、結晶性材料の全重量の1〜20重量%の量でSiOを含んでもよい。
【0044】
当然ながら、第1金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、混合された希土類酸化物、カリウムまたはそれらの混合物が含まれる)と、第2金属(例えば、銅または鉄)とは、液相もしくは固体イオン交換、含浸により導入することができ、または直接合成により組み込むことができる。
【0045】
一実施形態において、第1金属は、結晶性材料の全重量の少なくとも0.2重量%の量を構成する。アルミニウムに対する第1金属の原子比は、0.05〜0.80である。第1金属がカルシウムを含む場合、それは一般的には、結晶性材料の全重量の0.2〜5.0重量%の量で用いられる。
【0046】
第2金属が銅を含む場合、それは一般的には、結晶性材料の全重量の0.5〜10.0重量%の量で用いられる。アルミニウムに対する銅の原子比は、0.05〜0.20である。
【0047】
第2金属が鉄である場合、それは一般的には、結晶性材料の全重量の0.5〜10.0重量%の量で用いられる。アルミニウムに対する鉄の原子比は、0.05〜0.30である。
【0048】
一実施形態において、開示された方法において使用される材料は、0.3〜5ミクロンの寸法の結晶を含む。
【0049】
開示された方法において使用される材料は、優れた水熱安定特性を示すので、有益である。例えば、開示される材料は、一般的には、10体積パーセント以下の水蒸気の存在下で、1〜16時間の間、700〜900°Cの温度に暴露された後で、その表面積およびミクロ容積の少なくとも70%を保持する。
【0050】
当然ながら、本明細書で説明される材料は、溝付きもしくはハニカム形状の本体の形態のもの;ボール、ペブル、ペレット、タブレット、押出成形物、もしくは他の粒状体またはそれらの組合せのような充填層;ミクロスフェア;またはプレートもしくはチューブののような構造部材といった物品において用いてよい。
【0051】
当業者が理解するであろうように、溝付きもしくはハニカム形状の本体、または構造部材は、予め成形されたハニカム形状の本体に前記結晶性材料をウォッシュコートすることにより、または前記結晶性材料を含む混合物を押し出すことにより形成される。
【実施例】
【0052】
本発明は、以下の非制限的な実施例によってさらに明確にされるが、実施例は純水に発明の例示のためのものである。
【0053】
[実施例1(大型結晶で有機を含まないチャバザイトの合成)]
純水(または脱イオン水、deionized water)、水酸化カリウム溶液(45wt%KOH)およびカリウム交換したY型ゼオライト粉体を合わせて混合し、次の組成のゲルを形成した:5.5SiO:1.0Al:1.09KO:66HO。このゲル組成物は、0.05のOH/SiO比を有する。1.5wt%のチャバザイトシードを加える前に、ゲルを室温にて約30分間攪拌し、さらに30分間攪拌した。それからゲルをオートクレーブに投入した。オートクレーブを120°Cに加熱し、当該温度に60時間維持しつつ、300rpmで攪拌した。冷却後、生成物を濾過により回収し、純水で洗浄した。得られた生成物は、チャバザイトのXRDパターンを有し、SARが5.5であり、16.5wt%のKOを含んでいた。生成物を硝酸アンモニウムで4回交換し、カリウムの含有量を0.27wt%KOまで減少させた。
【0054】
[実施例2(アンモニア交換チャバザイトのCa交換)]
引き続き、実施例1のサンプルを硝酸カルシウムで、80°Cにて2時間かけて交換した。交換の後に、材料を濾過し、純水で洗浄し、それから乾燥した。
【0055】
[実施例3(CaチャバザイトのFe交換)]
実施例2からのカルシウム交換チャバザイトのサンプルを、周辺温度(または環境温度)にて3時間かけて、硫酸鉄で交換した。濾過、洗浄および乾燥の後、サンプルは2.5wt%のCaOおよび5.2wt%のFeを含んでいた。
【0056】
[比較例4(アンモニア交換チャバザイトのFe交換)]
実施例1のアンモニア交換チャバザイトのサンプルを、周辺温度(または環境温度)にて3時間かけて、硫酸鉄で交換した。濾過、洗浄および乾燥した後、サンプルは3.2wt%Feを含んでいた。
【0057】
[実施例5(CaチャバザイトのCu交換)]
実施例2のカルシウム交換チャバザイトのサンプルを、60°Cにて2時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過、洗浄および乾燥した後、サンプルは2.7wt%のCaOおよび5.5wt%のCuOを含んでいた。
【0058】
[比較例6(アンモニア交換チャバザイトのCu交換)]
実施例1のアンモニア交換チャバザイトのサンプルを、60°Cにて2時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過、洗浄および乾燥した後、サンプルは5.0wt%のCuOを含んでいた。
【0059】
[実施例7(大型結晶で有機を含まないチャバザイトの合成)]
純水、水酸化カリウム溶液(45wt% KOH)およびカリウム交換したY型ゼオライト粉体を合わせて混合し、次の組成のゲルを形成した:5.5SiO:1.0Al:1.02KO:66HO。このゲル組成物は、0.025のOH/SiO比を有している。0.5wt%のチャバザイトシードを加える前に、このゲルを室温で約30分間攪拌し、さらに30分間攪拌した。それから、ゲルをオートクレーブに投入した。オートクレーブを140°Cに加熱し、当該温度に36時間維持しつつ、300rpmで攪拌した。冷却後、生成物を濾過により回収し、純水で洗浄した。得られた生成物は、チャバザイトのXRDパターンを有し、SARは5.6であり、16.7wt%のKOを含んでいた。生成物を、硝酸アンモニウムで2回交換し、カリウムの含有量を2.0wt%KOまで減少させた。
【0060】
[実施例8(アンモニア交換チャバザイトのCa交換)]
引き続き、実施例7のサンプルを、80°Cにて2時間かけて、硝酸カルシウムで交換した。交換の後、材料を濾過し、純水で洗浄し、それから乾燥した。
【0061】
[実施例9(CaチャバザイトのCu交換)]
実施例8のカルシウム交換チャバザイトのサンプルを、60°Cにて3時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過、洗浄および乾燥した後、サンプルは2.9wt%のCaOおよび5.4wt%のCuOを含んでいた。
【0062】
[実施例10(CaチャバザイトのCu交換)]
実施例8のカルシウム交換チャバザイトのサンプルを、60°Cにて2時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過、洗浄および乾燥した後、サンプルは3.1wt%のCaOおよび3.2wt%のCuOを含んでいた。
【0063】
[実施例11(カルシウム交換チャバザイトでの酢酸銅の初期湿潤含浸)]
実施例8のカルシウム交換チャバザイトのサンプルに、周辺温度にて、酢酸銅を含浸させた。含浸の後、材料を550°Cにて2時間焼成した。サンプルは4.2wt%のCaOおよび2.1wt%のCuOを含んでいた。
【0064】
[実施例12(アンモニア交換チャバザイトのSr交換)]
引き続き、実施例1のサンプルを、80°Cにて2時間かけて、酢酸ストロンチウムで交換した。交換の後、材料を濾過し、純水により洗浄し、それから乾燥した。
【0065】
[実施例13(SrチャバザイトのCu交換)]
実施例12のストロンチウム交換チャバザイトのサンプルを、60°Cにて2時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過、洗浄および乾燥した後、サンプルは8.9wt%のSrOおよび5.0wt%のCuOを含んでいた。
【0066】
[実施例14(アンモニア交換チャバザイトでの硝酸ランタンの初期湿潤含浸)]
実施例7のサンプルに、周辺温度にて、硝酸ランタン溶液を含浸させた。含浸の後、材料を550°Cにて2時間を焼成した。
【0067】
[実施例15(LaチャバザイトのCu交換)]
実施例14のランタンチャバザイトのサンプルを、60°Cにて2時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過、洗浄および乾燥した後、サンプルは8.7wt%のLaと3.0wt%のCuOを含んでいた。
【0068】
(サンプル性能評価)
実施例3〜6および9〜16からのサンプルは、10vol%の水蒸気の存在下で、700、750および/または800°Cで16時間の間蒸気処理を行い、自動車の排気エージング条件(aging condition)をシミュレートした。
【0069】
エージング前後の材料の表面積を、BET法に従って、窒素ガス吸着を用いて測定した。これらの測定のために、Quantachrome Autosorbユニットを用い、液体窒素温度にて0.01〜0.05の相対圧力(P/P0)でデータを収集した。
【0070】
表面積測定と同時に収集された窒素吸着データは、t−プロット法を用いて材料のミクロポア容積を計算するためにも用いられた。
【0071】
NO変換率に関する熱水的にエージングされた材料の活性を、還元剤としてNHを用いて、フロースルータイプの反応器を用いて試験した。粉体のゼオライトサンプルをプレスした、35/70メッシュにふるいをかけ、石英管反応器に入れた。NOのNH−SCRガス組成は、500ppmNO、500ppmNH、5vol%O、0.6%HOおよび残部Nであった。空間速度は50,000h−1であった。反応器の温度は傾斜をつけられ(または徐々に上げられ)、NO変換率は、MKS MultiGas2030赤外線分析器を用いて、各温度間隔にて測定された。
【0072】
表1は、10パーセント水/空気中で700°Cにて16時間蒸気処理した後の、Caを有するFeチャバザイトおよびCaを有さないFeチャバザイトでの、NH−SCR中の、表面積の保持率およびNO変換率を比較している。
【0073】
【表1】

【0074】
表1は、Ca−Feチャバザイトの表面積の保持率が、Caを有さない対応する材料のそれを上回ることを示す。本発明に係る材料の表面積およびミクロポア容積の保持率は、この失活(または脱活性化、deactivation)シミュレーションに暴露した後、少なくとも70%であるべきであり、好ましくは少なくとも80%であるべきである。
【0075】
図1に示すSCRデータを参照すれば、10パーセント水/空気中で700°Cにて16時間蒸気処理を受けたサンプルを試験した場合、Caをさらに含むFeチャバザイトについてのNO変換率は、Caを含まないFeチャバザイトのそれを遙かに上回っていることが明らかである。
【0076】
表2は、10パーセント水/空気中で700°Cにて16時間蒸気処理した後の、Caを有するCuチャバザイトおよびCaを有さないCuチャバザイトでのNH−SCR中、表面積の保持率およびNO変換率を比較している。
【0077】
【表2】

【0078】
表3は、10パーセント水/空気中で750°Cにて16時間蒸気処理した後の、Ca、SrまたはLaを有するCuチャバザイトおよびCa、SrまたはLaを有しないCuチャバザイトでの、NH−SCR中の表面積の保持率およびNO変換率を比較している。
【0079】
【表3】

【0080】
表4は、10パーセント水/空気中で800°Cにて16時間蒸気処理した後の、Caを有するCuチャバザイトおよびCaを有しないCuチャバザイトでの、NH−SCR中の、表面積の保持率およびNO変換率を比較している。
【0081】
【表4】

【0082】
表2〜4は、Ca−Cuチャバザイトの表面積保持率が、Caを有しない対応する材料よりも上回ることを示している。本発明に係る材料の表面積およびミクロポア容積の保持率は、例えば、10パーセントの水/空気中で700〜800°Cにて16時間、これらの失活シミュレーションに暴露した後、少なくとも70%であるべきであり、好ましくは少なくとも80%であるべきである。
【0083】
図2は、10パーセントの水/空気中で700°Cにて16時間蒸気処理をした後、Caを有するCuチャバザイトおよびCaを有しないCuチャバザイトでの、SCRのデータを比較している。図2のデータは、200〜400°Cを超える範囲の温度で、向上したNOの安定性を示している。
【0084】
図3は、900°Cで10パーセントの水/空気中で1時間蒸気処理した後の、比較例17のSCRデータを本発明の実施例23と比較している。データは、2つの金属(ここではカルシウム)を含有するSAPO−34サンプルが、Caを含有しないサンプルと比較して、改善されたNO変換効率を示すことを表している。
【0085】
[実施例16(SAPO−34の合成)]
擬ベーマイトアルミナ、リン酸、アンモニウム安定化シリカゾル(Nyacol 2040NH4)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)溶液、モルホリンおよび純水を合わせて混合し、以下のモル組成を有するゲルを形成した。

0.6SiO:1.0Al:1.0P:0.85モルホリン:0.4TEAOH:32.5H
【0086】
ゲルを、室温にて30分間攪拌し、オートクレーブに投入する前に、ゲルの全無機固形分の約1%の量でSAPO−34のシードを添加した。オートクレーブは180°Cに加熱され、当該温度にて24時間維持された。冷却後、生成物を濾過により回収し、純水で洗浄した。それから、生成物を乾燥させ、焼成して有機を除去した。SAPO−34生成物は、約12%のSiOを含んでいた。
【0087】
[比較例17(SAPO−34のCu交換)]
実施例16のSAPO−34のサンプルを、60°Cにて3時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過し、洗浄し、乾燥させた後、サンプルは3.0wt%のCuOを含んでいた。
【0088】
[実施例18(SAPO−34のCa交換)]
実施例16のSAPO−34のサンプルは、周辺温度にて2時間かけて、水酸化カルシウムで交換した。濾過し、洗浄し、乾燥させた後、サンプルは0.9wt%のCaOを含んでいた。
【0089】
[実施例19(Ca−SAPO−34のCu交換)]
実施例18のCa−SAPO−34のサンプルを、周辺温度にて4時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過し、洗浄し、乾燥させた後、サンプルは1.9wt%のCuOおよび0.8wt%のCaOを含んでいた。
【0090】
[実施例20(SAPO−34のK交換)]
実施例16のSAPO−34のサンプルを、80°Cにて2時間かけて、硝酸カリウムで交換した。濾過し、洗浄し、乾燥させた後、サンプルは1.5wt%のKOを含んでいた。
【0091】
[実施例21(K−SAPO−34のCu交換)]
実施例20のK−SAPO−34のサンプルを、周辺温度にて4時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過し、洗浄し、乾燥させた後、サンプルは3.0wt%のCuOおよび1.5wt%のKOを含んでいた。
【0092】
[実施例22(Ca−SAPO−34の直接合成)]
擬ベーマイトアルミナ、リン酸、アンモニウム安定化シリカゾル(Nyacol 2040NH4)、酢酸カルシウム、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)溶液、モルホリンおよび純水を合わせて混合して、以下のモル組成を有するゲルを形成した。

0.5SiO:1.0Al:1.0P:0.1CaO:0.85モルホリン:0.4TEAOH:31.5H
【0093】
ゲルを、室温にて30分間攪拌し、オートクレーブに投入する前に、ゲルの全無機固形分の約1%の量でSAPO−34のシードを添加した。オートクレーブは180°Cに加熱し、当該温度にて24時間維持した。冷却後、生成物を濾過により回収し、純水で洗浄した。それから、生成物を乾燥させ、焼成して有機を除去した。Ca−SAPO−34生成物は、約11%のSiOと1.7%のCaOを含んでいた。
【0094】
[実施例23(直接合成されたCa−SAPO−34のCu交換)]
実施例22のCa−SAPO−34のサンプルを、60°Cにて3時間かけて、硝酸銅で交換した。濾過し、洗浄し、乾燥させた後、サンプルは3.0wt%のCuOを含んでいた。
【0095】
[実施例24(SAPO−34のCaおよびCu交換)]
実施例16のCa−SAPO−34のサンプルを、40°Cにて3時間かけて、水酸化カルシウムおよび硝酸銅で交換した。濾過し、洗浄し、乾燥させた後、サンプルは3.5wt%のCuOおよび0.60wt%のCaOを含んでいた。
【0096】
(熱水安定性試験)
水安定性試験は、4gの材料を12gの水中でスラリーにすることにより実施した。スラリーを23mLのParrボンベに入れて、Parrボンベを105°Cのオーブンに24時間置いた。続いて、スラリーを濾過し、洗浄し、乾燥させた。水処理の前後で、表面積を分析した。
【0097】
(蒸気安定性試験)
サンプルはまた、10vol%の水蒸気の存在下で900°Cにて1時間蒸気処理され、自動車の排気エージング条件をシミュレートした。水熱的にエージングされた材料のNO変換率に関する活性は、還元剤としてのNHを用いて、フロースルータイプの反応器を用いて試験した。粉体のゼオライトサンプルをプレスして、35/70メッシュにふるいをかけ、石英管反応器に入れた。反応器の温度は傾斜をつけられ、NO変換率は、赤外線分析器を用いて、各温度間隔にて測定された。
【0098】
表5は、105°Cにて24時間水処理した後の、種々のSAPO−34サンプルの、表面積の保持率を比較する。
【0099】
【表5】

【0100】
表5は、実施例18、19、20、21、23および24におけるように、SAPO−34へのCaまたはKの添加は、熱水処理に対して材料を安定させ、一方、CaまたはKを有しない材料(実施例16のSAPO−34および比較例17のCu−SAPO−34)は、当該処理により実質的に完全に破壊されることを示している。本発明のSAPO−34材料は、熱水処理を受けた後に、その表面積およびミクロポア容積の少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%を保持することが望ましい。
【0101】
表6は、10パーセントの水/空気中で900°Cにて1時間蒸気処理した後の、実施例17、23および24のNH−SCR中のNO変換率を比較している。
【0102】
【表6】

【0103】
表6は、特に175°Cのような低温にて、Caを含む本発明の実施例23および24が、Caを含まない比較例17よりも、900°Cにて1時間蒸気処理した後で、NH−SCRに関して活性であることを示す。
【0104】
特に断りのない限りにおいて、構成要素の量、反応状態およびその他明細書および特許請求の範囲で用いられるもの等を表現する全ての数字は、あらゆる場合において用語“およそ”によって修正されるものとして理解されるべきである。その結果、特段の指示が無い限り、以下の明細書および添付する特許請求の範囲に記載される数値パラメーターは、本発明により得られようとする所望の特性によって変化するかもしれない概算である。
【0105】
本発明の他の実施形態は、明細書の考慮および開示された本発明の実施から当業者にとって明白である。明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の正確な範囲は次の特許請求の範囲により指示されることを意図している。
図1
図2
図3