(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104272
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】触媒化基材モノリス
(51)【国際特許分類】
B01J 35/04 20060101AFI20170316BHJP
B01J 23/42 20060101ALI20170316BHJP
B01J 23/44 20060101ALI20170316BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20170316BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20170316BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20170316BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20170316BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20170316BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20170316BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
B01J35/04 301L
B01J35/04 301E
B01J23/42 AZAB
B01J23/44 A
B01D53/94 100
B01D53/94 222
F01N3/10 A
F01N3/10 Z
F01N3/28 301P
F01N3/022
F01N3/035
F01N3/08 B
F01N3/24 E
F01N3/28 301E
F01N3/28 301J
【請求項の数】19
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-545366(P2014-545366)
(86)(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公表番号】特表2015-501719(P2015-501719A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】GB2012053090
(87)【国際公開番号】WO2013088133
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年9月10日
(31)【優先権主張番号】61/569,523
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1200780.3
(32)【優先日】2012年1月18日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ブレイクマン, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ギャヴィン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チャタジー, ソガト
(72)【発明者】
【氏名】チッフィー, アンドルー フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ガスト, ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ポール リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ラジャラム, ラジ
(72)【発明者】
【氏名】シュプライツァー, グレン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー, アンドリュー
【審査官】
森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/118125(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0138777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 53/86
B01D 53/94
F01N 3/00 − 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウォッシュコート被膜;
第2のウォッシュコート被膜;及び
入口表面及び出口表面を有するフィルタリング基材モノリスであって、入口表面が、多孔質構造により出口表面から分離されている基材モノリス;
を含むリーンバーン内燃機関から排出された排気ガスを処理するのに使用するための触媒化基材モノリスであって、
第1のウォッシュコート被膜が、少なくとも1種の白金族元素(PGM)と該少なくとも1種の白金族元素(PGM)のための少なくとも1種の担体材料とを含む触媒組成物を含み、該第1のウォッシュコート被膜中の少なくとも1種の白金族元素(PGM)が、≧700℃の温度に第1のウォッシュコート被膜を曝したときに、揮発しやすい白金を含み、
第2のウォッシュコート被膜は、第1のウォッシュコート被膜と接触した排気ガスと接触するように配向され、且つ、
(a)第2のウォッシュコート被膜が、(i)パラジウム、銀、金及びそれらの任意の2種以上の組合せからなる群から選択される金属;並びに、(ii)揮発した白金族元素(PGM)をトラップするための金属酸化物であって、該金属を担持し、且つ、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物、及びそれらの任意の2種以上の混合物からなる群から選択される、揮発した白金族元素(PGM)をトラップするための金属酸化物;からなる触媒組成物を含む;又は、
(b)第2のウォッシュコート被膜が、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物、及びそれらの任意の2種以上の混合物からなる群から選択される、揮発した白金族元素(PGM)をトラップするための金属酸化物からなる、
のいずれかである、触媒化基材モノリス。
【請求項2】
第1のウォッシュコート被膜中の少なくとも1種の白金族元素(PGM)は、白金とパラジウムの両方を含む、請求項1に記載の触媒化基材モノリス。
【請求項3】
第1のウォッシュコート被膜が、≦10:1のPt:Pdの重量比を含む、請求項2に記載の触媒化基材モノリス。
【請求項4】
Pt:Pdの重量比が≦2である、請求項3に記載の触媒化基材モノリス。
【請求項5】
第1のウォッシュコート被膜が、基材モノリスの第1のウォッシュコートゾーンに配され、第2のウォッシュコート被膜が、基材モノリスの第2のウォッシュコートゾーンに配され、第1のウォッシュコートゾーンと第2のウォッシュコートゾーンとの間に実質的に重なりがない、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の触媒化基材モノリス。
【請求項6】
第1のウォッシュコートゾーンが触媒化基材モノリスの入口端に配され、第2のウォッシュコートゾーンが触媒化基材モノリスの出口端に配される、請求項5に記載の触媒化基材モノリス。
【請求項7】
第1のウォッシュコートゾーンが、フィルタリング基材モノリスの入口表面を含み、第2のウォッシュコートゾーンが、フィルタリング基材モノリスの出口表面を含み、多孔質構造が、第1のウォッシュコートゾーンと第2のウォッシュコートゾーンとの間の移行の境界を定める、請求項5又は6に記載の触媒化基材モノリス。
【請求項8】
第2のウォッシュコート被膜が、第1のウォッシュコート被膜の上の層に配されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の触媒化基材モノリス。
【請求項9】
少なくとも第1のウォッシュコート被膜が、酸化触媒又はNOx吸着触媒を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒化基材モノリス。
【請求項10】
フィルタリング基材モノリスが、ウォールフローフィルターである、請求項1から9のいずれか一項に記載の触媒化基材モノリス。
【請求項11】
第1の触媒化基材モノリスとしての請求項1から10のいずれか一項に記載の触媒化基材モノリスを含む、リーンバーン内燃機関のための排気システム。
【請求項12】
選択接触還元(SCR)触媒を含む第2の触媒化基材モノリスを含み、第2の触媒化基材モノリスが、第1の触媒化基材モノリスから下流に配されている、請求項11に記載の排気システム。
【請求項13】
第1の触媒化基材モノリスと第2の触媒化基材モノリスの間で排気ガス中に窒素還元剤を導入するための導入管を含む、請求項12に記載の排気システム。
【請求項14】
第3の触媒化基材モノリスを更に含み、第3の触媒化基材モノリスが、酸化触媒又はNOx吸収触媒を含むフロースルー基材モノリスであり、第3の触媒化基材モノリスが、第1の触媒化基材モノリスの上流に配されている、請求項11から13のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項15】
第3の基材モノリスを更に含み、第3の基材モノリスが、フィルタリング基材モノリスであり、第3の基材モノリスが、第2の触媒化基材モノリスの下流に配されている、請求項12又は13に記載の排気システム。
【請求項16】
第3の基材モノリスが酸化触媒を含む、請求項15に記載の排気システム。
【請求項17】
請求項11から16のいずれか一項に記載の排気システムを含む、リーンバーン内燃機関。
【請求項18】
請求項17に記載のリーンバーン内燃機関を備えた車両。
【請求項19】
白金を含む触媒組成物が≧700℃の温度に曝されたときに、少なくとも1種の担体材料上に担持された白金を含みかつ選択接触還元(SCR)触媒の上流の基材モノリス上に配された触媒組成物を含む第1のウォッシュコート被膜から揮発し得る白金によって、リーンバーン内燃機関の排気システム中のSCR触媒が、作用を阻害されることを低減又は防止する方法であって、揮発した白金を、第2のウォッシュコート被膜中にトラップすることを含み、第2のウォッシュコート被膜が、白金を含む触媒組成物と同じ基材モノリス上に配されかつ第1のウォッシュコート被膜と接触した排気ガスと接触するように配向され、且つ、
(a)第2のウォッシュコート被膜が、(i)パラジウム、銀、金及びそれらの任意の2種以上の組合せからなる群から選択される金属;及び(ii)揮発した白金族元素(PGM)をトラップするための金属酸化物であって、該金属酸化物が該金属を担持し、且つ、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物、及びそれらの任意の2種以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物、からなる触媒組成物を含む;又は、
(b)第2のウォッシュコート被膜が、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物、及びそれらの任意の2種以上の混合物からなる群から選択される、揮発した白金族元素(PGM)をトラップするための金属酸化物からなる、
のいずれかであり、且つ、
基材モノリスが、入口表面及び出口表面を有するフィルタリング基材モノリスであって、入口表面が多孔質構造により出口表面から分離されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーンバーン内燃機関、特に車両の内燃機関から排出された排気ガスを処理するのに使用するための、第1のウォッシュコート被膜及び第2のウォッシュコート被膜を含む触媒化基材モノリスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、世界中の政府間組織によって法的に禁止されている汚染物質は、4種類:一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、窒素の酸化物(NO
x)及び粒子状物質(PM)ある。
【0003】
車両のエンジンからの排気ガス中のこうした汚染物質の許容される排出に対する排出基準が次第に厳しくなってきたことに伴い、エンジン管理システムと複数触媒排気ガス後処理システムの組合せが提案され、これらの排出基準を満たすように開発されてきた。微粒子フィルターを含む排気システムの場合、フィルター内の温度を上げて、フィルターに保持された実質的に残り全ての煤煙を燃焼させ、それによってシステムをベースラインレベルまで戻すために、エンジン管理を周期的に(例えば500km毎)使用するのが一般的である。これらのエンジン管理された煤煙燃焼事象は、しばしば「フィルター再生」と呼ばれる。フィルター再生の第1の焦点は、フィルター上に保持されている煤煙を燃焼させることであるが、予期せぬ結果として、排気システム中に存在する1種又は複数種の触媒コーティング、例えば、フィルター自体に、フィルターの上流又は下流に位置する酸化触媒(ディーゼル酸化触媒(DOC)など)又はNO
x吸収触媒(NAC)(例えば第1のDOC、続いてディーゼル微粒子フィルター、続いて今度は第2のDOC、最後にSCR触媒)をコーティングしたフィルター(いわゆる触媒煤煙フィルター(CSF))が、システム中のエンジン管理制御のレベルに応じて、定期的に高排気ガス温度に曝される可能性がある。こうした状況はまた、予期せぬ時々のエンジンアップセットモード又は制御されていないもしくは不十分に制御された再生事象で経験する可能性がある。しかし、いくつかのディーゼルエンジン、特に高負荷で操作する重量ディーゼルエンジンは、通常の操作条件下で触媒をかなりの温度、例えば>600℃に曝すことさえある。
【0004】
車両製造業者らが、排出基準を満たすべくエンジン及びエンジン管理システムを開発するため、本出願人/譲受人は、排出基準を満たすという目標を支援する触媒成分及び触媒成分の組合せを提案することを、車両製造業者らから求められている。こうした成分には、CO、HC及び任意選択でさらにNOを酸化させるためのDOC;CO、HCを酸化させるため、任意選択でさらにNOを酸化させるため、かつ後続の燃焼で粒子状物質をトラップするためのCSF;CO及びHCを酸化させるため、かつ一酸化窒素(NO)を酸化させ、それを希薄な排気ガスから吸着して、吸着したNO
xを脱着し、リッチな排気ガス中のN
2に還元するためのNAC(下記参照);ならびにアンモニアなどの窒素還元剤の存在下でNO
xをN
2に還元するための選択接触還元(SCR)触媒(下記参照)が含まれる。
【0005】
実際には、DOC及びCSFで使用する触媒組成物は、非常に似ている。しかし、一般に、DOC及びCSFの使用の間の原則的な違いは、触媒組成物がコーティングされる基材モノリスである。DOCの場合、基材モノリスは通常、それを通して伸長した一連の細長い、両端が開いたチャンネルを有する金属又はセラミックハニカムモノリスを含むフロースルー基材モノリスである。CSF基材モノリスは、ウォールフローフィルターなどのフィルタリングモノリス、例えば複数の出口チャンネルと並行に配置した複数の入口チャンネルを含むセラミック多孔質フィルター基材であり、ここでは、各入口チャンネル及び各出口チャンネルは、多孔質構造のセラミック壁によって部分的に境界が定められ、各入口チャンネルは、多孔質構造のセラミック壁によって出口チャンネルから交互に分離されており、逆の場合についても同様である。言い換えれば、ウォールフローフィルターは、上流端が塞がった複数の第1チャンネル及び上流端ではなく下流端が塞がった複数の第2チャンネルの境界を定めたハニカム配置である。第1チャンネルに垂直に及び横方向に隣接したチャンネルは、下流端が塞がれている。片側から見た場合、チャンネルの交互に塞がれ開口した端部は、チェス盤の外観を呈している。
【0006】
DOC及びNACなどのかなり複雑な複層状触媒配置は、フロースルー基材モノリス上にコーティングすることができる。フィルターモノリスの表面、例えばウォールフローフィルターの入口チャンネル表面を、二層以上の触媒組成物でコーティングすることは可能だが、フィルタリングモノリスのコーティングに関する問題は、フィルターモノリスに触媒ウォッシュコートで過負荷をかけ、それによってそれを通るガスの通路が制限されることによって、使用時に不必要に増大する背圧を回避することである。したがって、1種又は複数種の異なる触媒層で順次フィルター基材モノリスの表面をコーティングすることは不可能ではないが、異なる触媒組成物が、ゾーン、例えば軸方向に分けられているフィルターモノリスの正面及び背面の半ゾーンに分けられていること、あるいはまた、ウォールフローフィルター基材モノリスの入口チャンネルを第1の触媒組成物で、かつその出口チャンネルを第2触媒組成物でコーティングすることによって分けられていることはより一般的である。しかし、本発明の特定の実施形態では、フィルター入口は、1種又は複数種の層でコーティングされており、その層は、同じ又は異なる触媒組成物であってよい。NAC組成物をフィルタリング基材モノリス上にコーティングすることも提案している(例えば、欧州特許EP0766993を参照のこと)。
【0007】
複数の触媒成分を含む排気システムでは、通常それぞれが個々の基材モノリスを含み、SCR触媒を、DOC及び/又はCSF及び/又はNACの下流に設置しているが、これは、約1:1比のNO:NO
2がDOC及び/又はCSF及び/又はNACを出るように、排気ガス中のいくらかの窒素酸化物(NO)を二酸化窒素(NO
2)に酸化することによって、下流のSCR反応が促進されることが知られている(下記参照)からである。また、欧州特許EP341832(いわゆる連続再生式トラップ又はCRT(登録商標))から、排気ガス中のNOをNO
2に酸化することによって生成するNO
2は、下流のフィルター上の煤煙を受動的に燃焼させるのに使用できることがよく知られている。欧州特許EP341832のプロセスが重要な排気システム配置では、SCR触媒がフィルターの上流に設置されると、このことが、NO
2中にトラップされた煤煙を燃焼させるプロセスを低減又は防止する。なぜならば、煤煙を燃焼するのに使用したNO
xの大部分がSCR触媒上から取り除かれることになるからである。
【0008】
しかし、軽量ディーゼル車両における好ましいシステム配置は、ディーゼル酸化触媒(DOC)、続いて窒素還元剤導入管(インジェクター)、次いでSCR触媒、最後に触媒煤煙フィルター(CSF)である。このような配置を略して記載すると、「DOC/SCR/CSF」である。この配置は、軽量ディーゼル車両に好ましい。なぜならば、重要な事柄は、(i)NO
x転化のためアンモニアを遊離させるために、アンモニアなどの窒素還元剤の前駆体の導入/分解を可能にし;かつ(ii)可能な限り高いNO
x転化率を可能にするために、車両エンジンを始動させた後に可能な限り早く排気システム内でNO
x転化を達成することにあるからである。大きな熱的質量フィルターは、SCR触媒の上流、すなわちDOC及びSCR触媒の間(「DOC/CSF/SCR」)に置かれると、排出基準の運転サイクルの全体として、NO
x転化率が低減する可能性があるため、(i)及び(ii)は、達成するのにはるかに長くかかる。微粒子除去は、酸素を用いて、時々強制的にフィルターを再生することで、エンジン管理技術を用いて行うことができる。
【0009】
SCR触媒ウォッシュコートをフィルター基材モノリス自体にコーティングすることも提案されており(例えば国際公開2005/016497を参照のこと)、この場合、SCR触媒に対するNO
x還元活性を促進すべくNO/NO
2比を変更するために、酸化触媒を、SCRコートフィルター基材の上流に設置することができる(酸化触媒がDOC、CSF又はNACの成分であろうとなかろうと)。フロースルー基材モノリス上に配置したSCR触媒の上流にNACを設置するという提案もあり、このNACは、NACの再生中にその場(インサイツ)でNH
3を生成することができる(下記参照)。このような提案の1つは、イギリス特許GB2375059に開示されている。
【0010】
NACは、米国特許第5473887号から知られており、希薄な排気ガス(ラムダ>1)からNO
xを吸着し、排気ガス中の酸素濃度が低下したときにNO
xを脱着するように設計されている。脱着されたNO
xは、NAC自体の、又はNACの下流に配された、ロジウムなどの触媒成分によって促進されて、適当な還元剤、例えばエンジン燃料を用いて、N
2に還元することができる。実際には、酸素濃度の制御は、例えば、通常のエンジン運転操作よりもリッチ(しかし依然として化学量論よりも希薄な、又はラムダ=1の組成物)、化学量論、又は化学量論よりもリッチ(ラムダ<1)に、NACの計算上の残りのNO
x吸着能力に応じて、断続的に所望の酸化還元組成に調節することができる。酸素濃度は、いくつかの手段、例えば、スロットリング、排気行程などの際のエンジンシリンダーへの追加の炭化水素燃料の導入、又はエンジンマニホールドの下流の排気ガスに炭化水素燃料を直接導入することなどによって調節することができる。
【0011】
典型的なNAC配合物には、白金などの接触酸化成分、かなりの量(すなわち三元触媒中の助触媒などの助触媒として使用するのに必要とされる量より実質的に多い)のバリウムなどのNO
x貯蔵成分、及び還元触媒、例えばロジウムが含まれる。この配合物において、希薄な排気ガスからのNO
x貯蔵について一般に与えられる1つのメカニズムは、
NO+1/2O
2 → NO
2 (1)、及び
BaO+2NO
2+1/2O
2 → Ba(NO
3)
2 (2)
であり、ここで、反応(1)では、一酸化窒素が白金上の活性酸化部位で酸素と反応して、NO
2を形成する。反応(2)は、無機硝酸塩の形の貯蔵物質によるNO
2の吸着を含む。
【0012】
より低酸素濃度及び/又は高温において、硝酸塩種は、熱力学的に不安定になり、以下の反応(3)に従って分解してNO又はNO
2を生じる。適当な還元剤の存在下で、これらの窒素酸化物は続いて一酸化炭素、水素及び炭化水素によってN
2に還元され、これは還元触媒上で生じ得る(反応(4)を参照のこと)。
Ba(NO
3)
2→BaO+2NO+3/2O
2又はBa(NO
3)
2
→BaO+2NO
2+1/2O
2 (3)、及び
NO+CO→1/2N
2+CO
2 (4)
(他の反応には、Ba(NO
3)
2+8H
2→BaO+2NH
3+5H
2O、それに続くNH
3+NO
x→N
2+yH
2O又は2NH
3+2O
2+CO→N
2+3H
2O+CO
2などが含まれる。)。
【0013】
上述の(1)〜(4)((1)と(4)を含む)の反応では、反応性バリウム種は、酸化物として与えられる。しかし、空気の存在下ではバリウムの大部分は、炭酸塩の形、又は場合によっては水酸化物の形であることが理解されよう。当業者は、したがって、上記反応スキームを適宜、酸化物以外のバリウム種及び排気流における一連の触媒コーティングに適合させることができる。
【0014】
酸化触媒は、COからCO
2への酸化及び未燃HCからCO
2及びH
2Oへの酸化を促進する。典型的な酸化触媒には、高表面積支持体上の白金及び/又はパラジウムが含まれる。
【0015】
車両の内燃(IC)機関、特にリーンバーンIC機関からのNO
x排出を処理するためのSCR技術の適用は、よく知られている。SCR反応で使用できる窒素還元剤の例には、窒素水素化物などの化合物、例えばアンモニア(NH
3)もしくはヒドラジン、又はNH
3前駆体が含まれる。
【0016】
NH
3前駆体は、例えば加水分解によってNH
3が誘導され得る1種又は複数種の化合物である。前駆体のアンモニア及び他の副生成物への分解は、水熱又は触媒加水分解によるものであってよい。NH
3前駆体には、水溶液としてもしくは固体としての尿素(CO(NH
2)
2)、又はカルバミン酸アンモニウム(NH
2COONH
4)が含まれる。尿素を水溶液として使用する場合、共融混合物、例えば32.5%NH
3(水溶液)が好ましい。結晶化温度を下げるために、水溶液に添加剤が含まれていてもよい。現在、尿素は、NH
3よりも毒性が少なく、運搬及び取扱いが容易であり、安価であり、かつ一般に入手可能であるため、移動用途に好ましいNH
3の供給源である。部分的に加水分解した尿素固体又は液滴は、ろ紙によってトラップされ、PMに関する法的試験に使用され、PM質量としてカウントされることになるので、尿素の不完全な加水分解は、関連した排出試験サイクルを満たす試験でPM排出の増大を招く可能性がある。さらに、シアヌル酸など不完全な尿素加水分解のいくつかの生成物の放出は、環境的に望ましくない。
【0017】
SCRは、NO
xを窒素元素に還元する3つの主反応(下記の反応(5)〜(7)((5)と(7)を含む)に表される)を有する。
4NH
3+4NO+O
2→4N
2+6H
2O(即ち、1:1 NH
3:NO)(5)
4NH
3+2NO+2NO
2→4N
2+6H
2O(即ち、1:1 NH
3:NO
x)(6)
8NH
3+6NO
2→7N
2+12H
2O(即ち、4:3 NH
3:NO
x)(7)
関連がある望ましくない、非選択的な副反応は、
2NH
3+2NO
2→N
2O+3H
2O+N
2 (8)
である。
【0018】
実際には、反応(7)は、反応(5)と比べて比較的遅く、反応(6)は、全ての中で最も速い。そのため、当業者が車両のための排気後処理システムを設計した場合、彼らはしばしば、SCR触媒の上流に酸化触媒元素(例えばDOC及び/又はCSF及び/又はNAC)を配置することを好む。
【0019】
ある特定のDOC及び/又はNAC及び/又はCSFが高温に曝されることになる場合、例えばフィルター再生中及び/又はエンジン不調の事象及び/又は(ある重量ディーゼル適用における)通常の高温排気ガスに遭遇した場合、高温で十分な時間を与えると、低レベルの白金族元素成分、特にPtがDOC及び/又はNAC及び/又はCSF成分から揮発し、続いて白金族元素が下流のSCR触媒にトラップされることが可能である。Ptの存在が、反応(9)(NH
3の完全な酸化を示す)のような非選択的なアンモニア酸化に競合するための高い活性をもたらし、それによって二次的な排出が生じ、かつ/又はNH
3が非生産的に消費されるので、これは、SCR触媒の性能に極めて有害な影響を与える可能性がある。
4NH
3+5O
2→4NO+6H
2O (9)
【0020】
ある車両製造業者が、SAEペーパー2009−01−0627にこの現象の観察を報告しており、これは「Impact and Prevention of Ultra−Low Contamination of Platinum Group Metals on SCR catalysts Due to DOC Design」と題されており、流動モデルの排気ガスと850℃で16時間接触した4供給業者の白金族元素(PGM)含有DOCの後ろに連続して設置したFe/ゼオライトSCR触媒のための温度に対してNO
x転化活性を比較したデータを含む。提供されている結果は、70gft
−3全PGMで20Pt:Pd DOCの後ろに配置したFe/ゼオライトSCR触媒のNO
x転化活性が、Pt汚染の結果としてより低い評価温度と比較してより高い評価温度で悪い方に変わったことを示している。105gft
−3全PGMで異なる供給業者からの2つの2Pt:Pd DOCも試験された。第1の2Pt:Pd DOCでは、SCR触媒活性は、20Pt:Pd DOCに関する試験と同程度に影響を受けたのに対して、試験した第2の2Pt:Pd DOCでは、SCR触媒活性はより少ない程度に汚染されていたが、第2の2Pt:Pd DOCは、盲験対照(DOCなし、裸の基材のみ)と比較して低減したNO
x転化活性を依然として示した。著者らは、より緩やかなNO
x転化率の低下を示した第2の2Pt:Pd DOCの供給業者は、35gft
−3Pdと存在する70gft
−3Ptを安定化させるのにより成功したと結論付けた。150gft
−3におけるPdだけのDOCは、盲験対照に比べて下流のSCRに影響を全く及ぼさないことを示した。SAE 2009−01−0627の著者らよりも前の研究は、SAEペーパー番号2008−01−2488に発表された。
【0021】
欧州特許EP0622107は、ディーゼルエンジンからの排気ガスを精製するための触媒について開示しており、ここでは、白金触媒が排気ガスフローの上流側に添加されており、パラジウム触媒が排気ガスフローの流れのより低い側に添加されている。排気ガス中の炭化水素(HC)及び可溶性有機成分(SOF)は、白金触媒によって低温で燃焼及び除去することができる。SO
2は、低温で酸化されない。排気ガスは、上流部分で高温まで加熱する。HC及びSOFは、パラジウム触媒によって高温で効果的に酸化及び除去される。SO
2は、より高温でも酸化されない。この開示は、排気ガス精製触媒では、HC及びSOFが低温で除去でき、SO
2が酸化されないことを主張している。
【発明の概要】
【0022】
車両製造業者らは、SCR触媒の上流の成分からの比較的低レベルのPGMの揮発の問題を解決するための手段を、出願人/譲受人に求め始めている。高温における下流のSCR触媒上へのこのPGMの移動を防ぐための方策を開発することは極めて望ましいことになる。本発明者らは、この要求を満たすためのいくつかの方策を開発した。
【0023】
発明者らは、白金とパラジウムのどちらも含むPGM含有触媒からの白金の揮発が、Pt:Pdの重量比が約2:1よりも大きい場合、極端な温度条件下で起こり得ることを発見した。PGMが白金からなる場合、白金揮発も観察され得ることも考えられる。本発明者らは、上流の比較的高担持したPt触媒から下流のSCR触媒へ移動するPGM、特にPtの問題を防止又は軽減する、下流のSCR触媒と併せて使用するためのPGMを含む触媒化基材モノリスを考案した。
【0024】
第1の態様によれば、本発明は、リーンバーン内燃機関から排出された排気ガスを処理するのに使用するための、第1のウォッシュコート被膜及び第2のウォッシュコート被膜を含む触媒化基材モノリスであって、第1のウォッシュコート被膜は、少なくとも1種の白金族元素(PGM)と、少なくとも1種の担体材料とを含む触媒組成物を含み、比較的高温を含めた比較的極限条件に第1のウォッシュコートを曝したときに、第1のウォッシュコート被膜中の少なくとも1種のPGMは揮発しやすく、第2のウォッシュコートは、揮発したPGMをトラップするための少なくとも1種の金属酸化物を含み、第2のウォッシュコートは、第1のウォッシュコート被膜と接触した排気ガスと接触するために配向している、触媒化基材モノリスを提供する。
【0025】
第2の態様によれば、本発明は、リーンバーン内燃機関のための、本発明に基づく第1の触媒化基材モノリスを含む排気システムを提供する。
【0026】
他の態様によれば、本発明は、前述の請求項のいずれかに基づく排気システムを含む、特に車両用の、リーンバーン内燃機関を提供する。
【0027】
別の態様では、本発明は、本発明に基づく機関を含む車両を提供する。
【0028】
別の態様では、本発明は、白金族元素(PGM)を含む触媒組成物が比較的高温を含む比較的極限条件に曝されたときに、少なくとも1種の担体材料上に担持された少なくとも1種のPGMを含みかつ選択接触還元(SCR)触媒の上流の基材モノリス上に配された触媒組成物から揮発し得るPGMによって、リーンバーン内燃機関の排気システム中のSCR触媒が、作用を阻害されることを低減又は防止する方法であって、揮発したPGMを、少なくとも1種の金属酸化物を含むウォッシュコート被膜中にトラップすることを含み、ウォッシュコート被膜は、PGMを含む触媒組成物と同じ基材モノリス上に配されている、方法を提供する。
【0029】
本発明の他の態様は、典型的にはリーンバーン内燃機関の排気システムにおける、白金族元素(PGM)によって選択接触還元(SCR)触媒の作用が阻害されることを低減又は防止するための金属酸化物(すなわち少なくとも1種の金属酸化物)の使用に関し、ここでは、第2のウォッシュコート被膜は、金属酸化物を含み、第1のウォッシュコート被膜と接触した排気ガスと接触するために配向しており、第1のウォッシュコート被膜は、少なくとも1種の白金族元素(PGM)と少なくとも1種の担体材料とを含む触媒組成物を含み、触媒化基材モノリスは、第1のウォッシュコート被膜及び第2のウォッシュコート被膜を含む。一般に、金属酸化物は、揮発したPGMをトラップするためのものである。通常、第1のウォッシュコート被膜中の少なくとも1種のPGMは、第1のウォッシュコートが比較的高温を含めた比較的極限条件に曝されたときに揮発しやすい。
【0030】
本発明をより完全に理解するため、以下に、添付の図面を参照しながら、例証のための実施例に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】Fe/ベータゼオライトSCR触媒又はCu/CHAゼオライトSCR触媒に対する白金汚染の試験に使用する実験室用反応器の概略図である。
【
図2】4つのエージングしたSCR触媒コアのNO
x転化活性を温度の関数として比較したグラフであり、エージングしたSCR触媒コアそれぞれは、本発明の実施例3、5及び6又は比較例2のコア試料を含有する実験室規模の排気システム立体配置内でエージングしたものである。エージングしたSCR活性の結果を、フレッシュ、すなわちエージングしていないSCR触媒の活性に対してプロットしている。
【
図3】他の3つのエージングしたSCR触媒コアのNO
x転化活性を温度の関数として比較したグラフであり、エージングしたSCR触媒コアそれぞれは、本発明の実施例4及び7又は比較例2のコア試料を含有する実験室規模の排気システム立体配置内でエージングしたものである。エージングしたSCR活性の結果を、フレッシュ、すなわちエージングしていないSCR触媒の活性に対してプロットしている。
【
図4】3つのエージングしたSCR触媒コアのNO
x転化活性を温度の関数として比較したグラフであり、エージングしたSCR触媒コアそれぞれは、Fe/ベータゼオライトSCR触媒の上流に配置した触媒化ウォールフローフィルターを含む実験室規模の排気システム立体配置内でエージングしたものであり、1つのシステムは、1:1重量比のPt:Pdで入口及び出口チャンネルの両方をコーティングしたフィルターを含み(実施例7);第2のシステムは、5:1重量比のPt:Pdで入口及び出口チャンネルの両方をコーティングしたフィルターを含み(実施例8);第3の比較システムは、Ptだけの触媒で入口及び出口チャンネルの両方をコーティングしたフィルターを含む。エージングしたSCR活性の結果をフレッシュ、すなわちエージングしていないSCR触媒の活性に対してプロットしている。
【
図5】2つのエージングしたSCR触媒コアのNO
x転化活性を温度の関数として比較した棒グラフであり、エージングしたSCR触媒コアそれぞれは、
図1に示した実験室規模の排気システム内でエージングしたものであり、下流に設置した300℃で保持したCu/CHAゼオライトSCR触媒コアと一緒に合成排気ガス流中900℃で2時間管状炉内において加熱された実施例11のディーゼル酸化触媒のコア試料を含有するものである。
【
図6A】本発明に基づく触媒化基材モノリスを含む排気システムの実施形態の概略図である。
【
図6B】本発明に基づく触媒化基材モノリスを含む排気システムの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
一般に、第1のウォッシュコート被膜中の少なくとも1種のPGMは、白金を含む。第1のウォッシュコート被膜中の少なくとも1種のPGMが白金の場合、白金は、比較的高温を含めた比較的極限条件に第1のウォッシュコート被膜を曝したときに揮発しやすいPGMである。比較的高温を含めた比較的極限条件は、例えば、≧700℃、好ましくは≧800℃、より好ましくは≧900℃の温度である。
【0033】
通常、第1のウォッシュコート被膜中のPGMは、白金とパラジウムの両方を含む。白金及び/又はパラジウムは、比較的高温を含めた比較的極限条件に第1のウォッシュコート被膜を曝したときに揮発しやすいPGMであってよい。しかし、白金とパラジウムのどちらも存在している場合、比較的高温を含めた比較的極限条件に第1のウォッシュコート被膜を曝したときに、通常は白金が揮発しやすいPGMである可能性が高い。
【0034】
使用している第1のウォッシュコート被膜から揮発し得るあらゆるPGMが第2のウォッシュコート被膜でトラップされ得るので、例えばろ過した粒子状物質の下流の燃焼を促進するためにNO
2を生成する目的で、より高いPt:Pd重量比を第1のウォッシュコート被膜で使用することができる。通常、第1のウォッシュコート被膜は、≦10:1、例えば8:1、6:1、5:1又は4:1のPt:Pdの重量比を備える。
【0035】
触媒化基材モノリスがSCR触媒のすぐ上流に配されている(すなわち本発明の触媒化基材モノリスとSCR触媒の間に任意の基材モノリスが介在しない)場合、好ましくは第1のウォッシュコート被膜又は触媒化基材モノリスにおいて全体的に(すなわち全体として)、Pt:Pdの重量比が≦2であることが好ましい。第1のウォッシュコート被膜中の少なくとも1種のPGMが白金とパラジウムのどちらも含む場合、Pt:Pdの重量比は≦2、例えば≦1.5:1など、例えば約1:1であることが好ましい。この特徴の重要性は、実施例に示している:発明者らは、実証試験によって、好ましいPt:Pd重量比は、Pt:Pd重量比が4:1の類似の触媒よりも揮発が少ないことを発見している。層状触媒の配置において、外層のPt:Pd重量比が≦2であることが好ましく、あるいは、任意選択で、全ての層を合わせた全Pt:Pd重量比が≦2であることが好ましい。
【0036】
通常、第1のウォッシュコート被膜又は全体におけるPt:Pdの重量比は、≧35:65(例えば≧7:13)である。重量比Pt:Pdは、≧40:60(例えば≧2:3)であることが好ましく、より好ましくは≧45:55(例えば≧9:11)であり、特に≧50:50(例えば≧1:1)、例えば≧1.25:1などであり、より一層好ましくは≧1.5:1(例えば≧1.6:1)である。Pt:Pdの重量比は、第1のウォッシュコート被膜又は全体のどちらかにおいて、通常10:1〜7:13である。Pt:Pdの重量比は、8:1〜2:3であることが好ましく、より好ましくは6:1〜9:11であり、より一層好ましくは5:1〜1:1、例えば4:1〜1.25:1などであり、さらに一層好ましくは2:1〜1.25:1(例えば2:1〜1.6:1)である。
【0037】
一般に、白金族元素(PGM)の合計量(例えばPt及び/又はPdの合計量)は、1〜500gft
−3である。好ましくは、PGMの合計量は、5〜400gft
−3、より好ましくは10〜300gft
−3、より一層好ましくは、25〜250gft
−3、さらに一層好ましくは35〜200gft
−3である。
【0038】
一般に、本発明の触媒化基材モノリスが白金を含む場合、白金は、ビスマス及び/又はマンガンでドープされていない。触媒化基材モノリスは、ビスマス及び/又はマンガンを含んでいないことがより好ましい。
【0039】
一般に、金属酸化物(すなわち第2のウォッシュコート被膜の少なくとも1種の金属酸化物支持体)は、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物、及びそれらの任意の2個以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物を含む。適当な安定剤には、1種又は複数種のシリカ及び希土類金属が含まれる。
【0040】
第2のウォッシュコート被膜の金属酸化物及び第1のウォッシュコート被膜の少なくとも1種の担体材料は、同じであっても異なっていてもよい。第2のウォッシュコート被膜の金属酸化物及び第1のウォッシュコート被膜の少なくとも1種の担体材料は異なることが好ましい。
【0041】
第2のウォッシュコート被膜は、通常、合計量が0.1〜5gin
−3、好ましくは0.2〜4gin
−3(例えば0.5〜3.5gin
−3)、より好ましくは1〜2.5gin
−3の金属酸化物を含むことができる。
【0042】
特にアルミナ及びセリア含有金属酸化物はそれ自体が、揮発したPGMをトラップすることが可能であり、特に、Ptに対して特段の親和性を有するセリアでそうであることを発明者らは発見した。第2のウォッシュコート被膜の金属酸化物は、安定化されていてもよいアルミナ、セリア及び安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物からなる群から選択されることが好ましい。金属酸化物は、安定化されていてもよいアルミナ及び安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物からなる群から選択されることがより好ましい。
【0043】
一実施形態では、第2のウォッシュコート被膜は、パラジウム及び白金を含まない。第2のウォッシュコート被膜は、白金族元素(PGM)を含まないことがより好ましい。
【0044】
他の実施形態では、第2のウォッシュコート被膜は、パラジウム、銀、金及びそれらの任意の2種以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む、触媒組成物をさらに含んでいてもよく、ここでは、少なくとも1種の金属酸化物が、少なくとも1種の金属を支持している。第2のウォッシュコートは、出願人/譲受人の国際公開2009/136206に記載されているように、例えば合金として、パラジウムと金の担持された組合せを含むことが好ましい。
【0045】
第2のウォッシュコート被膜が、パラジウム及び金(例えば合金として)を含む触媒組成物を含む場合、通常パラジウム及び金は、ビスマス及び/又はマンガンでドープされていない。第2のウォッシュコート被膜は、ビスマス及び/又はマンガンを含まないことがより好ましい。
【0046】
通常、第2のウォッシュコート被膜中の少なくとも1種の金属の合計量は、10〜350gft
−3である。合計量が、20〜300gft
−3、より好ましくは30〜250gft
−3、より一層好ましくは45〜200gft
−3、さらに一層好ましくは50〜175gft
−3であることが好ましい。
【0047】
第2のウォッシュコート被膜に、パラジウムを含む触媒組成物が含まれる場合、第2のウォッシュコート被膜に白金が含まれないことが好ましい。
【0048】
一般に、第2のウォッシュコート被膜は、実質的に銅及び/又はロジウムを欠いている(すなわち含まない)。
【0049】
第2のウォッシュコート被膜中に存在する唯一のPGMは、一般にパラジウムである。しかし、特定の実施形態では、第2のウォッシュコート被膜は、白金及びパラジウムを含む。通常、第2のウォッシュコート被膜中のPt:Pdの重量比は、第1のウォッシュコート被膜中のPt:Pdの重量比よりも低い(すなわち、第2のウォッシュコート被膜中のPdに対するPtの相対量は、第1のウォッシュコート被膜中のPdに対するPtの相対量よりも低い)。本発明者らは、パラジウム、又はPd含有量が比較的高いPt/Pd触媒が、揮発したPtをトラップするのに作用し得ることを発見した。
【0050】
第1のウォッシュコート被膜は、少なくとも1種の白金族元素(PGM)及び少なくとも1種のPGMのための少なくとも1種の担体材料を含む触媒組成物を含む。触媒は、通常、完成した触媒コーティングにおいて少なくとも1種のPGM塩及び1種又は複数種の担体材料を含むウォッシュコートスラリーとして基材モノリスに塗布してから、コーティングしたフィルターを乾燥し、続いてか焼する。1種又は複数種の担体材料は、「ウォッシュコート成分」と呼ぶことができる。また、スラリーにする前に少なくとも1種のPGMを1種又は複数種の担体材料に予備固定することが可能であり、あるいはPGMを予備固定する担体材料粒子の組合せをPGM塩の溶液中でスラリーにすることが可能である。
【0051】
本明細書において、少なくとも1種の「担体材料」とは、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物、モレキュラーシーブ、及びそれらの任意の2種以上の混合物又は組合せからなる群から選択される金属酸化物を表す。
【0052】
通常、第1のウォッシュコート被膜の少なくとも1種の担体材料は、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物、モレキュラーシーブ、及びそれらの任意の2種以上の混合物又は組合せからなる群から選択される。第1のウォッシュコート被膜が、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、セリア、及びそれらの任意の2種以上の混合物又は組合せからなる群から選択される少なくとも1種の担体材料を含むことが好ましい。
【0053】
少なくとも1種の担体材料は、1種又は複数種のモレキュラーシーブ、例えばアルミノシリケートゼオライトを含んでいてもよい。本発明で使用するPGM触媒中のモレキュラーシーブの主要な役割は、関連する白金族元素触媒成分がHC転化率に対してより活性な場合、デューティサイクルの冷間始動に続いて又は冷期間中に、炭化水素を貯蔵し、貯蔵した炭化水素をより高温で放出することによって、デューティサイクルにおける炭化水素転化率を改善することである。例えば本出願人/譲受人の欧州特許EP0830201を参照のこと。モレキュラーシーブは、軽量ディーゼル車両用の本発明に基づく触媒組成物に通常使用されるが、重量ディーゼル用途の触媒組成物にはめったに使用されていない。なぜならば、重量ディーゼルエンジン内の排気ガス温度は、炭化水素トラップ機能性が一般に必要ではないためである。
【0054】
しかし、アルミノシリケートゼオライトなどのモレキュラーシーブは、主としてシリカであるため、白金族元素のための支持体としてはあまり良くなく、その増大した熱耐久性が好まれている、アルミナに対してシリカが相対的により高いモレキュラーシーブは、特にそうである。それらは、エージング中に熱的に分解する可能性があり、それによってモレキュラーシーブの構造が崩壊し、かつ/又はPGMが焼結することもあり、分散度がより低下し、その結果HC及び/又はCO転化活性がより低下する。したがって、第1のウォッシュコート被膜及び/又は第2のウォッシュコート被膜は、モレキュラーシーブを個々のウォッシュコート被膜層の≦30重量%(例えば25重量%など、≦20重量%例えば≦15重量%)で含むことが好ましい。第1のウォッシュコート被膜及び/又は第2のウォッシュコート被膜の残りの少なくとも1種の担体材料は、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物、及びそれらの任意の2種以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物を含んでいてもよい。
【0055】
担体材料/炭化水素吸着材として使用するのに好ましいモレキュラーシーブは、中間細孔ゼオライト、好ましくはアルミノシリケートゼオライト、すなわち8個の四面体原子による最大環サイズを有するもの、及び大細孔ゼオライト(最大で10個の四面体原子)好ましくはアルミノシリケートゼオライトであり、天然又は合成ゼオライト、例えばフォージャサイト、斜プチロル沸石、モルデナイト、シリカライト、フェリエライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO−5ゼオライト、オフレタイト又はベータゼオライト、好ましくはZSM−5、ベータ及びYゼオライトなどが含まれる。好ましいゼオライト吸着物質は、水熱安定性の向上のために、高いシリカ対アルミナ比を有している。ゼオライトは、シリカ/アルミナモル比が少なくとも約25/1、好ましくは少なくとも約50/1であってよく、有用な範囲は、約25/1〜1000/1、50/1〜500/1、及び約25/1〜100/1、25/1〜300/1、約100/1〜250/1である。
【0056】
第1のウォッシュコート被膜は、第2のウォッシュコート被膜に対して相対的配置の範囲で配置することができる。第1のウォッシュコート被膜は、基材モノリスの第1のウォッシュコートゾーンに配置でき、第2のウォッシュコートは、基材モノリスの第2のウォッシュコートゾーンに配置でき、ここで、第1のウォッシュコートゾーンと第2のウォッシュコートゾーンの間は実質的に重ならない(例えば第1のウォッシュコート被膜と第2のウォッシュコート被膜の間で重ならない)。一般に、第1のウォッシュコートゾーンは、触媒化基材モノリスの入口端に配され、第2のウォッシュコートゾーンは、触媒化基材モノリスの出口端に配される。
【0057】
その代わりに、又はそれに加えて、第2のウォッシュコート被膜は、第1のウォッシュコート被膜の上の層に配置してもよい。もちろん、第1のウォッシュコート被膜及び第2のウォッシュコート被膜をフィルター上に配置する場合、本発明の特徴「第2のウォッシュコート被膜を、第1のウォッシュコート被膜と接触した排気ガスと接触するために配向している」を満たすために、任意の層状配置に注意する必要があり、例えばウォールフローフィルターの出口チャンネルに塗布した第1及び第2のウォッシュコート被膜層の配向を逆にする必要があり得る。
【0058】
本発明で使用する基材モノリスは、フロースルー基材モノリス又はフィルタリング基材モノリスであってよい。第2のウォッシュコート被膜は一般に、第1のウォッシュコートと接触した排気ガスと接触するために配向している。これは、第1のウォッシュコート被膜を最初に排気ガスと接触させるためである。排気ガス及び第1のウォッシュコート被膜から揮発した任意のPGMは、次いで揮発したPGMをトラップさせるための金属酸化物を含む第2のウォッシュコート被膜と接触する。
【0059】
フィルタリング基材モノリスには通常、入口表面及び出口表面があり、入口表面は、多孔質構造によって出口表面から分離されている。フィルタリング基材モノリスは、ウォールフローフィルター、すなわち複数の出口チャンネルと並行に配置した複数の入口チャンネルを含むセラミック多孔質フィルター基材であることが好ましく、ここで、各入口チャンネル及び各出口チャンネルは、多孔質構造のセラミック壁によって部分的に境界が定められ、各入口チャンネルは、多孔質構造のセラミック壁によって出口チャンネルから交互に分離されており、逆の場合も同様である。言い換えれば、ウォールフローフィルターは、上流端が塞がった複数の第1チャンネル及び上流端ではなく下流端が塞がった複数の第2チャンネルの境界を定めたハニカム配置である。第1チャンネルに垂直に及び横方向に隣接したチャンネルは、下流端が塞がれている。片側から見た場合、交互に塞がった及び開いたチャンネルの端部は、チェス盤の外観を呈する。
【0060】
触媒化フィルター、好ましくはウォールフローフィルターは、出願人/譲受人の国際公開2011/080525に開示されている方法を用いてコーティングすることができる。すなわち、触媒成分を含む液体を含んだ複数のチャンネルを含む、ハニカムモノリス基材をコーティングする方法であって、この方法は、(i)ハニカムモノリス基材を実質的に垂直に保持するステップ;(ii)基材の下端でチャンネルの開口端から所定の容量の液体を基材に導入するステップ;(iii)基材内に導入した液体を密封維持するステップ;(iv)維持した液体を含有する基材を逆にするステップ、及び;(v)逆にした基材の下端で基材のチャンネルの開口端に減圧を施して、基材のチャンネルに沿って液体を引き込むステップを含む。触媒組成物は、第1の端部からフィルターチャンネル上にコーティングでき、その後コーティングしたフィルターを乾燥させることができる。
【0061】
単層ウォッシュコート被膜及び二重層配置(1つのウォッシュコート被膜層の上に別のウォッシュコート被膜層)を含めた触媒化基材モノリスを作るための方法は、当技術分野で既知であり、出願人/譲受人の国際公開99/47260が含まれており、すなわち(a)封じ込め手段を基材モノリスの上端の第1の端部に設置するステップ、(b)所定量の第1のウォッシュコート被膜成分を前記封じ込め手段中に投与するステップを、(a)次いで(b)、又は(b)次いで(a)のいずれかの順で、及び(c)加圧又は減圧によって、前記第1のウォッシュコート被膜成分を基材モノリスの少なくとも一部分に引き込み、実質的に全ての前記量を基材モノリス内に維持するステップを含む。第1のステップでは、塗布の第1の端部からのコーティングは乾燥でき、かつ乾燥した基材モノリスは180度反転させることができ、かつ同じ手順を基材モノリスの上端の第2の端部に行うことができ、基材モノリスの第1から第2の端部までの塗布の間で実質的に層が重ならない。得られたコーティング生成物は、次いで乾燥させ、次いでか焼する。プロセスを第2のウォッシュコート被膜成分で繰り返して、本発明に基づく触媒化(二層)基材モノリスをもたらす。
【0062】
このような方法の使用は、例えば、減圧強度、減圧持続期間、ウォッシュコート粘度、ウォッシュコート固体、コーティング粒子又は凝集体サイズ及び表面張力を用いて制御でき、それによって触媒を主に入口表面上にコーティングできるが、任意選択で多孔質構造内だが入口表面近くもコーティングすることができる。あるいは、ウォッシュコート成分は、寸法、例えばD90<5μmまで粉砕してもよく、それによってフィルターの多孔質構造を「通り抜ける」(国際公開2005/016497を参照のこと)。
【0063】
触媒化基材モノリスがフィルタリング基材モノリス(例えば触媒化基材モノリスは触媒化フィルタリング基材モノリスである)及び第1のウォッシュコート被膜及び第2のウォッシュコート被膜のゾーン配置を含むことが好ましい。第1のウォッシュコートゾーンは、フィルタリング基材モノリスの入口表面を含み、第2のウォッシュコートゾーンは、フィルタリング基材モノリスの出口表面を含むことがより好ましい。これに関して、入口表面は、一般に排気ガスが入るフィルタリング基材モノリスのチャンネルの壁を意味し、出口表面は、一般に排気ガスが通って出るフィルタリング基材モノリスのチャンネルの壁を意味する。したがって、例えば、入口及び出口表面を分離する多孔質構造又は壁は、第1のウォッシュコートゾーンと第2のウォッシュコートゾーンの間の移行の境界を定める。
【0064】
先の本発明の背景に記載されているように、第1のウォッシュコート被膜は、酸化触媒又はNO
x吸収触媒(NAC)を含んでいてよい。NACは、酸化触媒と比べてかなりの量のアルカリ土類金属及び/又はアルカリ金属を含有する。NACは通常、セリア、又はセリア含有混合酸化物、例えばセリウムとジルコニウムの混合酸化物を含み、その混合酸化物は、任意選択でさらに、1種又は複数種の別のランタニド又は希土類元素を含む。
【0065】
第1のウォッシュコート被膜及び第2のウォッシュコート被膜に加えて、本発明の触媒化基材モノリスは、別のウォッシュコート被膜をさらに含んでいてもよい。しかし、本発明の触媒化基材モノリスは、たった2種のウォッシュコート被膜、すなわち第1のウォッシュコート被膜及び第2のウォッシュコート被膜しか有していないことが好ましい。したがって、触媒化基材モノリスは、第1のウォッシュコート被膜及び第2のウォッシュコート被膜で構成されている。
【0066】
本発明はまた、排気システムに関する。排気システムは、選択接触還元(SCR)触媒を含む第2の触媒化基材モノリスをさらに含むことが好ましく、この第2の触媒化基材モノリスは、第1の触媒化基材モノリスから下流に配されている。任意選択で触媒化したフィルタリング基材モノリス(すなわち、第3の任意選択で触媒化した基材モノリス)は、第2の触媒化基材モノリスから下流に配置することができる(例えば前述の本発明の背景技術に関連して論じたDOC/SCR/CSF配置における排気システム)。フィルタリング基材モノリス(すなわち第3の任意選択で触媒化した基材モノリス)は、ウォールフローフィルターであることが好ましい。触媒化した場合、フィルタリング基材モノリスに関連して使用する触媒は、酸化触媒であるが、代替の実施形態ではNAC組成物であってよい。あるいは、フィルタリング基材モノリスは、触媒化されていなくてよい。
【0067】
通常、本発明の排気システムは、第1の触媒化基材モノリスと第2の触媒化基材モノリスの間で排気ガス中に窒素還元剤を導入するための導入管を含む。代わりに(すなわち、導入するための手段なしで、窒素還元剤、例えばアンモニア又はその前駆体、例えば尿素などを、第1の触媒化基材モノリスと第2の触媒化基材モノリスの間に配置する)、又は、窒素還元剤(例えばアンモニア又はその前駆体、例えば尿素など)を導入するための手段に加えて、第1のウォッシュコート被膜及び/又は第1の基材モノリスの上流もしくは第1の基材モノリスの下流に配されたDOCもしくはNACを含む基材モノリスの触媒組成物上のNO
xの還元によってその場でアンモニアガスが発生されるように、排気ガスを濃縮するためにエンジン管理手段を設けることができる。DOC又はNACを含む基材モノリスをフィルターの下流に配置する場合、アンモニア又はその前駆体を導入する手段の上流に配置することが好ましい。
【0068】
本発明で使用する窒素還元剤及びその前駆体には、背景技術の項に関連して先に言及したもののうちのいずれかが含まれる。したがって、例えば、窒素還元剤は、アンモニア又は尿素であることが好ましい。
【0069】
適切に設計及び管理したディーゼル圧縮着火エンジンと組合せて、濃縮排気ガス、すなわち通常のリーン運転モードに対して増量した一酸化炭素及び炭化水素を含有する排気ガスをNACと接触させる。PGM促進セリア又はセリア−ジルコニアなどのNAC中の成分は、水−ガスシフト反応、すなわちCO
(g)+H
2O
(v)→CO
2(g)+H
2(g)でH
2放出を促進することができる。先に述べた反応(3)及び(4)に対する副反応の脚注、例えばBa(NO
3)
2+8H
2→BaO+2NH
3+5H
2Oから、NH
3はその場で発生し、下流のSCR触媒上でのNO
x還元のために貯蔵することができる。
【0070】
第1の触媒化基材モノリスがフィルタリング基材モノリス(例えば触媒化ウォールフローフィルター)の場合、排気システムは、第3の触媒化基材モノリスをさらに含むことが好ましく、ここで、第3の触媒化基材モノリスは、酸化触媒、例えばDOC又はNACを含むフロースルー基材モノリスであり、この第3の触媒化基材モノリスは、第1の触媒化基材モノリスの上流に配されている。
【0071】
第2の触媒化基材モノリスは通常、窒素還元剤を用いた、窒素の酸化物の二窒素への還元を選択的に触媒するための触媒、別名選択接触還元(SCR)触媒を含む。SCR触媒は、先に記載されているような基材モノリス上に被膜としてコーティングすることができる。あるいは、SCR触媒は、押出物(別名「触媒体」)として供給でき、すなわち触媒を基材モノリス構造の成分と混合し、その両方を押出して、触媒を基材モノリスの壁の一部とする。
【0072】
第2の基材モノリスのSCR触媒は通常、フィルタリング基材モノリス又はフロースルー基材モノリスを含む。押出し加工したSCR触媒からウォールフローフィルターを作ることも可能である(出願人/譲受人の国際公開2009/093071及び国際公開2011/092521を参照のこと)。SCR触媒は、耐火性酸化物又はモレキュラーシーブ上に担持された、少なくとも1種のCu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド、及びVIII属の遷移金属、例えばFeなどからなる群から選択することができる。適当な耐火性酸化物には、Al
2O
3、TiO
2、CeO
2、SiO
2、ZrO
2及びそれらの2種以上を含有する混合酸化物が含まれる。非ゼオライト触媒は、酸化タングステン、例えばV
2O
5/WO
3/TiO
2も含んでいてよい。特に重要な好ましい金属は、Ce、Fe及びCuからなる群から選択される。モレキュラーシーブは、上記の金属とイオン交換することができる。
【0073】
少なくとも1種のモレキュラーシーブが、アルミノシリケートゼオライト又はSAPOであることが好ましい。少なくとも1種のモレキュラーシーブは、例えば、小細孔、中間細孔又は大細孔のモレキュラーシーブであってよい。本明細書において、「小細孔モレキュラーシーブ」とは、CHAなど、8個の四面体原子による最大環サイズを含有するモレキュラーシーブを表し;本明細書において、「中間細孔モレキュラーシーブ」とは、ZSM−5など、10個の四面体原子による最大環サイズを含有するモレキュラーシーブを表し;本明細書において、「大細孔モレキュラーシーブ」とは、ベータなど、12個の四面体原子による最大環サイズを含有するモレキュラーシーブを表す。小細孔モレキュラーシーブは、SCR触媒で使用するのに潜在的に有利である−例えば出願人/譲受人の国際公開2008/132452を参照のこと。本発明に基づいてSCR触媒で使用するモレキュラーシーブには、モレキュラーシーブの骨格内に1種又は複数種の金属を取り込んだ、例えばFe「イン−フレームワーク」ベータ及びCu「イン−フレームワーク」CHAが含まれる。
【0074】
本発明に適用される特定のモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含めたERI、モルデナイト、フェリエライト、ベータを含めたBEA、Y、CHA、Nu−3を含めたLEV、MCM−22及びEU−1からなる群から選択され、特に、例えばイオン交換した助触媒としてCuと併せて、CHAモレキュラーシーブ、例えばアルミノシリケートCHAが現在好ましい。
【0075】
本発明はまた、リーンバーン内燃機関に関する。リーンバーン内燃機関は、通常ガソリン燃料又はガソリン燃料とエタノールなど他の成分とのブレンドで走る、ポジティブ点火、例えば火花点火エンジンであってよいが、圧縮着火、例えばディーゼル型エンジンであることが好ましい。リーンバーン内燃機関には、ガソリンなどの燃料又はディーゼル燃料のどちらかによって動く均一予混合圧縮着火(HCCI)エンジンが含まれる。
【0076】
本発明の排気システムを
図6Aに示す。排気システム10は、上流から下流へ連続した配置で、触媒化ウォールフローフィルター2;及びCu/CHA SCR触媒をコーティングしたウォールフローフィルター基材モノリス4を含む。各基材モノリス2、4は、円錐型ディフューザーを含む金属容器又は「缶」中に配置し、それらを基材モノリス2、4のいずれかの断面積よりも小さい断面積の連続した導管3によって連結する。円錐型ディフューザーは、「缶入り」基材モノリスのハウジングに入る排気ガスのフローを広げるように働き、それによって排気ガスが全体として各基材モノリスの実質的に前「表面」の全域に向けられる。基材モノリス4を出る排気ガスは、「排気管」5で大気に排出される。
【0077】
触媒化ウォールフローフィルター2は、その入口チャンネル上のゾーン6中でNO
x吸収触媒(NAC)組成物でコーティングし、その出口チャンネル上のゾーン8中で微粒子アルミナに担持されたパラジウムでコーティングする。適切に設計及び管理したディーゼル圧縮着火エンジン(基材モノリス2の上流、図示せず)と組合せて、濃縮排気ガス、すなわち通常のリーン運転モードに対して増量した一酸化炭素及び炭化水素を含有する排気ガスをNACと接触させる。PGM促進セリア又はセリア−ジルコニアなどのNAC中の成分は、水−ガスシフト反応、すなわちH
2を生じるCO
(g)+H
2O
(v)→CO
2(g)+H
2(g)を促進することができる。先に述べた反応(3)及び(4)に対する副反応の脚注、例えばBa(NO
3)
2+8H
2→BaO+2NH
3+5H
2Oから、NH
3はその場で発生し、下流のSCR触媒上でのNO
x還元のために貯蔵することができる。
【0078】
図6Bは、上流から下流へ連続した配置で、触媒化フロースルー基材モノリス12;アンモニア前駆体の尿素のための導入管を含むアンモニアの供給源13;及びFe/ベータSCR触媒でコーティングしたフロースルー基材モノリス14を含む、本発明に基づく排気システム20の代替の実施形態を示す。各基材モノリス12、14は、円錐型ディフューザーを含む金属容器又は「缶」中に配置し、それらを基材モノリス12、24のいずれかの断面積よりも小さい断面積の連続した導管3によって連結する。基材モノリス14を出る排気ガスは、「排気管」5で大気に排出される。
【0079】
触媒化フロースルー基材モノリス12は、Pt及びPdが担体材料上に担持されている4:1のPt:Pd重量比の触媒でコーティングされた、その上流端によって部分的に境界が定められた第1ゾーン16;及び第1ゾーン16と実質的に重なっていない、フロースルー基材モノリスの全長の約50%の第2ゾーン18を含み、ここで、第2ゾーン18は、第1(又は最下)層がアルミナ上に担持された白金を含み、第2(又は最上)層がアルミナに担持されたパラジウムを含む、二層配置を含む。触媒化フロースルー基材モノリスは、反応(1)を促進させ、それによって下流のSCR触媒上の反応(6)を促進させる目的で設計されている。
【実施例】
【0080】
実施例1− 5wt%Fe/ベータゼオライトでコーティングした基材モノリスの調製
市販されているベータゼオライトを撹拌しながらFe(NO
3)
3の水溶液に加えた。混合した後、結合剤及びレオロジー改質剤を加えて、ウォッシュコート組成物を形成した。
【0081】
出願人/譲受人の国際公開99/47260に開示されている方法、すなわち(a)支持体の上部に封じ込め手段を設置するステップ、(b)所定量の液体成分を前記封じ込め手段中に投与するステップを、(a)次いで(b)、又は(b)次いで(a)のいずれかの順で、及び(c)加圧又は減圧によって、前記液体成分を支持体の少なくとも一部分に引き込み、実質的に全ての前記量を支持体内に維持するステップを含む方法を用いて、400セル/平方インチ(cpsi)のコーディエライトフロースルー基材モノリスを、5wt%Fe/ベータゼオライト試料の水性スラリーでコーティングした。このコーティングした生成物(一端だけからコーティングした)を乾燥させ、次いでか焼し、このプロセスをもう一方の端から繰り返す。それによって、実質的に基材モノリス全体がコーティングされ、2つのコーティング間の継ぎ目で軸方向への重なりは小さい。1インチ(2.54cm)直径×3インチ長のコアを完成品から切断した。
【0082】
比較例2− Ptのみでの触媒化ウォールフローフィルターの調製
脱イオン水中における比較的高い粒度分布まで粉砕したアルミナ粒子、硝酸白金、結合剤及びレオロジー改質剤の混合物を含むウォッシュコート組成物を調製した。チタン酸アルミニウムウォールフローフィルターを、出願人/譲受人の国際公開2011/080525に開示されている方法及び装置を用いてウォッシュコート添加0.2g/in
3から総計Pt添加が5gft
−3の触媒組成物でコーティングした。ここでは、上流側まで配向させることが意図されている第1の端部におけるチャンネルを、それらの全長の75%で、硝酸白金及び微粒子アルミナを含むウォッシュコートにより、その意図されている上流端部からコーティングし;反対端における下流側に配向させることが意図されているチャンネルを、それらの全長の25%で、入口チャンネルと同じウォッシュコートでコーティングした。すなわち、この方法は、(i)ハニカムモノリス基材を実質的に垂直に保持するステップ;(ii)基材の下端でチャンネルの開口端から所定の容量の液体を基材に導入するステップ;(iii)基材内に導入した液体を密封維持するステップ;(iv)維持した液体を含有する基材を逆にするステップと;(v)逆にした基材の下端で基材のチャンネルの開口端に減圧を施して、基材のチャンネルに沿って液体を引き込むステップを含んでいた。触媒組成物を、第1の端部からフィルターチャンネル上にコーティングし、その後コーティングしたフィルターを乾燥させた。乾燥させた第1の端部からコーティングしたフィルターを、次に回転させ、この方法を繰り返してフィルターチャンネルに同じ触媒を第2の端部からコーティングし、続いて乾燥及びか焼した。
【0083】
1インチ(2.54cm)直径×3インチ(7.62cm)長のコアを完成品から切断した。得られた部品は、「フレッシュ」、すなわちエージングしていないと表す。
【0084】
実施例3− Pt−入口/Pd−出口含有触媒化ウォールフローフィルターの調製
ガス接触の入口側に向かう配向が意図されたチャンネルの全チャンネル長の100%を、硝酸白金及びアルミナを含有するウォッシュコートでコーティングしてから、コーティングしたフィルターを乾燥させ;出口側に向かって配向させることが意図されたPtコーティングしたフィルターのチャンネルの全長の35%を、硝酸パラジウム及びアルミナを含有するウォッシュコートでコーティングしたこと以外は、比較例2と同じ方法を用いて、コーティングしたフィルターを調製した。得られた完全にコーティングしたフィルターを次いで乾燥させ、次いでか焼した。コーティングしたフィルター上へのPtの完全添加量は、5gft
−3であり、コーティングしたフィルター上へのPdの完全添加量は、1.75gft
−3であった。
【0085】
1インチ(2.54cm)直径×3インチ長のコアを完成品から切断した。得られた部品は、「フレッシュ」、すなわちエージングしていないと表す。
【0086】
実施例4− Pt−入口/Al
2O
3−出口含有触媒化ウォールフローフィルターの調製
出口側に向かう配向が意図されたチャンネルの全長の35%を、アルミナのみを含有するウォッシュコートでコーティングしたこと以外は、実施例3と同じ方法を用いて、コーティングしたフィルターを調製した。得られたコーティングしたフィルターを次いで乾燥させ、次いでか焼した。コーティングしたフィルターの入口チャンネル上へのPtの完全添加量は、5gft
−3であった。
【0087】
1インチ(2.54cm)直径×3インチ長のコアを完成品から切断した。得られた部品は、「フレッシュ」、すなわちエージングしていないと表す。
【0088】
実施例5− Pt−入口/単層Pt:Pd−出口含有触媒化ウォールフローフィルターの調製
フィルターの出口チャンネルに塗布したウォッシュコートが硝酸白金に加えて硝酸パラジウムを含んでいたこと以外は、比較例2と同じ方法を用いて、コーティングしたフィルターを調製した。入口及び出口チャンネルにおけるウォッシュコート添加は、入口表面と出口表面の両方の上に5g/ft
3Pt、1.25g/ft
3Pd添加、すなわち全PGM添加が6.25g/ft
3に達するように行った。
【0089】
1インチ(2.54cm)直径×3インチ長のコアを完成品から切断した。得られた部品は、「フレッシュ」、すなわちエージングしていない、と表す。
【0090】
実施例6− Pt−入口/層状Pt/Pd−出口含有触媒化ウォールフローフィルターの調製
二層のウォッシュコートを出口チャンネルの25%全ゾーン長に塗布したこと以外は、比較例2と同じ方法を用いて、コーティングしたフィルターを調製した。第1の(又は下端)層では、ウォッシュコートは、硝酸白金及びアルミナを含有していた。コーティングしたフィルターを次いで乾燥及びか焼してから、硝酸パラジウム及びアルミナを含有した第2の(又は最上)層のウォッシュコートを塗布した。入口及び出口チャンネルにおけるウォッシュコート添加は、入口チャンネル及び出口チャンネル上への全総計添加の5g/ft
3Pt、1.25g/ft
3Pd添加、すなわち全PGM添加が6.25g/ft
3に達するように行った。
【0091】
1インチ(2.54cm)直径×3インチ長のコアを完成品から切断した。得られた部品は、「フレッシュ」、すなわちエージングしていない、と表す。
【0092】
実施例7 1:1重量%Pt:Pd含有触媒化ウォールフローフィルターの調製
フィルターの入口チャンネルと出口チャンネルの両方に塗布したウォッシュコートが硝酸白金に加えて硝酸パラジウムを含んでいたこと以外は、比較例2と同じ方法を用いて、コーティングしたフィルターを調製した。入口及び出口チャンネルにおけるウォッシュコート添加は、入口表面と出口表面の両方の上に5g/ft
3Pt、5g/ft
3Pd添加、すなわち全PGM添加が10g/ft
3に達するように行った。
【0093】
1インチ(2.54cm)直径×3インチ長のコアを完成品から切断した。得られた部品は、「フレッシュ」、すなわちエージングしていない、と表す。
【0094】
実施例8 5:1重量%Pt:Pd含有触媒化ウォールフローフィルターの調製
フィルターの入口チャンネルと出口チャンネルの両方に塗布したウォッシュコートが硝酸白金に加えて硝酸パラジウムを含んでいたこと以外は、比較例2と同じ方法を用いて、コーティングしたフィルターを調製した。入口及び出口チャンネルにおけるウォッシュコート添加は、入口表面と出口表面の両方の上に5g/ft
3Pt、1g/ft
3Pd添加、すなわち全PGM添加が6g/ft
3に達するように行った。
【0095】
1インチ(2.54cm)直径×3インチ長のコアを完成品から切断した。得られた部品は、「フレッシュ」、すなわちエージングしていない、と表す。
【0096】
実施例9− システム試験
図1に例示されている第1の合成触媒活性試験(SCAT)実験室用反応器で試験を行った。この反応器内では、実施例1のコーティングしたFe/ベータゼオライトSCR触媒のフレッシュなコアが、比較例2又は実施例3、4、5、6、7もしくは8の触媒化ウォールフローフィルターのいずれかのコアの下流の導管に配されている。触媒行程容積が30,000hr
−1で合成ガス混合物を導管に通した。フィルター入口温度900℃で60分間、定常状態の温度で触媒化ウォールフローフィルター試料を加熱(又は「エージング」)するために炉を使用し、その間、入口SCR触媒の温度は300℃であった。フィルターとSCR触媒の間の温度降下をもたらすために、空気(熱交換器)又は水冷メカニズムを使用した。エージング中のガス混合物は、10%O
2、6%H
2O、6%CO
2、100ppmCO、400ppmNO、100ppmClとしてのHC、残余N
2であった。
【0097】
エージングに続いて、エージングしたSCR触媒を第1のSCAT反応器から取り出し、特にエージングした試料のNH3−SCR活性を試験するために、第2のSCAT反応器に挿入した。エージングしたSCR触媒は、次いで、合成ガス混合物(O
2=14%;H
2O=7%;CO
2=5%;NH
3=250ppm;NO=250ppm;NO
2=0ppm;N
2=残余)を用いてSCR活性について150、200、250、300、350、450、550及び650℃で試験し、実施例3、5及び6について得られたNO
x転化率は、フレッシュなSCR触媒活性に対比して、及び比較例2の後にエージングしたSCR触媒に対比して、各温度データポイントについて温度に対して
図2にプロットした。
図3に示したグラフは、同じ比較を用いて、実施例4及び7について得られたNO
x転化率をプロットしている。このプロットは本質的に、反応(9)及び反応(5)の間の競争を測定し、したがってSCR反応(反応(5))に必要な入手可能なNH
3の消費によってどれくらい反応(9)がNO
x転化率に影響するかを測定する。
【0098】
結果を
図2及び3に示す。本発明に基づく排気システムで使用するSCR触媒は、比較例2のSCR触媒よりも活性を維持するが、フレッシュな触媒よりもより少ないSCR活性を維持していることがわかる。発明者らは、SCR活性の低下が部分的に、上流の触媒化ウォールフローフィルターから低レベルのPtが下流のSCR触媒に析出することによって引き起こされていることを示すものとしてこの結果を解釈している。触媒が上流に存在しない、フレッシュなFe/ベータ触媒と300℃で1時間エージングしたFe/ベータ触媒の間に、活性の低下は実質的に見られなかった(結果を図示せず。)
【0099】
実施例10− 3wt%Cu/CHA ゼオライトでコーティングした基材モノリスの調製
市販されているアルミノシリケートCHAゼオライトを、Cu(NO
3)
2水溶液に撹拌しながら加えた。スラリーをろ過し、次いで洗浄及び乾燥させた。所望の金属添加を達成するまで、手順を繰り返すことができる。最終生成物をか焼した。混合後、結合剤及びレオロジー改質剤を加えて、ウォッシュコート組成物を形成した。
【0100】
先の実施例1に記載されている出願人/譲受人の国際公開99/47260に開示されている方法を用いて、400cpsiコーディエライトフロースルー基材モノリスを、3wt%Cu/CHAゼオライト試料の水性スラリーでコーティングした。コーティングした基材モノリスを500℃で5時間、空気中の炉内でエージングさせた。1インチ(2.54cm)直径×3インチ長(7.62cm)のコアを完成品から切断した。
【0101】
実施例11− さらなるPt:Pd重量比研究
2種のディーゼル酸化触媒を以下のように調製した:
【0102】
ディーゼル酸化触媒A
単層DOCを以下のように調製した。硝酸白金及び硝酸パラジウムをシリカ−アルミナのスラリーに加えた。ベータゼオライトを、質量でゼオライトとして固形分の<30%を含むようにスラリーに加えた。先の実施例1の方法を用いて、ウォッシュコートスラリーを400cpsiフロースルー基材上に投与した。投与した部分を乾燥させ、次いで500℃でか焼した。ウォッシュコート被膜中の全白金族元素添加量は、60gft
−3であり、全Pt:Pd重量比は4:1であった。1インチ(2.54cm)直径×3インチ(7.62cm)長のコアを完成品から切断した。得られた部品は、「フレッシュ」、すなわちエージングしていない、と表す。
【0103】
ディーゼル酸化触媒B
単層DOCを以下のように調製した。硝酸白金及び硝酸パラジウムをシリカ−アルミナのスラリーに加えた。ベータゼオライトを、質量でゼオライトとして固形分の<30%を含むようにスラリーに加えた。DOC Aで使用したのと同じ方法を用いて、ウォッシュコートスラリーを400cpsiフロースルー基材上に投与した。投与した部分を乾燥させ、次いで500℃でか焼した。単層DOC中の全PGM添加量は、120g/ft
3であり、Pt:Pd重量比は2:1であった。1インチ(2.54cm)直径×3インチ(7.62cm)長のコアを完成品から切断した。得られた部品は、「フレッシュ」、すなわちエージングしていない、と表す。
【0104】
実施例12で示したプロトコルに基づいてどちらの触媒も試験した。結果は、対照(エージングしたSCR触媒、DOC A又はDOC Bのいずれかの下流ではさらなるエージングはしていない、)と共に、
図5に示す。
【0105】
実施例12− システム試験
図1に例示されている第1の合成触媒活性試験(SCAT)実験室用反応器で試験を行った。この反応器内では、実施例10のコーティングしたCu/CHAゼオライトSCR触媒のエージングしたコアが、ディーゼル酸化触媒(DOC)A又はB(実施例11に基づく)のいずれかのコアの下流の導管に配されている。毎分6リットルの速度で合成ガス混合物を導管に通した。触媒出口温度900℃で2時間、定常状態の温度でDOC試料を加熱(又は「エージング」)するために炉を使用した。SCR触媒をDOC試料の下流に配置し、水冷熱交換器ジャケットも適宜使用できるが、炉の出口及びSCR入口の間のチューブの長さを調節することによってエージングプロセス中に触媒温度300℃で保持した。温度は、適切に配置した熱電対(T
1及びT
2)を用いて決定した。エージング中に使用したガス混合物は、40%空気、50%N
2、10%H
2Oであった。
【0106】
DOCエージングに続いて、SCR触媒を第1のSCAT反応器から取り出し、特にエージングした試料のNH
3−SCR活性を試験するために、第2のSCAT反応器に挿入した。SCR触媒は、次いで、合成ガス混合物(O
2=10%;H
2O=5%;CO
2=7.5%;CO=330ppm;NH
3=400ppm;NO=500ppm;NO
2=0ppm;N
2=残余、すなわちα値(NH
3:NO
xの比)0.8を使用し、それによって利用できる最大可能NO
x転化率は80%であった)を用いてSCR活性について500℃で試験し、得られたNO
x転化率を、
図5の添付の棒グラフに、温度に対してプロットした。このプロットは本質的に、反応(9)及び反応(5)の間の競争を測定し、したがってSCR反応(反応(5))に必要な入手可能なNH
3の消費によってどれくらい反応(9)がNO
x転化率に影響するかを評価するものである。
【0107】
Pt:Pd重量比研究− 結論
全体から見て、実施例7及び8ならびに比較例2に関連して
図4に示した実施例9の結果は、1:1と5:1の間のPt:Pd重量比が、触媒を含有する白金族元素から下流のSCR触媒への白金族元素、主に白金の揮発によるNO
x転化活性低下の問題を低減するのに有益であることを示唆している。
【0108】
また、ディーゼル酸化触媒A及びBに関連して
図5に示した実施例12の結果は、全体としてPt:Pd重量比が2:1のDOCの下流でエージングしたSCR触媒に関して、72%NO
x転化活性の対照と比較して、67%NO
x転化活性でNO
x転化活性の低下が比較的わずかであることを示す(同じプロトコルを用いた、1:1のPt:Pd重量比の全DOCの後にエージングしたSCR触媒(本明細書には記載されていない)のNO
x転化活性は69%であった)。しかし、全Pt:Pd重量比が4:1まで増大した場合、SCR活性は、48%まで大きく低減した。
【0109】
したがって、本発明者らは、超えるとPt揮発がより起こりやすい境界が、全体としてPt:Pd重量比約2:1で存在すると結論を下している。したがって、全体的にDOC中の全Pt:Pd重量比を2:1に、かつ第2のウォッシュコート被膜層でPt:Pd重量比を≦2:1に制限することによって、DOC中のPtの揮発及び下流のSCR触媒への移動の可能性が少なくなる。
【0110】
いかなる疑義も排除するため、本明細書に引用されている任意及び全部の文献の全内容は、本出願に参照により組み込まれる。