(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
「豆果」は、食用豆および豆果が結実する他の公知の植物、例えば限定するものではないが、ダイズ、ルピンマメ、ラッカセイ(例えばピーナッツ)およびクローバーを包含する。
【0013】
「食用豆」とは、穀粒を乾燥させるために単独で収穫される、鞘の中に存在する様々なサイズ、形状および色の1〜12粒の穀粒または種子から得られる一年生豆科作物を意味する。
【0014】
「押出加工」とは、様々な食品原材料や成分を、改変された中間体および最終製品へ変える高温、高圧、短時間のプロセスである。
【0015】
「溶融」とは、溶融された押出加工物を意味する。
【0016】
「押出加工物」とは、押出加工処理によって得られた製品を意味する。
【0017】
「超臨界流体押出加工」は、超臨界流体、特に超臨界二酸化炭素のカップリング、および押出加工処理を伴う。
【0018】
「共押出加工処理」とは、2つ以上であって異なるが適合し得る食品および/または食品成分が押出加工ダイで併用される技術を意味する。食品材料は、2台のエクストルーダーから、またはエクストルーダーおよびポンプから得られる。このプロセスによって、特定の製品、例えば、2つ以上の異なるテクスチャーまたは色や風味を有する製品を作製することができる。
【0019】
「前処理装置(preconditioner)」とは、未加工の顆粒状食品および/または食品成分をエクストルーダーに入る前に、水または生蒸気と接触させることによって均一に湿潤または加熱するか、その両方を行う大気圧室または加圧室である。
【0020】
「保存安定性」とは、加工食品および他の生鮮品の質における許容損失に相当する時間の長さを意味する。
【0021】
「瞬間蒸発」とは、過熱水が周囲条件に急に暴露された際に、エクストルーダーのダイ末端で生じた水分が急激に蒸発することを意味する。
【0022】
「膨化」とは、加圧され、溶融された粉または溶融物が周囲条件に急に暴露された際に観察される物理的変換に関する。
【0023】
また、「膨化率」(ER)は、横断面膨化指数(Sectional Expansion Index(SEI))および半径膨化率(Radial Expansion Ratio(ER))半径とも呼ばれるが、これは、押出加工物の断面積とダイの面積との比として、または押出加工物の直径とダイとの比として表される。
【0024】
「一定の膨化率」(UER)は、押出加工された成形棒の無作為に選択された部分に対する膨化率の変動が平均膨張率の20%未満であり、同一加工条件下において同一成分で製造された製品の異なるバッチ間の膨張率の変動が平均膨張率の20%未満であると定義する。
【0025】
「膨化指数」(EI)とは、3次元で生じる押出加工物の全体的な膨化、すなわち、横断面、縦断面および体積膨張を意味する。これらは数式:VEI=SEI×LEIによって定義される。式中、SEIは横断面膨化指数であり、直径方向膨化を特性決定し、LEIは縦断面膨化指数であり、VEIは体積または全体的な膨化指数である。
【0026】
「膨化パラメーター」には膨化および密度が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
定義による「密度」とは、数式のp=m/Vで表される、単位体積当たりの質量であって、式中、pは密度はであり、mは質量(kg)であり、Vは体積(m
3)である。
【0028】
「製品の密度」(D)とは、単位体積当たりの押出加工物の質量の尺度を意味する。押出加工物の密度が高いほど、その体積当たりの質量は大きくなる。
【0029】
押出加工製品の「水溶解指数」(WSI)とは、水中へのその溶解性を記述する。その値は、乾燥重量基準のパーセントとして得られ、数式のWSI=[(上清中で溶解している固形物の質量)/(乾燥固形物の質量)]*100によって記述される。
【0030】
押出加工製品の「吸水指数」(WAI)とは、水を吸収する能力を記述する。その値は、乾燥重量基準のパーセントとして得られ、数式のWAI=[(沈殿物の質量)/(乾燥固形物の質量)]*100によって記述される。
【0031】
食品の「テクスチャー特性」とは、食品の構造上の要素に起因し、官能評価によって感知され、力の下での食品の変形、崩壊、および流動に関連し、圧力、時間および距離の関数により客観的に測定される物理的特徴の群である。これらには硬度、強度、食感および粘度があるが、これらに限定されない。
【0032】
「硬度」とは、変形に対する抵抗を特徴決定する材料の機械的特性である。従って、押出加工製品の硬度は、変形を引き起こすのに必要な力の量を記述する。
【0033】
「強度」とは、ほとんどの場合、材料の降伏強度を説明するために用いられる。降伏強度は、変形に対する抵抗を特徴決定する材料の機械的特性である。従って、押出加工製品の強度が変形を引き起こすのに必要な力の量を記述する。
【0034】
「明度」とは、明るさと同義であって、色の明るさや暗さを示している。低明度値とは暗い(濃い)ことを示すのに対し、高明度値とは明るい(白い)ことを示す。
【0035】
「水和特性」には、水溶解指数(WSI)および吸水指数(WAI)が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
「in vitroでのタンパク質消化」(IVPD)とは、in vivoでの自然な生存条件とは異なるものとして、試験管で実験的に作製された観察を意味する。IVPDは、一般に、消化タンパク質分解酵素によって加水分解されるタンパク質のパーセントとして表される。
【0037】
「消費者によるテイスティング」とは「嗜好尺度」とも呼ばれ、製品の潜在的な消費者に、様々な製品や小数のアイテムの評価を投票で得ることを伴う。
【0038】
「強化」とは、食品の栄養価を向上させるのに有意な量の栄養素の添加である。これは、食品に通常関係していない栄養素の添加、または未加工食品中に存在する前記レベルまでの添加を包含し得る。
【0039】
「血糖指数」とは、血糖レベルにおける即時的な影響に基づいた、炭水化物の質の生理学的測定値である。血糖指数(GI)は0〜100のスケールを使用する。純粋グルコースは基準点としての役割を果たし、GIは100である。食品中の炭水化物をグラム当たりのグラムで比較すると、55以下のGI値は低GI食品と考えられ、55〜69のGI値は中間GI食品と考えられ、GIが70以上である食品は高GI食品として考えられる。
【0040】
「デンプン」とは、特定の植物種、特に、穀物、塊茎、および食用豆、例えばトウモロコシ、コムギ、コメ、タピオカ、ジャガイモ、エンドウマメなどから微粉形態で得られる炭水化物ポリマーを意味する。このポリマーは、結合されている無水-α-D-グルコース単位からなる。これは主に直鎖状構造(アミロース)、または分枝状構造(アミロペクチン)のいずれかを有していてもよい。構成ポリマー、特にアミロースの分子量は、異なるデンプン源で変化する。単一の植物種は、アミロースおよびアミロペクチンが様々な割合であるハイブリッドとして存在していてもよく、例えば高アミロースコーンなどがある。
【0041】
「特殊デンプンまたはデンプン誘導体」とは、改良したデンプンおよびデンプン加水分解製品をはじめとする、天然デンプンから製造された全ての製品の総称である。これらは、食品の処理、物理的および化学的属性および食味の質を向上させるために用いられ、また、治療食における栄養上の需要、例えば繊維などに対処することもできる。
【0042】
「除皮」とは、表面層、樹皮、殻、膜、または種子または穀物の繊維被覆を除去することを意味する。
【0043】
「粒子サイズ」とは、標準サイズに設計されている篩またはスクリーンによって、特定の寸法にサイズ決定された微粉および/または粉末由来の粒子を意味する。
【0044】
「篩にかける」とは、標準サイズに設計されている篩またはスクリーンにそれらを通すことによって、微粉および/または粉末の粒子サイズを分別するための方法を意味する。
【0045】
「豆果を原料とした微粉および/または粉末」とは、豆果微粉と、植物(豆果、穀物、果実および野菜、塊茎)材料、および/またはその成分(デンプン、食物繊維、色素、風味抽出物、植物栄養素)、および/または動物(乳製品、他)材料および/またはその成分(タンパク質、糖、脂肪、風味抽出物、他)、および/または微生物を原料とした成分(タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラル、他)、および/または他の慣用および非慣用の食品グレード成分(特殊デンプン、水および油溶性ビタミン、ミネラル、着色剤、風味、他)を含有するミックスを意味する。
【0046】
「微生物繊維」とは、その栄養価のために特に培養された、栄養補助酵母由来のβ-1,3グルカンなどの食物繊維を意味する。
【0047】
「栄養補助酵母」とは、非活性酵母または酵母自己消化物を意味する。酵母自己消化物は、可溶性画分と不溶性画分を分離することなく、酵母細胞の全ての出発材料を含有している。自己消化は、酵母自体の内因性酵素によって、酵母細胞を分解させる。酵母の自己消化は、制御条件下で、特に当業者によって容易に決定され得る温度、pHおよび時間などの項目下で実施される。本発明による食品に使用可能な酵母自己消化物は、好ましくは、酵母βグルカン中に9質量%〜18質量%含有する。
【0048】
発明の詳細な説明
豆果を原料とした膨化押出加工物を製造するための技術上および実用上の制約は、2つの個別のカテゴリーに分類される。第1のカテゴリーは、押出加工プロセス自体のパラメーターに関する。これらは制御可能な物理的/構造的要因であって、例えば、押出加工供給原料の水分含量および粒子サイズ、バレル温度および圧力、ならびに滞留時間であり、押出加工物の質属性、例えば、膨化率、栄養価、密度、色、水溶性/吸収、およびそのテクスチャー上の特性などに直接影響を及ぼすものである。第2のカテゴリーは、機能性食品添加物を加える豆果微粉および/または粉末ならびに豆果を原料とした微粉および/または粉末の使用に関し、最終的な押出加工物の健康上、官能評価上およびテクスチャー上の特徴と外観に直接影響を及ぼすものである。上で同定した問題に対して適切に対処し、解決することができれば、食用豆を使用して、非常に栄養の高い、健康によく、便利ですぐに食べることができる、膨化押出加工および共押出加工製品を作製することができる。
【0049】
本発明の実施形態は、栄養補助酵母を含有する一様に高度に膨化された、サクサク感があり、おいしく保存安定性のある押出加工物が得られるように押出加工豆果微粉および/または粉末に適用される、特定の押出加工処理パラメーターについて記載する。栄養補助酵母は、タンパク質、食物繊維、ビタミンおよびミネラルの優れた供給源である。これは、タンパク質、食物繊維、ビタミンおよびミネラルに加えて、さらなる機能性および有益な構成成分、例えば、β-1,3グルカン、トレハロース、マンナンおよびグルタチオンなどを含有する。試験からは、これらの構成成分が潜在的な健康上の利益、例えば、免疫応答の改善、コレステロールの低減、および抗癌特性を有することが示された。食物繊維は、典型的に、水溶性または水不溶性のいずれかに分類される植物由来の難消化性複合炭水化物を示す。しかし、本発明の実施形態によれば、難消化性炭水化物はまた、栄養補助酵母などの微生物源から抽出されてもよい。本発明の一実施形態は、栄養補助酵母(NY)と、場合によりクロムで強化されている、6以上の一定の膨化率を示す食用豆を原料とした押出加工スナックである。酵母は、2〜20重量%、好ましくは12〜20重量%の濃度で押出加工豆果を含む配合物中に存在する。クロムは、1.16ppm〜6ppmの濃度で添加することができる。クロムは、好ましくは、塩化クロムまたはピコリン酸クロムである。一実施形態において、塩化クロムは、非活性化酵母と塩化クロムの混合物(Cr-Y)の形態で食品に組み込まれる。塩化クロムは、酵母の増殖の最後に、例えば、酵母を乾燥させる工程の前または後に、酵母と混合する。好ましい実施形態は、クロムを乾燥工程の前に酵母と混合した、非活性化酵母と塩化クロムの混合物の形態での組成物への塩化クロムの組み込みである。Table 1(表1)〜Table 7(表9)は、これらの強化されたスナックの分析と消化を示す。
【0050】
さらなる実施形態は、添加剤ならびに/あるいは植物源および動物源由来の食品成分、例えば、限定するものではないが、シリアル、豆果および乳製品タンパク質;特殊デンプン;果実、野菜および穀物を原料とした繊維;微生物を原料とした成分、例えば、タンパク質、食物繊維、ビタミンおよびミネラル;乳化剤をはじめとするテクスチャーおよび風味改良剤;着色剤、水溶性および油溶性ビタミンおよびミネラル、ならびに特定の比率で混合されているスパイスを含有する篩分けした配合物の使用であり、それによって、様々な形状や大きさの、市販品タイプで、非常に栄養の高い、便利で魅力的な膨化スナックおよび朝食用シリアルタイプ製品が得られる。
【0051】
本発明の別の実施形態は、異なる形状およびサイズの、限定するものではないがベーカリー製品、菓子製品および栄養補助食品の成分としての膨化押出加工物の使用である。得ることができる形状は、当業者が所望する形状と一致し、例えば、バー状、棒状、球状、カール状および様々なサイズの他の形状である。
【0052】
利用可能な、豆果および/または粉末ならびにその豆果を原料とした微粉としては、限定するものではないが、インゲンマメ(Phaseolus spp.)、レンズマメ(Lens culinaris)、エンドウマメ(Pisum spp.)、ヒヨコマメ(chickpea、garbanzo)(Cicer arietinum)、ダイズ(Glycine max)、ソラマメ(Vicia faba)、ササゲマメ(dry cowpea、black-eyed pea)(Vigna sinensis; Dolichos sinensis)、キマメ、コンゴマメ(cajan pea、Congo bean)(Cajanus cajan)、バンバラマメ(bambara groundnut、earth pea)(Voandzeia subterranea)、春/通年カラスノエンドウ(Vicia saliva)、ルピンマメ(Lupinus spp.)、およびマイナーな食用豆/例えば、フジマメ、ヒヤシンスマメ(Lablab purpureus)、タチナタマメ(Canavalia ensiformis)、ナタマメ(Canavalia gladiata)、シカクマメ(Psophocarpus teragonolobus)、ハッショウマメ、ムクナマメ(Mucuna pruriens var. utilis)、ヤムビーン(Pachyrrizus erosus);グアーマメ(Cyamopsis tetragonoloba)をはじめとする食用豆が挙げられる。
【0053】
さらに、未加工の豆果種子を利用することができ、前記種子は、単独または組み合わせの、全体、裂皮または除皮されているものである。
【0054】
本発明のさらなる実施形態は、調味料、コーティング剤または着色剤の使用である。利用できる調味料またはコーティング剤は当業者が日常的に入手できるものを含み、固体、ペーストまたは液体、ならびに天然または合成の調味料の製剤が挙げられる。押出加工物の色は、当業者が容易に入手できる天然または合成の着色剤を使用して強調または変更させることができる。
【0055】
さらなる実施形態は、特に肥満症および/または高コレステロール血症の治療における薬剤として使用するための栄養補助酵母で強化されている、6以上の一定の膨化率を有する押出加工豆果を含む食品である。さらなる実施形態では、食品のタンパク質消化率を増加させ、かつ/または食品の血糖指数を低減させるための酵母自己消化物で強化されている、6以上の一定の膨化率を有する押出加工加工豆果の使用である。
【0056】
別の実施形態は、肥満症、特に腹膜後方脂肪の蓄積を治療するための本発明のスナックの使用である。高血糖指数治療食を摂取すると腹部脂肪過多を増加させる、Nut. Res.、30巻(2号)、141〜150頁。6以上の一定の膨化値率、栄養補助酵母およびクロムを含む豆果配合物は、血糖指数が低くタンパク質消化率が高いスナック組成物を提供する(タンパク質消化率についてはTable 5(表7)を参照されたい)。NYと最大6ppmのCr-Yで強化されている、レンズマメを原料とした押出加工微粉を添加した標準マウス治療食を給餌した遺伝性肥満マウス(ob/ob)は、より少量のCr-Yまたはピコリン酸Cr由来のCrを含有する治療食のob/obマウスよりも体重が少なくなった。試験の全期間:21週(
図15を参照、OA:Table 1(表1)、第一配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した肥満マウス;OB:非活性化酵母とクロムを含む製品Lynside(登録商標)Forte Cr2000によって提供される1.25ppmのクロムを含有する、Table 1(表1)、第二配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した肥満マウス;OC:非活性化酵母とクロムを含む製品Lynside(登録商標)Forte Cr2000によって提供される5.36ppmのクロムを含有する、Table 1(表1)、第二配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した肥満マウス;OD:ピコリン酸クロムによって提供される17.9ppmのクロムを含有する治療食を給餌した肥満マウス;NA:Table 1(表1)、第一配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した正常マウス;NB:非活性化酵母とクロムを含む製品Lynside(登録商標)Forte Cr2000によって提供される1.25ppmのクロムを含有する、Table 1(表1)、第二配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した正常マウス;NC:非活性化酵母とクロムを含む製品Lynside(登録商標)Forte Cr2000によって提供される5.36ppmのクロムを含有する、Table 1(表1)、第二配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した正常マウス;ND:ピコリン酸クロムによって提供される17.9ppmのクロムを含有する治療食を給餌した正常マウス);および
図16、OA:Table 1(表1)、第一配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した肥満マウス;OB:非活性化酵母とクロムを含む製品Lynside(登録商標)Forte Cr2000によって提供される1.25ppmのクロムを含有する、Table 1(表1)、第二配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した肥満マウス;OC:非活性化酵母とクロムを含む製品Lynside(登録商標)Forte Cr2000によって提供される5.36ppmのクロムを含有する、Table 1(表1)、第二配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した肥満マウス;OD:ピコリン酸クロムによって提供される17.9ppmのクロムを含有する治療食を給餌した肥満マウス;NA:Table 1(表1)、第一配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した正常マウス;NB:非活性化酵母とクロムを含む製品Lynside(登録商標)Forte Cr2000によって提供される1.25ppmのクロムを含有する、Table 1(表1)、第二配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した正常マウス;NC:非活性化酵母とクロムを含む製品Lynside(登録商標)Forte Cr2000によって提供される5.36ppmのクロムを含有する、Table 1(表1)、第二配合に示す、レンズマメを原料とした配合物から作製したスナックを含有する治療食を給餌した正常マウス;ND:ピコリン酸クロムによって提供される17.9ppmのクロムを含有する治療食を給餌した正常マウス。
【0057】
押出加工プロセス-物理的要因
膨化
膨化とは、高温高圧下で、溶融された微粉(または「溶融物」)が周囲温度および圧力に急に暴露された際に観察される物理的変換に関する。溶融物がエクストルーダーのダイから排出される際、温度および圧力の急激な低下は溶融された微粉にほぼ瞬間的に膨化を引き起こし、これはまた、大規模な瞬間蒸発または押出加工製品からの水分の損失を伴う。押出加工物の膨化は、スナック食品産業における最も重要な興味深い特徴の一つである。(Mercierら、1989年)。豆果の微粉は十分に膨化しないという概念があるため、豆果の膨化特徴に関する情報には限りがある。このため、豆果微粉および/または粉末は膨化スナックの製造に使用されておらず、このタイプの製品は、主として穀物(例えば、トウモロコシ、コムギ、およびコメ)のみから作製されており、それらのデンプンを原料とした微粉は20を超える値が得られている(Colonnaら、1989年;Meuserら、1894年;BarretおよびKaletunc、1998年)。デンプンを加えた大豆タンパク質もこの目的において使用されてきているが、主にペットフードの製作に使用されている。膨化は、供給原料の水分含量、ダイ温度および圧力に直接関係している。さらに、供給原料の粒子サイズおよびエクストルーダーのスクリュー速度(Conway、1971年)、ならびに配合物中の特定の食品成分の存在は、最終的な押出加工物の膨化やテクスチャーに重大な影響を及ぼす。上記押出加工プロセスのパラメーターと成分を適切に選択することにより、最終製品における望ましい膨化、テクスチャー、栄養価、色および保存安定性を得ることができる。以下に、これが本発明の実施形態によってどのように達成されるかについて論じる。
【0058】
本発明の実施形態によれば、6以上の膨化率を有する、高膨化豆果製品と同様に、本豆果製品も膨化率に関して一定である。一定の膨化率(UER)は一定のテクスチャーをもたらし、そのテクスチャーは食品、具体的には添加するさらなるコーティング剤や調味料を有し得るこれらの製品において、重要かつ望ましい特色である。さらに、一定の膨化率は、押出加工豆果製品の各バッチ処理でのテクスチャーに一貫性があることを確実にする。Table 1(表1)は、本発明の実施形態によって達成することができる一定の膨化率を示す。
【0069】
押出加工物膨化における供給原料の水分含量、ダイ温度および圧力の影響
適切な調理を可能にし、押出加工物の膨化を促すのに一定の水分量が必要である(Chen etら 1991年、GujskaおよびKhan、1990年、Balandranら、1998年)。本発明者らは、レンズマメ、エンドウマメおよびヒヨコマメの押出加工物の膨化特徴、例えば、直径および膨化比における水分およびダイ温度の影響を決定した。
図1および
図2に観察されるように、レンズマメ押出加工物の直径および膨化率は、ダイ温度に正比例し、供給原料の水分に反比例する。エンドウマメおよびヒヨコマメの押出加工物についても、同様の膨化パターンが観察された。さらに、サーフェイス応答グラフは、供給原料の水分が28から20%に低下した際、押出加工物は有意に膨化し(p≦0.05)、直径および膨化比の値に関して、それぞれ約8および16であったことを示している。押出加工ササゲマメ粉餌については0.91〜1.89の膨化率が報告されており(Phillipsら、1984年)、コメ/ヒヨコマメ混合物については3.8が報告されており(BhattacharyaおよびPrakash、1994年)、押出加工小白豆については1.34〜5.78が報告されており(Edwardsら、1994年)、脱脂ダイズ粉/サツマイモ混合物については1.45〜1.60(Iwe、2000年)が報告されており、トウモロコシ/ダイズ混合物については1.3〜3.6が報告されている(Veronicaら、2006年)が、これらの値は本発明者らの試験で得られた値に対して有意に小さい。
【0070】
典型的には乾燥ベースで4〜6%の低水分含量での押出加工物の適切な膨化は、すぐに食べられるスナックや朝食用シリアルタイプ製品の製造に望ましい。さらなる乾燥は、最終的な膨化押出加工製品の保存安定性を維持しつつ、適切なテクスチャーを達成するために水分のより多い押出加工物の上記レベルまで水分を高めるために必要となり得る。
【0071】
エクストルーダーの圧力は、ダイの先細の機能によるものであり、温度は、エクストルーダーバレルの長さに沿って上昇し、圧縮は、スクリューによって引き起こされる。圧力は、食用豆を原料とした微粉がエクストルーダーに供給され、水および他の添加剤と混合され可塑化されたドウになる際に生じ、ドウは、エクストルーダーの外部から加熱されたバレル部に沿って高速で移動しながら、徐々に調理される。水分および温度の組み合わせ効果によって引き起こされる蒸気の形成は、ダイ圧力に直接影響を及ぼす。押出加工の際にの製品に対する圧力の重要な役割は、溶融物の質量の粘度に対する直接的な影響である。
図3に示すサーフェイス応答プロットは、圧力が、レンズマメ押出加工物の直径および膨化率として、ダイ温度に正比例し供給原料水分に反比例することを実証している。3,200〜4,400キロパスカルの観察値は、押出加工小白豆について報告されているダイ圧力値の2,620〜7,860キロパスカルの範囲内にある(Edwardら、1994年)。しかし、最新の研究では、ダイ圧力に関する最も大きな値にもかかわらず、彼らの報告した1.34〜5.78の膨化率は、本発明者らの試験で得られた5〜16よりも有意に低かった。これは、他のうちの水分と温度の特定の処理条件が豆果を原料とした押出加工物の膨化を最適化するために重要であることを示唆している。さらに、圧力の上昇と圧力の安定性は、適切なエクストルーダー操作を示す。従って、オペレーターは、エクストルーダーの効果的な操作を決定し、モニタリングするために、圧力計を利用してもよい。
【0072】
豆果押出加工物の近似組成に関する押出加工処理パラメーターの影響
レンズマメ微粉の近似組成に関する160および180℃のダイ温度と28、24および20%の水分添加の押出加工処理パラメーターの影響を
図4に示す。水分含量の最大の減少を、試験した押出加工ダイの両温度下での最大水分添加で観察した。28〜20%の範囲で水分を添加した押出加工レンズマメ微粉は、対照微粉と比較すると、160および180℃のダイ温度での水分含量において、それぞれ55.51%と59.69%の有意な(P≦0.05)減少を示した。すなわち、押出加工物の水分含量は、ダイ温度上昇ならびに供給原料の水分の削減により減少した。より高い溶融温度は、溶融物中に存在する水分に基づくより高い蒸気圧に対応する。溶解物がダイから出て来る際、溶解物と大気圧の蒸気圧の差はより大きくなり、従って、水蒸気の瞬間蒸発に関連して増大し、冷却の際の押出加工物の水分含量が減少する。この現象は、押出加工物の押出加工後の乾燥を避けることができるので、有用である。供給原料の水分の使用と同様に、(石油エーテルで抽出した)粗脂質は、対照微粉の場合よりも押出加工レンズマメ微粉に関して有意に(P≦0.05)低いことが示された。
【0073】
水分含量はまた、押出加工物中の栄養成分、例えば、タンパク質および灰分の濃度に影響を及ぼす。28〜20%の範囲の水分を添加して押出加工したレンズマメは、それぞれ、160および180℃のエクストルーダーのダイ温度で11.46および12.71%の粗タンパク質値を実証した。一般的には、粗タンパク質含量の値の増加は、ダイ温度に間接的に比例し、供給原料の水分に正比例した。総灰分(ミネラル)の値は、押出加工物中の水分含量の減少と加工のダイ温度の上昇に伴ってわずかな増加のみを示した。近似組成値における同様のパターンが、エンドウマメおよびヒヨコマメの押出加工物で観察された。これは、試験した水分および温度の押出加工処理パラメーターが、最終的な押出加工物の栄養組成値に直接影響を及ぼすことを示唆した。差異によって計算された総炭水化物値は、分析した栄養素の近似組成値に対して46.83〜67.33%で変化することにより変動した。
【0074】
水分含量と水分活性
溶融物の水分含量は、エクストルーダーから排出される際の押出加工物の膨化がどの程度であるかと最終製品の保存寿命の両方に関連しているため、重要である。さらに、押出加工製品の水分含量は、製品の保存寿命ならびに消費者による受容の両方に効果を及ぼすため、重要である。
【0075】
水分活性(a
w)は、物理的特性、微生物の増殖および劣化的反応の速度に関する食品および食品成分の安定性を予測する。最近では、食品中の酵素およびビタミンの活性を決定する上で有意な役割を果たしており、しかも、食品の色、味、および芳香に大きな影響を及ぼし得る。従って、a
wの制御は、低a
wは保存下での食品材料の安定性を示す(保存寿命を延ばす)ので、むしろ含水量よりも、食品産業において非常に重要である。さらに、a
wは、食品材料におけるテクスチャー上の特徴、例えば、サクサク感およびパリパリ感(例えば、約a
w≧0.65を消失する朝食用シリアルおよび膨化スナックを「噛み砕く」ことにより生じる音)などに大きな変化をもたらす。一般に、加工食品は、水分含量が約15%の0.72〜0.80のa
wを有し、乾燥食品では水分含量が約5%のa
w≦0.4を有する。微生物の増殖の絶対限界は約a
w=0.6である。
【0076】
ほとんどの市販のシリアルを原料とした押出加工スナックはa
w≦0.4である4〜6%の範囲の最終水分含量を有する。しかし、豆果押出加工物を用いた本発明者らの試験では、水分含量が9〜11%の押出加工物は、保存安定性のある製品の範囲内である、0.30〜0.44の範囲のa
wを有していることを本発明者らは見出した。押出加工物は保存安定性を維持し、良好なテクスチャー(ドライ感とサクサク感)を有し、最大1年間、外観を保った。
【0077】
図5は、20〜28%の範囲の供給原料の水分含量の変化に伴ってa
wが0.30〜0.36の範囲で変動したことを示した。供給原料の水分が増加するにつれて、a
w値も大幅に増加した。20%の供給原料の最低水分含量では、a
wは試験下でダイ温度の影響を受けないままであった。供給原料の水分の影響は、得られた押出加工物の水分活性に関してダイ温度よりもより顕著であった。
【0078】
押出加工豆果のタンパク質消化率
植物を原料とした食品において、豆果はタンパク質含有量が比較的高い。高い押出加工調理温度へタンパク質を暴露すると、タンパク質構造における変性および他の変化、ならびに/あるいはタンパク質-タンパク質相互作用への変性および他の変化を引き起こし得る(Stanley、1989年;Phillips、1988年;Liら、2000年)。食品として消費する際、タンパク質構造におけるこれらの物理的変化によって、タンパク質がより消化しやすくなる。押出加工の調理温度、時間および圧力は、タンパク質の変性プロセスに重要な役割を果たしている。
【0079】
レンズマメ、エンドウマメおよびヒヨコマメに関する対照(非押出加工)サンプルのin vitroでのタンパク質消化率の値は、それぞれ、80.69、79.86、および75.63%であった。
図6は、3種の押出加工豆果のin vitroでのタンパク質消化率の結果を示す。一般に、高温短時間での押出加工プロセスに高タンパク質豆果微粉を暴露すると、得られた押出加工物のin vitroでのタンパク質消化率が改善されることが実証された。さらに、水分添加の押出加工パラメーターは、本試験の条件下での押出加工豆果微粉のin vitroでのタンパク質消化率を増加させる際の温度よりも有意な(P≦0.05)効果があった。エンドウマメ押出加工物はin vitroでのタンパク質消化率でより高い値を示し、レンズマメとヒヨコマメ押出加工物が続いた。
【0080】
押出加工物の色に対する押出加工処理パラメーターの影響
押出加工調理の影響の一つは、レンズマメ押出加工物の色の変化である。例えば、
図7は、押出加工処理条件、例えば水分および温度がスナックタイプの製品に関連する望ましい色の変化を生じさせることを示している。明度(L
*)は食品の受容性を評価するために使用される色の尺度である。
図7は、レンズマメ押出加工物のL
*がダイ温度および供給原料の水分レベルの影響を受け、後者の要因は、前者よりも影響が大きかったことを示している。供給原料の水分が高くなるにつれて、押出加工物のL
*は評価した全てのダイ温度で同様であった。20%の最低の供給原料の水分および180℃の最高ダイ温度に暴露したレンズマメ押出加工物は、最低のL
*値を示した。20%の低い処理水分は押出加工の際に溶融物の摩擦を高めた可能性があり、180℃の高い押出加工温度は、色素の酸化を促進した可能性がある。低水分と高温のこの組み合わせ処理の影響が、最終的な押出加工物で観察された変色の原因であると考えられる。
【0081】
色指数(ΔΕ)は、サンプルと対照の間の全色差の評価であるか、あるいは色パラメーターL
*ab
*を考慮に入れた基準である。ΔΕは色差の大きさを示すが、着色剤がどのように違うかを示すものではない。応答サーフェイスグラフ(
図8)は、ΔΕが最大約24〜25%の供給原料の水分の温度上昇に伴って増加し、その後減少したことを示している。全体的に、ダイ温度の影響は、試験下での供給原料の水分範囲よりもΔΕに対してより優勢であった。
【0082】
比機械的エネルギー(SME)
比機械的エネルギー(SME)は、押出加工食用豆の加工で発生するエネルギーの量を反映している。供給原料の水分含量およびダイ温度の影響としてのSMEのサーフェイスプロットは、供給原料の水分が28から20%に低減するにつれて、押出加工の際に豆果を原料とした材料によって起こる高い摩擦と剪断力の結果で可能である、比機械的エネルギーが増加した(
図9)。さらに、SMEの増加は、より高い温度でより顕著であった。逆に、より低いエネルギー入力は、供給原料のより高い水分とより低い温度で観察された。
【0083】
粒子サイズおよびエクストルーダーのスクリュー速度
豆果の膨化における粒子サイズおよびエクストルーダーのスクリュー速度の影響を評価するため、クロマメを0.85、1.15、1.53および2.28mmのステンレス鋼篩を備えたハンマーミル(Hammer Mill)とピンミル(Pin Mill)を使用して製粉し、様々な粒子サイズの豆粉を製造した。ピンミルによって、超微細粉を製造した。微粉を処理するために使用したエクストルーダーのスクリュー速度は400、450および500rpmであり、ダイ温度は160℃であった。微粉は25kgh
-1の速度でエクストルーダーの供給口に計量供給し、調整可能なピストンポンプ(Model P5-120、Bran and Luebbe、Wheeling、IL)を用いて水をエクストルーダーに供給し、18%(wwb)の最終的な供給原料の水分含量を得た。
【0084】
Table 11(表11)は、試験した様々な粒子サイズおよびスクリュー速度の下で押出加工した豆粉のトルク(パーセント)と膨化率に関して平均値とそれらの対応する標準偏差をまとめたものである。様々な粒子サイズで評価した、トルク(パーセント)と膨化率は、スクリュー速度の増加に伴って増加した。押出加工材料のより大きな膨化はパリパリ感に関係しているので、それはスナックやすぐに食べられる(RTE)食品の製作における望ましい属性と考えられる。500rpmで押出加工された超微細粉のピンミル粉はこの試験でより大きな膨張を示し、それは6.74±0.86の膨化率を表した。
【0086】
豆果押出加工物の形状および特性における切断速度の影響
カッター刃速度の変化によって、異なる形状の押出加工物を製造した。約500rpmのカッター速度では、押出加工物は円筒形ロッドの形態であったが、約2,000rpmのより高速では、ボール形態または球状の製品であった(
図10)。開示された切断速度で実証した形状を考慮に入れれば、当業者は速度を操作して様々な所望の形状を得ることができる。押出加工物のいくつかの物理化学的特性におけるカッター速度の影響をTable 12(表12)に示す。
【0087】
ロッドおよびボールの形態の押出加工物の味検査は、それらの官能特質を比較するために実施した。結果をTable 13(表13)に示した。2種類の押出加工製品について評価した官能特質は、相互に有意差がなかったことが観察された。製品の様々な形状にもかかわらず、パネリストは両製品に対して風味、色、テクスチャーおよび味に同様のスコアをつけ、同等に受容され得ると考えられることを示した。
【0090】
(実施例)
(実施例1)
スクリュー速度およびデンプン源の影響
除皮レッドチーフレンズマメ(Decorticated Red Chief lentils(Lens culinaris L.))は、Moscow Idaho Seed Co.、Moscow、IDから取得した。粉砕前に、各ロットの種子は均一なロットになるまで混合した。微粉を製造するため、ホモゲナイズしたレンズマメを、1mmスクリーンを用いてハンマーミルで粉砕した。このレンズマメ微粉をリンゴ繊維、高アミローストウモロコシデンプンおよび調味料成分と混合した(Table 14(表14))。
【0091】
Clextral Evolum HT 32H二軸スクリュー押出加工システム(Clextral-Bivis、Firminy Cedex、France)をこの試験で使用した。エクストルーダーの6つのバレル部用の加熱プロファイルは、それぞれ、15、80、100、120、140および160℃であった。微粉は、25kg/hの速度で、二軸スクリュー、重量損失式の質量計量供給機(Model LWFD5-20、K-Tron Corporation、Pitman、NJ)によりエクストルーダー供給口に供給され、エクストルーダーは、500、600および700rpmの3つのスクリュー速度で運転された。水は、調整可能なピストンポンプ(Model P5-120、Bran and Luebbe、Wheeling、IL)によってエクストルーダーへ加え、押出加工の際に供給原料の水分含量を15%(wwb)にした。トルクと温度の処理条件が定常状態である際、2つの直径3mmのサーキュラーダイから出てくる押出加工物を、5分間収集した。
【0093】
ロッドまたは微粉の形態の押出加工物を使用して、製品の様々な物理的特徴におけるスクリュー速度およびデンプン源の影響を評価した。
【0094】
(EI)。±0.01mmの精度のデジタルキャリパーを使用して、押出加工物が周囲温度に達した際の押出加工物の断面直径(mm)を測定した。同一部のランダムプロファイルについて20回測定しその平均値を記録した。押出加工物の断面積とダイオリフィスの面積の比として表す膨化指数を算出した。
【0095】
製品密度(D)。押出加工物の10ピースの質量を±0.0001gの精度で測定した。サンプルの長さと平均直径は、デジタルキャリパーで測定した。この試験において、円筒形状であると仮定した押出加工物の密度は、次式:
【0097】
により算出した。式中、Dは、押出加工物の密度(kg/m3)であり;Mは、押出加工物の質量(g)であり;hは、押出加工物の長さ(mm)であり;dは、押出加工物の3つの測定値から得た平均直径(mm)である。
【0098】
水溶解指数(WSI)および吸水指数(WAI)は、わずかな改良を加えた、Jinら(1995年)によって記載されている方法を用いて決定した。押出加工物は、0.5mmのスクリーンを備えたUdyサイクロンミル(Fort Collins, CO)を通して粉砕した。2グラムのサンプルを25℃で20mLの蒸留水に分散させた。加重遠心チューブに入れた懸濁液を、5秒間ボルテックスミキサーで激しく撹拌した。次いで、チューブを10分間静置し、5分毎に5秒間撹拌した。懸濁液を3000×gで10分間遠心分離した後、上清中の固形分を決定し、沈殿物を計量するためにデカントした。WSI(%)およびWAI(%)は、次のように算出した。
WSI(%)=100×(上清中の溶解固形物の重量)/(乾燥固形物の重量)
WAI(%)=100×(沈殿物の重量)/(乾燥固形物の重量)
【0099】
高速粘度分析(Rapid viscosity analysis(RVA))。RVAの結果は、デンプンの分子量と構造を反映する、時間-温度プロファイルに対する粘度の変化を示す。レッドチーフレンズマメ微粉と4種類のデンプンに対するRVAは、サンプル3.00g(d.b)を25.00gの蒸留水に完全に溶解させた後、ラピッドビスコアナライザー(Rapid Visco-Analyser(RVA3d、Newport Scientific、Sydney、Australia))により実施した。全てのサンプルを以下に記載した時間-温度プロファイルに供した。サンプルをまず2分間50℃で平衡に保った後、9分以内に95℃に上げ、15分間95℃で保持した。次に、サンプルを9分以内に50℃まで冷却し、10分間50℃に保持した。サンプルの粘度は高速粘度単位(RVU)として表した。
【0100】
粘度の変化を記載するのに有用であったパラメーターは、測定中に記録した。ピーク粘度とピーク時間は、それぞれ、ペースト中の最大粘度と、ピーク粘度が出現する時間を示す。強度の保持と粘度の低下は、それぞれ、ピーク粘度後の粘度の保持と、ペースト中のピーク粘度と最小粘度の差を示した。セットバックとは、冷却中の最大粘度とペースト中の最低粘度の差を示した。そして最終粘度は、RVAラン(45分)の最後に懸濁液の粘度を示した。全ての測定は3回繰り返して行った。
【0101】
テクスチャー分析。TA-XT2テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems、Surrey、England)を使用して、周囲温度で長さが10mmの円筒形押出加工物サンプルのテクスチャーを測定した。直径50mmのアルミニウムシリンダープローブを使用し、0.5mm/秒の速度で元の長さの50%まで装填フレームに固定されている平板にサンプルをプレスした。対応する力-時間曲線は、同時に記録し、コンピュータプログラム(Texture Expert Exceed、Stable Micro Systems、Surrey、England)により分析した。力はグラムで記録し、硬度および強度を計算するためにニュートンに変換した。サンプルの硬度は、圧縮力のピーク値として定義した。サンプル強度は次式:
【0103】
により算出した。式中、Sは強度(N.mm
-2)であり、A
cは時間-力曲線下の面積であり(N.t)、A
pは押出加工物の元の全体の断面積(mm
-2)であり、tはプローブが押出化合物を圧縮している時間である。この計算を完了するよう十回繰り返して実施した。
【0104】
統計分析。平均値、標準偏差および相関に関する全ての値は、Microsoft Excelソフトウェア(バージョン2002)を用いて計算した。試験した物理的パラメーター間の相関関係は、デンプン添加の有無による押出加工物のプール値から得た。ANOVAの決定は、5%の有意水準でSAS8.1ソフトウェア(SAS、1999)を用いて行った。
【0105】
押出加工物の物理化学的特性におけるデンプンおよび繊維の影響: 600rpmのエクストルーダーのスクリュー速度で加工した、対照レンズマメ押出加工物、ならびに、デンプン源を含有または非含有する、リンゴ繊維および調味料成分を添加したそれらレンズマメ押出加工物の膨化、テクスチャーおよび水和特性を
図11(A〜F)に示す。これまでの試験(未報告)に基づき、本発明者らは、本試験で使用される濃度での調味料成分の塩および糖の影響は、豆果押出加工物の物理化学的特性に大きな影響を及ぼさないことを決定した。レンズマメ配合物におけるこれらの包含は、市販のスナックタイプ製品の製作における標準的な実施であると考えられた。従って、以下の論述では、試験したレンズマメ押出加工物の物理化学的性質にこれらの成分の影響を考慮しない。
【0106】
膨化:
図11Aは、この試験において繊維の添加が有意に(P<0.05)EIに影響することを示した。リンゴ繊維を添加しないレンズマメ押出加工物のEIは30.7であった。リンゴ繊維を添加したレンズマメ押出加工物のEIはわずかに6.6であった。一方、様々なデンプン源を加えて配合したレンズマメ押出加工物のEIは6.6〜8.2の範囲であった。このことは、これらの繊維の添加が、評価した全てのデンプン源よりもレンズマメ押出加工物のEIに対して非常に有意な(P<0.05)影響を及ぼすことを示した。レンズマメ押出加工物のEIに対する繊維の不利益な影響は、繊維がドウ中のデンプン含量を減少させたという事実に起因している可能性がある。
【0107】
高アミローストウモロコシデンプン(ハイロンV(Hylon V))を加えたレンズマメ押出加工物のEIは、ジャガイモデンプン源を加えたレンズマメ押出加工物よりもわずかに高かった。ジャガイモ微粉のEIは同一押出加工条件で加工したトウモロコシ微粉よりも低かったことが既に報告されている(Onwulataら、2001b)。これは、以下のように説明することができる:(1)ジャガイモデンプンの糊化温度(56〜66℃)は、トウモロコシデンプンの糊化温度(62〜72℃)よりも低いことが知られている;比較的低い糊化温度は、ジャガイモデンプンが押出加工中に高い溶融粘度と早期溶融を示すことを意味する(Della Valleら 1995年;Sighら、2002年);(2)ジャガイモデンプンは、比較的高い初期粘度(Eerlingenら、1997年)と押出加工中の低い膨化にも結びつく複数のリン酸架橋結合をアミロペクチン中に有する。
【0108】
密度:リンゴ繊維を添加しないレンズマメ押出加工物の密度は、リンゴ繊維を加えたレンズマメ押出加工物よりも有意に(P<0.05)小さかった。リンゴ繊維とデンプンを加えたレンズマメ押出加工物のうち、高アミローストウモロコシデンプン(ハイロンV)を加えたものが最も小さい密度を有しており、続いて改良ジャガイモデンプン(PB800)を加えたものであった。最も高い密度は、PP40、PC10を加えたレンズマメ押出加工物と、デンプン添加なしのレンズマメ押出加工物で観察された(
図11B)。
【0109】
硬度および強度:
図1Cと
図1Dに示すように、押出加工レンズマメの対照サンプルに関する硬度および強度は、リンゴ繊維は添加するがデンプンは添加しないレンズマメ押出加工物よりも有意に(P<0.05)低かった。また、押出加工レンズマメの対照は、リンゴ繊維とデンプンを添加したレンズマメ押出加工物よりも有意に(P<0.05)低かった。リンゴ繊維とデンプンを添加したレンズマメ押出加工物のうち、硬度および強度の最低値と最高値は、それぞれ、ハイロンVとPC10を添加したものであった。さらに、PP40およびPB800デンプンを添加したレンズマメ押出加工物、またはデンプン添加なしのレンズマメ押出加工物については、硬度と強度のいずれにも有意な(p<0.05)差は観察されなかった。このことは、デンプン源およびデンプンのタイプが最終的な押出加工物の硬度および強度に有意な影響を及ぼすことを実証している。また、ジャガイモデンプンを添加した押出加工物は、高アミローストウモロコシデンプン(ハイロンV)を加えた押出加工物に比べてより強い(より固い)テクスチャーを示すことも示唆した。
【0110】
押出加工物の水和特性:
図11Eは、押出加工レンズマメの対照サンプルに関するWAIおよびWSIが有意に(P<0.05)異なり、かつ逆に関連していることを示した。リンゴ繊維は添加するが、デンプンは添加しないレンズマメ押出加工物に関するWAIおよびWSIは類似していた。しかし、リンゴ繊維とデンプンを添加したレンズマメ押出加工物に関するWAIはそれらの中で著しく変動し、これらの押出加工物のWAIの値に逆に関連していた。押出加工レンズマメの対照とハイロンVデンプンを加えたものは最も高いWAIの値を示し、一方、PC10デンプンを加えた押出加工物は最も高いWSIの値を示した。
【0111】
デンプン微粉およびレンズマメ微粉の特性:Table 15(表15)は、トウモロコシおよびジャガイモデンプンを配合したレンズマメ押出加工物ならびにレンズマメ微粉を押出加工した対照に関するRVAおよび水和特性を示す。Table 15(表15)に示すように、PP40(α化ジャガイモデンプン)およびPCIO(天然ジャガイモデンプン)を配合した押出加工レンズマメ微粉は、他のデンプン源を配合したものおよび対照より、ピーク粘度、強度保持、ブレークダウンおよび最終粘度およびセットバックにおいて有意に(P<0.05)最も高い値を示した。さらに、ハイロンV(高アミローストウモロコシデンプン)を配合した押出加工レンズマメ微粉は、試験したデンプンのRVAパラメーターの最も低い値を有意に(P<0.05)示した。
【0113】
Table 15(表15)はまた、異なるデンプン源がレンズマメを原料とした押出加工物のWAIおよびWSIに顕著な影響を及ぼしたことも示す。PP40デンプンを配合した押出加工レンズマメ微粉においてWAIの最も高い値が観察され、レンズマメ微粉において最も低い値が観察された。WSIに関しては、最も高い(P<0.05)値は、押出加工レンズマメ微粉において観察された。様々なデンプンを配合した押出加工レンズマメ微粉は、それ自体の中では有意な(P<0.05)差はなかった。
【0114】
試験したレンズマメ押出加工物の他の物理的パラメーターとRVAおよび水和特性の相関をTable 16(表16)に示す。RVAパラメーターのうち、セットバックは膨化と有意な負相関があり、押出加工物の密度と正相関があった。他の全てのサンプルにおいて押出加工物の記載した物理的特性との相関はランダムに変動し、セットバックについて前に観察したものよりも低かった。
【0116】
上記の押出加工物の物理化学的評価の結果に基づいて、本発明者らは、ハイロンVデンプンおよびリンゴ繊維を加えたレンズマメ押出加工物の物理化学的特性に対するエクストルーダーの異なるスクリュー速度の影響を決定した。
【0117】
押出加工物のスクリュー速度および物理化学的特性:ハイロンVデンプンおよびリンゴ繊維を加えたレンズマメ押出加工物の物理化学的特性に対するスクリュー速度の影響を
図12(A〜F)に示す。この特定の部では、本発明者らは、ハイロンVデンプンおよびリンゴ繊維を加えたレンズマメ押出加工物を押出加工物と呼ぶこととする。
【0118】
膨化指数:
図12Aに示すように、500rpmから600rpmまでエクストルーダーのスクリュー速度を増加させると、押出加工物の膨化指数(EI)は6.5から8.9に大幅に上昇した。しかし、スクリュー速度を600から700rpmまで増加させたときには、EIにはほとんど変化はみられなかった。EIは600rpmのスクリュー速度で最高であったにもかかわらず、これらの値は、600rpmのスクリュー速度でのデータで観察された変動により、500または700rpmでのEIの値より有意な(P<0.05)差はなかった。この観察データの変動は、押出加工物ロッドの均一性がこの特定のスクリュー速度で低下することによるものか、データ内に異常値が含まれていたことによる可能性がある。一般に、この情報は、エクストルーダーのスクリュー速度が豆果を原料とした押出加工物の膨化に影響を及ぼしたことを実証した。同様に、コーンミールを原料とした押出加工物の膨化がエクストルーダーのスクリュー速度の増加に伴って増加したスクリュー速度が報告された(Jinら、1995年)。さらに、高剪断応力(高いスクリュー速度による)は弾性を増加させ、デンプンドウの粘性を低下させたが(Della Valleら、1997年)、これはシリアル押出加工物の膨化の改善と関係している可能性がある(PadmanbhanおよびBhattacharya、1989年;Iloら、1996年)が報告された。逆に、高いスクリュー速度によって生じる高剪断応力はさらなるデンプンの分解を誘発し、デンプン押出加工物の膨化を低下させたことが報告された(Van Den Eindeら、2003年)。本発明者らの試験においては、押出加工物におけるデンプン分解は評価されなかった。しかし、スクリュー速度が600から700rpmに増加した際に押出加工物のEIが低下するということが示された事実に基づけば、高いスクリュー速度の結果として、デンプン押出加工物に関する前述の著者らによって観察されたデンプン分解の増加をどちらかといえば裏付けている。さらに、本発明者らの試験は、スクリュー速度が押出加工物の膨化を低下させる上記の好ましい膨化に制限されることを示す。
【0119】
密度:
図12Bには、スクリュー速度の増加と関連した押出加工物の密度の低下を示した。600rpmでの膨化のデータで観察された変動とは反対に、ここでのデータは非常に一定であった。これは、600rpmでの膨化データにおける変動はデータに異常値が含まれていたことによるもので、押出加工ロッドの一定性の欠如によるものではないことをどちらかといえば示している。密度の低下(
図12B)は、押出加工物の膨化において観察された増加に逆に関連していた(
図12A)。密度と膨化の同様の負の関係は、トウモロコシの押出加工物に関してOnwulataら(2001a)によっても報告された。密度と膨化のこの逆の関係は、高膨化で低密度の豆果を原料とした押出加工製品の開発ツールとして使用することができる。
【0120】
硬度および強度:
図12Cおよび12Dは、500rpmから700rpmまでのスクリュー速度の増加が押出加工物の硬度および強度の著しい低下を誘発したことを示した。様々なスクリュー速度のデータの有意性はデータの観察された変動によって影響された。さらに、この変動は500および600rpmでは700rpmよりも大きかった。測定器の感度が観察されたこの変動を誘発している可能性がある。この試験で使用した10回の繰り返しよりも多く使用することにより、これは改善される可能性があり、このことは、この測定に標準論の開発が必要であることを示唆する。
【0121】
WSIおよびWAI:膨化パラメーターで観察されたように(
図12A)、スクリュー速度が500から700rpmへ増加すると、それに伴い押出加工物のWSIが増加した(
図12E)。また、WSIにおけるこの増加は、観察されたWAIにおける減少(
図12F)および押出加工物の密度(
図12B)と逆に関連していた。これは、押出加工微粉の物理化学的組成が本加工のスクリュー速度の影響を受けたことを示す。WSIは可溶性分子の分量およびデンプンのデキストリン化に関連しているので、スクリュー速度の増加に伴ったWSIにおける増加は、スクリュー速度が500から700rpmに増加する際の押出加工物中のデンプンの主な分解に関連している可能性がある。未調理デンプンは、室温で水を吸収しない。従って、膨潤せず、その粘度は糊化調理したデンプンより有意に低い。相対的に高いWAIの値は、微粉押出加工物による水吸収とゲル形成に関連している。さらに、様々スクリュー速度で観察されたWAI値の小幅な変動は、押出加工物が、この試験のスクリュー速度と処理条件下で同等に調理されたことを示している。
【0122】
(実施例2)
膨化剤および高アミローストウモロコシデンプンの影響
水分含量がそれぞれ9.2、8.6、9.6および10.1%(wb)のレンズマメ(Lens esculenta)、ヒヨコマメ(Cicer arientinum L.)、黄色エンドウマメ(whole yellow dry peas)および剥皮黄色エンドウマメ(Pisum sativum)を、個別に均一ロットに混合し、ピンミルモデル160Z(Alpine, Co. Augsburg、Germany)を使用して微粉に粉砕した。重炭酸ナトリウム(Sigma Chemical Co. St. Louis、MO)およびデンプンハイロンV (National Starch & Chemical、Bridgewater、NJ)をそれぞれ0.4%および20%(w/w)で微粉に添加した(Table 17(表17))。大型ホバートミキサーモデルV-1401(Hobart mixer Model V-1401(The Hobart Mfg. Co.、Troy、OH))を用いて、添加成分を加えた微粉を10分間混合した後、微粉を押出加工処理した。合計で2,000lbsの豆果種子と350lbsのデンプンをこの包括的な押出加工実験に使用した。
【0124】
二軸スクリューエクストルーダー(Continua 37、Werner and Pfleiderer Corp.、Ramsey、NJ)を用いて、豆果微粉を加工した。エクストルーダーは、それぞれ長さが160mmの8つのバレル部を有していた。スクリューの直径は37mmであり、全構成のスクリューの長さは1,321mmであり、これにより全体のL/D比は35.7であった。各バレル部は、個別の熱油循環システム(Model MK4X06-TI、Mokon Div.、Protective Closures Co., Inc.、Buffalo、NY)によって加熱された。この試験で使用した加熱プロファイルは次とおりであった:それぞれ1〜8のバレル部に対応して加熱なし、60、80、100、100、120、140、および160℃。スクリューは、500rpmで操作される、11.2kWの調整可能な速度DC駆動(Model DC300、General Electric Co.、Erie、PA)により駆動した。システム全体は、プログラム可能な制御装置(Series One Plus、General Electric Co.、Charlottesville、VA)で制御した。微粉は、軽量二軸スクリュー重力供給装置(Model LWFD5-20. K-Tron Corp.、Pitman、NJ)により25kgh
-1(wwb)の速度で供給口に計量供給し、水は、供給固形分に15%(wwb)の最終水分含量が得られるように、調整可能なピストンポンプ(Model P5-120、Bran and Luebbe、Wheeling、IL)を用いてエクストルーダーに供給した。豆果微粉は、直径3.5mmの2つの円形開口を含有するダイを通して押出加工した。コンピュータは、ラボビューデータ収集システムバージョン5.0(Lab View data acquisition system version 5.0(National Instruments、Austin、TX))を使用して、合計5分間1秒間隔でエクストルーダーのパラメーターのデータを収集した。データは、トルクおよび圧力の操作条件が定常状態になった後およそ5分間収集した。
【0125】
断面直径は、エクストルーダーのダイから排出されるロッドの形態で、切断することなく、押出加工材料のランダムな2か所の位置で、mm単位でデジタルキャリパーにより測定した。20測定値の合計を各押出加工作業ごとに求め、豆果押出加工物(ロッド)の膨化率は、3.5mmのダイオリフィスの断面積で押出加工物の断面積を割ることによって計算した。測定後、押出加工材料は、20ガロンのプラスチック缶に設置された大きなプラスチック袋に回収し、室温に冷却し、秤量した後、今後のサンプル調製と分析用に冷蔵温度で保存した。
【0126】
押出加工物の直径および膨化:押出加工物の直径および膨化比の平均データをTable 18(表18)に示す。平均直径データは、平均膨化率データに正比例した。これは、膨化率の算出が押出加工物の直径の率に依存するためであった。一般に、膨化率は、裂皮エンドウマメで最も高く、ヒヨコマメ押出加工物で最も低かった。豆果押出加工物の膨化率は、次のとおりであった:裂皮エンドウマメ>全エンドウマメ>レンズマメ>ヒヨコマメ。
【0128】
豆果微粉に高アミローストウモロコシデンプンを添加すると、ヒヨコマメ、レンズマメ、全エンドウマメ、および裂皮エンドウマメ押出加工物に関して、それぞれ2.75、1.63、1.32、1.17倍で膨化率が増加した。逆に、重炭酸ナトリウムを添加すると、押出加工製品の膨化率をわずかに低下させた。
【0129】
Table 19(表19)は、ダイ温度、ダイ圧力およびトルクの押出加工処理パラメーターに対する豆果押出加工物の影響を表す。一般的に、様々な豆果ならびに膨化剤および/または高アミローストウモロコシデンプンを配合した豆果は、試験した押出加工処理パラメーターに対して顕著な一定の影響があることが観察された。また、本加工の結果で生じたトルクは、ダイ圧力と直接関係があることが観察された。押出加工の温度プロファイルは、最終バレル部で160℃を有するように設定した。しかし、ヒヨコマメ押出加工物を除き、豆果押出加工物に関するダイ温度の値は、配合の種子または成分のタイプにかかわらず、160℃を超えていた。これは、剪断力と圧力の結果として、力学的な熱の形態で、加工の間に追加的な熱の発生があったことを示唆する。様々なヒヨコマメ押出加工物に関するダイ温度は160℃以下であり、このことは、第一に、これら押出加工物の加工中に追加的な熱の発生がなかったことを示唆し、第二に、供給材料が加工において小規模な冷却効果を促進したことを示唆している。ヒヨコマメは約5パーセントの脂質を含有しているが、試験した他の豆果中に存在する脂質の量の倍多かった。従って、処理中の脂質の融解は、スクリューに対して潤滑剤として作用し、剪断力の影響を小さくし得る。さらに、これらの押出加工物に関して観察されたトルクおよびダイ圧力の最低値は、試験した他の全ての豆果に比べて、溶融した脂質の潤滑作用が流動を容易にし、膨化の程度が低いことをさらに示唆する。
【0131】
(実施例3)
押出加工物の受容性
剥皮レッドチーフレンズマメ(Lens culinaris L.)はMoscow Idaho Seed Co.、Moscow、ID.から入手し、ピンミルで微細粉までホモゲナイズし、粉砕した。次いで、レンズマメ微粉は、Table 20(表20)に従って配合した。
【0133】
この試験では、Clextral EvolumのHT32H二軸スクリュー押出加工システム(Clextral-Bivis、Firminy Cedex、France)を使用した。エクストルーダーの6つバレル部の加熱プロファイルは、それぞれ15、80、100、120、140、および160℃であった。微粉を25kg/hの速度でエクストルーダーの供給口に供給し、エクストルーダーを500rpmと700rpmの二軸スクリュー速度で運転した。押出加工の際の供給原料の水分含量が17%(wwb)になるように、調整可能なピストンポンプ(Model P5-120、Bran and Luebbe、Wheeling、IL)により水をエクストルーダーに加えた。トルクおよび温度の処理条件が定常状態である際、直径3mmの2つのサーキュラーダイから排出される押出加工物を5分間収集した。
【0134】
豆果押出加工物のこれまでの官能試験の結果は、豆果を原料としたスナックおよび朝食用シリアルタイプ製品にべたついた食感があることを示した。これは、主として、それらのタンパク質含有量がより高いことに起因していた。
【0135】
このため、テクスチャー改良剤(乳化剤)を使用して、押出加工物における不快な「べたつき」感の影響を最小限に抑え、それらのテクスチャーと受容性を改善した。試験で使用したテクスチャー改良剤は、粉末剤形のDimodan PH 100 K-AとPanodan FDP K(Danisco Co.、Richmond、IL);液体剤形のYelkin TS LecithinとThermolec Lecithin(ADM Co.、Decatur、Ill)であった。各乳化剤は、以下の濃度:0.25、0.50、0.75および1.00%で使用した。
【0136】
予備官能評価:膨化率は、朝食用シリアルタイプ製品の膨化スナックの製作において考慮すべき主要パラメーターである。このため、サンプルの官能評価を行いやすいように、生成した32のサンプルを、それらの最大膨化率に基づいて事前に分類した。生成した32のサンプルのうち、16のサンプルを選択した。選択した16のサンプルの膨化率は、7.99から13.60まで変動した。官能評価の第一段階は、押出加工物の膨化、テクスチャー、風味および全体的な受容性について、予め分類した16のサンプルを評価することであった。第一評価段階の目標は、試験した乳化剤のうち、最も受容性のある4つの押出加工物を決定することであった。ロッド形態のレンズマメ押出加工物を1.25''の長さに切断し、事前にコード番号を付したトレイに入れ、次いで、1=最低から5=最高までのスコアを用いて、19名の訓練されていない判定者によって評価された。
【0137】
Table 21(表21)は、第一官能評価段階から選択されたレンズマメを原料とした4つの選択した押出加工物を示す。結果は、最も受容性の高い押出加工物が0.75%の濃度でDimodan PH 100 K-Aを含有し、500rpmで運転したものであることを実証した。第2および第3の最も受容性の高い押出加工物は、それぞれ、0.75%の濃度でYelkin TSレシチンを含有し、500rpmで運転したものと、0.25%の濃度でDimodan PH 100 K-Aを含有し、500rpmで運転したものであった。この群のうち最も受容性の低い押出加工物は、0.25%の濃度でYelkin TSレシチンを含有し、700rpmで運転したものであった。選択したサンプルの膨化率の範囲は、8.75から10.24の範囲である。膨化率がこの範囲にあった際、最良な押出加工物の選択が主として試験した乳化剤のタイプや濃度によるものであったことに注目することが重要であった。
【0139】
第一官能評価段階の結果に基づき、選択した4つの最良なサンプルについて、最も受容性の高い乳化剤含有の押出加工物を選択するために第二の官能評価段階についてさらに評価した。官能評価プロトコルは、第一官能評価段階で使用したものと同じであった。
【0140】
第二官能評価段階の結果は、最も受容性の高い押出加工物は、0.75%の濃度でDimodan PH 100 K-Aを含有し、500rpmで運転したものであることを実証した。第二および第三の最も受容性の高い押出加工物は、それぞれ、0.25%の濃度でDimodan PH 100 K-Aを含有し、500rpmで運転したものと、0.25%の濃度でYelkin TSレシチンを含有し、700rpmで運転したものであった。この群のうち、最も受容性の低い押出加工物は、0.75%の濃度でYelkin TSレシチンを含有し、500rpmで運転したものであった(
図13)。得られた結果は、最も受容性の高いものとして0.25%の濃度でDimodan PH 100 K-Aを含有し、500rpmで運転した押出加工物を再度選択することにより第一官能評価段階で見出されたことを確証した(Table 21(表21))。しかし、0.25%の濃度でYelkin TSレシチンを含有し、700rpmで運転した押出加工物であって、第一官能評価段階で2番目に良好であるとランクされたものは、第二官能評価段階で最も受容性の低い押出加工物と考えられた。官能評価は訓練されていない判定者で実施されたので、第一段階により判定者がある程度の官能評価の第二段階で適用された経験を取得できた可能性がある。さらに、第二官能評価段階は、第一段階で評価した16のサンプルに対し、4のサンプルしか含まれていなかった。このサンプル数の減少も、判定者に、押出加工物を評価するより多くの時間を認めた可能性がある。従って、本発明者らは、第二官能評価段階の結果をより厳格で信頼性の高い結果であると考えた。
【0141】
0.25%の濃度でDimodan PH 100 K-Aを含有し、500rpmで運転した、第二官能評価段階から得られた最も受容性の高いレンズマメを原料とした押出加工物を、全国食品フェスティバルで多数の潜在的な商品の消費者によって評価されるように大量製造した。
【0142】
押出加工物の焼成:焼成操作は押出加工物から水分をさらに除去し、製品のテクスチャーをよりカリカリとさせる。また、コーティング加工中に押出加工物による油および風味の吸収を促進させる。
【0143】
これまでの試験において、本発明者らは、押出加工物が200〜250°Fで焼成されるならば、コーティングがより効果的に行われると決定した。この試験では、レンズマメを原料とした押出加工物の焼成は、200°Fで5分間コーティング機の回転式ドラム中で行った。押出加工物は、焼成操作中に水分が約2パーセント損失することが見出された(
図14)。押出加工物は、スナックおよび朝食用シリアルタイプ製品として、それぞれ、ロッドおよびボールの形態で製造した。さらに、スナックタイプ押出加工物は、クラシックバーベキュー(Classic Barbeque(CBQ))、スウィートおよびボールドバーベキュー(Bold Barbeque)ならびにチーズでコーティングし、朝食用シリアルタイプ押出加工物は、味つけに糖でコーティングした。
(参考文献)