(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104274
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】位置制御装置を備えた車両の触覚式アクセルペダルの制御方法及び制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/16 20120101AFI20170316BHJP
B60K 26/02 20060101ALI20170316BHJP
G05G 25/00 20060101ALI20170316BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20170316BHJP
【FI】
B60W50/16
B60K26/02
G05G25/00 C
G05G5/03 Z
【請求項の数】23
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-546373(P2014-546373)
(86)(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公表番号】特表2015-508352(P2015-508352A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】EP2012070719
(87)【国際公開番号】WO2013087266
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年6月12日
(31)【優先権主張番号】102011088277.4
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドレ ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】ウド ジーバー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ヘニング
【審査官】
田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−068175(JP,A)
【文献】
特開2006−285306(JP,A)
【文献】
特開2006−281802(JP,A)
【文献】
特開2010−155522(JP,A)
【文献】
特開2014−089738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 50/16
B60K 25/00 − 28/16
G05G 1/00 − 25/04
F02D 9/00 − 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的に分離可能に結合されているペダルレバー(5)とアクチュエータ(13)とを備えた、車両(1)内の触覚式アクセルペダル(11)の制御方法であって、
前記ペダルレバー(5)が、操作方向(7)に沿って静止位置から最大操作位置までの移動領域内で移動し、
前記ペダルレバー(5)に機械的に結合された前記アクチュエータ(13)により、前記操作方向(7)に対して反対向きの対抗力を前記ペダルレバー(5)に作用させることによって、触覚的に知覚可能な信号を前記ペダルレバー(5)に伝達する、
車両(1)内の触覚式アクセルペダル(11)の制御方法において、
前記ペダルレバー(5)と前記アクチュエータ(13)とが機械的に分離された状態の下で、前記アクチュエータ(13)の現在位置に対して相対的な前記ペダルレバー(5)の現在位置を求め、前記ペダルレバー(5)について求められた位置の変化に前記アクチュエータ(13)が能動的に追従するように、前記アクチュエータ(13)を制御し、
燃料節約走行モードが可能であることを示すために、又は、危険状況を示すために、又は、カーブ警報を示すために、前記ペダルレバー(5)と前記アクチュエータ(13)とを機械的に結合し、前記アクチュエータ(13)により、前記操作方向(7)に対して反対向きの対抗力を前記ペダルレバー(5)に作用させることによって、前記触覚的に知覚可能な信号を前記ペダルレバー(5)に伝達する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ペダルレバー(5)の現在位置をペダルレバー位置センサ(21)によって求め、該ペダルレバー位置センサ(21)の信号を前記アクチュエータ(13)の位置制御のための調整量として用いる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記アクチュエータ(13)の現在位置をアクチュエータ位置センサ(39)によって求め、該アクチュエータ位置センサ(39)の信号を前記アクチュエータ(13)の位置制御のための制御量として用いる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記ペダルレバー(5)と前記アクチュエータ(13)とが機械的に分離された状態の下で、前記ペダルレバー(5)について求められた位置の変化に前記アクチュエータ(13)が能動的に追従し、その際に前記アクチュエータ(13)と前記ペダルレバー(5)との間に力が作用しないように、前記アクチュエータ(13)を制御する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ペダルレバー(5)と前記アクチュエータ(13)とが機械的に分離された状態の下で、前記アクチュエータ(13)が前記ペダルレバー(5)に係合していると仮定した場合の該アクチュエータ(13)の仮想の現在位置と該アクチュエータ(13)の真の現在位置との間のオフセット量が設定されたオフセット領域内にとどまるように、前記アクチュエータ(13)を制御する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記オフセット領域は、1°から10°までの角度領域である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記アクチュエータ(13)のストローク特性に影響する障害作用を補足的な除去の制御(59)によって少なくとも部分的に補償する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記触覚的に知覚可能な信号が形成されない時間フェーズにおいて、前記アクチュエータ(13)が前記ペダルレバー(5)について求められた位置の変化に能動的に追従するように、前記アクチュエータ(13)を位置制御によって制御する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記触覚的に知覚可能な信号が形成される時間フェーズにおいて、前記アクチュエータを流れる電流について設定された時間特性を制御することにより、前記触覚的に知覚可能な信号の所定の力特性が前記ペダルレバー(5)で生じるように、前記アクチュエータ(13)を電流制御によって制御する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記触覚的に知覚可能な信号は、揺動又は脈動の形態の前記対抗力である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
機械的に分離可能に結合されているペダルレバー(5)とアクチュエータ(13)とを備えた、車両(1)内の触覚式アクセルペダル(11)を制御するための制御装置(3)であって、
前記ペダルレバー(5)が、操作方向(7)に沿って静止位置から最大操作位置までの移動領域内で移動し、
前記ペダルレバー(5)に機械的に結合された前記アクチュエータ(13)により、前記操作方向(7)に対して反対向きの対抗力を前記ペダルレバー(5)に作用させることによって、触覚的に知覚可能な信号を前記ペダルレバー(5)に伝達する、
車両(1)内の触覚式アクセルペダル(11)の制御装置(3)において、
前記制御装置(3)は、
前記ペダルレバー(5)と前記アクチュエータ(13)とが機械的に分離された状態の下で、前記アクチュエータ(13)の現在位置に対して相対的な前記ペダルレバー(5)の現在位置を求め、前記ペダルレバー(5)について求められた位置の変化に前記アクチュエータ(13)が能動的に追従するように、前記アクチュエータ(13)を制御し、
燃料節約走行モードが可能であることを示すために、又は、危険状況を示すために、又は、カーブ警報を示すために、前記ペダルレバー(5)と前記アクチュエータ(13)とを機械的に結合し、前記アクチュエータ(13)により、前記操作方向(7)に対して反対向きの対抗力を前記ペダルレバー(5)に作用させることによって、前記触覚的に知覚可能な信号を前記ペダルレバー(5)に伝達するように、前記アクチュエータ(13)を制御する、
ように構成されている
ことを特徴とする制御装置(3)。
【請求項12】
前記制御装置(3)には、前記ペダルレバー(5)について求められた位置の変化に前記アクチュエータ(13)が能動的に追従するようにするための前記アクチュエータ(13)の前記制御を行うために、前記アクチュエータ(13)のサーボモータ(23)に対する操作信号を形成するための予調整ブロック(55)が設けられている、請求項11記載の制御装置(3)。
【請求項13】
前記予調整ブロック(55)は、前記ペダルレバー(5)の現在位置を検出するペダルレバー位置センサ(21)の調整信号に基づいて前記操作信号を形成する、請求項12記載の制御装置(3)。
【請求項14】
前記ペダルレバー(5)と前記アクチュエータ(13)とが機械的に分離された状態の下で、検出された前記ペダルレバー(5)の位置の変化に前記アクチュエータ(13)が能動的に追従し、その際に前記アクチュエータ(13)と前記ペダルレバー(5)との間に力が作用しないように、前記アクチュエータ(13)を制御する、請求項13記載の制御装置(3)。
【請求項15】
さらに、前記操作信号のうち前記アクチュエータ(13)のストローク特性に影響する障害作用を除去するための制御回路(59)が設けられている、請求項12から14までのいずれか1項記載の制御装置(3)。
【請求項16】
前記予調整ブロック(55)は、前記アクチュエータ(13)の現在位置を検出するアクチュエータ位置センサ(39)のアクチュエータ位置信号を前記アクチュエータ(13)の位置制御のための制御量として用いる、請求項12から15までのいずれか1項記載の制御装置(3)。
【請求項17】
前記ペダルレバー(5)と前記アクチュエータ(13)とが機械的に分離された状態の下で、前記アクチュエータ(13)が前記ペダルレバー(5)に係合していると仮定した場合の該アクチュエータ(13)の仮想の現在位置と該アクチュエータ(13)の真の現在位置との間のオフセット量が設定されたオフセット領域内にとどまるように、前記アクチュエータ(13)を制御する、請求項11から16までのいずれか1項記載の制御装置(3)。
【請求項18】
前記オフセット領域は、1°から10°までの角度領域である、請求項17記載の制御装置(3)。
【請求項19】
前記触覚的に知覚可能な信号が形成されない時間フェーズにおいて、前記アクチュエータ(13)が、検出された前記ペダルレバー(5)の位置の変化に能動的に追従するように、前記アクチュエータ(13)を位置制御によって制御する、請求項11から18までのいずれか1項記載の制御装置(3)。
【請求項20】
前記触覚的に知覚可能な信号が形成される時間フェーズにおいて、前記アクチュエータを流れる電流について設定された時間特性を制御することにより、前記触覚的に知覚可能な信号の所定の力特性が前記ペダルレバー(5)で生じるように、前記アクチュエータ(13)を電流制御によって制御する、請求項11から19までのいずれか1項記載の制御装置(3)。
【請求項21】
前記触覚的に知覚可能な信号は、揺動又は脈動の形態の前記対抗力である、請求項11から20までのいずれか1項記載の制御装置(3)。
【請求項22】
プログラミング可能な制御装置(3)に対して請求項1から10までのいずれか1項記載の方法の実行を指示するためのコンピュータ読み出し可能な複数の命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項23】
請求項22記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み出し可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の触覚式アクセルペダルの制御方法及び制御装置に関する。本発明は、さらに、動作時にプログラミング可能な制御装置に本発明の方法を実行させるコンピュータプログラム製品、及び、こうしたコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ読み出し可能媒体に関する。
【0002】
従来技術
今日の車両では、ドライバーは車両を運転する際に供給される多数の情報によって支援される。例えば、ドライバーにとって、求められた走行状態、又は、走行時の安全性乃至ドライバーの快適性を高めもしくは燃料を節約するために所定の措置を導入せよとのドライバーへの要求がシグナリングされるフィードバックがあれば役立つはずである。こうしたフィードバックは、光学式もしくは音響式など、種々の方式で形成される。
【0003】
また、今日の車両では、車両のアクセルペダルによるドライバーへの触覚式フィードバック手段が実現されている。このためにアクセルペダルには意図的に所定の力を印加することのできるアクチュエータが設けられている。例えば、アクチュエータにより、所定のアクセルペダル位置を超えるさらなる踏み込みに対して意図的に反対向きの力を作用させ、アクセルペダルの大きな踏み込みは燃料消費量の過剰な増大をまねくことをドライバーにシグナリングすることができる。
【0004】
これに代えて、アクチュエータによってアクセルペダルに時間的に可変の力を作用させ、揺動ないし脈動の形態の振動を生じさせることもできる。
【0005】
このように、ドライバーは、光学信号もしくは音響信号によって例えば交通観察の注意をそらされることなく、触覚によって示唆や警報を受け取ったり、快適性機能を利用したりすることができる。
【0006】
DE2555429には、触覚的に知覚可能な信号(以下、触覚信号とも称する)を形成する車両内の装置が記載されている。
【0007】
発明の開示
本発明によれば、車両内の触覚式アクセルペダルの有利な駆動形態が可能となる。特に、本発明では、アクセルペダルにおいて触覚信号を短時間で形成し、さらに、ドライバーに障害として知覚されうるアクチュエータからアクセルペダルへの影響を回避もしくは最小限に抑圧することができる。
【0008】
本発明の方法では、触覚式アクセルペダルのペダルレバーは、静止位置から最大操作位置までの操作方向に沿った移動領域内で移動可能であり、アクチュエータにより、操作方向に対して反対向きの対抗力をペダルレバーへ作用させることでペダルレバーに触覚信号を形成することができる。ここで、本発明の方法は、アクチュエータのその時点の位置に対するペダルレバーのその時点の位置を求め、これに応じてアクチュエータがペダルレバーについて求められた位置変化に能動的に追従するようにアクチュエータを制御することを特徴とする。
【0009】
本発明の方法の基礎となる動機もしくはコンセプトは、特に、触覚式アクセルペダルのアクチュエータを、ペダルレバーで触覚信号が形成されない時間フェーズにおいて、ペダルレバーへの影響がなるべく小さくなるように駆動する、ということである。
【0010】
このために、アクチュエータは、単純にペダルレバーに接続されるのではなく、例えば、アクチュエータとペダルレバーとの直接的な機械的結合に基づいて、又は、アクチュエータとペダルレバーとを作用結合しているばねのばね力に基づいて、ドライバーがペダルレバーを踏み込んだときもしくは緩めたときにアクチュエータがペダルレバーに受動的に追従するようにペダルレバーに結合される。これに代えて、アクチュエータの位置を意図的に制御して、アクチュエータがペダルレバーの位置の変化に能動的に追従するようにしてもよい。
【0011】
上記目的のために、例えば、モータによって駆動されるアクチュエータでは、モータが、制御装置により、その時点でのドライバーの操作によってペダルレバーが運動するのと同じ方向につねに能動的に運動するように駆動される。
【0012】
このようにすれば、適時以外にはドライバーに障害として知覚されうるペダルレバーへの影響が回避されるか又は少なくとも低減される。例えば、アクチュエータの無電流状態において慣性もしくはひきずり特性のためにペダルレバーへ作用する力は、本発明の能動的な位置制御によって低減される。アクチュエータが受動的に移動される場合、アクチュエータ用モータの残留磁気モーメントから生じてペダル力特性における所定のリップルの形態でドライバーに知覚される力特性の時間変化も低減される。
【0013】
位置制御のために、ペダルレバーのその時点の位置が、ペダルレバー位置センサを介して求められる。これに加えてもしくはこれに代えて、アクチュエータのその時点の位置がアクチュエータ位置センサを介して求められる。ペダルレバー位置センサの信号は調整量としてアクチュエータの位置制御に用いられる。アクチュエータ位置センサの信号は制御量としてアクチュエータの位置制御に用いられる。
【0014】
こうした位置制御に基づいて、アクチュエータはペダルレバーに同期して運動する。アクチュエータの慣性はアクチュエータそのものによって加速されるので、障害的な戻り方向力乃至慣性力はペダルレバーには全く作用しないか又は僅かしか作用しない。
【0015】
アクチュエータは、特に、アクチュエータとペダルレバーとの間で力が作用することなく、求められたペダルレバー位置の変化に能動的に追従するように制御される。
【0016】
言い換えれば、アクチュエータの位置追従制御は、意図的に触覚信号を形成すべき時間フェーズ以外では、アクチュエータが力をペダルレバーに伝達しないように行われる。これにより、特に、ペダル力特性におけるリップルがアクチュエータ用モータの残留磁気モーメントによって消去される。
【0017】
この場合、アクチュエータは、アクチュエータがペダルレバーに係合していると仮定した場合の仮想のその時点の位置とアクチュエータの真のその時点の位置との間のオフセット量が設定されたオフセット領域内にとどまるように制御される。
【0018】
言い換えれば、アクチュエータとペダルレバーとは、これらの間の機械的な作用結合が時間的に分離可能であり、つまり、アクチュエータがペダルレバーとは別個に配置され、ペダルレバーから分離可能となるように構成されている。アクチュエータの位置制御は、ペダルレバーとアクチュエータとの間の距離もしくは「オフセット量」、すなわち、真のその時点の位置からペダルエレメントとの作用結合を形成するためにアクチュエータが移動しなければならない位置までの距離が、設定されたオフセット領域内にとどまるように行われる。
【0019】
これにより、一方では、所定の最小距離がつねに維持され、触覚信号が意図的に形成される時間フェーズ以外では、アクチュエータとペダルレバーとの作用結合ひいては障害的な力の伝達が生じないことが保証される。他方では、アクチュエータが、ペダルレバーとの作用結合が生じる位置から所定の最大値を超えて離れず、アクチュエータがつねに短い応答時間で迅速にペダルエレメントとの作用結合を形成できるようになることが保証される。
【0020】
ここでのオフセット領域は、例えば1°から10°まで、有利には2°から6°までの角度領域として定義される。
【0021】
当該角度領域は、その時点のアクチュエータ位置に関して、ペダルレバーがその時点の位置から操作方向に沿ってアクチュエータと作用結合するまでに移動しなければならない角度を表すように定義される。
【0022】
当該角度領域の下限値が充分に大きいため、ペダルレバーがドライバーによって突然大きく踏み込まれた場合にも、アクチュエータの位置適合化のための充分な時間が残ることが保証される。角度領域の上限値は、アクチュエータが充分に短い応答時間内でペダルレバーに作用して触覚信号を形成できるように選定される。
【0023】
本発明のアクチュエータの位置制御方法の改善形態として、アクチュエータのストローク特性に影響する障害作用を補足的な除去の制御によって少なくとも部分的に補償することが挙げられる。
【0024】
アクチュエータの位置決めの正確な制御のためには、ふつう、アクチュエータのストローク特性が正確に既知となっている必要がある。ただし、こうしたストローク特性は、温度作用もしくは劣化作用もしくはその他の作用によって影響を受けることがある。よって、補足的な除去の制御として、こうした障害特性を考慮に入れ、少なくとも部分的に補償するとよい。
【0025】
触覚信号が形成されない時間フェーズでは、アクチュエータはペダルレバーについて求められた位置変化に能動的に追従するように位置制御によって制御されるのに対して、触覚的信号が形成される時間フェーズでは、アクチュエータは電流制御によって制御される。この場合、電流制御は、アクチュエータを流れる電流について設定された時間特性を制御することにより、触覚信号の所定の力特性がペダルレバーで生じるように行われる。種々の駆動フェーズで利用されるそれぞれの制御方式、すなわち、触覚信号が形成されないフェーズでの位置制御と、触覚信号が形成されるフェーズでの電流制御とにより、ペダル制御を種々の駆動フェーズでの種々の要求に最適に適合させることができる。
【0026】
本発明の方法について上述した実施形態、乃至、その機能及び利点は、車両に設けられた、アクセルペダルを制御する制御装置によって実現される。
【0027】
ここで、制御装置は、適切なインタフェースを介して、例えばペダルレバー位置センサ及びアクチュエータ位置センサの信号を受信し、制御信号をアクセルペダルのアクチュエータへ送信するように構成される。ここで一般に使用される「制御装置」なる概念は、開制御のみに制限されず、アクチュエータの能動的な閉ループ制御の実行も含む。特に、制御装置は、触覚信号をペダルレバーに伝達する時間フェーズ以外では、アクチュエータがペダルレバーの位置変化に追従するよう、アクチュエータの位置が能動的に制御される。
【0028】
なお、制御装置はアクチュエータのサーボモータに対する操作信号を形成するための予調整ブロックを備えることができる。この予調整ブロックはペダルレバー位置センサの調整信号に基づいて操作信号を形成する。
【0029】
予調整ブロックと、サーボモータの調整能力に適合化された調整信号のダイナミクスとを相応に構成すれば、予調整により、アクチュエータ位置の制御量が設定された調整信号に正確に追従するようになる。
【0030】
アクチュエータのストローク特性への影響、例えば温度作用もしくは劣化作用による影響、ひいては、これに関連する、アクチュエータのサーボモータに対する操作信号への障害影響を最小化するため、制御装置はさらに、こうした障害影響を除去するための制御回路を含むことができる。
【0031】
制御装置は、本発明のセンサ信号の制御及び情報評価のプロセスをハードウェア及び/又はソフトウェアとして実現できる。有利には、プログラミング可能な制御装置を上述した方法の実行のためにプログラミングすることができる。このために、コンピュータプログラム製品は、プログラミング可能な制御装置に上述した方法の各ステップの実行を指示するためのコンピュータ読み出し可能な複数の命令を含む。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み出し可能な媒体、例えばCD,DVD,フラッシュメモリ、ROM、EPROMその他に記憶される。アクチュエータの取る位置を正しく制御するために、他のセンサデータの処理のほか、データベースに記憶されているか又は特性曲線の形態で記憶されている、所定の制御信号に対するアクチュエータの応働特性に関する情報又はアクチュエータのストローク特性に関する情報を利用することができる。
【0032】
本発明の実施形態の特徴及び利点の一部を本発明の制御方法及び本発明の制御装置に則して説明した。当業者によれば、特に制御方法と制御装置の発明の個々の特徴を適切な手法で任意に結合もしくは交換して、別の実施例及びさらなる相乗効果を達成できることは容易に理解されるはずである。
【0033】
以下に、本発明の実施例を図示の実施例に則して詳細に説明する。ただし明細書及び図の説明は本発明を限定するものではない。
【0034】
図は概略的なものであり、縮尺どおりに描かれていないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施例の方法を実行する制御装置を備えた車両を示す図である。
【
図2】本発明の実施例による触覚式アクセルペダル及び制御装置を示す図である。
【
図3】本発明の実施例の制御装置での位置制御の構成を示す図である。
【0036】
本発明の実施例
図1には、触覚式アクセルペダル11を備えた車両1の断面図が示されている。ペダルレバー5を踏み込むことにより、ドライバーは、ケーブル15を介して又は機関制御装置に接続された図示されていない線路を介して、内燃機関17に車両1の加速を指示する。このためにドライバーは矢印7で示されている操作方向へペダルレバー5を踏み込まなければならない。これにより、ペダルレバー5は静止位置から移動領域に沿って最大操作位置まで移動可能である。ここで、ペダルレバー位置センサ21はペダルレバー5のその時点の位置又は状態を求めることができる。ばね19は操作方向7に対して反対向きに、ペダルレバー5が静止位置にとどまるよう、予バイアスをかけている。
【0037】
アクセルペダル11は触覚式アクセルペダルとして構成されている。このためにアクセルペダル11にはアクチュエータ13が設けられており、このアクチュエータ13によってペダルレバー5が操作方向7に対して反対の所望の方向へ運動可能となり、また、当該反対方向で所定の力を印加することができる。この場合、アクチュエータ13はペダルレバー5を例えば揺動もしくは脈動の形態で励振できる。これに代えて、アクチュエータ13がペダルレバー5にそれ以上の踏み込みを困難にする力を作用させ、ドライバーにペダルレバー5の操作時の圧力点を知覚させることができる。
【0038】
アクチュエータ13は、トランスミッション25を介して操作ディスク27に結合された直流モータ23によって駆動される。モータ23の操作により、操作ディスク27は矢印33で示されているように時計回りもしくは反時計回りで回転する。操作ディスク27の偏心領域にはカム31が設けられている。カム31はペダルレバー5に設けられたタペット29と協働する。このために、タペット29は、操作ディスク27が相応の位置へ回転してきたときにカム31に係合するフォーク状の収容部35を、アクチュエータ13に向かう端部に有している。
【0039】
これに代えて、アクチュエータを、例えばトルクモータを備えた直接駆動機構として構成し、トランスミッションなしで大きな力を形成できるようにしてもよい。
【0040】
アクチュエータ13は制御装置3によって制御される。制御装置3は、燃料節約走行モードが可能であることを示すため、又は、例えば危険状況を示すために、どの時点でアクセルペダル11を介してドライバーに触覚信号を伝達すべきかを判別する。続いて、制御装置3は、アクチュエータ13を駆動し、操作方向7に対して反対向きの一定の力もしくは時間的に変化する力がペダルレバー5にかかるようにする。
【0041】
図2には、信号フェーズ以外の触覚信号が形成されない期間に、アクチュエータ
13がペダルレバー5のその時点の位置に追従するように制御を行うための、アクセルペダル11の制御装置が示されている。
【0042】
ペダルレバー位置センサ21の信号とアクチュエータ位置センサ39の信号との双方が制御装置3に伝達される。2つのセンサ21,39は位置センサもしくは角度センサとして構成される。
【0043】
ペダルレバー位置センサ21の信号は、調整量として、制御装置3内に設けられたアクチュエータの位置制御回路へ供給される。当該位置制御回路の制御量はアクチュエータ位置センサ39の信号である。最も簡単な場合、調整量及び制御量から制御差49が形成され、位置制御回路47へ供給される。位置制御回路47はアクチュエータ用モータ23に対する適切な調整量を形成する。当該調整量は、位置制御回路が作動されている場合、出力段41を介して増幅されてアクチュエータ用モータ23へ供給される。この場合の作動状態は、触覚信号が形成されない通常ケースである。なお、図示されていないが、電流センサ43を位置制御回路とともに付加的に利用することができる。この場合、収容されている制御回路もしくはカスケード制御回路の形態により、位置制御回路の特性が時間制御特性と障害に対するローバスト性に関していっそう改善される。
【0044】
触覚信号が例えばカーブ警報としてもしくは燃費低減信号として短時間だけ形成される場合、位置制御回路は一時的に不活性化され、電流制御が作動される。この場合、適切な電流制御回路45が所望の目標電流に基づいてアクチュエータ用モータ23の調整電流を制御する。電流制御が作動されると、出力段41を介して電流制御回路45の出力信号が出力段を介して増幅されてモータ23へ供給される。目標電流は特定のモジュール53で形成される。そこには一般に、走行状況に応じて作動可能な複数の力特性が格納されている。力特性は、サーボモータの電流‐トルク定数、及び、サーボモータとペダルシャフトとの間の変換比によって、出力すべき目標電流へ変換される。力特性の出力後、すなわち、特性もしくは期間の終了時、電流制御回路は不活性化され、位置制御回路があらためて作動される。
【0045】
アクチュエータ3とペダルレバー5との間の力の伝達を完全に遮断するには、ペダルレバー位置センサ21によって測定されるペダル角度に対して、適切な固定のオフセット量、例えば、2°から6°の領域のオフセット量を定常的に加えるとよい。こうしたオフセットを有する量はアクチュエータの位置制御回路に対する調整量として使用される。
【0046】
図3には、
図2に示されている位置制御回路の構造の拡張形態が示されている。印加される調整量φ
desは適切な予調整ブロック55によってサーボモータ23に対する操作信号へ変換される。予調整ブロック55及びサーボモータ23の操作能力に適合化された調整信号のダイナミクスを相応に構成すれば、予調整のみによって、アクチュエータ位置の制御量φ
measを設定された調整信号に正確に追従させることができる。
【0047】
しかし、このような理想状態は、アクチュエータ13のストローク特性が正確に既知となっていることが前提である。温度作用及び/又は劣化作用及び/又はその他の作用のために、こうした理想状態は実現が困難である。したがって、付加的に制御回路59を設け、そのタスクを上記障害効果の除去へふり向けることもできる。