【実施例】
【0030】
実施例1:アルミナコーティングされたケイ素
この実施例では、ナノサイズコーティングを形成するための堆積方法である、原子層堆積(ALD)によって、アルミナコーティングが適用される。ALDプロセスでは、2つの(またはそれを超える)交互の表面自己制御式の化学気相堆積反応が行われる。この技術は、ナノ粉末のコーティングにも使用される。定置装置を使用して少量の粉末をコーティングすることができるが、より多い量の場合は、米国特許出願公開第2011/0200822号明細書に記載されるように、流動粒子床反応器または回転反応器を使用することができる。Al
2O
3のコーティングは、トリメチルアルミニウム(TMA)およびH
2Oを反応物質として使用して、熱ALDによって堆積させることができる。反応温度はおよそ200℃である。反応性表面の飽和状態は、前駆体の分解生成物に対して質量分析を使用することで、観測することができる。
【0031】
この実施例において、国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製され、21m
2/gのBET、0.001cc/g未満の開放多孔質容積(アルゴン流下150℃で1時間サンプルを予備加熱した後、77KでN
2の等温吸脱着によって、ASA
P装置で測定を行った)、酸素含有量<4重量%、80nm<D80<200nmで規定される一次粒度、および初期の負のゼータ電位(水中pH7で測定)を有する、5gのナノケイ素粉末を秤量し、ガラス反応器(
図3参照)に投入した。反応器出口3は、真空油ポンプに10
−2mbarで接続した。反応器ガス入口1を、swagelok(登録商標)管および自動弁を使用してトリメチルアルミニウム(TMA)供給部(97%、Sigma−Aldrich)に接続した。反応器ガス入口2を、swagelok(登録商標)管および自動弁を使用して、H
2O(脱イオン化した)のガラス瓶に接続した。1「サイクル」の間、TMAおよび水のガス流を使用した。表面がTMAで飽和状態になるまで(5分)、反応器からTMAに接続される弁を開放し、そして弁を閉じた。この後、反応器からH
2Oに接続される弁を5分間開放した。コーティングの形成に、6サイクル(TMAの後に水)を使用した。同量の未処理のナノケイ素粉末を参照例として使用する。
【0032】
顕微鏡写真は、ケイ素粒子の表面におけるコンフォーマル(conformal)に均一で薄い(3nm)アルミナコーティングを示した(
図4参照)。この粉末のBET表面は20m
2/g(未処理ケイ素の21m
2/gと同等である)と測定され、アルゴン下150℃で1時間サンプルを予備加熱した後、77KでN
2の等温吸脱着の結果より0.001cc/g未満の多孔質容積を有した。アルミニウム量はICPによって測定され、2重量%の値が算出された。
【0033】
たとえばALDプロセスは:
−少なくとも10
−1mbarの真空下、150〜250℃の温度で、反応室中にナノサイズのケイ素材料を準備するステップと、
−気体の有機アルミニウム、有機亜鉛、または有機アンチモン化合物を反応室に注入するステップと、
−ケイ素材料の表面を有機アルミニウム、有機亜鉛、または有機アンチモン化合物で飽和させるステップと、続いて
−水蒸気を反応室に注入するステップと、それによって
−ケイ素材料の表面に酸化アルミニウム、酸化亜鉛、または酸化アンチモンのコーティングをもたらすステップとを含み、
2〜10nmの厚さのコーティングが形成されるまで
−気体の有機アルミニウム、有機亜鉛、または有機アンチモン化合物を反応室に注入するステップと、
−ケイ素材料の表面を有機アルミニウム、有機亜鉛、または有機アンチモン化合物で飽和させるステップと、続いて
−水蒸気を反応室に注入するステップとを
繰り返す。
【0034】
得られた材料のゼータ電位の測定を以下の手順に従い実施した:参照である2重量%のナノケイ素粉末およびアルミナコーティングされたケイ素の双方の脱塩水懸濁液150mlを、超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。水性媒体のこの懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。サンプルを、中性pHから酸性pHまでは0.5MのHClで、より塩基性のpHまでは0.5MのNaOHで、自動的に滴定した。
【0035】
ナノケイ素粉末上の強い負の表面電荷が明確に測定された(
図5、線2参照)。ゼータ電位はpH5から2において負であった。アルミナコーティングされたケイ素の場合、粉末は、pH9.5から少なくともpH2.5において正のゼータ電位を有していた(
図5、線1)。
【0036】
50重量%のこの粉末(乾燥残留物を基準とする)、25重量%のNa−CMCバイン
ダー(分子量<200,000)、および25重量%の導電性添加剤(Super C65、Timcal)を使用してスラリーを調製した。最初のステップでは、2.4%のNa−CMC溶液を調製し、終夜溶解させた。次に、導電性炭素をこの溶液に加え、高剪断ミキサーで20分間撹拌した。導電性炭素の良好な分散が得られた後、活物質を加え、スラリーを再び高剪断ミキサーを使用して30分間撹拌した。電解質とケイ素表面との間の接触をコーティングが防止することの裏付けの1つは、CMC溶液の粘度変化である。剪断速度が制御された条件下で、コーン−プレート測定用形状を用い、Fysica MCR300レオメーターで23℃において流動特性を測定した。ポリマー(この例ではCMC)が未処理ケイ素表面と接触すると、CMC/Si溶液/懸濁液の粘度低下が観測された。
図6に示すように、CMCのみを用いた空試験に対して、ケイ素をアルミナでコーティングした場合には粘度が維持され(□=CMCのみの場合、●=未処理ケイ素の場合(基準)、△=アルミナコーティングされたケイ素の場合)、このことはケイ素が別の材料(この場合Al
2O
3)で完全に覆われていることを証明した。
【0037】
得られたスラリーを、125μmの湿潤厚さで銅箔(17μm)上にコーティングし、次に70℃で2時間乾燥させることによって、電極を作製した。円形電極を打抜き、小型真空オーブン中150℃で3時間乾燥させた。グローブボックス(乾燥アルゴン雰囲気)中で準備したコインセルを使用して、電極を金属リチウムに対して電気化学的に試験した。使用した電解質は、EC/DEC(50/50重量%)+10%FEC+2%VC(Semichem社)の混合物中の1MのLiPF
6であった。コインセルを、CCモードにおいて、10mV〜1.5Vで、C/5(3570mAh/gの活物質が5時間で完全充電又は放電されることを意味する)のCレートで試験した。結果を
図7に示す。
アルミナのコーティングによって電極の挙動が改善されることが明らかである(線1):100サイクル後、放出容量は依然としておよそ2400mAh/gであるのに対し、未処理ケイ素では1000mAh/gであった(線2)。1nmよりも薄いコーティングでは所望の効果が得られないことも分かった。
【0038】
比較例1:アルミナの厚さが大きいアルミナコーティングされたケイ素
実施例1のようにALDプロセスを使用して、アルミナコーティングされたケイ素を作製した。この粉末の作製には(実施例1の6サイクルと比較して)25サイクル(TMAの後に水)を使用した。アルミナ層の厚さは12nmであった。表面のBETは16m
2/gまで減少し、アルミナ量は8重量%の粉末にて測定された。実施例1のようにスラリーおよび電池を作製し、その結果を
図8に示す。容量は第1サイクルから500mAh/g未満であり、この容量がその後サイクルで低下した。この結果は、電気化学反応を可能にするために、ケイ素の表面に薄層を有することが重要であることを明確に示すものであった。
【0039】
実施例2:アルミナコーティングされたケイ素粒子およびナノワイヤー
この実施例において、国際公開第2012/000854号パンフレットに従い作製され、酸素含有量が<4重量%であるSi粒子およびナノワイヤー上に、原子層堆積(ALD)によってアルミナコーティングを適用した。合成手順は実施例1に示される。
【0040】
顕微鏡写真(
図9参照)は、ケイ素粒子の表面上のコンフォーマル(conformal)に均一で薄いアルミナコーティングを示した。コーティングされた粉末をエタノール中に分散させ、その後Cu支持体上に搭載された炭素グリッド上に配置した。粉末の損傷を回避するため、サンプル調製における粉砕ステップは行わなかった。ケイ素、アルミナ、および酸素のコントラストを示すEFTEMマップを、Philips CM30−FEG顕微鏡を使用し、300kVにおいて得た(
図9参照)。アルミニウム量をICPによって測定し、2重量%の値を算出した。実施例1と同様に、経時によるCMC−粉末溶液の粘度変化を測定することによって、ケイ素が異なる材料(この場合Al
2O
3)で完
全に覆われていることを証明することが可能である。
【0041】
ゼータ電位の測定を以下の手順により行った。参照である2重量%の粉末およびアルミナコーティングされたケイ素ナノワイヤーの双方の脱塩水懸濁液150mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。水性媒体のこの懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。サンプルを、中性pHから酸性pHまでは0.5MのHClで、より塩基性のpHまでは0.5MのNaOHで、自動的に滴定した。
【0042】
ナノワイヤー上の強い負の表面電荷が明確に測定された(
図10、線2参照)。ゼータ電位はpH8から2において負であった。アルミナコーティングされたケイ素ナノワイヤーの場合、粉末はpH8から少なくともpH2において大きな正のゼータ電位を有していた(
図10、線1)。
【0043】
実施例3:ケイ素表面の酸塩基処理
2重量%のナノケイ素の脱塩水懸濁液150mlを超音波処理(225W120秒)によって調製した。該ナノケイ素は国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製され、そしてBET 25m
2/g、酸素含有量<4重量%、80nm<D80<200nmで規定される粒度、少なくとも0.1重量%のアルミニウム混入物(プラズマで発生させたケイ素粉末に典型的である)を有しており、該混入物は粒子表面に濃縮され、そして初期の負のゼータ電位を有していた(水中pH7で規定される)。この懸濁液に、pHを2に下げるため既知量の0.5MのHClを加えた。その後、懸濁液のpHをpH4に戻すために、0.5MのNaOHを加えた。水性媒体のこの懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。+12mVのゼータ電位が測定されたように、これらの粒子に対して測定された電荷は正であった。
【0044】
図11は、酸塩基処理中の懸濁液の電荷の変動を示す。測定は、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を使用し、0.5MのHClおよび0.5MのNaOHの溶液を使用して行った。酸処理の間、ほぼ確実に、酸化されたSi表面上のシラノール基のプロトン化のため、およびアルミニウム化合物混入物質が溶解して、アルミニウムイオンを遊離させることにより、pH5未満では、表面電荷の急激な減少が観察された(ゼータ電位の絶対値の減少と解釈される)。逆滴定(=塩基処理)の間、pH3.4〜pH4.9においてゼータ電位が正となった。塩基の添加の間、電極表面でアルミナの堆積が起こり、それによって正電荷が生じる。アルミナ量が少ないため被覆は全体的とはならず、これが、5を超えるpHで電位が負になる表面挙動を説明する。
【0045】
電極を作製するために、最初のステップは、終夜溶解させ、次にそのpHを、あらかじめ調製したケイ素懸濁液のpHに調整することによる、2.4%のNa−CMC溶液の調製である。導電性炭素を加え、高剪断ミキサーを使用して混合物を20分間撹拌した。導電性炭素の良好な分散が得られた後、活物質懸濁液(処理されたケイ素)を加え、得られたスラリーを再び高剪断ミキサーを使用して30分間撹拌した。スラリーを、50重量%のこの粉末、25重量%のNa−CMCバインダー(分子量<200,000)、および25重量%の導電性添加剤(Super C65、Timcal)の最終組成にて調製した。
【0046】
得られたスラリーを、125μmの湿潤厚さで銅箔(17μm)上にコーティングし、次に70℃で2時間乾燥させることによって、電極を作製した。円形電極を打抜き、小型真空オーブン中150℃で3時間乾燥させた。グローブボックス(乾燥アルゴン雰囲気下
)中で準備したコインセルを使用して、電極を金属リチウムに対して電気化学的に試験した。使用した電解質は、EC/DEC(50/50重量%)+10%FEC+2%VC(Semichem社)の混合物中の1MのLiPF
6であった。コインセルを、CCモードにおいて、10mV〜1.5Vで、C/5(3570mAh/gの活物質が5時間で完全充電又は放電されることを意味する)のCレートで試験した。未処理ナノケイ素粉末(2)のサイクル中の容量変化を、アルミナコーティングされたケイ素(1)の変化と比較した結果を
図12に示す。
【0047】
アルミニウムイオンの存在下での酸/塩基処理によって電極の挙動が改善されることが明らかであった;100サイクル後、放出容量はおよそ3000mAh/gであるのに対し、未処理ケイ素では1000mAh/gであった。
【0048】
実施例4:シランコーティングされたケイ素
12gのナノケイ素粒子(国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製)を、NH
4OH、H
2O、およびC
2H
5OH(純エタノール)をそれぞれ1:10:14の比率で含有する1000cm
3の溶液中に分散させた。水酸化アンモニウム(NH
4OH、30%)はJ.T Baker社より供給された。懸濁液を20分間超音波処理し、さらに終夜撹拌した。次に、6gのAPTS(ケイ素アルコキシド:3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を懸濁液に加え、10分間超音波処理し、さらに終夜撹拌した。APTSはSigma Aldrich社より購入した。粒子を沈降させ、母液を除去した。次に、アミン変性されたSi粒子を、エタノールで3回洗浄し、次に真空オーブン中60℃で終夜乾燥させた。
【0049】
表面変性の有効性を、広範囲のpH値にわたる電気泳動移動度測定から求めたゼータ電位(ZP)によって評価した。この粉末の表面ゼータ電位を、Brookhaven Instruments社のZetaPALSを使用して調べた。該粉末を0.001mol/LのKCl中に溶解させることによって、0.25mg/cm
3の変性ケイ素を含有する分散液を調製した。イオン強度を一定に維持するために、0.1mol/LのKOH溶液および0.1mol/LのHCl溶液を使用してpHを調整した。種々のAPTS:Si重量比を試験して、粒子表面に正電荷を得るためには少なくとも1:2の比率が推奨されると判断した。
【0050】
図13は、アミン変性されたケイ素(APTS:Siの重量比=5:4)(線1)および未処理ケイ素(線2)のゼータ電位を、一定イオン強度におけるpHの関数として示したものである。7未満のpH値にて、粒子の表面電荷における負から正への変化によって表面変性の達成が証明され、アミン処理された粒子は中性pHで等電点を有していた。他方、未処理Si粒子は、3〜11のpH範囲にわたって負に帯電した。APTSで処理されたすべてのケイ素粒子は、APTS:Siの重量比が1:2を超える場合に、類似のゼータ電位プロファイルを有していた。
【0051】
APTSは、正電荷の形成に使用できるカチオン性シランの一例である。同じ効果は、APTSの誘導体(アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、アミノトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなど)、トリエトキシ(3−イソシアナトプロピル)シランの誘導体、またはN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリンの誘導体でも得ることができる。
【0052】
実施例5:ケイ素粒子上のナノアルミナ粒子の吸着
1重量%のナノケイ素(国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製)の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。Al
2O
3/Siの比率を少なくとも2にするために、この懸濁液に、水中に分散させた既
知量の2重量%Al
2O
3ナノ粒子(市販品:DISPARAL P2、Sasol社;粒度<30nm)の水懸濁液を加えた。この実施例では、5重量%のAl
2O
3ナノ粒子を加えた。この混合した分散液をローラーバンク上に30分間置いた。アルミナ/ケイ素の重量比が2/1未満では、凝集体(アルミナ吸着粒子を有するケイ素粒子)の電荷は負に維持された;実際には、ケイ素表面を十分に覆い、凝集体が正の平均電荷を有するための最小量のアルミナ粒子が推奨される。多孔度の分析では、処理後にある程度の微孔性を示す(<0.01cc/g)ことが示された。これは、おそらくはアルミナのナノ粒子の間に形成される。
【0053】
この混合後、溶液のpHを6とし、水性媒体のこの懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。+45mVのゼータ電位が測定されたように、これらの粒子に対して測定される電荷は正であった。この値は、アルミナコロイドがケイ素粒子の表面上に吸着されたことを示している。混合した分散液を次にロータバップ(rotavap)によって乾燥させ、真空下で80℃に10時間加熱した。
【0054】
ゼータ電位の測定を以下の手順に従い実施した:参照である1重量%のナノケイ素粉末、および処理されたケイ素粉末の双方の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。水性媒体のこれらの懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。サンプルを、中性pHから酸性pHまでは0.5MのHClで、より塩基性のpHまでは0.5MのNaOHで、自動的に滴定した。53mVのゼータ電位が測定されるように、処理されたケイ素の初期電荷は正であった。したがって、この値は、アルミナのナノ粒子の吸着が、乾燥プロセスの間、維持されることを示すものであった。ナノケイ素粉末上の強い負の表面電荷が明確に測定された(
図14、線2)。未処理ケイ素の場合pH2から少なくともpH5までゼータ電位は負であるが、処理されたケイ素粉末はpH9.5から少なくともpH2.5まで正のゼータ電位を有していた(
図14、線1)。
【0055】
実施例1のように、スラリーおよび電池を作製し、コインセル試験の結果を
図15に示す。ナノアルミナ粒子の吸着によって電極の挙動が改善されることが明らかとなった(線1):初期の放出容量は材料の理論容量と類似しており、100サイクル後、放出容量は依然としておよそ2200mAh/gであるのに対し、未処理ケイ素では1000mAh/gであった(
図7の線2参照)。
【0056】
実施例6:カチオン性ポリマーの吸着
カチオン性ポリマーの吸着に関して、既知の分散剤:化学式が(C
2H
4NH)nまたは
【化1】
であるポリエチレン−イミン(PEI):を使用した。
【0057】
このポリマーは、第1級、第2級、および第3級のアミン官能基を有する分岐ポリマーである。窒素をプロトン化することで、強く正に帯電したポリマーを作製することができる。また水に対して可溶性であるという利点も得られる。
【0058】
1重量%のナノケイ素(国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製
)の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。この懸濁液に、水中に分散させたある量の1重量%PEI(PEIは10kmol/g、pHを6に調整した)を加えた。この混合した分散液をローラーバンク上に30分間置いた。この混合後、水性媒体の懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。+30mVのゼータ電位が測定されるように、粒子に対して測定される電荷は正であった。この値は、ポリマー鎖がケイ素粒子の表面上に吸着されたことを示す。好ましい効果を得るには、PEI/Siの重量比が少なくとも0.35/1であることが推奨され、またはケイ素表面1m
2当たり少なくとも14mgのPEI量が推奨される。この値は、正電荷を得るためには、実施例5のナノアルミナの場合よりも、はるかに少量のPEIが必要となることを示している。混合した分散液を次にロータバップで乾燥させ、減圧下で80℃に10時間加熱した。
【0059】
ゼータ電位の測定を以下の手順に従い実施した。参照である1重量%のナノケイ素粉末、および処理されたケイ素粉末の双方の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。水性媒体のこれらの懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。サンプルを、中性pHから酸性pHまでは0.5MのHClで、より塩基性のpHまでは0.5MのNaOHで、自動的に滴定した。+35mVのゼータ電位が測定されるように、処理されたケイ素の初期電荷は正であった。したがって、この値は、乾燥の間、PEIの吸着が維持されることを示すものである。
【0060】
ナノケイ素粉末上の強い負の表面電荷が明確に測定された(
図16、線2)。未処理ケイ素の場合、pH12から2までゼータ電位は負であるが、処理されたケイ素粉末はpH6から少なくともpH2.5まで正のゼータ電位を有していた(
図16、線1)。
【0061】
他のカチオン性界面活性剤、およびpH依存性の第1級、第2級、または第3級アミンを主成分とするポリマー、たとえばオクテニジン二塩酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジンN−オキシド)、ポリ(N−ビニルピロリドン)などの吸着によっても、この効果を得ることもできる。
【0062】
実施例1のようにスラリーおよび電池を作製した。カチオン性ポリマーの吸着によって、電極の容量維持が改善された:100サイクル後、放出容量は依然として1500mAh/gを超えるのに対し、未処理ケイ素では1000mAh/gであった(
図7、線2)。
【0063】
実施例7:ケイ素粒子上の陽イオンの吸着
1重量%のナノケイ素(国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製)の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。この懸濁液に、少なくとも26mgのAl
3+(AlCl
3塩の形態)を加えた。これによって、Al/Si比が少なくとも0.026、またはケイ素1m
2当たり少なくとも1mgのAlとなった。この混合した分散液をローラーバンク上に30分間置いた。混合した分散液を次にロータバップによって乾燥させ、真空下で80℃に10時間加熱した。
【0064】
ゼータ電位の測定を以下の手順に従い実施した:参照である1重量%のナノケイ素粉末、および処理されたケイ素粉末の双方の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。水性媒体のこれらの懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。この溶液の初期のpHは5.3であり、ゼータ電位は+40mVであった。次に、サンプルを、中性pHから酸性pHまでは0.5MのHClで、より塩基性のpH
までは0.5MのNaOHで、自動的に滴定した。再分散処理した粉末は、2〜7において正のゼータ電位を有し(
図17、線1)、2〜5において+65mVの安定した値を有した。未処理ケイ素の場合、少なくともpH5から2でゼータ電位は負となった(
図17、線2)。
【0065】
実施例1のようにスラリーおよび電池を作製し、結果を
図18に示す(mAh/g単位の容量対サイクル数)。陽イオンの吸着で電極の挙動が改善されたことが明らかであった(線1):100サイクル後、放出容量は依然としておよそ約1950mAh/gであるのに対し、未処理ケイ素では1000mAh/gであった(
図7、線2)。
【0066】
AlCl
3に加えて、他の水溶性アルミニウム塩、あるいはSb、Ti、およびZn(すべて陽イオン性多価金属)を使用して、類似の結果を得ることができる。
【0067】
実施例8a:アルミナコーティングされたケイ素:比表面積の変動
この実施例において、国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製され、40m
2/gのBET、0.001cc/g未満の開放多孔質容積(アルゴン流下150℃で1時間サンプルを予備加熱した後、77KでN
2の等温吸脱着によって、ASAP装置で測定を行った)、酸素含有量<4重量%、および初期の負のゼータ電位(水中pH7で測定)を有する、5gのナノケイ素粉末を使用し、実施例1のように処理した。
【0068】
顕微鏡写真は、ケイ素粒子の表面におけるコンフォーマル(conformal)に均一で薄い(3nm)アルミナコーティングを示した。この粉末のBET表面は40m
2/g(ALD処理後のBETから変化なし)と測定され、0.001cc/g未満の開放多孔質容積(アルゴン流下150℃で1時間サンプルを予備加熱した後、77KでN
2の等温吸脱着によって、ASAP装置で測定を行った)を有した。アルミニウム量をICPによって測定し、3.4重量%の値が算出された。得られた材料のゼータ電位の測定を以下の手順に従い実施した:参照である2重量%のナノケイ素粉末およびアルミナコーティングされたケイ素の双方の脱塩水懸濁液150mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。水性媒体のこの懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。サンプルを、中性pHから酸性pHまでは0.5MのHClで、より塩基性のpHまでは0.5MのNaOHで、自動的に滴定した。ナノケイ素粉末上の強い負の表面電荷が明確に測定された(
図19、線2参照)。ゼータ電位はpH6から2において負であった。アルミナコーティングされたケイ素の場合、粉末は、少なくともpH9から少なくともpH2.5まで正のゼータ電位を有した(
図19、線1)。
【0069】
実施例1に記載されるように電極を作製し、試験を行った。アルミナのコーティングによって電極の挙動が改善されるという結果が示された:100サイクル後、放出容量は依然としておよそ2500mAh/gであるのに対し、未処理ケイ素では1000mAh/gであった(
図7、線2参照)。1nmよりも薄いコーティングでは所望の効果が得られないことも分かった。
【0070】
実施例8b:アルミナコーティングされたケイ素:比表面積の変動
この実施例1において、BET 1m
2/g、0.001cc/g未満の開放多孔質容積(アルゴン流下150℃で1時間サンプルを予備加熱した後、77KでN
2の等温吸脱着によって、ASAP装置で測定を行った)、酸素含有量が<4重量%、初期の負のゼータ電位(水中pH7で規定される)を有する、市販のマイクロメートルサイズの粉末(Aldrich社)5gを使用し、実施例1のように処理した。
【0071】
顕微鏡写真は、ケイ素粒子の表面上のコンフォーマル(conformal)に均一で
薄い(3nm)アルミナコーティングを示す。得られた材料のゼータ電位の測定を実施例8aのように行った。ケイ素粉末上の負の表面電荷が明確に測定された。ゼータ電位はpH6から2まで負であった。アルミナコーティングされたケイ素の場合、少なくともpH7から少なくともpH2.5まで、粉末は正のゼータ電位を有した。
【0072】
実施例9:アルミナコーティングされた一酸化ケイ素
この実施例において、ナノメートルスケールのSiおよびSiO
2の混合物からなり、2m
2/gのBET、およそ32重量%の酸素含有量、初期の負のゼータ電位(水中pH7で規定される)を有する、5gのマイクロメートルサイズの一酸化ケイ素粉末を使用し、実施例1のように処理した。
【0073】
顕微鏡写真は、ケイ素粒子の表面上のコンフォーマル(conformal)に均一で薄い(3nm)アルミナコーティングを示した。この粉末のBET表面および酸素含有量は、ALD処理中に変化しなかった。得られた材料のゼータ電位の測定を以下の手順に従い実施した:参照である2重量%のナノケイ素粉末およびアルミナコーティングされたケイ素の双方の脱塩水懸濁液150mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。水性媒体のこの懸濁液のゼータ電位を、Colloidal Dynamics社のZetaprobe Analyser(商標)を用いて測定した。サンプルを、中性pHから酸性pHまでは0.5MのHClで、より塩基性のpHまでは0.5MのNaOHで、自動的に滴定した。ナノメートルサイズの一酸化ケイ素粉末上の強い負の表面電荷が明確に測定された(
図20、線2参照)。ゼータ電位はpH7から少なくとも4までは負であった。アルミナコーティングされた一酸化ケイ素の場合、粉末は少なくともpH3からpH6.8まで正のゼータ電位を有した(
図20、線1)。
【0074】
実施例10:アルミナおよび炭素がコーティングされたケイ素
この実施例において、国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製したケイ素コアと、CVD(トルエンの化学気相堆積)技術により形成した炭素コーティングとからなり、20m
2/gのBET、約4重量%の酸素含有量、およびほぼ0の初期ゼータ電位(水中pH7で規定される)を有する、5gの炭素コーティングされたナノメートルサイズのケイ素粉末を使用し、実施例1のように処理した。ALD後、粒子特性(アルミナ層厚さおよびBETおよび酸素含有量)は前実施例と類似していた。ゼータ電位測定によって正電荷の増加が測定された(上記実施例のように行った)。
【0075】
実施例11:ケイ素表面上のナノ粒子の吸着:In(OH)
3のナノ粒子
1重量%のナノケイ素(国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製した)の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。この懸濁液に、In(OH)
3/Siの比を少なくとも0.02にするために、水中に分散させた既知量の1重量%のIn(OH)
3ナノ粒子(市販品:粒度<30nm)を加えた。この混合した分散液をローラーバンク上に30分間置いた。この水酸化インジウム/ケイ素の重量比が0.02未満では、凝集体(吸着粒子を有するケイ素粒子)の電荷は負に維持された;実際には、ケイ素表面を十分に覆い、凝集体が正の平均電荷を有するための最小量の粒子が推奨される。
【0076】
実施例12:ケイ素表面上のナノ粒子の吸着:アルミナ処理されたシリカのナノ粒子
1重量%のナノケイ素(国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製した)の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。この懸濁液に、処理されたSiO
2/Siの比を少なくとも1.5にするために、水中に分散させた既知量の2重量%のアルミナ処理されたシリカ(Levasil 200s)ナノ粒子を加えた。この混合した分散液をローラーバンク上に30分間置いた。この処理されたSiO
2/ケイ素の重量比が1.5を超えると、凝集体(吸着粒子を有するケイ
素粒子)の電荷は負に維持された;実際には、ケイ素表面を十分に覆い、凝集体が正の平均電荷を有するための最小量の粒子が推奨される。
【0077】
実施例1のようにスラリーおよび電池を作製し、結果を
図15(線2)に示す。この種類のナノ粒子の吸着によって電極の挙動が改善されることが明らかであった:100サイクル後、放出容量は依然としておよそ1600mAh/gであるのに対し、未処理ケイ素では1000mAh/gであった(
図7、線2)。
【0078】
実施例13:ケイ素表面上のナノ粒子の吸着:酸化鉄のナノ粒子
1重量%のナノケイ素(国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製した)の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。この懸濁液に、Fe
2O
3/Si比を少なくとも2にするため、水中に分散させた既知量の少なくとも2重量%の酸化鉄(市販品、粒度20.25nm)ナノ粒子を加えた。この混合した分散液をローラーバンク上に30分間置いた。この酸化鉄/ケイ素の重量比が2未満では、凝集体(吸着粒子を有するケイ素粒子)の電荷は負に維持された;実際には、ケイ素表面を十分に覆い、凝集体が正の平均電荷を有するための最小量の粒子が推奨される。ナノメートルサイズのケイ素粉末上の負の表面電荷が明確に測定された。ゼータ電位はpH4.5から少なくとも9において負であった。酸化鉄がコーティングされたケイ素の場合、粉末は少なくともpH2からpH8まで正のゼータ電位を有した。
【0079】
実施例1のようにスラリーおよび電池を作製した。酸化鉄のナノ粒子の吸着によって電極の挙動が改善されることが明らかであった:100サイクル後、放出容量は依然としておよそ2000mAh/gであるのに対し、未処理ケイ素では1000mAh/gであった(
図7、線2)。同時に、吸着粒子がエネルギー貯蔵に加わる重要であることもまた観察された。実際、酸化鉄ナノ粒子は、変換プロセスにより可逆的に還元できることが知られている。
【0080】
実施例14:ケイ素表面上のナノ粒子の吸着:酸化マグネシウムのナノ粒子
1重量%のナノケイ素(国際公開第2012/000858号パンフレットに従い作製した)の脱塩水懸濁液100mlを超音波処理(225Wで120秒)によって調製した。この懸濁液に、MgO/Siの比を少なくとも1にするために、水中に分散させた既知量の少なくとも2重量%の酸化マグネシウム(市販の)ナノ粒子を加えた。この混合した分散液をローラーバンク上に30分間置いた。このMgO/ケイ素の重量比未満では、凝集体(吸着粒子を有するケイ素粒子)の電荷は負に維持された;実際には、ケイ素表面を十分に覆い、凝集体が正の平均電荷を有するための最小量の粒子が推奨される。ナノメートルサイズのケイ素粉末上の負の表面電荷が明確に測定された。ゼータ電位は少なくともpH3.5から少なくとも9において負であった。酸化鉄がコーティングされたケイ素の場合、粉末は少なくともpH2から少なくともpH9まで正のゼータ電位を有した。