(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a)生理学的に許容される賦形剤の粒子90〜99.5重量%とステアリン酸マグネシウム0.5〜10重量%とからなる、質量中央径が20ミクロン未満の混合物からなる微粒子のフラクション;
b)微粒子と粗粒子との比が2:98〜20:80重量%である、質量中央径が175ミクロン以上である生理学的に許容される賦形剤からなる粗粒子のフラクション;および
c1)微粉化粒子の状態であるフマル酸ホルモテロール二水和物;
c2)微粉化粒子の状態であるジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)、ただし、i)前記BDP粒子の10%以下が0.6ミクロン未満の体積径であり、ii)前記BDP粒子の50%以下が1.5ミクロン〜2.0ミクロンの体積径であり、iii)前記BDP粒子の少なくとも90%が4.7ミクロン未満の体積径であり、前記BDP粒子が1.3〜2.1の粒径スパンと5.5〜7.0m2/gの比表面積とによりさらに特徴付けられる;
を含んでなる、乾燥粉末吸入器(DPI)で用いるための乾燥粉末製剤。
【背景技術】
【0002】
一般的に吸入により送達される活性物質としては、気管支拡張薬、例えばベータ2アドレナリン受容体作用薬および抗コリン作用薬、コルチコステロイド、抗アレルギー性物質および他の有効成分があり、これらは吸入により効率的に投与される、すなわち治療指数を上げ、活性材料の副作用を減少させる。
【0003】
ホルモテロール、すなわち2’−ヒドロキシ−5’−[(RS)−1−ヒドロキシ−2−{[(RS)−p−メトキシ−α−メチルフェネチル]アミノ}エチル]ホルムアニリド、特にそのフマル酸塩(以下、FFと示す)は、良く知られたベータ2アドレナリン受容体作用薬であり、近年、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および関連疾患の治療において臨床的に用いられている。
【0004】
ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)は、プロピオン酸(8S,9R,10S,11S,13S,14S,16S,17R)−9−クロロ−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−17−[2−(プロピオニルオキシ)アセチル]−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナンスレン−17−イルという名の良く効く抗炎症性ステロイドであり、炎症性呼吸器疾患の予防および/または治療用に多くの銘柄で入手される。
【0005】
共溶媒としてのHFA134aとエタノールとの混合物にいずれも溶解している両方の有効成分を組み合わせて含む加圧式定量用量吸入器(pMDIs)用の製剤が、近年市販されている。これは、FF/BDP極微製剤として文献に引用されている。
【0006】
前記製剤は、高度の肺沈着および気管支樹全体への均一分布を提供し、直径1.1ミクロン以下の粒子の多量のフラクションを送達することができるという事実により特徴付けられる。特に、吸入器の作動時に、両方の有効成分について約40%の呼吸可能フラクションと約12%の直径1.1ミクロン以下の粒子のフラクションを提供する。
【0007】
前記製剤の主な利点は、そこでの炎症が喘息症状の自然悪化に役割を果たすと知られていると共にベータ2アドレナリン受容体の密度が特に高いことが知られている、呼吸樹の細気管支−肺胞遠位部分への貫入が向上していることである。
【0008】
しかしながら、その評判にも拘わらず、特に高齢および小児患者においては、吸気時にデバイスの動作と同期することが困難であることが主な理由で、不利益を有し得る。
【0009】
乾燥粉末吸入器(DPI)は、気道への薬剤の投与のためにMDIに取って代わる有効な手段を構成する。
【0010】
一方、乾燥粉末として吸入することを意図した薬剤は、微粉化粒子として用いるべきである。その体積的寄与は、薬剤が液滴として送達されるものに治療的に匹敵する製剤を設計するための障害となる。
【0011】
WO01/78693(特許文献1)は、有効成分としてホルモテロールとBDPとを組み合わせて含み、キャリアとして、粗粒子のフラクションおよび微細賦形剤粒子とステアリン酸マグネシウムからなるフラクションを含む乾燥粉末製剤を開示している。
【0012】
その作動時に、BDPの呼吸可能フラクションは約40%であり、ホルモテロールのそれは約47%である。
【0013】
より最近では、Mariottiら(2011年9月24〜28日にアムステルダムで開催されたEuropean Respiratory Society Annual Congress)が、両方の有効成分について約70%の呼吸可能フラクションを有するFF/BDP乾燥粉末製剤についてのデータを示した。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、
a)生理学的に許容される賦形剤の粒子90〜99.5重量%とステアリン酸マグネシウム0.5〜10重量%とからなる質量中央径が20ミクロン未満の混合物からなる微粒子のフラクション、
b)質量中央径が100ミクロン以上である生理学的に許容される賦形剤からなる粗粒子のフラクション(微粒子と粗粒子との比が1:99〜30:70重量%)、および
c)いずれも微粉化粒子の状態である有効成分としてのジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)と組み合わされたフマル酸ホルモテロール二水和物(ここで、i)前記BDP粒子の10%以下が0.6ミクロン未満の直径であり、ii)前記粒子の50%以下が1.5ミクロン〜2.0ミクロンの直径であり、iii)前記粒子の少なくとも90%が4.7ミクロン未満の直径である)
を含んでなる、乾燥粉末吸入器(DPI)で用いるための乾燥粉末製剤に関する。
【0017】
第二の態様において、本発明は、キャリア粒子を有効成分と混合する工程を含む本発明の乾燥粉末製剤を調製する方法に関する。
第三の態様において、本発明は、前記乾燥粉末製剤で充たされた乾燥粉末吸入器に関する。
第四の態様において、本発明は、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような炎症性または閉塞性気道疾患の予防および/または治療において用いるための前記製剤に関する。
第五の態様において、本発明は、有効量の本発明の製剤を吸入により投与することを含んでなる、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような炎症性または閉塞性気道疾患を予防および/または治療する方法に関する。
第六の態様において、本発明は、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような炎症性または閉塞性気道疾患の予防および/または治療のための薬剤の製造における前記製剤の使用に関する。
【0018】
(定義)
・「生理学的に許容される」という用語は、安全な薬理学的に不活性な物質を意味する。
・「治療有効日用量」という用語は、吸入器の作動時に吸入により投与される有効成分の量を意味する。前記1日用量は、吸入器の1回またはそれ以上の作動(発射または吹出)において送達される。
・「微粒子」という用語は、数十ミクロンまでの寸法を有する粒子を意味する。
・「微粉化」という用語は、数ミクロンの寸法を有する物質を意味する。
・「粗」という用語は、百または数百ミクロンの寸法を有する粒子を意味する。
【0019】
概して、粒子の粒径は、体積径として知られている特徴的当価球直径をレーザー回折により測定することにより定量する。粒径は、例えばふるい分析器(sieve analyser)のような適当な既知の装置により質量径を測定することにより定量することもできる。
【0020】
体積径(VD)は、粒子の密度(粒子について寸法に依存しない密度を仮定して)により質量径(MD)に相関する。本出願においては、有効成分の粒径は体積径で表し、賦形剤の粒径は質量径で表す。
【0021】
粒子は、粒子の50重量%の体積または質量径に相当する体積または質量中央径(VMDまたはMMD)として定義され、任意に、それぞれ、粒子の10%および90%の体積または質量径として定義される、正規(ガウス)分布を有する。
【0022】
粒径分布を定義するもう一つの一般的手段は、3つの値を引用することである:すなわち、i)分布の50%がそれを上回り50%がそれを下回る体積径である体積中央径d(v,0.5);ii)体積分布の90%がその値を下回るd(v,0.9);iii)体積分布の10%がその値を下回るd(v,0.1)。スパン(Span)は、10%、50%および90%の変位値に基づく分布の幅であり、以下の式により計算される。
【0024】
エアロゾル投与時、粒径は、質量空気力学径(MAD)として表され、粒径分布は、質量中央空気力学径(MMAD)として表される。MADは、空気流に支持されて運ばれる粒子の性能を意味する。MMADは、粒子の50重量%の質量空気力学径に相当する。
【0025】
・「硬質ペレット」という用語は、その核が粗賦形剤粒子からなる球状または半球状単位を意味する。
・「球形化」という用語は、治療中に生じる粒子の丸み付け工程を意味する。
・「良好な流動性」という用語は、製造工程において取扱いが容易で、治療有効量の正確かつ再現性送達を確保することができる製剤に言及する。
流動特性は、静止角、カール指数、ハウスナー比またはオリフィスを通る流速のような異なる試験により評価することができる。
【0026】
本出願の流れにおいて、流動特性は、欧州薬局方(Eur.Ph.)7.3、第7版に記載されている方法に従ってオリフィスを通る流速を測定することにより試験した。
【0027】
・「優れた均質性」という表現は、混合時に、相対標準偏差(RSD)としても知られている変動係数(CV)として表される有効成分の分布の均一性が2.5%未満、好ましくは1.5%以下である製剤に言及する。
・「呼吸可能フラクション」という表現は、患者の肺深部に到達する活性粒子の百分率の指数を意味する。
【0028】
微粒子フラクション(FPF)とも呼ばれる呼吸可能フラクションは、一般的薬局方、特に、欧州薬局方(Eur.Ph.)7.3、第7版に報告されている手順に従って、Andersen Cascade Impactor(ACI)、Multi Stage Liquid Impinger(MLSI)またはNext Generation Impactor(NGI)のような適当なインビトロ装置を用いて、好ましくはACIにより評価される。
【0029】
これは、微粒子質量(以前は微粒子投与量)と送達量との百分率比により計算される。
【0030】
送達量は、装置内での累積付着量から計算され、微粒子質量は、直径が5.0ミクロン未満の粒子の付着量から計算される。
【0031】
・「予防」という用語は、疾患の発症のリスクを低下させる手段を意味する。
・「治療」という用語は、臨床的結果を含む有益または望ましい結果を得るための手段を意味する。有益または望ましい臨床的結果としては、限定はされないが、検出可能であっても検出不可能であっても、一またはそれ以上の症状または状態の緩和または改善、疾患の程度の縮小、疾患の安定化した(すなわち、悪化していない)状態、疾患の拡大の防止、疾患進行の遅延または減速、病状の改善または緩和、および回復(部分的であっても全体的であっても)が挙げられる。この用語は、治療を受けなかった場合に予想される余命と比べて長くなる余命も意味することができる。
・「被覆」という用語は、粒子の周りにステアリン酸マグネシウムの薄膜を形成することにより賦形剤粒子の表面を覆うことを意味する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、ここに開示の特徴を有する、微粒子のフラクションa)、粗粒子のフラクションb)、および有効成分としてのジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)と組み合わされたフマル酸ホルモテロール(FF)二水和物を含んでなる乾燥粉末吸入器(DPI)において用いるための乾燥粉末製剤に関する。
【0032】
フラクションa)およびb)は、「キャリア」粒子を構成する。
【0033】
現在市販されている対応するpMDI製剤に治療的に等価なFF/BDP乾燥粉末製剤を得るためには、両方の有効成分について、多くの呼吸可能フラクション(FPF)および直径が1.1ミクロン以下の粒子の多くのフラクションを生み出すことが必要であることが、驚くべきことに発見された。これは、微粉化BDPの粒径および好ましくはその比表面積を厳密に調節することにより達成し得ることも発見された。
【0034】
予想外にも、実際、さらに、BDPの粒径分布をここに請求の値に設定することにより、呼吸可能フラクションが増加するのみならず、フマル酸ホルモテロールのフラクションも増加する(60%超と、約47%)ことが発見された。さらに、そのように選択された、狭い、明確に定義された粒径分布により特徴付けられる微粉化BDPの使用により、繰り返し投与中にその微粒子フラクション(FPF)のより優れた再現性が得られる。
【0035】
本発明の製剤は、薬剤目的での使用前に、有効成分の優れた均質性、優れた流動性、および吸入器内での充分な物理的および化学的安定性も示す。
【0036】
有利なことに、賦形剤の微粒子および粗粒子は、生理学的に許容される材料またはそれらの組み合わせからなってよく、好ましい賦形剤は結晶性糖類、特にラクトースからなるものであり、最も好ましいものは、アルファラクトース一水和物からなるものである。
【0037】
賦形剤粗粒子および賦形剤微粒子はいずれもアルファラクトース一水和物からなることが好ましい。
【0038】
微粒子のフラクションa)は、質量中央径(MMD)が20ミクロン未満でなくてはならず、有利には15ミクロン以下であり、好ましくは10ミクロン以下であり、より好ましくは6ミクロン以下である。微粒子a)の90%の質量径は35ミクロン未満が有利であり、25ミクロン未満がより有利であり、15ミクロン未満が好ましく、10ミクロン未満がより好ましい。
【0039】
フラクションa)中での賦形剤粒子とステアリン酸マグネシウムとの比は、有効成分の投与量により変わり得る。有利には、前記フラクションは90〜99.5重量%の賦形剤と0.5〜10重量%のステアリン酸マグネシウムとからなり、好ましくは95〜99重量%の賦形剤と1〜5重量%のステアリン酸マグネシウムからなる。好ましい比は、98重量%の賦形剤と2重量%のステアリン酸マグネシウムとである。有利には、ステアリン酸マグネシウムの粒子の少なくとも90重量%は、出発質量径が35ミクロン以下であり、MMDが15ミクロン以下、好ましくは10ミクロン以下である。
【0040】
有利には、ステアリン酸マグネシウムは賦形剤粒子の表面を、表面被覆の程度が少なくとも5%、好ましくは10%を超える、より好ましくは15%を超える、さらにより好ましくは35%以上であるように覆ってよい。
【0041】
賦形剤粒子がラクトースからなる場合、ステアリン酸マグネシウムにより被覆された賦形剤粒子の全表面の百分率を示す表面被覆の程度は、水接触角を測定し、次に、Colombo I et al Il Farmaco 1984,39(10),328−341の338頁に引用されると共に以下に報告している文献においてCassie and Baxterとして知られている等式を適用することにより決めることができる:
cosθ(混合物)=f(MgSt)cosθ(Mgst)+f(ラクトース)cosθ(ラクトース)
ここで、f(MgSt)およびf(ラクトース)は、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトースの表面積フラクションであり;
θ(MgSt)はステアリン酸マグネシウムの水接触角であり;
θ(ラクトース)はラクトースの水接触角であり;
θ(混合物)は実験的接触角値である。
【0042】
本発明の目的において、接触角は、本質的に角度計による測定に基づく方法を用いて決めることができる。これは、試験時に固体基質と液体との間にできる角度の直接観察を意味する。従って、実施は全く簡単であり、実験者のばらつきから生じるバイアスに制限されるのみである。しかしながら、この欠点は、コンピューター補助画像分析のような完全に自動化された手順の採用により克服することができることに注目すべきである。特に有用な手段は、圧縮により得られる円盤状の粉末の表面に液的を付着させることにより典型的に行われる液滴または静滴法(圧縮粉末円盤法)である。
【0043】
ステアリン酸マグネシウムが賦形剤粒子の表面を被覆する程度は、良く知られた汎用分析技術である捜査電子顕微鏡検査(SEM)により決めることもできる。そのような顕微鏡は、特定のタイプの原子、例えばマグネシウム原子に選択的な画像を作ることができるEDX分析器(Electron Dispersive X線分析器)を備えて良い。このようにして、賦形剤粒子の表面でのステアリン酸マグネシウムの分布について明確なデータを得ることができる。SEMは、また、既知の手順に従って、被覆の程度を決めるためにIRまたはラマン分光法と組み合わせてもよい。
【0044】
有利に用いることができるもう一つの分析技術はX線光電子分光法(XPS)であり、それにより、被覆の程度と、賦形剤粒子の周りのステアリン酸マグネシウムフィルムの深さとの両方を計算することができた。
【0045】
微粒子のフラクションa)は、WO01/78693に開示されている方法の一つにより調製することができる。好ましくは共微粉化により、より好ましくはボールミルを用いて調製することができる。ある場合には、少なくとも2時間共粉砕することが有利であると分かるかも知れないが、処理の時間は、通常、賦形剤粒子の出発粒径と、得られる所望の寸法減少に依存すると考えられる。
【0046】
本発明の好ましい態様において、ジェットミルを用いて、好ましくは不活性雰囲気、例えば、窒素雰囲気において、質量径が250ミクロ未満の賦形剤粒子および質量径が35ミクロ未満のステアリン酸マグネシウム粒子から出発して粒子を共微粉化する。
【0047】
例として、Meggle D 30またはSpherolac 100(Meggle,Wasserburg,Germany)のような市販のアルファラクトース一水和物を出発賦形剤として用いることができる。任意に、微粒子のフラクションa)を、継続出願WO2011/131663に開示された調整に従う調整工程に付してよい。
【0048】
フラクションb)の賦形剤粗粒子は、MMDが少なくとも100ミクロンでなくてはならず、好ましくは125ミクロンを超える、より好ましくは150ミクロン以上、さらにより好ましくは175ミクロン以上である。有利には、全ての粗粒子は質量径が50〜1000ミクロンであり、好ましくは60〜500ミクロンである。本発明のある態様において、前記粗粒子の質量径は80〜200ミクロンであり、好ましくは90〜150ミクロンであり、もう一つの態様において、質量径は200〜400ミクロンであり、好ましくは210〜355ミクロンである。本発明の好ましい態様において、粗粒子の質量径は210〜355ミクロンである。
【0049】
通常、当業者は、適切な分類器を用いてふるいにより賦形剤粗粒子の最も適切な寸法を選択する。粗粒子の質量径が200〜400ミクロンの場合、賦形剤粗粒子は、好ましくは、比較的高度に亀裂した表面を有する、すなわち、そこに裂け目や谷および他の陥凹部が存在し、これらを亀裂と総称する。「比較的高度に亀裂した」粗粒子は、ここで参考として援用するWO01/78695およびWO01/78693に記載された亀裂指数または皺多さ(rugosity)係数により定義することができ、それらに報告されている説明に従って特徴付けることができる。前記粗粒子は、WO01/78695に報告されているように測定されるタップ密度または総侵入体積により特徴付けることができ、その教示をここで参考として援用する。
【0050】
前記粗粒子のタップ密度は0.8g/cm
3未満が有利であり、好ましくは0.8〜0.5g/cm
3である。総侵入体積は、少なくとも0.8cm
3、好ましくは少なくとも0.9cm
3である。
【0051】
微粒子のフラクションa)と粗粒子のフラクションb)との比は、1:99〜30:70重量%、好ましくは2:98〜20:80重量%である。好ましい態様において、その比は10:90〜15:85重量%、より好ましくは10:90重量%である。
【0052】
賦形剤粗粒子b)と微粒子a)との混合工程は、典型的には、適当なミキサーにおいて、例えば、Turbula(商標)のようなタンブラーミキサー、ロータリーミキサー、またはDiosna(商標)のようなインスタントミキサーにおいて、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも30分間、より好ましくは少なくとも2時間行われる。通常は、当業者は、均質混合物を得るように、ミキサーの混合時間および回転速度を調節する。
【0053】
先に報告した定義に従った硬質ペレットを得るために球形化された賦形剤粗粒子が望まれる場合、混合工程は、典型的には、少なくとも4時間行われる。
【0054】
全てのジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)の微粉化粒子は、選択された、狭い、明確に定義された粒径分布により特徴付けられる:すなわち、i)前記粒子の10%以下が、直径が0.6ミクロン未満、好ましくは0.7ミクロン以下であり;ii)前記粒子の50%以下が、直径が1.5ミクロン〜2.0ミクロン、好ましくは1.6〜1.9ミクロンであり;iii)前記粒子の少なくとも90%が、直径が4.7ミクロン以下、好ましくは4.0ミクロン以下、より好ましくは3.8ミクロン以下である。
【0055】
BDPの特別の寸法分布は、d(v0.1)が0.8〜1.0ミクロン、好ましくは0.85〜0.95ミクロンであり、d(v0.5)が1.5〜2.0ミクロン、好ましくは1.6〜1.9ミクロンであり、d(v0.9)が2.5〜4.7ミクロン、好ましくは3.0〜4.0ミクロンであることに特徴付けられる。
【0056】
しかしながら、スパンと表現される前記BDP粒子の粒径分布の幅は1.2〜2.2でなくてはならず、好ましくは1.3〜2.1であり、より好ましくは1.6〜2.0であり、Chew et al J Pharm Pharmaceut Sci 2002,5,162−168によれば、スパンは[d(v,0.9)−d(v,0.1)]/d(v,0.5)に相当する。
【0057】
有利には、前記粒子の少なくとも99%[d(v,0.99)]が、直径が6.0ミクロン以下であり、実質的に全ての粒子が、体積径が6.0〜0.4ミクロン、好ましくは5.5〜0.45ミクロンである。
【0058】
活性粒子の寸法は、体積径として知られる特徴的当価球直径をレーザー回折により測定することにより決められる。報告された例において、体積径はMalvern装置を用いて決められたが、当業者は他の同等の装置を用いてもよい。
【0059】
有利には、BDPの微粉化粒子は、比表面積が5.5〜7.0m
2/g、好ましくは5.9〜6.8m
2/gでもある。比表面積は、当該分野で知られている手順に従ってBrunauer−Emmett−Teller(BET)窒素吸着法により決められる。
【0060】
全てのフマル酸ホルモテロール二水和物の微粉化粒子は直径が10ミクロン未満、好ましくは6ミクロン未満である。粒子の少なくとも90%が、体積径が5.0ミクロン未満であることが有利である。特別の態様において、粒径分布としては:i)粒子の10%以下が、体積径が0.8ミクロン未満であり;ii)粒子の50%以下が、体積径が1.7ミクロ未満であり;およびiii)粒子の少なくとも90%が、体積径が5.0ミクロン未満である。本発明の製剤において利用される微粉化フマル酸ホルモテロール二水和物は、比表面積が5〜7.5m
2/g、好ましくは5.2〜6.5m
2/g、より好ましくは5.5〜5.8m
2/gであることによっても有利に特徴付けられる。
【0061】
本発明の製剤で利用されるいずれの微粉化有効成分も、適当なミルにおいて粉砕することにより調製される。好ましくは、異なる直径の粉砕チャンバーを備える市販のジェットミルであるマイクロナイザーのような従来の流体エネルギーミルを用いて粉砕することにより調製される。装置のタイプおよびバッチの大きさによって、当業者は、運転圧力、供給速度および他の運転条件のようなミリングパラメーターを、所望の粒径が得られるように適切に調節する。
【0062】
特に、請求項に記載のBDPの粒径分布を達成するために、直径300mmの粉砕チャンバーを備えるジェットミルであるマイクロナイザーを利用することが非常に有利である。
【0063】
好ましい態様において、本発明は、
a)アルファラクトース一水和物の粒子98重量%とステアリン酸マグネシウム2重量%とからなる、質量中央径が6ミクロン以下の混合物からなる微粒子のフラクション、
b)質量径が212〜355ミクロンであるアルファラクトース一水和物からなる粗粒子のフラクション(微粒子と粗粒子との比が10:90重量%)、および
c)いずれも微粉化粒子の状態である有効成分としてのジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)と組み合わされたフマル酸ホルモテロール二水和物(i)前記BDP粒子の10%以下が直径[d(v,0.1)]が0.7ミクロン未満であり、ii)前記粒子の50%以下が直径[d(v,0.5)]が1.6ミクロン〜1.9ミクロンであり、iii)前記粒子の少なくとも90%が4.0ミクロン未満の直径である)
を含んでなる、乾燥粉末吸入器(DPI)において用いるための乾燥粉末製剤に関する。
【0064】
本発明は、微粒子のフラクションa)と粗粒子のフラクションb)とを両方の微粉化有効成分と混合する工程を含む、明細書に開示の乾燥粉末製剤を調製する方法にも関する。
【0065】
微粒子のフラクションと粗粒子のフラクションを含むキャリア粒子は、当業者に知られている適当な装置、例えば、Turbula(商標)ミキサーにおいて混合することにより調製することができる。二つのフラクションは、好ましくは、16rpmの回転速度で運転されているTurbula(商標)ミキサーにおいて、30〜300分間、好ましくは150〜240分間混合される。
【0066】
キャリア粒子と有効成分粒子の混合は、Turbula(商標)ミキサーのような当業者に知られた適当な装置において、最終的混合物において有効成分の均質性を達成するのに充分な時間、好ましくは30〜120分間、より好ましくは45〜100分間、成分を混合することにより実施することができる。
【0067】
任意に、別の態様において、一つの有効成分をまず、キャリア粒子の一部と混合し、残りのブレンドをふるいに通し、次に、さらなる有効成分およびキャリア粒子の残りの部分を、ふるいにかけられた混合物とブレンドし、最後に、得られる混合物をふるいにかけ、再び混合する。当業者は、粗粒子の粒径に依り、ふるいのメッシュ寸法を選択する。
【0068】
キャリア粒子と有効成分との比は、用いられる吸入器のタイプ、および要求される投与量に依存する。
【0069】
有利なことに、本発明の製剤は、吸入器の一回または複数回の作動(発射または吹出)において両方の有効成分の治療的量を配達するのに適しているかも知れない。
【0070】
例えば、製剤は、作動1回当たりホルモテロール(フマル酸二水和物として)を6〜12μg、特に作動1回当たり6μgまたは12μg送達し、作動1回当たりジプロピオン酸ベクロメタゾンを50〜200μg、特に作動1回当たり50、100または200μg送達するのに適している。治療有効日用量は、ホルモテロールが6μg〜24μg、BDPが50μg〜800μgである。
【0071】
本発明の乾燥粉末製剤は、どんな乾燥粉末吸入器でも利用できる。乾燥粉末吸入器(DPI)は、二つの基本型に分けることができる:
i)各単回投与分は通常カプセルに充填されている、活性化合物の1回分の小分け量を投与するための単回投与吸入器;
ii)より長い治療サイクルに充分な活性粒子の量が予め組み込まれた複数回投与吸入器。
【0072】
前記乾燥粉末製剤は、例えば、WO2004/012801に記載されているもののような、装置の作動により必要なときに個々の治療投与量を引き出すことができる貯蔵部を含む複数回投与DPIに特に適している。用いることができる他の複数回投与装置は、例えば、GlaxoSmithKlineのDISKUS(商標)、AstraZenecaのTURBOHALER(商標)、ScheringのTWISTHALER(商標)およびInnovataのCLICKHALER(商標)である。単回投与装置の市販例としては、GlaxoSmithKlineのROTOHALER(商標)およびBoehringer IngelheimのHANDIHALER(商標)が挙げられる。
【0073】
本発明の好ましい態様において、WO2004/012801に開示されているDPIに乾燥粉末製剤を充填する。
【0074】
製剤への湿分の侵入を避けるべき場合、EP1760008に開示されているような湿分侵入に抗することができるフレキシブル包装にDPIを包むことが望ましい。
【0075】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)および全ての型および重症度の喘息のような呼吸器疾患を含む広範囲の症状の予防および治療のために、本発明の製剤を投与することができる。慢性閉塞性気管支炎および慢性気管支炎のような炎症および粘液の存在の結果としての末梢気道の閉塞を特徴とする他の呼吸器疾患も、この種の製剤により恩恵を被る。
【0076】
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0077】
(実施例1)様々なバッチのジプロピオン酸ベクロメタゾン微粉化粒子の調製
異なるバッチのジプロピオン酸ベクロメタゾンを、直径300mmの粉砕チャンバーを備えるジェットミルマイクロナイザーMC JETMILL(登録商標)300(Jetpharma Sa,Switzerland)において粉砕した。微粉化バッチは、粒径分布と比表面積により特徴付けられた。
【0078】
粒子径は、Malvern装置を用いてレーザー回折により決めた。考慮したパラメーターは、d(v,0.1)、d(v,0.5)およびd(v,0.9)とそれぞれ表される粒子の10%、50%および90%のVDのミクロンであり、粒子について密度が寸法に依存しないと仮定すると質量径に対応する。スパン[d(v,0.9)−d(v,0.1)]/d(v,0.5)も報告されている。比表面積(SSA)は、Coulter SA3100装置を用いてBET窒素吸着により、3回の決定の平均として決めた。関連データを表1に報告する。
【0079】
【表1】
【0080】
(実施例2)微粒子のフラクションa)の調製
共微粉化粒子約40kgを調製した。粒子径が250ミクロン未満であるアルファラクトース一水和物の粒子(Meggle D 30、Meggle)と、粒径が35ミクロン未満であるステアリン酸マグネシウム粒子とを、98:2重量%の比で、窒素雰囲気下に運転しているジェットミルにおいて粉砕することにより共微粉化して、微粒子のフラクションa)を得た。処理の最後において、前記共微粉化粒子は質量中央径(MMD)が約6ミクロンであった。
【0081】
(実施例3)“キャリア”[フラクションa)+フラクションb)]の調製
実施例1の微粒子のサンプルを、質量径が212〜355ミクロンであり、ふるいにより得られたアルファラクトース一水和物の亀裂粗粒子と、90:10重量%の比で混合した。混合は、16rpmの回転速度で運転しているTurbulaミキサーにおいて240分間行った。得られる粒子の混合物を、以下、「キャリア」と称する。
【0082】
(実施例4)乾燥粉末製剤の調製
実施例3で得られた「キャリア」の一部を、Turbulaミキサーにおいて微粉化フマル酸ホルモテロール二水和物(FF)と、32rpmにおいて30分間混合し、得られるブレンドを、メッシュ寸法が0.3mm(300ミクロン)のふるいに通した。
【0083】
実施例1で得られた微粉化ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)バッチ1または4および「キャリア」の残りの部分を、ふるいにかけた混合物と、Turbulaミキサーにおいて16rpmで60分間ブレンドして最終製剤を得た。
【0084】
有効成分と「キャリア」10mgとの比は、FF二水和物6マイクログラム(理論的送達投与量は4.5マイクログラム)とBDP100マイクログラムである。
【0085】
粉末製剤は、WO2004/012801に記載の複数回投与乾燥粉末吸入器に装填した後のエアロゾル性能として特徴付けた。エアロゾル性能の評価は、欧州薬局方第6版2008,par 2.9.18, 293−295頁に報告されている条件に従ってAndersen Cascade Impactor (ACI)を用いて行った。
【0086】
3回投与量のエアロゾル化後、ACI装置を分解し、ステージ部分に沈着している薬剤を溶媒混合物で洗うことにより回収し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。以下のパラメーターを計算した:i)インパクター中に回収された装置から送達された薬剤の量である送達量;ii)粒径が5.0ミクロン以下の送達投与物の量である微粒子質量(FPM);iii)微粒子投与物の百分率である微粒子フラクション(FPF);iv)MMAD。結果(平均値±標準偏差)を表2に報告する。
【0087】
【表2】
【0088】
表2のデータから、実施例1のBDPの微粉化バッチを用いて調製した製剤は、現在市販されている対応するpMDI製剤(約40%)よりも、両方の有効成分について、より高い呼吸可能フラクション(FPF)を示している(60%よりわずかに多い)と評価することができる。これらは、直径が1.1ミクロン以下の粒子の高いフラクションも引き起こしている(両方の有効成分について25%を超える)。
【0089】
(実施例5)本発明のFF/BDP乾燥粉末製剤と、現在市販されている対応するpMDI製剤との治療同等
この研究は、WO2004/012801に開示のDPIを通して送達されるFF/BDP乾燥粉末製剤が、対応する市販のpMDI製剤に治療的に同等であることを示すために設計された。
【0090】
研究デザイン:
5方向交叉、二重盲検、ダブルダミー臨床研究
FEV
1が60%〜90%の69人の喘息患者をランダム抽出した。5回の単回試験は:DPIまたはpMDIを介して24/400μgのFF/BDP、DPIまたはpMDIを介して6/100μgのFF/BDP、およびプラセボ。
【0091】
主目的:
0〜12時間における曲線下の強制呼気量体積の面積であるFEV
1 AUC
0−12h
FEV1は、1秒で強制的に吐き出すことができる空気の最大量である。
【0092】
結果:
FEV
1AUC
0−12hについては、低投与量でも高投与量でも製剤間の非劣性が示された。両方の投与量が、プラセボよりも著しく優れていた。FEV
1AUC
0−12hにおいて両方の製剤について高投与量対低投与量の優位性が示され、DPIの統計的有意性が得られた。安全性および認容性は良好で匹敵していた。
【0093】
(実施例6)本発明のFF/BDP乾燥粉末製剤と現在市販されている対応するpMDI製剤との治療的同等性のさらなるエビデンス
研究の目的は、WO2004/012801に開示されているDPIを介して送達される6/100μg FF/BDP乾燥粉末製剤(以下、FF/BDP DPI)の効果を、同じ投与量の市販の対応するpMDI製剤(以下、FF/BDP pMDI)および市販の100μg BDP DPI製剤(Clenil Pulvinal(登録商標):以下、BDP DPI)に対して試験することであった。
【0094】
研究デザイン:
成人喘息患者において、第3相で8週間の、多国籍、多施設、ランダム抽出、二重盲検、トリプルダミー、実薬対照、3−アームパラレル群臨床試験を行った。各製剤の一日2回吸入を、治療の1か月間行った。
【0095】
主目的:
平均投与前午前最大呼気流量(PEF)におけるベースラインから全治療期間への変化において、FF/BDP DPIがFF/BDP pMDIに劣っていないことを示す。
【0096】
PEFは、空気を吐き出す人の性能をモニターするために用いられる小さな携帯型装置である最大呼気流量計を用いて測定した人の最大呼気速度である。これは、気管支を通る空気の流れを測定し、軌道における閉塞の程度を測定する。
【0097】
第2の目的:
平均投与前午前PEFにおけるベースラインから全治療期間への変化において、FF/BDP DPIがBDP DPIに対して優れていることを評価する
他の肺機能パラメーターおよび臨床的結果の測定に対するFF/BDP DPIの効果、および安全性および認容性を評価する。
【0098】
結果:
主要有効性変数において、FF/BDP DPIがFF/BDP pMDIに対して劣っていないことが示された。投与前午前PEFと同じ結果が、投与前午後PEFについて得られた。毎日のPEF変動において、治療間の有意差は観察されなかった。FF/BDP DPIおよびFF/BDP pMDIの両方がBDP DPIに対して優れていることも示された。FF/BDP DPI製剤は、安全性および認容性において、FF/BDP pMDIに匹敵していると分かった。