特許第6104303号(P6104303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104303
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20170316BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20170316BHJP
   D06F 58/28 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   F24F11/02 102D
   F24F11/02 102H
   F24F11/02 103A
   B01D53/26
   D06F58/28 C
   D06F58/28 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-64807(P2015-64807)
(22)【出願日】2015年3月26日
(62)【分割の表示】特願2013-503354(P2013-503354)の分割
【原出願日】2012年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-158353(P2015-158353A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】特願2011-48962(P2011-48962)
(32)【優先日】2011年3月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 善行
(72)【発明者】
【氏名】柴田 英雄
(72)【発明者】
【氏名】壁田 知宜
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−219582(JP,A)
【文献】 特開2009−287813(JP,A)
【文献】 特開平04−317698(JP,A)
【文献】 特開平07−012386(JP,A)
【文献】 特開2010−185597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
B01D 53/26
D06F 58/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中に含まれる水分を除去するための除湿手段と、
室内の空気を吸気し、前記除湿手段を通過させて得られた乾燥空気を室内に吹き出す送風手段と、
乾燥空気の風向を可変可能な風向可変手段と、
前記風向可変手段に取り付けられて、該風向可変手段が送風可能な範囲内の被乾燥物の表面温度を検出する赤外線センサーと、
室内の湿度を検出する湿度検出手段と、
室内の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段、前記湿度検出手段、及び前記赤外線センサーの検知結果に基づき、前記除湿手段と前記送風手段と、前記風向可変手段とを制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、運転を開始すると、前記除湿手段を動作させて除湿運転を行う前に、前記送風手段のみを動作させて送風運転を開始させ、
前記送風運転を行うと共に、前記湿度検出手段により検知された室内空気の検知湿度が所定湿度より低いか否かを判定し、室内空気の湿度が所定湿度より高い場合、または、前記温度検出手段により検知された室内空気の検知温度が所定温度より低いか否かを判定し、室内空気の温度が所定温度より低い場合には、直ちに除湿運転を開始し、
前記湿度検出手段で検出した湿度が所定湿度以下、かつ、前記温度検出手段で検出した温度が所定温度以上の場合は、所定時間内での前記湿度検出手段により検出された湿度の最大値を検出し、この湿度の最大値を検出する所定時間が経過した後、この検出した湿度の最大値に基づき残りの送風運転の時間を決定するとともに、前記赤外線センサーの検知結果により配置位置が特定された前記被乾燥物に前記送風手段から吹き出された空気が当たるように前記風向可変手段を被乾燥物の方向に向けさせ、決定された前記送風運転の時間の経過後に前記送風運転とともに前記除湿運転を開始させることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記湿度の最大値に基づき決定される残りの送風運転の時間を、前記湿度の最大値が大きいほど長く設定することを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の湿気を除湿する空気調和機であって、特に室内に干された被乾燥物である洗濯物を乾燥する機能を有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、赤外線検出手段による温度検出結果と、温度検出手段による室内雰囲気温度検出結果を制御手段が比較することで、被乾燥物の吸収した水分蒸発による顕熱低下を認識し、被乾燥物の顕熱低下による室内温度より低い温度分布の所在を被乾燥物の配置範囲と判断する空気調和機がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−240100号公報(図3図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の空気調和機において、検出した温度に基づいて除湿運転を制御するので、湿度が低く衣類が乾燥しやすい環境条件であっても、除湿動作を行い無駄な除湿運転を行ってしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決する為になされたものであり、環境条件によって運転を制御し、省エネルギー性能を高めた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する為には、空気中に含まれる水分を除去するための除湿手段と、室内の空気を吸気し、除湿手段を通過させて得られた乾燥空気を室内に吹き出す送風手段と、乾燥空気の風向を可変可能な風向可変手段と、風向可変手段に取り付けられて、風向可変手段が送風可能な範囲内の被乾燥物の表面温度を検出する赤外線センサーと、室内の湿度を検出する湿度検出手段と、室内の温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段、湿度検出手段、及び赤外線センサーの検知結果に基づき、除湿手段と送風手段と、風向可変手段とを制御する制御手段を備え、制御手段は、運転を開始すると除湿手段を動作させて除湿運転を行う前に、送風手段のみを動作させて送風運転を開始させ、送風運転を行うと共に、湿度検出手段により検知された室内空気の検知湿度が所定湿度より低いか否かを判定し、室内空気の湿度が所定湿度より高い場合、または、温度検出手段により検知された室内空気の検知温度が所定温度より低いか否かを判定し、室内空気の温度が所定温度より低い場合には、直ちに除湿運転を開始し、湿度検出手段で検出した湿度が所定湿度以下、かつ、温度検出手段で検出した温度が所定温度以上の場合は、所定時間内での湿度検出手段により検出された湿度の最大値を検出し、この湿度の最大値を検出する所定時間が経過した後、この検出した湿度の最大値に基づき残りの送風運転の時間を決定するとともに、赤外線センサーの検知結果により配置位置が特定された被乾燥物に送風手段から吹き出された空気が当たるように風向可変手段を被乾燥物の方向に向けさせ、決定された送風運転の時間の経過後に送風運転とともに除湿運転を開始させるように構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、環境条件の検出結果によって、被乾燥物が送風を用いても乾く条件と判断した場合は、衣類乾燥運転の前半で送風運転を行い、運転後半時に除湿運転で仕上げる。これにより、通常の除湿運転による衣類乾燥運転と比較すると消費電力を抑えることができる。
また、検出した室内空気の湿度の最大値に基づき残りの送風運転の時間を決定するので、室内空気の湿度の状況に適合した効率のよい送風制御を行うことが可能となる。
また、送風では十分に乾燥できない条件と判断した場合は、送風運転を行わないで除湿運転に移行する制御を行うことで、環境条件によらず、被乾燥物が未乾燥とならないように運転終了時には被乾燥物を乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る空気調和機を示す外観斜視図。
図2】実施の形態に係る空気調和機の内部を示す概略構成図。
図3図1の風向変更手段を拡大して示す概略斜視図。
図4】実施の形態に係る空気調和機の赤外線センサーの検出範囲を示す概念図。
図5】実施の形態に係る空気調和機の衣類乾燥モードの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態に係る空気調和機を示す外観斜視図。図2は、実施の形態に係る空気調和機の内部を示す概略構成図。図3は、図1の風向変更手段を拡大して示す概略斜視図。図4は、実施の形態に係る空気調和機の赤外線センサーの検出範囲を示す概念図である。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態の空気調和機は、自立可能に構成された空気調和機筐体100と、空気調和機筐体100内に室内空気Aを取り込むための吸込口101と、吸込口101に取り込まれた空気から除去された水分を溜める貯水タンク102と、水分が除去された乾燥空気Bを空気調和機筐体100から室内へ排出する排気口103とで構成されている。
【0011】
排気口103には、乾燥空気Bの風向を可変可能な風向可変手段1が設けられている。この風向可変手段1は、鉛直方向の風向を可変する縦方向ルーバー1aと、水平方向の風向を可変する横方向ルーバー1bとによって構成されている。
また、貯水タンク102は、空気調和機筐体100に着脱可能に取り付けられている。
【0012】
次に、図2に示すように、空気調和機筐体100の内部には、吸込口101から室内空気Aを吸い込んで排気口103から乾燥空気Bを排出するという一連の気流を発生させる送風ファン2(送風手段)と、送風ファン2を回転させるファンモーター2aと、吸込口101から吸引された室内空気Aの温度を検出する温度センサー3(温度検出手段)と、室内空気Aの湿度を検出する湿度センサー4(湿度検出手段)と、室内空気Aに含まれる水分を除去して乾燥空気Bを生成する除湿手段5と、縦方向ルーバー1aを鉛直方向に可変する縦方向可変モーター1cと、横方向ルーバー1bを水平方向に可変する横方向可変モーター1dと、表面温度検出手段である赤外線センサー6と、各種情報を表示する表示部(図示せず)と、制御回路7(制御手段)とが備えられている。
【0013】
これらの各種センサーは、検知信号が制御回路7へ入力可能となるように、制御回路7に接続されている。また、除湿手段5や表示部や各種モーターは、使用者の操作入力や各種センサーの入力値に基づいて制御手段により制御可能となるように制御回路7に接続されている。
【0014】
次に、除湿手段5は、空気中の水分を除去して凝縮させることができるものであれば良く、例えば、最も一般的なものとして、ヒートポンプ回路を構成し蒸発器において空気中の水分を凝縮させる方式や、吸着剤によって除去された空気中の水分を熱交換器で凝縮させるデシカント方式などが用いられている。
そして、除湿手段5によって室内空気Aから除去された水分は、凝縮水Cとして貯水タンク102に貯留される。
【0015】
次に、図3に示すように、縦方向ルーバー1aは、空気調和機筐体100の幅方向に延びる長方形状の開口を有し、前述した縦方向可変モーター1cの回転軸をほぼ軸として鉛直方向に可変可能に構成されている。
横方向ルーバー1bは、縦方向ルーバー1a内に等間隔に配置され、縦方向ルーバー1aの開口の反対側の奧に水平方向に可変可能に軸支され、前述した横方向可変モーター1dの駆動に連動するように構成されている。
【0016】
赤外線センサー6は、縦方向ルーバー1a内に配置されたほぼ中央の横方向ルーバー1bの片面に取り付けられている。
これにより、赤外線センサー6による被乾燥物などの表面温度の検出範囲は、風向可変手段1によって可変される乾燥空気Bの方向とほぼ同一となる。つまり、赤外線センサー6は、風向可変手段1が送風可能な範囲内の全領域の表面温度を検出することができる。
【0017】
次に、赤外線センサー6は、例えば、熱起電力効果を利用したものが用いられており、所定領域の表面から発せられる熱放射(赤外線)を受ける赤外線吸収膜6aと、赤外線吸収膜6aの温度を検出するサーミスタ6bとで構成されている(図2図3参照)。
この赤外線センサー6は、熱放射を吸収することによって昇温する赤外線吸収膜6aの感熱部分の温度(温接点)と、サーミスタ6bによって検出される赤外線吸収膜6aの温度(冷接点)との差を電圧等の電気信号に変換し、後述する制御回路7に入力する。この電気信号の大きさから所定領域の表面温度を判別できる。
【0018】
ここで、所定領域の表面温度の検出方法について図4を用いて説明する。
図4に示すように、赤外線センサー6が検出可能な全領域を全走査範囲200とした場合、全走査範囲200は、横方向(水平方向)、縦方向(鉛直方向)に拡がる面状の範囲となる。
この赤外線センサー6は、全走査範囲200を水平方向と鉛直方向に対して、複数に分割された分割エリア201毎に表面温度を検出するように制御される。これにより、広範囲の領域に対して詳細な温度マップを作成することができる。
【0019】
次に、前述した制御回路7は、操作部(図示せず)のスイッチ操作から除湿モードが選択されたことを検知した場合には、室内の湿度が最適湿度となるように、風向可変手段1を駆動して排気口103から送風可能にし、ファンモーター2aを駆動して送風ファン2を回転させ、除湿手段5を駆動する。
また、制御回路7は、室内の所望領域の方向に送風されるように、風向可変手段1の縦方向可変モーター1cと横方向可変モーター1dを駆動する。これにより、室内空気Aは、吸込口101から空気調和機筐体100内に取り込まれ、温度センサー3及び湿度センサー4によりそれぞれ室内の温度と湿度が検出された後、除湿手段5により除湿されて乾燥空気Bとなり、排気口103から室内に吹き出される。
【0020】
また、制御回路7は、被乾燥物である洗濯物の乾燥モードの運転開始を検知したときには、前述したように、風向可変手段1を駆動して排気口103から送風可能にし、ファンモーター2aを駆動して送風ファン2を回転させ、除湿手段5を駆動する。
その後、制御回路7は、空気調和機筐体100内に取り込まれた室内空気Aから室内の湿度を、湿度センサー4を介して読み込んで、その湿度が所定湿度より高いかどうかを判定する。
【0021】
制御回路7は、室内の湿度が所定湿度より高いときには、室内の湿度が所定湿度に達するまで除湿手段5の除湿能力が最大となるようにファンモーター2a及び風向可変手段1を制御する。
そして、制御回路7は、その制御により室内の湿度が所定湿度まで低下したときには、赤外線センサー6を用いて洗濯物の配置範囲を特定し、その範囲に乾燥空気Bが当たるように縦方向可変モーター1cと横方向可変モーター1dを制御し、縦方向ルーバー1aと横方向ルーバー1bを洗濯物の方向に向ける。所定湿度は、予め室内の温度に応じて設定された湿度で、データとして制御回路7に設定されている。
【0022】
次に、環境条件の検出結果によって、除湿運転と送風のみの送風運転を組み合わせて被乾燥物の乾燥を行う、いわゆる「衣類乾燥エコ干しモード」が選択されたときの制御回路7及び各部の動作について図5を用いて説明する。
図5は実施の形態に係る空気調和機の乾燥モードのときの動作を示すフローチャートである。尚、「通常の除湿運転」の動作については、先に述べているので省略する。
【0023】
空気調和機の制御回路7は、衣類乾燥エコ干しモードが選択されたことを検知し、運転を開始すると、運転開始からの総運転時間T1の測定を開始する(S0)と共に、風向可変手段1を駆動して排気口103から送風可能にし、ファンモーター2aを駆動して送風ファン2を回転させて送風を開始する(S1)。尚、この段階では、除湿運転は行っていない。
この時に制御回路7は、濡れた衣類は、送風を受けることにより水分が気化することにより周囲の温度より低くなる。この温度が低い位置を赤外線センサー6で検知することにより、被乾燥物である衣類が位置する範囲を検知する(S2)。
【0024】
次に、室内空気Aの温度RTと湿度RH1を測定する工程に入る。
まず、制御回路7は、温度RTと湿度RH1を検知するための所定時間α(制限時間)を計測するタイマーをスタートさせる(S3)。そして、送風ファン2により吸込口101から空気調和機筐体100内部へ吸引された室内空気Aを、温度センサー3と湿度センサー4により、それぞれ温度RTと湿度RH1を検知する(S4)。
所定時間αとは、たとえば送風時間決めるための、湿度条件・温度条件を加味した計算による送風時間Ts決定のために用いる基準の時間となるものである。
【0025】
次に制御回路7は、検知した室内空気Aの湿度RH1を読み込み、所定湿度と比較する。所定湿度は、たとえば80%以上の湿度が高い状態を検知したときである。
湿度RH1が所定湿度より低い場合はS6に移行し、湿度RH1が所定の湿度より高い場合はS11に移行して除湿運転を開始する(S5)。
次に制御回路7は、検知した室内空気Aの温度RTを読み込み、所定温度と比較する。所定温度は、たとえば15℃以下となる状態を検知したときである。
温度RTが所定温度より高い場合はS7に移行し、温度RTが所定の温度より低い場合はS11に移行して除湿運転を開始する(S6)。
【0026】
このS6からS7に移行する場合の室内空気Aの状態は、比較的、湿度も低く温度も高い状態であることから、濡れた衣類が乾燥しやすい状態といえる。
また、S5及びS6においてS11に移行する状態は、送風では十分に乾燥できない条件である。つまり、送風運転を行わず、直接除湿運転に移行し被乾燥物が未乾燥とならないように制御を行うための判断である。
【0027】
次に制御回路7は、湿度RH1が所定湿度より低く、かつ、温度RTが所定温度より高い場合は、所定時間α内の湿度の最大値RHMを検出する制御を実行し、S8へ移行する(S7)。そして制御回路7は、所定時間α内の湿度の最大値RHMを検出した場合はS9へ移行し、湿度の最大値RHMを検出していない場合はS3に移行する(S8)。
ここで湿度の最大値RHMの検出方法は、所定時間α内で検知した湿度RH1の内、最も大きい湿度を湿度の最大値RHMとしてもよく、また、湿度RH1が上昇から下降に転じたときの湿度を湿度の最大値RHMとしてもよい。
【0028】
次に制御回路7は、検出した湿度の最大値RHMに基づき、残りの送風時間Tsの計算を行いS10に移行する(S9)。ここで送風時間Tsは、湿度の最大値RHMが大きいほど、長く時間設定される。これにより、湿度が高くても除湿運転の時間を短くすることができ、より省エネ効果を得られる。
そして、制御回路7は、上記のように設定された残りの送風時間Tsの間、送風運転を続けた後、S11へ移行し送風のみの運転を終了する(S10)。
【0029】
次に制御回路7は、除湿運転を開始してS12に移行し、送風ファン2と除湿手段5を動作させ、除湿運転開始からの除湿運転時間T2の計測を開始して、S13に移行する(S12)。
これにより、送風ファン2の回転により室内空気Aが吸込口101から空気調和機筐体100内に取り込まれ、排気口103から乾燥空気Bが吹き出され続ける。この時、制御回路7は、温度センサー3により検出された室内の温度を読み込み、湿度センサー4により検出された室内の湿度を読み込み続ける。
【0030】
次に制御回路7は、除湿運転開始からの除湿運転時間T2が30分を経過したか否かを判定し、除湿運転時間T2が30分を越える場合にはS14に移行する(S13)。
【0031】
次に制御回路7は、室内空気Aの湿度RH1が50%以下であるか否かを判定する(S14)。室内空気Aの湿度RH1が50%以下である場合はS15に移行し、室内空気Aの湿度RH1が50%を超えている場合はS19に移行する。
そして制御回路7は、S19において、運転開始からの総運転時間T1が、予め定めた運転の制限時間(リミット時間)である12時間を越えるか否かを判定する。総運転時間T1が12時間を越えない場合は、S14に移行し、総運転時間T1が12時間を越える場合は、S21に移行して強制終了処理が行われる。
【0032】
次に制御回路7は、除湿運転の残り時間TLを除湿運転開始からの除湿運転時間T2と室内空気Aの温度RTより算出(S15)した後、S16に移行して表示部に残り時間TLを表示して、S17に移行する。
次に制御回路7は、室内空気Aの湿度RH1が50%以下であるか否かを判定する(S17)。室内空気Aの湿度RH1が50%以下である場合はS18に移行して、追加の除湿運転を行った後、運転を終了する。室内空気Aの湿度RH1が50%を超えている場合はS20に移行する。
そして、制御回路7は、S20において、運転開始からの総運転時間T1が、予め定めた運転の制限時間(リミット時間)である12時間を越えるか否かを判定する。総運転時間T1が12時間を越えない場合は、S16に移行し、総運転時間T1が12時間を越える場合は、S21に移行して強制終了処理が行われる。
【0033】
以上のように制御回路7により各部を動作させることで、除湿運転の前に送風のみの送風運転を組み合わせて運転するので、消費電力を抑えて被乾燥物である衣類の乾燥運転を行うことが可能となる。
特に、環境条件の検出結果によって、被乾燥物が送風を用いても乾く条件と判断した場合は、衣類乾燥運転の前半で送風運転を行い、運転後半時に除湿運転で仕上げる。これにより、通常の除湿運転による衣類乾燥運転と比較すると消費電力を抑えることができる。
【0034】
また、室内空気の温度や湿度を検知して、送風では十分に乾燥できない条件と判断した場合(S5、S6)は、送風のみの運転を中止して除湿運転に移行する制御を行うので、環境条件によらず、被乾燥物が未乾燥とならないように運転終了時には被乾燥物を乾燥させることができる。
また、室内空気の湿度に基づき送風運転の時間を決定するので、室内空気の湿度の状況に適合した効率のよい送風制御を行うことが可能となる。
【0035】
以上の実施の形態にて用いた制御の基準となる数値は一例であり、本発明は前述の数値に限ったものではない。また、これらの基準となる数値は、空気調和機を使用する環境や使用者の好みに応じて、適宜設定変更を可能に構成しても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 風向可変手段、1a 縦方向ルーバー、1b 横方向ルーバー、1c 縦方向可変モーター、1d 横方向可変モーター、2 送風ファン(送風手段)、2a ファンモーター、3 温度センサー(温度検出手段)、4 湿度センサー(湿度検出手段)、5 除湿手段、6 赤外線センサー、6a 赤外線吸収膜、6b サーミスタ、7 制御回路(制御手段)、100 空気調和機筐体、101 吸込口、102 貯水タンク、103 排気口、200 全走査範囲、201 分割エリア、A 室内空気、B 乾燥空気。
図1
図2
図3
図4
図5