特許第6104331号(P6104331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104331ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤および抗糖尿病薬剤を含む組合せ物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104331
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤および抗糖尿病薬剤を含む組合せ物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/40 20060101AFI20170316BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170316BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 38/28 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   A61K31/40
   A61P43/00 111
   A61P43/00 121
   A61P3/10
   A61K37/26
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-151372(P2015-151372)
(22)【出願日】2015年7月31日
(62)【分割の表示】特願2011-76253(P2011-76253)の分割
【原出願日】2001年1月19日
(65)【公開番号】特開2015-214572(P2015-214572A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2015年8月31日
(31)【優先権主張番号】09/489,234
(32)【優先日】2000年1月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】09/619,262
(32)【優先日】2000年7月19日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ベルク・バルカン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エドワード・ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】ダビト・グレンビル・ホルメス
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン・バーナード・ビルハウアー
【審査官】 中尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第99/038501(WO,A1)
【文献】 PAULY,R.P. et al.,"Improved Glucose Tolerance in Rats Treated With the Dipeptidyl Peptidase IV (CD26) Inhibitor Ile-Thiazolidide",Metabolism,1999年 3月,Vol.48,No.3,P.385-389
【文献】 DEACON,C.F. et al.,"Dipeptidyl Peptidase IV Inhibition Potentiates the Insulinotropic Effect of Glucagon-Like Peptide 1 in the Anesthetized Pig",Diabetes,1998年 5月,Vol.47,No.5,P.764-769
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/40
A61K 38/28
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離または薬学的に許容される塩の形態のジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP-IV)阻害剤および少なくとも1つのさらなる抗糖尿病性化合物または該化合物の薬学的に許容される塩を含む、同時に、別々に、または連続的に使用するための組合せ医薬であって、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP-IV)阻害剤が(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジンであり、さらなる抗糖尿病性化合物が、インスリンであり、DPP-IV仲介状態が、糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)、及び空腹時血糖値異常状態、からなる群より選択されるものである、DPP-IV仲介状態を予防、進行遅延または処置するための組合せ医薬。
【請求項2】
同時に、別々に、または連続的に使用するための組合せ製剤である、請求項に記載の組合せ医薬。
【請求項3】
同時に、別々に、または連続的に使用するとの指示と共にキットに含まれている、請求項1又は2に記載の組合せ医薬。
【請求項4】
DPP-IV仲介状態を予防、進行遅延または処置するための医薬であって、(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジンを遊離または薬学的に許容される塩の形態で含有し、インスリンと併用されることを特徴とする医薬であって、DPP-IV仲介状態が、糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)、及び空腹時血糖値異常状態、からなる群より選択されるものである、DPP-IV仲介状態を予防、進行遅延または処置するための医薬
【請求項5】
インスリンと同時に、別々に、または連続的に使用される、請求項に記載のDPP-IV仲介状態を予防、進行遅延または処置するための医薬。
【請求項6】
同時に、別々に、または連続的に使用するとの指示及びインスリンと共にキットに含まれる、請求項4又は5に記載のDPP-IV仲介状態を予防、進行遅延または処置するための医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP-IV)阻害剤と、好ましくはタンパク質チ
ロシンホスファターゼ(PTPases)阻害剤、非小分子模倣化合物およびグルタミン-フルクト
ース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤のようなインスリン情報伝達モジ
ュレーター、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホス
ファターゼ(F-1,6-BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)阻害剤、グルカゴン
受容体アンタゴニストおよびホスホエノールピルビン酸・カルボキシキナーゼ(PEPCK)阻
害剤のような異常調節された肝グルコース産生に影響する化合物、ピルビン酸デヒドロゲ
ナーゼ・キナーゼ(PDHK)阻害剤、インスリン増感剤、インスリン分泌促進剤、α-グルコ
シダーゼ阻害剤、胃排出阻害剤、インスリンおよびα2-アドレナリンアンタゴニストから
なる群から選択される少なくとも1つのさらなる抗糖尿病性化合物を含む、特にジペプチ
ジルペプチダーゼ−IV阻害剤(DPP-IV)仲介状態、特に糖尿病、より具体的には2型糖尿病
、耐糖能障害(IGT)状態、空腹時血糖値異常状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、
関節炎、肥満および骨粗しょう症の予防、進行遅延または処置において、同時に、別々に
または連続的に使用するための、それぞれ組合せ製剤または医薬組成物などの組合せ物;
かかる状態の予防、進行遅延または処置のための医薬製剤の製造のためのかかる組合せ物
の使用;美容的に有益な減量を行うための哺乳動物の美容的処置におけるかかる組合せ物
の使用;DPP-IV仲介状態を予防、進行遅延または処置するための方法;温血動物の体型(b
odily appearance)を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DPP-IVはGLP-1を不活性化する。より具体的に、DPP-IVはGLP-1受容体アンタゴニストを
生成することにより、GLP-1に対する生理的応答を短くする。GLP-1は、膵臓インスリン分
泌の主要な促進物質であって、グルコース処理に対して直接の有益な作用を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)の特徴は、末梢性インスリン抵抗性の増加と異
常なインスリン分泌である。インスリン分泌について少なくとも3種の異常が認められて
いる。第一相でインスリン分泌がなくなり、第二相でインスリンが循環グルコースレベル
増加に対して遅延しかつ不適切である。グルコース、アミノ酸および消化管性ペプチドを
含むいくつかの代謝性物質、ホルモン性物質および薬理学的物質が、インスリン分泌を促
進することが知られている。糖尿病の管理および合併症についての試験(DCCT)によって、
血糖の低下が糖尿病性微血管合併症の発症および進行の低下に関連することが明らかにな
っている(Diabetes Control and Complications Trial Research Group;N. Engl. J. Me
d. 1993, 329, 977-986)。耐糖能障害(IGT)は2型糖尿病に密接に関連するグルコース
・ホメオスタシスの障害である。両状態が大血管系の疾患に大きい危険性をもたらす。従
って、一つの治療上の焦点は、2型糖尿病、空腹時血糖値異常状態または耐糖能障害(I
GT)がある患者において、血糖管理を最適化し、そして潜在的に標準化することにある
。この治療目標によく適合するために、現在利用可能な薬剤を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、遊離または薬学的に許容される塩の形態のジペプチジルペプチダーゼ−IV(D
PP-IV)阻害剤、および少なくとも1つのさらなる抗糖尿病性化合物または該化合物の薬学
的に許容される塩、および場合により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む、
同時に、別々にまたは連続的に使用するための組合せ物に関する。
【0005】
特にDPP-IV仲介状態、特に耐糖能障害(IGT)状態、空腹時血糖値異常状態、代謝性ア
シドーシス、ケトーシス、関節炎、肥満および骨粗しょう症、好ましくは糖尿病、特に2
型糖尿病において、同時に、別々にまたは連続的に使用するために;この抗糖尿病性化合
物は、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPases)阻害剤、非小分子模倣化合物および
グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤のようなイン
スリン情報伝達モジュレーター、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)阻害剤、フルク
トース-1,6-ビスホスファターゼ(F-1,6-BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)
阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニストおよびホスホエノールピルビン酸・カルボキシ
キナーゼ(PEPCK)阻害剤のような異常調節された肝グルコース産生に影響する化合物、ピ
ルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナーゼ(PDHK)阻害剤、インスリン増感剤、インスリン分泌
促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、胃排出阻害剤、インスリンおよびα2-アドレナリン
アンタゴニストまたは該化合物の薬学的に許容される塩、および場合により少なくとも1
種の薬学的に許容される担体よりなる群から選択するのが好ましい。該組合せ物は、好ま
しくは組合せ製剤または医薬組成物である。DPP-IV阻害剤はペプチド性または非ペプチド
性であり得る。好ましくは、DPP-IV阻害剤は非ペプチド性である。
【0006】
本開示において特にことわらない限り、「低級」と明示した有機基は7個を越えない、
好ましくは4個を越えない炭素原子を含有し、以下の表現は下記の意味を有する。
【0007】
ハロゲンは、好ましくはフルオロ、クロロまたはブロモである。
低級アルキルは、特にことわらない限り、好ましくはエチルまたは、最も好ましくはメ
チルである。(C1-8)アルキルは、分枝または好ましくは非分枝のアルキル、好ましくは低
級アルキル、例えばメチルまたはエチルである。
【0008】
低級アルキレンは、好ましくはメチレン、エチレンまたはプロピレンである。これは、
非置換であるか、または例えばヒドロキシにより置換されていることがある。
低級アルコキシは、好ましくはメトキシまたはエトキシである。(C2-4)アルコキシは、
例えばエトキシまたはプロポキシである。
【0009】
シクロアルキルは、例えばC3-C12シクロアルキル、好ましくはシクロプロピル、シクロ
ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロデシル;または
ビシクロヘプチルなどのビシクロアルキルである。シクロアルケニルは、好ましくは1-シ
クロヘキセニル、2-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、1-シクロペンテニルまたは
1-シクロペンテニルである。
(C1-3)ヒドロキシアルキルは、例えば3-ヒドロキシプロピル、1-ヒドロキシエチルまた
はヒドロキシメチルである。
【0010】
非置換であるか1個または2個の低級アルキル基で置換されたC4-C6-アルキレンイミノ
は、例えば、ピロリジニル、メチルピロリジニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-
ピペリジニル、2-メチル-1-ピペリジニルまたはヘキサメチレンイミノである。好ましく
は、C4-C6-アルキエンイミノは1-ピペリジニルである。
【0011】
上に定義したように場合により置換された[3.1.1]二環性炭素環部分は、好ましくは、
場合により6-位をメチルで2置換されたビシクロ[3.1.1]ヘプト-2-イル、または場合によ
り2-位を1つのメチルで6-位を2つのメチルで3置換されたビシクロ[3.1.1]-ヘプト-3-
イルである。上に定義したように場合により置換された[2.2.1]二環性炭素環部分は、好
ましくはビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イルである。
【0012】
アリールは、好ましくは6〜12個の炭素原子を含み、例えばフェニル、トリルまたはナ
フチルであり、その夫々は例えば低級アルキルまたはハロゲンで置換されていることがあ
る。
【0013】
用語「ヘテロアリール」は、例えば、下記よりなる群から選択する芳香族複素環基を意
味する。ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾ
リル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサ
ゾリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾ
リル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル
、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼピニル、4-ピペリジニル、ピリジル、ピラジニル、
ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル
、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3-ジオキソラン、イン
ドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾイル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、キノ
リニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピ
ラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シ
ンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル、ジヒド
ロベンゾイソチアゾリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニルおよびテトラ
ヒドロキナゾリニル。
【0014】
好ましい DPP-IV阻害剤は、遊離形態または酸付加塩形態の式(I)
【化1】
〔式中、Rは下記:
a) R1R1aN(CH2)m-(ここで、
R1は、場合により低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シ
アノまたはニトロでモノ-または独立的にジ-置換されたピリジニルまたはピリミジニル部
分;または場合により低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンでモノ-または独立
的にジ-置換されたフェニルであり;
R1aは、水素または(C1-8)アルキルであり;
mは、2または3である);
b) 場合により1-位を(C1-3)ヒドロキシアルキルでモノ置換された(C3-12)シクロアルキル

c) R2(CH2)n-(ここで、
R2は、場合により低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンまたは場合によりフェニル
環がヒドロキシメチルでモノ置換されたフェニルチオで、モノ-または独立的にジ-または
独立的にトリ-置換されたフェニル;(C1-8)アルキル;場合により(C1-8)アルキルでモノ-
または多-置換された[3.1.1]二環性炭素環部分;場合により低級アルキル、低級アルコキ
シまたはハロゲンでモノ-または独立的にジ-置換されたピリジニルまたはナフチル部分;
シクロヘキセン;またはアダマンチルであり;かつ
nは、1〜3であるか;または
R2は、場合により低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンでモノ-または独立的
にジ-置換されたフェノキシであり;かつ
nは、2または3である);
d) (R3)2CH(CH2)2-(ここで、各R3は、独立的に、場合により低級アルキル、低級アルコキ
シまたはハロゲンでモノ-または独立的にジ-置換されたフェニルである);
e) R4(CH2)p-(ここで、R4は2-オキソピロリジニルまたは(C2-4)アルコキシであり;そし

pは、2〜4である);
f) 場合により1-位が(C1-3)ヒドロキシアルキルでモノ置換されたイソプロピル;
g) R5(ここで、R5はインダニル;場合によりベンジルで置換されたピロリジニルまたはピ
ペリジニル部分;場合により(C1-8)アルキルでモノ-または多置換された[2.2.1]-または[
3.1.1]-二環性炭素環部分;アダマンチル;または場合によりヒドロキシまたはヒドロキ
シメチルで、または場合により低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンでモノ-ま
たは独立的にジ-置換されたフェニルで、モノ-または独立的に多-置換された(C1-8)アル
キルである);
h) 置換されたアダマンチル
である。〕
で示される、N-(N'-置換グリシル)-2-ベンジルシアノピロリジンである。
【0015】
本発明の好ましい実施態様において、N-(N'-置換グリシル)-2-シアノピロリジンは、遊
離形態または酸付加塩形態の
Rは、R1R1aN(CH2)m-(ここで、
R1は、場合により低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シア
ノまたはニトロでモノ-または独立的にジ-置換されたピリジニルまたはピリミジニル部分
;または場合により低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンでモノ-または独立的
にジ-置換されたフェニルであり;
R1aは、水素または(C1-8)アルキルであり;そして
mは、2または3である)
である、式(I)で示される。
【0016】
さらに好ましくは、N-(N'-置換グリシル)-2-シアノピロリジンは、遊離形態または酸付
加塩形態の
Rは、R1R1aN(CH2)m-(ここで、
R1は、場合により低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シア
ノまたはニトロでモノ-または独立的にジ-置換されたピリジニル部分であり;
R1aは、水素または(C1-8)アルキルであり;そして
mは、2または3である)
である、式(I)で示される。
【0017】
最も好ましくは、式(I)のN-(N'-置換グリシル)-2-シアノピロリジンは、(S)-1-{2-[5-
シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル-アミノアセチル}-2-シアノ-ピロリジン(DPP728)
または(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジン(LA
F237)である。
【0018】
別の好ましい実施態様において、DPP-IV阻害剤は、遊離形態または酸付加塩形態にある
式II、III、IV、Vの化合物から選択する。
【化2】
〔式中、Bは
【化3】
であり;
fは、1または2であり;
gは、0、1または2であり;
Xは、CH2、O、S、SO、SO2、NHまたはNRα1(Rα1は低級アルキル(C1〜C6)である)であり;
-Yは、-N、-CHまたは-C=(Aの-CO基が-CH=または-CF=に置き換えられている場合)であり;
Rαは、H、CN、CHO、B(OH)2、PO3Hまたはそのエステル、CC-Rα7またはCH=N-Rα8(Rα7
H、F、低級アルキル(C1〜C6)、CN、NO2、ORα9、CO29またはCORα9であり;Rα9は、
低級アルキル(C1〜C6)であり;Rα8は、Ph、OH、ORα9、OCORα9またはOBnであり;AはY
に結合している)であり;
【0019】
そして、G1群化合物について、
(a) RαがHであるとき、Aは、シクロ脂肪族側鎖を有するα-アミノ酸から誘導されたα-
アミノ-アシル基、または下記一般式のβ-アミノ-アシル基であり:
【化4】
(式中、hは1〜6である)、いずれの場合も環は場合により不飽和および/またはヘテロ原子
置換を有する;
(b) RαがCN、CC-Rα7またはCH=N-Rα8であるとき、Aは(a)に定義されたもの、およびさ
らに親油性側鎖を持つすべてのL-α-アミノ酸から誘導され得て;
(c) そしてRαがCHOまたはB(OH)2であるとき、Aは(a)に定義されたβ-アミノ-アシル基で
あり;
【0020】
G2群化合物について、RαはH、CN、C=C-Rα7または-CH=N-Rα8であり、
Aは
(i)
【化5】
または
【化6】
(式中、aは1 - 5であり;D1は-G-(CH2)b-(Rα4)q-Rα3であり;GはO、NHまたはNMeであり
;bは0 - 12であり;qは0 - 5であり;D2はD1であるが、GはOではなく;Rα4はZ-NH-(CH2
)c-またはNH-Z-(CH2)c-(ここで、cは1 - 12であり、ZはCO、CH2またはSO2である)であり
;Rα3はCO2Hまたはそのエステル、CONH2、CONHNH2、CONRα56、CONHNRα56、PO3H
またはそのエステル、SO3H、SO2NH2、SO2NRα56、OH、ORα5、置換または非置換のア
リールまたはヘテロアリール、NH2、NRα56、NHCO25、NHSO2NRα56、NHCORα5
、NH-SO25、NH-CH(:NRα5)NRα56、NHCONHRα56、糖、CO-アミノ糖、NHCO-アミ
ノ糖またはNHCS-アミノ糖であり;そしてRα5およびRα6は、H、低級アルキル、8個の原
子までのフルオロアルキルおよびシクロアルキル基、ならびに11個の原子までのアリール
、ヘテロアリールおよびアルキルヘテロアリール基から独立的に選択されるか、またはR
α5およびRα6は一緒になって鎖(C3〜C8)を構成してよい)であるか;または
(ii)
【化7】
または
【化8】
(式中、Rα10はHまたはMeであり、環はさらにヘテロ原子を含有し得、EはJ-(CH2)b-(Rα4
)q-Rα3であり、JはCO、CH2またはSO2であり、a、b、q、Rα3およびRα4は(i)に定義され
たとおりである)であるか;または
(iii)
【化9】
または
【化10】
(式中、Rα2はHまたはMeであり、環は1以上のヘテロ原子を含有し得、Lは(CH2)d-(CO)r-
(CH2)b-(Rα4)q-Rα3または(CH2)e-NRα10-(CH2)b-(Rα4)q-Rα3(ここで、rは0または1で
あり、dは0 - 4であり、eは2 - 4であり、b、q、Rα3およびRα4は(i)に定義のとおりで
ある)である)であり;そして
【0021】
G3群化合物について、各Bは上で定義した全ての意味を有し得、各Aは、A基中に共有基-ε
-ω-ε-、-ε-ε-または-ω-(εおよびωは独立的にCH2、O、NH、CO、S、SO2、PhおよびN
HMeから選択される)で置換された末端基Rα3を有するすべての上記G2群構造(i)、(ii)ま
たは(iii) から選択し得る;そして
【0022】
式中、G2群およびG3群において、鎖中の少なくとも1つのCH2基がそのバイオイソスター
で置換され得、またはG1群、G2群またはG3群におけるAとBを連結するか、もしくはG2群ま
たはG3群化合物におけるAの側鎖にあるすべてのアミド基がアミドバイオイソスターで置
換され得る。〕。
【0023】
他の好ましい実施態様において、DPP-IV阻害剤は遊離形態または酸付加塩形態の式VI:
【化11】
の化合物である。
【0024】
DPP-IV阻害剤は、各事例において一般的または具体的にWO 98/19998、DE 196 16 486 A
1、WO 00/34241およびWO 95/15309に開示されている。各事例において、特に化合物請求
項および実施例の最終産物において、最終産物、医薬製剤および請求項の対象を、出典明
示により本明細書の一部とする。DPP728およびLAF237は、それぞれWO 98/19998の実施例
3およびWO 00/34241の実施例1に具体的に開示されている。式VI(上記参照)のDPP-IV阻
害剤は、Diabetes 1998, 47, 1253-1258に具体的に開示されている。DPP728はWO 98/1999
8の20頁に記載のように製剤され得る。
【0025】
さらなる好ましい実施態様において、DPP-IV阻害剤はN-ペプチジル-O-アロイルヒドロ
キシルアミンまたはその薬学的に許容される塩である。アロイルは、例えば、ナフチルカ
ルボニル;または非置換であるか、例えば、低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲンま
たは好ましくはニトロでモノ置換またはジ置換されたベンゾイルである。ペプチジル部分
は、好ましくは2つα-アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、ロイシン、フェニルア
ラニン、リシンまたはプロリンを含み、そのうちヒドロキシルアミン窒素原子に直接結合
しているのは好ましくはプロリンである。
【0026】
好ましくは、N-ペプチジル-O-アロイルヒドロキシルアミンは式VII:
【化12】
〔式中、
jは、0、1または2であり;
1は、天然アミノ酸の側鎖を示し;そして
2は、低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲンまたはニトロを示す。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0027】
本発明の非常に好ましい実施態様において、N-ペプチジル-O-アロイルヒドロキシルア
ミンは、式VIIa:
【化13】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0028】
N-ペプチジル-O-アロイルヒドロキシルアミン、例えば、式VIIまたはVIIaのもの、およ
びその製造は、H.U. Demuth et al. in J. Enzyme Inhibition 1988, Vol. 2, 129-142頁
、特に130-132頁に記載されている。
【0029】
「PTPase阻害剤」の例は、限定でないが、U.S.特許6,057,316、U.S.特許6,001,867、WO
99/58518、WO 99/58522、WO 99/46268、WO 99/46267、WO 99/46244、WO 99/46237、WO 9
9/46236、WO 99/15529、およびPoucheret et al :Mol. Cell Biochem. 1998, 188, 73-8
0に開示のものを含む。
【0030】
「非小分子模倣化合物」の例は、限定でないが、Science 1999, 284;974-97に開示の
もの、特にL-783,281、およびWO 99/58127に開示のもの、特にCLX-901を含む。
「GFATの阻害剤」の例は、限定でないが、Mol. Cell. Endocrinol. 1997,135(1), 67-7
7に開示のものを含む。
【0031】
本明細書で使用される用語「G6Paseの阻害剤」は、G6Paseの活性を減少または阻害する
ことによる肝糖新生を低下または阻害する化合物または組成物を意味する。該化合物の例
は、WO 00/14090、WO 99/40062、WO 98/40385、EP682024およびDiabetes 1998, 47, 1630
-1636に開示されている。
【0032】
本明細書で使用される用語「F-1,6-BPaseの阻害剤」は、F-1,6-BPaseの活性を減少また
は阻害することによる肝糖新生を低下または阻害する化合物または組成物を意味する。該
化合物の例は、WO 00/14095、WO 99/47549、WO 98/39344、WO 98/39343およびWO 98/3934
2に開示されている。
【0033】
本明細書で使用される用語「GPの阻害剤」は、GPの活性を減少または阻害することによ
る肝グリコーゲン分解を低下または阻害する化合物または組成物を意味する。該化合物の
例は、EP 978279、US特許5998463、WO 99/26659、EP 846464、WO 97/31901、WO 96/39384
、WO9639385に開示され、そして特にProc. Natl. Acad Sci USA 1998, 95, 1776-1781に
記載されているCP-91149である。
【0034】
本明細書で使用される用語「グルカゴン受容体アンタゴニスト」は、特に、WO 98/0452
8に記載の化合物、特にBAY27-9955、およびBioorg Med. Chem. Lett 1992, 2, 915-918に
記載のもの、特にCP-99,711、J. Med. Chem. 1998, 41, 5150-5157に記載のもの、特にNN
C 92-1687、およびJ. Biol Chem. 1999, 274;8694-8697に記載のもの、特にL-168,049、
ならびにUS 5,880,139、WO 99/01423、US 5,776,954、WO 98/22109、WO 98/22108、WO 98
/21957、WO 97/16442に開示の化合物に関する。
【0035】
本明細書で使用される用語「PEPCKの阻害剤」は、PEPCKの活性を減少または阻害するこ
とによる肝糖新生を低下または阻害する化合物または組成物を意味する。該化合物の例は
、U.S特許6,030,837およびMol. Biol. Diabetes 1994, 2, 283-99に開示されている。
【0036】
本明細書で使用される用語「PDHKの阻害剤」は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナー
ゼの阻害剤を意味し、限定でないが、Aicher et al:J. Med. Chem. 42 (1999) 2741-274
6に開示の化合物を含む。
【0037】
本明細書で使用される用語「インスリン増感剤」は、インスリンに対する組織感受性を
高めるすべての薬理学的活性化合物を意味する。インスリン増感剤は、例えば、GSK-3の
阻害剤、レチノイドX受容体 (RXR)アゴニスト、Beta-3 ARのアゴニスト、UCPのアゴニス
ト、抗糖尿病性チアゾリジンジオン(グリタゾン)、非グリタゾン型PPARγアゴニスト、デ
ュアルPPARγ/PPARαアゴニスト、抗糖尿病性バナジウム含有化合物、ビグアニド、例え
ばメトホルミンを含む。
【0038】
インスリン増感剤は、好ましくは抗糖尿病性チアゾリジンジオン、抗糖尿病性バナジウ
ム含有化合物およびメトホルミンよりなる群から選択する。
一つの好ましい実施態様において、インスリン増感剤はメトホルミンである。
【0039】
「GSK-3の阻害剤」の例は、限定でないが、WO 00/21927およびWO 97/41854に開示のも
のを含む。
【0040】
「RXRアゴニスト」は、U.S.特許4,981,784、5,071,773、5,298,429、5,506,102、WO89/
05355、WO91/06677、WO92/05447、WO93/11235、WO95/18380、PCT/US93/04399、PCT/US94/
03795およびCA 2,034,220(これらは出典明示により本明細書の一部とする)に記載または
開示の「共トランスフェクション」または「シス−トランス」アッセイを含み、これらに
限定されない当業者に既知のアッセイにより測定して、RXRホモ二量体またはヘテロ二量
体と結合したときに、RXRの転写調節活性を増加する化合物または組成物を意味する。こ
れは、限定でないが、RARよりもRXRを優先的に活性化する化合物(すなわち、RXR特異的ア
ゴニスト)、およびRXRとRARの両者を活性化する化合物(すなわち、汎アゴニスト)を含む
。これはまた、ある種の細胞状況でのみRXRを活性化するか他ではしない化合物(すなわち
、部分的アゴニスト)を含む。下記の文献、特許、特許出願に記載または開示のRXRアゴニ
スト活性を有する化合物を、出典明示により本明細書に組み込む:U.S.特許5,399,586お
よび5,466,861、WO96/05165、PCT/US95/16842、PCT/US95/16695、PCT/US93/10094、WO94/
15901、PCT/US92/11214、WO93/11755、PCT/US93/10166、PCT/US93/10204、WO94/15902、P
CT/US93/03944、WO93/21146、仮出願60,004,897および60,009,884、Boehm, et al. J. Me
d. Chem. 38(16):3146-3155, 1994、Boehm, et al. J. Med. Chem. 37(18):2930-2941, 1
994、Antras et al., J. Biol. Chem. 266:1157-1161 (1991)、Salazar-Olivo et al., B
iochem. Biophys. Res. Commun. 204:157-263 (1994)およびSafanova, Mol. Cell. Endoc
rin. 104:201-211 (1994)。RXR特異的アゴニストは、限定でないが、LG 100268(すなわち
、2-[1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル)-シクロプロピル]-
ピリジン-5-カルボン酸)およびLGD 1069(すなわち、4-[(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,
8-テトラヒドロ-2-ナフチル)-2-カルボニル]-安息香酸)、ならびにその類似体、誘導体お
よび薬学的に許容される塩を含む。LG 100268およびLGD 1069の構造および合成は、Boehm
, et al. J. Med. Chem. 38(16):3146-3155, 1994(出典明示により本明細書の一部とする
)に開示されている。汎アゴニストは、限定でないが、ALRT 1057(すなわち、9-cisレチノ
ン酸)、ならびにその類似体、誘導体および薬学的に許容される塩を含む。
【0041】
「Beta-3 ARのアゴニスト」は、限定でないが、CL-316,243 (Lederle Laboratories)お
よびWO 99/29672、WO 98/32753、WO 98/20005、WO 98/09625、WO 97/46556、WO 97/37646
およびU.S.特許5,705,515に開示のものを含む。
【0042】
本明細書で使用される用語「UCPのアゴニスト」は、UCP-1、好ましくはUCP-2、さらに
好ましくはUCP-3のアゴニストを意味する。UCPはVidal-Puig et al., Biochem. Biophys.
Res. Commun., Vol. 235(1) pp. 79-82 (1997)に開示されている。該アゴニストは、UCP
の活性を増加する化合物または組成物である。
【0043】
抗糖尿病性チアゾリジンジオン(グリタゾン)は、例えば、(S)-((3,4-ジヒドロ-2-(フェ
ニル-メチル)-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)メチル-チアゾリジン-2,4-ジオン(エングリタ
ゾン)、5-{[4-(3-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-1-オキソプロピル)-フェニル]
-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(ダルグリタゾン)、5-{[4-(1-メチル-シクロヘキシル
)メトキシ)-フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(シグリタゾン)、5-{[4-(2-(1-
インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(DRF2189)、5-{4-[2-(
5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-エトキシ)]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(
BM-13.1246)、5-(2-ナフチルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオン(AY-31637)、ビス{4-
[(2,4-ジオキソ-5-チアゾリジニル)-メチル]フェニル}メタン(YM268)、5-{4-[2-(5-メチ
ル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-2-ヒドロキシエトキシ]-ベンジル}-チアゾリジン-2,4-
ジオン(AD-5075)、5-[4-(1-フェニル-1-シクロプロパンカルボニルアミノ)-ベンジル]-チ
アゾリジン-2,4-ジオン(DN-108)、5-{[4-(2-(2,3-ジヒドロインドール-1-イル)エトキシ)
フェニル-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロ-フェニル])-2-プロピニル
]-5-フェニルスルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロフェニル])-2-プロ
ピニル]-5-(4-フルオロフェニル-スルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-{[4-(2-(メチ
ル-2-ピリジニル-アミノ)-エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(ロシグ
リタゾン)、5-{[4-(2-(5-エチル-2-ピリジル)エトキシ)フェニル]-メチル}チアゾリジン-
2,4-ジオン(ピオグリタゾン)、5-{[4-((3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチ
ル-2H-1-ベンゾピラン-2-イル)メトキシ)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(
トログリタゾン)、5-[6-(2-フルオロ-ベンジルオキシ)-ナフタレン-2-イルメチル]-チア
ゾリジン-2,4-ジオン(MCC555)、5-{[2-(2-ナフチル)-ベンザゾキサゾル-5-イル]-メチル}
チアゾリジン-2,4-ジオン(T-174)および5-(2,4-ジオキソチアゾリン-5-イルメチル)-2-メ
トキシ-N-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)ベンザミド(KRP297)である。
【0044】
好ましくは、抗糖尿病性チアゾリジンジオンは、式VIII:
【化14】
〔式中、
Mは、
ナフチル、ベンゾキサゾリル、ジヒドロベンゾピラニル、インドール、フェニル(場合に
よりハロゲンで置換される)またはフェニルエチニル(場合によりハロゲンで置換される)
であり;
1は、ハロゲンまたは基-QRβ4であり、ここで、
Qは酸素、低級アルキレン、カルボニルまたは-NH-であり得、
4
ナフチル;
非置換フェニルまたは2,4-ジオキソ-5-チアゾリジニルにより置換されたフェニル;また

非置換または下記:
a) インドールまたは2,3-ジヒドロインドール、
b) ピリジル、低級アルキル-ピリジル、N-低級アルキル-N-ピリジルアミノまたは
ハロゲンフェニル、
c) ジヒドロベンゾピラニル(非置換またはヒドロキシおよび低級アルキルにより置
換されている)、
d) オキサゾリル(非置換または低級アルキルおよびフェニルにより置換されている
)、
e) シクロアルキル(非置換または低級アルキルにより置換されている)、または
f) アリールシクロアルキルカルボニル
により置換された低級アルキルまたはヒドロキシ低級アルキルであり;
2は、水素またはトリフルオロメチルフェニル-低級アルキルカルバモイルであり;そ
して
3は、水素またはアリールスルホニルである。〕
の化合物、または薬学的に許容される塩である。
【0045】
好ましくは、式VIIIの化合物は、(S)-((3,4-ジヒドロ-2-(フェニル-メチル)-2H-1-ベン
ゾピラン-6-イル)メチル-チアゾリジン-2,4-ジオン(エングリタゾン)、5-{[4-(3-(5-メチ
ル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-1-オキソプロピル)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2
,4-ジオン(ダルグリタゾン)、5-{[4-(1-メチル-シクロヘキシル)メトキシ)-フェニル]メ
チル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(シグリタゾン)、5-{[4-(2-(1-インドリル)エトキシ)フ
ェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(DRF2189)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-
オキサゾリル)-エトキシ)]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(BM-13.1246)、5-(2-ナフ
チルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオン(AY-31637)、ビス{4-[(2,4-ジオキソ-5-チア
ゾリジニル)メチル]フェニル}メタン(YM268)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサ
ゾリル)-2-ヒドロキシエトキシ]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(AD-5075)、5-[4-(1
-フェニル-1-シクロプロパンカルボニルアミノ)-ベンジル]-チアゾリジン-2,4-ジオン(DN
-108)、5-{[4-(2-(2,3-ジヒドロインドール-1-イル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾ
リジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロ-フェニル])-2-プロピニル]-5-フェニルスルホニル)
チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロフェニル])-2-プロピニル]-5-(4-フルオロフ
ェニル-スルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[6-(2-フルオロ-ベンジルオキシ)ナフ
タレン-2-イルメチル]-チアゾリジン-2,4-ジオン(MCC555)、5-{[2-(2-ナフチル)-ベンゾ
キサゾル-5-イル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン(T-174)および5-(2,4-ジオキソチア
ゾリジン-5-イルメチル)-2-メトキシ-N-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)ベンザミド(KR
P297)よりなる群から選択するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0046】
さらに好ましくは、式VIIIの化合物は、5-{[4-(2-(メチル-2-ピリジニル-アミノ)-エト
キシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(ロシグリタゾン)、5-{[4-(2-(5-エチ
ル-2-ピリジル)エトキシ)フェニル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン(ピオグリタゾン)
、5-{[4-((3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル-2H-1-ベンゾピラン-2-イ
ル)メトキシ)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(トログリタゾン)、MCC555、
T-174およびKRP297、特にロシグリタゾン、ピオグリタゾンおよびトログリタゾンよりな
る群から選択するか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0047】
グリタゾン5-{[4-(2-(5-エチル-2-ピリジル)エトキシ)フェニル]-メチル}チアゾリジン
-2,4-ジオン(ピオグリタゾン、EP 0 193 256 A1)、5-{[4-(2-(メチル-2-ピリジニル-アミ
ノ)-エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(ロシグリタゾン、EP 0 306 2
28 A1)、5-{[4-((3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル-2H-1-ベンゾピラン
-2-イル)メトキシ)-フェニル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン(トログリタゾン、EP 0
139 421)、(S)-((3,4-ジヒドロ-2-(フェニル-メチル)-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)メチル
-チアゾリジン-2,4-ジオン(エングリタゾン、EP 0 207 605 B1)、5-(2,4-ジオキソチアゾ
リジン-5-イルメチル)-2-メトキシ-N-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)ベンザミド(KRP2
97、JP 10087641-A)、5-[6-(2-フルオロ-ベンジルオキシ)-ナフタレン-2-イルメチル]チ
アゾリジン-2,4-ジオン(MCC555、EP 0 604 983 B1)、5-{[4-(3-(5-メチル-2-フェニル-4-
オキサゾリル)-1-オキソプロピル)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(ダルグ
リタゾン、EP 0 332 332)、5-(2-ナフチルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオン(AY-316
37、US 4,997,948)、5-{[4-(1-メチル-シクロヘキシル)メトキシ)-フェニル]メチル}-チ
アゾリジン-2,4-ジオン(シグリタゾン、US 4,287,200)は、各物質について括弧内に示し
た文献に一般的または具体的に開示されている。各場合特に化合物請求項および実施例の
最終産物において、最終産物、医薬製剤、請求項の対象を出典明示により本明細書に組み
込む。DRF2189および5-{[4-(2-(2,3-ジヒドロインドール-1-イル)エトキシ)フェニル]メ
チル}-チアゾリジン-2,4-ジオンの製造は、B.B. Lohray et al., J. Med. Chem. 1998, 4
1, 1619-1630に記載されている:1627頁および1628頁の実施例2dおよび3g。5-[3-(4-クロ
ロフェニル])-2-プロピニル]-5-フェニルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオンおよびA
が本明細書で述べるフェニルエチニルである他の化合物の製造は、J. Wrobel et al., J.
Med. Chem. 1998, 41, 1084-1091に記載の方法により実施できる。
【0048】
特に、MCC555は、EP 0 604 983 B1の49頁、30〜45行に開示のとおりに製剤でき;エン
グリタゾンは、EP 0 207 605 B1の6頁、52行〜7頁、6行に開示のとおり、または24頁の実
施例27または28に準じて製剤でき;そしてダルグリタゾンおよび5-{4-[2-(5-メチル-2-フ
ェニル-4-オキサゾリル)-エトキシ)]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン(BM-13.1246)は
、EP 0 332 332 B1の8頁、42〜54行の開示のように製剤できる。AY-31637は、US 4,997,9
48の、カラム4、32〜51行に開示のように、そしてロシグリタゾンは、好ましくはそのマ
レイン酸塩として、EP 0 306 228 A1の9頁、32〜40行に記載のように投与し得る。ロシグ
リタゾンは、例えばAVANDIA(商標)で市販されているような形態で投与し得る。トログリ
タゾンは、例えばReZulin(商標)、PRELAY(商標)、ROMOZIN(商標)(英国で)またはNOSCAL(
商標)(日本で)で市販されているような形態で投与し得る。ピオグリタゾンは、EP 0 193
256 A1の実施例2に記載のように、好ましくはモノ塩酸塩の形態で投与し得る。一患者の
必要性に対応して、ピオグリタゾンは、ACTOS(商標)で市販されているような形態で投与
し得る。シグリタゾンは、例えばUS 4,287,200の実施例13に開示のように製剤し得る。
【0049】
非グリタゾン型PPARγアゴニストは、特にN-(2-ベンゾイルフェニル)-L-チロシン類似
体、例えば、GI-262570およびJTT501である。
【0050】
本明細書で使用される用語「デュアルPPARγ/PPARαアゴニスト」は、同時にPPARγお
よびPPARαアゴニストである化合物を意味する。好ましいデュアルPPARγ/PPARαアゴニ
ストは、特にω-[(オキソキナゾリニルアルコキシ)フェニル]アルカノエートおよびその
類似体であり、とりわけ、WO 99/08501に記載のDRF-554158およびFukui in Diabetes 200
0, 49(5), 759-767に記載のNC-2100である。
【0051】
抗糖尿病性バナジウム含有化合物は、2座配位一塩基キレート剤(chelant)の生理的に
耐容性のバナジウム複合体が好ましく、ここで該キレート剤はα-ヒドロキシピロンまた
はα-ヒドロキシピリジノンであり、特にUS 5,866,563の実施例(その実施例を出典明示に
より本明細書の一部とする)に開示のもの、またはその薬学的に許容される塩である。
【0052】
メトホルミン(ジメチルジグアニド)およびその塩酸塩の製造は、公知(state of the ar
t)であり、Emil A. Werner and James Bell, J. Chem. Soc. 121, 1922, 1790-1794に最
初に開示された。メトホルミンは、例えば、GLUCOPHAGE(商標)で市販されているような形
態で投与し得る。
【0053】
インスリン分泌促進剤は、膵臓β細胞からのインスリンの分泌を促進する性質を有する
薬理学的に活性な化合物である。インスリン分泌促進剤の例として、グルカゴン受容体ア
ンタゴニスト(上記参照)、スルホニル尿素誘導体、インクレチンホルモン、特に、グルカ
ゴン様ペプチド-1 (GLP-1)やGLP-1アゴニスト、β-細胞イミダゾリン受容体アンタゴニス
トならびに抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体、抗糖尿病性D-フェニルアラニン誘導体および
T. Page et al in Br. J. Pharmacol. 1997, 122, 1464-1468に記載のBTS 67582のような
短期作用インスリン分泌促進物質がある。
【0054】
スルホニル尿素誘導体は、例えば、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、
アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グ
リピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミドまたはトルシク
ラミドである。好ましくは、グリメピリドまたはグリクラジドである。トルブタミド、グ
リベンクラミド、グリクラジド、グリボルヌリド、グリキドン、グリソキセピドおよびグ
リメピリドは、例えば、それぞれRASTINON HOECHST(商標)、AZUGLUCON(商標)、DIAMICRON
(商標)、GLUBORID(商標)、GLURENORM(商標)、PRO-DIABAN(商標)およびAMARYL(商標)で市
販されている形態で投与し得る。
【0055】
GLP-1は、例えば、W.E. Schmidt et al.:Diabetologia 28, 1985, 704-707およびUS 5
,705,483に記載のインスリン分泌性タンパク質である。本明細書で使用される用語「GLP-
1アゴニスト」は、特にUS 5,120,712、US 5,118666、US 5,512,549、WO 91/11457およびC
. Orskov et al:J. Biol. Chem. 264 (1989) 12826に記載されているGLP-1(7-36)NH2
変異体および類似体を意味する。用語「GLP-1アゴニスト」は、特に、Arg36のカルボキシ
末端アミド官能基がGLP-1(7-36)NH2分子の37位でGlyで置換されているGLP-1(7-37)、およ
びGLN9-GLP-1(7-37)、D-GLN9-GLP-1(7-37)、アセチルLYS9-GLP-1(7-37)、LYS18-GLP-1(7-
37)、特にGLP-1(7-37)OH、VAL8-GLP-1(7-37)、GLY8-GLP-1(7-37)、THR8-GLP-1(7-37)、ME
T8-GLP-1(7-37)および4-イミダゾプロピオニル-GLP-1を含む、その変異体および類似体を
含む。また特に好ましいのは、GLPアゴニスト類似体エキセンジン-4であって、Greig et
al:Diabetologia 1999, 42, 45-50に記載されている。
【0056】
本明細書で使用される用語「β-細胞イミダゾリン受容体アンタゴニスト」は、WO 00/7
8726およびWang et al:J. Pharmacol. Exp. Ther. 1996;278;82-89に記載の化合物、
例えば、PMS 812を意味する。
【0057】
抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体は、好ましくは式IX:
【化15】
〔式中、
1は、非置換であるか、またはC1-C3アルキルによりモノまたはジ置換されている非分
枝C4-C6アルキレンイミノ基であり;
2は、水素、ハロゲン、メチルまたはメトキシであり;
3は、水素またはC1-C7アルキルであるか、または非置換もしくはハロゲン、メチルま
たはメトキシにより置換されているフェニルであり;
4は、水素、アリル、アセチルまたはプロピオニルであるか、または非置換もしくはフ
ェニルにより置換されているC1-C3アルキルであり;
Wはメチル、ヒドロキシメチル、ホルミル、カルボキシであるか;または2〜5個の炭素原
子を含み、アルコキシ基のアルキル部分が非置換であるかフェニルにより置換されている
アルコキシカルボニルである。〕
の化合物、または薬学的に許容される塩である。最も好ましくは、式IXの化合物は、レパ
グリミドまたはその薬学的に許容される塩である。
【0058】
抗糖尿病性D-フェニルアラニン誘導体は、好ましくは式X:
【化16】
〔式中、Phはフェニルを意味し、
1は、水素、C1〜C5アルキル、C6〜C12アリール、C6〜C12アリールアルキル、
【化17】
-CH2CO23、-CH(CH3)-OCO-Rγ3および-CH2-OCO-C(CH3)3から選択され;
2は、C6〜C12アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびシクロアルケニル(い
ずれの基も1以上の置換基を有し得る)よりなる群から選択され;そして
3は、水素およびC1〜C5アルキルより選択する(ただし、Rγ1およびRγ3がともに水素
原子であるとき、Rγ2は非置換または置換されたフェニルまたはナフチル以外である)。

の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または人体内または動物体内でそのものに
変換され得る前駆物質である。
2がヘテロアリールであるとき、Rγ2は、好ましくはキノリニル、ピリジルまたは2-
ベンゾフラニルである。
最も好ましくは、抗糖尿病性D-フェニルアラニン誘導体はナテグリニドまたはその薬学
的に許容される塩である。
【0059】
ナテグリニド(N-[(トランス-4-イソプロピルシクロヘキシル)-カルボニル]-D-フェニル
アラニン、EP 196222およびEP 526171)およびレパグリニド((S)-2-エトキシ-4-{2-[[3-メ
チル-1-[2-(1-ピペリジニル)フェニル]ブチル]-アミノ]-2-オキソエチル}安息香酸、EP 0
147 850 A2、特に61頁の実施例11、およびEP 0 207 331 A1)は、各物質について括弧内
に示した文献に一般的または具体的に開示されている。各場合特に化合物請求項および実
施例の最終産物において、最終産物、医薬製剤、請求項の対象を出典明示により本明細書
に組み込む。本明細書で使用される用語ナテグリニドは、EP 0526171 B1またはUS 5,488,
510に記載されているような結晶改変(多形)を含む。この対象、特に請求項8〜10の対象を
、B型結晶性改変についての参照とともに出典明示により本明細書に組み込む。本発明に
おいて、好ましくはB-またはH型、さらに好ましくはH型を使用する。レパグリニドは、No
voNorm(商標)で市販の形態で投与し得る。ナテグリニドは、STARLIX(商標)で市販の形態
で投与し得る。
【0060】
α-グルコシダーゼ阻害剤は、非吸収性の複合炭水化物を吸収性のモノサッカライドに
分解する小腸α-グルコシダーゼ酵素を阻害する薬理学的に活性な化合物である。該化合
物の例として、アカルボース、N-(1,3-ジヒドロキシ-2-プロピル)バリオラミン(ボグリボ
ース)および1-デオキシノジリマイシン誘導性ミグリトールがある。アカルボースは4”,6
”-ジデオキシ-4”-[(1S)-(1,4,6/5)-4,5,6-トリヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-シク
ロ-ヘキセニルアミノ}マルトトリオースである。アカルボースの構造は、O-4,6-ジデオキ
シ-4-{[1S,4R,5S,6S]-4,5,6-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-2-シクロヘキセン-1
-イル]-アミノ}-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-O-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-D-グ
ルコピラノースとも記載できる。アカルボース(US 4,062,950およびEP 0 226 121)は、各
物質について括弧内に示した文献に一般的または具体的に開示されている。各場合特に化
合物請求項および実施例の最終産物において、最終産物、医薬製剤、請求項の対象を出典
明示により本明細書に組み込む。一患者の必要に応じて、アカルボースを、GLUCOBAY(商
標)で市販されているような形態で投与し得る。ミグリトールは、DIASTABOL 50(商標)で
市販されているような形態で投与し得る。
【0061】
α-グルコシダーゼ阻害剤は、好ましくはアカルボース、ボグリボースおよびミグリト
ールよりなる群から選択する。
【0062】
GLP-1以外の「胃排出阻害剤」は、限定でないが、J. Clin. Endocrinol. Metab. 2000,
85(3), 1043-1048に記載されているもの、特にCCK-8およびDiabetes Care 1998;21;89
7-893に記載されているもの、特にアミリンおよびその類似体、例えばプラムリンチドを
含む。アミリンは、例えばO.G. Kolterman et al. in Diabetologia 39, 1996, 492-499
にも記載されている。
【0063】
「α2-アドレナリンアンタゴニスト」の例は、限定でないが、Diabetes 36, 1987, 216
-220に記載されているミダグリゾールを含む。
引用の特許文献に開示されている対応する立体異性体および結晶改変などの対応の多形
も同様に含まれる。
【0064】
本発明の非常に好ましい実施態様において、DPP-IV阻害剤は、(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1
-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジンおよび(S)-1-{2-[5-シアノピリジ
ン-2-イル)アミノ]エチル-アミノアセチル}-2-シアノ-ピロリジンから選択し、そしてさ
らなる抗糖尿病性化合物は、ナテグリニド、レパグリニド、メトホルミン、ロシグリタゾ
ン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド
、アセトヘキサミド、クロロ-プロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド
、グリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシク
ラミド、グリメピリドおよびグリクラジドよりなる群から選択するか、または該化合物の
薬学的に許容される塩である。
【0065】
用語「予防」は、本明細書に記載の状態の発症を防止するために、健常人に組合せ物を
予防的に投与することを意味する。さらに、用語「予防」は、治療しようとする状態、特
に糖尿病の前段階にある患者に組合せ物を予防的に投与することを意味する。
【0066】
本明細書で使用される用語「進行の遅延」は、治療しようとする状態、特に糖尿病の前
段階にある患者(対応の状態の前段階であると診断されている)に、組合せ製剤や医薬組成
物などの組合せ物を投与することを意味する。
【0067】
PTPasesの阻害剤、GSK-3の阻害剤、非小分子模倣化合物、GFATの阻害剤、G6Paseの阻害
剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、PEPCKの阻害剤、F-1,6-BPaseの阻害剤、GPの阻害
剤、RXRアゴニスト、Beta-3 ARのアゴニスト、PDHK阻害剤、胃排出阻害剤およびUCPのア
ゴニストについての製造および製剤の例は、本明細書で掲載した各物質に関して引用した
特許および特許出願に記載されている。
【0068】
コード番号、一般名または商標名により明らかにされた活性化物質の構造は、「The Me
rck Index」の最新版やデーターベース、例えばPatents International(例えば、IMS Wor
ld Publications)から得ることができる。それらの対応内容を出典明示により本明細書に
組み入れる。当業者は、これらの参照に基づき、活性物質を完全に同定でき、また製造で
き、医薬適用および性質を標準的試験モデルで、インビトロおよびインビボの両方で試験
できる。
【0069】
組合される化合物は、薬学的に許容される塩として存在し得る。これらの化合物が、例
えば、少なくとも1つの塩基性中心を持っているならば、酸付加塩を形成できる。対応す
る酸付加塩は、所望により、追加の塩基性中心を持つようにも形成し得る。酸基(例えばC
OOH)を有する化合物は塩基と酸を形成し得る。例えば、組合される化合物は、ナトリウム
塩、マレイン酸塩または二塩酸塩として存在し得る。活性成分またはその薬学的に許容さ
れる塩は、水和物の形態でも使用してよく、または結晶化に用いられる他の溶媒を含み得
る。
【0070】
抗糖尿病性化合物、好ましくはタンパク質チロシンホスファターゼ(PTPases)阻害剤、
非小分子模倣化合物およびグルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ
(GFAT)阻害剤のようなインスリン情報伝達モジュレーター、グルコース-6-ホスファター
ゼ(G6Pase)阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ(F-1,6-BPase)阻害剤、グリコ
ーゲンホスホリラーゼ(GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニストおよびホスホエノー
ルピルビン酸・カルボキシキナーゼ(PEPCK)阻害剤のような異常調節された肝グルコース
産生に影響する化合物、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナーゼ(PDHK)阻害剤、インスリ
ン増感剤、インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、胃排出阻害剤、インスリ
ンおよびα2-アドレナリンアンタゴニストよりなる群から選択する抗糖尿病性化合物また
は該化合物の薬学的に許容される塩を、以後、本発明の組合せ相手成分と呼ぶ。
【0071】
遊離または薬学的に許容される塩の形態のDPP-IV阻害剤および少なくとも1個の本発明
の組合せ相手成分および場合により少なくとも1個、すなわち1個以上、例えば2個の薬
学的に許容される担体を含む、同時の、別々のまたは連続的な使用のための組合せ物は、
複数成分である遊離または薬学的に許容される塩の形態のDPP-IV阻害剤および少なくとも
1個の本発明の組合せ相手成分を独立して、または種々の異なる成分量の固定された組合
せの使用により、すなわち種々の時点でまたは同時に投与できる点で、特に「キット」で
ある。キットの部分は、同時にまたは時間的にずらして、すなわち、キット何らかの部分
に対して、異なる時点で、かつ同じまたは異なる間隔で投与し得る。好ましくは、時間間
隔は、部分の組み合わせの使用において処置される疾患または状態に対する作用が、各成
分のいずれか一つのみの使用で得られるであろう作用よりも大きくなるように選択する。
好ましくは、少なくとも1つの利点、例えば、遊離または薬学的に許容される塩の形態の
DPP-IV阻害剤と少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分の作用の相互の増強、
さらなる有益な効果、副作用の軽減、成分の一方またはそれぞれは効果のない用量で組合
された治療作用、そして特に遊離または薬学的に許容される塩の形態でのDPP-IV阻害剤と
少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分との相乗作用、例えば、相加的作用以
上の作用である。
【0072】
DPP-IV仲介状態、特に糖尿病、空腹時血糖値異常状態および耐糖能障害(IGT)の本質
は、複数の要因からなる。特定の状況において、種々の作用メカニズムを持つ薬剤を組み
合せ得る。しかし、異なる作用メカニズムを有するが同じ場で作用する薬剤の何らかの組
合せを考えるだけでは、必ずしも有益な作用を持つ組合せとならない。
【0073】
なおさらに驚くべきことは、DPP-IV阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組
合せ相手成分を組合せて投与することは、有益な、特に相乗的な治療効果をもたらすだけ
でなく、効果の驚くべき延長、治療処置の広い多様性、糖尿病に関連する疾患や状態に対
する驚くべき有益な作用、例えば体重増加が少ないなどの組合せ処置から得られる追加の
利点をもたらすとの実験的発見である。
【0074】
さらなる利点は、本発明により組合された個々の薬剤の低い量を用いて、用量を下げ得
ることができ、例えば、必用投与量がしばしば少ないだけでなく、適用頻度も少なくなり
、または副作用の発生を減じるために低い投与量を使用し得ることである。このことは、
処置される患者の要望および要求に合致する。
【0075】
確立している試験モデルおよび特に本明細書に記載の試験モデルにより、DPP-IV阻害剤
、特に(S)-1-{2-[5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル-アミノアセチル}-2-シアノ-
ピロリジン(DPP728)または(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シ
アノ-ピロリジン(LAF237)および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分が、D
PP-IV仲介状態、特に糖尿病、とりわけ2型糖尿病、空腹時血糖値異常状態およびIGT状態
の効果的な予防または好ましくは治療をもたらすことを示すことができる。
【0076】
関連分野での当業者は、関係する試験モデルを選択して、上記または下記の治療適用お
よび有益な作用を証明できる。薬理学的活性を、例えば、下記のマウスでのインビボ試験
または臨床試験の方法に基本的にしたがって明らかにし得る。
【0077】
血糖値調節についてマウスでのインビボ試験
ICR-CDIマウス(雄、5週令、体重:約20 g)を18時間絶食させた後、試験対象として使
用する。本発明の組合せ物および活性成分単独を0.5% CMC-0.14M 塩化ナトリウム緩衝液(
pH 7.4)に懸濁する。こうして得た溶液を一定の量で試験動物に経口投与する。予め定め
た時間後に、対照群に対する血糖値の低下パーセントを決定する。
【0078】
食事療法のみでは適切に制御されない2型糖尿病の患者における二重盲検の無作為割付平
行群の臨床試験
本試験は、本発明の組合せ製剤または医薬組成物の相乗作用を特に証明する。DPP-IV仲
介状態、特に2型糖尿病に対する有益な作用を、この試験の結果を通して直接に、または
当業者に既知の試験方法を変ることにより決定することができる。
【0079】
この試験は、特に、血糖コントロールに対する作用について、本発明の組合せ相手成分
のみとそれらの化合物の一つにDPP-IV阻害剤を加えた組合せとを比較するのに適当である
【0080】
本試験では、食事療法のみで正常血糖(HbA1c <6.8%)付近まで達しないと診断された2
型糖尿病の患者を選択する。血糖コントロールに対する作用を、DPP-IVのみの療法、1つ
の本発明の組合せ相手成分のみの療法、およびDPP-IVと1つの本発明の組合せ相手成分と
の組合せ療法について、プラセボで達成されたコントロールと共に、24週後に本試験に
おいて調べ、すべての患者は、処置前の期間と同じ食事を続ける。血糖コントロールの尺
度は糖尿病の処置についての妥当な代理エンドポイントである。HbA1cは、血糖コントロ
ールの検査について単独で最も信頼性の高い測定値であり(D. Goldstein et al, Tests o
f Glycemia in Diabetes;Diabetes Care 1995, 18(6), 896-909)、本試験での一次応答
変数である。ヘモグロビンのグリコシル化が各赤血球形成時のグルコース濃度により定ま
るので、HbA1cは過去3か月の平均的血糖値の概算を提供する。
【0081】
24週の二重盲検処置を始める前に、患者に4週間、DPP-IV阻害剤、例えばDPP728および
LAF237に調和したプラセボを、朝食、昼食および夕食の前に、そして1個以上の本発明の
組合せ相手成分に調和したプラセボを投与する(期間I)。例えば、α-グルコシダーゼ阻
害剤アカルボースを本試験で選択すると、アカルボースに調和したプラセボを、好ましく
は期間Iで朝食、昼食および夕食の一口目と共に投与する。抗糖尿病性フェニル酢酸誘導
体レパグリニドを選択すると、レパグリニドに調和したプラセボを、後に好ましくは期間
Iで朝食、昼食および夕食と共に投与する。抗糖尿病性チアゾリジンジオン・トログリタ
ゾンを選択すると、トログリタゾンに調和したプラセボを、好ましくは期間Iで朝食とと
もにのみ投与する。抗糖尿病性フェニルアラニン誘導体ナテグリニドを選択すると、調和
したプラセボを、好ましくは期間Iの朝食前に投与する。メトホルミンを選択すると、調
和したプラセボを、好ましくは朝食および夕食の前に投与する。
【0082】
次いで、DPP728をDPP-IV阻害剤として選択し、抗糖尿病性チアゾリジンジオン・トログ
リタゾン、抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体レパグリニド、α-グルコシダーゼ阻害剤アカ
ルボース、抗糖尿病性D-フェニルアラニン誘導体ナテグリニドまたはビグアニド・メトホ
ルミンの内から1薬剤を組合せ相手成分として選択した場合について表1〜5に示すよう
に24週間の二重盲検試験(期間II)のために患者を4処置群に分ける。
【0083】
投与する組合せ物の例
【表1】
【表2】
【表3】

【表4】
【表5】
【0084】
DPP728錠は該化合物50 mgまたは調和するプラセボを含む。ナテグリニド錠はその120 m
gをまたは調和するプラセボを含む。トログリタゾン200 mg錠、レパグリニド1 mg錠、ア
カルボース50 mg錠およびメトホルミン500 mg錠は、市販品を購入でき、対応するプラセ
ボカプセルに調和するよう上からカプセルに入れる。
【0085】
次いで、表1に示すように24週間の二重盲検試験(期間II)のために患者を4処置群に分
ける。約170人の患者を処置群ごとに無作為に割り付ける。各患者につき前処理期間を含
み全期間は28週間である。統計処理を当業者に既知の方法で行うことができる。
【0086】
予定検査来院日には、朝薬を飲まないか、または朝食を取らないように患者に指示する
。朝の薬はすべての空腹時サンプル採取後およびすべての試験処置後に現場の人員により
投与される。来院は、期間Iでは2週間ごとに、期間IIでは4〜8週間ごとに行われる。患者
は各来院時少なくとも7時間絶食している。臨床検査のためのすべての血液サンプルは7:
00 AMから10:00 AMの間に採取する。すべての試験を当分野で既知の医薬品安全性試験実
施基準にしたがって行う。
【0087】
HbA1cを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でBio-Rad Diamatアナライザーでのイオン
交換法を用いて測定する。ヘモグロビン変異体またはヘモグロビン分解ピークを認めると
、バックアップ親和性法を用いる。
【0088】
さらに調べるパラメータは、空腹時血糖値(FPG)、空腹時脂質(総コレステロール、HDL(
高密度リポタンパク質)コレステロール、LDL(低密度リポタンパク質)コレステロール、ト
リグリセリド)および体重である。FPGはヘキソキナーゼ法を用いて測定し、LDLコレステ
ロールはトリグリセリドが<400 mg/dL (4.5 mmol/l)であるとFriedewald式を用いて計算
する。
【0089】
上記の試験についての種々のパラメータを、本明細書に記載の特定の疾患や適用のため
の投与を最適にするため、試験中の耐容性の問題に対処するためにまたは少ない労力で類
似のまたは同じ結果を得るために改変できる。例えば、異なる患者集団、例えば、食事療
法のみで正常血糖値(HbA1c<6.8%)にほぼ達していると診断される2型糖尿病の患者、他の
代謝性障害などの糖尿病以外の疾患をもつ患者、年齢や性別などの他の評価基準により選
択する患者をこの臨床試験に含め得る。患者数を各処置群につき70〜150名、特に100名ま
たは120名に減らし得る。処置群(表1に例示した)を省くことができ、すなわち、例えば
、DPP-IV阻害剤と少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分との組合せを、DPP-
IV阻害剤のみと比較する試験を実施するために省くことができる。プラセボ処置期間(期
間I)を変えることができ、例えば、伸ばしたり、短くしたり、無くしたりできる。来院間
隔を長く、例えば、10週毎、12週毎、14週毎にできる。来院時の指示、例えば、臨床検査
のための採血を7:00 AMから10:00 AMに行うとの指示を変え得る。HbA1cを他の方法で測定
できる。または上記の試験期間に測定されるべきパラメータ、例えば、FPGまたは空腹時
脂質を除外し、または追加のパラメータ(下記参照)を加え得る。
【0090】
追加のパラメータを本治験中に、例えば追加試験によって測定し得る。このような追加
試験には、下記のパラメータの量および数を調べるための体液の分析を含むことができ、
例えば、投与活性成分の耐容性を調べる目的に役立ち得る:ヘマトクリットやヘモグロビ
ン、血液中の血小板数、赤血球数、全および個々の白血球数(好塩基球、好酸球、リンパ
球、単球、分葉核好中球および全好中球);アルブミン、アルカリホスファターゼ、アラ
ニンアミノトランスフェラーゼ(血中グルタミンピルビン酸トランスアミナーゼ)、アスパ
ラギン酸アミノトランスフェラーゼ(血中グルタミンオキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、
血中尿素窒素または尿素、炭酸水素酸塩、カルシウム、塩素、全クレアチニンホスホキナ
ーゼ(CPK)、クレアチニンホスホキナーゼ筋−脳分画イソ酵素(CPKが上昇すると)、直接ビ
リルビン、クレアチニン、γ-グルタミルトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、
カルウム、ナトリウム、全ビリルビン、全タンパク質および尿酸についての測定;患者尿
中のビリルビン、グルコース、ケトン体、pH、タンパク質、特定比重についての測定;体
重、血圧(収縮期および拡張期、座って3分後)および橈骨動脈脈(座って3分後)の測定。
【0091】
試験結果から明らかなように、本発明の組合せ物は、DPP-IV仲介状態、特に2型糖尿病
の予防および好ましくは処置に使用し得る。本発明の組合せ物は、DPP-IVが仲介する他の
状態の予防および好ましくは処置に使用し得る。
【0092】
さらに、ここに開示する多くの組合せ物において、成分の1つでは認められるような副
作用が、驚くべきことに組合せ物の適用では蓄積しない。
【0093】
好ましくは、併用で治療上有効な量の遊離または薬学的に許容される塩の形態のDPP-IV
阻害剤および少なくとも1つのさらなる医薬活性化合物を、同時に、別々に、もしくは任
意の順番で連続的にまたは固定された組合せで投与する。
【0094】
DPP-IV仲介状態は、好ましくは糖尿病、空腹時血糖値障害、耐糖能障害(IGT)、代謝
性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、肥満および骨粗しょう症よりなる群から選択する
。非常に好ましくは、DPP-IV仲介状態は2型糖尿病である。
【0095】
本発明の1つの目的は、DPP-IV仲介状態、特に糖尿病、さらに特に2型糖尿病、空腹時
血糖値障害およびIGTの状態に対する併用で医療上有効な量の(i)DPP-IV阻害剤またはその
薬学的に許容される塩および(ii)少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分およ
び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供することである。
【0096】
本発明の医薬組成物は、自体既知の方法で製造でき、経口や経直腸などの経腸または非
経腸でヒトを含む哺乳動物(温血動物)に投与するのに適しており、治療上有効な量の薬理
学的活性化合物を単独で、または経腸または非経腸での適用に適した1つ以上の薬学的に
許容される担体とともに含有する。
【0097】
この新規の医薬製剤は、約10 %〜約100 %、例えば、80%または90 %、好ましくは約20 %
〜約60 %の活性成分を含有する。経腸または非経腸のための本発明の医薬製剤は、糖衣錠
、錠剤、カプセルまたは座剤、さらにアンプルなどの単位用量形態にある。この物は、既
知の方法、例えば、通常の混合、造粒、糖衣、溶解または凍結乾燥法により製造する。こ
のように、経口使用の医薬製剤を得るには、活性成分を固体の担体と混合し、場合により
得た混合物を造粒し、所望または必要に応じて適当な賦形剤を加えた後に、混合物または
顆粒を加工して、錠芯または糖衣錠芯にする。
【0098】
この組成物において、成分(i)および(ii)を一緒に、交互にまたは別々に、1つの組合
せた単位用量形態でまたは2つの別個の単位用量形態で投与し得る。本発明の一つの実施
態様において、単位用量形態は固定された組合せである。一つの好ましい実施態様におい
て、成分(i)および(ii)を単一錠や単一輸液などの単一製剤の形態で投与する。
【0099】
本発明のさらなる態様は、それぞれ遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態であ
るDPP-IV阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分の、DPP-IV仲介
状態、特に糖尿病、さらに特に2型糖尿病、空腹時血糖値障害およびIGTの状態に対する
予防または処置のための医薬製剤の製造のための使用である。
【0100】
治療上有効な量の本発明の組合せ物の各成分を同時にまたは任意の順番で連続的に投与
してよく、そして、各成分は別々にまたは固定された組合せでも投与できる。例えば、本
発明の処置方法は、併用で治療上有効な量で、好ましくは相乗的に有効な量で、例えば、
上記の比率に対応する1日用量で、(i)遊離またはその薬学的に許容される形態のDPP-IV
阻害剤の投与、および(ii)少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分の同時のま
たは任意の順番での連続的な投与を行うことを含む。
【0101】
対応の活性成分またはその薬学的に許容される塩は、水和物の形態でも使用でき、また
は結晶化に用いられる他の溶媒を含み得る。
【0102】
さらに、用語「投与する」は、インビボで選択的な抗糖尿病性薬剤に変換するプロドラ
ッグの使用も含む。従って、本発明は、それ故に、同時のまたは交互処置の全てのかかる
レジメを包含すると理解されるものであって、用語「投与する」はその意味に解されるべ
きである。
【0103】
組合せ物がナテグリニドを含むときは、ナテグリニドのみを含む組成物、特に医薬組成
物は、水の存在下で造粒して顆粒を形成させ、その顆粒を乾燥させ、そして場合により顆
粒を、例えば、金網篩を通して篩うことを含む方法で作り得る。組成物のすべての成分を
造粒の前または造粒中に添加できる。あるいは、1種以上の成分のすべてまたは一部を、
造粒工程の終了後に加えることができる。例えば、抗接着剤(例えば、シリカ)のすべてま
たは一部、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)のすべてまたは一部および/また
は崩壊剤(クロスカルメロースまたはその何らかの塩)のすべてまたは一部を造粒の後に加
え得る。本発明の一つの態様において、ステアリン酸マグネシウムおよびコロイドシリカ
以外のすべての成分を顆粒機に充填して後から添加できる。本組成物、特に医薬組成物を
製造する方法は、微粉化工程の必要なしに実施できる。本明細書において、用語「微粉化
」および「微粉にする」は、粒子を砕きまたは粉々に切断し、粒子の大きさを小さくする
ことを含むいずれの方法も意味する。組成物、特に医薬組成物は、造粒工程と乾燥および
/または顆粒を錠剤にするのに用いる圧縮工程との間に、顆粒を微粉化せずに製造できる
。本発明の一つの好ましい実施態様において、ナテグリニドをB型またはH型の結晶修飾で
使用する。
【0104】
本発明は、併用で治療上有効な量の遊離または薬学的に許容される塩の形態のDPP-IV阻
害剤および、少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分を、DPP-IV仲介状態、特
に糖尿病、さらに特に2型糖尿病、空腹時血糖値障害およびIGT状態の処置における使用
指示書とともに含む市販用の包装物に関する。
【0105】
本発明の別の態様は、DPP-IV仲介状態、特に2型糖尿病を処置する方法であって、併用
で治療上有効な量の遊離または薬学的に許容される塩の形態のDPP-IV阻害剤および少なく
とも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分を、それを必用とする温血動物に投与するこ
とを含む方法である。好ましくは、この処置方法において、活性成分を同時に、任意の順
番で連続的に、別々にまたは固定された組合せで投与する。このような方法の一つの好ま
しい実施態様において、併用で治療上有効な量の遊離または薬学的に許容される塩の形態
のジペプチジルペプチダーゼ-IV阻害剤、および少なくとも1つのさらなる本発明の組合
せ相手成分を、組合せ製剤として提供する。
【0106】
さらに、本発明は、グルコース耐容性障害および空腹時血糖値障害の状態を処置する方
法であって、併用で治療上有効な量の遊離または薬学的に許容される塩の形態のジペプチ
ジルペプチダーゼ-IV阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分を
、それを必用とする温血動物に投与することを含む方法を提供する。
【0107】
さらに、本発明は、哺乳動物の体型を改善する方法であって、ヒトを含む該哺乳動物に
、特に代謝障害、とりわけ2型糖尿病の人に、上記の組合せ製剤または医薬組成物を、グ
ルコース代謝に影響する、例えば増加または減少させる量で、または他の機構で体重に影
響する量で経口投与し、該投与を美容的に有益な減量が生じるまで繰り返すことを含む方
法に関する。本明細書に記載の該組合せ物は、体重が増え続けている人のさらなる体重増
加を、美容的理由で予防するのにも使用できる。さらに、本発明は、哺乳動物、特にヒト
の体型を改善するのに有用な本明細書に記載の組合せ物、および哺乳動物、特にヒトの体
型を改善するための該組合せ物の使用に関する。体重過剰は、代謝性異常、特に2型糖尿
病を起こす危険因子の一つであり、しばしば同時にかかる代謝性異常、特に2型糖尿病の
結果でもある。さらに、多くの抗糖尿病剤が体重増加を起こすことが知られている。この
ように、代謝性障害、特に2型糖尿病の患者は、しばしば体重過剰に悩まされる。従って
、美容的に有益な減量は、2型糖尿病などの代謝性障害の患者において効果的である。本
明細書に記載の組合せ物は、さらなる体重増加を美容的理由で予防するために2型糖尿病
の患者が服用する抗糖尿病薬剤に代わり、またはそれを補完するために使用できる。
【0108】
用いるDPP-IV阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分の組合せ
物の用量範囲は、温血動物の種類、体重や年齢、処置しようとする状態の性質および重篤
度、投与の様式および使用する具体的な物質を含む当業者に既知の因子に依存的である。
特に別記しない限り、DPP-IV阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手
成分は、好ましくは1日1〜4回に分けて投与する。
【0109】
DPP728もしくはLAF237またはその薬学的に許容される塩の、少なくとも1つのさらなる
本発明の組合せ相手成分に対する重量比は、特に、処置される温血動物の要求に応じて広
い範囲で変り得る。
【0110】
本発明の一つの実施態様において、相乗作用を得るために記載したさらなる本発明の組
合せ相手成分の一つに対する下記の重量比のDPP728もしくはLAF237またはその薬学的に許
容される塩を投与すべきである。
【0111】
【表6】
【0112】
本発明のさらに好ましい実施態様において、相乗作用を得るために記載したさらなる本
発明の組合せ相手成分の一つに対する下記の重量比のDPP728もしくはLAF237またはその薬
学的に許容される塩を投与すべきである。
【0113】
【表7】
【0114】
温血動物が体重約70 kgのヒトの場合、少なくとも1つのさらなる医薬活性化合物の用
量は、好ましくは下記の通りである。
【0115】
【表8】
【表9】

【表10】
【0116】
下記の実施例は上記の本発明を表すものであるが、いかなる場合でも発明の範囲を制限
する意図を有しない。
【実施例】
【0117】
実施例1:ナテグリニド錠
各錠が120 mgのナテグリニドを含有する108,000錠を下記のように製造する:
【表11】
【0118】
製造方法:微結晶性セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムの一部、ナテ
グリニドおよびラクトースを高速剪断混合機で混合し、その後に精製水を使用して造粒す
る。湿顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、篩を通す。コロイド状二酸化ケイ素およびクロスカ
ルメロースナトリウムの残りを混合し、篩を通し、そして乾燥させた顆粒とV字型攪拌機
中で混合する。ステアリン酸マグネシウムを篩を通し、V字型攪拌機からの混合物と混合
し、その後全混合物を錠剤に圧縮する。オパドライ黄色を精製水に懸濁させ、錠剤を被覆
懸濁液で被覆する。
【0119】
実施例2:ナテグリニドのガレヌス製剤 No. 1
【表12】
【0120】
実施例3:ナテグリニドのガレヌス製剤 No. 2
【表13】
【0121】
実施例4:ナテグリニド錠
各錠が120 mgのナテグリニドを含有する108,000錠を下記のように製造する:
【表14】
【0122】
製造方法:微結晶性セルロース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムの一部、ナテ
グリニド、ラクトースをコレット・グラル造粒機で精製水を加えて造粒する。湿顆粒を流
動床乾燥機で乾燥し、篩を通す。コロイド状二酸化ケイ素およびクロスカルメロースナト
リウムの残りを混合し、篩を通し、乾燥顆粒とV字型攪拌機中で混合する。ステアリン酸
マグネシウムを篩を通し、V字型攪拌機からの混合物と混合し、全混合物を錠剤に圧縮す
る。オパドライ黄色を精製水に懸濁させ、錠剤を被覆懸濁液で被覆する。
【0123】
この方法の変法としては、コロイドシリカおよびクロスカルメロースナトリウムを乾燥
後の第二回目の顆粒機充填物に加え、一緒に篩い、バッチあたり3造粒機/乾燥機充填も
の数を合わせることを含む。
【0124】
実施例5:ナテグリニド(120 mg)の医薬組成物
【表15】
【0125】
米国特許、国際特許および欧州特許ならびに出願を含む、本明細書で引用したすべての
文献は、その全文を記載したのと同様に出典明示により本明細書の一部とする。