特許第6104349号(P6104349)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104349超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルを含有するクリアコート組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104349
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルを含有するクリアコート組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 167/00 20060101AFI20170316BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20170316BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170316BHJP
   C08G 63/91 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   C09D167/00
   C09D175/04
   C09D7/12
   C08G63/91
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-220924(P2015-220924)
(22)【出願日】2015年11月11日
(62)【分割の表示】特願2010-510693(P2010-510693)の分割
【原出願日】2008年6月5日
(65)【公開番号】特開2016-28169(P2016-28169A)
(43)【公開日】2016年2月25日
【審査請求日】2015年12月7日
(31)【優先権主張番号】102007026722.5
(32)【優先日】2007年6月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510144591
【氏名又は名称】BASFジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 仁
(72)【発明者】
【氏名】塚本 英史
(72)【発明者】
【氏名】高木 宏之
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ポッペ
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター クライン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェロニカ ラックシュテッター
(72)【発明者】
【氏名】ビアンカ ギーゼン
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン フェルトマン
(72)【発明者】
【氏名】ザビーネ ホルトシュルテ
(72)【発明者】
【氏名】ユリア メルツァー
(72)【発明者】
【氏名】ターニャ ブリッケ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ヒルゲ
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト シュニーア
(72)【発明者】
【氏名】ジルケ ホッテンバッハー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリケ クラウゼン−マイリング
【審査官】 ▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平07−504219(JP,A)
【文献】 特表2004−527640(JP,A)
【文献】 特表2002−506477(JP,A)
【文献】 特表2002−533198(JP,A)
【文献】 特表平10−505377(JP,A)
【文献】 特表平10−508052(JP,A)
【文献】 特表2004−514037(JP,A)
【文献】 特表2005−517795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/00
C08G 63/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリアコート組成物であって、DIN 53240により測定してOH価180〜240mg KOH/gを有する少なくとも1つの超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルを包含し、該ポリエステルの平均して少なくとも1個のヒドロキシ官能基が、異性体の飽和C8〜C9−モノカルボン酸の群から選択される少なくとも1つの酸でエステル化されており、
該ポリエステルは、酢酸0.1質量%を有するTHF中のポリスチレン標準を用いたGPCにより測定して数平均分子量1500〜4000g/モルを有し、
該ポリエステルは、DIN 53402により測定して6以下の酸価を有し、
該ポリエステルは、ヒドロキシ官能性ポリエステルの部分エステル化により製造され、かつ、
該クリアコート組成物は、架橋剤として少なくとも1つのジイソシアネートまたはポリイソシアネート、少なくとも1つのアミノプラスチック樹脂および/または少なくとも1つのトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンを包含することを特徴とするクリアコート組成物。
【請求項2】
前記ポリエステルが
により算出して、10.3以下の溶解パラメーターSPを有することを特徴とする、請求項1記載のクリアコート組成物。
【請求項3】
前記ポリエステルが、9.5〜10.3の溶解パラメーターSPを有することを特徴とする請求項2記載のクリアコート組成物。
【請求項4】
前記ポリエステルが、DIN 53240により測定して185〜240mg KOH/gのOH価、および16より大きい、ヒドロキシ官能性ポリエステルの遊離ヒドロキシ基およびエステル化されたヒドロキシ基の数として表すヒドロキシ官能性を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のクリアコート組成物。
【請求項5】
前記モノカルボン酸が、オクタン酸またはイソノナン酸であることを特徴とする、請求項1記載のクリアコート組成物。
【請求項6】
前記ポリエステルが、DIN 53402により測定して酸価0〜5.5を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のクリアコート組成物。
【請求項7】
架橋剤として少なくとも1つのジイソシアネートまたはポリイソシアネートを包含することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のクリアコート組成物。
【請求項8】
前記架橋剤の割合が、クリアコート組成物の固体割合に対して、30〜60質量%であることを特徴とする、請求項記載のクリアコート組成物。
【請求項9】
NCO基対遊離OH基の比率が1.1以下:1であることを特徴とする、請求項記載のクリアコート組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルを含有するクリアコート組成物、ならびに超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルに関する。さらに本発明は、超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルの製造法、自動車塗装用のクリアコートコーティング組成物を製造するためのその使用および該組成物でコーティングされた基材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車塗装用のクリアコートは、好ましくは良好な光学的特性(「外観」)を提供する。しかしながら、さらにクリアコートは、より良好な環境適合性のために僅かな溶媒含量、すなわち高い固体割合を有することも所望されている。しかしながら、クリアコートの固体割合の上昇は、通常、該クリアコートの粘度の上昇に基づく光学的特性の悪化を伴う。
【0003】
一般に、ポリマー溶液の粘度は、なかでもポリマーの寸法、すなわち、なかでも溶解した分子の流体力学的半径に依存する。該ポリマーの流体力学的半径は、なかでも溶媒によるポリマー鎖の溶媒和によって影響を及ぼされ、該溶媒和は溶媒に応じて著しく異なる。それゆえポリマー溶液の高い固体割合にも関わらず低い粘度を達成するために、原則的に、ポリマー鎖の僅かな溶媒和のみを起こす溶媒(「シータ溶媒」)を使用することが可能である。しかしながら、この場合に欠点なのは、これらの溶媒が全てのポリマーとは一般に使用可能でなく、さらに使用される樹脂に応じて、これらの溶媒の高いコストにつながる点である。
【0004】
低い溶液粘度、ひいては良好な均展性(「レベリング」)を、同時に高い固体割合で達成する他の一手段は、非常に緻密な高分子の使用、例えば星型ポリマーおよび超分岐樹枝状化合物の使用である。溶液中もしくは組成物中でのこのような緻密な高分子に関して、それらが低い粘度を比較的高い固体割合で有することが公知である(例えばRoovers,J.,Macromolecules 1994,27,5359−5364およびRoovers,J.et al,Macromolecules 1993,26,4324−4331)。その際、星型ポリマーの使用は、短いポリマー鎖のアーム長さにのみ適している。なぜなら、高い濃度の場合、長いポリマー鎖のアームを有する星型ポリマーは反発的相互作用に曝され、該作用は溶解状態で準結晶の秩序化現象をもたらし得るからである。これらの秩序化現象は、上述の理由から欠点である粘度の上昇につながる。従って、このような秩序化現象に曝されない超分岐樹枝状化合物が一般に好ましいとされる。
【0005】
超分岐樹枝状化合物、すなわち超分岐樹枝状の高分子およびデンドリマーは、一般的に樹木構造を有する三次元の高分岐分子として記載され得る。デンドリマーは高対称性であり、他方で、超分岐状および/または樹枝状と称される類似した高分子は、ある程度は非対称性であってもよいが、それでも超分岐樹木状構造を備えている。一般に、狭いモル質量分布を有するデンドリマーが製造され得、すなわち、この場合、それらは単分散のまたは、ほぼ単分散の超分岐高分子である。単分散化合物において、質量平均分子量対数平均分子量の比率(Mw/Mn)は1であり、それに対して、ほぼ単分散の化合物の場合、Mw/Mnは、ほぼ1である。超分岐高分子および樹枝状高分子は、通常、1つ以上の反応サイトを有する開始剤または核および多数の分岐層(「世代」)および場合により連鎖停止分子の層から出発して製造され得る(分岐合成アプローチ)。分岐層の継続される複製は、通常は分岐の多重性を高め、かつ、場合により、または所望される場合に末端基の数を高める。通常、これらの層は世代と呼ばれ、かつ枝分かれはデンドロンと呼ばれる。
【0006】
超分岐ポリエステルを基礎とするバインダーは、従来技術に含まれる。そのため例えばUS6,569,956B1は、多数の外部ヒドロキシル基および内部ヒドロキシル基がそこに存在する超分岐ポリエステル−ポリオール高分子を記載しており、該高分子は、高い固体割合を有するコーティング組成物を製造するために使用され得る。しかしながら、そこで記載される超分岐高分子は僅かなヒドロキシ官能性しか有さず、これは硬質性および耐化学薬品性のコーティング組成物の作製には欠点とされる。
【0007】
WO03/093343A1も高官能性の超分岐ヒドロキシ官能性ポリエステルを記載し、これらはコーティングおよび塗料中で使用され得る。しかしながら、そこで記載される高官能性の超分岐ポリエステルは分子的および構造的に不均一であり、そのため該ポリエステルは、たしかに僅かな費用で製造可能であるが、しかしながら、コーティング組成物中で良好な光学的特性を同時に付与しながらも高い固体割合を達成することに限ってのみ使用することができる。さらに、そこで記載されるポリエステルは、非極性非プロトン性溶媒と一般的には相溶性でない。
【0008】
WO2004/020503A1には、塗料および塗膜中で使用され得る少なくとも3個のOH基を有するジカルボン酸とポリエーテルポリオールとからの水溶性または水分散性の超分岐ポリエステルの製造法が記載されている。しかしながら、そこで記載されるポリエステルも同様に分子的に不均一なポリマーであり、それらも同様にコーティング組成物中での良好な光学的特性を同時に付与しながらも固体割合を上昇させることに制限されてのみ使用され得る。さらに、これらのポリエステルも一般的には溶媒相溶性でない。
【0009】
EP991690B1は、保護されていないヒドロキシル末端基または保護されたヒドロキシル末端基を有する超分岐樹枝状ポリエステルを提供する、本質的にポリエステル単位から構成されている高分子ポリアルコールの合成法を記載している。該方法に従った生成物は、様々な基で末端化もしくは官能化され得る。上記方法に従って製造されるポリエステルの使用目的は言及されていない。
【0010】
WO93/17060A1は、本質的にポリエステル単位から構成されている超分岐樹枝状高分子を開示している。該高分子は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する開始剤から合成されており、この開始剤に、少なくとも1個のカルボキシル基および少なくとも2個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つの鎖延長剤を包含する少なくとも1つの分岐世代が加えられる。該高分子は場合により鎖末端化されている。そこで記載された超分岐樹枝状高分子は、同様に記載された方法により低コストで入手される。そこで記載される高分子は、なかでも放射線硬化による系のためのバインダーとして適している。しかしながら、熱硬化するクリアコート組成物中でのそれらの使用は記載されていない。さらに、WO93/17060A1の中で挙げられた超分岐樹枝状高分子は、高い固体含量および良好な光学的特性を有するクリアコート組成物中での使用には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US6,569,956B1
【特許文献2】WO03/093343A1
【特許文献3】WO2004/020503A1
【特許文献4】EP991690B1
【特許文献5】WO93/17060A1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Roovers,J.,Macromolecules 1994,27,5359−5364
【非特許文献2】Roovers,J.et al,Macromolecules 1993,26,4324−4331
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って本発明の課題は、高い固体割合および良好な表面光学特性を有するコーティング組成物の作製のために適している、高度に官能化されたバインダーを有するクリアコート組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、DIN 53240により測定してOH価≧180mg KOH/gを有する少なくとも1つの超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルを包含するクリアコート組成物によって解決される。
【0015】
有利な一実施態様において、本発明によるクリアコート組成物のポリエステルは≦10.3の溶解パラメーターSPを有する。溶解パラメーターSPは、Journal of Applied Polymer Science,Vol.12,1968,S.2359−2370に記載された方法に従って測定される。そのためにポリエステル0.5gがそのつどアセトン5gで希釈される。次いでn−ヘキサンもしくはVE−水(DIW=脱イオン水)が、混濁が生じるまで滴定される。
【0016】
溶解パラメーターSPは、以下のように次式から算出され得る:
【0017】
溶解パラメーターSPは、バインダーの製造に際して適した極性を有するモノマーの選択によって、もしくは適した極性の物質を有する慣例のバインダーの続く改質によって調節され得る。その際、使用されるモノマー、もしくは改質に用いられる物質が十分に低い極性を有していることが重要である。そのため例えば極性モノマー、例えばOHを持つ化合物の4−ヒドロキシブチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートは、これらが高いSP値を生じさせることから、例えばアクリレート中での使用には欠点とされる。芳香族化合物、例えばスチレンの影響は必ずしも強く際立ったものではない。
【0018】
バインダーを続けて改質させるためにも、低い極性を有する相応の物質を選択することが重要である。そのため例えば慣例のOH官能性バインダー、殊にポリエステルを、モノカルボン酸、殊に非環式脂肪族モノカルボン酸とのエステル化によって、低いSP値を得るためにエステル化してよい。
【0019】
その際、しかしながら、非極性モノマーもしくは非極性物質は、続く改質のために連鎖が長くなりすぎないことが重要である。なぜなら、これは、引掻強さ試験、耐化学薬品性試験および硬度試験に際して不利な結果をもたらすからである。
【0020】
好ましくは、最適な結果を達成するために、該ポリエステルの平均して少なくとも1個のヒドロキシ官能基が、異性体C8〜C9−モノカルボン酸の群から選択された少なくとも1つの酸でエステル化されている。殊に、そのようにして満足のいく残留光沢率が達成され得る。少なくとも1つのC8〜C9−カルボン酸との上記エステル化は、「酸変性」と同義的にも呼ばれる。
【0021】
このようなクリアコート組成物中のポリエステルは、DIN 53240により測定して>180mg KOH/g、有利には185〜240mg KOH/gのヒドロキシル価および(ヒドロキシ官能性ポリエステルの遊離ヒドロキシ基およびエステル化されたヒドロキシ基の数で示して)16より大きいヒドロキシ官能性を有する。このようなクリアコート組成物は、十分な微小硬度(すなわち>90N/mm2,25.6mNの最大力を有するFischer社のFischerscope計測器を用いてDIN EN ISO 14577により測定)を提供し、かつ耐引掻性および耐化学薬品性である。
【0022】
好ましくは、異性体C8〜C9−モノカルボン酸の基は飽和されている。このようなクリアコート組成物は良好な耐候性を有する。
【0023】
8〜C9−モノカルボン酸の基がオクタン酸またはイソノナン酸の基である場合、本発明の意味における特に好ましい特性が結果生じる。特に有利には、C8〜C9−モノカルボン酸としてイソノナン酸が使用される。
【0024】
ポリエステルは、DIN 53402により測定して≦6、有利には0〜5.5の酸価を有する。上記クリアコート配合物中での該ポリエステルのそのような酸価は、これらのポリエステルと、その他の塗料原料との良好な相溶性をもたらし、かつ均展性を改善する。
【0025】
さらに、該ポリエステルは、酢酸0.1モル/lを有するTHF中のポリスチレン標準を用いたGPCにより測定して1500〜4000g/モル、有利には2000〜3500g/モルの数平均分子量を供給する。そのような低い分子量と、樹枝状ポリエステルの相応して狭い分子量分布との組み合わせにより、一般的により良好な相溶性がもたらされる。
【0026】
特に有利には、単分散のまたは、ほぼ単分散のポリエステルが使用され、それらは簡単に、確実かつ再現可能に製造され得、かつ、それらの特性および最終的な構造は容易かつ適切に適合させることができる。このようなポリエステルはヒドロキシ官能性ポリエステルの部分エステル化により製造され得、それはまたEP991690B1に従って、反応性および場合により保護されたヒドロキシル末端基を有する樹枝状高分子ポリアルコール(ポリエステルポリオール)の合成法により製造可能であり、
−その際、高分子ポリアルコールは、n個の反応性基(A)を有するモノマーまたはポリマーの開始剤分子に由来するn個の樹枝状枝分かれを持ち、その際、全ての枝分かれは、g個の分岐世代を包含し、その際、全ての世代は、少なくとも2個が反応性ヒドロキシル基(B)であり、かつ1個が反応性基(A)および/またはヒドロキシル基(B)と反応性のカルボキシル基(C)である、3個の官能基を有する少なくとも1つのポリマーまたはモノマーの分岐連鎖延長剤を包含し、かつ場合により少なくとも1つのスペーサー世代(Abstandhaltergeneration)を包含し、該世代は、1個が保護されたヒドロキシル基(B'')であり、かつ1個がヒドロキシル基と反応性の基(D)である、2個の官能基を有する少なくとも1つのスペーサー連鎖延長剤を有し、その際、nおよびgは整数であり、かつ少なくとも1であり、
−その際、(i)使用されるモノマーまたはポリマーの連鎖分岐延長剤の2個のヒドロキシル基(B)は、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')であり、その際、アセタールによる保護は、2個のヒドロキシル基(B)と、アセタール形成カルボニル化合物との反応によって得られ;かつ
−(ii)第一の分岐世代が、反応性基(A)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での、反応性基(A)とカルボキシル基(C)との反応によって開始剤分子に付加され、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および1つの世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが得られ、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')が、場合によりアセタール開裂によって脱保護され、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールが得られ;かつ、その際
−(iii)さらなる分岐世代が、g−1の繰り返し工程において、アセタール開裂による脱保護によって得られる反応性ヒドロキシル基(B)とカルボキシル基(C)との、ヒドロキシル基(B)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での反応によって付加され、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および2つ以上の世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが得られ、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')が、場合によりアセタール開裂によって脱保護され、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールが得られ、
かつ
−場合により(iv)工程(ii)および/または工程(iii)の全ての繰り返しに続けて個々に
(a)部分的な保護、例えば使用可能な反応性ヒドロキシル基(B)のアセタール、ケタールおよび/またはエステルとしての保護であって、それによって、工程(iii)または繰り返される工程(ii)で使用するための少なくとも1個の反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールが得られ、かつ/または
(b)任意のスペーサー連鎖延長剤の添加であって、これにより、保護されたヒドロキシル基(B'')の脱保護後に、工程(iii)または繰り返される工程(iii)で使用するための反応性ヒドロキシル基(B)および1つ以上の分岐世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが生じ、かつ少なくとも1つのスペーサー世代が少なくとも1つの部分世代である;
が行われる。
【0027】
クリアコート組成物のポリエステル割合は、該クリアコート組成物の固体割合に対して、好ましくは35〜65質量%、有利には40〜65質量%であり、かつ、それぞれのOH価ならびに使用される硬化剤に従う。そのようにしてクリアコート組成物内での最適な相溶性を達成することができる。その際、最適な使用量は、化学量論的な使用量から逸脱できる。
【0028】
任意に、クリアコート組成物は、架橋剤として少なくとも1つのジイソシアネートまたはポリイソシアネートおよび/または少なくとも1つのアミノプラスチック樹脂および/または少なくとも1つのトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンを包含する。そのようにしてクリア塗膜の硬度および耐化学薬品性を要求に応じて制御することができる。
【0029】
クリアコート組成物の架橋剤割合は、該クリアコート組成物の固体割合に対して、好ましくは30〜60質量%、有利には40〜60質量%である。そのようにして配合物組成の最適化を、それぞれの成分の固体含量および相溶性に関して行うことができる。
【0030】
硬化剤として、クリアコート組成物中で、なかでもイソシアネート硬化剤およびその他の架橋剤、例えばアミノプラスチック硬化剤およびトリスアルコキシカルボニルアミノトリアジン(TACT)を、単独でまたは互いに組み合わせて使用してよい。有利には、脂肪族および/または脂環式のイソシアネートが、場合によりさらなる架橋剤と組み合わせて使用される。
【0031】
有利には、クリアコート組成物中で、耐光堅牢性および耐候性の、一般に使用可能な塗料を得るために、なかでもヘキサメチレンジイソシアネート硬化剤(HDI)およびイソホロンジイソシアネート硬化剤(IPDI)が使用される。有利には、少なくとも1つのHDI硬化剤が使用され、該硬化剤を用いて、良好な架橋および耐性を有するコーティングが得られる。
【0032】
有利には、本発明によるクリアコート組成物中で、高分子イソシアヌレート硬化剤が、その比較的僅かな増感性に基づき、かつ、それらが商業的に十分入手可能であることに基づき使用される。特に有利には、硬化剤としてHDIイソシアヌレートが使用される。なぜなら、この硬化剤を含有する相応したコーティング組成物は低い粘度を有し、ひいては良好に加工可能であり、かつ良好な均展性を示すからである。
【0033】
好ましくは、クリアコート組成物は、耐性、殊に耐酸性および耐候性に関して満足のいく効能を達成するために、架橋剤として少なくとも1つのジイソシアネートまたはポリイソシアネートを包含する。
【0034】
結果生じるコーティングの硬度および表面特性は、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートのNCO基対ヒドロキシ官能性ポリエステルの遊離OH基の比率が≦1.1:1、有利には1.05:1〜0.85:1である場合、最適な形で制御することができる。さらに、そのつどの架橋に適した−従来技術において既に公知の−触媒を使用してよい。
【0035】
特に高い耐引掻性および耐化学薬品性および特に良好な光学的特性を有する特に良好なコーティングは、上記方法に従って測定されたバインダーと硬化剤とのSP値の差が最大1.0、有利には0.8、特に有利には0.5である場合に生じる。
【0036】
本発明の対象はまた、DIN 53240により測定してOH価≧180mg KOH/gを有する超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルである。このポリエステルは、高官能化バインダーとして高い固体割合を有するクリアコート組成物中で良好な表面光学特性の取得下で使用することができる。
【0037】
好ましくは、本発明によるポリエステルは、≦10.3の溶解パラメーターSPを有し、その際、該溶解パラメーターは上記方法により測定される。
【0038】
特に良好な結果は、超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルの平均して少なくとも1個のヒドロキシ官能基が、異性体C8〜C9−モノカルボン酸の群から選択された少なくとも1つの酸でエステル化されている場合に生じる。そのようにして例えば良好な残留光沢率が、相応するクリアコート組成物の場合に生じる。
【0039】
有利には、DIN 53240により測定して>180mg KOH/g、有利には185〜240mg KOH/gのヒドロキシル価および(ヒドロキシ官能性ポリエステルの遊離ヒドロキシ基および酸変性されたヒドロキシ基の数で示して)16より大きいヒドロキシ官能性を有する。これらのポリエステルを含有するクリア塗膜は、良好な微小硬度、耐引掻性および耐化学薬品性を提供する。
【0040】
好ましくは、異性体C8〜C9−モノカルボン酸の基は飽和されている。クリアコート組成物中のこのようなポリエステルは、良好な耐候性を有する膜を生じさせる。
【0041】
特に好ましくは、C8〜C9−モノカルボン酸の基はオクタン酸またはイタコン酸の基である。特に有利には、異性体C8〜C9−モノカルボン酸の基はイソノナン酸の基である。
【0042】
ポリエステルは、DIN 53402に従って測定して≦6、有利には0〜5.5の酸価を有する。そのような酸価を有するポリエステルは、コーティング組成物中のその他の原料と良好に相溶性であり、かつ良好な均展性につながる。
【0043】
さらに、該ポリエステルは、酢酸0.1モル/lを有するTHF中のポリスチレン標準を用いたGPCにより測定して1500〜4000g/モル、有利には2000〜3500g/モルの数平均分子量を供給する。このような分子量は、コーティング組成物中で高分子量の物質と比較して改善された相溶性につながる。
【0044】
さらに本発明の対象は、本発明による超分岐樹枝状ポリエステルの製造法であり、その際、まず
−反応性および場合により保護されたヒドロキシル末端基を有し、n個の反応性基(A)を有するモノマーまたはポリマーの開始剤分子に由来するn個の樹枝状枝分かれを持つ樹枝状高分子ポリアルコール(ポリエステルポリオール)を製造し、その際、全ての枝分かれは、g個の分岐世代を包含し、その際、全ての世代は、少なくとも2個が反応性ヒドロキシル基(B)であり、かつ1個が反応性基(A)および/またはヒドロキシル基(B)と反応性のカルボキシル基(C)である、3個の官能基を有する少なくとも1つのポリマーまたはモノマーの分岐連鎖延長剤を包含し、かつ場合により少なくとも1つのスペーサー世代を包含し、該世代は、1個が保護されたヒドロキシル基(B'')であり、かつ1個がヒドロキシル基と反応性の基(D)である、2個の官能基を有する少なくとも1つのスペーサー連鎖延長剤を有し、その際、nおよびgは整数であり、かつ少なくとも1であり、
−その際、(i)使用されるモノマーまたはポリマーの連鎖分岐延長剤の2個のヒドロキシル基(B)は、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')であり、その際、アセタールによる保護を、2個のヒドロキシル基(B)と、アセタール形成カルボニル化合物との反応によって得;
−かつ(ii)第一の分岐世代を、反応性基(A)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での、反応性基(A)とカルボキシル基(C)との反応によって開始剤分子に付加し、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および1つの世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールを得、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')を、場合によりアセタール開裂によって脱保護し、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールを得;かつ、その際
−(iii)さらなる分岐世代を、g−1の繰り返し工程で、アセタール開裂による脱保護によって得られる反応性ヒドロキシル基(B)とカルボキシル基(C)との、ヒドロキシル基(B)対カルボキシル基(C)の少なくとも1のモル比での反応によって付加し、それによって、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')および2つ以上の世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールを得、その際、アセタール保護されたヒドロキシル基(B')を、場合によりアセタール開裂によって脱保護し、それによって、反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールを得、
かつ
−場合により(iv)工程(ii)および/または工程(iii)の全ての繰り返しに続けて個々に
(a)部分的な保護、例えば使用可能な反応性ヒドロキシル基(B)のアセタール、ケタールおよび/またはエステルとしての保護であって、それによって、工程(iii)または繰り返される工程(ii)で使用するための少なくとも1個の反応性ヒドロキシル基(B)を有する高分子ポリアルコールを得、かつ/または
(b)任意のスペーサー連鎖延長剤の添加であって、これにより、保護されたヒドロキシル基(B'')の脱保護後に、工程(iii)または繰り返される工程(iii)で使用するための反応性ヒドロキシル基(B)および1つ以上の分岐世代を包含するn個の樹枝状枝分かれとを有する高分子ポリアルコールが生じ、かつ少なくとも1つのスペーサー世代が少なくとも1つの部分世代である;を行い、
続けて異性体C8〜C9−モノカルボン酸とのヒドロキシ官能性ポリエステルの部分エステル化を行う。この簡単で、確実かつ再現可能な方法に従って製造された化合物は、単分散または、ほぼ単分散であってよい。さらに、該化合物の特性および最終的な構造は容易かつ適切に適合させることができる。
【0045】
さらに本発明の対象は、超分岐樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステルを少なくとも1つの異性体C8〜C9−モノカルボン酸と部分的に反応させる、本発明によるポリエステルの製造法である。
【0046】
さらに本発明の対象は、自動車量産塗装、車体部分または商用車の塗装または塗換(補修)用のクリアコートコーティング組成物を製造するための本発明によるクリアコート組成物の使用である。好ましくは、該クリアコート組成物は、「ウェットオンウェット」法に際しての使用に適している。この方法の場合、場合により前処理され、かつ場合によりカチオン電着プライマーおよびサーフェーサーで予備コーティングされた基材上に、二つの工程で、まずベースコートが塗布され、次いでクリアコートが塗布される。その際、「ウェットオンウェット」とは、両コートが短い間隔でベースコートの焼付けなしに施与されることを意味し、その結果、一緒に焼付けされ、かつ架橋される。特に有利には、本発明によるクリアコートは、焼付けされたカチオン電着コーティングされた基材を、改質されたベースコートでコーティングする仕上げ工程に際して使用され、中間的なフラッシュオフタイム後にベースコートが塗布され、さらなるフラッシュオフタイム後にクリアコートが塗布され、かつ場合により行われるフラッシュオフタイム後に該コート成分が一緒に焼付けされる。この方法の場合、通常のサーフェーサーが使用される。
【0047】
さらに本発明の対象は、本発明によるクリアコート組成物でコーティングされている基材である。このような基材は、場合により前処理され、かつ場合によりカチオン電着プライマーおよびサーフェーサーで予備コーティングされた、例えば自動車ボディーを作製する場合に使用される鋼、亜鉛メッキ鋼およびアルミニウムからの基材である。
【実施例】
【0048】
比較例1−ポリエステル SP1の製造
攪拌機、還流冷却器および水分離器を備えた反応器中に、ヘキサン酸1696質量部を添加し、かつキシレン40質量部と混合する。この混合物を、慎重に撹拌下で80℃に加熱する。次いで、塊状物の形成を防止するために、樹枝状ヒドロキシ官能性ポリエステル4439質量部(Boltorn H 30,Persorp社から入手可能)をゆっくりと加える。添加後に反応混合物を200℃に加熱する。反応フローを監視するために縮合物の体積を記録し、かつ時々サンプルをヒドロキシル価の測定のために取り出す。事前に算出した、完全な変換率に相当する縮合物の量に達した後、キシレン割合を蒸留により除去する。反応混合物を、5mg KOH/g未満(DIN 53402により測定)の酸価に達するまで200℃で攪拌する。この混合物を145℃に冷却し、かつペンチルアセテート994質量部中に溶解する。
【0049】
結果生じるポリエステル樹脂は84.1質量%の固体割合および15.1dPas(DIN EN ISO 2884−1により測定)の粘度を有する。結果生じるヒドロキシル価は220mg KOH/g(DIN 53240により測定)である。
【0050】
比較例2−ポリエステル SP2の製造
例1を、以下の出発物質において記載した量で繰り返す:
Boltorn H 30 4439質量部
ヘプタン酸 1628質量部
キシレン 40質量部
ペンチルアセテート 994質量部
結果生じるポリエステル樹脂は84.1質量%の固体割合および11.5dPas(DIN EN ISO 2884−1により測定)の粘度を有する。結果生じるヒドロキシル価は220mg KOH/g(DIN 53240により測定)である。
【0051】
本発明による実施例3−ポリエステル SP3の製造
例1を、以下の出発物質に関して記載した量で繰り返す:
Boltorn H 30 4439質量部
オクタン酸 1574質量部
キシレン 40質量部
ペンチルアセテート 994質量部
結果生じるポリエステル樹脂は85.8質量%の固体割合および11.5dPas(DIN EN ISO 2884−1により測定)の粘度を有する。結果生じるヒドロキシル価は220mg KOH/g(DIN 53240により測定)である。
【0052】
本発明による実施例4−ポリエステル SP4の製造
例1を、以下の出発物質に関して記載した量で繰り返す:
Boltorn H 30 4439質量部
イソノナン酸 1523質量部
キシレン 40質量部
ペンチルアセテート 994質量部
結果生じるポリエステル樹脂は86.3質量%の固体割合および15.1dPas(DIN EN ISO 2884−1により測定)の粘度を有する。結果生じるヒドロキシル価は220mg KOH/g(DIN 53240により測定)である。
【0053】
比較例5−ポリエステル SP5の製造
例1を、以下の出発物質に関して記載した量で繰り返す:
Boltorn H 30 4439質量部
デカン酸 1480質量部
キシレン 40質量部
ペンチルアセテート 994質量部
結果生じるポリエステル樹脂は85.5質量%の固体割合および11.5dPas(DIN EN ISO 2884−1により測定)の粘度を有する。結果生じるヒドロキシル価は220mg KOH/g(DIN 53240により測定)である。
【0054】
本発明による実施例6−ポリエステル SP6の製造
例1で記載した製造法を、Boltorn H 20(Perstorp社から入手可能)、イソノナン酸、キシレンおよびペンチルアセテートの使用下で、85.0質量%の固体割合、5.65dPasの粘度(DIN EN ISO 2884−1により測定)および220mg KOH/g(DIN 53240により測定)のヒドロキシル価を有するポリエステル樹脂の作製のために使用する。
【0055】
本発明による実施例7−ポリエステル SP7の製造
例1で記載した製造法を、Boltorn H 30、イソノナン酸、キシレンおよびペンチルアセテートの使用下で、85.0質量%の固体割合、15.5dPasの粘度(DIN EN ISO 2884−1により測定)および240mg KOH/g(DIN 53240により測定)のヒドロキシル価を有するポリエステル樹脂の作製のために使用する。
【0056】
本発明による実施例8−ポリエステル SP8の製造
例1で記載した製造法を、Boltorn H 30、イソノナン酸、キシレンおよびペンチルアセテートの使用下で、82.0質量%の固体割合、5.1dPasの粘度(DIN EN ISO 2884−1により測定)および180mg KOH/g(DIN 53240により測定)のヒドロキシル価を有するポリエステル樹脂の作製のために使用する。
【0057】
【表1】
【0058】
本発明によるSCA樹脂の製造
温度計、攪拌機および冷却アタッチメントを備え付けた、加熱ジャケットを有する10lのJuvo型の実験用反応槽中に、ソルベントナフサ1512.5gを装入する。窒素200cm3/分での攪拌およびブランケット下で、過圧下(最大3.5bar)にて160℃に加熱し、かつ計量供給ポンプを用いてジ−t−ブチルペルオキシド80.5gおよびソルベントナフサ201.0gとからの混合物を均一に4.75h以内に滴下する。供給開始から0.25h後に、計量供給ポンプによりスチレン1283.5g、n−ブチルアクリレート1115.0g、ヒドロキシエチルアクリレート693.5g、メタクリル酸70.5gおよびメタクリル酸エステル−13 43.5gとからの混合物を均一に4h以内に計量供給する。供給の終了後、温度をさらに2h維持し、次いで60℃に冷却し、かつ5μmのGAFバッグにより濾過する。結果生じる樹脂は、15mg KOH/g(DIN 53402)の酸価、固体含有率65%±1(60分、130℃)およびDIN ISO 2884−1により測定して5.0dPa*sの粘度(ソルベントナフサ中で55%)を有する。
【0059】
尿素沈殿:
200lの容器中に尿素溶液84.7gを装入し、かつブチルアセテート5.88gで希釈する。引き続き、ベンジルアミン2.24gを添加し、かつ、この混合物を30分間、攪拌する。この時間後に、高剪断下でヘキサメチレンジイソシアネート1.76gおよびブチルアセテート3.42gとからの混合物を、40℃の反応温度を超過しないように添加する。得られた混合物は、>800mPasの粘度(10 s−1)(Z3)(DIN ISO 2884−1)および58.6〜59.6%の固体含有率(60分、130℃)を有する。
【0060】
本発明によるチキソトロープペーストの製造
温度計、攪拌機および冷却アタッチメントを備え付けた、加熱ジャケットを有する10lのJuvo型の実験用反応槽中に、Shellsol A 3166.1gを装入する。窒素200cm3/分での攪拌およびブランケット下で156℃に加熱し、かつ滴下漏斗を用いてジ−t−ブチルペルオキシド155.9gおよびShellsol297.4gとからの混合物を均一に4.75h以内に滴下する。供給開始から0.25h後に、滴下漏斗によりスチレン829.5g、n−ブチルアクリレート2041.8g、n−ブチルメタクリレート893.3g、ヒドロキシエチルアクリレート1276.1g、アクリル酸63.8gおよび4−ヒドロキシブチルアクリレート1276.1gとからの混合物を均一に4h以内に計量供給する。供給の終了後、温度をさらに2h維持し、次いで80℃に冷却し、かつ5μmのGAFバッグにより濾過する。結果生じる樹脂は、10mg KOH/g(DIN 53402)の酸価、固体含有率65%±1(60分、130℃)およびDIN ISO 2884−1により測定して20.0dPa*sの粘度を有する。
【0061】
200lの容器中に尿素溶液43.8gを装入し、かつキシレン24.7gならびにブタノール23.4gで希釈する。10分後に剪断下でAerosil R812 11.1gを添加し、かつ、この混合物をさらに30分間、剪断する。得られた混合物は、130mPasの粘度(10 s−1)(Z3)(DIN ISO 2884−1)を有する。
【0062】
クリアコート組成物
表1に挙げられたポリエステル樹脂を用いて、次の秤量分に従って、それぞれ2成分クリアコートの第一の成分を製造した:
【表2】
【0063】
二成分クリアコートコーティングの製造のために、上記に従って製造した、それぞれ第一の成分を、次に挙げた第二の成分(ポリイソシアネート−硬化剤 Basonat HI 190、BASF Aktiengesellschaft)の秤量分と均質化し、かつ、その直後に施与する。
【0064】
2.成分:
【表3】
【0065】
そのために、通常かつ公知の、陰極析出された、熱硬化された電着塗膜、通常かつ公知の、熱硬化されたフィラーコート(Fuellerlackierung)および80℃で10分間、予備乾燥された市販の慣例のBASF Coatings AG社の黒色ベースコートからの層でコーティングされた試験用薄板をそれぞれ使用する。ベースコート層およびクリアコート層を一緒に140℃にて22分間、硬化した。結果生じるベース塗膜は7.5μmの層厚を有し、結果生じるクリア塗膜は約35μmの層厚を有していた。
【0066】
結果生じるクリアコート−コーティングは以下の特性を有していた:
【表4】
【0067】
試験結果は、硬化剤と基材との相容性を保証するために、モノカルボン酸改質剤の最小もしくは最大の炭化水素基の長さを必要としていることを示す。短い鎖(例1〜2)は、長い鎖(例4)と同様に非相溶性につながる。
【0068】
結果生じる膜がさらに満足のいく硬度を有することを保証するために、十分に高いヒドロキシル価を有する樹脂を選択すること(例6および7)が重要である。
【0069】
使用されるポリエステルの官能性(使用されるポリエステルの遊離ヒドロキシ基およびエステル化されたヒドロキシ基の総和として)は、結果生じる膜の特性にも本質的な影響を及ぼす:低いヒドロキシル官能性(例5、Boltorn 20,官能性=16)を持つポリエステルは軟らかい膜を生じさせ、一方で高い官能性(例3、官能性=32)は本質的に硬い膜を生じさせる。
【0070】
超分岐樹枝状ポリエステルを用いて、従来の組成物中でより、2成分−クリアコート組成物中ではるかに高い固体割合を達成することができる。
【0071】
比較例8−従来技術に従った二成分−クリアコート組成物
【表5】
【0072】
本発明によるクリアコート組成物は、従来技術に従ったクリアコート組成物(固体割合50質量%)と比較してはるかに高い固体割合を有する。
【0073】
本発明による実施例9−二成分−クリアコート組成物
【表6】
【0074】
該二成分−クリアコート組成物を試験用薄板上に施与する。そのために、通常かつ公知の、陰極析出された、熱硬化された電着塗膜、通常かつ公知の、熱硬化されたフィラーコートおよび80℃で10分のあいだ予備乾燥された市販の慣例のBASF Coatings AG社の黒色ベースコートからの層でコーティングされている試験用薄板をそれぞれ使用する。ベースコート層およびクリアコート層を一緒に140℃にて22分間、硬化する。結果生じるベース塗膜は7.5μmの層厚を有し、結果生じるクリア塗膜は約35μmの層厚を有する。
【0075】
結果生じるクリアコート膜は−高い固体割合にも関わらず−非常に良好な相容性を有し、かつ、非常に良好な表面光学特性によって際立つ。コーティングのAMTEC−残留光沢率は83%であり、かつ微小硬度は111N/mm2である。
【0076】
本発明による実施例10−二成分−クリアコート組成物
【表7】
【0077】
該二成分−クリアコート組成物を試験用薄板上に施与する。そのために、通常かつ公知の、陰極析出された、熱硬化された電着塗膜、通常かつ公知の、熱硬化されたフィラーコートおよび80℃で10分のあいだ予備乾燥された市販の慣例のBASF Coatings AG社の黒色ベースコートからの層でコーティングされている試験用薄板をそれぞれ使用する。ベースコート層およびクリアコート層を一緒に140℃にて22分間、硬化する。結果生じるベース塗膜は7.5μmの層厚を有し、結果生じるクリア塗膜は約35μmの層厚を有する。
【0078】
結果生じるクリアコート膜は−高い固体割合にも関わらず−非常に良好な相容性を有し、かつ、非常に良好な表面光学特性によって際立つ。コーティングのAMTEC−残留光沢率は85%であり、かつ微小硬度は97N/mm2である。