特許第6104358号(P6104358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6104358-石英ガラス中空シリンダを製造する方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104358
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】石英ガラス中空シリンダを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/06 20060101AFI20170316BHJP
   C03B 37/012 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   C03B33/06
   C03B37/012 A
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-502189(P2015-502189)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2015-518458(P2015-518458A)
(43)【公表日】2015年7月2日
(86)【国際出願番号】EP2013055095
(87)【国際公開番号】WO2013143844
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2015年11月19日
(31)【優先権主張番号】102012006410.1
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507332918
【氏名又は名称】ヘレーウス クヴァルツグラース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Quarzglas GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ルネ ゾーヴァ
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−247340(JP,A)
【文献】 特開2009−285783(JP,A)
【文献】 特開平05−139770(JP,A)
【文献】 特開2011−031357(JP,A)
【文献】 特開2007−175967(JP,A)
【文献】 特開平07−109135(JP,A)
【文献】 米国特許第05785729(US,A)
【文献】 特開2003−159607(JP,A)
【文献】 特開2004−322296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00−35/26
37/00−37/16
B28D 1/00− 7/04
B23B 35/00−49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英ガラスを製造する方法であって、
中心軸線(3)を備えた素材シリンダ(2)を提供し、該素材シリンダ(2)内に、ドリルロッドと該ドリルロッドに相対回動不能に位置固定されたドリルヘッド(1)とを備えた、水平方向の回転軸線(4)を中心として回転するドリルにより、前記中心軸線(3)に対して同軸的に延びる最終孔を形成するか、または存在している内孔を拡張して最終孔を形成し、
前記ドリルヘッド(1)は、連続的に変化するドリルヘッド位置を占め、該ドリルヘッド位置は、測定装置により継続的に求められ、目標位置からずれた場合に目標位置に戻す、石英ガラスを製造する方法において、
目標位置に戻すことが、前記ドリルヘッド位置が前記中心軸線(3)の上方に達するように、該中心軸線(3)を中心として前記素材シリンダ(2)を調節回動させることを含む、石英ガラスを製造する方法。
【請求項2】
前記素材シリンダ(2)の調節回動を、前記ドリルヘッド(1)が前記目標位置の垂直方向で上方に達するように行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記最終孔の形成が、運転段階と、前記ドリルヘッド(1)を前記目標位置に戻す少なくとも1つの調整段階とを含み、前記素材シリンダ(2)を、前記運転段階の間に、前記中心軸線(3)を中心として前記ドリルとは反対向きに回転させる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記最終孔の形成が、運転段階と、前記ドリルヘッド(1)を前記目標位置に戻す少なくとも1つの調整段階とを含み、前記素材シリンダ(2)を、前記運転段階の間に、固定する、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記素材シリンダ(2)が中空シリンダであり、前記最終孔を形成するプロセスの開始前に、該中空シリンダ長さにわたって半径方向の肉厚経過を求め、求められた肉厚プロフィールを、ドリルヘッド位置を戻す際に考慮する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記最終孔を形成するプロセスの開始前に、前記素材シリンダ長さにわたって中心軸線(3)の延在状態を求め、該中心軸線(3)の求められた軸方向の延在状態を、前記ドリルヘッド位置を戻す際に考慮する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
素材シリンダ長さにわたって前記中心軸線(3)が直線的に延びていない場合に、補償直線が求められ、前記ドリル回転のための目標回転軸線を、前記補償直線に対して同軸的に固定する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記素材シリンダ(2)が中空シリンダであり、前記ドリルヘッド(1)を前記ドリルロッドにより前記中空シリンダ内孔を通じて移動させる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ドリルヘッド位置を少なくとも1つのカメラ(6)によって光学的に検出し、画像処理により評価する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ドリルヘッド位置を求めることが、前記中心軸線(3)を中心とした前記素材シリンダ(2)の調節回動を含み、前記ドリルヘッド位置は、遅くとも前記ドリルヘッド(1)の5cmの送り毎に行われる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英ガラス中空シリンダの製造方法に関する。該方法では、中心軸線を有する素材シリンダを提供し、該素材シリンダ内に、ドリルロッドと該ドリルロッドに相対回動不能に位置固定されたドリルヘッドとを備えた、水平方向の回転軸線を中心として回転するドリルを用いて、中心軸線に対して同軸的に延びる最終孔を形成するか、存在する内孔を拡張して最終孔を形成し、ドリルヘッドは、連続的に変化するドリルヘッド位置を占め、該ドリルヘッド位置を、測定装置を用いて継続的に求め、目標位置からはずれた場合に目標位置へと戻す。
【0002】
このような石英ガラス中空シリンダは、光ファイバおよび光ファイバ用のプリフォームを製造するための半製品として働く。石英ガラス中空シリンダは、たとえば、クラッド管として使用され、これによりいわゆる「コアロッド」に付加的なジャケットガラスを被せることができる。被せることは、内孔に挿入されたコアロッド上に同軸的に配置された石英ガラス中空シリンダをコラプスし、延伸することにより行われる。これによってプリフォームが形成され、このプリフォームから、次いで光ファイバが線引きされる。中空シリンダを、コアロッド上にファイバ線引きする間に、コラプスすることも公知である。石英ガラスから成る寸法通りの中空シリンダは、半導体製造の枠内でも反応器チャンバまたは被覆管として、かつ石英ガラス管の延伸のための原材料として使用され得る。
【0003】
石英ガラス中空シリンダの製造はしばしば、石英ガラスシリンダの機械加工を含む。機械加工では、深穴穿孔により内孔が形成されるか、または存在している内孔が拡張される。特に注目すべきなのは、内孔の寸法精度である。なぜならば、プリフォームもしくはファイバ製造時に中空シリンダをコラプスして被せる際に制御不能な塑性変形を阻止することができるように、寸法精度は、できるだけ正確にコアロッドの外径に適合される必要があるからである。このことは、中空シリンダにおいて、半径方向の寸法設定だけでなく、長さに関しても安全マージンを必要とし、このことは、材料損失をもたらし、ひいては高められた製造コストをもたらす。深穴穿孔によって、かつ公知のホーニング法および研磨法を使用しながら、100mmよりも大きな外径および2m以上の長さを有する石英ガラス中空シリンダを製造することが可能である。
【0004】
深穴穿孔は、ドリルロッドの垂直方向または水平方向の配置で行われる。水平方向の深穴穿孔時に、ドリルヘッドおよびドリルロッドの自重による穿孔工具のずれを阻止するために、穿孔されるべき素材シリンダがドリルに対して反対向きに回転する。
【0005】
特開第2010−247340号公報から、冒頭で述べた種類の方法が公知である。合成石英ガラスから成る中実シリンダの内孔は、コアドリルの押し込みにより所定の寸法に穿孔される。コアドリルは、水平方向に向けられたドリルロッドと、該ドリルロッドに組み付けられたドリルヘッドとを有している。ドリルヘッドは、回転軸線を中心として回転する、磁性材料から成るドリルビットを有している。測定装置により、内孔の内部のドリルビットの位置が連続的に求められる。この目的のためには、測定装置は、内孔の外側のキャリッジに移動可能に支持されていて、ドリルと同じ送りで運動させられる。ドリル位置の測定は、光学的に、容量式に、無線によりまたは超音波を用いて行われる。ドリルの、その目標位置からのずれが確認されると、ドリルは内孔の中心軸線へと再び戻される。このことは、磁界発生器の作用下で磁力により行われる。磁界発生器は、中心軸線の周囲に均等に分配された4つの電磁石を有しており、これらの電磁石は同様にキャリッジに組み付けられており、回転対称ではない磁界の形成が可能である。
【0006】
技術的な課題設定
測定装置は、現在のドリル位置の持続的な検出と、必要な場合には自動的な対抗制御とを、回転対称ではない磁界の形成または変更ならびに該磁界の、磁性のドリルビットへの作用により可能にする。
【0007】
公知の方法は、環状の横断面および小さな寸法のずれを有する正確な円筒対称性により優れている中空シリンダの製造を可能にしている。しかし、構造手間は大きい。つまり、強磁性のドリルビットの必要性は、適切な工具の選択肢を減じ、中空シリンダの内孔の壁への特に不都合な汚染物質の進入につながり得る。
【0008】
したがって、本発明の根底を成す課題は、正確な寸法の石英ガラス中空シリンダを製造するための廉価な方法を提供することにある。
【0009】
本発明の概要
この課題は、冒頭で述べた方法を起点として本発明により解決される。本発明では、目標位置へ戻すことは、素材シリンダを中心軸線を中心として調節回動させて、ドリルヘッド位置が中心軸線の上方に達するようにすることを含むことによって解決される。
【0010】
ドリルヘッドは高い重量を有し、ドリルロッドは、しばしば数メートルの顕著な長さを有している。ドリルロッドの水平方向の配置時に、ドリルヘッドは、その重量の作用により、下方に向かって偏位する傾向にある。下方への移動には、素材シリンダの、ドリルとは反対方向の回転が対抗作用することができる。したがって、理想的なシリンダ幾何学形状を有する素材シリンダの場合、中空シリンダの中心にある内孔および均一な肉厚を高い構造手間および測定手間をかけることなしに達成するために、反対方向への回転は特に単純な手段である。しかし、素材シリンダはしばしば、たとえば「バナナ形状」のような理想的ではない幾何学形状を有している。このような場合、素材シリンダが回転している場合でも、半径方向で不均一なシリンダ壁(以下で「壁の偏り」とも呼ばれる)が生じることがある。
【0011】
ここでも対策を講じるために、本発明によれば、ドリルヘッドの位置を継続的に、つまり連続的にまたは時々測定し、この情報に基づいて、ドリルヘッドが相変わらず中心軸線に沿った目標位置で走行しているか、または中心軸線に対してずれているかが求められる。目標位置からずれている場合に、素材シリンダの、場合によっては起こり得る回転が中断されるか、またはストップされ、穿孔されるべき素材シリンダは、その中心軸線を中心として調節回動され、この場合にドリルヘッド位置は、中心軸線の上方に位置するようにされ、理想的には、中心軸線のまさに鉛直方向で上方に位置するようにされる。ドリルヘッドは、平面の上方で固定的なまたは可変の中間位置を占める。この中間位置を基点として、ドリルヘッドは再び目標位置へと達する。穿孔プロセスのさらなる経過中に、ドリルヘッドは、素材シリンダが相変わらず停止しているか、せいぜい僅かにしか運動していない場合、その重量により下方に向かって、中心軸線に向かう方向に運動する。素材シリンダの中心軸線がドリルの回転軸線に対して同軸的に延びると同時に、ドリルヘッド目標位置は達成されている。
【0012】
したがって、本発明に係る方法では、ドリルをその目標位置に戻すために、自然の重力が利用される。ドリルヘッドを強制的に新たに位置決めするための手間のかかる装置、たとえば先行技術から公知の磁界発生器は、これにより不要である。ドリルヘッドの材料的な構成に対して、本発明は特別な要求をもたず、特にドリルヘッドまたはドリルヘッドの主な部品は、必ずしも磁性の材料から成っている必要はない。
【0013】
位置調整のための重力の最適な利用は、水平方向に延びる中心軸線を備えた素材シリンダの配置を要求する。水平方向の配置からの小さなずれは、本発明の態様を取るに足らない程度しか悪化させないことは明白である。
【0014】
目標位置からずれたドリルヘッドを中心軸線の上方の中間位置へ新たに位置決めするために、素材シリンダは調節回動される。このためには、最も単純な場合、180度以下の小さな調節回動角で十分である。調節回動後に、素材シリンダの調節回動は停止されるので、ドリルヘッドは、占められた半径方向の中間位置から動かない。中心軸線の垂直方向上方でドリルヘッドが動かないことは、ドリルヘッド位置が、該ドリルヘッドの目標位置の方向に向かってできるだけ迅速に変化すること生ぜしめる。
【0015】
しかし、ドリルヘッドの、中心軸線の上方の領域での滞留時間が中心軸線の下方の領域での滞留時間よりも長くなった場合、素材シリンダは、この中間位置を中心として揺動するように往復運動することができ、またはそれどころかその中心軸線を中心として可変の速度で回転され得る。この方法は、その目標位置の方向へのドリルヘッド位置の緩慢な適合を生ぜしめる。素材シリンダのある程度継続する運動は、ドリルヘッド位置の、亀裂形成をもたらし得る急速な変更を阻止するために有利である。
【0016】
ドリルヘッド位置の調整は、継続的に行われるか、またはドリルヘッドの目標位置および現在位置のずれが所定の閾値を上回った場合に行われる。
【0017】
ドリルヘッドの目標位置および現在位置のずれが所定の閾値を上回った場合にドリルヘッド位置の調整を行う場合、運転段階は1つまたは複数の調整段階により中断される。ドリルヘッドがその目標位置に位置している運転段階の間、素材シリンダは、ドリルに対して反対方向に回転することができるのに対して、素材シリンダは、調整段階の間、上記の調節回動または場合によっては生じる後調整を除いて、停止しているか、または上述のように揺動するか可変の周速度で回動させられる。
【0018】
したがって、好適な第1の方法では、最終孔の形成が運転段階と、ドリルヘッドを目標位置に戻す少なくとも1つの調整段階とを有しており、素材シリンダを、運転段階の間、ドリルとは反対方向に中心軸線を中心として回転させる。
【0019】
ドリルヘッドを重力により目標位置に戻す調整段階を除いて、この場合、素材シリンダはドリルとは反対方向に回転する。このことは、中心軸線からのドリルヘッドの偏位のリスクを減じる。
【0020】
しかし、本発明に係る方法では、継続的に位置調整を行う場合、素材シリンダの回転を完全に省略することもできる。したがって、択一的な、同様に好適な方法では、最終孔の形成は、運転段階と、ドリルヘッドを目標位置に戻す少なくとも1つの調整段階とを有しており、素材シリンダを、運転段階の間に固定する。
【0021】
この場合、素材シリンダは、穿孔プロセス時にその中心軸線を中心として回転せず、穿孔プロセスは、必要な場合には、並行してかつ継続的に進行するドリルヘッド位置の調整を含む。
【0022】
初めから中空シリンダとして実施されている素材シリンダを使用する場合、穿孔プロセスは、孔の拡張だけではなく、寸法精度の改善、特に場合によっては生じる素材シリンダの壁の偏りを阻止するためにも働く。これに関連して、穿孔プロセスの開始前に、中空シリンダ長さにわたる半径方向の肉厚経過が求められ、これにより求められた肉厚プロフィールを、ドリルヘッド位置を戻す際に考慮する。
【0023】
ドリルヘッドの位置を継続的に求めるための測定装置は、軸方向および半径方向の肉厚経過を前もって求めるためにも使用することができる。素材シリンダのために前もって個別に求められた肉厚プロフィールを考慮することは、壁の偏りの排除または阻止を容易にする。
【0024】
これに対して択一的または補足的には、穿孔プロセスの開始前に、素材シリンダ長さにわたって中心軸線延在状態がもとめられ、これにより求められた中心軸線の軸方向の延在状態を、ドリルヘッド位置を戻す際に考慮する。
【0025】
既に上記で説明したように、素材シリンダは、湾曲した中心軸線を有していることがあり、特に、いわゆるバナナ形状を有していることがある。このような場合、ドリルの目標回転軸線が、素材シリンダの(湾曲した)中心軸線の外側に延びていると有利である。
【0026】
したがって、中心軸線が素材シリンダ長さにわたって直線的に延びていない場合、補償直線が求められ、ドリル回転のための目標回転軸線は、補償直線に対して同軸的に固定される。
【0027】
中空シリンダとして形成された素材シリンダを使用する場合、ドリルは、存在している内孔を通じて押し込まれ、「突当て穿孔(stossendes Bohren)」とも呼ばれる。このことは、特に、ドリルヘッドが中空シリンダとして形成された素材シリンダの場合に、ドリルロッドが中空シリンダ内孔を通じて移動する場合に特に有利であることが判った。
【0028】
ドリルヘッド位置は、レーザおよび/または超音波測定またはレントゲン測定により求められ得る。超音波により、有利には穿孔された素材シリンダの肉厚が求められ、これに対してレーザ測定は好適には間隔の光学的な検出のために働く。
【0029】
ドリルヘッド位置が光学的に少なくとも1つのカメラを用いて検出され、画像処理により評価されると特に有利である。
【0030】
カメラにより形成された像は、ドリルヘッド位置を複数の測定平面、たとえば、ドリルヘッドの手前、ドリルヘッドの中間およびドリルヘッド先端において同時に検出することを可能にする。素材シリンダが回転される場合、検出のためには1つのカメラで十分である。視野が互いに直交する2つのカメラの使用によって、ドリルヘッド位置の完全な検出が、回転していない素材シリンダにおいても達成される。
【0031】
有利には、ドリルヘッド位置を求めることは、素材シリンダの、中心軸線を中心とした調節回動を含む。この場合、ドリルヘッド位置の検出はときどき、しかし遅くともドリルヘッドの5cmの送り毎に行われる。
【0032】
このようにして得られた石英ガラス中空シリンダは、有利には、光ファイバのためのプリフォームの製造のために使用される。石英ガラス中空シリンダは、コアロッド上にコラプスされ、同時にプリフォームを形成しながら延伸される。
【0033】
同時に、本発明に係る石英ガラス中空シリンダの、光ファイバの製造のための線引き法での使用が有利である。線引き法では、中空シリンダは、コアロッド上にコラプスされ、同時にファイバを形成しながら線引きされる。
【0034】
半導体製造における特に寸法精度の高い構成部材としての使用のためにも、または管を延伸するための出発材料としても、中空シリンダは適している。
【0035】
以下に本発明を1つの実施形態と図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ドリル位置がずれている場合の素材シリンダの端面を示す平面図である。
図2】ドリル位置の調整を開始するための素材シリンダの調節回動後の素材シリンダの端面を示す平面図である。
図3】ドリル位置の調整後の素材シリンダの端面を示す平面図である。
【0037】
まず石英ガラス中間製品をOVD法により製造する。このためには、39mmの外径を有する、長手方向軸線を中心として回転する酸化アルミニウム管に、幾つかの堆積物バーナの往復運動によって層状にスート粒子が堆積させられる。この場合、堆積物バーナにはSiClが供給され、バーナ火炎内で酸素の存在下で酸化されてSiOを形成しかつ加水分解される。
【0038】
堆積法の終了後かつ酸化アルミニウム管の除去後に、スート管が得られる。このスート管は、脱水処理を受け、この場合、垂直方向の配向で脱水炉内に導入され、850℃〜約1000℃の範囲の温度で塩素含有の雰囲気内で処理される。処理時間は約6時間である。
【0039】
このように処理されたスート管は、次いでガラス化炉内で1400℃の範囲の温度でガラス化される。この場合、スート管は、38mmの外径を有するグラファイトロッド上に被せられて潰される。このようにして合成石英ガラスから得られた管状の石英ガラス中間製品は、約205kgであり、その外径は203mmであり、内径は38mmであり、長さは約3000mmである。
【0040】
石英ガラス中間製品の外壁は、円筒研削され、この場合、場合によっては存在する表面の気泡および欠陥は除去される。場合によっては生じる壁の偏りを求めるために、肉厚が半径方向および軸方向で測定される。このためには、石英ガラス中間製品は、その中心軸線を水平方向に配向して、深穴穿孔装置内に導入される。穿孔装置は、カメラ測定システムを備えている。このカメラ測定システムは、中間製品中心軸線に沿ったキャリッジ上を走行可能である。肉厚プロフィールの測定のために、中間製品はその中心軸線を中心として回転され、同時にカメラが中心軸線に沿って走行させられる。カメラにより得られた像は、画像評価部に供給され、これにより壁の偏りを検出することができる。このようにして検出された肉厚プロフィールは、続く穿孔プロセスにおいて使用される。
【0041】
別の石英ガラス中間製品では、外壁の研磨は省略される。場合によっては生じる「バナナ形状」を検出するために、孔の中心軸線の延在状態が、中間製品の長さにわたって測定された。この場合、中心軸線は、軸方向の各測定位置の中心点を並べることにより生じる。
【0042】
このためには、石英ガラス中間製品は、中心軸線を水平方向に向けて、深穴穿孔装置内に導入され、カメラ測定システムにより測定される。カメラ測定システムは、中間製品中心軸線に沿ったキャリッジ上を走行させられる。この場合、2つのカメラが設けられている。これらのカメラの視野方向は互いに直交している。中間製品の表面は、予め液浸オイルを塗られており、これにより中間製品の表面をカメラ測定のために透過性にすることができる。
【0043】
カメラにより形成された像は、画像評価部に供給され、これにより中心軸線の湾曲を求めることができる。湾曲が所定の閾値を上回った場合、ドリル回転のための目標回転軸線として続く穿孔プロセスにおいて使用される補償直線が中心軸線を通じて置かれる。
【0044】
穿孔プロセスでは、内孔の壁がドリルを使用しながら加工される。ドリルは、位置固定されたドリルヘッドを備えた軸部を有している。ドリルヘッドには、ダイヤモンド粒子を有するドリルビットが装着されていて、該ドリルビットの最大の外径は42mmである。
【0045】
ドリルは、一方の端部を起点として、軸部によって存在する孔を通じて移動される。この場合、約480回転/分でその回転軸線を中心として回転させられる。穿孔されるべき石英ガラス中空シリンダは、この場合、停止している。ドリルにより生じる内壁の除去深さは約2mmである。
【0046】
壁の偏りおよび中心軸線の湾曲を予め測定するために使用されたカメラ測定システムを用いて、この場合、連続的にドリルヘッドの半径方向の位置が求められ、コンピュータに評価のために伝達される。コンピュータには、目下穿孔されている石英ガラス中空シリンダの肉厚プロフィールおよび中心軸線の湾曲に関する情報が保存されていて、これらの情報に基づいて、ドリルヘッドの目標位置が、中空シリンダの全長にわたって求められる。
【0047】
ドリルヘッドの目標位置、ひいてはドリルの回転軸線は、通常、穿孔すべき中空シリンダの中心軸線に沿って位置している。壁の偏り時に、この目標位置は、計算上は中心軸線に対してずらされて置き換えられていてよい。これにより偏りを除去しまたは阻止することができる。
【0048】
図1から図3には、符号「1」で示されたドリルヘッドと、符号「2」で示された穿孔すべき中空シリンダと、符号「3」で示された、中空シリンダ2の中心軸線と、符号「4」で示された、ドリルヘッド1の回転軸線と、符号「6」で示された、検出および評価システムの両カメラが図示されている。
【0049】
図1は、ドリルヘッド1のために中心軸線のずれが確認され、該ずれが予め設定された0.25mmの閾値を上回るほど大きい状況を概略的に示している。本実施の形態では、ドリルヘッド1の回転軸線4が約0.25mmだけ中空シリンダ中心軸線3の下方に位置している。精度を達成するために、両カメラ6の光学解像度は0.1mmである。
【0050】
したがって、停止している石英ガラス中空シリンダ2は、該石英ガラス中空シリンダ2内で回転しているドリルヘッド1と共に、コンピュータ制御されて、その中心軸線3を中心として調節回動される。このことは図2に矢印5で示されている。本実施の形態では、調節回動角は正確に180°であるので、ドリルヘッド1の回転軸線4は、今、ほぼ0.25mmだけ鉛直方向で中心軸線3の上方に位置しているようになる。
【0051】
続く穿孔プロセスの経過では、ドリルヘッド1は中空シリンダ2が停止している場合に、その重量に基づき、下方に向かって中心軸線3の方向に移動する。中空シリンダの中心軸線3が、ドリルヘッド1の回転軸線4に対して同軸的に延びるや否や、ドリルヘッドの位置は調整されている。図3に図示されたこの状態では、現在の理想的なドリルヘッド位置を安定化するために、石英ガラス中空シリンダ2をドリルヘッド1とは反対の方向に回転させるか、または石英ガラス中空シリンダ2は、新たな位置調整時にその中心軸線3を中心とした調節回動を要求されるまで停止している。
【0052】
内孔の最終加工は、ホーニング機械を利用しながらホーニング加工により多段階の加工プロセスにおいて行われる。多段階の加工プロセスでは、研磨度数は進行に伴い細かくされる。最終処理は、D7ホーニング条片(FEPA基準)で行われる。これにより得られた石英ガラス中空シリンダは、次いで数分間、フッ化水素エッチング溶液内でエッチングされ、この場合、室温で約1μm/minのエッチング速度が生じる。
【0053】
このようにして約43mmの内径を有する石英ガラス中空シリンダが得られる。このシリンダは、正確な寸法精度の幾何学形状により優れている。
図1-3】