特許第6104368号(P6104368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104368N−(テトラゾール−5−イル)−およびN−(トリアゾール−5−イル)アリールカルボキサミド塩およびそれの除草剤としての使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104368
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】N−(テトラゾール−5−イル)−およびN−(トリアゾール−5−イル)アリールカルボキサミド塩およびそれの除草剤としての使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 257/06 20060101AFI20170316BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20170316BHJP
   A01N 43/713 20060101ALI20170316BHJP
   A01N 25/32 20060101ALI20170316BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20170316BHJP
   C07D 249/14 20060101ALN20170316BHJP
   C07D 413/12 20060101ALN20170316BHJP
   A01N 43/653 20060101ALN20170316BHJP
【FI】
   C07D257/06 ACSP
   C07D403/12
   A01N43/713
   A01N25/32
   A01P13/00
   !C07D249/14 503
   !C07D413/12
   !A01N43/653 N
【請求項の数】12
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-509414(P2015-509414)
(86)(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公表番号】特表2015-517456(P2015-517456A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】EP2013058964
(87)【国際公開番号】WO2013164331
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2016年4月26日
(31)【優先権主張番号】12166621.8
(32)【優先日】2012年5月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】デルナー−リーピング,シモン
(72)【発明者】
【氏名】アーレンス,ハルトムート
(72)【発明者】
【氏名】バルトラフ,クリステイアン
(72)【発明者】
【氏名】ケーン,アルニム
(72)【発明者】
【氏名】デイートリツヒ,ハンスユルク
(72)【発明者】
【氏名】ガツツヴアイラー,エルマー
(72)【発明者】
【氏名】ロジンガー,クリストフアー・ヒユー
【審査官】 榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/028579(WO,A1)
【文献】 特開昭57−081467(JP,A)
【文献】 特表2015−501325(JP,A)
【文献】 特表2014−534223(JP,A)
【文献】 BERGE S M,PHARMACEUTICAL SALTS,JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES,米国,AMERICAN PHARMACEUTICAL ASSOCIATION,1977年 1月 1日,V66 N1,P1-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)のN−(テトラゾール−5−イル)リールカルボキサミドの塩。
【化1】

[式中、
Aは、NまたはCYを表し、
Bは、N表し、
Xは、ロゲン、−C)−アルキルまたはOR表し
Yは、(O)または(C−C)−アルキル−OR表し
Zは、ロ−(C−C)−アルキルまたはS(O)表しまたは
YがS(O)基を表す場合は、Zは−C)−アルキル表しても良く、
Wは、水素表し、
Rは、(C−C)−アルキル表し、
は、−C)−アルキル表し
は、(C−C)−アルキル表し
は、
(a)アルカリ金属イオン、
)水素原子が(C−C)−アルキル、ヒドロキシ−(C−C)−アルキルらなる群からのp個の基によって置換されているアンモニウムイオン
らなる群から選択されるカチオンを表し、
nは、0、1または2を表し、
pは、を表。]
【請求項2】
Aが、NまたはCYを表し、
Bが、N表し、
Xが、ロゲン、−C)−アルキルまたはOR表し
Yが、(O)または(C−C)−アルキル−OR表し
Zが、ロ−(C−C)−アルキルまたはS(O)表し、または
YがS(O)基を表す場合、Zがチル表すこともでき、
Wが、水素表し、
Rが、(C−C)−アルキル表し
が、−C)−アルキル表し
が、−C)−アルキル表し、
が、
ナトリウムイオン、カリウムイオン、−(2−ヒドロキシエト−1−イル)−トリス−N,N,N−メチルアンモニウムイオン、トラプロピルアンモニウムイオンらなる群から選択されるカチオンを表し、
nが、0、1または2を表、請求項1記載のN−(テトラゾール−5−イル)リールカルボキサミドの塩。
【請求項3】
除草的に有効量の少なくとも一つの請求項1または2に記載の式(I)の化合物を特徴とする除草剤組成物。
【請求項4】
製剤補助剤との混合物での請求項に記載の除草剤組成物。
【請求項5】
殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺真菌剤、薬害軽減剤および成長調節剤の群からの少なくとも一つのさらなる農薬活性物質を含む請求項またはに記載の除草剤組成物。
【請求項6】
薬害軽減剤を含む請求項に記載の除草剤組成物。
【請求項7】
シプロスルファミド、クロキントセット−メキシル、メフェンピル−ジエチルまたはイソキサジフェン−エチルを含む請求項に記載の除草剤組成物。
【請求項8】
さらに別の除草剤を含む請求項からのうちのいずれか1項に記載の除草剤組成物。
【請求項9】
植物または望ましくない植生の場所に、有効量の少なくとも一つの請求項1または2に記載の式(I)の化合物または請求項からのうちのいずれか1項に記載の除草剤組成物を施用する、望ましくない植物の防除方法。
【請求項10】
望ましくない植物を防除するための、請求項1または2に記載の式(I)の化合物または請求項からのうちのいずれか1項に記載の除草剤組成物の使用。
【請求項11】
式(I)の化合物を有用植物の作物における望ましくない植物の防除に用いる請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記有用植物が有用なトランスジェニック植物である請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草剤の技術分野、特別には有用植物の作物における広葉雑草およびイネ科雑草の選択的防除のための除草剤の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WO2012/028579A1には、除草剤としてのN−(テトラゾール−5−イル)−およびN−(トリアゾール−5−イル)ベンズアミド類が開示されている。本願より優先日が早く、本明細書の優先日には公開されていない特許出願EP11176378およびEP11187669には、除草剤としてのN−(テトラゾール−5−イル)−およびN−(トリアゾール−5−イル)アリールカルボキサミド類が開示されている。しかしながら、これらの活性化合物は有害植物に対して常に十分な活性を有するとは限らず、および/またはそれらの中には、穀類、トウモロコシまたはイネなどのいくつかの重要な作物植物との適合性が不十分なものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2012/028579A1
【特許文献2】EP11176378
【特許文献3】EP11187669
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、別の除草活性化合物を提供することにある。この目的は、下記のようなN−(テトラゾール−5−イル)−およびN−(トリアゾール−5−イル)アリールカルボキサミド類の本発明による塩によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って本発明は、下記式(I)のN−(テトラゾール−5−イル)−およびN−(トリアゾール−5−イル)アリールカルボキサミド類の塩を提供する。
【化1】
【0006】
式中、
Aは、NまたはCYを表し、
Bは、NまたはCHを表し、
Xは、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ホルミル、チオシアナト、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、COR、COOR、OCOOR、NRCOOR、C(O)N(R、NRC(O)N(R、OC(O)N(R、C(O)NROR、OR、OCOR、OSO、S(O)、SOOR、SON(R、NRSO、NRCOR、(C−C)−アルキル−S(O)、(C−C)−アルキル−OR、(C−C)−アルキル−OCOR、(C−C)−アルキル−OSO、(C−C)−アルキル−CO、(C−C)−アルキル−SOOR、(C−C)−アルキル−CON(R、(C−C)−アルキル−SON(R、(C−C)−アルキル−NRCOR、(C−C)−アルキル−NRSO、NR、P(O)(OR、CHP(O)(OR、(C−C)−アルキルヘテロアリール、(C−C)−アルキル複素環を表し、言及した最後の2個の基はそれぞれ、ハロゲン、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシおよびハロ−(C−C)−アルコキシからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環はn個のオキソ基を有しており、
Yは、水素、ニトロ、ハロゲン、シアノ、チオシアナト、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、COR、COOR、OCOOR、NRCOOR、C(O)N(R、NRC(O)N(R、OC(O)N(R、CO(NOR)R、CHNOR、CHONC(R、NRSO、NRCOR、OR、OSO、S(O)、SOOR、SON(R(C−C)−アルキル−S(O)、(C−C)−アルキル−OR、(C−C)−アルキル−OCOR、(C−C)−アルキル−OSO2R、(C−C)−アルキル−CO、(C−C)−アルキル−CN、(C−C)−アルキル−SOOR、(C−C)−アルキル−CON(R、(C−C)−アルキル−SON(R、(C−C)−アルキル−NRCOR、(C−C)−アルキル−NRSO、N(R、P(O)(OR、CHP(O)(OR、(C−C)−アルキルフェニル、(C−C)−アルキルヘテロアリール、(C−C)−アルキル複素環、フェニル、ヘテロアリールまたは複素環を表し、言及した最後の6個の基はそれぞれ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ハロ−(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキルおよびシアノメチルからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環はn個のオキソ基を有しており、
Zは、ハロゲン、シアノ、チオシアナト、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、COR、COOR、OCOOR、NRCOOR、C(O)N(R、NRC(O)N(R、OC(O)N(R、C(O)NROR、OSO、S(O)、SOOR、SON(R、NRSO、NRCOR、(C−C)−アルキル−S(O)、(C−C)−アルキル−OR、(C−C)−アルキル−OCOR、(C−C)−アルキル−OSO、(C−C)−アルキル−CO、(C−C)−アルキル−SOOR、(C−C)−アルキル−CON(R、(C−C)−アルキル−SON(R、(C−C)−アルキル−NRCOR、(C−C)−アルキル−NRSO、N(R、P(O)(OR、ヘテロアリール、複素環またはフェニルを表し、言及した最後の3個の基はそれぞれ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシおよびハロ−(C−C)−アルコキシからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環はn個のオキソ基を有しており、または
YがS(O)基を表す場合は、Zは水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシを表しても良く、
Wは、水素、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−ハロシクロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、S(O)−(C−C)−アルキル、S(O)−(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ−(C−C)−ハロアルキル、ハロゲン、ニトロ、NRCORまたはシアノを表し、
Rは、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニルを表し、これらの上記で言及した6個の基はそれぞれ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、SiR、PO(OR、S(O)−(C−C)−アルキル、S(O)−(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、ハロ−(C−C)−アルコキシ、N(R、COR、COOR、OCOR、NRCOR、NRSO、O(C−C)−アルキル−(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環、フェニル、Q−ヘテロアリール、Q−複素環、Q−フェニルおよびQ−ベンジルからなる群からのs個の基によって置換されており、言及した最後の7個の基はそれぞれ、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、シアノおよびハロゲンからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環はn個のオキソ基を有しており、または
Rは、(C−C)−シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環またはフェニルを表し、それらはそれぞれハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ハロ−(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキルからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環はn個のオキソ基を有しており、
Qは、O、SまたはNRを表し、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C)−ハロシクロアルキル、(C−C)−アルキル−O−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、フェニル、フェニル−(C−C)−アルキル、ヘテロアリール、(C−C)−アルキルヘテロアリール、複素環、(C−C)−アルキル複素環、(C−C)−アルキル−O−ヘテロアリール、(C−C)−アルキル−O−複素環、(C−C)−アルキル−NR−ヘテロアリールまたは(C−C)−アルキル−NR−複素環を表し、言及した最後の21個の基はそれぞれ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、チオシアナト、OR、S(O)、N(R、NROR、COR、OCOR、SCOR、NRCOR、NRSO、CO、COSR、CON(Rおよび(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環はn個のオキソ基を有しており、
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C)−ハロシクロアルキル、(C−C)−アルキル−O−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、フェニル、フェニル−(C−C)−アルキル、ヘテロアリール、(C−C)−アルキルヘテロアリール、複素環、(C−C)−アルキル複素環、(C−C)−アルキル−O−ヘテロアリール、(C−C)−アルキル−O−複素環、(C−C)−アルキル−NR−ヘテロアリールまたは(C−C)−アルキル−NR−複素環を表し、言及した最後の21個の基はそれぞれ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、チオシアナト、OR、S(O)、N(R、NROR、COR、OCOR、SCOR、NRCOR、NRSO、CO、COSR、CON(Rおよび(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環はn個のオキソ基を有しており、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキルまたはフェニルを表し、
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキルまたはフェニルを表し、
は、(C−C)−アルキルを表し、
は、
(a)アルカリ金属イオン、
(b)アルカリ土類金属イオン、
(c)遷移金属イオン、
(d)水素原子が(C−C)−アルキル、ヒドロキシ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキル、ヒドロキシ−(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキル、(C−C)−メルカプトアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群からのp個の基によって置換されているアンモニウムイオン(上記の基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アジド、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシおよびフェニルからなる群からのn個の基によって置換されていても良く、各場合で、窒素原子上の2個の置換基がともに、置換されていないか置換されている環を形成していても良い。)、
(e)ホスホニウムイオン、
(f)スルホニウムイオン、
(g)スルホキソニウムイオン、
(h)オキソニウムイオン、
(i)環系に1から10個の炭素原子を有する単一縮合もしくは多重縮合していても良いおよび/または(C−C)−アルキル置換されていても良い飽和もしくは不飽和/芳香族N含有複素環イオン性化合物
からなる群から選択されるカチオンを表し、
nは、0、1または2を表し、
pは、0、1、2、3または4を表し、
sは、0、1、2または3を表す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
式(I)および下記の全ての式において、2個より多い炭素原子を有するアルキル基は、直鎖または分岐であることができる。アルキル基は、例えばメチル、エチル、n−もしくはイソプロピル、n−、イソ−、tert−もしくは2−ブチル、ペンチル類、ヘキシル類、例えばn−ヘキシル、イソヘキシルおよび1,3−ジメチルブチルを表す。同様に、アルケニルは例えば、アリル、1−メチルプロプ−2−エン−1−イル、2−メチルプロプ−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−3−エン−1−イル、1−メチルブト−3−エン−1−イルおよび1−メチルブト−2−エン−1−イルを表す。アルキニルは、例えばプロパルギル、ブト−2−イン−1−イル、ブト−3−イン−1−イル、1−メチルブト−3−イン−1−イルを表す。多重結合は各場合で、不飽和基のいずれの位置にあっても良い。シクロアルキルは3から6個の炭素原子を有する炭素環式飽和環系を表し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。同様に、シクロアルケニルは3から6個の炭素環員を有する単環式アルケニル基、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルを表し、二重結合はいずれの位置にあっても良い。
【0008】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0009】
複素環は、3から6個の環原子を含む飽和、半飽和または完全不飽和環状基を表し、その環原子のうち1から4個は酸素、窒素および硫黄の群からのものであり、この環はさらにベンゾ環によって縮合されていても良い。例えば、複素環は、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニルおよびオキセタニルを表す。
【0010】
ヘテロアリールは、3から6個の環原子を含む芳香族環状基を表し、その環原子のうちの1から4個は酸素、窒素および硫黄の群からのものであり、この環はさらにベンゾ環によって縮合されていても良い。例えば、ヘテロアリールは、ベンズイミダゾール−2−イル、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ベンゾイソオキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、チオフェニル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、2H−1,2,3,4−テトラゾリル、1H−1,2,3,4−テトラゾリル、1,2,3,4−オキサトリアゾリル、1,2,3,5−オキサトリアゾリル、1,2,3,4−チアトリアゾリルおよび1,2,3,5−チアトリアゾリルを表す。
【0011】
ある基が遊離基によって多置換されている場合、それは、この基が、言及されているものからの1以上の同一もしくは異なる遊離基によって置換されていることを意味する。これは同様に、各種原子および元素による環系の形成にも当てはまる。同時に、特許請求の範囲は、標準的な条件下で化学的に不安定であることが当業者に知られている化合物を除外するものとする。
【0012】
カチオンMの定義は、本発明による式(I)の塩が電荷中性形態で存在するものと理解すべきである。1価カチオンの場合これは、存在する対イオンが1個のアニオンであることを意味する。多価カチオンの場合、例えば2価カチオンもしくは3価カチオンの場合、存在する対イオンは2個もしくは3個のアニオンである。
【0013】
置換基の性質およびそれが結合している形態に応じて、一般式(I)の化合物は立体異性体として存在する場合がある。例えば1以上の不斉炭素原子が存在する場合、エナンチオマーおよびジアステレオマーがある可能性がある。立体異性体は同様に、nが1である場合(スルホキシド類)にも生じる。立体異性体は、一般的な分離方法によって、例えばクロマトグラフィー分離方法によって、製造で得られた混合物から得ることができる。光学活性な出発原料および/または補助剤を用いる立体選択的反応を用いることで、立体異性体を選択的に製造することも同様に可能である。本発明は、一般式(I)によって包含されているが具体的には定義されていない全ての立体異性体およびそれらの混合物に関するものでもある。オキシムエーテル構造のため、本発明による化合物は、幾何異性体(E/Z異性体)として存在する可能性もある。本発明はさらに、一般式(I)によって包含されるが具体的に定義されていない全てのE/Z異性体およびそれらの混合物に関するものである。
【0014】
好ましいものは、
Aが、NまたはCYを表し、
Bが、NまたはCHを表し、
Xが、ニトロ、ハロゲン、シアノ、チオシアナト、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルキル−O−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、COR、OR、OCOR、OSO、S(O)、SOOR、SON(R、NRSO、NRCOR、(C−C)−アルキル−S(O)、(C−C)−アルキル−OR、(C−C)−アルキル−OCOR、(C−C)−アルキル−OSO、(C−C)−アルキル−CO、(C−C)−アルキル−SOOR、(C−C)−アルキル−CON(R、(C−C)−アルキル−SON(R、(C−C)−アルキル−NRCORまたは(C−C)−アルキル−NRSO、(C−C)−アルキル−ヘテロアリール、(C−C)−アルキル−複素環を表し、言及した最後の2個の基がそれぞれ、ハロゲン、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシおよびハロ−(C−C)−アルコキシからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環がn個のオキソ基を有しており、
Yが、水素、ニトロ、ハロゲン、シアノ、チオシアナト、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、COR、OR、COOR、CHNOR、CHONC(R、OSO、S(O)、SOOR、SON(R、N(R、NRSO、NRCOR、(C−C)−アルキル−S(O)、(C−C)−アルキル−OR、(C−C)−アルキル−OCOR、(C−C)−アルキル−OSO、(C−C)−アルキル−CO、(C−C)−アルキル−SOOR、(C−C)−アルキル−CON(R、(C−C)−アルキル−SON(R、(C−C)−アルキル−NRCOR、(C−C)−アルキル−NRSO、(C−C)−アルキル−フェニル、(C−C)−アルキル−ヘテロアリール、(C−C)−アルキル−複素環、フェニル、ヘテロアリールまたは複素環を表し、言及した最後の6個の基がそれぞれ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ハロ−(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキルおよびシアノメチルからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環がn個のオキソ基を有しており、
Zが、ハロゲン、シアノ、ニトロ、チオシアナト、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、COR、COOR、C(O)N(R、C(O)NROR、OSO、S(O)、SOOR、SON(R、NRSO、NRCOR、(C−C)−アルキル−S(O)、(C−C)−アルキル−OR、(C−C)−アルキル−OCOR、(C−C)−アルキル−OSO、(C−C)−アルキル−CO、(C−C)−アルキル−SOOR、(C−C)−アルキル−CON(R、(C−C)−アルキル−SON(R、(C−C)−アルキル−NRCOR、(C−C)−アルキル−NRSOまたは1,2,4−トリアゾール−1−イルを表し、または
YがS(O)基を表す場合、Zが水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシを表すこともでき、
Wが、水素、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、S(O)−(C−C)−アルキル、S(O)−(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキル、ハロゲン、ニトロまたはシアノを表し、
Rが、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニルを表し、これらの上記で言及した6個の基がそれぞれ、ニトロ、シアノ、SiR、P(OR、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ハロ−(C−C)−アルコキシ、N(R、COR、COOR、OCOR、NRCOR、NRSO、(C−C)−シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環、フェニル、Q−ヘテロアリール、Q−複素環、Q−フェニルおよびQ−ベンジルからなる群からのs個の基によって置換されており、言及した最後の7個の基がそれぞれ、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、シアノおよびハロゲンからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環がn個のオキソ基を有しており、または
Rが、(C−C)−シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環またはフェニルを表し、それらのそれぞれがハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ハロ−(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキルからなる群からのs個の基によって置換されており、
Qが、O、SまたはNRを表し、
が、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキル−O−(C−C)−アルキル、フェニル、フェニル−(C−C)−アルキル、ヘテロアリール、(C−C)−アルキルヘテロアリール、複素環、(C−C)−アルキル複素環、(C−C)−アルキル−O−ヘテロアリール、(C−C)−アルキル−O−複素環、(C−C)−アルキル−NR−ヘテロアリールまたは(C−C)−アルキル−NR−複素環を表し、言及した最後の16個の基がそれぞれシアノ、ハロゲン、ニトロ、OR、S(O)、N(R、NROR、COR、OCOR、NRCOR、NRSO、CO、CON(Rおよび(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環がn個のオキソ基を有しており、
が、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキル−O−(C−C)−アルキル、フェニル、フェニル−(C−C)−アルキル、ヘテロアリール、(C−C)−アルキルヘテロアリール、複素環、(C−C)−アルキル複素環、(C−C)−アルキル−O−ヘテロアリール、(C−C)−アルキル−O−複素環、(C−C)−アルキル−NR−ヘテロアリールまたは(C−C)−アルキル−NR−複素環を表し、言及したこれらの最後の16個の基がそれぞれシアノ、ハロゲン、ニトロ、OR、S(O)、N(R、NROR、NRSO、COR、OCOR、NRCOR、CO、CON(Rおよび(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環がn個のオキソ基を有しており、
が、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキルを表し、
が、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニルまたは(C−C)−アルキニルを表し、
が、メチルまたはエチルを表し、
が、
(a)リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン、
(b)カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属のイオン、
(c)マンガン、銅、亜鉛および鉄などの遷移金属のイオン、
(d)水素原子が、(C−C)−アルキル、ヒドロキシ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキル、ヒドロキシ−(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキル、(C−C)−メルカプトアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群からのp個の基によって置換されているアンモニウムイオン(上記の基はハロゲン、ニトロ、シアノ、アジド、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシおよびフェニルからなる群からのn個の基によって置換されており、各場合で窒素原子上の2個の置換基が置換されていないか置換されている環を形成していても良い。)。
【0015】
(e)テトラ−((C−C)−アルキル)ホスホニウムおよびテトラフェニルホスホニウムなどの4級ホスホニウムイオン((C−C)−アルキル基およびフェニル基は、ハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−ハロアルコキシからなる群からのp個の基によって置換されている。)、
(f)トリ−((C−C)−アルキル)スルホニウムなどの3級スルホニウムイオン、
(g)トリ−((C−C)−アルキル)スルホキソニウムなどの3級スルホキソニウムイオン、
(h)トリ−((C−C)−アルキル)オキソニウムなどの3級オキソニウムイオン((C−C)−アルキル基は、ハロゲン(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−ハロアルコキシからなる群からのp個の基によって置換されている。)、
(i)群ピリジン、キノリン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、5−エチル−2−メチルピリジン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロール、イミダゾール、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)からなる複素環化合物から誘導されるイオン
からなる群から選択されるカチオンを表し、
nが、0、1または2を表し、
pが、0、1、2、3または4を表し、
sが、0、1、2または3を表す、一般式(I)の化合物である。
【0016】
特に好ましいものは、
Aが、NまたはCYを表し、
Bが、NまたはCHを表し、
Xが、ニトロ、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、OR、S(O)、(C−C)−アルキル−S(O)、(C−C)−アルキル−OR、(C−C)−アルキル−CON(R、(C−C)−アルキル−SON(R、(C−C)−アルキル−NRCOR、(C−C)−アルキル−NRSO、(C−C)−アルキル−ヘテロアリール、(C−C)−アルキル複素環を表し、言及した最後の2個の基がそれぞれ、ハロゲン、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシおよびハロ−(C−C)−アルコキシからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環がn個のオキソ基を有しており、
Yが、水素、ニトロ、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、OR、S(O)、SON(R、N(R、CHNOR、CHONC(R、NRSO、NRCOR、(C−C)−アルキル−S(O)、(C−C)−アルキル−OR、(C−C)−アルキル−CON(R、(C−C)−アルキル−SON(R、(C−C)−アルキル−NRCOR、(C−C)−アルキル−NRSO、(C−C)−アルキル−フェニル、(C−C)−アルキル−ヘテロアリール、(C−C)−アルキル−複素環、フェニル、ヘテロアリールまたは複素環を表し、言及した最後の6個の基がそれぞれ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ハロ−(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキルおよびシアノメチルからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環がn個のオキソ基を有しており、
Zが、ハロゲン、シアノ、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、S(O)、1,2,4−トリアゾール−1−イルを表し、または
YがS(O)基を表す場合、Zが水素、メチル、メトキシまたはエトキシを表すこともでき、
Wが、水素、メチル、エチル、メトキシメチル、メトキシ、フッ素、塩素またはS(O)CHを表し、
Rが、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ハロ−(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロ−(C−C)−アルキニルを表し、これらの上記で言及した6個の基がそれぞれ、シアノ、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ハロ−(C−C)−アルコキシ、COR、COOR、OCOR、NRCOR、NRSO、(C−C)−シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環およびフェニルからなる群からのs個の基によって置換されており、言及した最後の3個の基がそれぞれ、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、シアノおよびハロゲンからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環が0から2個のオキソ基を有しており、または
Rが、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、ハロ−(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、S(O)−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ハロ−(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルキルからなる群からのs個の基によって置換されているフェニルを表し、
が、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキル−O−(C−C)−アルキル、フェニル、フェニル−(C−C)−アルキル、ヘテロアリール、(C−C)−アルキルヘテロアリール、複素環、(C−C)−アルキル複素環、(C−C)−アルキル−O−ヘテロアリール、(C−C)−アルキル−O−複素環、(C−C)−アルキル−NR−ヘテロアリールまたは(C−C)−アルキル−NR−複素環を表し、言及した最後の16個の基がそれぞれ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、OR、S(O)、N(R、NROR、COR、OCOR、NRCOR、NRSO、CO、CON(Rおよび(C−C)−アルコキシ−(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からのs個の基によって置換されており、複素環がn個のオキソ基を有しており、
が、それぞれハロゲンおよびORからなる群からのs個の基によって置換されている(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキルを表し、
が、水素または(C−C)−アルキルを表し、
が、(C−C)−アルキルを表し、
が、メチルまたはエチルを表し、
が、
ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、NHイオン、(2−ヒドロキシエト−1−イル)アンモニウムイオン、ビス−N,N−(2−ヒドロキシエト−1−イル)−アンモニウムイオン、トリス−N,N,N−(2−ヒドロキシエト−1−イル)アンモニウムイオン、テトラ−N,N,N,N−(2−ヒドロキシエト−1−イル)アンモニウムイオン、N−(2−ヒドロキシエト−1−イル)−トリス−N,N,N−メチルアンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、イソプロピルアンモニウムイオン、ジイソプロピルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、2−(2−ヒドロキシエト−1−オキシ)エト−1−イルアンモニウムイオン、ジ−(2−ヒドロキシエト−1−イル)アンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウムイオン、トリ−((C−C)−アルキル)スルホニウムイオン、ベンジルアンモニウムイオン、1−フェニルエチルアンモニウムイオン、2−フェニルエチルアンモニウムイオン、ジイソプロピルエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピペリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、モルホリニウムイオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エニウムイオンからなる群から選択されるカチオンを表し、
nが、0、1または2を表し、
sが、0、1、2または3を表す、一般式(I)の化合物の化合物である。
【0017】
下記で記載される全ての式において、異なった形で定義されない限り、置換基および記号は、式(I)で記載のものと同じ意味を有する。
【0018】
本発明による化合物は、例えば、図式1に示した方法により、N−(テトラゾール−5−イル)−およびN−(トリアゾール−5−イル)ベンズアミドおよびニコチンアミド(II)を式M(図式11)の好適な塩基(Bは例えば、水素化物アニオン、ヒドロキシアニオンもしくはアルコキシアニオン、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシまたはt−ブトキシである。)で脱プロトン化することで製造することができる。
【0019】
図式1
【化2】
【0020】
式(II)のN−(テトラゾール−5−イル)−およびN−(トリアゾール−5−イル)ベンズアミド類およびニコチンアミド類は、例えばWO2012/028579A1、EP11176378およびEP11187669に記載の方法によって製造することができる。
【0021】
上記の反応によって合成可能な式(I)の化合物の群は並行して製造することもでき、その場合にそれは、手動、部分自動または完全自動で行うことが可能である。例えば、反応の実施、後処理または生成物および/または中間体の精製を自動化することが可能である。全体としてそれは、例えば、D. Tiebes in Combinatorial Chemistry − Synthesis, Analysis, Screening (editor Gunther Jung), Wiley 1999, on pages 1 to 34によって記載の手順を意味するものと理解される。
【0022】
反応および後処理の並行実施については、多くの市販の装置、例えばBarnstead International, Dubuque, Iowa 52004−0797, USAからのCalpyso反応ブロックまたはRadleys, Shirehill, Saffron Walden, Essex, CB 11 3AZ, Englandからの反応ステーション、またはPerkin Elmer, Waltham, Massachusetts 02451, USAからのMultiPROBE自動化ワークステーションを用いることが可能である。一般式(I)の化合物または製造途中で生じる中間体の並行精製の場合、利用可能な装置には、例えばISCO, Inc., 4700 Superior Street, Lincoln, NE 68504, USAからのクロマトグラフィー装置などがある。
【0023】
詳細に挙げた装置は、個々の作業段階を自動化するモジュラー式手順となるが、作業段階間では手動操作を行わなければならない。これは、個々の自動化モジュールを例えばロボットによって運転する部分もしくは完全統合自動化システムを用いることで回避することができる。この種類の自動化システムは、例えばCaliper, Hopkinton, MA 01748, USAから得ることができる。
【0024】
単一合成段階または複数の合成段階の実行は、ポリマー担持試薬/捕捉剤樹脂を用いることで支援することができる。専門文献には、一連の実験プロトコールが記載されており、例えばChemFiles, Vol. 4, No. 1, Polymer−Supported Scavengers and Reagents for Solution−Phase Synthesis (Sigma−Aldrich)に記載されている。
【0025】
本明細書に記載の方法以外に、一般式(I)の化合物の製造は、固体相担持法によって完全にまたは部分的に行うことができる。これに関しては、その合成または相当する手順に適合させた合成における個々の中間体または全ての中間体を、合成樹脂に結合させる。固体相担持合成法については、例えばBarry A. Bunin in ″The Combinatorial Index″, Academic Press, 1998 and Combinatorial Chemistry − Synthesis, Analysis, Screening (編者Gunther Jung), Wiley, 1999などの技術文献に詳細に説明されている。固体相担持合成法を使用することで、文献から公知の多くのプロトコールが可能となり、それらについては手動でまたは自動的に行うことができる。これらの反応は、Nexus Biosystems, 12140 Community Road, Poway, CA92064, USAからのマイクロリアクターでのIRORI技術によって行うことができる。
【0026】
固相および液相のいずれでも、個々のもしくはいくつかの合成段階の手順を、マイクロ波技術を用いることで支援することができる。専門文献には、一連の実験プロトコールが記載されており、例えばMicrowaves in Organic and Medicinal Chemistry (編者C. O. KappeおよびA. Stadler), Wiley, 2005にある。
【0027】
本明細書に記載の方法による製造によって、ライブラリと称される物質の収集物の形態で式(I)の化合物が得られる。本発明は、少なくとも2種類の式(I)の化合物を含むライブラリも提供するものである。
【0028】
式(I)の本発明による化合物は、広いスペクトラムの経済的に重要な単子葉および双子葉一年生有害植物に対して優れた除草活性を有する。当該活性化合物は、防除が困難であり、根茎、根株または他の多年生の器官から苗条を生じる多年生の有害植物に対しても良好な防除を行う。
【0029】
従って、本発明はまた、望ましくない植物を防除する方法または好ましくは作物植物において植物の成長を調節する方法を提供するものであり、ここで1以上の本発明による化合物を、植物(例えば有害植物、例えば単子葉または双子葉の雑草または望ましくない作物)、種子(例えば穀類、種子または塊茎のような栄養繁殖体(vegetative propagules)または芽が出た苗条部分)または植物が成長する区画(例えば栽培下の区画)に施用する。本発明による化合物は、例えば播種前(適切な場合、土壌中に組み込むことによっても)、発芽前または発芽後に施用することができる。本発明による化合物によって防除することができる単子葉および双子葉の雑草相のいくつかの代表的なものの具体例は下記の通りであるが、当該列挙は特定の種類への限定を強いるものではない。
【0030】
単子葉有害植物の属:エギロプス属(Aegilops)、カモジグサ属(Agropyron)、コヌカグサ属(Agrostis)、スズメノテッポウ属(Alopecurus)、セイヨウヌカボ属(Apera)、カラスムギ属(Avena)、ニクキビ属(Brachiaria)、スズメノチャヒキ属(Bromus)、クリノイガ属(Cenchrus)、ツユクサ属(Commelina)、ギョウギシバ属(Cynodon)、カヤツリグサ属(Cyperus)、タツノツメガヤ属(Dactyloctenium)、メヒシバ属(Digitaria)、ヒエ属(Echinochloa)、ハリイ属(Eleocharis)、オヒシバ属(Eleusine)、カゼクサ属(Eragrostis)、ナルコビエ属(Eriochloa)、ウシノケグサ属(Festuca)、テンツキ属(Fimbristylis)、アメリカコナギ属(Heteranthera)、チガヤ属(Imperata)、カモノハシ属(Ischaemum)、アゼガヤ属(Leptochloa)、ドクムギ属(Lolium)、ミズアオイ属(Monochoria)、キビ属(Panicum)、スズメノヒエ属(Paspalum)、クサヨシ属(Phalaris)、アワガエリ属(Phleum)、イチゴツナギ属(Poa)、ツノアイアシ属(Rottboellia)、オモダカ属(Sagittaria)、アブラガヤ属(Scirpus)、エノコログサ属(Setaria)、モロコシ属(Sorghum)。
【0031】
双子葉雑草の属:イチビ属(Abutilon)、ヒユ属(Amaranthus)、ブタクサ属(Ambrosia)、アノダ属(Anoda)、カミツレモドキ属(Anthemis)、アファネス(Aphanes)、ヨモギ属(Artemisia)、アトリプレックス属(Atriplex)、ヒナギク属(Bellis)、センダングサ属(Bidens)、ナズナ属(Capsella)、ヒレアザミ属(Carduus)、ナンバンサイカチ属(Cassia)、ヤグルマギク属(Centaurea)、アカザ属(Chenopodium)、アザミ属(Cirsium)、セイヨウヒルガオ属(Convolvulus)、チョウセンアサガオ属(Datura)、ヌスビトハギ属(Desmodium)、エメックス(Emex)、エゾスズシロ属(Erysimum)、トウダイグサ属(Euphorbia)、チシマオドリコソウ属(Galeopsis)、コゴメギク属(Galinsoga)、ヤエムグラ属(Galium)、フヨウ属(Hibiscus)、サツマイモ属(Ipomoea)、ホウキギ属(Kochia)、オドリコソウ属(Lamium)、マメグンバイナズナ属(Lepidium)、アゼナ属(Lindernia)、シカレギク属(Matricaria)、ハッカ属(Mentha)、ヤマアイ属(Mercurialis)、ムルゴ(Mullugo)、ワスレナグサ属(Myosotis)、ケシ属(Papaver)、アサガオ属(Pharbitis)、オオバコ属(Plantago)、タデ属(Polygonum)、スベリヒユ属(Portulaca)、キンポウゲ属(Ranunculus)、ダイコン属(Raphanus)、イヌガラシ属(Rorippa)、キカシグサ属(Rotala)、スイバ属(Rumex)、オカヒジキ属(Salsola)、キオン属(Senecio)、ツノクサネム属(Sesbania)、キンゴジカ属(Sida)、シロガラシ属(Sinapis)、ナス属(Solanum)、ハチジョウナ属(Sonchus)、ナガボノウルシ属(Sphenoclea)、ハコベ属(Stellaria)、タンポポ属(Taraxacum)、グンバイナズナ属(Thlaspi)、ジャジクソウ属(Trifolium)、イラクサ属(Urtica)、クワガタソウ属(Veronica)、スミレ属(Viola)、オナモミ属(Xanthium)。
【0032】
本発明による化合物が発芽前に土壌表面に施用される場合、雑草実生の発生が完全に防止されるか、雑草はそれらが子葉期に到達するまで成長するが、そこで成長を停止し、最終的に3から4週間経過した後、完全に枯死する。
【0033】
活性化合物が植物の緑色部分に発芽後施用される場合、処置後に成長が停止し、そして有害植物は、施用時の成長段階にとどまるか、または一定期間の後、完全に枯死するために、そうして作物にとって有害である雑草との競合が、非常に早期にかつ持続的になくなる。
【0034】
本発明による化合物は単子葉および双子葉の雑草に対して顕著な除草活性を示すが、経済的に重要な作物の作物、例えばラッカセイ属(Arachis)、フダンソウ属(Beta)、アブラナ属(Brassica)、キュウリ属(Cucumis)、カボチャ属(Cucurbita)、ヒマワリ属(Helianthus)、ニンジン属(Daucus)、ダイズ属(Glycine)、ワタ属(Gossypium)、サツマイモ属(Ipomoea)、アキノノゲシ属(Lactuca)、アマ属(Linum)、トマト属(Lycopersicon)、タバコ属(Nicotiana)、インゲンマメ属(Phaseolus)、エンドウ属(Pisum)、ナス属(Solanum)、ソラマメ属(Vicia)の双子葉作物、またはネギ属(Allium)、アナナス属(Ananas)、アスパラガス属(Asparagus)、カラスムギ属(Avena)、オオムギ属(Hordeum)、イネ属(Oryza)、キビ属(Panicum)、サトウキビ属(Saccharum)、ライムギ属(Secale)、モロコシ属(Sorghum)、ライコムギ属(Triticale)、コムギ属(Triticum)、トウモロコシ属(Zea)、特にはトウモロコシ属およびコムギ属の単子葉作物は、個々の本発明による化合物の構造およびそれの施用量に応じて、あったとしてもわずかの程度しか損傷を受けないか全く損傷を受けない。そのため、本化合物は、農業上有用な植物または観賞植物などの植物作物における望ましくない植物成長を選択的に防除する上で非常に適している。
【0035】
さらに、本発明による化合物は、(それらの特定の構造および適用される施用量に応じて)作物において優れた成長調節性を有する。それは、介入して植物の代謝を調節するので、植物成分に対して制御された影響を及ぼすために、そして、例えば乾燥および成長阻害を誘発することによる収穫向上に使用することができる。さらに、それは、植物を枯死させることなく望ましくない植物成長を抑制および阻害するのにも適している。植物成長の阻害は、例えばそれによって倒伏を減らすかまたは完全に防止することができることから、多くの単子葉作物および双子葉作物において重要な役割を果たす。
【0036】
また、活性化合物は、その除草性および植物成長調節性のため、遺伝子操作された植物の作物または従来の突然変異誘発によって改変された植物において有害植物を防除するために使用することもできる。一般に、トランスジェニック植物は、特別な有利な性質において、例えばある種の農薬、特にある種の除草剤に対する抵抗性、植物病害または植物病害を引き起こす生物体、例えばある種の昆虫もしくは微生物、例えば真菌、細菌もしくはウイルスに対する抵抗性を特徴とする。他の特定の性質は、例えば収穫物の量、品質、貯蔵性、組成および特定の成分に関係する。例えば、デンプン含量が増加したもしくはデンプン品質が変わったトランスジェニック植物または収穫物において異なる脂肪酸組成を有するものが知られている。
【0037】
トランスジェニック作物に関しては、有用植物および観賞植物の、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、キビ/モロコシ、イネ、キャッサバおよびトウモロコシなどの穀物またはサトウダイコン、ワタ、ダイズ、アブラナ、ジャガイモ、トマト、エンドウマメおよび他の野菜の他の作物の経済的に重要なトランスジェニック作物において、本発明による化合物を用いることが好ましい。本発明による化合物を、除草剤の植物毒性効果に対して抵抗性であるか、組換え手段によって抵抗性とされた有用植物の作物において除草剤として用いることが好ましい。
【0038】
有用植物および観賞植物の経済的に重要なトランスジェニック作物、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、キビ/モロコシ、イネ、キャッサバおよびトウモロコシのような穀物または他にテンサイ、ワタ、ダイズ、アブラナ、ジャガイモ、トマト、エンドウおよび他の野菜の作物において本発明による化合物を使用することが好ましい。除草剤の植物毒性効果に対して抵抗性であるか組換え手段によって抵抗性となった有用植物の作物において除草剤として、本発明による化合物を使用することが好ましい。
【0039】
今日までに生じた植物と比較して改変された性質を有する新規植物を製造する従来法は、例えば、従来の育種法および突然変異体の生成である。別法として、改変された性質を有する新規植物は、組換え法を用いて形成することができる(例えば、EP−A−0221044、EP−A−0131624参照)。例えば、下記のような多くの記述がなされている。
【0040】
−植物中で合成されるデンプンを変性させることを目的とした作物の組換え改変(例えばWO 92/11376、WO 92/14827、WO 91/19806)、
−グルホシネート型(例えば、EP−A−0242236、EP−A−242246参照)またはグリホセート型(WO 92/00377)またはスルホニル尿素型(EP−A−0257993、US−A−5013659)の特定の除草剤に対して抵抗性であるトランスジェニック作物、
−植物を特定の有害生物に対して抵抗性とするバチルス・チューリンゲンシス毒素(Bt毒素)を産生する能力を有するトランスジェニック作物(例えばワタ)(EP−A−0142924、EP−A−0193259)、
−改変された脂肪酸組成を有するトランスジェニック作物(WO 91/13972)、
−耐病性を高める新規の成分または二次代謝産物、例えば新規のフィトアレキシンを有するように、遺伝子操作された作物、(EPA 309862、EPA0464461)、
−より多い収穫量およびより高いストレス耐性を特徴とする光呼吸が低下した遺伝子組換え植物(EPA 0305398)、
−医薬的または診断的に重要なタンパク質を産生するトランスジェニック作物(「分子ファーミング(molecular pharming)」)、
−より高い収率またはより良好な品質を特徴とするトランスジェニック作物、
−例えば前記の新規性質の組み合わせによって区別されるトランスジェニック作物(「遺伝子スタッキング」)。
【0041】
改変された性質を有する新規なトランスジェニック植物を発生させることができる非常に多くの分子生物学的技術が基本的に知られており、例えばI.Potrykus and G.Spangenberg (編) Gene Transfer to Plants, Springer Lab Manual (1995), Springer Verlag Berlin, Heidelberg.またはChristou, ″Trends in Plant Science″ 1 (1996) 423−431)を参照する。
【0042】
このような組換え操作においては、DNA配列の組換えによる変異または配列改変を可能にする核酸分子を、プラスミド中に導入することができる。標準的な方法を用いて、例えば、塩基交換を行うことができ、配列の一部を除去することができ、または天然もしくは合成配列を付加することができる。DNA断片を互いに連結するために、断片にアダプターまたはリンカーを結合させることができる。Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY;または Winnacker ″Gene und Klone″[Genes and Clones], VCH Weinheim 2nd edition, 1996を参照する。
【0043】
例えば、遺伝子産物において活性が低下した植物細胞の作成は、少なくとも一つの相当するアンチセンスRNA、共抑制効果を達成するためのセンスRNAの発現によって、または具体的には前記の遺伝子産物の転写産物を特異的に開裂する少なくとも一つの好適に構築されたリボザイムの発現によって達成することができる。そのためには、第1に、存在し得るあらゆる隣接配列を含む遺伝子産物のコード配列全てを含むDNA分子、そしてコード配列の一部のみを含むDNA分子を使用することができ、その場合に、これらの部分が、細胞においてアンチセンス効果を有するのに十分長い必要がある。また、遺伝子産物のコード配列と高度に相同性を有するが、それと完全に同一なわけではないDNA配列を用いることもできる。
【0044】
植物中で核酸分子を発現するとき、合成されたタンパク質は、植物細胞のいずれかの所望の区画に局在化してもよい。しかしながら、特定の区画での局在化を行うには、例えば、特定の区画での局在化を確保するDNA配列にコード領域を連結させることが可能である。そのような配列は、当業者には公知である(例えば、Braun et al., EMBO J. 11 (1992), 3219−3227; Wolter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988), 846−850; Sonnewald et al., Plant J. 1 (1991), 95−106参照)。また、核酸分子は、植物細胞の細胞小器官で発現させることもできる。
【0045】
トランスジェニック植物細胞は、植物全体を与える公知の技術によって再生することができる。基本的に、トランスジェニック植物は、あらゆる所望の植物種、すなわち単子葉と双子葉の両方の植物であることもできる。
【0046】
例えば、相同性(=生来の)遺伝子もしくは遺伝子配列の過剰発現、抑制もしくは阻害または非相同性(=外来の)遺伝子もしくは遺伝子配列の発現によって、性質が変わったトランスジェニック植物を得ることができる。
【0047】
好ましくは、例えばジカンバのような成長調節剤に対して、または必須の植物酵素、例えばアセト乳酸シンターゼ(ALS)、EPSPシンターゼ、グルタミンシンターゼ(GS)もしくはヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害する除草剤に対して、またはスルホニル尿素、グリホセート類、グルホシネート類またはベンゾイルイソオキサゾールおよび類似の活性化合物の群からの除草剤に対して抵抗性であるトランスジェニック作物において、本発明による化合物を使用することができる。
【0048】
本発明による活性化合物をトランスジェニック作物に使用するとき、他の作物で認められる有害植物に対する効果が生じるだけでなく、特定のトランスジェニック作物における施用に対して特有の効果、例えば防除することができる雑草スペクトルの変更もしくは具体的には拡大、施用に用いることができる施用量の変更、好ましくはトランスジェニック作物が抵抗性である除草剤との良好な併用性(combinability)ならびにトランスジェニック作物の成長および収穫量といった影響もある。
【0049】
従って、本発明は、トランスジェニック作物において有害植物を防除するための除草剤としての本発明による化合物の使用を提供する。
【0050】
相当する酸と比較して、本発明による化合物は水での溶解度が高いことから、例えば、より有利な製剤特性を有する。それは、水系製剤を調製する上で非常に好適である。
【0051】
本発明による化合物は、水和剤、乳剤、噴霧液、粉剤または粒剤の形態で慣用の製剤で施用することができる。従って、本発明は、本発明による化合物を含む除草および植物成長調節組成物をも提供する。
【0052】
本発明による化合物は、必要とされる生理的および/または物理化学的パラメータにしたがって、各種形態で製剤することができる。可能な製剤の例としては、水和剤(WP)、水溶剤(SP)、水溶性濃縮物、乳剤(EC)、乳濁液(EW)、例えば水中油および油中水型乳濁液、噴霧液、懸濁液の濃縮物(SC)、油もしくは水に基づく分散液、油剤、カプセル懸濁液(CS)、粉剤(DP)、種子粉衣製品、散布および土壌施用の粒剤、微粒剤の形態の粒剤(GR)、噴霧粒剤、被覆粒剤および吸着粒剤、水分散性粒剤(WG)、水溶性粒剤(SG)、ULV製剤、マイクロカプセルならびにワックスなどがある。
【0053】
これらの個々の製剤タイプは基本的に公知であり、例えば、Winnacker−Kuechler, ″Chemische Technologie″[Chemical Technology], 第7巻, C. Hanser Verlag Munich, 第4版 1986, Wade van Valkenburg, ″Pesticide Formulations″, Marcel Dekker, N.Y., 1973; K. Martens, ″Spray Drying″ Handbook, 第3版 1979, G. Goodwin Ltd. Londonに記載されている。
【0054】
また、不活性材料、界面活性剤、溶媒およびさらなる添加剤のような必要な製剤補助剤も知られており、例えばWatkins, ″Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers″, 第2版, Darland Books, Caldwell N. J.;H.v.Olphen, ″Introduction to Clay Colloid Chemistry″; 第2版, J. Wiley & Sons, N.Y.; C. Marsden, ″Solvents Guide″; 第2版, Interscience, N.Y. 1963; McCutcheon′s ″Detergents and Emulsifiers Annual″, MC Publ.Corp., Ridgewood N.J.; Sisley and Wood, ″Encyclopedia of Surface Active Agents″, Chem. Publ. Co. Inc., N.Y. 1964; Schoenfeldt, ″Grenzflaechenaktive Aethylenoxidaddukte″ [Interface−active Ethylene Oxide Adducts], Wiss. Verlagsgesell., Stuttgart 1976; Winnacker−Kuechler, ″Chemische Technologie″[Chemical Engineering], 第7巻, C.Hanser Verlag Munich, 第4版 1986.に記載されている。
【0055】
これらの製剤に基づいて、例えば最終製剤の形態でまたはタンクミックスとして、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺真菌剤などの他の農薬活性化合物と、そして薬害軽減剤、肥料および/または成長調節剤との組み合わせ剤を製造することも可能である。好適な薬害軽減剤は、例えばメフェンピル−ジエチル、シプロスルファミド(cyprosulfamide)、イソキサジフェン−エチル、クロキントセット−メキシルおよびジクロルミドである。
【0056】
水和剤は、水中に均一に分散可能であり、そして活性化合物に加えて、希釈剤または不活性物質は別として、イオン型および/またはノニオン型界面活性剤(湿潤剤、分散剤)、例えばポリオキシエチル化アルキルフェノール、ポリオキシエチル化脂肪族アルコール、ポリオキシエチル化脂肪族アミン、脂肪族アルコールポリグリコールエーテルサルフェート、アルカンスルホン酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸エステル、リグノスルホン酸ナトリウム、2,2′−ジナフチルメタン−6,6′−ジスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムまたは他にオレオイルメチルタウリン酸ナトリウムを含む製剤である。水和剤を調製するには、除草活性化合物を、例えばハンマーミル、ブロワミルおよびエアジェットミルのような慣用の装置中で微粉砕し、そして同時にまたはその後で製剤補助剤と混合する。
【0057】
乳剤は、活性化合物を有機溶媒、例えばブタノール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、キシレンまたは他に比較的高沸点の芳香族もしくは炭化水素または有機溶媒の混合物中に溶解し、1以上のイオン系および/またはノニオン系界面活性剤(乳化剤)を添加することによって製造される。使用可能な乳化剤の例は、アルキルアリールスルホン酸カルシウム塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、またはノニオン系乳化剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド縮合物、アルキルポリエーテル、ソルビタンエステル、例えばソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。
【0058】
粉剤は、微粉砕された固形物質、例えばタルク、自然粘土、例えばカオリン、ベントナイトおよびピロフィライトまたは珪藻土と共に活性化合物を粉砕することによって得られる。
【0059】
懸濁濃縮物は、水または油に基づくものであることができる。それは、例えば、商業的なビーズミルによる湿式粉砕によって、適宜に例えば他の製剤タイプの場合にすでに上記で挙げた界面活性剤を添加して製造することができる。
【0060】
乳濁液、例えば水中油型乳濁液(EW)は、例えば水系有機溶媒および適宜に例えば他の製剤タイプについて前記で挙げた界面活性剤を用いて撹拌機、コロイドミルおよび/またはスタティックミキサーによって製造することができる。
【0061】
粒剤は、吸着性顆粒状不活性材料上に活性化合物を噴霧することによって、または接着剤、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムもしくは他の鉱油により、担体、例えば砂、カオリナイトもしくは顆粒状不活性材料の表面に活性化合物濃縮液を塗布することによって製造することができる。また、好適な活性化合物を、所望の場合に肥料との混合物として、肥料顆粒の製造に慣用のやり方で造粒することもできる。
【0062】
顆粒水和剤は、一般に噴霧乾燥、流動床造粒、パン造粒、高速撹拌機による混合、および固形不活性材料なしの押出といったような慣用の方法によって調製される。
【0063】
平板(pan)粒剤、流動床粒剤、押出粒剤および噴霧粒剤を製造するためには、例えば″Spray−Drying Handbook″ 第3版 1979, G.Goodwin Ltd., London; J.E. Browning, ″Agglomeration″, Chemical and Engineering 1967, 第147頁以下; ″Perry′s Chemical Engineer′s Handbook″, 第5版, McGraw−Hill, New York 1973, 第8−57頁における方法を参照する。
【0064】
作物保護剤の製剤に関するさらなる詳細については、例えば、G.C.Klingman, ″Weed Control as a Science″, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961, 第81−96頁およびJ.D.Freyer, S.A.Evans, ″Weed Control Handbook″, 第5版, Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1968, 第101−103頁を参照する。
【0065】
農薬製剤は、一般に0.1から99重量%、特には0.1から95重量%の本発明による化合物を含む。
【0066】
水和剤では、活性化合物の濃度は、例えば約10から90重量%であり、100重量%までの残りは、慣用の製剤成分からなる。乳剤では、活性化合物の濃度は、約1から90重量%、好ましくは5から80重量%であることができる。粉剤形態での製剤は、1から30重量%の活性化合物、好ましくは通常5から20重量%の活性化合物を含み;噴霧液は、約0.05から80重量%、好ましくは2から50重量%の活性化合物を含む。顆粒水和剤では、活性化合物含量は、活性化合物が固体で存在するか液体で存在するか、そして造粒補助剤、充填剤などが使用されるかによって部分的に決まる。水中に分散可能な顆粒剤では、活性化合物の含量は、例えば、1から95重量%、好ましくは10から80重量%である。
【0067】
さらに、記載された活性化合物製剤は、それぞれの慣用の粘着付与剤、湿展剤、分散剤、乳化剤、浸透剤、保存剤、不凍剤および溶媒、充填剤、担体および色素、消泡剤、蒸発抑制剤ならびにpHおよび粘度に影響する薬剤を含んでいても良い。
【0068】
これらの製剤に基づいて、例えば最終製剤の形態でまたはタンクミックスとして、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺真菌剤などの他の農薬活性化合物と、そして薬害軽減剤、肥料および/または成長調節剤との組み合わせ剤を製造することも可能である。
【0069】
施用に関しては、商業的形態での製剤は、適切な場合、例えば水和剤、乳剤、分散剤および水分散性粒剤の場合には一般的な方法で水で希釈する。粉剤、土壌処理用粒剤または散布用粒剤および噴霧溶液の形態での製剤は通常、施用前に他の不活性物質でさらに希釈することはない。
【0070】
式(I)の化合物の必要な施用量は、温度、湿度および使用される除草剤の種類などの外部条件に応じて変動する。それは広い範囲内で変動し得るものであり、例えば0.001から1.0kg/ha以上の活性物質であるが、それは好ましくは0.005から750g/haである。
【0071】
下記の実施例によって、本発明を説明する。
【0072】
A.化学例
2−メチルスルホニル−4−トリフルオロメチル−N−(1−メチルテトラゾール−5−イル)ベンズアミド−ナトリウム塩(No.1−2)の合成
ナトリウムメトキシド溶液(30%メタノール中溶液)0.105mL(0.57mmol)をメタノール5mL中の2−メチルスルホニル−4−トリフルオロメチル−N−(1−メチルテトラゾール−5−イル)ベンズアミド200mg(0.57mmol)に加え、混合物を濃縮して乾固させる。これによって、結晶210mgが得られる(定量的収率)。
【0073】
下記の表に挙げた実施例は、上記の方法と同様にして製造されたか、上記の方法と同様にして得ることができる。表中で挙げられた化合物は、非常に特に好ましいものである。
【0074】
使用される略称はEt=エチル、Me=メチル、Pr=Pr、c−Pr=c−プロピルを意味する。
【0075】
表1:AがCYを表し、BがNを表し、Wが水素を表す一般式(I)の化合物
【化3】
【表1】
【0076】
表2:AがCYを表し、BがCHを表し、Wが水素を表す一般式(I)の化合物
【化4】
【表2】
【0077】
表3:AがNを表し、BがNを表し、Wが水素を表す一般式(I)の化合物
【化5】
【表3】
【0078】
B.製剤例
a)粉剤は式(I)の化合物および/またはそれの塩10重量部および不活性物質としてのタルク90重量部を混合し、その混合物をハンマーミルで粉砕することにより得られる。
【0079】
b)容易に水に分散し得る水和剤は、式(I)の化合物および/またはそれの塩25重量部、不活性物質としてのカオリン含有石英64重量部、湿潤剤および分散剤として、リグノスルホン酸カリウム10重量部ならびにオレオイルメチルタウリン酸ナトリウム1重量部を混合し、その混合物をピン付きディスクミルで粉砕することにより得られる。
【0080】
c)容易に水に分散し得る分散液濃縮物は、式(I)の化合物および/またはそれの塩20重量部をアルキルフェノールポリグリコールエーテル(Triton(登録商標)X207)6重量部、イソトリデカノールポリグリコールエーテル(8EO)3重量部およびパラフィン系鉱油(沸点範囲:例えば約255から277℃超)71重量部と混合し、その混合物をボールミルで5ミクロン以下の粉末度まで粉砕することにより得られる。
【0081】
d)乳剤は式(I)の化合物および/またはそれの塩15重量部、溶媒としてのシクロヘキサノン75重量部および乳化剤としてのエトキシル化ノニルフェノール10重量部から得られる。
【0082】
e)水分散性粒剤は、
式(I)の化合物および/またはそれの塩75重量部、
リグノスルホン酸カルシウム10重量部、
ラウリル硫酸ナトリウム5重量部、
ポリビニルアルコール3重量部および
カオリン7重量部
を混合し、その混合物をピン付きディスクミルで粉砕し、その粉末を造粒液としての水の上に噴霧して流動床で造粒することにより得られる。
【0083】
f)水分散性粒剤はまた、
式(I)の化合物および/またはそれの塩25重量部、
2,2′−ジナフチルメタン−6,6′−ジスルホン酸ナトリウム5重量部、
オレオイルメチルタウリン酸ナトリウム2重量部、
ポリビニルアルコール1重量部、
炭酸カルシウム17重量部および
水50重量部
をコロイドミルで均質化および予備粉砕し、次にその混合物をビーズミルで粉砕し、得られた懸濁液を噴霧塔で一相ノズルにより噴霧および乾燥することにより得られる。
【0084】
C.生物例
1.有害植物に対する発芽前除草作用
単子葉および双子葉の雑草植物および作物植物の種子を砂壌土中の木質繊維ポットに入れ、土で覆う。次に、水和剤(WP)の形態で、または濃縮エマルション(EC)として製剤された本発明による化合物を、0.2%湿展剤を加えて600から800L/ha(変換値)の水施用量で水系懸濁液または乳濁液として覆っている土の表面に施用する。処理後、ポットを温室に入れ、試験植物の良好な成長条件下に維持する。未処理対照と比較して、3週間の試験期間後に、試験植物に対する損傷を肉眼で評価する(パーセント(%)での除草活性:100%作用=植物が枯死、0%作用=対照植物と同様)。ここで、例えば、化合物番号1−2、1−3、1−4 1−11、1−12、1−13、1−14、1−78、1−79、1−80、1−84、1−86、1−87、1−89、1−91、1−92、1−121、1−122、1−123 1−124、1−131、1−133、1−138、1−141、2−06、3−04、3−05、3−10が各場合で、320g/haの施用量で施用した場合に、ヒエ(Echinochloa crus galli)、エノコログサ(Setaria viridis)、イチビ(Abutilon theophrasti)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、イヌカミツレ(Matricaria inodora)、コハコベ(Stellaria media)、サンシキスミレ(Viola tricolor)およびオオイヌノフグリ(Veronica persica)に対して少なくとも80%の活性を有する。
【0085】
2.有害植物に対する発芽後除草作用
単子葉および双子葉の雑草植物および作物植物の種子を木質繊維ポット中の砂壌土に入れ、土で覆い、良好な成長条件下に温室で栽培する。播種から2から3週間後、試験植物を1葉期で処理する。次に、水和剤(WP)の形態で、または濃縮エマルション(EC)として製剤された本発明による化合物を、0.2%の湿展剤を加えて600から800L/ha(変換値)の水施用量で水系懸濁液または乳濁液として植物の緑色部分の上に噴霧する。約3週間にわたって至適な成長条件下で試験植物を温室に放置しておいた後、未処理対照と比較して、製剤の作用を肉眼で評価する(パーセント(%)での除草活性:100%作用=植物が枯死、0%作用=対照植物と同様)。ここで、例えば、化合物番号1−02、1−03、1−04、1−07、1−08、1−11、1−12、1−13、1−14、1−36、1−38、1−78、1−79、1−80、1−81、1−84、1−85、1−86、1−87、1−88,1−89、1−91、1−106、1−121、1−122、1−123、1−124、1−131、1−133、1−138、1−141および2−06が各場合で、80g/haの施用量で施用した場合に、ヒエ(Echinochloa crus galli)、イヌカミツレ(Matricaria inodora)、マルバアサガオ(Pharbitis purpureum)、コハコベ(Stellaria media)およびオオイヌノフグリ(Veronica persica)に対して少なくとも80%の活性を有する。