特許第6104393号(P6104393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104393容器用の核形成されたポリプロピレン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104393
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】容器用の核形成されたポリプロピレン組成物
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/00 20060101AFI20170316BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20170316BHJP
   C08L 23/18 20060101ALI20170316BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20170316BHJP
   C08F 210/06 20060101ALI20170316BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20170316BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   B65D1/00 110
   C08L23/10
   C08L23/18
   C08J3/22CES
   C08F210/06
   B65D65/40 D
   B29C45/00
【請求項の数】18
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-536001(P2015-536001)
(86)(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公表番号】特表2015-533742(P2015-533742A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】EP2013002311
(87)【国際公開番号】WO2014056559
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2015年5月11日
(31)【優先権主張番号】12007059.4
(32)【優先日】2012年10月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515097410
【氏名又は名称】アブ ダビ ポリマーズ カンパニー リミテッド(ボルジュ)エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】513276905
【氏名又は名称】ボレアリス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BOREALIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(72)【発明者】
【氏名】ヨンセン,ゲイル,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ランペラ,ジャンヌ
(72)【発明者】
【氏名】オン,ジェームズ
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−520093(JP,A)
【文献】 特表2001−522918(JP,A)
【文献】 特表2001−522903(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01873173(EP,A1)
【文献】 特表2010−523809(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0030287(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/000557(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00
B29C 45/00
B65D 65/40
C08F 210/06
C08J 3/22
C08L 23/10
C08L 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが少なくとも35g/10分かつ200g/10分以下であり、かつ
(ii)全オレフィンコモノマー含量が、ポリプロピレン組成物の全重量に対して、少なくとも0.1重量%かつ1.75重量%以下である
1種以上のオレフィンコモノマーとのプロピレンポリマー(A)と、
高分子核形成剤である核形成剤(B)と
を含むポリプロピレン組成物を含む射出成形(IM)容器である、食品梱包用器。
【請求項2】
壁梱包用の容器ある、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器の壁厚が0.2mm以上2.0mm以下ある、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記容器のポリプロピレン組成物なくとも45g/10分、230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートMFR2を有し、かつ/または、前記MFR2125g/10分以下ある、請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
プロピレンポリマー(A)が、1種以上のオレフィンコモノマーとプロピレンとのコポリマーあり、ポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、オレフィンコモノマー含量が1.5重量%以下ある、請求項1〜4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記容器のポリプロピレン組成物、任意の順序で以下の特性の1つ以上有する、請求項1〜5のいずれかに記載の容器:
- プロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して5.5重量%以下ある、ISO16152:2005に従って測定されたキシレン可溶物含量(XS)、
- ISO527-2:1996 1A型試験片から切り出された80×10×4mmのノッチ試験片についてISO179-1:2000に従って測定した場合において、少なくとも1.9kJ/m2あるシャルピーノッチ衝撃強度(ISO179-1/1eAに従ったノッチ衝撃試験片が使用され、試験温度は23±2℃、射出成形はISO1873-2:2007に従って実施)、
- ISO527-2:1996 1A型成形試験片による試験片についてISO527-1:1996及びISO527-2:1996に従って測定した場合において、少なくとも1000MPaある引張弾性率(射出成形はISO1873-2:2007に従って実施)、及び/又は
- プロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、少なくとも0.1重量%かつ1.75重量%以下ある全オレフィンコモノマー含量
【請求項7】
プロピレンポリマー(A)の230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートMFR2が、なくとも45g/10分あり、かつ/または、プロピレンポリマー(A)の前記MFR2125g/10分以下ある、請求項1〜6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】
核形成剤(B)が合したビニル化合物ある、請求項1〜7のいずれかに記載の容器。
【請求項9】
核形成剤(B)、前記成分(A)及び(B)を機械的に混合することによって、場合により1つ以上の他の添加剤と一緒に、プロピレンポリマー(A)に導入するか、又は核形成剤(B)、プロピレンポリマー(A)の重合過程中にプロピレンポリマー(A)に導入ことを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の容器の製造方法
【請求項10】
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも35g/10分かつ200g/10分以下であり、かつ
(ii)全オレフィンコモノマー含量が、ポリプロピレン組成物の全重量に対して、少なくとも0.1重量%かつ1.75重量%以下である
1種以上のオレフィンコモノマーとのプロピレンポリマー(A)
核形成剤(B)と担体ポリマー(B1)とを含むマスターバッチ(MB)
(プロピレンポリマー(A)及び核形成剤(B)は、請求項1〜8のいずれかに定義したとおりである)
を含むポリプロピレン組成物を含、請求項1〜8のいずれかに記載の容器。
【請求項11】
担体ポリマー(B1)が、プロピレンホモ又はコポリマーある、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
担体ポリマー(B1)の重合中に、形成剤(B)担体ポリマー(B1)に導入することを含む、請求項10又は11に記載の容器の製造方法
【請求項13】
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも35g/10分かつ200g/10分以下であり、かつ
(ii)全オレフィンコモノマー含量が、ポリプロピレン組成物の全重量に対して、少なくとも0.1重量%かつ1.75重量%以下である、
1種以上のオレフィンコモノマーとのプロピレンポリマー(A)と、
高分子核形成剤である、請求項1〜8、10及び11のいずれかに定義された核形成剤(B)を含み、
核形成剤(B)が、ポリプロピレン組成物中唯一の核形成剤及び/又は清澄剤であるポリプロピレン組成物を含食品梱包用射出成形容器である、請求項1〜8、10及び11のいずれかに記載の容器。
【請求項14】
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも35g/10分かつ200g/10分以下であり、かつ
(ii)全オレフィンコモノマー含量が、ポリプロピレン組成物の全重量に対して、少なくとも0.1重量%かつ1.75重量%以下である、
1種以上のオレフィンコモノマーとのプロピレンポリマー(A)と、
高分子核形成剤である、請求項1〜8、10、11及び13のいずれかに定義された核形成剤(B)と、
核形成剤(B)とは異なる、核形成剤及び/又は清澄剤である添加剤(C1)と
を含むポリプロピレン組成物を含食品梱包用射出成形容器である、請求項1〜8、10、11及び13のいずれかに記載の容器。
【請求項15】
添加剤(C1)が、下記の群:
1. モノカルボン酸の塩及びポリカルボン酸の塩
2. ソルビトール化合物
3. ノニトール系核形成剤、
4. リン系化合物
5. ヒンダードフェニルアミン
6. タルク、又は
7. 群1〜6のいずれかの添加剤(C1)の混合物
ら選択される、請求項14に記載の容器。
【請求項16】
核形成剤(B)の量が、プロピレンポリマー(A)、核形成剤(B)及び任意の担体ポリマー(B1)の合計重量に対して、3000ppm以下あり、かつ/または
プロピレンポリマー(A)の量が、プロピレンポリマー(A)、核形成剤(B)及び任意の担体ポリマー(B1)の合計重量に対して、90.0〜99.75重量%ある、請求項1〜8、10、11及び13〜15のいずれかに記載の容器。
【請求項17】
プロピレンポリマー(A)が、その重合後に過酸化物処理を受けていない、請求項1〜8、10、11及び13〜16のいずれかに記載の容器。
【請求項18】
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも35g/10分かつ200g/10分以下であり、かつ
(ii)全オレフィンコモノマー含量が、ポリプロピレン組成物の全重量に対して、少なくとも0.1重量%かつ1.75重量%以下である、
1種以上のオレフィンコモノマーとのプロピレンポリマー(A)と、
高分子核形成剤であり、ポリプロピレン組成物中に存在する唯一の核形成剤及び/又は清澄剤である、核形成剤(B)と
を含むポリプロピレン組成物の、射出成形(IM)容器を製造するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工性、衝撃/剛性バランス、有利な色調及び官能特性の組合せが改善されたポリプロピレン組成物から作製された容器に関する。容器は、通常は成形容器、特に射出成形容器である。
【背景技術】
【0002】
梱包用途(例えば、食品及び医療梱包並びにプラスチックカップ)などの容器用の射出成形部材には、こうした物品を生成するのに用いられる高分子材料に関する特定の要件が存在する。こうした大量生産用途で極めて重要なのは、良好な加工性である。さらに、梱包用の物品では、最終物品に対して十分な硬度及び一体性を提供するために剛性/衝撃バランスが十分でなければならない。最後に、特に、食品及び医療梱包用の材料は又、官能特性が良好であるべきである。又一部の用途では、良好な光学特性が望まれる。
【0003】
加工性を改善するためのポリプロピレンの高メルトフローレート(MFR)は、水素のようないわゆる連鎖停止剤(例えば、分子量又はMFR制御剤としても知られる)を使用して形成ポリマーの鎖長を制御することによって、又は生成ポリプロピレンを過酸化物で処理してポリマーの鎖長を低減(いわゆる粘性破壊(ビスブレーキング))することによって、重合過程中にもたらすことができる。
【0004】
MFRの増加は剛性を増加させるが、同時に衝撃強度特性が犠牲になる。過酸化物処理を使用して高MFRポリプロピレンを生成させる場合、重合過程中に高MFRが与えられるポリプロピレンに比較して、衝撃特性に及ぼす劣化作用が小さい。この理由は、「反応器作製」高MFRポリプロピレンの分子量分布(MWD)に比較して、過酸化物処理(粘性破壊された)高MFRポリプロピレンのMWDがより狭いことであると考えられる。しかし、粘性破壊ポリプロピレンは、とりわけ、望ましくない趣及び匂いなどの望ましくない官能特性を有し、最終製品に望ましくない色調効果(黄色)をもたらす恐れがあることは周知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、良好な加工性及び同時に良好な色調特性及び官能特性と共に望ましい衝撃/剛性バランスを有する、特に薄壁梱包のための組成物に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも25g/10分であり、かつ
(ii)成分(A)がコポリマーである場合、コモノマー含量が5.0重量%以下である、
プロピレンホモ又はコポリマー(A)と、
核形成剤(B)と
を含むポリプロピレン組成物を含み、好ましくはそれからなる食品梱包用成形容器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
驚くべきことに、本発明の容器のポリプロピレン組成物の上記で定義された特徴組合せは、顕著に有利な衝撃/剛性バランスを提供することが見出された。予想外にも、特許請求した組合せは、例えば射出成形容器に、剛性を少なくとも有利な水準に維持しつつ、成形容器の衝撃特性を向上させる。結果として、本発明の容器は、硬度が優れ、加えて、反りの問題がより小さいか若しくは全く存在しない。
【0008】
さらに、プロピレンホモ又はコポリマー(A)と核形成剤(B)の本発明の組合せは、良好な官能特性を提供し、加えて、例えば薄壁物品は、有利なことに、いずれの追加の核形成剤/清澄剤なしでも、清澄で透明であり、外観が白色である。例えば、容器が積み重ねられる場合、形成されたスタックは、外観が望ましい白色である。所望であれば、清澄性及び剛性は、追加の核形成剤及び/又は清澄剤を使用してさらに改善することができる。
【0009】
有利な加工特性に関して、本発明のポリマー組成物の流動性は、極めて優れている。さらに、本発明の容器のポリプロピレン組成物によって、容器を生成するための全サイクル時間の低減が可能になる。サイクル時間は、本明細書で、好ましくは射出によってポリプロピレン溶融物を金型に導入し、好ましくは射出成形によって、成形された物品を固化させ金型から外すのに要する時間として定義される。さらに、本容器のポリプロピレン組成物の特許請求の範囲に記載した特徴によって、成形工程中の加工温度の低減が可能になる。
【0010】
最後に、官能特性も、通常の過酸化物処理高流動性ポリプロピレン材料に比較して、良好である。さらに、いずれの劣化問題も回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「本発明のプロピレン組成物」、「本発明の容器のプロピレン組成物」、及び「本発明の容器」は、本明細書で短縮して「プロピレン組成物」、「容器のプロピレン組成物」、及び「容器」とも称される。
【0012】
好ましくは、成形容器(本明細書で「容器」と称される)は、射出成形(IM)容器である。
【0013】
本発明の容器は、好ましくは壁厚が3.0mm以下である。より好ましくは、容器の壁厚は2.0mm以下、さらにより好ましくは1.0mm以下である。下限は、好ましくは0.2mmである。好ましくは、容器の壁厚は0.3〜1.0mm、より好ましくは0.4〜0.9mm、より好ましくは0.4〜0.75mmの範囲内である。
【0014】
別段の言及のない限り、本発明の容器の下記で定義される好ましい特性は、容器を再溶融することによって測定され、測定の要件に応じて、そのような溶融物が特性測定のために使用されるか、又は最初に溶融物から試験片を形成し、得られた試験片が特性測定のために使用される。「(本発明の)容器のポリプロピレン組成物」の特性として下記で使用される表現は、定義された特性が、本発明の容器に成形される前のポリプロピレン組成物を用いて測定されることを意味する。
【0015】
本発明の容器の衝撃と剛性特性との間の有利なバランスは、とりわけシャルピーノッチ衝撃強度、機械式落錘(IFW)、及び引張弾性率としてそれぞれ本明細書で表され、本発明の容器のポリプロピレン組成物の優れた加工性は、とりわけ、メルトフローレート、スパイラルフロー、及び容器生成のために全サイクル時間として表され、有利な光学特性は、ヘイズとして表される。試料調製を含めた上記の測定方法は、「測定方法」の章において下記で後に定義される。
【0016】
容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器は、少なくとも25g/10分、少なくとも35g/10分、より好ましくは少なくとも45g/10分、最も好ましくは少なくとも50g/10分の、230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートMFR2を有することが好ましい。好ましくは、容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器の前記MFR2は200g/10分以下、より好ましくは125g/10分以下、最も好ましくは80g/10分以下である。
【0017】
プロピレンホモ又はコポリマー(A)は、1種以上のオレフィンコモノマーとプロピレンとのコポリマー、好ましくはプロピレンとのランダムコポリマーであることが好ましい。
【0018】
「ランダム」という用語は、コモノマーがプロピレンコポリマー内にランダムに分布していることを示す。ランダムとの用語は、IUPAC(ポリマー科学における基本用語集、IUPAC勧告書1996)に従って理解される。
【0019】
ポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、好ましくは容器の重量に対して、容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器の全オレフィンコモノマー含量は5.0重量%以下、好ましくは4.0重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下、さらにより好ましくは2.5重量%以下、さらにより好ましくは1.75重量%以下、さらにより好ましくは1.5重量%以下、最も好ましくは1.3重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、前記全オレフィンコモノマー含量は、少なくとも0.1重量%である。
【0020】
容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器は、ISO16152:2005に従って測定されたキシレン可溶物含量(XS)が5.5重量%以下、より好ましくは4.5重量%以下、さらにより好ましくは3.0重量%以下、さらにより好ましくは1.0〜2.5重量%であることが好ましい。
【0021】
容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器のシャルピーノッチ衝撃強度は、ISO527-2:1996 1A型試験片から切り出された80×10×4mmのノッチ試験片についてISO179-1:2000に従って測定された場合、好ましくは少なくとも1.9kJ/m2、好ましくは1.9〜7.0kJ/m2、より好ましくは2.0〜6.0kJ/m2、さらにより好ましくは2.0〜5.0kJ/m2である。ISO179-1/1eAに従ったノッチ衝撃試験片が使用された。試験温度は23±2℃であり、射出成形は、ISO1873-2:2007に従って実施される。
【0022】
容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器の機械式落錘(Instrumental Falling Weight, IFW)試験の穴あけエネルギーは、「測定方法」の章で後に記載されるように、厚さ0.5mmの薄壁長方形箱(本明細書では、例えば、箱145×95×50mmが使用された)の底部から切り出された厚さ0.5mmのものについてISO6603-2:2000に従って測定された場合、好ましくは0.1J超であり、より好ましくは0.14J超であり、さらにより好ましくは0.14〜0.5Jであり、さらにより好ましくは0.14〜0.3Jであり、最も好ましくは0.14J〜0.2Jである。
【0023】
容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器の引張弾性率は、ISO527-2:1996 1A型成形試験片による試験片についてISO527-1:1996及びISO527-2:1996に従って測定され、射出成形が、ISO1873-2:2007に従って実施される場合、好ましくは少なくとも1000MPa、より好ましくは少なくとも1300MPa、さらにより好ましくは少なくとも1400MPa、さらにより好ましくは1500〜3000MPa、最も好ましくは1600〜2500MPaである。
【0024】
本発明では、スパイラルフローは、「測定方法」の章で下記に詳細に記載される方法に従って、600bar、1000bar及び1400bar、即ち、スパイラルフロー(600bar)、スパイラルフロー(1000bar)及びスパイラルフロー(1400bar)でそれぞれ測定された。
【0025】
容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器のスパイラルフロー(600bar)は、好ましくは少なくとも20cm、より好ましくは少なくとも30cm、最も好ましくは少なくとも33cmである。
【0026】
好ましくは、容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器のスパイラルフロー(600bar)は50cm未満である。
【0027】
容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器のスパイラルフロー(1000bar)は、好ましくは少なくとも40cm、より好ましくは少なくとも45cm、最も好ましくは少なくとも50cmである。
【0028】
好ましくは、容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器のスパイラルフロー(1000bar)は70cm未満である。
【0029】
好ましくは、容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器のスパイラルフロー(1400bar)は、少なくとも50cm、より好ましくは少なくとも60cm、最も好ましくは少なくとも65cmである。
【0030】
好ましくは、容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器のスパイラルフロー(1400bar)は90cm未満である。
【0031】
容器のポリプロピレン組成物、好ましくは容器のヘイズは、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、さらにより好ましくは20%未満である。ヘイズの下限は重要ではなく、通常2%超である。ヘイズは、ISO294-3:2003 60×60×0.5mm小板ISO D1型試験片についてASTM D1003-07に従って測定される。
【0032】
本発明の容器のポリプロピレン組成物の調製法に関して、第一の調製実施形態では、核形成剤(B)及びプロピレンホモ又はコポリマー(A)を、機械的混合(mechanical blending)により場合により1種以上の他の添加剤と共に、一緒に混ぜ合わせる。
【0033】
場合により及び好ましくは、核形成剤(B)は、前記核形成剤(B)、担体ポリマー(B1)及び場合によりさらなる添加剤を含むマスターバッチ(MB)の形態でプロピレンホモ又はコポリマー(A)に混合される。機械的混合(「配合」とも称される)は、ポリマー組成物の成分を合わせるための周知で慣用の技法である。機械的混合は、当技術分野で周知の様式で、例えば、ミキサーで又は押出し機で、好ましくは、押出し機で実施することができる。従来の配合又は混合装置の例は、例えば、バンバリーミキサー、2ロール式ラバーミル、ブスコニーダー又は押出し機、好ましくは2軸押出し機である。
【0034】
従って、本発明の好ましい実施形態では、本発明の容器は、
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも25g/10分であり、かつ
(ii)成分(A)がコポリマーである場合、コモノマー含量が5.0重量%以下である、
プロピレンホモ又はコポリマー(A)、好ましくはプロピレンコポリマー(A)と、
核形成剤(B)と担体ポリマー(B1)とを含むマスターバッチ(MB)と
を含むポリプロピレン組成物を含み、好ましくはそれからなる。
【0035】
代替の第二の調製実施形態では、核形成剤(B)は、プロピレンホモ又はコポリマー(A)の重合過程中にプロピレンホモ又はコポリマー(A)に導入される。
【0036】
第一及び第二の調製実施形態の好ましい実施形態は、下記でさらに定義される。
【0037】
プロピレンホモ又はコポリマー(A)の量は、プロピレンホモ又はコポリマー(A)、核形成剤(B)及び任意の担体ポリマー(B1)の合計重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは本発明の容器の重量に対して、好ましくは90.0〜99.75重量%、より好ましくは95.0〜99.25重量%、さらにより好ましくは96.5〜98.5重量%である。
【0038】
好ましくは、核形成剤(B)の量は、プロピレンホモ又はコポリマー(A)、核形成剤(B)及び任意の担体ポリマー(B1)の合計重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは本発明の容器の重量に対して3000ppm以下、好ましくは0.02〜2000ppm、より好ましくは0.025〜2000ppmである。
【0039】
任意のマスターバッチ、即ち、担体ポリマー(B1)及び核形成剤(B)及び任意のさらなる添加剤の量は、プロピレンホモ又はコポリマー(A)、核形成剤(B)及び任意の担体ポリマー(B1)の合計重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは本発明の容器の重量に対して、好ましくは少なくとも0.25重量%、より好ましくは少なくとも0.75重量%、最も好ましくは少なくとも1.5重量%である。
【0040】
より好ましくは、プロピレンホモ又はコポリマー(A)、核形成剤(B)及び任意の担体ポリマー(B1)の合計重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは本発明の容器の重量に対して、前記MBは、好ましくは10.0重量%以下、より好ましくは5.0重量%以下、最も好ましくは3.5重量%以下の量で存在することが好ましく、MBの好ましい量は1.5〜3.5重量%である。
【0041】
さらに、本発明の容器のプロピレン組成物は、核形成剤(B)に加えて、限定されないが、さらなる核形成剤、清澄剤、増白剤、掃酸剤、及び酸化防止剤、並びにスリップ剤、無機充填剤及びUV光安定剤を含めたさらなる添加剤を含むことができる。それぞれの添加剤は、例えば、従来の量で使用することができ、プロピレン組成物中、好ましくは、容器中に存在する添加剤の全量は、好ましくは下記に定義するものである。掃酸剤の例は、ステアリン酸カルシウム、酸化防止剤の例は、フェノール性酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤、UV光安定剤の例は、ヒンダードアミン光安定剤である。さらなる核形成剤、清澄剤及び増白剤の例は、下記で本発明の容器の代替の実施形態(D)の文脈中に記載される。
【0042】
そのような添加剤は、一般に市販されており、例えば、Hans Zweifel「プラスチック添加剤ハンドブック」、第5版、2001年に記載されている。
【0043】
任意のさらなる添加剤の全量は、ポリプロピレン組成物の全量(100重量%)に対して、より好ましくは本発明の容器の重量に対して、好ましくは0.0001〜2.0重量%、より好ましくは0.0001〜1.0重量%、さらにより好ましくは0.0001〜0.5重量%である。任意の添加剤がマスターバッチに添加される場合、添加剤の担体材料が、ポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に基づいて、より好ましくは本発明の容器の重量に基づいて、添加剤の全量に対して計算される。
【0044】
好ましい実施形態では、本発明のポリプロピレン組成物、より好ましくは本発明の容器は、好ましくは上記に記載された任意の量で、プロピレンホモ又はコポリマー (A)と、前記核形成剤(B)、担体ポリマー(B1)、及び任意のさらなる添加剤、並びに任意のさらなる添加剤を含み、好ましくはそれからなるマスターバッチ(MB)の形態の核形成剤(B)とを含み、好ましくはそれからなる。
【0045】
本発明の容器は、従来の成形及び射出成形技法及び成形装置を使用して成形、より好ましくは射出成形によって生成することが好ましい。一般に、射出成形(IM)容器は、以下のようにして生成することができる。
【0046】
従来の射出成形法(IM機械の例は、Netstal 120T又はFerromatik MagnaT200である)を使用することができ、ポリマー材料は、最初に、(a)溶融され、次いで、(b)生成する物品(例えば、薄壁箱の部材)の形状を画定する金型内に射出される。金型では、ポリマー材料は、(c)固化するまで冷却され、その後、(d)完成部材は、押し出され、次いで、次の射出サイクルが開始される。容器を生成するための本明細書で使用される全サイクル時間は、上記の工程(a)〜(d)を意味する。好ましいガイドラインとして以下のパラメーターを使用することができる。
溶融物温度210〜260℃、
保持圧力200〜500bar(ひけマークを回避するための最小値)、
金型温度10〜30℃、
射出速度は、例えば200mm/sとすることができる。
【0047】
本発明は、さらに、
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも25g/10分であり、
(ii)成分(A)がコポリマーである場合、コモノマー含量が5.0重量%以下である、
プロピレンホモ又はコポリマー(A)と、
核形成剤(B)と
を含むポリプロピレン組成物の、成形容器、詳細には、上記、下記又は特許請求の範囲で定義される容器を製造するための使用に関する。
【0048】
本発明の容器は、薄壁梱包用途に極めて適している。さらに、本発明の容器は、好ましくは、反りの問題点が少ない又は全くないこと及び趣/匂いの問題点が少ない又は全くないことと合わせて、良好な美的外観、硬度及び一体性を有する。従って、本発明の容器は、食品梱包並びに食品及び飲み物を提供するための、カップを含む、開放式及び閉鎖可能な容器を含めた食品梱包用途に特に好ましい。
【0049】
下記に示される好ましい特性、特性範囲並びにポリプロピレン組成物の成分及び本発明の容器のポリプロピレン組成物の調製方法の実施形態は、任意の組合せで組み合わせ、上記、下記又は特許請求の範囲に記載された好ましい特性、特性範囲及び実施形態を含めた好ましい特性、特性範囲及び容器の実施形態として適用することができる。
【0050】
本発明の容器のポリプロピレン組成物の成分
特許請求された特徴の組合せを備えたプロピレン組成物である本発明は、プロピレンホモ又はコポリマー(A)の特許請求された高MFRがその重合過程中に提供された場合であっても、極めて有利な衝撃/剛性バランス、特に予想外のシャルピー衝撃強度を提供する。
【0051】
本発明の容器のポリプロピレン組成物のMFR2が好ましい範囲を含めて少なくとも25g/10分であるプロピレンホモ又はコポリマー(A)が、重合後にプロピレンホモ又はコポリマー(A)を過酸化物で処理することなく提供されることが好ましい。
【0052】
当技術分野で周知であるように、プロピレンポリマーのMFR2を増加させるためにそのような処理を用いてもよい。
【0053】
プロピレンホモ又はコポリマー(A)の重合過程中におけるMFRの調整は、通常の方式で、例えば、水素のような連鎖停止剤(例えば、MFR制御剤の分子量としても知られる)を使用することによって実施することができる。
【0054】
より好ましくは、本発明の容器のポリプロピレン組成物は、いずれの過酸化物処理も受けていない。
【0055】
プロピレンホモ又はコポリマー(A)の230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートMFR2は、好ましくは少なくとも35g/10分、より好ましくは少なくとも45g/10分、最も好ましくは少なくとも50g/10分である。さらに、好ましくはプロピレンホモ又はコポリマー(A)の前記MFR2は200g/10分以下、より好ましくは125g/10分以下、最も好ましくは80g/10分以下である。
【0056】
プロピレンホモ又はコポリマー(A)は、好ましくは1種以上のオレフィンコモノマーとプロピレンとのコポリマー、最も好ましくはプロピレンとのランダムコポリマーであり、全オレフィンコモノマー含量は、プロピレンのランダムコポリマーの全重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは容器の重量に対して、好ましくは4.0重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下、さらにより好ましくは2.5重量%以下、さらにより好ましくは1.75重量%以下、さらにより好ましくは1.5重量%以下、最も好ましくは1.3重量%以下である。さらに、好ましくは前記全オレフィンコモノマー含量は、プロピレンのランダムコポリマーの全重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは容器の重量に対して、少なくとも0.1重量%である。
【0057】
プロピレンの前記ランダムコポリマーのコモノマーは、C2及びC4〜C20α-オレフィン、より好ましくはC2及びC4〜C10α-オレフィン、最も好ましくはC2及びC4〜C6α-オレフィンから選択されることが好ましい。特に好ましいコモノマーは、エチレンである。
【0058】
プロピレンホモ又はコポリマー(A)は、ISO16152:2005に従って測定されたキシレン可溶物含量(XS)が5.5重量%以下、より好ましくは4.5重量%以下、さらにより好ましくは3.0重量%以下、さらにより好ましくは1.0〜2.5重量%であることが好ましい。
【0059】
本発明の容器のポリプロピレン組成物の核形成剤(B)に関して、好ましくは、核形成剤(B)は、
- 高分子核形成剤、
- モノカルボン酸及びポリカルボン酸の塩、例えば、安息香酸ナトリウム、
- ソルビトール化合物、例えば、ソルビトール若しくはキシリトール、例えば、1,3:2,4ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(CAS番号135861-56-2、例えば、Millad3988、供給業者Milliken)のジアセタール、
- ノニトール系核形成剤、例えば、1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-((4-プロピルフェニル)メチレン)ノニトール(CAS番号882073-43-0、例えば、Millad NX8000、供給業者Milliken)、
- リン系化合物、例えば、モノ-、ビス-又はテトラ-フェニルホスファート、例えば、2,2'-メチレンビス-(4,6-ジ-tertブチルフェニル)リン酸ナトリウム(CAS番号85209-91-2、例えば、NA-11、供給業者Adeka Corporation)、又はヒドロキシビス(2,4,8,10-テトラ-tertブチル-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ(d,g)(1.,3,2)ジオキサホスホシン6-オキシダト)アルミニウム(CAS番号151841-65-5、例えば、ADK STAB NA-21、供給業者Adeka Corporation)、又は
- タルク、
又はそれらの任意の混合物から選択される。
【0060】
核形成剤(B)の好ましい実施形態では、前記核形成剤(B)は、高分子核形成剤、好ましくは重合したビニル化合物、より好ましくはビニルシクロアルカンモノマー又はビニルアルカンモノマーを重合することによって得られる高分子核形成剤である。
【0061】
高分子核形成剤は、最も好ましくは、以下の式
CH2=CH-CHR1R2 (I)
[式中、R1及びR2は、一緒になって、場合により置換基を有する5若しくは6員の飽和、不飽和若しくは芳香族環を形成し、又は独立に炭素原子1〜4個を含むアルキル基を表し、R1及びR2が芳香族環を形成する場合、-CHR1R2部分の水素原子は存在しない]
で表されるビニル化合物の重合体である。
【0062】
さらにより好ましくは、核形成剤(B)は、ビニルシクロアルカンポリマー、好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマー、ビニルシクロペンタンポリマー及びビニル-2-メチルシクロヘキサンポリマーから選択される。好ましい核形成剤(B)は、ビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーである。
【0063】
上述したように、好ましい実施形態では、核形成剤(B)は、高分子核形成剤、最も好ましくは上記で定義された式(I)で表されるビニル化合物の重合体、さらにより好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーである。
【0064】
核形成剤(B)の量は、プロピレンホモ又はコポリマー(A)、核形成剤(B)及び任意の担体ポリマー(B1)の合計重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは本発明の容器の重量に対して、好ましくは500ppm以下であり、より好ましくは0.025〜200ppmであり、最も好ましくは0.1〜100ppmである。
【0065】
核形成剤が、マスターバッチ(MB)の形態でプロピレンホモ又はコポリマー(A)に組み込まれる場合、担体ポリマー(B1)は、MFR2(ISO1133、2.16kg、230℃)が少なくとも2.0g/10、より好ましくは少なくとも5.0g/10分、さらにより好ましくは5.0〜200g/10分、さらにより好ましくは5.0〜125g/10分、最も好ましくは5.0〜80g/10分であることが好ましい。
【0066】
好ましくは、ISO11357-3に従って示差走査熱量測定(DSC)によって測定された任意の担体ポリマー(B1)の溶融温度は155℃〜170℃の範囲内、より好ましくは160℃〜175℃の範囲内である。
【0067】
マスターバッチ(MB)の任意の担体ポリマー(B1)は、好ましくはポリプロピレン、好ましくはプロピレンホモ又はコポリマー、より好ましくはプロピレンホモポリマーである。
【0068】
容器の一実施形態、実施形態(C)では、本発明は、
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも25g/10分であり、かつ
(ii)成分(A)がコポリマー、好ましくはコポリマーである場合、コモノマー、好ましくは、オレフィンコモノマー含量が5.0重量%以下である、
プロピレンホモ又はコポリマー(A)と、
上記、下記又は特許請求の範囲で定義される核形成剤(B)と
を含み、核形成剤(B)が、ポリプロピレン組成物中に存在する唯一の核形成剤及び/又は清澄剤であるポリプロピレン組成物を含み、好ましくはそれからなる食品梱包用成形容器を提供する。
【0069】
本明細書では、「核形成剤及び/又は清澄剤」又は「核形成剤/清澄剤」という用語は、前記添加剤が、核形成剤としてのみ、清澄剤としてのみ、又は両方として機能できることを示す。さらに、前記「核形成剤及び/又は清澄剤」とは、記載された目的の一方又は両方の目的について公知であるか又はそのために提供される市販の生成物を意味する。
【0070】
この実施形態(C)は、特に、及び好ましくは、薄壁梱包用途に適した剛性、衝撃及び光学特性の間に極めて有利なバランスを提供する。生成した薄壁容器は、硬く、反りが低減された又は皆無であり、望ましくは官能特性が低い又は皆無であり、又重要なことには、美的外観が非常に有利である。さらに、前記実施形態(C)は、ポリマー材料/添加剤コスト及びプロセスのスループットの点で工業的に実現可能な低コスト解決策を提供する。
【0071】
有利な衝撃/剛性と一緒に良好な清澄性及び透明性が、請求項1及び実施形態(C)に定義される容器のプロピレン組成物によって既に得られているが、光学特性に対する非常に高度な要件を備えた成形、好ましくは、射出成形用途が存在し得る。
【0072】
従って、本発明の容器の代替の実施形態(D)は、
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも25g/10分であり、
(ii)成分(A)がコポリマー、好ましくはコポリマーである場合、コモノマー、好ましくはオレフィンコモノマー含量が5.0重量%以下である、
プロピレンホモ又はコポリマー(A)と、
上記、下記又は特許請求の範囲で定義される核形成剤(B)と、
核形成剤(B)とは異なる、核形成剤及び/又は清澄剤である添加剤(C1)と
を含むポリプロピレン組成物を含み、好ましくはそれからなる、好ましくは、食品梱包用の成形容器を提供する。
【0073】
添加剤(C1)としての「核形成剤及び/又は清澄剤」は、実施形態(C)で上記されたのと同じ意味を有する。
【0074】
好ましい添加剤(C1)は、下記の群:
1. モノカルボン酸及びポリカルボン酸の塩、例えば、安息香酸ナトリウム、
2. ソルビトール化合物、例えば、ソルビトール若しくはキシリトールのジアセタール、
3. ノニトール系核形成剤、
4. リン系化合物、例えば、モノ-、ビス-若しくはテトラ-フェニルホファート、
5. ヒンダードフェニルアミン、好ましくはヒンダードフェニル-プロピオンアミド、
6. タルク、又は
7. 群1〜6の添加剤(C1)の混合物
から選択される。
【0075】
列挙した核形成剤/清澄剤は、公知かつ市販されており、核形成及び/又は清澄剤使用のために提供される。
【0076】
より好ましくは、添加剤(C1)は、下記の群:
2. ソルビトール化合物、好ましくはソルビトール若しくはキシリトールのジアセタール、より好ましくはビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(CAS番号135861-56-2)若しくは1,3:2,4-ジ-O-(p-クロロベンジリデン)-D-ソルビトール(CAS番号82203-23-4)由来のもの、
3. ノニトール系核形成剤、好ましくは1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-((4-プロピルフェニル)メチレン)ノニトール(CAS番号882073-43-0)由来のもの、
4. リン系化合物、例えば、モノ-、ビス-又はテトラ-フェニルホスファート、例えば、2,2'-メチレンビス-(4,6-ジ-tertブチルフェニル)リン酸ナトリウム(CAS番号85209-91-2)、ヒドロキシビス(2,4,8,10-テトラ-tertブチル-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ(d,g)(1.,3,2)ジオキサホスホシン6-オキシダト)アルミニウム(CAS番号151841-65-5)若しくはAdekaから供給されるADK STAB NA-71ホスファート系化合物、
5. ヒンダードフェニルアミン、好ましくはヒンダードフェニルプロピオンアミド、より好ましくはN-[3,5-ビス-(2,2-ジメチル-プロピオニルアミノ)-フェニル]-2,2-ジメチル-プロピオンアミド(CAS番号745070-61-5)、
8. 群2〜5の添加剤(C1)の混合物
から選択される。
【0077】
上記の群のうち最も好ましい添加剤(C1)は、2.ソルビトール化合物、好ましくはソルビトール若しくはキシリトールのジアセタール、より好ましくはビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(CAS番号135861-56-2)由来のもの、及び3.ノニトール系核形成剤、好ましくは1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-((4-プロピルフェニル)メチレン)ノニトール(CAS番号882073-43-0)由来のものである。2.及び3.のタイプのこれらの添加剤(C1)は、例えば、欧州特許第647643B号、欧州特許第569198B号及び欧州特許第2010543A号に記載されている。
【0078】
CAS番号135861-56-2を有する上記の最も好ましい2.ソルビトール化合物は、例えば、商標Millad3988でMillikenから供給され、CAS番号882073-43-0有する3.ノニトール化合物は、例えば、商標Millad NX8000シリーズでMillikenから供給される。
【0079】
驚くべきことに、改善された光学特性に加えて、この代替の実施形態(D)の組合せは、本発明の剛性/衝撃バランスにさらに寄与する。予想外にも、前記代替の実施形態(D)は、ヘイズなどの光学特性がさらに改善されつつ(ヘイズ値がさらに減少する)、少なくとも高いシャルピーノッチ衝撃強度を有する。さらに、望ましい効果が、添加剤(C1)単独を使用する場合に通常必要であるより少ない添加剤(C1)量で既に得られている。
【0080】
本発明の容器のこの代替実施形態(D)では、核形成剤(B)は、高分子核形成剤、最も好ましくは上記、下記又は特許請求の範囲で定義されるポリビニルシクロヘキサンであり、添加剤(C1)は、下記又は特許請求の範囲で定義されるものであることが好ましい。
【0081】
存在する場合、添加剤(C1)の量は、プロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、好ましくは容器の重量に対して、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは2500ppm以下、最も好ましくは1〜2100ppmである。
【0082】
さらにより好ましくは、添加剤(C1)の量は、プロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、好ましくは容器の重量に対して1500ppm以下、さらにより好ましくは1000ppm以下、さらにより好ましくは800ppm以下、さらにより好ましくは1〜800ppmである。
【0083】
核形成剤(B)と添加剤(C1)の組合せを含む本発明の容器のポリプロピレン組成物の代替実施形態(D)は、優れた美的外観が望ましい場合に有利である。本実施形態(D)では、例えば、光学的増白剤を最終用途に応じて添加することもできる。光学的増白剤は、UVスペクトル中の光を吸収し、可視スペクトルの青色領域で発光する添加剤である。Ciba製のTINOPAL(登録商標)は、適した光学的増白剤の代表例である。任意の増白剤の量は、ポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、好ましくは容器の重量に対して、好ましくは少なくとも0.01ppm、より好ましくは少なくとも0.05ppm、好ましくは200ppm未満、より好ましくは100ppm未満である。
【0084】
本発明の容器のポリプロピレン組成物のこの代替実施形態(D)では、ISO294-3:2003 60×60×0.5mm小板ISO D1型試験片についてASTM D 1003-07に従って測定されたヘイズは、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらにより好ましくは6%以下、最も好ましくは2〜6%である。
【0085】
代替実施形態(D)は、前記添加剤(C1)が容器のポリプロピレン組成物に存在しない本発明の容器に対する唯一の代替形態であることに留意されたい。
【0086】
プロピレン組成物、プロピレンホモ又はコポリマー(A)、及び任意の担体ポリマー(B1)の調製法
本発明の容器のプロピレン組成物の上述第一の調製実施形態では、核形成剤(B)は、そのままで、又は、好ましくは、ビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーである上記、下記又は特許請求の範囲で定義される核形成剤(B)と、上記、下記又は特許請求の範囲で定義される、好ましくはプロピレンホモ又はコポリマー、より好ましくはプロピレンホモポリマーである担体ポリマー(B1)とを含むマスターバッチ(MB)の形態で、好ましくは、上記、下記又は特許請求の範囲で定義されるポリプロピレンコポリマーであるポリプロピレンホモ又はコポリマー(A)に組み込むことができる。
【0087】
前記担体ポリマー(B1)及び核形成剤(B)は、上述したように従来の方法で機械的に混合してMBを形成することができる。或いは、MBは、その重合過程中に核形成剤(B)を担体ポリマー(B1)に導入することによって形成される。
【0088】
この第一の調製実施形態では、核形成剤(B)は、マスターバッチ(MB)の形態であることが好ましい。前記MBは、改変触媒系の存在下で上記、下記又は特許請求の範囲で定義される、好ましくはプロピレンホモ又はコポリマー、好ましくはプロピレンホモポリマーである担体ポリマー(B1)を重合することによって生成することが好ましく、改変とは、核形成剤(B)に対して上記、下記又は特許請求の範囲で定義される式(I)のビニル化合物の存在下で、より好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)の存在下で触媒を予備重合することを意味する。前記の触媒の改変については、担体ポリマー(B1)の調製の項目章でさらに説明する。
【0089】
形成されたMBは、プロピレンホモ又はコポリマー(A)と機械的に混合する前に、従来の方法で押出機中で、場合により1種以上の添加剤と一緒にペレット化することが好ましい。さらに、場合により1種以上の添加剤と一緒になったプロピレンホモ又はコポリマー(A)は又、前記混合工程に導入される場合、ペレットの形態であることが好ましい。
【0090】
このプロピレン組成物の第一の調製実施形態では、核形成剤(B)の量は、MBとプロピレンホモ又はコポリマー(A)との合計重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは本発明の容器の重量に対して300ppm以下、より好ましくは200ppm以下、さらにより好ましくは100ppm以下である。
【0091】
さらにより好ましくは、核形成剤(B)の量は、MBとプロピレンホモ又はコポリマー(A)との合計重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは本発明の容器の重量に対して50ppm以下、さらにより好ましくは20ppm以下、さらにより好ましくは10ppm以下、さらにより好ましくは5ppm以下、さらにより好ましくは3ppm以下、さらにより好ましくは1ppm以下、最も好ましくは0.8ppm以下である。
【0092】
さらにより好ましくは、核形成剤(B)の量は、MBとプロピレンホモ又はコポリマー(A)との合計重量に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは本発明の容器の重量に対して、好ましくは少なくとも0.025ppm、より好ましくは少なくとも0.075ppm、さらにより好ましくは少なくとも0.1ppm、さらにより好ましくは少なくとも0.15ppm、さらにより好ましくは0.075〜5ppm、さらにより好ましくは0.1〜3ppm、最も好ましくは0.15〜0.8ppmである。
【0093】
さらに、この第一の調製実施形態では、MBは、MBの重量(100重量%)に対して500ppm以下、より好ましくは1〜200ppm、さらにより好ましくは5〜100ppmの量で核形成剤(B)を含むことが好ましい。
【0094】
MB中の任意の担体ポリマー(B1)の量は、MBの全重量(100重量%)に対して、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、さらにより好ましくは96.5重量%、最も好ましくは少なくとも99.0〜99.8重量%である。
【0095】
上述の本発明の容器のプロピレン組成物の代替の第二の調製実施形態では、核形成剤(B)は、改変触媒系の存在下でプロピレンホモ又はコポリマー(A)を重合することによってプロピレンホモ又はコポリマー(A)に組み込まれ、改変とは、核形成剤(B)に対して上記、下記又は特許請求の範囲で定義される式(I)のビニル化合物の存在下で、より好ましくは、ビニルシクロヘキサン(VCH)の存在下で触媒を予備重合することを意味する。前記の触媒の改変は、下記の任意の好ましいMBの担体ポリマー(B1)の調製の項目でさらに説明する。
【0096】
この第二の調製実施形態では、核形成剤(B)によって核形成して得られたプロピレンホモ又はコポリマー(A)は、好ましくは、次いで、場合により1種以上の添加剤と一緒にペレット化される。
【0097】
この第二の調製実施形態では、プロピレンホモ又はコポリマー(A)中に存在する核形成剤(B)の量は、プロピレンホモ又はコポリマー(A)に対して、好ましくはポリプロピレン組成物の全重量(100重量%)に対して、より好ましくは容器の重量に対して500ppm以下であり、より好ましくは0.025〜200ppmであり、さらにより好ましくは1〜100ppmであり、最も好ましくは5〜100ppmであることが好ましい。
【0098】
第一の調製実施形態は、核形成剤(B)を本発明のポリプロピレン組成物に組み込むために好ましい。さらに、MBの形態の核形成剤(B)をプロピレンホモ又はコポリマー(A)に組み込むことが最も好ましい。
【0099】
従って、本発明の容器の好ましい実施形態は、上記、下記又は特許請求の範囲で定義されるように、
(i)230℃及び荷重2.16kgでISO1133に従って測定されたメルトフローレートが、少なくとも25g/10分であり、
(ii)コモノマー、好ましくはオレフィンコモノマーの含量が5.0重量%以下である
プロピレンホモ又はコポリマー(A)、好ましくはプロピレンコポリマー(A)と、
核形成剤(B)と、好ましくはプロピレンホモ又はコポリマー、より好ましくはプロピレンホモポリマーである担体ポリマー(B1)とを含むマスターバッチ(MB)と
を含むポリプロピレン組成物を含み、好ましくはそれからなる。
【0100】
プロピレンホモ又はコポリマー(A)及び任意の好ましい担体ポリマー(B1)は、チーグラー-ナッタ触媒、クロム触媒及びシングルサイト触媒(メタロセン触媒のようなもの)を含む任意の従来の配位触媒の存在下で、好ましくはチーグラー-ナッタ触媒の存在下で重合することにより生成することができる。そのようなチーグラー-ナッタ触媒は、通常、固体遷移金属成分及び共触媒を含む。
【0101】
既に述べたように、核形成剤(B)は、プロピレンホモ又はコポリマー(A)の重合中に導入せずに、担体ポリマー(B1)と一緒にMBの形態で、前記プロピレンホモ又はコポリマー(A)に添加することが好ましい。
【0102】
従って、プロピレンホモ又はコポリマー(A)は、好ましくは、国際公開第03/000757号、国際公開第03/000754号及び国際公開第2004/029112号に開示されているように、遷移金属成分及びマグネシウム成分を含む固体触媒成分の存在下で重合される。
【0103】
これらの触媒は、球状粒子状の固体触媒であり、その球状粒子は、構造が密で及び表面積が低い粒子である。さらに、これらの触媒は、触媒粒子全体に触媒活性サイトが均一に分布していることを特徴としている。これらの触媒は、エマルション固化法によって調製される。エマルションの液滴の形態の分散相が触媒部分を形成し、これが固化工程中に固体触媒粒子に変換される。
【0104】
説明したように、ポリマー反応器から得られたポリプロピレンホモ又はコポリマー(A)、好ましくはプロピレンコポリマー(A)は、最も好ましくはいずれの添加核形成剤(B)を含まず、核形成剤(B)は別の工程で後に添加される。
【0105】
担体ポリマー(B1)の調製に関して、核形成剤(B)は担体ポリマー(B1)の重合中に導入されることが好ましい。従って、好ましくはプロピレンホモ又はコポリマー、より好ましくはプロピレンホモポリマーである担体ポリマー(B1)は、改変チーグラー-ナッタ触媒を使用して生成される。改変は、固体チーグラー-ナッタ触媒成分を、上記、下記又は特許請求の範囲で定義される式(I)のビニル化合物と、好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)と予備重合することによって実施される。
【0106】
好ましくは、上記又は特許請求の範囲で定義される式(I)のビニル化合物のポリマー、好ましくはビニルシクロヘキシル(VCH)ポリマーと固体触媒成分の改変工程後の重量比(g)は、最大5(5:1)、好ましくは最大3(3:1)、最も好ましくは0.5(1:2)〜2(2:1)である。
【0107】
核形成ポリプロピレンの調製は、例えば、欧州特許第1028984号に開示されている。改変に使用される固体チーグラー-ナッタ触媒成分に関して、前記触媒成分は、好ましくは、遷移金属成分及びハロゲン化マグネシウムを含む。これらの化合物は、シリカ若しくはアルミナのような無機酸化物などの微粒子状担持体上に担持することができ、又は通常、ハロゲン化マグネシウムが、固体支持体を形成することができる。そのような固体触媒成分の例は、とりわけ、国際公開第87/07620号、国際公開第92/21705号、国際公開第93/11165号、国際公開第93/11166号、国際公開第93/19100号、国際公開第97/36939号、国際公開第98/12234号、国際公開第99/33842号に開示されている。
【0108】
周知されているように、プロピレンホモ又はコポリマー(A)及び任意の好ましい担体ポリマー(B)を重合するための固体触媒成分は、典型的には、ハロゲン化マグネシウム及び遷移金属化合物に加えて、電子供与体(内部電子供与体)を含む。
【0109】
適切な電子供与体は、とりわけ、フタラート、シトラコナート及びスクシナートのようなカルボン酸のエステルである。また酸素又は窒素含有ケイ素化合物も使用することができる。適切な化合物の例は、国際公開第92/19659号、国際公開第92/19653号、国際公開第92/19658号、米国特許第4,347,160号、米国特許第4,382,019号、米国特許第4,435,550号、米国特許第4,465,782号、米国特許第4,473,660号、米国特許第4,530,912号及び米国特許第4,560,671号に示されている。
【0110】
さらに、前記固体触媒成分は、限定されないが、エーテル、ケトン、アミン、アルコール、フェノール、ホスフィン及びシラン、例えば、Si-OCOR、Si-OR、又はSi-NR2結合を含み、中心原子としてケイ素を有し、Rが、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル又はシクロアルキルである有機シラン化合物を含む周知の外部電子供与体、及び当技術分野で公知のアルミニウムアルキル化合物を好ましくは含む周知の共触媒と組み合わせて、プロピレンホモ又はコポリマー(A)及び任意の好ましい担体ポリマー(B1)を重合させるのに使用することが好ましい。
【0111】
本発明の容器のプロピレン組成物のプロピレンホモ又はコポリマー(A)、及び任意の好ましいMBの担体ポリマー(B1)の重合は、従来の重合技法、例えば、気相、溶液相、スラリー又はバルク重合を使用して、1個以上の、例えば、1、2又は3個の重合反応器中で実施することができる。
【0112】
一般に、スラリー(又はバルク)反応器と少なくとも1つの気相反応器の組合せは、プロピレンホモ又はコポリマー(A)と任意の好ましい担体ポリマー(B1)の重合に好ましいことが多い。反応器の順序は、スラリー(又はバルク)反応器、次いで1つ以上の気相反応器であることがさらに好ましい。
【0113】
スラリー反応器におけるプロピレン重合の場合、反応温度は、一般に60〜110℃、例えば60〜85℃の範囲であり、反応器の圧力は、一般に5〜80bar、例えば20〜60barの範囲であり、滞留時間は、一般に0.1〜5時間、例えば0.3〜2時間の範囲である。モノマーは、通常、反応媒体として使用される。
【0114】
気相反応器では、使用される反応温度は、一般に60〜115℃、例えば70〜110℃の範囲であり、反応器の圧力は、一般に10〜25barの範囲であり、滞留時間は、一般に0.5〜8時間、例えば0.5〜4時間である。使用されるガスは、場合により窒素などの非反応性ガスとの混合物であるモノマー、またはプロパンである。実際の重合工程及び反応器に加えて、本方法は、予備重合工程のような任意の追加の重合工程及び当技術分野で公知の任意のさらなる反応器後のハンドリング工程を含むことができる。
【0115】
多峰性のプロピレンホモ又はコポリマーは、当技術分野で公知の任意の適切な重合法で生成することができる。好ましくは、多峰性のプロピレンポリマーは、多峰性のプロピレンポリマーを生成するための異なる条件で運転される少なくとも2つの重合ゾーンを含む逐次重合法で生成される。重合ゾーンは、スラリー、溶液、若しくは気相条件、又はその組合せで運転することができる。適切な方法は、とりわけ、国際公開WO-A-98/58975号、国際公開WO-A-98/58976号、欧州特許出願公開第887380号及び国際公開WO-A-98/58977号に開示されている。
【0116】
好ましい実施形態では、予備重合は、液体プロピレン中のバルクスラリー重合として連続方式で実施され、即ち、液体相は主としてプロピレンを含み、少量の他の反応物質及び場合により液体相に溶解した不活性成分を含む。好ましくは、予備重合は、連続撹拌タンク反応器又はループ反応器で実施される。
【0117】
予備重合反応は、通常0〜60℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜45℃の温度で実施される。
【0118】
予備重合反応器中の圧力は重要ではないが、反応混合物を液体相に維持するために十分高くなければならない。従って、圧力は20〜100bar、例えば30〜70barとすることができる。
【0119】
反応条件は、とりわけ、英国特許第1580635号に開示されているのと同様であり、当技術分野で周知である。
【0120】
第一の重合ゾーン中の重合は、スラリーで実施することができる。次いで、重合中に形成されたポリマー粒子は、断片化し粒子内部に分散した触媒と一緒に流体炭化水素中に懸濁される。スラリーを撹拌することによって、反応物質が流体から粒子内に移動することを可能とする。
【0121】
スラリー重合は、好ましくは、いわゆるバルク重合である。「バルク重合」とは、重合が本質的に不活性稀釈剤なしで液体モノマー中において実施される方法を意味する。
【0122】
スラリー重合の温度は、典型的には50〜110℃、好ましくは60〜100℃、特に65〜85℃未満である。圧力は1〜150bar、好ましくは10〜100barである。一部の場合、重合を、反応相を構成する流体混合物の臨界温度より高い温度で、及び前記流体混合物の臨界圧力より高い圧力で実施するのが好ましい場合がある。そのような反応条件は、しばしば、「超臨界条件」と称される。「超臨界流体」という語は、前記流体又は流体混合物の臨界温度及び圧力を超える温度及び圧力にある流体又は流体混合物を指すのに使用される。
【0123】
スラリー重合は、スラリー重合のために使用される任意の公知の反応器で実施することができる。そのような反応器として、連続撹拌タンク反応器及びループ反応器が挙げられる。重合をループ反応器で実施することが特に好ましい。そのような反応器では、スラリーは、循環ポンプを使用することによって閉鎖パイプに沿って高速度で循環する。ループ反応器は、一般に、当技術分野で公知であり、例は、例えば、米国特許第4,582,816号、米国特許第3,405,109号、米国特許第3,324,093号、欧州特許出願公開第479186号及び米国特許第5,391,654号に記載されている。
【0124】
気相における重合は、流動床反応器、高速流動床反応器又は固定床反応器又はそれらの任意の組合せで実施することができる。反応器の組合せが使用される場合、ポリマーは、一つの重合反応器から別の反応器に移動される。さらに、重合段階からのポリマーの一部又は全部は、前の重合段階に戻すことができる。
【0125】
典型的には、流動床重合反応器は50〜100℃、好ましくは65〜90℃の範囲内の温度で運転される。圧力は、適切には10〜40bar、好ましくは15〜30barである。
【0126】
プロピレンホモ又はコポリマー(A)と任意の担体ポリマー(B1)の重合過程中のMFRの調整は、例えば、連鎖停止剤(例えば、MFR制御剤の分子量としても公知である)、典型的には、水素を使用することによって従来の方法で実施される。
【0127】
好ましい多段階方法は、少なくとも1つのループ反応器及び一つの気相反応器及び場合により1個、2個又はそれを超える気相反応器を前記順序で含む反応器系で実施される。前記反応器系及び方法は、Borstar(登録商標)Technologyとして公知である。
【実施例】
【0128】
実験項
1.測定方法
a)スパイラルフロー
スパイラル試験は、スパイラル金型を備えたArburg35mmスクリュー式射出成形装置を用い、圧力600、1000又は1400bar及び以下の仕様を使用して実施される。
軸直径:35mm、
最大ピストン変位:150cm3
仕様射出圧力:600、1000又は1400bar
ツール形態:楕円形態、Axxiconから提供、厚さ1mm、幅:5mm、
予備チャンバー及びダイの温度:230℃、
ゾーン2/ゾーン3/ゾーン4/ゾーン5の温度:230℃/230℃/225℃/200℃、
射出サイクル:保持を含めた射出時間:10秒、
冷却時間:15秒、
射出圧力:試験材料の所定長さに従う、
保持圧力=射出圧力、
スクリュー速度:30rpm、
系の圧力:10bar、
計測長:保持圧力の終点での最終位置の前20mmでスクリューが停止するように選定すべきである、
ツール温度:40℃、
スパイラルフロー長は、射出操作直後に測定することができる。
【0129】
b)MFR2(230℃)は、ISO1133(230℃、荷重2.16kg)に従って測定される。
【0130】
c)FTIR分光法によるコモノマー含量の定量:
コモノマー含量は、当技術分野で周知の方式で定量13C核磁気共鳴(NMR)分光法によって較正された基本割り当て後に定量型フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定された。薄膜は、厚さ100〜500マイクロメートルの間まで加圧され、スペクトルは透過モードで記録された。
【0131】
具体的には、ポリプロピレン-コ-エチレンコポリマーのエチレン含量は、720〜722及び730〜733cm-1に存在する定量バンドのベースライン補正ピーク面積を使用して測定される。特に、ポリプロピレンコポリマーのブテン又はヘキセン含量は、1377-1379cm-1に存在する定量バンドのベースライン補正ピーク面積を使用して測定される。定量結果は、膜厚に対する参照に基づいて得られる。
【0132】
d)冷キシレン可溶物(XCS、重量%)含量は、ISO16152、第1版、2005-07-01に従って25℃で測定された。
【0133】
e)引張弾性率、降伏時引張応力及び降伏時引張歪は、ISO 527-2:1996 1A型成形試験片による試験片についてISO527-1:1996及びISO527-2:1996に従って測定され、射出成形は、ISO1873-2:2007に従って実施された。
【0134】
f)シャルピーノッチ衝撃強度は、ISO527-2:1996 1A型試験片から切り出された80×10×4mmのノッチ試験片についてISO179-1:2000に従って測定された。ISO179-1/1eA:2000によるノッチ衝撃試験片が使用された。試験温度は23±2℃である。射出成形は、ISO1873-2:2007に従って実施される。
【0135】
g)ヘイズは、テキストに指示されたようなISO294-3:2003 60×60×0.5又は1.0若しくは2.0mm小板ISO D1型試験片についてASTM D1003-07に従って測定された。
【0136】
h)熱たわみ温度(HDT)は、ISO527-2:1996 1A型成形試験片による試験片から切り出された80×10×4mm試験片についてISO75-2:2004に従って測定された。試験は、平面荷重で実施され、最大表面応力は0.45MPaであった。射出成形は、ISO1873-2:2007に従って実施された。
【0137】
i)機械式落錘試験(IFW)は、厚さ0.5mmの薄壁長方形箱(本明細書では、例えば、145×95×50mmの箱が使用された)の底部から切り出された厚さ0.5mmについてISO6603-2:2000に従って実施された。試験は、速度4.4m/s、直径20mm、及び支持リング直径40mmである潤滑ストライカーを使用して実施された。
【0138】
2.ポリマーの調製
マスターバッチ(MB)の調製:担体ポリマー(B1)及び、ビニルシクロヘキサンポリマーである核形成剤(B)の調製:
【0139】
最初に、大気圧の反応器中のデカン250ml中に不活性条件下で0.1モルのMgCl2×3EtOHを懸濁させた。溶液を温度-15℃まで冷却し、温度を前記水準に維持しつつ、冷TiCl4300mlを添加した。次いで、スラリー温度をゆっくりと20℃まで上げた。この温度で0.02モルのジエチルヘキシルフタラート(DOP)をスラリーに添加した。フタラートの添加後、温度を90分間で135℃まで上げ、スラリーを60分間静置した。次いで、さらにTiCl4300mlを添加し、温度を120分間135℃に保持した。この後、触媒を液体からろ過し、80℃でヘプタン300mlによって6回洗浄した。次いで、固体触媒成分をろ過し、乾燥させた。触媒及びその調製原理は、例えば、特許公開、欧州特許第491566号、欧州特許591224号及び欧州特許586390号に一般的に記載されている。
【0140】
トリエチルアルミニウム(TEAL)、供与体(Do)としてのジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)、上記で生成した触媒及びビニルシクロヘキサン(VCH)を、Al/Tiが3〜4モル/モルであり、Al/Doが同様に3〜4モル/モルであり、VCH/固体触媒の重量比が1:1となるような量で、鉱油、例えば、Technol68(40℃の動粘度62〜74cSt)のような油中に添加した。混合物を60〜65℃まで加熱し、反応混合物中の未反応ビニルシクロヘキサンの含量が1000ppm未満になるまで反応させた。最終の油-触媒スラリー中の触媒濃度は10〜20重量%であった。
【0141】
第一の段階では、上記した触媒をプロピレン及び少量の水素(2.5g/h)と一緒に予備重合反応器に供給した。共触媒としてのトリエチルアルミニウム及び供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシランを使用した。アルミニウムと供与体の比は11.5モル/モルであり、アルミニウムとチタンの比は500モル/モルであった。反応器は温度30℃及び圧力55bargで運転した。
【0142】
予備重合段階からのスラリーを、温度80℃及び圧力55bargで運転しているループ反応器に直接供給した。プロピレン及び水素をループ反応器にさらに添加した。水素とプロピレンのモル比は2.0モル/キロモルであった。ループ反応器生成物は、メルトインデックスMFR2が1.5g/10分、XSが1.5重量%であった。ループでの生成速度は30kg/hであった。
【0143】
ループ反応器からのスラリーを直接供給ラインを介して、即ち、反応器間でのモノマーフラッシングなしで気相反応器に導入した。気相反応器を温度85℃及びプロピレン分圧21bargで運転した。追加の水素を、水素とプロピレンのモル比135モル/キロモルで供給した。気相反応器の生成速度は30kg/hであり、従って反応器後の全ポリマー生成速度は60kg/hであった。最終のポリマーメルトインデックスMFR2は8.0g/10分、XSは1.2重量%であった。生成分割(気相反応器で達成された生成%)は50%であった。得られた最終の担体ポリマー(B1)中の最終ポリ-VCH含量は200ppm以下であった。
【0144】
得られたポリマー粉末及び安定剤、即ち、0.025重量%の従来の掃酸剤及び0.03重量%の従来の酸化防止剤を溶融物温度240℃でW&P ZSK70(Coperion)2軸押出機において混合し、ペレット化した。押出機処理量は200kg/hであった。得られたペレットをマスターバッチ(MB)として使用した。
【0145】
ポリマー1
塩化ジエチルアルミニウムをトリエチルアルミニウムの代わりにアルミニウム化合物として使用し、少量の水素(2.5g/h)とプロピレンエチレン(360g/h)と一緒に予備重合反応器に供給する点を除いて他の点は国際公開第2004/029112の実施例8に従って固体チーグラー-ナッタ触媒成分を調製した。
【0146】
共触媒としてトリエチルアルミニウム及び供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用した。アルミニウムと供与体の比は7.5モル/モルであり、アルミニウムとチタンの比は220モル/モルであった。反応器を温度30℃及び圧力55bargで運転した。
【0147】
予備重合段階からのスラリーを温度75℃及び圧力55bargで運転されるループ反応器に直接供給した。プロピレン、水素及びエチレンをループ反応器にさらに供給した。水素とプロピレンのモル比は15モル/キロモルであり、エチレンとプロピレンの比は4モル/キロモルであった。ループ反応器の生成物は、メルトインデックスMFR2が60g/10分、エチレン含量が1.0重量%及びXSが2.0重量%であった。ループにおける生成速度は33kg/hであった。
【0148】
ループ反応器からのスラリーを直接供給ラインを介して、即ち、反応器間でのモノマーフラッシングなしで気相反応器に導入した。気相反応器は温度85℃及びプロピレン分圧21bargで運転した。追加のエチレン及び水素を以下のモル比:水素とプロピレン145モル/キロモル及びエチレンとプロピレン6モル/キロモルで供給した。気相反応器における生成速度は33kg/hであり、従って反応器後の全ポリマー生成速度は66kg/hであった。最終のポリマーメルトインデックスMFR2は60g/10分、エチレン含量は1.0重量%、XSは1.5重量%であった。生成分割(気相反応器で達成された生成%)は50%であった。
【0149】
ポリマー2
塩化ジエチルアルミニウムを、トリエチルアルミニウムの代わりにアルミニウム化合物として使用し、プロピレン及び少量の水素(2.5g/h)及びエチレン(360g/h)と一緒に予備重合反応器に供給する点を除いて他の点は国際公開第2004/029112号の実施例8に従って固体チーグラー-ナッタ触媒成分を調製した。
【0150】
共触媒としてトリエチルアルミニウム及び供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用した。アルミニウムと供与体の比は6.0モル/モルであり、アルミニウムとチタンの比は220モル/モルであった。反応器を温度30℃及び圧力55bargで運転した。
【0151】
予備重合段階からのスラリーを温度70℃及び圧力55bargで運転されるループ反応器に直接供給した。プロピレン、水素及びエチレンをループ反応器にさらに供給した。水素とプロピレンのモル比は15モル/キロモルであり、エチレンとプロピレンのモル比は9.5モル/キロモルであった。ループ反応器の生成物は、メルトインデックスMFR2が30g/10分、エチレン含量が2.8重量%及びXSが6.0重量%であった。ループにおける生成速度は27kg/hであった。
【0152】
ループ反応器からのスラリーを直接供給ラインを介して、即ち、反応器間でのモノマーフラッシングなしで気相反応器に導入した。気相反応器を温度85℃及びプロピレン分圧21bargで運転した。追加のエチレン及び水素を以下のモル比:水素とプロピレン120モル/キロモル及びエチレンとプロピレン23モル/キロモルで供給した。気相反応器における生成速度は33kg/hであり、従って反応器後の全ポリマー生成速度は60kg/hであった。最終のポリマーメルトインデックスMFR2は30g/10分、エチレン含量は3.4重量%、XSは5.0重量%であった。生成分割(気相反応器で達成された生成%)は55%であった。
【0153】
ポリマー3
プロピレンホモ又はコポリマー(A)としてのプロピレンのランダムコポリマー、但し、ビニルシクロヘキサンポリマーである核形成剤(B)がポリマー3の重合過程中に導入された。
【0154】
最初に、大気圧の反応器中のデカン250ml中に不活性条件下で0.1モルのMgCl2×3EtOHを懸濁させた。溶液を温度-15℃まで冷却し、温度を前記水準に維持しつつ、冷TiCl4300mlを添加した。次いで、スラリー温度をゆっくりと20℃まで上げた。この温度で0.02モルのジエチルヘキシルフタラート(DOP)をスラリーに添加した。フタラートの添加後、温度を90分間で135℃まで上げ、スラリーを60分間静置した。次いで、さらにTiCl4300mlを添加し、温度を120分間135℃に保持した。この後、触媒を液体からろ過し、80℃でヘプタン300mlによって6回洗浄した。次いで、固体触媒成分をろ過し、乾燥させた。触媒及びその調製原理は、例えば、特許公開、欧州特許第491566号、欧州特許第591224号及び欧州特許第586390号に一般的に記載されている。
【0155】
トリエチルアルミニウム(TEAL)、供与体(Do)としてのジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)、上記で生成した触媒及びビニルシクロヘキサン(VCH)を、Al/Tiが3〜4モル/モルであり、Al/Doが同様に3〜4モル/モルであり、VCH/固体触媒の重量比が1:1となるような量で、鉱油、例えば、Technol68(40℃の動粘度62〜74cSt)のような油中に添加した。混合物を60〜65℃まで加熱し、反応混合物中の未反応ビニルシクロヘキサンの含量が1000ppm未満になるまで反応させた。最終の油-触媒スラリー中の触媒濃度は10〜20重量%であった。
【0156】
触媒をプロピレン及び少量の水素(2.5g/h)及びエチレン(360g/h)と一緒に予備重合反応器に供給した。共触媒としてのトリエチルアルミニウム及び供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシランを使用した。アルミニウムと供与体の比は7.5モル/モルであり、アルミニウムとチタンの比は220モル/モルであった。温度30℃及び圧力55bargで反応器を運転した。
【0157】
予備重合段階からのスラリーを、温度75℃及び圧力55bargで運転しているループ反応器に直接供給した。プロピレン、水素及びエチレンをループ反応器にさらに添加した。水素とプロピレンのモル比は8モル/キロモルであり、エチレンとプロピレンの比は2モル/キロモルであった。ループ反応器生成物は、メルトインデックスMFR2が60g/10分、エチレン含量が0.5重量%及びXSが2.0重量%であった。ループでの生成速度は27kg/hであった。
【0158】
ループ反応器からのスラリーを直接供給ラインを介して、即ち、反応器間でのモノマーフラッシングなしで気相反応器に導入した。気相反応器を温度85℃及びプロピレン分圧21bargで運転した。追加のエチレン及び水素を、以下のモル比:水素とプロピレン120モル/キロモル及びエチレンとプロピレン25モル/キロモルで供給した。気相反応器の生成速度は33kg/hであり、従って反応器後の全ポリマー生成速度は60kg/hであった。最終のポリマーメルトインデックスMFR2は30g/10分、エチレン含量は2.5重量%、及びXSは3.5重量%であった。生成分割(気相反応器で達成された生成%)は55%であった。得られた最終のポリマー3中の最終ポリ-VCH含量は200ppm以下であった。
【0159】
ポリマー4
塩化ジエチルアルミニウムを、トリエチルアルミニウムの代わりにアルミニウム化合物として使用し、プロピレン及び少量の水素(2.5g/h)及びエチレン(360g/h)と一緒に予備重合反応器に供給する点を除いて他の点は国際公開第2004/029112号の実施例8に従って固体チーグラー-ナッタ触媒成分を調製した。
【0160】
触媒を、プロピレン及び少量の水素(2.5g/h)及びエチレン(360g/h)と一緒に予備重合反応器に供給した。共触媒としてトリエチルアルミニウム及び供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用した。アルミニウムと供与体の比は7.5モル/モルであり、アルミニウムとチタンの比は220モル/モルであった。反応器を温度30℃及び圧力55bargで運転した。
【0161】
予備重合段階からのスラリーを温度70℃及び圧力55bargで運転されるループ反応器に直接供給した。プロピレン、水素及びエチレンをループ反応器にさらに供給した。水素とプロピレンのモル比は6モル/キロモルであり、エチレンとプロピレンのモル比は11モル/キロモルであった。ループ反応器の生成物は、メルトインデックスMFR2が8g/10分、エチレン含量が2.8重量%及びXSが5.0重量%であった。ループにおける生成速度は27kg/hであった。
【0162】
ループ反応器からのスラリーを直接供給ラインを介して、即ち、反応器間でのモノマーフラッシングなしで気相反応器に導入した。気相反応器を温度85℃及びプロピレン分圧21bargで運転した。追加のエチレン及び水素を以下のモル比:水素とプロピレン45モル/キロモル及びエチレンとプロピレン21モル/キロモルで供給した。気相における生成速度は33kg/hであり、従って反応器後の全ポリマー生成速度は60kg/hであった。最終のポリマーメルトインデックスMFR2は8g/10分、エチレン含量は2.8重量%、XSは5.0重量%であった。生成分割(気相反応器で達成された生成%)は55%であった。
【0163】
反応器から得られた最終ポリマーを、市販の過酸化物、CAS-No.78-63-7を使用して従来の方法で粘性破壊してポリマーのメルトフローレートをMFR230g/10分まで増加させた。
【0164】
参照1
過酸化物で粘性破壊されて50g/10分のMFR2を有するIM及び薄壁梱包用の市販プロピレンホモポリマー。
【0165】
本発明の組成物1〜12(C1〜C12)及び参照2の調製-配合:ポリマー1〜4(P1〜P4)をマスターバッチ(MB)及び/又は下記の表1に与えられた添加剤と配合して本発明のポリプロピレン組成物1〜12(C1〜C12)及び参照組成物である参照2を得た。表1の表記は全て重量%である。配合を溶融物温度240℃でW&P ZSK 70(Coperion)2軸押出機中で混合することによって実施し、ペレット化した。押出機の処理量は200kg/hであった。
【0166】
【表1】
【0167】
組成物/ポリマーは、以下の表に示される特性を有する。コンパウンド化ペレットを使用して、試験片を調製した。ポリマー組成物C1〜C12及び参照組成物から製造した射出成形容器から溶融した試料を使用して比較可能な結果が得られる。
【0168】
表2は、粘性破壊された参照(参照1)に比較して有利な本発明のポリマー組成物C1の衝撃/剛性バランスを示す。C1の引張弾性率は参照1と類似の水準にあるが、C1のシャルピー衝撃強度及び降伏時引張歪はさらに改善されている。本発明のポリマー組成物C2は、本発明の実施形態(D)を代表し、改善されたヘイズと組み合わせた有利な衝撃/剛性バランスを示す。
【0169】
【表2】
【0170】
表3の機械式落錘(IFW)試験の結果は、本発明のプロピレン組成物の請求項1に記載の特徴組合せによって提供される有利な衝撃/剛性バランスの結果として機械的特性が改善されたことを示す。
【0171】
【表3】
【0172】
表4は、本発明の組成物C1のスパイラルフロー(5回実施され、平均値が記載されている)によって実際に示された加工性(流動性)の明白な改善を示す。
【0173】
【表4】
【0174】
さらに、従来法の射出成形によってC1及びC2から調製された容器は、趣及び匂いに問題がなく、積み重ねた場合、魅力的な白色を有する。
【0175】
以下の表は、本発明の実施形態(D)によるプロピレン組成物も、極めて有利な本発明の特性を有することを示す。
【0176】
表5は、上記又は特許請求の範囲で定義される添加剤(C1)の添加が、衝撃/剛性バランス及びヘイズをさらに改善することを示す。
【0177】
【表5】
【0178】
表6は、シャルピー衝撃強度が、核形成剤(B)を含まない参照2に比べて粘性破壊C7によって改善されていることを示す。
【0179】
【表6】
【0180】
本発明の実施形態(D)のC8〜C11に関して、表7は、従来使用される量より少ない量でさらなる添加剤(C1)を使用した場合でも有利な本発明の特性が得られることを示す。さらに、本発明のC1に比較して、C8〜C11のシャルピー衝撃強度(衝撃)は、わずかに大きく、ヘイズは、明白に小さいが、添加剤(C1)は含まない。さらに、予想外にも、C8〜C11の引張弾性率(剛性)も又、C1に比較して改善されている。従って、実施形態(D)のポリプロピレン組成物は、例えば、優れた光学特性と合わせた機械特性に対する非常に厳しい要件を有する用途のためのIM容器を生成するために使用することができる。
【0181】
【表7】
【0182】
C2に対して表1に与えられた添加剤に加えて、得られたポリマー組成物C12の全重量に対して100重量ppmの量のさらなる添加剤、即ち、Cibaから供給される光学的増白剤Tinopalとポリマー2を配合することによってさらなる本発明の組成物12を作製した。光学的増白剤は、組成物3から生成した白色容器にわずかに青色をもたらし、外観が非常に望ましくなった。