(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<システムの概要>
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。各図においてX、Yは互いに直交する第1方向および第2方向となる水平方向を示し、Zは水平方向に直交する第3方向となる上下方向を示す。
図1は本発明の一実施形態に係る搬送システムAのレイアウト図及びトレイTの斜視図である。
【0010】
トレイTはワークを載置するための部材であり、本実施形態ではワークをトレイTに載置した状態で搬送する。本実施形態の場合、トレイTは全体として正方形の板状をなし、正方形の底板部Taと、底板部Taから1段高くなっている正方形のステージ部Tbとを一体に備えている。ステージ部Tbの上面には、ワークが載置される複数のワーク載置部Tcが水平方向にマトリックス状に配置されている。本実施形態の場合、ワーク載置部Tcは正方形の凹部であり、縦4か所、横4か所の合計で16か所設けられている。
【0011】
搬送システムAは、第1搬送部1と、第2搬送部2と、移載部3と、ワーク移送ユニット4と、を備え、トレイTを水平姿勢で搬送するシステムである。本実施形態の場合、トレイTは、まず、不図示の装置又は作業者によって第1搬送部1に供給され、第1搬送部1から移載部3によって第2搬送部2に移載される。ワーク移送ユニット4は、第2搬送部2の上方をX方向に移動して第2搬送部2上の異なるトレイT間においてワークの入れ替え等を行う。ワークの入れ替え後、トレイTは第2搬送部2から不図示の装置又は作業者によって搬出される。
【0012】
第1搬送部1は複数の搬送装置10A〜10C(以下、総称するときは搬送装置10という。)を備える。各搬送装置10は、トレイTを水平姿勢でY方向に搬送する搬送ラインを構成する。更に各搬送装置10は、それぞれの搬送ラインが平行になるようにX方向に並べて配置される。なお、搬送装置10の数(搬送ライン数)は、本実施形態では3つであるが、2つであってもよいし4以上であってもよい。
【0013】
第2搬送部2は複数の搬送装置20A〜20E(以下、総称するときは搬送装置20という。)を備える。各搬送装置20は、トレイTを水平姿勢でY方向に搬送する搬送ラインを構成する。更に各搬送装置20は、それぞれの搬送ラインが平行になるようにX方向に並べて配置される。なお、搬送装置20の数(搬送ライン数)は、本実施形態では5つであるが、少なくとも1つあればよい。
【0014】
搬送装置10及び20並びに移載部3は、共通の基本ユニット50を備える。基本ユニット50はトレイTを水平姿勢で搬送する搬送ユニットである。本実施形態では、搬送装置10及び20並びに移載部3について、基本ユニット50を共通化しつつ、個別の改良或いは構成を加えることで、システム構成を簡略化している。しかし、搬送装置10及び20並びに移載部3について、それぞれ異なる搬送ユニットを備えてもよい。また、本実施形態の搬送システムAを構成する第1搬送部1(複数の搬送装置10)と、第2搬送部2(搬送装置20)と、移載部3と、ワーク移送ユニット4と、のそれぞれの装置やユニットは、不図示の共通の架台の所定の位置に設置され一体に構成される。
【0015】
<基本ユニット>
図2は基本ユニット50の分解斜視図である。基本ユニット50は、ベース部材51と、搬送機構52、52と、ガイド部材53、53と、を備える。
【0016】
ベース部材51は、トレイTの搬送方向(Y方向)に延びる底壁と、底壁の両側部からそれぞれ起立した一対の側壁と、側壁においてベース部材51の内側(対向する側壁側)に突出した縁部と、を備える。ベース部材51は、上部が開口する断面C字型をなし、全体として、Y方向両端部が開放した樋形状をなしている。このため、ベース部材51の内側には内部空間が形成されている。ベース部材51は、例えば、金属板をプレス加工等により曲折して一体的に形成した部材とすることができる。
【0017】
ベース部材51の側壁上部の縁部には、ガイド部材53、53が固定されている。ガイド部材53はトレイTの搬送時に、トレイTが蛇行しないよう、その移動を案内する。ガイド部材53、53は、その内側側面の離間距離が、トレイTの底板部TaにおけるX方向幅よりも僅かに広く設定されている。そして、ガイド部材53、53は、底板部Taの側面を案内することでトレイTの蛇行を防止する。
【0018】
搬送機構52は、ベース部材51における内側の側壁にそれぞれ支持され、トレイTを搬送する。本実施形態の場合、搬送機構52はベルト伝動機構を構成しているが、他の種類の搬送機構であってもよい。
【0019】
搬送機構52は、モータ等の駆動源521と、駆動源521に支持されると共に回転される駆動プーリ522と、従動プーリ523と、駆動プーリ522と従動プーリ523とに巻き回された無端ベルト524と、を備える。駆動プーリ522の回転により無端ベルト524が走行する。
【0020】
駆動源521は支持部材525を介してベース部材51における内側の側壁にそれぞれ支持されている。支持部材525は取付部525aを備える。取付部525aは例えばネジ孔を有している。ベース部材11の側壁には孔51aが設けられており、孔51aにボルト(図示せず)を挿入してボルトが取付部525aと螺合することで、支持部材525をベース部材51の側壁に固定することができる。
【0021】
従動プーリ523は軸部材526により回転自在に支持されている。軸部材526は例えばネジ孔を有している。ベース部材11の側壁には孔51bが設けられており、孔51bにボルト(図示せず)を挿入してボルトが軸部材526と螺合することで、軸部材526をベース部材51における内側の側壁に固定することができる。なお、本実施形態の場合、従動プーリ523は駆動プーリ522よりも小径とし、従動プーリ523側ではベース部材51の内側の空間に他の構成を、より多く配設できるようにしている。
【0022】
以上の構成によって、トレイTは、無端ベルト524、524上に跨って載置され、無端ベルト524、524の走行によってベース部材51の長手方向(Y方向)に搬送されることになる。また、無端ベルト524、524の走行方向を切り替えることで、搬送方向を逆転することもできる。
【0023】
<搬送装置>
次に搬送装置10及び20の構成について説明する。まず、搬送装置10について
図3を参照して説明する。
図3は搬送装置10の斜視図である。
【0024】
搬送装置10は、基本ユニット50を支持する支持台11と、4つのトレイガイド12と、2つのトレイ支持ユニット13と、昇降装置14と、トレイ検出センサ15及び16と、を備える。
【0025】
トレイガイド12は、複数のトレイTを段積み状態で支持するための支柱部材である。各トレイガイド12は断面がL字型をなし、トレイTの底板部Taの隅部を上下方向に案内する。トレイTは4つのトレイガイド12の内側に段積み状態で配置される。
【0026】
トレイ支持ユニット13は、駆動部13aと可動部13bと載置板13cとを備える。駆動部13aは可動部13bをX方向に進退させるアクチュエータであり、例えば、電動シリンダである。載置板13cは可動部13bに固定されており、トレイTの底板部Taの周縁部が載置される。
【0027】
昇降装置14は、昇降テーブル14aとこれを昇降する図示しない駆動機構(例えば電動シリンダ)とを備え、支持台11に支持されている。昇降テーブル14a上にはトレイTが載置される。支持台11の天板部には開口部11a(
図4参照)が、基本ユニット50のベース部材51の底壁には開口部51A(
図4参照)が、それぞれ形成されており、昇降装置14はこれらの開口部11a、51Aを通過可能となっている。
【0028】
トレイ検出センサ15及び16は、その上方を通過するトレイTを検出するセンサであり、例えば、反射型の光センサである。トレイ検出センサ15及び16の検出結果は、後述する撮影ユニット30によるトレイTの撮影動作のタイミング制御に用いる。
【0029】
次に、搬送装置10の動作について説明する。
図4は搬送装置10の動作説明図である。状態ST1は複数のトレイTが段積み状態で昇降テーブル14a上に載置されている状態を示す。昇降テーブル14aは上昇した位置にあり、各トレイTは4つのトレイガイド12にその四隅が上下方向に亘ってガイドされて、4つのトレイガイド12の内側に位置している。可動部13b、13bは載置板13c、13cがトレイTからX方向に離間した退避位置にある。搬送装置10は、このように段積み状態の複数のトレイTから1つずつトレイTを搬出する機能(段ばらし機能)を有している。
【0030】
詳細には、昇降テーブル14aを所定の高さまで降下することで、トレイ支持ユニット13、13の載置板13c、13cを最下層のトレイTと下から2番目のトレイTとの間に進入可能な位置に、段積み状態のトレイTを位置させる。続いて、駆動部13a、13aを駆動して、載置板13c、13cを最下層のトレイTと下から2番目のトレイTとの間に進入させる。状態ST2はこの状態を示している。
【0031】
次に、昇降テーブル14aを更に降下させると、最下層のトレイTは降下するが、それ以外のトレイTは載置板13c、13c上に載置された状態となって降下しない。これにより、最下層のトレイTのみを「段ばらし」する(又は「切り出す」)ことができ、基本ユニット50の無端ベルト524、524上に載置することができる。状態ST3はこの状態を示している。無端ベルト524、524を走行させると、最下層のトレイTを搬送することができる。
【0032】
この後、状態ST1の状態に戻って同様の手順を繰り返すことで、段積み状態の複数のトレイTから1つずつトレイTを「段ばらし」し、移載部3へ搬出することができる。また、逆の手順によって、1個ずつのトレイTを段積み状態とすることも可能である。すなわち、移載部3から搬送装置10へトレイTが搬送されてくると、基本ユニット50の搬送方向を逆転させて昇降テーブル14a上にトレイTを位置させる。昇降テーブル14aを上昇させてトレイ支持ユニット13、13にトレイTを支持させる。以降、同様に、下からトレイTを積み上げていくことで、トレイTを回収して段積み状態とすることができる。
【0033】
次に、
図5を参照して搬送装置20について説明する。搬送装置20は基本ユニット50に、トレイTのX、Y方向の位置決めを行う位置決め機構21、22を設けたものである。
【0034】
位置決め機構21は、本実施形態の場合、当接部21aを矢印d1方向(Z方向)に進退させるアクチュエータであり、例えば電動シリンダである。位置決めする場合には、当接部21aを上昇させ、その周面にトレイTの底板部Taの前辺を当接させる。これによりトレイTのY方向の位置決めを行える。トレイTを外部に搬出する場合には、当接部21aを降下させてトレイTとの当接を解除し、当接部21aの上方をトレイTが移動可能とする。
【0035】
位置決め機構22は、本実施形態の場合、駆動部22aとアーム部22bとを備える。駆動部22aはアーム部22bをd2方向(X方向)に進退させるアクチュエータであり、例えば電動シリンダである。アーム部22bは、その先端部がトレイTのステージ部Tbの側面に当接可能となっている。位置決めする場合には、アーム部22bをX方向でトレイT側に進出させ、その先端部をトレイTのステージ部Tbの側面に当接する。トレイTは、反対側のガイド部材53へ押圧され、その底板部Taの側辺がガイド部材53に当接する。これにより、トレイTのX方向の位置決めを行える。
【0036】
このように搬送装置20は、位置決め機構21、22を備えたことで、搬送装置20のY方向一方端部において、トレイTをX方向及びY方向に位置決めした状態で静止させ、待機状態とすることができる。
【0037】
<移載部>
次に、移載部3の構成について
図6を参照して説明する。
図6は移載部3の斜視図である。移載部3は、基本ユニット50と、撮影ユニット30と、移動装置31と、ワーク検出ユニット32と、を備える。
【0038】
基本ユニット50は、移載装置として機能する。すなわち、基本ユニット50は、第1搬送部1と第2搬送部2との間において、第1搬送部1の搬送ライン(10)または第2搬送部2の搬送ライン(20)と共にトレイの搬送ラインを形成し、第1搬送部1の搬送ライン(10)から第2搬送部2の搬送ライン(20)へ、トレイTを搬送して移載する。
【0039】
撮影ユニット30は、ラインセンサ301と、照明装置302と、撮影制御ユニット303と、これらを支持する支持部材304〜306と、を備える。
【0040】
ラインセンサ301は、基本ユニット50のY方向における搬送装置10側寄りの上方でX方向の中央部に配置されている。ラインセンサ301は第1搬送部1と第2搬送部2との間において、基本ユニット50によって移載されるトレイTの画像を上から撮影する。ラインセンサ301は、その撮像素子が、トレイTの移動方向と直交する方向(X方向)に配列されている。したがって、その撮影画像は、X方向に細長の一次元的な画像となる。
【0041】
照明装置302は、発光素子を備え、撮影対象のトレイTを照らして、ラインセンサ301による撮影範囲の明るさを調整する。照明装置302は、支持部材306(本実施形態では、一対の支持部材(ブラケット)306、306)を介して一対の支持部材(柱部材)305、305に取付けられ支持されている。照明装置302は照射方向を調整可能とすべく、X軸周りに回動自在に支持部材306に取り付けられている。
【0042】
撮影制御ユニット303は、ラインセンサ301の撮影動作を制御するコンピュータを備える。また、撮影制御ユニット303は、本実施形態の場合、ラインセンサ301の撮影画像を処理する画像生成ユニット及び撮影画像を解析して情報を生成する情報生成ユニットとしても機能する。
【0043】
支持部材304は、撮影ユニット30の天板を構成し、一対の支持部材305、305は、支持部材304を支持する支柱状をなしており、支持部材304および一対の支持部材305、305により門型状(アーチ状)を形成する。また、一対の支持部材305、305の間には、基本ユニット50の搬送方向が直交するように基本ユニット50を配置している。そして、支持部材304および支持部材305、305にラインセンサ301及び撮影制御ユニット303が支持されている。
【0044】
ここで、撮影ユニット30により撮影されるトレイTの撮影画像の例及び撮影画像から生成される情報の例について
図7〜
図9を参照して説明する。
図7はトレイT及びワークWに付された識別マークIDt、IDwの説明図である。
【0045】
トレイTには識別マークIDtが付されている。識別マークIDtは、個々のトレイTを識別可能なトレイ情報を含む。識別マークIDtは、トレイTとは別体のシール等によって構成されてもよいし、トレイTに直接、形成されたもの(例えば、彫られたもの)であってもよい。識別マークIDtを特定の位置に付すことによって、トレイTの姿勢(例えば向き)を判別する識別子にもなる。本実施形態の場合、識別マークIDtはステージ部Tb表面に付されている。トレイTの姿勢を判別する識別子は識別マークIDtとは別に設けてもよい。なお、識別マークIDtに方向を示す識別子を含ませることで、トレイTの姿勢を判別することも可能である。
【0046】
ワークWは、本実施形態の場合、方形板状をなしている。
図7の例では、全てのワーク載置部TcにワークWが載置されているわけではなく、一部のワーク載置部TcにはワークWが載置されていない。
【0047】
ワークWには識別マークIDwが付されている。識別マークIDwは、個々のワークWを識別可能なワーク情報を含む。識別マークIDwは、ワークWとは別体のシール等によって構成されてもよいし、ワークWに直接、形成されたもの(例えば、彫られたもの)であってもよい。
【0048】
識別マークIDwを特定の位置に付すことによって、ワークWの姿勢(例えば向き)を判別する識別子にもなる。本実施形態の場合、識別マークIDwはワークWの表面隅部に所定の方向を識別可能に付されている。例えば、ワークW1を基準姿勢とし、その向きを0°と表現する。ワークW2は、その向きが90°であり、ワークW3はその向きが270°(又は−90°)であると表現することができる。ワークWの特定の部位を吸着又は把持して搬送する場合や、ワークWの姿勢を揃えてトレイTに載置する場合に、ワークWの姿勢を識別することが必要となる。ワークWの姿勢を判別する識別子は識別マークIDwとは別に設けてもよく、また、ワークWの姿勢を判別する識別子のみをワークWに付する構成も採用可能である。なお、識別マークIDwに方向を示す識別子を含ませることで、ワークWの姿勢を判別することも可能である。
【0049】
ワークWの管理上、トレイTの複数のワーク載置部Tcのうち、どのワーク載置部TcにワークWが載置されているか、を区別することが必要な場合がある。そこで、各ワーク載置部Tcには識別コードを割り当てる。
図8はその一例を示す。同図の例では、16箇所のワーク載置部Tcに対して、1−1〜4−4までの識別コードが割り当てられている。この識別コードと、識別マークIDtで示されるトレイ情報とによって、特定のワークWがどのトレイTのどのワーク載置部Tcに載置されているかを特定できることになる。
【0050】
図9はトレイT及びワークWの画像撮影及びトレイ情報並びにワーク情報の説明図である。ラインセンサ301による1つの撮影画像は、上記の通り、X方向に細長の一次元的な画像となる。そして、1つ1つの撮影画像を合成し、1つの画像に合成することで全体画像が完成する。
【0051】
図9の全体画像IMGは、その概念図であり、ラインセンサ301が一つのトレイTに対して撮影した複数の画像(部分画像)imgに基づいて生成される。本実施形態の場合、撮影制御ユニット303が全体画像IMGを生成する場合を想定している。部分画像imgはラインセンサ301の1回の撮影で得られる画像である。トレイTの移動速度に応じてラインセンサ301の撮影動作(例えば、撮影間隔)を制御し、連続的に撮影することで、トレイTの搬送方向全体に渡って部分画像imgが得られることになる。
【0052】
ラインセンサ301による最初の撮影は、例えば、搬送装置10のトレイ検出センサ15によりトレイTが検出されてから所定時間経過後とし、最後の撮影はトレイ検出センサ16によりトレイTが検出されなくなってから所定時間経過後までとすることができる。
【0053】
なお、トレイTの移動速度は基本ユニット50の駆動源521に対する制御量或いはセンサによる駆動源521の動作量の検出結果から得ることができる。
【0054】
撮影制御ユニット303は、また、公知の画像解析技術によって、トレイTの全体画像IMGからトレイに付与されているトレイTの識別マークIDtと、個々のワークに付与されているワークWの識別マークIDwとから情報を読み取る。例えば、識別マークIDt、IDwの画像から、識別マークIDt、IDwで示される文字(記号なども含む)を抽出し、抽出した画像の文字変換処理をする。これにより、コンピュータ上で情報処理可能な文字情報として、トレイ情報及びワーク情報を得ることができる。そして、撮影制御ユニット303によって取得したトレイTのトレイ情報およびワークWのワーク情報と、事前に蓄積されているトレイの仕様情報等と、に基づいて、個々のワーク載置部Tcの位置を認識すると共に、ワークWが載置されているか否かを判断する。ワークWが載置されているか否かは、そのワーク載置部Tcの輪郭内に識別マークIDwが存在するか否かで判断できる。
【0055】
このような画像解析結果により、例えば、トレイTの状態情報60が生成される。状態情報60は、トレイID(トレイ情報)により識別された個々のトレイT毎に作成され、ワーク載置部Tc毎のワークWの有無、ワークID(ワーク情報)が含まれる。この情報により、トレイTに搭載されているワークWとその位置とが示される。また、本実施形態では、状態情報60には更に、ワークWの姿勢を示す情報も含まれる。
【0056】
なお、個々のワークWについては、ワークの状態情報61が関連付けられており、
図9の例では、検査結果と出荷先とを示す情報が含まれる。
【0057】
図6に戻り、移動装置31は、基本ユニット50及び撮影ユニット30を第1搬送部1の複数の搬送ライン(10)を横断する方向(X方向)に移動させる。本実施形態の場合、移動装置31は、ガイドレール311と移動体312とを備える。ガイドレール311はX方向に延設して不図示の架台に固定配置され、移動体312の移動を案内する。移動体312は、移動方向となるX方向に延びる所定の長さを有する板状の部材であり、ガイドレール311と係合してX方向に移動可能となっている。移動体312は不図示の駆動機構によって移動する。この駆動機構としては、公知の機構を採用でき、例えば、モータ等の駆動源と、駆動源の駆動力を伝達する伝動機構(例えば、ベルト伝動機構、ボールネジ機構、ラック−ピニオン機構等)と、から構成することができる。また、移動体312の位置を検出するエンコーダ等のセンサを設け、センサの検出結果に基づいてその位置制御を行うことができる。
【0058】
基本ユニット50は移動体312に固定されている。したがって、移動体312の移動により基本ユニット50も移動する。また、支持部材305、305は移動体312に立設されており、したがって、撮影ユニット30も移動体312に固定されている。したがって、移動体312の移動により基本ユニット50と共に撮影ユニット30も移動することになる。そのため、不図示の架台に固定設置されたガイドレール311を移動する移動体312は、安定して移動することが可能となり、移動体312のX方向に基本ユニット50を跨いで配置された支持部材304および一対の支持部材305、305は、移動方向となるX方向に平行に門型状(アーチ状)に形成して取り付け固定されるため、特にX方向への強度を向上することができ、支持部材304に構成されるラインセンサ301によって安定して撮影することが可能となる。また、撮影ユニット30には、ラインセンサ301だけでなく、照明装置302も含まれるため、撮影に必要な機材を一括して移動できる。更に、照明ユニット302および支持部材306が一対の支持部材305、305の途中に配置され、一対の支持部材305、305を連結することにより、支持部材304および一対の支持部材305、305によって形成された支持構造の強度を向上することができる。そして、搬送装置10および搬送装置20は、移載部3の側方に配置されており、基本ユニット50と連続した位置に位置するよう、移動体312の移動方向(X方向)に沿ってそれぞれ配置される。
【0059】
ワーク検出ユニット32は、基本ユニット50により移載されるトレイTにおけるワークWの載置態様(例えば、飛び出しの有無)を検出する。本実施形態の場合、ワーク検出ユニット32は、センサ321と反射材322と、センサ321を昇降する昇降ユニット323と、を備える。
【0060】
センサ321は、本実施形態の場合、反射式の光センサであり、X方向に光を照射する発光素子と、反射材322からの反射光を受光する受光素子とを備える。
【0061】
センサ321は昇降装置323を介して、一方の支持部材305に支持されている。他方の支持部材305には反射材322が支持されている。センサ321と反射材322とは基本ユニット50のX方向側部において、互いに対面するように配置されている。センサ321及び反射材322は、トレイTの側方からワークWの載置態様を検出するように配置されている。
【0062】
昇降ユニット323は、ワークWの種類やトレイTの種類に応じてセンサ321のZ方向の位置が所定の高さとなるように調節可能とするものであり、電動シリンダ等のアクチュエータを含む。反射材322は支持部材305に固定されているが、センサ321の移動範囲に対応したZ方向の長さを有している。
【0063】
図10はワーク検出ユニット32の動作説明図である。ワーク検出ユニット32は、基本ユニット50により搬送されるトレイT上のワークWが適切な姿勢(水平姿勢)でワーク載置部Tcに載置されているか、その載置態様を検出する。本実施形態では、具体的には、センサ321の光照射・受光面は、基本ユニット50により搬送されるトレイTの上面(具体的には、トレイT、ワーク載置部TcおよびワークWの高さ情報から算出した位置)よりも僅かに上方に設定される。
【0064】
状態ST11は、トレイT上のワークWがいずれも、適切な載置態様(水平姿勢)で載置されている場合を例示している。この場合、センサ321から照射された光は反射材322へ到達して反射し、センサ321で受光される。
【0065】
状態ST12は、トレイT上のワークWのうち、不適切な載置態様(載置部からの飛び出し)で載置されているワークWが存在する場合を例示している。このようなワークWは、これを移送する際に、適切に保持されない場合がある。センサ321から照射された光は、不適切な載置態様で載置されているワークWと干渉し、センサ321で受光されない。これにより、不適切な載置態様のワークWが存在することを検出できる。
【0066】
本実施形態では、ワーク検出ユニット32が、支持部材305、305に支持されているので、基本ユニット50及び撮影ユニット30と共に移動装置31によって移動される。したがって、トレイTの移載、画像撮影及びワークの載置態様の検出、を一括して行える。
【0067】
なお、本実施形態では、光の照射方向をX方向としたが、ワークWの載置態様を検出できればX方向以外の方向であってもよい。また、センサ321として光センサを利用したが、ワークWの載置態様を検出できればどのようなセンサでもよい。また、ワーク検出ユニット32は基本ユニット50に搭載してもよいし、移動体312に搭載してもよい。
【0068】
<ワーク移送ユニット>
次に、
図11を参照してワーク移送ユニット4について説明する。本実施形態では、ワークWを吸着して保持する保持構成であるが、ワークWを把持して保持する保持構成等、他の保持方式でもよい。ワーク移送ユニット4は、第2搬送部2に配置され、ワークを吸着保持する複数の吸着ヘッド40と、複数の吸着ヘッド40をZ方向d21となる上下方向に昇降すると共に昇降軸周りに複数の吸着ヘッド40を回動させる昇降・回動機構41と、複数の吸着ヘッド40をY方向d23に移動させる可動案内ユニット42と、複数の吸着ヘッド40をX方向d24に並べて配置された複数の搬送装置20に亘って移動させる案内ユニット43と、を備える。
【0069】
吸着ヘッド40は、吸着ノズル401と、取付部材402と、第1移動機構となる昇降機構403と、を備える。昇降機構403は例えばエアシリンダであり、取付部材402をZ方向に昇降する。取付部材402には吸着ノズル401が装着されている。
【0070】
取付部材402は、吸着ノズル401と連通した空気通路(不図示)を備える。吸着ノズル401は取付部材402を介して不図示の吸引装置(例えばバキュームポンプ及び配管等)に接続され、ワークWを吸着する。
【0071】
昇降・回動機構41は、可動案内ユニット411と、スライダ412と、回動機構413と、吸着ヘッド40を支持する支持部材414と、を備える。可動案内ユニット411は、可動案内ユニット42に案内されてY方向d23に移動可能なスライダであると共に、スライダ412の矢印d22方向(Z方向)の移動を案内する案内部材でもある。
【0072】
スライダ412は可動案内ユニット411と係合する係合部を有し、可動案内ユニット411に案内されて矢印d22(Z方向)に移動可能となっている。また、スライダ412の底板部の底面には回動機構413が固定されている。回動機構413は、例えば、モータと減速機とから構成され、支持部材414を回転可能に支持する。そして、Z方向と平行な回動中心線Z1周りに支持部材414を回動させる。支持部材414の回動により、吸着ヘッド40も回動するので、吸着ヘッド40に吸着されるワークWの姿勢(ここでは水平面におけるワークWの向き)を変えることができる。
【0073】
支持部材414は吸着ヘッド40を支持する部材である。本実施形態の場合、4つの吸着ヘッド40が支持部材414に支持されており、同時に4個のワークWを吸着可能となっている。
【0074】
可動案内ユニット42は、案内ユニット43に案内されて矢印d24方向(X方向)に移動可能なスライダであると共に、可動案内ユニット411の矢印d23(Y方向)の移動を案内する案内部材でもある。案内ユニット43は第2搬送部2の上方において、第2搬送部2を跨ぐように配置され、不図示の支柱間に架設されている。
【0075】
スライダ412が可動案内ユニット411上を移動する第1移動機構、可動案内ユニット411が可動案内ユニット42上を移動する第2移動機構、及び、可動案内ユニット42が案内ユニット43上を移動する第3移動機構は、公知の移動機構を採用でき、例えば、モータ等の駆動源と、駆動源の駆動力を伝達する伝動機構(例えば、ベルト伝動機構、ボールネジ機構、ラック−ピニオン機構等)と、から構成することができる。また、スライダ412、可動案内ユニット411、及び、可動案内ユニット42の各位置を検出するエンコーダ等のセンサを設け、各センサの検出結果に基づいて吸着ヘッド40の位置制御を行うことができる。
【0076】
このような構成により、本実施形態では、吸着ユニット40を第2搬送部2の上方において、3次元的に移動することができる。ワーク移送ユニット4は、ワークWを移送する際には、例えば、以下のように動作する。
【0077】
まず、ワークWの吸着に際しては、第2移動機構および第3移動機構により吸着ヘッド40をワークWに近接した取出位置まで移動させる。続いて、第1移動機構となる昇降機構403で取付部材402及び吸着ノズル401を降下させることで、吸着ノズル401をワークWに当接させ、吸着させる。その後、昇降機構403で取付部材402及び吸着ノズル401を上昇させてワークWを、移送元のワーク載置部Tcから取り出し、第2移動機構および第3移動機構により吸着ヘッド40を目的位置上方に移動させる。ワークWの姿勢を変える場合には、回動機構413を作動して吸着ヘッド40を回動させる。そして、昇降機構403で取付部材402及び吸着ノズル401を降下させ、移送先のワーク載置部TcにワークWを着座させ、ワークWの吸着を解除する。
【0078】
<制御ユニット>
次に、搬送システムAの制御ユニットについて説明する。
図12は搬送システムAの制御ユニット200のブロック図である。制御ユニット200は上位のホストコンピュータ210からの指示にしたがって、搬送システムA全体の制御を行う。
【0079】
制御ユニット200は、各搬送装置10、各搬送装置20、移載部3(撮影制御ユニット303、基本ユニット50、移動装置31、ワーク検出ユニット32)、ワーク移送ユニット4に対して制御命令を出力してそれらの制御を行う。
【0080】
制御ユニット200は、処理部201と、記憶部202と、インターフェース部203と、を備え、これらは互いに不図示のバスにより接続されている。処理部201は記憶部202に記憶されたプログラムを実行する。処理部201は例えばCPUである。記憶部202は、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等である。記憶部202には、ワークWの状態情報61(
図9)や、撮影制御ユニット303が生成したトレイTの状態情報60(
図9)といった各種の情報も記憶され得る。インターフェース部203には、処理部201とホストコンピュータ210との間の通信を司る通信インターフェースや、処理部201と外部デバイスとのデータの入出力を司るI/Oインターフェース等が含まれる。
【0081】
<搬送制御例>
次に、制御ユニット200による搬送システムAの制御例について
図13〜
図19を参照して説明する。
図13〜
図19は搬送システムAの動作例の説明図である。まず、これらから説明する動作例を概説する。本実施形態では、ワークWを、その製品検査結果に応じて仕分けする場合を想定する。本実施形態の仕分け作業では、まず、ワークWの移送先となる空のトレイTを第2搬送部2に供給する(
図13〜
図15)。次に、仕分け前のワークWが載置されたトレイTを第2搬送部2に供給する(
図16〜
図19)。最後に第2搬送部2上で、トレイT間でワークWの移送を行う(
図19)。以下、順次説明する。
【0082】
まず、
図13の状態ST21に示すように、初期状態に準備される。詳細には、仕分け前のワークWが載置されたトレイTを段積みにしたトレイ群GT1が、それぞれ、搬送装置10A及び10Bにセットされる。具体的には、トレイ群GT1がトレイガイド12の内側において昇降テーブル14a上に載置される。一方、必要数(ここでは3つ)の空のトレイTを段積みにしたトレイ群GT0が搬送装置10Cにセットされる。搬送装置20には、いずれも、トレイTを有していない。
【0083】
次に、トレイ群GT0の空のトレイTを第2搬送部2に供給する。空のトレイTは、一枚ずつ、搬送装置20A、20C及び20Eに搬送される。まず、移載部3の移動体312を移動させ、
図13の状態ST22に示すように、移載部3の基本ユニット50を搬送装置10Cと連続配置させ、搬送経路を形成する。搬送装置10Cを駆動して、トレイ群GT0から空のトレイT0を1つ「段ばらし」し、移載部3の基本ユニット50へ搬送する。搬送装置10Cから基本ユニット50へトレイT0が搬送される過程で撮影ユニット30によりトレイT0の撮影を行う。空のトレイT0が移載部3の基本ユニット50に取り込まれると、移載部3の移動体312を移動させ、
図14の状態ST23に示すように、移載部3の基本ユニット50を、トレイT0の搬送先である搬送装置20Cと連続配置させ、搬送経路を形成する。トレイT0が基本ユニット50に取り込まれてから基本ユニット50が搬送装置20Cに連続配置されるまでの過程で、撮影制御ユニット303は全体画像の生成及びトレイT0の状態情報の作成を行い、作成した状態情報を制御ユニット200へ送信する。トレイT0の状態情報においては、当然ながら、トレイT0に載置されているワークWは
ひとつも無いこととなる。
【0084】
続いて
図14の状態ST24に示すように、移載部3の基本ユニット50から搬送装置20CへトレイT0を搬送する。搬送装置20Cは、トレイT0を基本ユニット50が連続配置される一端部側から他端部側に搬送し、
図15の状態ST25に示すように、他端部側に構成される位置決め機構21及び22によってトレイT0の位置決めを行い、その後、トレイT0を位置決めしたまま待機状態となる。制御ユニット200は、トレイT0の状態情報に、トレイT0の第2搬送部2における所在情報として、搬送装置20C上に存在していることを示す情報を生成して関連付ける。
【0085】
並行して、移載部3は、次の空のトレイT0の搬送を行うべく、移動体312を移動させ、移載部3の基本ユニット50を搬送装置10Cに連続配置させ、搬送経路を形成する。搬送装置10Cを駆動して、トレイ群GT0から空のトレイT0を1つ「段ばらし」し、移載部3の基本ユニット50へ搬送する。以下、同様にして、搬送装置20A及び20Eに空のトレイT0が搬送されて、
図15の状態ST26に示すように待機状態となる。制御ユニット200は、トレイT0の状態情報に、トレイT0の第2搬送部2における所在情報を関連付ける。
【0086】
以上により、空のトレイT0の搬送が完了する。搬送装置10Cにおいては、空のトレイT0が全く無い状態となる。本実施形態では、搬送装置10Cをこの後、異常トレイTの回収装置として利用する。本実施形態の場合、搬送装置20A及び20E上で待機状態にある空のトレイT0は、検査に合格した正常なワークWを載置するトレイ(良品トレイ)として利用する。一方、搬送装置20C上で待機状態にある空のトレイT0は、検査に合格しなかったワークWを載置するトレイ(不良品トレイ)として利用する。
【0087】
次に、仕分け前のワークWが載置されたトレイTを第2搬送部2に供給する作業について説明する。基本的には空のトレイT0の搬送と同様である。但し、ワーク検出ユニット32によるワークWの載置態様の検出を行うので、センサ321が所定の高さに位置するように昇降ユニット323を事前に駆動制御する。
【0088】
まず、移載部3の移動体312を移動させ、
図16の状態ST31に示すように、移載部3の基本ユニット50を搬送装置10Aと連続配置させ、搬送経路を形成する。なお、搬送装置10Aに代えて搬送装置10Bでもよい。搬送装置10Aを駆動して、トレイ群GT1から仕分け前のワークWが載置されたトレイT1を1つ「段ばらし」し、移載部3の基本ユニット50へ搬送し、状態ST32に示すように基本ユニット50に取り込む。
【0089】
搬送装置10Aから基本ユニット50へトレイT1が搬送される過程で撮影ユニット30によりトレイT1の撮影を行うと共にワーク検出ユニット32によって、トレイT1上のワークWの載置状態を検出する。撮影制御ユニット303は全体画像の生成及びトレイT0の状態情報の作成を行い、作成した状態情報を制御ユニット200へ送信する。また、制御ユニット200はワーク検出ユニット32の検出結果を取得する。
【0090】
ワークWの載置状態に異常が無ければ、移載部3の移動体312を移動させ、
図17の状態ST33に示すように、移載部3の基本ユニット50を、トレイT1の搬送先である搬送装置20Dと連続配置させ、搬送経路を形成する。
【0091】
続いて
図17の状態ST34に示すように、移載部3の基本ユニット50から搬送装置20DへトレイT1を搬送する。搬送装置20Dは、トレイT1を一端部側から他端部側に搬送し、他端部側に構成される位置決め機構21及び22によってトレイT1の位置決めを行い、その後、トレイT1を位置決めしたまま待機状態となる。制御ユニット200は、トレイT1の状態情報に、トレイT1の第2搬送部2における所在情報を関連付ける。
【0092】
一方、ワークWの載置状態に異常が検出された場合、移載部3の移動体312を移動させ、
図18の状態ST35に示すように、移載部3の基本ユニット50を、異常トレイの回収先である搬送装置10Cと連続配置させ搬送経路を形成し、移載部3の基本ユニット50から搬送装置10CへトレイT1を搬送する。
【0093】
トレイT1が搬送装置10Cに取り込まれると、搬送装置10Cはその途中部位でトレイT1の搬送を一時停止して警報を出力し、作業者に異常確認を行わせる。そして、作業者が載置状態の異常を確認し、異常を復旧できた場合は、作業者の復旧完了指示を契機として、再び載置部3へのトレイT1の搬送、撮影、ワークWの載置状態の検出、を順次行う。そして、再検出の結果、ワークWの載置状態に異常が無ければ、
図17の状態ST33、ST34で説明した通り、搬送先の搬送装置20DにトレイT1を搬送する。
【0094】
異常の復旧が不可能な場合は、作業者の復旧断念の指示を契機として、搬送装置10CによるトレイT1の搬送を再開し、
図18の状態ST36に示すように、搬送装置10Cの昇降テーブル14a上にトレイT1を載置する。今後、同様にして異常なトレイT1が発生した場合は、昇降テーブル14a上に順次段積みされることになる。また、異常なトレイT1を直ちに作業者により搬送装置10Cから取り出してもよい。
【0095】
以下、同様にして、搬送装置20Bにも仕分け前のワークWが載置されたトレイT1が搬送されて、
図19の状態ST37に示すように待機状態となる。制御ユニット200は、トレイT1の状態情報に、トレイT1の所在情報を関連付ける。
【0096】
以上により、仕分け前のワークWが載置されたトレイT1の搬送も完了する。その結果、搬送装置20A、20C及び20E上では、空のトレイT0がそれぞれ位置決めされた状態で待機状態となり、搬送装置20B及び20D上では、仕分け前のワークWが載置されたトレイT1がそれぞれ位置決めされた状態で待機状態となる。
【0097】
次に、ワークWの仕分け作業を行う。ここでは、トレイT0及びT1の状態情報と、各ワークWの状態情報とに基づいて、第2搬送部2の異なる位置に待機するトレイT間で、ワークWを移送(移載)する。移送は、
図19の状態ST38に示すように、ワーク移送ユニット4を駆動して行う。
【0098】
ここでは、検査に合格したワークWを、トレイT1からトレイT0に移送する。移送先のトレイT0は、搬送装置20A及び20E上のトレイT0とする。搬送装置20C上のトレイT0は不合格のワークWを移送する。
【0099】
トレイT1上のどの位置にどのワークWが載置されているかは、そのトレイの状態情報を参照して特定できる。そして、特定したワークが検査に合格したか否かは、そのワークの状態情報を参照して確認できる。ワークWを移送すると、移送元のトレイT1の状態情報を更新すると共に、移送先のトレイT0の状態情報も更新する。そして、トレイT0の空きのワーク載置部Tcに、順次ワークWを移送していくことになる。
【0100】
以上の通り、搬送システムAでは、撮影ユニット30や移載装置(基本ユニット50)をX方向に移動する構成としたことで、複数の搬送ライン毎に撮影ユニット30を用意する必要がなく、コストアップを抑制しながらトレイTを撮影できる。また、トレイTの搬送と撮影とを同時に行うことができ、搬送効率の低下も抑制できる。加えて、トレイTの移載途中で、撮影画像の処理も行えるので、搬送効率の低下を更に抑制できる。
【0101】
撮影ユニット30は、エリアセンサではなく、ラインセンサ301を採用したので、コストアップを抑制しつつ、より鮮明な画像情報の収集ができる。また、トレイTの移載時の移動を利用してトレイTを連続的に撮影し、全体画像を生成するようにしたので、トレイTの撮影のためだけにトレイTを移動させる必要がない。これは、搬送効率の低下を抑制する。
【0102】
更に、トレイTの状態情報(
図9の60)を生成し、ワークWの状態情報(
図9の61)とリンクさせることで、ワークWの管理性(追跡性)を向上できる。
【0103】
なお、本実施形態では、ワークWの仕分け基準を検査結果としたが、出荷先等、他の要件を基準としてもよい。
【0104】
<他の実施形態>
上記実施形態では、搬送システムAをワークWの仕分け作業に用いる例について説明したが、これに限られない。つまり、本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。