特許第6104441号(P6104441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6104441
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】食品入り包装容器の分離機
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20170316BHJP
   B02C 18/00 20060101ALI20170316BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20170316BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20170316BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20170316BHJP
   B03B 5/00 20060101ALI20170316BHJP
   B07B 1/20 20060101ALN20170316BHJP
【FI】
   B29B17/02
   B02C18/00 106C
   B09B3/00 ZZAB
   B09B5/00 E
   B29B17/04
   B03B5/00 Z
   !B07B1/20 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-161712(P2016-161712)
(22)【出願日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年10月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年 3月12日 http://www.nihon−cim.co.jp/product/bunry.html 平成28年 5月24日、25日、26日、27日 2016NEW環境展(N−EXPO 2016 TOKYO)平成28年 6月 7日、8日、9日、10日 FOOMA JAPAN 2016 平成28年 6月29日、30日、7月 1日 第1回 Drink JAPAN 飲料・液状食品 開発 製造展 平成28年 3月12日 http://www.nihon−cim.co.jp/product/bunry.html 平成28年 5月24日、25日、26日、27日 2016NEW環境展(N−EXPO 2016 TOKYO) 平成28年 6月 7日、8日、9日、10日 FOOMA JAPAN 2016 平成28年 6月29日、30日、7月 1日 第1回 Drink JAPAN 飲料・液状食品 開発 製造展
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394008271
【氏名又は名称】日本シーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】特許業務法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木口 達也
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−320263(JP,A)
【文献】 特開2001−327893(JP,A)
【文献】 特開2007−313473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/00− 18/38
B07B 1/20
B09B 3/00、 5/00
B03B 5/00− 5/74
B29B 17/00− 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品入り包装容器を、包装容器と内容物とに分離する食品入り包装容器の分離機(1)であって、
食品入り包装容器が投入される投入口(3)と、破砕された包装容器が排出される包装容器排出口(4)と、包装容器から分離された食品が排出される半円筒形状の食品排出口(5)が設けられた装置本体(2)と、
前記装置本体(2)において、前記食品排出口(5)の上側に設けられる半円筒形状のケーシング(8)と、
前記食品排出口(5)と前記ケーシング(8)の間において、回転駆動される回転軸(13)の周囲に取り付けられた複数の回転板(14)と、各回転板(14)に刃先部(11)が取り付けられた回転刃(9)と、
破砕された食品入り包装容器が、前記包装容器排出口(4)へ移動しやすいように、前記回転刃(9)より上側の前記ケーシング(8)の内面において、該回転刃(9)の回転軸(13)と垂直な面から見て、前記投入口(3)から前記包装容器排出口(4)に向けて該回転刃(9)が回転する方向に沿って斜めとなるように複数本設けられたガイドリブ(10)と、
前記ケーシング(8)の天井面に、破砕された食品入り包装容器が、該ケーシング(8)の上部で当接して向きを変えられるように、該ケーシング(8)の長手方向かつ下方へ向けて取り付けられた邪魔板(21)と、を備え、
前記回転刃(9)で包装容器を破砕すると同時に、充填された食品は前記食品排出口(5)へ落下排出させ、破砕された包装容器は該回転刃(9)で更に粉砕し、かつ前記邪魔板(21)で包装容器の向きを変えながら粉砕して前記包装容器排出口(4)へ排出させるように構成された、ことを特徴とする食品入り包装容器の分離機。
【請求項2】
前記ガイドリブ(10)は、破砕された食品入り包装容器が、前記ケーシング(8)の上部で向きを可変できるように、前記ケーシング(8)の最上面部が長く、該ケーシング(8)の両側面部に近づくに従い短く形成された、ことを特徴とする請求項1の食品入り包装容器の分離機。
【請求項3】
前記食品排出口(5)は、各通孔(7)が千鳥配置されたスクリーンである、ことを特徴とする請求項1又は2の食品入り包装容器の分離機。
【請求項4】
前記刃先部(11)は、前記回転刃(9)の軸方向の全範囲に配置せず、該刃先部(11)を、前記投入口(3)より離れた位置から前記包装容器排出口(4)側の位置まで部分的に取り付けた、ことを特徴とする請求項1、2又は3の食品入り包装容器の分離機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用包装容器を廃プラスチック類として再資源化する際に、食品が充填された状態の食品入り包装容器を、包装容器と内容物の食品とに分離する食品入り包装容器の分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
食品入り包装容器は、様々な食品、飲料水等の内容物を入れたプラスチック製の包装容器である。例えば、カップ入りゼリー、カップ入りプリン、カップ入りヨーグルト等のカップに充填された食品入り包装容器がある。炭酸飲料、茶、その他のソフトドリンクを充填したペットボトルがある。更に、カレー、スープ、シチュー、その他の液状食品をパウチケースに充填したパウチケース入りの食品も多数ある。
【0003】
このような食品入り包装容器は、賞味期限が過ぎたときには廃棄される。また、その他の事情により廃棄することがある。このとき、そのまま廃棄すると水分量が多いので燃焼する際に燃料を多く消費することになる。そこで包装容器と内容物の食品とに分離して廃棄する必要がある。この分離した包装容器は、廃プラスチック類として再資源化することができる。
【0004】
このような食品入り包装容器を包装容器と内容物とに分離する技術が提案されている。例えば、特許文献1の特開2002−126555公報「包装食品分別装置」には、投入部に投入した包装食品を、回転する破砕ローターの破砕刃で破砕して、生ゴミをその自重と破砕刃による押圧力によって分離板の通孔から生ゴミ収納箱へ落し、包装材を破砕刃の送風ファン部が発生させる風力によって包装材排出部へ排出し、生ゴミと包装材とを分別する包装食品分別装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−126555公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の「包装食品分別装置」では、カップ又はペットボトルのような立体的な食品用包装容器の場合は、破砕刃にひっ掛り易く、容易に破砕され、内容物と包装容器とが分離されやすい。しかし、パウチケースなどの袋状の食品用包装容器は、破砕刃では破砕されづらいという問題も有していた。
【0007】
また、コーヒー用のポーションミルクのような比較的に小さい食品入り包装容器は、破砕刃では破砕されないことがあった。
【0008】
包装容器と内容物(食品)とに分離した後に、包装容器の破砕片が更に破砕刃で細かく破砕されていくと、これらの破砕片が内容物(食品)と共にスクリーンの目を通り、包装容器(破砕片)と内容物(食品)に確実に分離できないことがあった。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、回転刃の配置とドラム内の形状を工夫することで、立体的な包装用容器と共に、レトルトパウチのような扁平な袋状の包装用容器、さらにポーションのような小さい包装用容器でも破砕し、破砕された破砕片は迅速に排出口から排出させることで、破砕片と内容物(食品)とに確実に分離することができる食品入り包装容器の分離機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、食品入り包装容器を、包装容器と内容物とに分離する食品入り包装容器の分離機(1)であって、
食品入り包装容器が投入される投入口(3)と、破砕された包装容器が排出される包装容器排出口(4)と、包装容器から分離された食品が排出される半円筒形状の食品排出口(5)が設けられた装置本体(2)と、
前記装置本体(2)において、前記食品排出口(5)の上側に設けられる半円筒形状のケーシング(8)と、
前記食品排出口(5)と前記ケーシング(8)の間において、回転駆動される回転軸(13)の周囲に取り付けられた複数の回転板(14)と、各回転板(14)に刃先部(11)が取り付けられた回転刃(9)と、
破砕された食品入り包装容器が、前記包装容器排出口(4)へ移動しやすいように、前記回転刃(9)より上側の前記ケーシング(8)の内面において、該回転刃(9)の回転軸(13)と垂直な面から見て、前記投入口(3)から前記包装容器排出口(4)に向けて該回転刃(9)が回転する方向に沿って斜めとなるように複数本設けられたガイドリブ(10)と、
前記ケーシング(8)の天井面に、破砕された食品入り包装容器が、該ケーシング(8)の上部で当接して向きを変えられるように、該ケーシング(8)の長手方向かつ下方へ向けて取り付けられた邪魔板(21)と、を備え、
前記回転刃(9)で包装容器を破砕すると同時に、充填された食品は前記食品排出口(5)へ落下排出させ、破砕された包装容器は該回転刃(9)で更に粉砕し、かつ前記邪魔板(21)で包装容器の向きを変えながら粉砕して前記包装容器排出口(4)へ排出させるように構成された、ことを特徴とする。
【0011】
前記ガイドリブ(10)は、破砕された食品入り包装容器が、前記ケーシング(8)の上部で向きを可変できるように、前記ケーシング(8)の最上面部が長く、該ケーシング(8)の両側面部に近づくに従い短く形成された構成が好ましい。
【0012】
前記食品排出口(5)は、各通孔(7)が千鳥配置されたスクリーンを用いることが好ましい。
前記刃先部(11)は、前記回転刃(9)の軸方向の全範囲に配置せず、該刃先部(11)を、前記投入口(3)より離れた位置から前記包装容器排出口(4)側の位置まで部分的に取り付けたものが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成では、先ず食品入り包装容器を破砕することで、その内容物を取り出し、回転刃(9)の回転による遠心力で包装容器と内容物とに分離する。特に、ケーシング(8)上側の内面において回転刃(9)の回転軸(13)と垂直な面から見て、投入口(3)から包装容器排出口(4)に向けて回転刃(9)が回転する方向に沿って斜めとなるように複数本のガイドリブ(10)が設けられているので、破砕された包装容器を包装容器排出口(4)へ移動させながら包装容器を破砕することができる。包装容器を破砕することで、充填されていた液状の食品、ゼリー、プリンのような半固形状の食品は食品排出口(5)へ落下排出させる。立体的なカップ、ペットボトルのような包装用容器は勿論のこと、パウチのような扁平な袋状の包装用容器、さらにポーションのような小さい包装用容器でも確実に破砕することができ、破砕された包装容器は回転刃(9)で更に粉砕しながら包装容器排出口(4)へ排出させることができる。
【0014】
ケーシング(8)の最上面部が長く、ケーシング(8)の両側面部に近づくに従い短く形成されたガイドリブ(10)では、回転刃(9)で上方に持ち上げられた包装容器はこの広い空間が形成されたガイドリブ(10)の間で向きを変えられ、内容物を取り出しやすくなる。同じく包装容器も向きを変えられて破砕されやすくなる。
特にケーシング(8)の天井面に、その長手方向かつ下方へ向けて取り付けられた邪魔板(21)により、破砕された食品入り包装容器がの邪魔板(21)に当接して包装容器の向きが変えられ、内容物を取り出しやすく、破砕されやすくなる。
【0015】
回転刃(9)の刃先部(11)は、ケーシング(8)の軸方向の全範囲に配置せず、投入口(3)から近い位置には刃先部(11)を配置せず、投入口(3)より離れた位置から包装容器排出口(4)側の位置まで部分的に取り付けることで、食品入り包装容器を投入口(3)に投入しやすくなる。投入口(3)において回転している刃先部(11)で投入後の食品入り包装容器が弾き飛ばされることがなくなるからである。
【0016】
食品排出口(5)(スクリーン)は、各通孔(7)が千鳥配置されているので、回転刃(9)の回転方向で沿って移動する固形食品は、最初の通孔(7)で通過しないときも、向きが変えられ、隣接する通孔(7)を通過させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の食品入り包装容器の分離機の正面図である。
図2】本発明の食品入り包装容器の分離機の側面図である。
図3】本発明の食品入り包装容器の分離機の平面図である。
図4】ケーシングと食品排出口を示す側断面図である。
図5】ケーシングと食品排出口を示す拡大正断面図である。
図6】スクリーンから成る食品排出口を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図7】回転刃を示す側面図である。
図8】刃先部を示し、(a)は拡大平面図、(b)は拡大正面図、(c)は拡大側面図である。
図9】ケーシングの変形例を示す一部切欠いた正面図である。
図10】回転刃の回転板の変形例を示し、(a)は回転刃の回転板の平面図、(b)は回転刃の回転板を軸回りに90度回転させた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の食品入り包装容器の分離機は、食品入り包装容器を、包装容器と内容物とに分離する食品入り包装容器の分離機であり、装置本体内において、食品排出口の上側に設けられる半円筒形状のケーシングと、ケーシングの内面に、破砕された食品入り包装容器が、包装容器排出口へ移動するように、回転刃の回転方向に沿って包装容器排出口に向けて斜めに複数本設けられたガイドリブと、を備えた分離機である。回転刃で包装容器を破砕すると同時に、充填された食品は食品排出口へ落下排出させ、破砕された包装容器は回転刃で更に粉砕しながら包装容器排出口へ排出させる分離機である。
【実施例1】
【0019】
<分離機の構成>
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の食品入り包装容器の分離機の正面図である。図2は本発明の食品入り包装容器の分離機の側面図である。図3は本発明の食品入り包装容器の分離機の平面図である。図4はケーシングと食品排出口を示す側断面図である。図5はケーシングと食品排出口を示す拡大正断面図である。
本発明の食品入り包装容器の分離機1は、装置本体2に食品入り包装容器が投入される投入口3と、破砕された包装容器が排出される包装容器排出口4と、分離された食品が排出される半円筒形状の食品排出口5が設けられた装置である。装置本体2の下部にはキャスター6が取り付けられている。本発明の分離機1は小型の装置であるため容易に移動しやすくするためである。図1では食品排出口5の下部に分離食品受ける排出シュート5bを接続した状態を示している。食品入り包装容器を分離する際は排出管(図示せず)を連結して大量の処理を可能にするようになっている。
【0020】
投入口3は、カップに充填された食品入り包装容器、飲料水入りペットボトル又は液状食品を入りパウチケースをそれぞれ投入できる大きさが必要である。包装容器排出口4は、包装容器は破砕された状態で排出されるので、投入口3程度の大きさは必要ない。また、充填されていた液体はそのまま、半固体状の食品と固体状の食品は粉砕されて食品排出口5から落下排出されるようになっている。食品排出口5は半円筒形状の板材に多数の通孔7が開けられた部材である。または網材からなるものでもよい。
【0021】
装置本体2に、図4図5に示すように、上側に半円筒形状のケーシング8と、ケーシング8の下側に取り付けられた半円筒形状の食品排出口5とが設けられている。ケーシング8は装置本体2に開閉自在に設けられている。ケーシング8は係合部材で食品排出口5の開口部に掛け止められる。これらのケーシング8と食品排出口5とは向かい合って略円筒形状になる。このケーシング8と食品排出口5の間で回転刃9が回転する構成になる。装置本体2において投入口3の取り付け位置と反対の位置に、包装容器排出口4が設けられている。これは、回転刃9の回転方向に沿って、破砕した包装容器を排出させるためである。図示例では、食品入り包装容器を落下投入するために、上方が開口した投入口3を示している。なお投入口3の開口は上方である必要はない。ベルトコンベアにより水平方向から投入する構成でもよい。
【0022】
また、ケーシング8の下部に食品排出口5が設けられているので、包装容器排出口4はケーシング8の一部に水平方向へ排出させるようになっている。これは、下方へ排出される食品と分離しやすくするためである。必要に応じて上方へ排出させることも可能である。
【0023】
<ケーシングの構成>
ケーシング8の内面には、図5図3に示すように、ガイドリブ10が複数本設けられている。このガイドリブ10は、ケーシング8上側の内面に、回転刃9の回転軸13と垂直な面から見て、投入口3から包装容器排出口4に向けて回転刃9の回転方向に沿って斜めとなるように複数本取り付けられている。ガイドリブ10は回転刃9の回転により破砕された包装容器を、包装容器排出口4へ効率よく移動させるものである。
図示例では3本のガイドリブ10が設けられた例を示しているが、2本以上であれば、この本数に限定されない。
【0024】
この3本のガイドリブ10は、略円筒形状になるケーシング8と食品排出口5内で回転刃9(刃先部11)の回転により、包装容器の破砕片はこれらのガイドリブ10に当たり、図示のように右へ移動させられる。即ち、破砕された包装容器は包装容器排出口4に送られる。なお、充填されていた液体、半固体状の食品はそのまま食品排出口5へ落下排出される。これにより食品入り包装容器を、包装容器と内容物とに分離することになる。
【0025】
<食品排出口の構成>
図6はスクリーンから成る食品排出口を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
食品排出口5は、ケーシング8の下部に設けられている半円筒状の部材である。この食品排出口5は液状又は半固形状の食品を、包装容器の破砕片から分離する機能がある。例えば、食品排出口5は半円筒状の部材の一部に通孔7を多数開けたスクリーン5aを形成する。食品排出口5の下部には排出シュート5bを着脱自在に取り付けている。この排出シュート5bの開口部分の範囲でスクリーン5aを食品排出口5に形成する。勿論分離した食品を受けるためである。
【0026】
このスクリーン5aの通孔7の内径は、食品入り包装容器の内容物が液状又は半固形物のものであれば、小さい径を用いる。逆に、固形物のものであれば、それが通りやすいように大きな径を開けた通孔7のスクリーン5aを用いる。
【0027】
スクリーン5aは、回転刃9の回転方向に沿って各通孔7が千鳥配置されたものである。回転刃9の回転方向で沿って移動する固形食品は、最初の通孔7で通過しないときも、向きが変えられ、隣接する通孔7を通過させることができる。
【0028】
<回転刃の構成>
図7は回転刃を示す側面図である。図8は刃先部を示し、(a)は拡大平面図、(b)は拡大正面図、(c)は拡大側面図である。
回転刃9は、モータ12等の駆動機で回転駆動される回転軸13の周囲に取り付けられた複数の回転板14と、各回転板14に刃先部11が取り付けられたものである。回転板14は補強板15で補強されている。各刃先部11は、回転板14部分で交換できる構成になる。長期間の使用により刃先部11が摩耗したら新たな刃先部11に交換することで切断効率の低下を防止できる。
【0029】
図示例では、回転軸13に4枚の回転板14が取り付けられ、各回転板14に刃先部11が取り付けられている。分離機1の装置全体をコンパクトにするために、ケーシング8の上方にモータ12を配置し、装置本体2に取り付けられたプーリとベルトで回転軸13を回転駆動するようになっている。プーリとベルトに代えて歯車とチェーンを用いることも可能である。
【0030】
図示例の刃先部11は、断面がL字形状になり、のこぎり状の刻み目16を形成したものである。これは液状食品入りパウチケースのような扁平状の包装容器を容易に破砕し易いようにするためである。このような刻み目16を形成していない刃先部11でも勿論可能である。図示していないが、刃先部11の刻み目16は、投入口3側は粗く、包装容器排出口(4)側は細かくそれぞれ形成することも可能である。
【0031】
<洗浄水の噴射装置>
図示していないが、ケーシング8の上部位置にシャワーノズルを備え、このシャワーノズルからは、破砕された包装容器の破砕片を洗浄する水を噴射するように構成することも可能である。その噴射状態は、霧状に噴射することも可能である。このシャワーノズルから噴射される水は、回転刃9(刃先部11)に噛み込まれて切断されている包装容器の破砕片に付着している食品を洗浄する。また、食品を食品排出口5へ導きやすくなる。
なお、シャワーノズルは必ずしもケーシング8の上部位置に取り付ける必要はなく、実際に破砕する回転刃9(刃先部11)の近くに配置することも可能である。
【0032】
このように洗浄水の噴射装置を装置本体1(ケーシング8)に設けることで、投入口3から投入した食品入り包装容器を、回転刃9(刃先部11)とに噛み込ませて切断破砕することができ、食品が付着している破砕片をシャワーノズルからの洗浄水で破砕と同時に洗浄することができる。
【0033】
<分離機の動作状態の説明>
このように構成した分離機1では、ケーシング8の内面に、回転刃9の回転方向に沿って包装容器排出口4に向けて斜めに複数本のガイドリブ10が設けられているので、破砕された食品入り包装容器を包装容器排出口4へ移動させながら包装容器を徐々に破砕する。この包装容器が破砕されることで、充填されていた液体、半固形物、固形物は食品排出口5へ落下させ、又は洗浄水と共に食品排出口5へ落下させ排出することができる。この食品排出口5(スクリーン)の通孔7を通らなかった包装容器の破砕片は、回転刃9(刃先部11)で上部のケーシング8に戻される。このときガイドリブ10により、包装容器排出口4へ移動させられる。このとき洗浄水により包装容器の破砕片に付着している食品が洗い流される。同様の動作を繰り返し、包装容器の破砕片は包装容器排出口(4)から排出される。
【0034】
立体的なカップ、ペットボトルのような包装用容器は勿論のこと、パウチのような扁平な袋状の包装用容器、さらにポーションのような小さい包装用容器でも確実に破砕することができ、充填されていた液状の食品、ゼリー、プリンのような半固形状の食品は、食品排出口5へ落下排出させることができる。
【0035】
<ケーシングの変形例>
図9はケーシングの変形例を示す一部切欠いた正面図である。
ケーシング8の天井面に、ケーシング8の長手方向かつ下方へ向けて邪魔板21を取り付けることができる。この邪魔板21は、破砕された食品入り包装容器をケーシング8の上部で向きを可変させる機能を有する(破線の矢印で示す。)。包装容器の向きが変えられ、内容物を取り出しやすく、包装容器も向きを変えられて破砕されやすくなる。
【0036】
<回転刃の回転板の変形例>
図10は回転刃の回転板の変形例を示し、(a)は回転刃の回転板の平面図、(b)は回転刃の回転板を軸回りに90度回転させた状態の平面図である。
回転刃9の刃先部11は、図示するように、回転刃9の軸方向の全範囲に配置せず、刃先部(11)を、投入口3より離れた位置から包装容器排出口4側の位置まで部分的に取り付けた。食品入り包装容器を投入口3に投入しやすくなる。投入口3において回転している刃先部11で投入後の食品入り包装容器が弾き飛ばされることがなくなるからである。
【0037】
更に、図10の変形例に示すように、4枚の回転板の2枚は切欠部22を設ける。この切欠部22から食品入り包装容器を落下、投入させやすくなる。図示例では切欠部22を三角形状にしたが、この形状に限定されないことは勿論である。
【0038】
なお、本発明は、回転刃9の配置とケーシング8と食品排出口5の形状を工夫することで、立体的な包装用容器と共に、レトルトパウチのような扁平な袋状の包装用容器、さらにポーションのような小さい包装用容器でも破砕し、破砕された破砕片は迅速に排出口から排出させることで、破砕片と内容物(食品)とに確実に分離することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の食品入り包装容器の分離機は、主に内容物が食品の包装容器について、破砕と同時に内容物を分離できれば、内容物は食品に限定されず、内容物が洗剤、芳香剤などでも利用でき、内容物は液状でも固形状のいずれの場合でも利用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 分離機
2 装置本体
3 投入口
4 包装容器排出口
5 食品排出口
7 通孔
8 ケーシング
9 回転刃
10 ガイドリブ
11 刃先部
13 回転軸
14 回転板
21 邪魔板
22 切欠部
【要約】
【課題】立体的な包装用容器と共に、レトルトパウチのような扁平な袋状の包装用容器、さらにポーションのような小さい包装用容器でも破砕し、破砕された破砕片は迅速に排出口から排出させることで、破砕片と内容物(食品)とに確実に分離する。
【解決手段】分離機1の装置本体2内において、食品排出口5の上側に設けられる半円筒形状のケーシング8と、食品排出口5とケーシング8の間において、回転駆動される回転軸13の周囲に取り付けられた複数の回転板14と、各回転板14に刃先部11が取り付けられた回転刃9と、ケーシング8の内面に、破砕された食品入り包装容器が、包装容器排出口4へ移動するように、回転刃9の回転方向に沿って包装容器排出口4に向けて斜めに複数本設けられたガイドリブ10と、を備えた。
【選択図】図5
図9
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図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図10