(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弁体には、前記第1の弁口及び前記第2の弁口が前記弁体の回転軸を中心にして軸対称にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流量制御用三方弁。
前記弁体は、外周面が開口されて予め定められた中心角を有する半円筒形状に形成された半円筒部を有し、軸方向に沿った一端面が閉塞され他端面が開口された円筒体からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の流量制御用三方弁。
前記弁体は、周方向に沿った両端部の回転軸と交差する断面形状が外周面側に位置する第1の曲線部と、内周面側に位置して前記第1の曲線部より曲率半径が小さい曲線状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の流量制御用三方弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高温熱媒体循環液が流入する流入口、低温熱媒体循環液が流入する流入口、恒温熱媒体循環液が流出する流出口および高温熱媒体循環液と低温熱媒体循環液との流量比を制御するための制御弁とを備えた三方弁に比較して、二種類の流体の混合比を精度良く制御することが可能な流量制御用三方弁及びこれを用いた温度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、第1の流体が流入する断面矩形状の第1の弁口と第2の流体が流入する断面矩形状の第2の弁口が形成された円柱形状の空所からなる弁座を有する弁本体と、
前記第1の弁口を閉状態から開状態に切り替えると同時に前記第2の弁口を開状態から閉状態に切り替えるよう前記弁本体の弁座内に回転自在に配置され、予め定められた中心角を有する半円筒形状に形成され且つ周方向に沿った両端面が曲面形状に形成された弁体と、
前記弁体を回転駆動する駆動手段と、
を備えることを特徴とする流量制御用三方弁である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、前記弁体には、前記第1の弁口及び前記第2の弁口が前記弁体の回転軸を中心にして軸対称にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流量制御用三方弁である。
【0009】
請求項3に記載された発明は、前記弁体は、外周面が開口されて予め定められた中心角を有する半円筒形状に形成された半円筒部を有し、軸方向に沿った一端面が閉塞され他端面が開口された円筒体からなることを特徴とする
請求項1又は2に記載の流量制御用三方弁である。
【0010】
請求項4に記載された発明は、前記弁体は、周方向に沿った両端部の回転軸と交差する断面形状が円弧形状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の流量制御用三方弁である。
【0011】
請求項5に記載された発明は、前記弁体は、周方向に沿った両端部の回転軸と交差する断面形状が外周面側に位置する第1の曲線部と、内周面側に位置して前記第1の曲線部より曲率半径が小さい曲線状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の流量制御用三方弁である。
【0012】
請求項6に記載された発明は、混合比が調整された低温側流体及び高温側流体からなる温度制御用流体が流れる温度制御用流路を有する温度制御手段と、
低温側の予め定められた第1の温度に調整された前記低温側流体を供給する第1の供給手段と、
高温側の予め定められた第2の温度に調整された前記高温側流体を供給する第2の供給手段と、
前記第1の供給手段と前記第2の供給手段に接続され、前記第1の供給手段から供給される前記低温側流体と前記第2の供給手段から供給される前記高温側流体とを混合比を調整して前記温度制御用流路に流す三方弁と、
を備え、
前記三方弁として請求項1乃至5のいずれかに記載の流量制御用三方弁を用いたことを特徴とする温度制御装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高温熱媒体循環液が流入する流入口、低温熱媒体循環液が流入する流入口、恒温熱媒体循環液が流出する流出口および高温熱媒体循環液と低温熱媒体循環液との流量比を制御するための制御弁とを備えた三方弁に比較して、二種類の流体の混合比を精度良く制御することが可能な流量制御用三方弁及びこれを用いた温度制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブを示す外観斜視図、
図2(a)(b)(c)は正面図、同右側面図及びアクチュエータ部の底面図、
図3は
図2(b)のA−A線断面図、
図4は三方弁型モータバルブの要部を示す縦断面斜視図である。
【0017】
三方弁型モータバルブ1は、回転型3方向弁として構成されている。三方弁型モータバルブ1は、
図1に示すように、大別して、下部に配置されたバルブ部2と、上部に配置されたアクチュエータ部3と、バルブ部2とアクチュエータ部3の間に配置されたシール部4及びカップリング部5とから構成されている。
【0018】
バルブ部2は、
図2乃至
図4に示すように、SUS等の金属により略直方体状に形成されたバルブ本体6を備えている。バルブ本体6には、
図3に示すように、その一方の側面(図示例では、左側面)に第1の流体としての低温側流体が流入する第1の流入口7と、円柱形状の空所からなる弁座8に連通した断面矩形状の第1の弁口9がそれぞれ開口されている。バルブ本体6の左側面には、低温側流体を流入させる図示しない配管を接続するための第1のフランジ部材10が4本の六角穴付きボルト11により取り付けられている。第1のフランジ部材10は、バルブ本体6と同様にSUS等の金属により形成される。第1のフランジ部材10は、バルブ本体6の側面形状と同一の側面矩形状に形成されたフランジ部12と、フランジ部12の内側面に薄肉の円筒形状に突設された挿入部13と、フランジ部12の外側面に厚肉の略円筒形状に突設され、図示しない配管が接続される配管接続部14とを有している。配管接続部14の内周は、例えば、その口径が直径約21mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/2に設定されている。バルブ本体6の第1の流入口7の外側内周端には、第1のフランジ部材10のフランジ部12との間にOリング15を装着するための面取り16が施されている。
【0019】
バルブ本体6には、その他方の側面(図示例では、右側面)に第2の流体としての高温側流体が流入する第2の流入口17と、円柱形状の空所からなる弁座8に連通した断面矩形状の第2の弁口18がそれぞれ開口されている。バルブ本体6の右側面には、高温側流体を流入させる図示しない配管を接続するための第2のフランジ部材19が4本の六角穴付きボルト20により取り付けられている。第2のフランジ部材19は、第1のフランジ部材10と同様にSUS等の金属により形成される。第2のフランジ部材19は、バルブ本体6の側面形状と同一の側面矩形状に形成されたフランジ部21と、フランジ部21の内側面に薄肉の円筒形状に突設された挿入部22と、フランジ部21の外側面に厚肉の略円筒形状に突設され、図示しない配管が接続される配管接続部23とを有している。配管接続部23の内周は、例えば、その口径が直径約21mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/2に設定されている。バルブ本体6の第2の流入口17の外側内周端には、第2のフランジ部材19のフランジ部21との間にOリング24を装着するための面取り25が施されている。
【0020】
ここで、第1の流体としての低温側流体及び第2の流体としての高温側流体は、温度制御用に使用される流体であって相対的に温度が低い流体を低温側流体と称し、相対的に温度が高い流体を高温側流体と称している。したがって、低温側流体及び高温側流体は、相対的なものを意味し、絶対的に温度が低い低温の流体及び絶対的に温度が高い高温の流体を意味するものではない。低温側流体及び高温側流体としては、例えば、圧力が0〜1MPa、0〜80℃程度の温度範囲において0〜30℃程度の温度に調整された水(純水など)、及び50〜80℃程度の温度に調整された水(純水など)が好適に使用される。また、低温側流体及び高温側流体としては、例えば、−20〜+80℃程度の温度範囲において、−20℃程度の温度においても凍結せず、+80℃程度においても気化しないフロリナート(登録商標)などのフッ素系不活性液体、エチレングリコール等の流体が使用される。
【0021】
また、バルブ本体6には、その下端面に低温側流体と高温側流体が混合された温度制御用流体が流出する流出口26が開口されている。バルブ本体6の下端面には、温度制御用流体を流出させる図示しない配管を接続するための第3のフランジ部材27が4本の六角穴付きボルト28により取り付けられている。第3のフランジ部材27は、第1及び第2のフランジ部材10,19と同様にSUS等の金属により形成される。第3のフランジ部材27は、バルブ本体6の下端面形状より小さい平面矩形状に形成されたフランジ部29と、フランジ部29の上端面に薄肉の円筒形状に突設された挿入部30と、フランジ部29の下端面に厚肉の略円筒形状に突設され、図示しない配管が接続される配管接続部31とを有している。配管接続部31の内周は、例えば、その口径が直径約21mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/2に設定されている。バルブ本体6の第3の流入口26の下端内周端には、第3のフランジ部材27のフランジ部29との間にOリング32を装着するための面取り33が施されている。
【0022】
バルブ本体6の中央には、断面矩形状の第1の弁口9と同じく断面矩形状の第2の弁口18が形成された弁座8を備えている。弁座8は、後述する弁体の外形状に対応した円柱形状に形成された空所からなる。円柱形状に形成された弁座8は、バルブ本体6の上端面に貫通した状態で設けられる。バルブ本体6に設けられる第1の弁口9及び第2の弁口18は、
図5に示すように、円柱形状に形成された弁座8の中心軸(回転軸)Cに対して軸対称に配置されている。更に説明すると、第1の弁口9及び第2の弁口18は、円柱形状に形成された弁座8に対して直交するように配置されており、第1の弁口9の一方の端縁は、中心軸Cを介して第2の弁口18の他方の端縁と対向する位置(180度異なる位置)に開口されている。また、第1の弁口9の他方の端縁は、中心軸Cを介して第2の弁口18の一方の端縁と対向する位置(180度異なる位置)に開口されている。
【0023】
また、第1の弁口9及び第2の弁口18は、
図4に示すように、断面正方形状等の断面矩形状に形成された開口部からなる。第1の弁口9及び第2の弁口18は、その一辺の長さが第1の流入口7及び第2の流入口17の直径より小さく設定されており、当該第1の流入口7及び第2の流入口17に内接する断面矩形状に形成されている。
【0024】
弁体の一例としての弁軸34は、
図6に示すように、SUS等の金属により外形が略円柱形状に形成されている。弁軸34は、大別して、弁体として機能する弁体部35と、当該弁体部35の上下にそれぞれ設けられて弁軸34を回転自在に支持する上下の軸支部36,37と、上軸支部36の上部に設けられたシール部38と、シール部38の上部にテーパー部39を介して設けられたカップリング部40とを一体的に備えている。
【0025】
上下の軸支部36,37は、弁体部35より外径が小さく同一の直径を有するように設定された円筒形状にそれぞれ形成されている。下軸支部37の軸方向に沿った長さは、上軸支部36より若干長く設定されている。下軸支部37は、
図3に示すように、バルブ本体6に設けられた弁座8の下端部にベアリング41を介して回転自在に支持されている。弁座8の下部には、ベアリング41を支持する環状の支持部42が内周へ向けて突出するよう設けられている。ベアリング41、支持部42及び第3のフランジ部材27の挿入部30は、同一の内径に設定されており、弁体部35の内部を通過した温度制御用流体が抵抗を殆ど生じることなく第3のフランジ部材27の接続部31へと流出するよう構成されている。一方、上軸支部36には、スラストワッシャー43が装着されており、弁軸34が後述するシール筐体53に押圧されることで発生する負荷を低減させている。
【0026】
また、弁体部35は、
図5及び
図6に示すように、第1及び第2の弁口9,18の開口高H1(
図3参照)より高さが低い開口高H2を有する略半円筒形状の開口部44が設けられた円筒形状に形成されている。弁体部35の開口部44が設けられた弁動作部45は、予め定められた中心角α(例えば、約190度)を有する半円筒形状(円筒形状の部分のうち、開口部44を除いた略半円筒形状)に形成されている。弁動作部45は、開口部44の上下に位置する弁体部35を含めて第1の弁口9を閉状態から開状態に切り替えると同時に、第2の弁口18を逆方向の開状態から閉状態に切り替えるよう弁座8内に且つ弁座8の内周面に接触しつつ回転自在に配置されている。弁動作部45の上下に配置された上下の弁軸部46,47は、
図6に示すように、弁動作部45と同一の外径を有する円筒形状に形成されており、弁座8の内周面に接触して回転自在となっている。弁動作部45及び上下の弁軸部46,47、更にはシール部38にわたる内部には、上端部が小径となる円柱形状の空所48が下端部に向けて貫通した状態で設けられている。
【0027】
また、弁動作部45は、周方向(回転方向)に沿った両端面45a,45bがその中心軸Cと交差する(直交する)方向に沿った断面形状が曲面形状に形成されている。更に説明すると、弁動作部45は、
図5に示すように、周方向に沿った両端部45a,45bの回転軸Cと交差する断面形状が開口部44に向けて凸形状を成す円弧形状に形成されている。両端部45a,45bの曲率半径は、例えば、弁動作部45の厚さTの1/2に設定される。その結果、両端部45a,45bの断面形状は、半円形状となる。
【0028】
弁動作部45は、周方向に沿った両端部45a,45bの回転軸Cと交差する断面形状が円弧形状に限定されるものではなく、周方向(回転方向)に沿った両端面45a,45bが曲面形状に形成されていれば良い。弁動作部45としては、
図5(b)に示すように、周方向に沿った両端部45a,45bの回転軸Cと交差する断面形状が外周面側に位置する第1の曲線部50と、内周面側に位置して第1の曲線部50より曲率半径が小さい第2の曲線部51を滑らかに接続した曲線状に形成することも可能である。
【0029】
弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、
図5に示すように、弁軸34が回転駆動されて第1及び第2の弁口9,18を開閉する際に、低温側流体及び高温側流体の流れの中において、第1及び第2の弁口9,18の周方向に沿った端部から突出する又は退避するように移動(回転)することで第1及び第2の弁口9,18を開状態から閉状態あるいは閉状態から開状態へと移行させる。このとき、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、弁軸34の回転角度に対する第1及び第2の弁口9,18の開口面積をリニア(直線状)に変化させるため、断面形状が曲面形状に形成されている。
【0030】
更に説明すると、
図11に示すように、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bを半径方向に沿った平面状に形成した場合には、弁軸34の開度が50%を超えると、弁動作部45の内周端が外周端よりも第1及び第2の弁口9,18の開口部幅を減少させる方向に突出し、弁軸34の回転角度に対する第1及び第2の弁口9,18の開口面積をリニア(直線状)に変化させることができないためである。
【0031】
これに対して、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bを断面形状が曲面形状に形成した場合には、
図7(b)に示すように、弁軸34の開度が50%を超えても、弁軸34の回転角度に対する第1及び第2の弁口9,18の開口面積をリニア(直線状)に変化させることが可能となる。
【0032】
そのため、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、第1及び第2の弁口9,18から弁室8内に流入する流体の流れに対して突出した翼体のような作用を生じるものと想定される。したがって、流体中に突出した翼体のような作用を生じる弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、流体の流れを制限あるいは開放して流体の流量を制御する上で重要な役割を果たしている。流体中に突出した弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bの周囲の流体の流れによっては、第1及び第2の弁口9,18の開口面積を弁軸34の弁動作部45によってリニア(直線状)に変化させた場合であっても、弁室8内に流入して混合される低温側及び高温側流体の流量がリニア(直線状)に変化するとは限らない。
【0033】
本発明者らの種々の研究により、弁室8内で混合される低温側及び高温側流体の流量をリニア(直線状)に制御する上で、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bの断面形状が重要な役割を果たしていることが判明した。そして、本発明者らは、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bの断面形状を曲面形状に形成することにより、低温側及び高温側流体の流量をリニア(直線状)に制御することができることを見出した。
【0034】
シール部4は、
図3に示すように、弁軸34を液密状態に密封するものである。シール部4は、SUS等の金属によって弁軸34を挿通する挿通孔52を有する円筒形状に形成されたシール筐体53を有している。シール筐体53は、バルブ本体6の上端面に設けられた円柱形状の凹部54にシール剤を塗布した状態で挿入固定されるか、外周に設けられた図示しない雄ネジ部により凹部54に螺着される等の手段によりバルブ本体6に密封された状態で装着される。シール筐体53の内周面には、弁軸34を密封するOリング等からなる2つの環状のシール部材55,56が上下に配置されている。シール部材55,56としては、例えば、耐熱性、耐油性、耐候性に優れた水素化されたアクリロニトリル・ブタジエンゴム(H−NBR)製のOリングが用いられる。シール筐体53は、バルブ本体6の凹部54に平行ピン57により位置を合わせて装着されている。
【0035】
カップリング部5は、シール部4が内蔵されたバルブ本体6とアクチュエータ部3との間に配置されている。カップリング部5は、弁軸34と当該弁軸34を一体に回転させる回転軸58とを連結するためのものである。カップリング部5は、シール部4とアクチュエータ部3の間に配置されたスペーサ部材59と、スペーサ部材59の上部に固定されたアダプタプレート60と、スペーサ部材59及びアダプタプレート60の内部に貫通状態で形成された円柱形状の空間61に収容され、弁軸34と回転軸58とを連結するカップリング部材62とから構成されている。スペーサ部材59は、SUS等の金属によりバルブ本体6と略同一の平面形状を有する比較的高さが低い角筒状に形成されている。スペーサ部材59は、ネジ止め等の手段によってバルブ本体6及びアダプタプレート60の双方に固定される。また、アダプタプレート60は、
図2(c)に示すように、SUS等の金属により平面多角形の板状に形成されている。アダプタプレート60は、六角孔付きボルト63によりアクチュエータ部3の基盤64に固定した状態で取り付けられる。
【0036】
カップリング部材62は、
図3に示すように、金属や耐熱性を有する合成樹脂等により円筒形状に形成されたものである。弁軸34の上端には、水平方向に沿って貫通するように凹溝65が設けられている。そして、弁軸34は、カップリング部材62に貫通するように設けられた連結ピン66により凹溝65を介してカップリング部材62に連結固定されている。一方、回転軸58の下端部は、カップリング部材62に貫通するように設けられた連結ピン67によりカップリング部材62に連結固定されている。スペーサ部材59は、シール部材55,56から液体が漏洩した際、挿通孔52を通じて漏洩した液体を検知するための開口部68を側面に有している。開口部68は、例えば、その口径が直径約8mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/16に設定されている。
【0037】
アクチュエータ部3は、
図2に示すように、平面矩形状に形成された基盤64を備えている。基盤64の上部には、ステッピングモータやエンコーダ等からなる駆動手段を内蔵した直方体形状の箱体として構成されたケーシング70がビス71止めにより装着されている。アクチュエータ部3の駆動手段は、制御信号に基いて回転軸58を所望の方向に所定の精度で回転可能なものであれば良く、その構成は限定されない。駆動手段は、ステッピングモータ及び当該ステッピングモータの回転駆動力をギア等の駆動力伝達手段を介して回転軸58に伝達する駆動力伝達機構、並びに回転軸58の回転角度を検出するエンコーダ等の角度センサにより構成される。
【0038】
なお、
図2中、符号72はステッピングモータ側ケーブルを、73は角度センサ側ケーブルをそれぞれ示している。これらステッピングモータ側ケーブル72及び角度センサ側ケーブル73は、三方弁型モータバルブ1を制御する図示しない制御装置にそれぞれ接続される。
【0039】
<三方弁型モータバルブの動作>
本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、次のようにして低温側流体及び高温側流体の流量が制御される。
【0040】
三方弁型モータバルブ1には、
図1に示すように、第1のフランジ部材10及び第2のフランジ部材19を介して、予め定められた低温側の設定温度に調整された低温側流体及び予め定められた高温側の設定温度に調整された高温側流体が図示しない配管を介して供給される。三方弁型モータバルブ1は、
図7(a)に示すように、例えば、動作を開始する前の初期状態において、弁軸34の弁動作部45が第1の弁口9を閉塞(全閉)すると同時に第2の弁口18を開放(全開)した状態とされる。
【0041】
三方弁型モータバルブ1は、
図3に示すように、アクチュエータ部3に設けられた図示しないステッピングモータを所定量だけ回転駆動させると、ステッピングモータの回転量に応じて回転軸58が回転駆動される。三方弁型モータバルブ1は、回転軸58が回転駆動されると、当該回転軸58に連結固定された弁軸34が回転軸58の回転量(回転角)と同一の角度だけ回転する。弁軸34の回転に伴って弁動作部45が弁座8の内部において回転し、
図5(a)に示すように、弁動作部45の周方向に沿った一端部45aが第1の弁口9を徐々に開放して、第1のハウジング部材10から第1の流入口7を介して流入する低温側流体が第1の弁口9より弁座8の内部に流入する。
【0042】
このとき、弁動作部45の周方向に沿った他端部45bは、
図5(a)に示すように、第2の弁口18を開放しているため、第2のハウジング部材19から第2の流入口17を介して流入する高温側流体が第2の弁口18より弁座8の内部に流入しており、低温側流体と混合された高温側流体が弁座8を介してバルブ本体6の流出口30を介して第3のハウジング部材27から外部に流出する。高温側流体の温度は、低温側流体より高い温度であって予め定められた一定の温度(例えば、80℃)となるように調整されている。
【0043】
三方弁型モータバルブ1は、
図7(b)に示すように、弁軸34が回転駆動されて弁動作部45の周方向に沿った一端部45aが第1の弁口9を徐々に開放すると、第1のハウジング部材10から流入する低温側流体と第2のハウジング部材19から流入する高温側流体とが弁室8並びに弁軸34の内部において混合されて温度制御用流体となりバルブ本体6の流出口30を介して第3のハウジング部材27から外部に供給される。
【0044】
三方弁型モータバルブ1は、回転軸58が回転駆動されるに伴って弁軸34が回転し、弁動作部45の周方向に沿った一端部45aが第1の弁口9を次第に開放すると同時に、弁動作部45の周方向に沿った他端部45bが第2の弁口18を次第に閉塞し、第1の弁口9から流入する低温側流体と第2の弁口18から流入する高温側流体とが弁室8及び弁軸34の内部において混合され、低温側流体と高温側流体との混合比に応じて温度が調整された温度制御用流体としてバルブ本体6の流出口30から外部に供給される。
【0045】
また、三方弁型モータバルブ1は、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bが断面曲面形状に形成されているため、弁軸34の回転角度に対して第1及び第2の弁口9,18の開口面積をリニア(直線状)に変化させることが可能となる。また、弁動作部45の両端部45a,45bによって流量が規制される低温側流体及び高温側流体が層流に近い状態で流動すると考えられ、第1の弁口9及び第2の弁口18の開口面積に応じて低温側流体及び高温側流体の混合比(流量)を精度良く制御することができる。
【0046】
実験例
本発明者らは、
図5(a)及び(b)に示すような弁軸34を備えた三方弁型モータバルブ1を試作し、弁軸34の回転に伴う第1の弁口9及び第2の弁口18の開度に応じて、低温側流体及び高温側流体の流量係数Cv値がどのように変化するかを確認する実験を行った。
【0047】
なお、低温側流体、高温側流体及び低温側流体と高温側流体とが混合された温度制御用流体の流量係数Cv値は、弁軸34の回転角を変化させた際に、検出精度の高い一台の流量センサを第1の弁口9、第2の弁口18及び流出口30の各々に個別に移動させて測定した。
【0048】
図8及び
図9は上記実験例の結果をそれぞれ示すグラフである。
図8は
図5(a)の弁軸に対応し、
図9は
図5(b)の弁軸に対応している。
【0049】
その結果、
図8及び
図9に示すグラフから明らかなように、弁軸34の回転角に伴って低温側流体が略直線状に流量係数を示すCv値が増加するとともに、高温側流体が略直線状に流量係数を示すCv値が減少し、低温側流体及び高温側流体の混合比(流量)を精度良く制御できることが判った。また、
図8及び
図9に示すグラフから明らかなように、
図5(a)(b)のいずれの弁軸とも、弁軸34の開度が50%以上の領域において流量係数Cv値が直線上から僅かに外れる領域が存在する。これは、
図5(a)の弁軸に比較して
図5(b)の弁軸の方が、流量係数Cv値が直線上から僅かに外れる領域は、弁軸34の開度が高い領域にシフトしているため、弁動作部45の両端部45a,45bの曲面形状が影響しているものと推定される。
【0050】
なお、
図9に示すグラフでは、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bの外周側の曲率半径を大きく設定している影響か、弁軸34を全閉位置に回転させた場合であっても、一方の流体の流量係数Cv値が完全にゼロとならないことが判る。ただし、温度制御用として使用される三方弁型モータバルブ1であることを考慮すれば、弁軸34を全閉位置に回転させた場合に一方の流体の流量係数Cv値が完全にゼロとならなくとも実使用上は、他の開閉バルブを併用することなどにより問題となることはない。
【0051】
[実施例1]
図10は本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁を適用した恒温維持装置(チラー装置)を示す概念図である。
【0052】
このチラー装置100は、例えば、プラズマエッチング処理などを伴う半導体製造装置に使用され、温度制御対称Wの一例としての半導体ウエハ等の温度を一定温度に維持するものである。半導体ウエハ等の温度制御対称Wは、プラズマエッチング処理等を受けると、プラズマの生成や放電等に伴って温度が上昇する場合がある。
【0053】
チラー装置100は、温度制御対称Wと接触するように配置される温度制御手段の一例としてのテーブル状に構成された温度制御部101を備える。温度制御部101は、混合比が調整された低温側流体及び高温側流体からなる温度制御用流体が流れる温度制御用流路102を内部に有している。
【0054】
温度制御部101の温度制御用流路102には、開閉弁103を介して三方弁型モータバルブ1が接続されている。三方弁型モータバルブ1の第1のフランジ部10には、予め定められた低温側の設定温度に調整された低温流体を貯蔵した低温側恒温槽104が接続されている。低温側恒温槽104からは、三方弁型モータバルブ1に第1のポンプ105により低温側流体が供給される。また、三方弁型モータバルブ1の第2のフランジ部19には、予め定められた高温側の設定温度に調整された高温流体を貯蔵した高温側恒温槽106が接続されている。高温側恒温槽106からは、三方弁型モータバルブ1に第2のポンプ107により高温側流体が供給される。三方弁型モータバルブ1の第3のフランジ部27は、開閉弁103を介して温度制御部101の温度制御用流路102に接続されている。
【0055】
また、温度制御部101の温度制御用流路102の流出側には、帰還用の配管が設けられており、低温側恒温槽104及び高温側恒温槽106にそれぞれ接続されている。
【0056】
三方弁型モータバルブ1は、弁軸34を回転駆動するステッピングモータ108を備えている。また、温度制御部101には、当該温度制御部101の温度を検知する温度センサ109が設けられている。温度センサ109は、図示しない制御装置に接続されており、制御装置は、三方弁型モータバルブ1のステッピングモータ108の駆動を制御する。
【0057】
チラー装置100は、
図10に示すように、温度制御対称Wの温度を温度センサ109によって検知し、当該温度センサ109の検知結果に基いて制御装置によって三方弁型モータバルブ1のステッピングモータ108の回転を制御することにより、温度制御対称Wの温度を予め定められた設定温度と等しい温度となるよう制御する。
【0058】
三方弁型モータバルブ1は、ステッピングモータ108によって弁軸34を回転駆動することにより、低温側恒温槽104から第1のポンプ105により供給される低温側流体と、高温側恒温槽106から第2のポンプ107により供給される高温側流体との混合比を制御し、三方弁型モータバルブ1から開閉弁103を介して温度制御部101の温度制御用流路102に供給する低温側流体と高温側流体とが混合された温度制御用流体の温度を制御する。
【0059】
このとき、三方弁型モータバルブ1は、
図8に示すように、弁軸34の回転角に応じて低温側流体と高温側流体との混合比を高い精度で制御することができ、温度制御用流体の温度を微調整することが可能となる。そのため、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1を使用したチラー装置100は、低温側流体と高温側流体との混合比が制御された所定の温度に調整された温度制御用流体を温度制御部101の温度制御用流路102に流すことにより、温度制御部101が接触する温度制御対称Wの温度を所望の温度に制御することができる。
【解決手段】第1の流体が流入する断面矩形状の第1の弁口9と第2の流体が流入する断面矩形状の第2の弁口18が形成された円柱形状の空所からなる弁座8を有する弁本体6と、第1の弁口9を閉状態から開状態に切り替えると同時に第2の弁口18を開状態から閉状態に切り替えるよう弁本体6の弁座8内に回転自在に配置され、予め定められた中心角を有する半円筒形状に形成され且つ周方向に沿った両端面が曲面形状に形成された弁体34と、弁体34を回転駆動する駆動手段と、を備える。