特許第6104457号(P6104457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104457単位変流器ユニット及びそれを用いた出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104457
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】単位変流器ユニット及びそれを用いた出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20170316BHJP
   H01F 38/28 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   H02M7/12 X
   H02M7/12 B
   H01F38/28
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-506270(P2016-506270)
(86)(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公表番号】特表2016-523068(P2016-523068A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】KR2014011120
(87)【国際公開番号】WO2015133704
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2015年8月7日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0025317
(32)【優先日】2014年3月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515197307
【氏名又は名称】フェラリスパワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】コー ジャ−イル
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−014828(JP,A)
【文献】 特開2000−058357(JP,A)
【文献】 特開平10−185962(JP,A)
【文献】 特開2012−143137(JP,A)
【文献】 特開平08−304481(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0300208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H01F 38/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線路上への脱付着が可能な分離型の変流器であって、前記線路に流れる1次電流から電磁誘導方式で2次電流を誘導し、前記1次電流の周波数より2倍以上大きな共振周波数を有する変流器と、
前記変流器の出力を直流電力に変換する変換部であって、少なくとも、
前記変流器の誘導電流を直流電圧に変換する1次電圧整流部と、
前記1次電圧整流部の出力電圧を電流に変換する電流変換部と、
前記電流変換部の出力電流を直流電流に変換する第2電流整流部と、
を含む、変換部と、
備え
その数に応じて線形的に比例する直流電力の合算出力を得るための単位変流器ユニット。
【請求項2】
前記変流器は、前記共振周波数を満たすマグネチックコアの断面積、長さ、比透磁率、及びループの巻数を有する、請求項1に記載の単位変流器ユニット。
【請求項3】
前記変流器は、前記共振周波数を満たす最小大きさを有する、請求項1に記載の単位変流器ユニット。
【請求項4】
前記電流変換部は、パルス幅変調により制御される、請求項に記載の単位変流器ユニット。
【請求項5】
複数の請求項1〜のいずれか1項に記載の単位変流器ユニットと、
前記複数の単位変流器ユニットから出力される直流電力を合算し、出力する合算部と、
を含む、出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置。
【請求項6】
前記合算部の出力は、前記単位変流器ユニットの数に線形的に比例する、請求項に記載の出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置。
【請求項7】
前記合算部の出力を交流電力に変換する直流/交流変換部を、更に含む、請求項に記載の出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単位変流器ユニット及び電磁誘導方式の電力供給装置に関する。特に、特定共振周波数を有するように構成された単位変流器ユニットの数に応じて出力電力を線形的に調節することができる電磁誘導方式の電力供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、配電線路で発生する磁場を用いて電力を発生させる変流器を利用する方法は、配電線路の線路電流がリアルタイムで一定でなく、さらにその位置により変化される幅が大きいため、設置場所によって変流器の特性、例えば、そのサイズ及び容量を考慮して、別途設計して製作しなければならない。
【0003】
また、所望の出力電力量が増加するにつれて、変流器のサイズが大きくなる傾向にあり、特に、分離型変流器の場合には、変流器のサイズを増大させることによって、出力電力量を増加させることが多くの費用と労力を伴ってきた。
【0004】
このような分離型変流器は、その設計及び製作が可能な場合にも、変流器を収納しうる外函を製作するために、多くの技術的問題と費用が伴われるため、分離型変流器を用いた電力供給装置を具現するのに多くの費用と限界点があった。
【0005】
特に、ほとんどの変流器は、電力発生器としてよりはセンサとして主に使用されてきたため、電力出力量を増加させることは、ほとんど信号対雑音比の改善観点でのみ研究されてきたのであり、電力供給装置として分離型マグネチックコアに対する研究は、まだ足りない実状である。
【0006】
一方、配電線路は、設置環境により、最小線路電流が多様であるため、変流器を用いた電力供給装置により発生し得る電力は限界があった。このような理由により、変流器を、それぞれの環境に合わせて設計しなければならなかった。また、必要とされる最小電力量が使用されるシステムにより、変流器のサイズが異なるため、所望の電力量を得るためには、たくさんの時間と費用が要求されてきた。
【0007】
以下、図1及び図2を参照して、電磁誘導方式の電力供給装置の出力設計が如何に難しいかを検討した。図1は、配電線路用電力供給装置の概念図であり、図2は、分離型マグネチックコアの斜視図である。
【0008】
図1に示されるように、配電線路用電力供給装置は、配線線路上に流れる1次電流Iにより交流電流を誘導する変流器(Current Transformer)と、変流器CTから誘導された交流電流に対応する誘導電圧を直流電圧に変換させる整流器とで構成される。このとき、出力電圧Voは、変流器のマグネチックコアの大きさによって決定され得る。
【0009】
一方、変流器は、配線線路の設置及び除去の容易性を考慮して、分離型マグネチックコアを使用しており、図1(b)に示されるように、同一または類似のマグネチックコアを複数個使用する方法もある。例えば、図1(c)には、内径44mm、外径75mm、長さ90mmの分離型マグネチックコアが示され、図1(d)には、内径44mm、外径75mm、長さ45mmの分離型マグネチックコアが2個示されて、この2つを合せれば、図1(c)の分離型マグネチックコアと同じ大きさとなる。
【0010】
また、求められる出力電力が増加するにつれて、分流器による誘起電力を増加させるためには、図1(a)または図1(c)のように、可能であれば大きさがより大きな、例えば、長さがより長いマグネチックコアを使用することが好ましいが、これは以下の問題が発生する虞がある。
【0011】
まず、マグネチックコアの一般的な特性を見ると、線路電流によりマグネチックコアで発生する磁気インダクタンスL及びこの時変流器の共振周波数fは次の数式1及び数式2の通りである。
【数1】
【数2】
(式中、μは、マグネチックコアの比透磁率(relative permeability)であり、lは、マグネチックコア内の磁界ループの長さであり、nは、マグネチックコアに巻かれたコイルの巻線数であり、Sは、マグネチックコアの断面積である。)
【0012】
数式1及び数式2から分かるように、マグネチックコアに誘起される磁界を増加させるために、コイルの巻線数、マグネチックコアの寸法、例えば、断面積、及びマグネチックコアの比透磁率を増大させなければならない。しかし、これは、磁気インダクタンスとキャパシタンスの増加を招き、共振周波数fを減少させることによって、特に、電力取得時の線路電流の周波数である60Hz(50Hz)に近接することになり、電力供給装置における機能を喪失することとなる。
【0013】
また、マグネチックコアを製作する観点でのみ、そのサイズが大きくなるほど製作コストが大きく増加し、それにより、外函の設計費用も大きく増加する。従って、共振周波数を考慮した図2(d)のマグネチックコアのサイズに製作し、図2(c)と同じ効果を得ることがさらに経済的と言える。即ち、図2(d)サイズの変流器を単位サイズに製作し、電力を増加させることが好ましい。しかし、こういう場合にも、単位サイズの変流器を追加するにつれて出力電力が比例的に増加しないため、適切な出力大きさに合うシステム設計が困難になる。
【0014】
これについて、もう少し詳しく見ると、マグネチックコアを覆っているコイルを励起する磁束(magnetic flux)の大きさφは、数式3のように示される。
【数3】
(式中、Wは、マグネチックコアの幅であり、hはマグネチックコアの高さであり、μは、マグネチックコアの比透磁率であり、μ=4π10−7(H/m)の真空透磁率である。)
【0015】
このとき、コイルの端子から誘起される電圧は数式4の通りである。
【数4】
(式中、Nは、コイルの巻線数である。)
【0016】
前記数式3及び数式4を利用して誘起される電圧のRMS(root mean square)値は数式5の通りである。
【数5】
(式中、fは、誘起電流の周波数である。)
【0017】
前記数式らは、分離型マグネチックコアの切断面で発生する孔隙(Air Gap)に対するモデリングを含まないが、変流器の全体動作を分析するには充分である。
【0018】
このとき、配線線路の線路電流Iは、数式6のように示され、線路電流によるマグネチックコアの誘導電流は数式7のように示される。
【数6】
【数7】
(式中、θは、励起電圧と電流の位相差を意味し、これはコイルがAC線路上で誘導性及び容量性負荷として機能して、励起電圧と電流が互いに異なる位相を有することに起因する。)
【0019】
最終的にコイルから誘起される電力は下記の数式8の通りである。
【数8】
【0020】
ここで、配線線路の電流は、使用者等の使用程度に応じて、誘起電圧及び電流最大値V、iは、リアルタイム変化し、これにより、μも変化し、またマグネチックコアに誘起される磁束の大きさφも変化し、結果的に誘起される電圧及び電流の大きさ及び位相差θも変化する。従って、単純に、マグネチックコアの出力を加えるとしても、誘起される電圧及び電流の大きさ及び位相の差から、出力電力が2倍に増加しなくなる。
【0021】
図3は、従来の直列連結された変流器の数による出力電力を示したグラフである。
【0022】
図3に示されるように、マグネチックコアを単純に直列連結した場合、出力電力量は、配線線路の電流が増加するにつれて増加するが、直列連結されるマグネチックコアの数に比例しては増加しないことが分かる。
【0023】
このような問題を解決するために、少なくとも線路電流の大きさ変化率に起因して発生する誘起電圧及び電流の最大値が変わることは除いても、電圧と電流の位相差に起因して発生する最大出力の減少を防止しなければならない。
【0024】
一方、磁場を用いた誘起電力を使用する分離型マグネチックコア方式の電力供給装置は、それ自体として電力供給装置であり、一般に出力を増加させるために、マグネチックコアの大きさを増大させるか、複数の小型のコアを直列連結することによって可能になる。しかし、特許文献1に記載された通り、マグネチックコアの数を増加させても、誘起電圧と出力電力が比例して増加しない。
【0025】
従って、分離型マグネチックコアを利用して電力供給装置を具現するためには、次のような要求条件を満たさなければならない。
【0026】
(1)配線線路の電流大きさによる出力電力量に容易に対処しなければならない。
【0027】
(2)所望の出力電力を配線線路の最小電流大きさに関係なく、単に変流器を追加することだけで容易に達成できなければならない。
【0028】
(3)所望の出力量に関係なく、外函の設計が容易でなければならなく、分離型変流器の製作が容易でなければならない。
【0029】
(4)分離型変流器の大きさが共振周波数に影響を受けない程度の大きさにしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2009−0088179号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
前述のような従来技術の問題点を解決するために、本発明の目的は、必要に応じて、配電線路に追加及び除去が容易であり、出力電力を線形的に調節することができる単位変流器ユニットを提供することである。
【0032】
また、本発明の他の目的は、単位変流器ユニットを利用して出力電力の設計が容易であり、別途の外函を製作する必要がないか、追加製作を最小化し得る出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
前述の課題を解決するための本発明は、線路に流れる1次電流から電磁誘導方式で2次電流を誘導し、前記1次電流の周波数より2倍以上大きな共振周波数を有する変流器と、前記変流器の出力を直流電力に変換する変換部と、
を含むことを特徴とする。
【0034】
一実施例で、前記変流器は、前記共振周波数を満たすマグネチックコアの断面積、長さ、比透磁率、及びループの巻数を有していてもよい。
【0035】
一実施例で、前記変流器は、前記共振周波数を満たす最小大きさを有していてもよい。
【0036】
一実施例で、前記変流器は、前記線路上に脱付着が可能な分離型変流器であってもよい。
一実施例で、前記変換部は、前記変流器の誘導電流を直流電圧に変換する1次電圧整流部と、前記1次電圧整流部の出力電圧を電流に変換する電流変換部と、前記電流変換部の出力電流を直流電流に変換する第2電流流整流部と、を含んでいてもよい。
【0037】
一実施例で、前記電流変換部は、パルス幅変調により制御され得る。
【0038】
本発明の他の形態に係る出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置は、複数の単位変流器ユニットと、前記複数の単位変流器ユニットから出力される直流電力を合算し、出力する合算部と、を含むことを特徴とする。
【0039】
一実施例で、前記合算部の出力は、前記単位変流器ユニットの数に線形的に比例し得る。
【0040】
一実施例で、前記合算部の出力を交流電力に変換する直流/交流変換部を、更に含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る単位変流器ユニットは、配電線路に流れる電流に関係なく、線形的に合算が可能な同じ単位変流器ユニットを単純に追加及び除去することによって、所望の出力電力を容易に設計することができる効果がある。
【0042】
また、本発明は配線線路に脱付着可能であり、線路上で所望の出力条件によって単位変流器ユニットの追加及び除去が容易であり、設置及び維持報酬の便宜性を向上させ、管理維持費を軽減することができる。
【0043】
また、本発明に係る出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置は、単位変流器ユニットを利用して単位変流器ユニットを単純に追加及び除去して、出力を線形的に増加させることができ、所望の出力電力の設計を容易に達成することができる。
【0044】
また、本発明は最小大きさ単位ユニットで構成された変流器ユニットを利用して、別途の外函を製作する必要がないか、追加製作を最小化することができ、製作費用を效果的に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】配電線路用電力供給装置の概念図である。
図2】分離型マグネチックコアの斜視図である。
図3】従来の直列連結された変流器の数による出力電力を示したグラフである。
図4】マグネチックコアを、単純結合を説明するための構造モデリング図である。
図5】本発明の一実施例に係る出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置のブロック図である。
図6図5の変換器の細部ブロック図である。
図7】本発明の一実施例に係る変流器ユニットの数による出力電力を示したグラフである。
図8】本発明の一実施例と従来例を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を好ましい実施例と添付した図面を参考して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0047】
本発明は、電力供給装置の構成部分として、任意に変化する配線線路の電流に応じて、所望の分離型変流器の最小出力量を得ることができるように構成する方法に関するものである。
【0048】
また、本発明による高圧配電線路から分離型マグネチックコアの誘導電圧及び電流を用いた電力供給装置に関するものであり、配電線路に流れる電流に関係なく、同じ単位変流器ユニットを単純に追加及び除去をすることで、必要な電力を確保することができる電力供給装置に関するものである。
【0049】
本発明は、従来の問題点を解決するために、分離型マグネチックコアを単位化し、これに変換部も一緒に結合して、単位ユニットとして設計をすることで、単位ユニットを追加または除去することによって、配電線路の変化される最小電流から得られる最小電力量を任意に調整することができ、また、外函の設計も追加的に必要とされなくなることで、その費用を画期的に低くすることができる。これは、電力供給装置の設置及び維持補修の便利性を増加させるため、全体的な維持管理費も軽減することができる。
【0050】
例えば、所望の出力量に合うサイズの分離型変流器を構成するか、多数の変流器を直接互いに連結し、その出力電力を得る従来の方法の代りに、配線線路の大きさに合う最小大きさの変流器を構成して、各最小単位の変流器の出力を、電力変換部を介して、必要な大きさのDC電圧及び電流に変換させた後、その出力を互いに合算することによって、単位変流器ユニットの数に比例して出力電力量を増加させることができる。
【0051】
また、本発明は、一般にセンサ用途やデータカプラー用途として使われる分離型変流器を、電力供給装置として使用するのに必要な技術であり、その出力信号を配線線路の環境及び所望の出力電力量を容易に満足させることができるようにする単位変流器ユニットを用いた電力供給装置に関することであり、使用環境による別途の変流器及び関連電力インバータの再設計及び製作無しに、容易に単位変流器ユニットを追加及び除去をすることで、その最小限の単位変流器ユニットの出力電力量を任意に調整可能な方法に関するものである。
【0052】
従って、本発明の一実施例に係る単位変流器ユニット及びそれを用いた電力供給装置は次の要件を満たすように考慮した。
【0053】
(1)配電線路の位置により、線路電流の変化幅が異なる点を克服するために、追加及び除去し得る分離型単位変流器ユニットを製作し、これの内径、外径及び厚さは用いられる配線線路の大きさ及び製作方法を考慮して、ユニット化し、必要時、配電線路に追加及び除去が容易でなければならない。
【0054】
(2)分離型変流器を追加及び除去することによって、線路環境に関係なく、所望の電力出力を自由に調整可能でなければならない。
【0055】
(3)追加される単位変流器ユニットによる別途の外函の製作が不要でなければならなく、必要であっても最小限しなければならない。
【0056】
以下、本発明の一実施例に係る単位変流器ユニットにより出力を線形的に調整することができる電力供給装置の構成原理を説明する。
【0057】
まず、線路上にマグネチックコアを単純結合する場合を、単純化モデルを利用して分析する。図4は、マグネチックコアを、単純結合を説明するための構造モデリング図である。
【0058】
図4に示されるように、各配線線路に設けられる2個のマグネチックコアは、それぞれが電流ソースと電力ソースを持つノード(Node)でモデリングすることができ、このようなモデリングに対する各ノードの電圧及び電流は下記数式9の通りである。
【数9】
【0059】
各ノードで、マグネチックコアの特性の上電圧と電流の位相差θ、θが存在する。
【0060】
2個のノードで発生する各電力P、Pは、下記の数式10の通りである。
【数10】
【0061】
配線線路の周波数は、商用周波数であるため、u=vと仮定することができ、2個のマグネチックコアの全体出力P=P+Pは、下記の数式11の通りである。
【数11】
【0062】
マグネチックコアが均一と仮定すると、θ=θであってもよい。即ち、マグネチックコアは、均一な特性を有しなければならない。数式11から分かるとように、マグネチックコアを直列連結することだけでは、全体出力電力が2倍に増加しなく、電圧と電流の位相差による少量増加するだけである。
【0063】
これを解決するために、マグネチックコアを直接連結する代わりに、電圧は電圧同士、電流は電流同士、互いに別処理した後、電力を合算する方式で電力を導き出せる。ここで、前述と同様に、u=v、θ=θと仮定すれば、全体電圧及び電流は数式12の通りである。
【数12】
【0064】
それぞれが処理された電圧及び電流の電力は電圧と電流の乗算で示され、全体出力Pは、下記数式13の通りである。
【数13】
【0065】
前記数式13から分かるように、電圧と電流を別途合算処理した後、電力を求めれば、理論的電力の最大値は2倍以上となり、電圧と電流の位相差によって若干の変動だけがある。
【0066】
基本的に変流器として通称される分離型マグネチックコアは、磁場によりマグネチックコアに巻線されている線路に巻線数による電圧及び電流が誘起されており、その大きさは配線線路の磁場によって大きさが異なる。
【0067】
前記数式のように、電圧と電流を別途処理するために、2種類方法が可能である。第1の方法は、変流器を並列連結する方法であり、これは線路電流によるAC誘導電圧と誘導電流に対する変流器間の干渉が避けられなく、また、これのために外函の設計も別途行わなければならないため、根本的な問題を解決することができない。第2の方法は、電圧は一定のレベルに調整しながら、出力を電流源で変化させ、これを互いに合算する方式で具現することができる。
【0068】
本発明は、前記第2の方法で具現されるものである。このために、線路の電流から誘起電流を生成する変流器とこれを直流電力に変換する変換部とを一つの単位ユニットで構成した。一方、単位ユニットを介して様々な出力を具現するためには、最小大きさで構成することが好ましく、この場合、前記数式1及び数式2で説明したように、変流器、特に、マグネチックコアの共振周波数が線路の1次電流の周波数と一定の関係を満たさなければならない。従って、本発明は、このような条件を満たす変流器と定電流を出力する変換部とを単位ユニットとして構成したものである。
【0069】
以下、図1を参照して、本発明の一実施例に係る電磁誘導方式の電力供給装置を説明する。図5は、本発明の一実施例に係る出力電力を線形的に調節するための電磁誘導方式の電力供給装置のブロック図である。
【0070】
電磁誘導方式の電力供給装置10は、線路から電力を誘起する複数の単位変流器ユニット100、各単位変流器ユニット100の直流出力を合算する合算部200、及び合算部200の直流出力を交流に変換する直流/交流変換部300を含む。
【0071】
単位変流器ユニット100は、線路に流れる1次電流から電磁誘導方式で2次電流を誘導する変流器110、及び変流器110の出力を直流電力に変換する変換部120を含む。このような単位変流器ユニット100は、電磁誘導方式の電力供給装置10の出力を線形的に調整するための基本単位である。
【0072】
変流器110は、1次電流の周波数より2倍以上大きな共振周波数を有するのが好ましい。例えば、変流器110は、このような条件の共振周波数を満たすマグネチックコアの断面積、長さ、及び比透磁率、及びループの巻数を有し得る。
【0073】
特に、変流器110は、このような共振周波数を満たす最小大きさで構成されるのが好ましい。このように、変流器110は、共振周波数を制限することによって、例えば、商用電力の2倍である120Hz以上の共振周波数に制限することによって、電磁誘導方式の電力供給装置10の最終出力が単位変流器ユニット100の数に応じて線形的に調整することができる。また、変流器は、配線線路400上に脱付着が可能な分離型変流器が好ましい。
【0074】
変換部120は、一定の電圧源を電流源に変換するものである。例えば、図6に図示されるように、Buck変換器であってもよいが、これに限定されない。
【0075】
図6は、図5の変換器の細部ブロック図である。
【0076】
変換部120は、変流器110の出力をフィルタリングするフィルタ部122、変流器110の誘導電流を直流電圧に変換する1次電圧整流部124、1次電圧整流部124の出力電圧を電流に変換する電流変換部126、電流変換部126の出力電流を直流電流に変換する2次電流整流部128、及び入力される過電圧から保護するためのフィードバック回路部129を含む。
【0077】
フィルタ部122は、2次電流を提供する変流器110から出力される誘導電流に対するフィルタリングを行うためのものであり、EMI(Electro Magnetic Interference)やその他のノイズを除去するためのフィルタである。
【0078】
1次電圧整流部124は、変流器110から入力されるフィルタリング電流を直流電圧に変換することができる。例えば、1次電圧整流部124は、ブリッジダイオードと平滑キャパシタで具現され得る。
【0079】
電流変換部126は、定電流を出力するために1次電圧整流部124から出力される直流電圧を電流に変換し、例えば、パルス幅変調(PWM)方式でその内部に含まれたスイッチ素子であるデューティを調整して、電流を提供することができる。このような電流変換部126は、スイッチ素子(例えば、MOSFET)を内部に含むPWM制御ICで具現され得る。
【0080】
2次電流整流部128は、電流変換部126の出力を直流電流に変換し、例えば、1次側巻線に入力される電流により2次側巻線に誘起される電流を出力するトランスフォーマとトランスフォーマの出力を平滑なダイオードを含むことができる。
【0081】
フィードバック回路部129は、変流器110から入力される電圧が、過電圧が発生する場合、電流変換部126のスイッチング動作をリセットする保護動作を行う。また、フィードバック回路部129は、2次電流整流部128から合算部200に出力される電流の大きさを検出し、出力を一定に維持できるように電流変換部126のデューティを調整することができる。
【0082】
また、図1を参照して、合算部200は、複数の単位変流器ユニット100から出力される直流電力を合算して出力し、その出力は、単位変流器ユニット100の数に線形的に比例してもよい。
【0083】
また、本発明の一実施例で、合算部200の出力を交流電力に変換する直流/交流変換部300をさらに含んでいてもよい。電力を要求する負荷に対応する装置が、交流電力を必要とする場合、本発明の一実施例は、直流/交流変換部300を選択的に含むことで負荷から要求される適切な形態の電力を提供することができる。
【0084】
このように構成された、電磁誘導方式の電力供給装置10の実験結果は、図7の通りである。図7は、本発明の一実施例に係る変流器ユニットの数による出力電力を示したグラフである。
【0085】
図7から分かるように、電磁誘導方式の電力供給装置10は、単位変流器ユニット100の数に応じて線形的に比例して増加していることが分かる。
【0086】
図8は、本発明の一実施例と従来例を比較したグラフである。
【0087】
図8から分かるように、電力源である分離型マグネチックコアを直接互いに連結し、電力を生産する場合には、マグネチックコアを2個あるいは複数個連結しても、前記数式11に示されるように、その出力が大きく増加しないことが分かる。反面、本発明の一実施例に他の単位変流器ユニット100の出力を互いに合算した場合には、電磁誘導方式の電力供給装置10の出力が単位変流器ユニット100の数に比例して増加していることが分かる。
【0088】
従って、追加されるマグネチックコアの数だけ出力を線形的に増加させるためには、マグネチックコアの変流器110と変換部120を一つのユニットで組み合わせて構成し、これを追加することだけで、電圧と電流を、それぞれ処理した後、電力を求めた数式13と同様になる。
【0089】
即ち、マグネチックコアがセンサ用途でない電力源として使用される場合には、複数のマグネチックコアの具現が必要な場合、必ずマグネチックコアと変換部とを含む単位ユニット構造で設計することによって、必要とされる電力量を容易に具現することができ、単純電圧変換する機能を有する線形調節装置(Regulator)などではこれを具現することができない。これは、また外函の設計も単位変流器ユニットに対する設計だけで可能であるので、費用面においても格段に安価であり、使用面においても簡便に具現することができる。
【0090】
このような構成により、配電線路に流れる電流に関係なく、線形的に合算が可能な同じ単位変流器ユニットを単純に追加及び除去することによって、所望の出力電力を容易に設計することができ、配線線路に脱付着可能であり、線路上で所望の出力条件に応じて単位変流器ユニットの追加及び除去が容易であり、設置及び維持報酬の便宜性を向上させ、管理維持費を軽減させることができる。
【0091】
また、単位変流器ユニットを利用して単位変流器ユニットを単純に追加及び除去して、出力を線形的に増加させることができ、所望の出力電力の設計を容易に達成することができ、最小大きさ単位ユニットで構成された変流器ユニットを利用して、別途の外函を製作する必要がないか、追加製作を最小化することができ、製作費用を效果的に軽減することができる。
【0092】
以上では、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の技術思想範囲内でいろいろと変形して実施することが可能であり、これもまた添付された特許請求範囲に属されるのは当然である。

図1
図4
図5
図6
図2
図3
図7
図8