特許第6104462号(P6104462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104462ムベ葉抽出物を有効成分として含む骨組織生成促進用薬学組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104462
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ムベ葉抽出物を有効成分として含む骨組織生成促進用薬学組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/185 20060101AFI20170316BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20170316BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20170316BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20170316BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20170316BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20170316BHJP
【FI】
   A61K36/185
   A61P19/04
   A61K9/14
   A61K9/16
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K9/10
   A61K9/107
   A61K9/08
   A61K9/12
   A61K9/02
   A61P1/02
   A61P19/10
   A23L33/105
   A61K127:00
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-512820(P2016-512820)
(86)(22)【出願日】2014年4月29日
(65)【公表番号】特表2016-520059(P2016-520059A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】KR2014003742
(87)【国際公開番号】WO2015002378
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2015年11月9日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0076190
(32)【優先日】2013年6月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514041454
【氏名又は名称】ジョンナム バイオインダストリー ファウンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】514041465
【氏名又は名称】ユンジン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】チェ チュル ユン
(72)【発明者】
【氏名】パン サン オ
(72)【発明者】
【氏名】ソル ヒ ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ ギュ オク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ウク ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒ スク
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェ ユン
(72)【発明者】
【氏名】カン フ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ ドン ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム スン オー
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェ ガプ
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュン ユン
【審査官】 石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/024960(WO,A1)
【文献】 特開2011−195532(JP,A)
【文献】 特開2011−201811(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/133825(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00 −36/9068
A23L 33/105
A61K 9/02
A61K 9/08
A61K 9/10
A61K 9/107
A61K 9/12
A61K 9/14
A61K 9/16
A61K 9/20
A61K 9/48
A61P 1/02
A61P 19/04
A61P 19/10
A61K 127/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムベ葉粗抽出物を有効成分として含む骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のムベ葉粗抽出物を有効成分として含む骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物の製造方法であって、
前記ムベ葉粗抽出物は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよびこれらの混合溶媒からなる群から選ばれるいずれか一つを使用して抽出されたものであることを特徴とする、ムベ葉粗抽出物を有効成分として含む骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物の製造方法
【請求項3】
前記溶媒を使用して抽出したムベ葉粗抽出物は、非極性溶媒としてへキサン、クロロホルム、ジクロロメタン及びエチルアセテートから選ばれるいずれか一つを分画溶媒として使用して分画されものであることを特徴とする、請求項2に記載のムベ葉粗抽出物を有効成分として含む骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物の製造方法
【請求項4】
請求項1に記載の組成物は0.01重量%〜99.9重量%で含まれることを特徴とするムベ葉粗抽出物を有効成分として含む骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物。
【請求項5】
前記抽出物の1日当たりの投与量は、体重kg当たりに10mg/kg〜1000mg/kgの量で供給されることを特徴とする、請求項4に記載のムベ葉粗抽出物を有効成分として含む骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物。
【請求項6】
前記組成物は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾル、経皮剤、坐剤または滅菌注射用液に剤形化されたことを特徴とする、請求項4または5に記載のムベ葉粗抽出物を有効成分として含む骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物。
【請求項7】
前記抽出物は、歯周炎、骨粗鬆症の予防または治療用に使用されることを特徴とする、請求項1および4〜6のいずれか1項に記載のムベ葉粗抽出物を有効成分として含む骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物を0.01重量%〜99.9重量%で含む歯周炎または骨粗鬆症改善及び予防用機能性健康食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組織生成促進用薬学組成物に関し、より具体的には、ムベ葉抽出物を含有する天然原料を用いて毒性と副作用なく安全に使用可能な骨及び軟骨組織損傷の抑制と治療のための用途に使用できる骨組織生成促進用薬学組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
骨組織は、概して骨の表面が堅固な緻密骨質からなっており、中心部または長骨の両端は、骨質が網目のように連合した海綿骨質からなっている。ほとんどの骨は、最初に結合組織中の軟骨として発生し、これが後で骨組織に変わるが、一部の骨は結合組織中で直接作られる。
【0003】
骨端では、隣接骨と接する部分に関節面があり、その表面は、硝子軟骨である関節軟骨で覆われている。海綿質の中間の海綿小柱は、一定の配列からなっていることを特徴とする。骨幹部の広い髄腔は、海綿小柱からなった小腔と連続しており、全て骨髓で充填されている。
【0004】
造血作用をする骨髓は、血管が多く分布して赤色を帯びており、赤色骨髓という。骨質の構造は、緻密質や海綿質のいずれにおいても厚さ5μm〜12μmの骨板が重なっているが、緻密質では、同心円状にいくつかの層が重なった骨層板(ハバース層板)が多くの方向に配列されており、各層板の中心にはハバース管があるので血管が通じる。
【0005】
骨細胞は、各骨層板間に配列されており、不規則な星状の細い原形質突起が隣接した他の骨細胞と連結されている。骨の表面には堅い結合組織性骨膜があり、神経と血管が分布して骨の保護と栄養を担当している。骨膜が欠損すると、骨の生存、新生及び再生などが困難になる。これは、骨質の成分は水分20%、細胞を含む有機質35%、無機質45%であるが、骨の一定の弾力性は有機質によるためである。年齢の増加と共に無機質(主にリン酸カルシウム)が増加し、骨の硬度も増加する。
【0006】
一方、ムベは、学名Stauntonia hexaphyllaであって、植物界、被子植物門、双子葉植物綱、キンポウゲ目に属する植物である。これは、主に韓国、日本、台湾、中国等に分布し、主幹は5mほど伸びていき、葉は互生であり、5個〜7個の小さい葉からなる掌状複葉である。小さい葉は厚く且つ卵形状または楕円形であり、縁部がのっぺりしている。葉柄の長さは6cm〜8cmで、小さい葉柄は3cmである。花は5月に咲き、一家花であり、黄白色で、総状花序につく。
【0007】
雌花の小さい花枝は、秋に赤褐色になり、多くの皮目があるので粗い。果実は、卵形状または楕円形の漿果で、長さが5cm〜10cmであり、10月に赤褐色に熟し、果肉はアケビより味がよい。種子は、黒色の卵形状または楕円形である。
【0008】
本発明は、韓国で頻繁に入手可能な天然材料としてムベ葉抽出物を用いて歯周炎または骨粗鬆症の治療及び予防のための薬学組成物を提供する目的でムベ葉熱水抽出物、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物を抽出し、造骨細胞ALP活性及び造骨細胞分化促進実験、及び骨または軟骨組織の生成促進実験を実施した。
【0009】
実験の結果、ムベ抽出物が骨組織生成促進及び予防と関連する効果を有することを実験的に確認することによって、ムベ抽出物を用いた骨生成促進用薬学組成物及び治療剤を提供しようとする。
【0010】
韓国公開特許公報第10―2013―0020095号は、ムベ抽出物を含む肝保護用組成物に関し、食用の植物由来ムベ抽出物は副作用や安全性に対する問題がなく、肝毒性物質である四塩化炭素またはアセトアミノフェン(APAP)を処理した肝毒性誘導実験動物モデルで有意的に脂質過酸化を抑制し、血清中のGOT及びGPT数値の増加を抑制し、肝保護、肝損傷予防及び肝機能改善の効果を有することが確認されることによって、本発明の組成物は、肝疾患の治療または予防用医薬組成物、または肝機能改善または肝保護用食品組成物のみならず、疲労回復または二日酔い解消と関連する多様な用途に応用できる構成を開示している。
【0011】
韓国登録特許公報第10―11675890号は、ムベ果実抽出物を有効成分として含む抗炎組成物に関する。前記ムベ果実抽出物は、細胞毒性がないだけでなく、炎症と関連する様々なサイトカイン(cytokine)のmRNAの転写水準及びNO分泌量を確認した結果、ムベの多くの部位のうちムベ果実が最も効果的に炎症を阻害できることが分かり、これを有効成分として含む抗炎組成物は、炎症と関連する疾病で炎症を抑制する抗炎症剤及び抗炎効果を有する化粧料組成物などに応用できるムベ果実抽出物を含む抗炎症剤に関して開示している。
【0012】
韓国登録特許公報第10―1243115号は、ムベ葉抽出物に細胞毒性がないだけでなく、既存の解熱効果を有する解熱剤と比較しても優れた解熱効果を有するムベ葉抽出物を有効成分として含む解熱剤に関して開示している。
【0013】
韓国登録特許公報第10―1221617号は、ムベ葉抽出物を有効成分として含む抗炎組成物に関し、ムベ葉抽出物には細胞毒性がないだけでなく、炎症と関連するサイトカイン(cytokine)のmRNAの転写水準、NO分泌量及び炎症の原因となるCOX―2酵素の阻害活性を確認することによって、効果的に炎症を阻害できるムベ葉抽出物を含む抗炎症剤に関して開示している。
【0014】
しかし、前記先行技術は、ムベ抽出物が、本発明のように天然材料としてムベ葉抽出物を歯周炎または骨粗鬆症の治療または予防のための薬学組成物として活用する目的でムベ葉熱水抽出物、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物を抽出し、造骨細胞ALP活性及び造骨細胞分化促進実験、及び骨または軟骨組織の生成の促進実験を通じた骨生成促進用組成物として用いられる構成を開示していない点で本発明と相違している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、天然物であるムベ葉由来抽出物を有効成分として使用することによって、長期間服用しても副作用なく安全な骨及び軟骨組織損傷の抑制及び治療のための用途に使用できる骨組織生成促進用ムベ葉抽出物を含有する薬学組成物を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的を達成するために、ムベ葉粗抽出物または非極性可溶抽出物を有効成分として含む骨及び軟骨組織損傷の抑制及び治療のための骨組織生成促進用薬学組成物を提供する。
【0017】
ムベ葉粗抽出物は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールまたはこれらの混合溶媒のうちいずれか一つから選ばれた可溶抽出物であって、前記非極性溶媒は、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン及びエチルアセテートから選ばれるいずれか一つであり得る。
【0018】
ムベ葉熱水抽出物は、造骨細胞で生成されるALP活性及び造骨細胞分化を増加させる機能を有し、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物は、造骨細胞で生成されるALP活性及び造骨細胞分化を増加させる機能を有する。
【0019】
また、ムベ葉抽出物は、全体の薬学組成物の0.01重量%〜99.9重量%で含まれ、薬学組成物の1日当たりの投与量は、前記抽出物が10mg/kg(体重)〜1000mg/kg(体重)で提供されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のムベ葉熱水抽出物、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物の造骨細胞ALP活性及び造骨細胞分化を促進させ、骨または軟骨組織の生成を促進する効果が確認されることによって、ムベ葉抽出物を有効成分として含む薬学組成物は、歯周炎または骨粗鬆症を治療または予防するための歯周炎または骨粗鬆症治療剤として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ムベ葉熱水抽出物と分画物の製造模式図である。
図2】ムベ葉熱水抽出物のALP活性に及ぼす影響を示したグラフ(骨芽細胞分化を通じた骨形成促進活性)である。
図3】ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物のALP活性に及ぼす影響を示したグラフである。
図4】ムベ葉熱水抽出物、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物のALP活性染色結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ムベ葉粗抽出物または非極性可溶抽出物を有効成分として含む骨及び軟骨組織損傷の抑制及び治療のための骨組織生成促進用薬学組成物及びこれを用いた歯周炎または骨粗鬆症治療剤を提供する。
【0023】
1.ムベ葉熱水抽出物の製造
【0024】
図1は、ムベ葉熱水抽出物と分画物の製造のための模式図である。ムベ(Stauntonia hexaphylla)葉10kgを蒸留水で水洗した後、蒸留水200Lを加えて、電気薬湯器で110℃で4時間加熱して抽出した。400メッシュ濾過布で濾過した後、減圧回転濃縮器で濃縮した。濾過後、残った残渣に再び同量の蒸留水を使用して同一の過程で2回の抽出、濾過及び減圧濃縮をさらに行った。濃縮された熱水抽出物を凍結乾燥器(Freeze dryer)で凍結乾燥した。この過程を通じて、ムベ葉熱水抽出物1kg(10%)を得た。
【0025】
2.ムベ葉の極性溶媒、非極性溶媒可溶分画物の製造
【0026】
図1に示したように製造されたムベ葉熱水抽出物を、有機溶媒を用いて次のように分画した。
【0027】
2.1.へキサン可溶性分画の分離
【0028】
ムベ葉熱水抽出物として得られたムベ葉抽出物250gを5Lの蒸留水に完全に溶解させた後で分画濾斗に入れ、へキサン5Lを添加してヘキサン不溶性層(水層)とヘキサン可溶性層とを分離した。再びヘキサン不溶性層(水層)を対象にして同一の工程を3回繰り返し、へキサン不溶性分画及び可溶性分画を収集した。
【0029】
2.2.クロロホルム可溶性分画の分離
【0030】
へキサン不溶性分画(水層)にクロロホルム5Lを加えて混ぜた後、クロロホルム可溶性分画及び不溶性分画を分離し、クロロホルム不溶性層(水層)を対象にして同一の工程を3回繰り返してクロロホルム不溶性分画及び可溶性分画を収集した。
【0031】
2.3.エチルアセテート可溶性分画の分離
【0032】
クロロホルム不溶性分画(水層)にエチルアセテート5Lを加えて混ぜた後、エチルアセテート可溶性分画及び不溶性分画を分離し、エチルアセテート不溶性層(水層)を対象にして同一の工程を3回繰り返し、エチルアセテート不溶性分画及び可溶性分画を収集した。
【0033】
2.4.ブタノール可溶性分画の分離
【0034】
エチルアセテート不溶性分画(水層)にブタノール5Lを加えて混ぜた後、ブタノール可溶性分画及び不溶性分画を分離し、ブタノール不溶性層を対象にして同一の工程を3回繰り返してブタノール不溶性分画及び可溶性分画を収集した。
【0035】
2.5.水層分画の分離
【0036】
ムベ葉熱水抽出物250gを5Lの蒸留水に完全に溶解させた後で分画濾斗に入れ、前記へキサン可溶性層、クロロホルム可溶性層、エチルアセテート可溶性層及びブタノール可溶性層を分画・分離した後で濃縮し、残っている有機溶媒を除去し、水分画を収集した。
【0037】
このようなムベ葉熱水抽出及び分画物収得過程を通じて製造されたムベ葉熱水抽出物250gでへキサン可溶性分画、クロロホルム可溶性分画、エチルアセテート可溶性分画及びブタノール可溶性分画を減圧濃縮した後で凍結乾燥することによって、へキサン分画物0.02g(0.015%)、クロロホルム分画物0.67g(0.27%)、エチルアセテート分画物2.62g(1.05%)、ブタノール分画物68.75g(27.5%)、水分画物150.14g(60.06%)を獲得して試料として使用した。
【0038】
3.ムベ葉熱水抽出物による造骨細胞のAP及びALPの活性測定
【0039】
図2は、ムベ葉熱水抽出物のALP活性に及ぼす影響を示したグラフ(骨芽細胞分化を通じた骨形成促進活性)である。
【0040】
3.1.ムベ葉熱水抽出物による造骨細胞のAP活性測定
【0041】
造骨細胞はALP活性を示すので、前記の収得されたムベ葉熱水抽出物が造骨細胞でALP活性に及ぼす影響を測定した。具体的に、造骨母細胞であるC2C12セル(cells)を48ウェル(well)に5 x 10^4セル/ウェルになるように分株し、細胞成長培地である10%のFBS、0.1%のp/sを含有したα―MEM必須培地(essential medium)で3日間細胞を培養した。3日後に造骨細胞分化を誘導するために、1%のウマ血清(horse serum)、0.1%のp/sを含有したα―MEM必須培地(essential medium)に交換した。その後、10ng/mlのBMP―2(bone morphogenic protein―2)を処理し、試料を濃度(10、50ug/ml)別に同時に処理した後で4日間培養した。続いて、細胞を0.01%のトリトン(Triton) Xを含むAPアッセイバッファ(assay buffer)(キット(kit))で処理した後、1000x gで5分間遠心分離し、ALP活性検索に必要な試料を収得した。
【0042】
ALPがp―ニトロフェニルホスフェート(p―nitrophenylphosphate)をp―ニトロフェノール(p―nitrophenol)とホスフェート(phosphate)とに分解させることを用いて405nmでの吸光度の変化を通じてALP活性を測定した。タンパク質の濃度は、BioRadタンパク質分析キットを使用して測定した。ALP活性は、PNP uM/min/mgプロテイン(protein)で示した。
【0043】
3.2.ムベ葉熱水抽出物による造骨細胞のALP活性測定
【0044】
ムベ葉熱水抽出及び分画物収得過程を通じて得られたムベ葉熱水抽出物を、それぞれ濃度別に、すなわち、熱水抽出物(10、50ug/ml)を造骨母細胞(C2C12 セル(cell))に処理し、4日間培養した後、造骨細胞のALP活性に及ぼす影響を測定し、その結果を図2にグラフで示した。図2に示したように、BMP―2とムベ葉熱水抽出物(10、50ug/ml)を同時に処理した実験群の場合、BMP―2を処理した対照群に比べて濃度依存的にALP活性が増加することが観察された。
【0045】
また、ムベ葉熱水抽出物(10、50ug/ml)を単独で処理した場合、BMP―2を処理していない正常群に比べて濃度依存的にALP活性が増加することが観察された。このような結果は、ALPが造骨細胞の分化及び活性増加によって放出される酵素であって、このようなALPの活性増加は造骨細胞活性及び増加と直接連関しているので、ムベ葉熱水抽出物によるALP活性の増加は、直接的な造骨細胞の分化及び活性増加による骨形成促進効果を証明する。
【0046】
4.ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物による造骨細胞のAP及びALPの活性測定
【0047】
図3は、ムベ葉熱水抽出物エチルアセテート分画物のALP活性に及ぼす影響を示したグラフである。
【0048】
4.1.ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物による造骨細胞のAP活性測定
【0049】
造骨細胞はALP活性を示すので、前記の収得されたムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物の造骨細胞でALP活性に及ぼす影響を測定した。具体的に、造骨母細胞であるC2C12セル(cells)を48ウェル(well)に5×10^4セル(cell)/ウェル(well)になるように分株し、細胞成長培地である10%のFBS、0.1%のp/sを含有したα―MEM必須培地(essential medium)で3日間細胞を培養した。
【0050】
3日後に造骨細胞分化を誘導するために、1%のウマ血清(horse serum)、0.1%のp/sを含有したα―MEM必須培地(essential medium)に交換した。その後、10ng/mlのBMP―2(bone morphogenic protein―2)を処理し、ムベ葉熱水抽出物のブタノール分画物のHP―20カラム(column)溶出物HP20―2を濃度(5、10ug/ml)別に同時に処理した後で4日間培養した。続いて、細胞を0.01%のトリトン(Triton) Xを含むAPアッセイバッファ(assay buffer)(キット(kit))で処理した後、1000x gで5分間遠心分離し、ALP活性検索に必要な試料を収得した。
【0051】
ALPがp―ニトロフェニルホスフェート(p―nitrophenylphosphate)をp―ニトロフェノール(p―nitrophenol)とホスフェート(phosphate)とに分解させることを用いて405nmでの吸光度の変化を通じてALP活性を測定した。タンパク質の濃度は、BioRadタンパク質分析キットを使用して測定した。ALP活性は、PNP uM/min/mgプロテイン(protein)で示した。
【0052】
4.2.ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物による造骨細胞のAP活性測定
【0053】
ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物をそれぞれ濃度別に、すなわち、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物(5、10ug/ml)を造骨母細胞(C2C12セル(cell))に処理し、4日間培養した後、造骨細胞のALP活性に及ぼす影響を測定し、その結果を図3にグラフで示した。
【0054】
図3に示したように、BMP―2とムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物(5、10ug/ml)を同時に処理した実験群の場合、BMP―2を処理した対照群に比べて濃度依存的にALP活性が増加することが観察された。また、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物(5、10ug/ml)を単独で処理した場合、BMP―2を処理していない正常群に比べて濃度依存的にALP活性が増加することが観察された。
【0055】
ALPは、造骨細胞の分化及び活性増加によって放出される酵素であって、このようなALPの活性増加は造骨細胞活性及び増加と直接連関しているので、本発明のムベ葉熱水抽出物のエチルアセテートによるALP活性の増加は、直接的な造骨細胞の分化及び活性増加による骨形成促進効果を証明する。
【0056】
4.3.ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物による造骨細胞のAP活性(activity)染色
【0057】
造骨母細胞であるC2C12セル(cells)を48ウェル(well)に5 x 10セル(cell)/ウェル(well)になるように分株し、細胞成長培地である10%のFBS、0.1%のp/sを含有したα―MEM必須培地(essential medium)で3日間細胞を培養した。3日後に造骨細胞分化を誘導するために、1%のウマ血清(horse serum)、0.1%のp/sを含有したα―MEM必須培地(essential medium)に交換した。その後、10ng/mlのBMP―2(bone morphogenic protein―2)を処理し、試料を濃度別に同時に処理した後で4日間培養した。
【0058】
本発明では、造骨細胞の分化誘導因子であるBMP―2(10ng/ml)を処理した陽性対照群、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物(5、10ug/ml)を単独で処理した実験群、何も処理していない正常群に分類し、それぞれ造骨細胞分化(osteoblast differentiation)程度をNBT/BCIP基質を用いたAP活性部位染色を通じて測定した。
【0059】
具体的に、4日間の培養が終了した細胞の培養液を除去し、1xPBSで3回セル(cell)を洗う。10%のホルマリン溶液で室温で15分間セル(cell)を固定させ、1xPBSで3回セル(cell)を洗い、残余ホルマリンを除去する。1xアルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase)溶液でセル(cell)を再び洗った後、NBT/BCIP基質溶液でAP活性部位を染色した。
【0060】
図4は、ムベ葉熱水抽出物、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物のALP活性染色の結果を示したグラフである。図4に示したように、実験の結果、BMP―2のみを処理した陽性対照群の場合、BMP―2と試料を処理していない正常群に比べてNBT/BCIPによる細胞染色がより多く行われたことを確認した。
【0061】
ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物(5、10ug/ml)を単独で処理した実験群の場合、BMP―2と試料を処理していない正常群に比べてNBT/BCIPによる細胞染色がより多く行われたことを確認した。
【0062】
ALPは、造骨細胞の分化及び活性増加によって放出される酵素であって、このようなALPの活性増加は造骨細胞活性及び増加と直接連関しているので、本発明のムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物によるALP活性の増加は、直接的な造骨細胞の分化及び活性増加による骨形成促進効果を示すと言える。
【0063】
5.ムベ葉粗抽出物を有効成分として含む骨及び軟骨組織生成促進用薬学組成物及び歯周炎または骨粗鬆症予防治療剤
【0064】
骨または軟骨組織生成促進用薬学組成物を用いた歯周炎、骨粗鬆症の予防または治療剤は、前記組成物が0.01重量%〜99.9重量%で含まれるように散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾル、経皮剤、坐剤または滅菌注射用液に剤形化して製造することができる。
【0065】
滅菌注射液の場合、前記薬学組成物を0.01重量%〜99.9重量%で含むようにし、精製水またはブドウ糖を99.9重量%〜0.01重量%で混合して製造可能である。カプセル剤の場合、前記薬学組成物を凍結乾燥して0.01重量%〜99.9重量%で含むようにし、ビタミン剤、カルシウム剤を99.9重量%〜0.01重量%で混合して製造可能である。
【0066】
前記製造された薬学組成物の1日当たりの投与量は、前記抽出物が10mg/kg(体重)〜1000mg/kg(体重)で含まれる含量で提供する。
【0067】
また、前記薬学組成物を0.01重量%〜99.9重量%で含む歯周炎または骨粗鬆症の改善及び予防用機能性健康食品としても製造可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のムベ葉熱水抽出物、ムベ葉熱水抽出物のエチルアセテート分画物の造骨細胞ALP活性及び造骨細胞分化を促進させ、骨または軟骨組織の生成を促進する効果が確認されることによって、ムベ葉抽出物を有効成分として含む薬学組成物は、歯周炎または骨粗鬆症を治療または予防するための歯周炎または骨粗鬆症治療剤として使用することができ、製造原料を自然に棲息する植物に取り替えることによって、製造生産単価の節減と産業化を通じた輸入代替及び輸出効果を期待することができる。
図1
図2
図3
図4