特許第6104468号(P6104468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6104468弾性結合されたアクチュエータを備えた自動車用ハプティックアクセルペダル並びに当該ハプティックアクセルペダルを閉ループ制御する方法および閉ループ制御ユニット
<>
  • 特許6104468-弾性結合されたアクチュエータを備えた自動車用ハプティックアクセルペダル並びに当該ハプティックアクセルペダルを閉ループ制御する方法および閉ループ制御ユニット 図000002
  • 特許6104468-弾性結合されたアクチュエータを備えた自動車用ハプティックアクセルペダル並びに当該ハプティックアクセルペダルを閉ループ制御する方法および閉ループ制御ユニット 図000003
  • 特許6104468-弾性結合されたアクチュエータを備えた自動車用ハプティックアクセルペダル並びに当該ハプティックアクセルペダルを閉ループ制御する方法および閉ループ制御ユニット 図000004
  • 特許6104468-弾性結合されたアクチュエータを備えた自動車用ハプティックアクセルペダル並びに当該ハプティックアクセルペダルを閉ループ制御する方法および閉ループ制御ユニット 図000005
  • 特許6104468-弾性結合されたアクチュエータを備えた自動車用ハプティックアクセルペダル並びに当該ハプティックアクセルペダルを閉ループ制御する方法および閉ループ制御ユニット 図000006
  • 特許6104468-弾性結合されたアクチュエータを備えた自動車用ハプティックアクセルペダル並びに当該ハプティックアクセルペダルを閉ループ制御する方法および閉ループ制御ユニット 図000007
  • 特許6104468-弾性結合されたアクチュエータを備えた自動車用ハプティックアクセルペダル並びに当該ハプティックアクセルペダルを閉ループ制御する方法および閉ループ制御ユニット 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104468
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】弾性結合されたアクチュエータを備えた自動車用ハプティックアクセルペダル並びに当該ハプティックアクセルペダルを閉ループ制御する方法および閉ループ制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60K 26/02 20060101AFI20170316BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20170316BHJP
   B60W 50/16 20120101ALI20170316BHJP
【FI】
   B60K26/02
   G05G5/03 B
   B60W50/16
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-528379(P2016-528379)
(86)(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公表番号】特表2016-531037(P2016-531037A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2014061584
(87)【国際公開番号】WO2015010816
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2016年1月22日
(31)【優先権主張番号】102013214371.0
(32)【優先日】2013年7月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ コニゴルスキ
(72)【発明者】
【氏名】ラドイ スタンチェフ
(72)【発明者】
【氏名】ウド ジーバー
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−076468(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/124500(WO,A1)
【文献】 特表2005−508060(JP,A)
【文献】 特開平08−002282(JP,A)
【文献】 特開2012−162193(JP,A)
【文献】 特開2007−269312(JP,A)
【文献】 特開2014−043237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 26/02
B60W 50/16
G05G 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)用のペダルシステム(100)であって、
運転者によって力が加えられることによって動かされるペダルレバー(5)と、
前記ペダルレバー(5)に向けて復元力を発生させるアクチュエータ(13)と、
前記アクチュエータ(13)を閉ループ制御する閉ループ制御ユニット(3)とを有しているペダルシステム(100)において、
弾性結合部材(9)を有しており、前記アクチュエータ(13)によって発生させられた前記反力が当該弾性結合部材(9)を介して少なくとも部分的に前記ペダルレバー(5)に伝達されるように、前記ペダルレバー(5)と前記アクチュエータ(13)との間に当該弾性結合部材(9)が配置されており、
前記ペダルレバーに作用する力の方向における前記弾性結合部材(9)のばねのたわみ(59)が、制御量として、前記アクチュエータの閉ループ制御に用いられる、
ことを特徴とするペダルシステム(100)。
【請求項2】
前記弾性結合部材(9)は、前記アクチュエータ(13)によって生じた、8Hz以上の振動数を有する変動を顕著に減衰するように構成されている、請求項1記載のペダルシステム(100)。
【請求項3】
前記弾性結合部材(9)はばねである、請求項1または2記載のペダルシステム(100)。
【請求項4】
前記弾性結合部材(9)はねじりばねである、請求項1または2記載のペダルシステム(100)。
【請求項5】
さらに、
前記ペダルレバー(5)の現在のポジションΦを検出するペダルレバー状態センサ(21)と、
前記アクチュエータ(13)の現在のポジションΦを検出するアクチュエータ状態センサ(37)とを有しており、
前記ペダルレバー(5)の現在のポジションΦと前記アクチュエータ(13)の現在のポジションΦとが、前記弾性結合部材(9)の前記ばねのたわみ(59)を規定する、請求項1から4までのいずれか1項記載のペダルシステム(100)。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載のペダルシステム(100)のアクチュエータを閉ループ制御する方法であって、
前記アクセルペダル(11)の前記ペダルレバー(5)は、移動領域内で、操作方向(7)に沿って、静止ポジションと最大操作ポジションとの間で移動可能であり、前記アクチュエータ(13)によって、前記操作方向(7)に対向する反力が加えられることによって、触覚的に感知される信号を生成するように励起する方法において、
当該方法は、
前記ペダルレバー(5)の現在のポジションΦと、前記アクチュエータ(13)の現在のポジションΦとを求めるステップと、
前記ペダルレバー(5)の現在のポジションΦと、前記アクチュエータ(13)の現在のポジションΦとから前記弾性結合部材の現在のばねのたわみ(59)を求めるステップと、
所定の力プロファイルを有する前記触覚的に感知可能な信号が前記アクチュエータ(13)から前記結合部材(9)を介して前記アクセルペダル(5)に加えられるように、前記アクチュエータ(13)を閉ループ制御するステップとを有しており、
前記アクチュエータを閉ループ制御するために、前記弾性結合部材の前記ばねのたわみ(59)を制御量として用いる、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記アクチュエータ(13)の前記ポジションΦを、2自由度閉ループ制御部(55、57)を用いて閉ループ制御する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
自動車(1)内のペダルシステム(100)を制御する閉ループ制御ユニット(3)であって、
当該閉ループ制御ユニット(3)は、請求項6または7記載の方法を実行するように構成されている、
ことを特徴とする閉ループ制御ユニット(3)。
【請求項9】
前記ペダルレバー(5)の現在のポジションΦを示すデータを受信するデータ入力側と、
前記アクチュエータ(13)の現在のポジションΦを示すデータを受信するデータ入力側と、
最適値制御部(55)と、
PID制御部(57)とを有している、請求項8記載の閉ループ制御ユニット(3)。
【請求項10】
プログラミング可能な閉ループ制御ユニット(3)に、請求項6または7記載の方法を実行するよう指示するコンピュータ読み出し可能な命令を有している、
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
請求項10記載のコンピュータプログラム製品が格納されている、
ことを特徴とする、コンピュータ読み出し可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ペダルシステムおよび自動車内のこのようなペダルシステムを閉ループ制御する方法並びにこのようなペダルシステムの閉ループ制御ユニットに関する。本発明はさらに、プログラミング可能な閉ループ制御ユニット上での実行時に、本発明の方法を実行するコンピュータプログラム製品、並びに、このようなコンピュータプログラム製品が格納されているコンピュータ読み出し可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車では、運転者は運転時に、しばしば、提供された多くの情報によって支援される。特に、車両のアクセルペダルを介して運転者へ触覚的にフィードバックを行うことも可能である。このためにアクセルペダルには、アクチュエータが設けられている。このアクチュエータは、ペダルレバーに所期のように力を加えることを可能にする。このように構成されたアクセルペダルは、しばしば、ハプティックアクセルペダルと称される。
【0003】
例えば、アクチュエータは、特定のアクセルペダル位置以降、アクセルペダルのさらなる踏み込みに対して所期のように反対方向の力で応じる。これによって、例えば、アクセルペダルをより強く踏み込むことによって燃費が悪くなるであろうことが運転者に伝えられる。択一的に、アクチュエータによって、時間で変化する力が、アクセルペダルに加えられる。これによって、この力を、振動またはパルスの形態で変動させることができる。
【0004】
独国特許出願公開第2555429号明細書は、車両内のペダルに、触覚を通して、ないしは、ハプティックに感知される信号を形成するシステムを開示している。
【0005】
独国特許出願公開第102013205281号明細書は、ハプティックなフィードバックを運転者に与えるように構成されているペダルシステムの基本的な機械的構造を開示している。
【0006】
本発明の開示
本発明の実施形態は、ハプティックアクセルペダルを介して運転者の方向に加えられる力をより良好に閉ループ制御することができる自動車用ペダルシステムを実現する。さらに、本発明の実施形態は、ペダルシステム内のこのようなハプティックアクセルペダルの有利な閉ループ制御並びにこのような方法の実行に適した閉ループ制御ユニットを実現する。
【0007】
本発明の第1の態様では、自動車用ペダルシステムが提案される。このペダルシステムは、運転者が力を加えることによって移動するペダルレバーと、この力に対向する復元力をペダルレバーに加えるように構成されているアクチュエータと、このアクチュエータを閉ループ制御する閉ループ制御ユニットとを有している。このペダルシステムは、さらに、弾性結合部材を有している。この弾性結合部材は、ペダルレバーと、アクチュエータとの間に、次のように、効力を発揮するように配置されている。すなわち、アクチュエータによって生成されたこの反力が、この結合部材を介して少なくとも部分的に、ペダルレバーに伝達されるように配置されている。このペダルシステムは、次の特徴を有している。すなわち、ペダルレバーに加えられる力の方向における、弾性結合部材のばねのたわみが、閉ループ制御ユニットの制御量として使用される、という特徴を有している。この結合部材は、1つの実施形態において、比較的低い剛性を有している。すなわち、15Nm/°のペダル角度を下回るばね定数を有している。
【0008】
弾性結合部材のばねのたわみが、アクチュエータがペダルレバーに加える力を閉ループ制御する際に制御量として使用されることによって、アクチュエータの閉ループ制御ないしは、アクチュエータによって加えられる力の閉ループ制御が改善される。さらに、これによって閉ループ制御がより迅速に行われる。なぜなら、制御量として、直接的に、例えば、弾性結合部材の長さないしは伸びまたは回転角であるばねのたわみが使用されるからである。これによって、特に、誤差を有し得る制御量、例えば、アクチュエータの駆動エネルギーを介して閉ループ制御を行うことがなくなる。なぜなら、駆動エネルギーは、種々のファクタが原因で変動し得る、または、誤って測定され得るからである。アクチュエータとして例えば直流モータが使用され、制御量として直流モータの駆動電流が使用される場合には、閉ループ制御は不正確になってしまう場合がある。なぜなら、駆動電流は、例えば周辺温度および場合によっては駆動部における摩擦の影響を受けることがあるからである。このような間接的な閉ループ制御とは異なって、上述した、および、後述する、ペダルシステムでは、弾性結合部材のばねのたわみを制御量として使用する直接的な閉ループ制御が行われる。すなわちこのアクチュエータは、所望の力を、できるだけ高い精度で、繰り返し、ペダルレバーに加えるために、摩擦、周辺温度または、アクチュエータに影響を与える他のファクタに依存しないで閉ループ制御される。
【0009】
本発明のアクセルペダルの実施形態は、特に、以降の考察および知識に基づいている。
【0010】
従来のハプティックアクセルペダルシステムは多くの場合、付加的な復元力を生成する、直接的に結合された力駆動部またはモーメント駆動部を有している。「直接的に結合された力駆動部またはモーメント駆動部」とは本明細書で次のことを意味している。すなわち、例えば連動桿および/または平歯車の形態の伝達機構が、力源またはモーメント源であるアクチュエータと、アクセルペダルのペダルレバーとの間に、完全にまたはほぼ固定されて形成されており、これによって、実質的に、弾性を有していない、ということを意味している。これによって、例えば、回避不可能な、ブラシ付き直流モータの、短時間のトルク変動(これは、「トルクリップル」とも称される)が、その相対的な量において、ほぼ変化せずに、ペダルレバーに伝達されてしまう。これは場合によっては、運転者に、明らかにノイズと感じられてしまうことがある。弾性結合部材は、上述したように、および、以降で説明するように、その作用から、機械的なローパスフィルターとして表され得る。なぜなら、上述したトルクリップルが運転者に伝達されない、または、僅かにしか伝達されないからである。
【0011】
さらに、アクチュエータによってペダルレバーに作用する付加的な復元力の値が、閉ループ制御できないものにされてしまうことがある。例えばペダルレバー操作が相応に迅速な場合には、アクチュエータの連動による付加的な慣性モーメントが原因で、復元力の不所望な上昇が生じてしまうことがあり、また他方で、力伝達機構またはモーメント伝達機構は、一般的に、アクチュエータに対して摩擦を有している。しかしこの摩擦特性は、規則的に種々の影響を受ける。これらは例えば温度によって生じる影響、ロット内変動によって生じる影響、または、経年劣化によって生じる影響であり、せいぜい近似的にしか、事前に特定することができない。さらに、アクチュエータによって印加される電流に対する、力またはモーメントの関係は、温度変動、材料変動および部品トレランス変動の影響を受ける。これらは実際には、未知なものとして、復元力に影響を与える。
【0012】
上述の欠点は、本発明のアィディアに相応して、ペダルレバーとペダルレバーのアクチュエータとの間に、弾性結合部材が設けられることによって、除去される、ないしは、低減される。弾性結合部材によって、適切な弾性が伝達機構内に採り入れられる。ここで、弾性結合部材のばねのたわみが、アクチュエータに対する制御量として用いられる。すなわち、アクチュエータは、弾性結合部材のばねのたわみに相応して、2つの運動方向のちの1つにおいて、閉ループ制御ユニットによって設定された距離にわたって、同様に閉ループ制御ユニットによって設定された速度で駆動される、ないしは、動かされる。
【0013】
ここでは弾性結合部材として、任意の構成素子が、ペダルレバーとアクチュエータとの間に、効果を発揮するように設けられる。この構成素子は、次のようなばね定数で、これらの2つのコンポーネントの弾性結合を実現する。すなわち、従来の、固定して取り付けられていることが理想的である、ペダルレバーとアクチュエータとの間の結合よりも格段に低いばね定数である。特に、このばね定数は、15Nm/°のペダル角度よりも低く、有利には3Nm/°のペダル角度よりも低く、極めて有利には、0.3〜1Nm/°のペダル角度の範囲にある。この弾性結合部材を、特に、ばねとして、例えばねじりばねとして、形成することができる。なぜなら、その弾性特性を正確に設定することができ、かつ、長い期間にわたって一定に保つことができるからである。ここで、剛性が比較的低い、すなわちばね定数が比較的低い弾性結合部材は、剛性が比較的高い弾性結合部材と比べて、機械的なローパスフィルターとしての機能をより良好に満たすことができる、ということが基本的に言える。なぜなら、上述したトルクリップルがより良好に吸収され、ペダルレバーに伝達されないからである。しかし低い剛性を有する弾性結合部材、例えば低いばね定数を有するばねは、所定の力をペダルレバーに加えるためにより強い伸長を必要とする。必要とされる、このより強い伸長は、モータとギヤによって生起される。ここで、さらに、ペダルレバーに加えられる力に関して高い精度を実現するために、弾性結合部材のばねのたわみが、アクチュエータに対する制御量として用いられる。これによって、剛性の低い弾性結合部材を使用するための前提条件となり得る、アクチュエータのより迅速かつより正確な閉ループ制御を行うことが可能になる。
【0014】
弾性結合部材は殊に、次のように構成される。すなわち、アクチュエータによって生成された、8Hzを超える振動数を有する振動、有利には15Hzを超える振動数を有する振動、極めて有利には、30〜4000Hzの範囲における振動数を有する振動を顕著に緩和するように構成される。このようにして弾性結合部材が、アクチュエータとペダルレバーとの間の、一種の機械的なローパスフィルターとして用いられるようになる。従って、一方では、例えば所望のように、ハプティックに感知可能な信号をペダルレバーに生成するために、低振動数の運動を、力ないしはモーメントの伝達によって、アクチュエータからペダルレバーへと伝達することができ、他方では、例えば、不所望の、高い振動数の力変動ないしはモーメント変動が、アクチュエータから弾性結合部材を介してペダルレバーへと伝達されることがない。
【0015】
弾性結合部材が設けられたハプティックアクセルペダルを適切に駆動制御するのを可能にするのと同時に、アクチュエータとペダルレバーとの間の弾性的に可塑性の結合部が適切にハプティックに感知可能な信号を生成することを可能にするためには、次のことが必要である。すなわち、アクセルペダルに、少なくとも1つのペダルレバー状態センサと、アクチュエータ状態センサとを設けることが必要である。ペダルレバー状態センサは、ペダルレバーの現在のポジションを検出するために使用される。これに対して、アクチュエータ状態センサは、アクチュエータの現在のポジションを検出するために用いられる。
【0016】
ハプティックアクセルペダルのコンポーネントの構造に応じて、ペダルレバーないしはアクチュエータのポジションを、例えば、基準ポジションに対するペダルレバーないしはアクチュエータの空間的配置と理解することができる。この空間的配置はここで、例えば、基準点までの距離として、または、基準姿勢に対する角度偏差として示され得る。
【0017】
下方で、詳細に説明するように、ハプティックアクセルペダルへの力を閉ループ制御するために、さらに、弾性結合部材の弾性特性に関する情報を提供することが必要になることがある。この情報は例えば、結合部材に加えられる力ないしはモーメントに依存した、結合部材の変形を示す特性曲線の形態で提供される。
【0018】
本発明の第2の態様では、上述したペダルシステムを閉ループ制御するための方法が提案される。この方法は、アクセルペダルのペダルレバーが、移動領域内で操作方向に沿って、静止ポジションΦp0と最大操作ポジションΦpmaxとの間で移動可能であり、アクチュエータによって操作方向と反対に反力を加えることによって、触覚的に感知可能な信号が生起される、ということをベースとしている。この閉ループ制御方法は次の特徴を有している。すなわち、ペダルレバーの現在のポジションΦとアクチュエータの現在のΦとが求められ、アクチュエータがこれに基づいて、次のように閉ループ制御される、という特徴を有している。すなわち、アクチュエータによって、触覚的に感知可能な信号が、所定の力プロファイルで、結合部材を介してアクセルペダルに加えられるように制御される。ここで、アクチュエータの閉ループ制御時には、ペダルレバーの求められた現在のポジションΦおよびアクチュエータの現在のポジションΦの他にさらに、結合部材の弾性特性が考慮される。
【0019】
アクチュエータのポジションはここで、有利には、2自由度閉ループ制御によって閉ループ制御される。
【0020】
本発明の第3の態様では、閉ループ制御ユニットが記載されている。この閉ループ制御ユニットは、ペダルシステムにおけるハプティックアクセルペダルを閉ループ制御し、本発明の第2の態様に関して説明した方法を実行するように構成されている。
【0021】
閉ループ制御ユニットは、このために特に、ペダルレバーの現在のポジションを示すデータを受信するデータ入力側と、アクチュエータの現在のポジションを示すデータを受信するデータ入力側と、最適値制御部と、PID制御部とを有している。
【0022】
閉ループ制御ユニットは、提案された閉ループ制御方法、並びに、場合によってはセンサ信号の情報評価をハードウェアおよび/またはソフトウェアの形態で実装することができる。プログラミング可能な閉ループ制御ユニットを、上述した方法の実行のためにプログラミングするのが有利であり得る。さらに、コンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み出し可能な命令を有する。これは、プログラミング可能な閉ループ制御ユニットに、各方法のステップを実施するように指示をする。このコンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み出し可能な媒体、例えばCD、DVD、フラッシュメモリ、ROM、EPROM等に記録可能である。アクチュエータによって受け取られるべき指示を正しくトリガすることを可能にするために、さらなるセンサデータの処理の他に、例えば、結合ばねの弾性特性に関する、または、特定の制御信号に対するアクチュエータによって実行される応答特性に関する、または、アクチュエータのコントロールシステム特性に関する、データバンク内に格納されている情報または特性曲線の形態で格納されている情報も使用可能である。
【0023】
ペダルレバーと、当該ペダルレバーに、力ないしはモーメントを加えるアクチュエータとの間への、弾性結合部材の提案した効果的な配置は特に以下の利点をもたらす。
・導入された弾性によって、インピーダンスが低くなり、これによって、ハプティックアクセルペダルへの力を閉ループ制御するために用いられる閉ループ制御方法において、制御量からノイズを除去することができる。
・弾性結合部材の低いばね剛性力ないしはばね定数を、閉ループ制御での高い増幅によって補償することができる。
・低いばね剛性力は、閉ループ制御の質にプラスに作用し、これによって、例えば、静止摩擦またはギヤの遊びの影響がより良好に考慮される。
・一種の、有利な「モーメントセンサ」を提供することができる。ここでは、付加的なペダル力が、許容誤差内でコントロールされる。
・モーメント閉ループ制御を、ポジション閉ループ制御として変換することができる。これは容易にコントロール可能であり、かつ、加えられる力ないしはトルクへの、温度による影響および摩擦よる影響を除去する。
【0024】
本発明の実施形態の、考えられうる特徴および利点が、本明細書において、一部分は本発明のペダルシステムに関して、一部分は本発明の方法に関して、一部分は本発明の閉ループ制御ユニットに関して説明されている、ということに留意されたい。当業者は、個々の特徴が、適切に、相互に組み合わせ可能、または、交換可能であり、例えば、閉ループ制御ユニットから方法へ、および、方法から制御ユニットへ交換可能であることを認識するだろう。このようにしてさらなる実施形態および生じ得る相乗作用を得ることができる。
【0025】
以降で、本発明の実施形態を、添付図面に関連して説明する。説明も図面も、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の1つの実施形態に即したペダルシステムを有する車両の概略図
図2】本発明の1つの実施形態に即したペダルシステムのハプティックアクセルペダルの斜視図
図3図2に示されたハプティックアクセルペダルの別の斜視図
図4】本発明の1つの実施形態に即したペダルシステム用の閉ループ制御方法を実施するためのアクチュエータおよび閉ループ制御構造の閉ループ制御技術モデル
図5】本発明の1つの実施形態に従ったペダルシステムの閉ループ制御の代替的な視覚化
図6】本発明の別の実施形態に従ったペダルシステムのための弾性結合部材
図7】本発明の別の実施形態に従ったペダルシステムのための弾性結合部材
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面は、単に概略的なものであり、縮尺通りではない。
【0028】
図1は、ペダルシステム100のハプティックアクセルペダル11を備えた車両1の断面図を示している。ペダルレバー5を踏む込むことによって、運転者は、車両1の原動機17に、接続線路15を介して、または、原動機制御機器と接続されている線路(図示されていない)を介して、車両を加速させるように指示することができる。運転者は、このために、ペダルレバー5を矢印7の操作方向に踏み込まなければならない。これによって、ペダルレバー5は、静止ポジションから、移動領域に沿って、最大操作ポジションまで移動させられる。ペダルレバー状態センサ21は、ここで、ペダルレバー5の現在のポジションないしは姿勢を特定することができる。ばね19は、ペダルレバー5を、操作方向7とは反対方向に作用する力によって、静止ポジションへと押し戻す。
【0029】
アクセルペダル11は、ハプティックアクセルペダルとして構成されている。このためにアクセルペダル11は、アクチュエータ13を有している。このアクチュエータ13によって、ペダルレバー5は操作方向7とは反対の、所望の方向に動かされる、ないしは、ペダルレバー5にこの方向において、力が加えられる。ここでアクチュエータ13は、ペダルレバー5を変動させることができる。これは例えば振動、または、パルスの形態である。択一的に、アクチュエータ13は力をペダルレバー5に加えることができる。この力は、ペダルレバー5のさらなる踏み込みを困難にするので、これは運転者によって、ペダルレバー5の操作時の反発点と感知され得る。
【0030】
アクチュエータ13は、直流モータ23によって動かされる。直流モータは、ギヤ25を介して操作部材27と結合されている。モータ23の操作によって、操作部材27は、矢印33によって示されているように、時計回りまたは反時計回りに回転される、ないしは、2つの方向、例えば2つの反対方向へ動かされる。操作部材27には、同調部材31が、例えばカムの形態で設けられている。環状の操舵部材27の場合には、同調部材31は、中心から外れた領域に配置される。この同調部材31は、ペダルレバー5に設けられている、機械的な結合部材29とともに作用する。この機械的な結合部材29は、ある実施形態では、例えば、力伝達部材としてタペットの形態で設けられる。このために、機械的な結合部材29は、アクチュエータ13の方に向けられている自身の端部に、例えば、連結部材35を有している。この連結部材35は、1つの実施例において、U字状の受入れ部として形成可能である。操作部材27が相応するポジションに動かされるとすぐに、同調部材31は連結部材と機械的に結合される。
【0031】
択一的に、アクチュエータは、例えばトルクモータを有するダイレクトドライブとしても構成可能である。これによって、ギヤを用いなくても大きい力を生成することができる。
【0032】
アクチュエータ13は、閉ループ制御ユニット3によって駆動制御される。閉ループ制御ユニット3は、例えば、燃料を節約する走行方法の可能性または危険な状況を示唆するために、ペダルレバー5を介して触覚的に感知可能な信号がいつ運転者に伝達されるべきかを識別する。閉ループ制御ユニットは、これに基づいて、アクチュエータを次のように駆動制御する。すなわち、一定の力または時間で変化する力が、操作方向7と反対の方向で、ペダルレバー5に加えられるように駆動制御する。
【0033】
図1の拡大図で概略的に示されているように、アクチュエータ13は、ペダルレバー5に固定して結合されているのではなく、アクチュエータ13のギヤ25と操作部材27との間に、ばねの形態の弾性結合部材9が設けられている。従って、アクチュエータ13によって生起された操作力がこの弾性結合部材9を介して操作部材27に伝達され、操作部材27を介してペダルレバー5にさらに伝達される。従って結合部材9の弾性ばね特性によって、次のことが実質的に阻止される。すなわち、例えば、アクチュエータ13のモータ23内で生じた短時間のトルク変動(トルクリップル)が、直接的にペダルレバー5に伝達され、ペダルレバーで、運転者にノイズとして感じられることである。その代わりに、このような高い振動数のノイズは、弾性結合部材9によって顕著に減衰される。
【0034】
図1では、ハプティックアクセルペダル11の1つの実施形態の力伝達機構を、顕著に概略化して示したが、図2および3においては、ハプティックアクセルペダル11の2つの斜視図を、具体化された実施形態で示す。アクチュエータ13は、ここで、後置接続されたギヤ25を備えた直流電流モータ23を有している。このギヤ25によって、モータ23によって生成されたモーメントがシャフト41に伝達される。しかし、モーメントを、ハプティックアクセルペダル11のペダルレバー5に伝達するために、シャフト41は固定して、ペダルレバー5に結合されているのではなく、ねじりばねの形態の弾性結合部材9がシャフト41に設けられている。従って、シャフト41に加わるモーメントが、弾性的に、てこ43の形態の、弾性結合部材9と接続されている操作部材に伝達される。このてこ43は、モーメントを、ペダルレバー5の延長部分45の形態の機械的な結合部材に伝達する。以降で詳細に説明するように、アクチュエータ13は、ここで次のように適切に駆動制御される。すなわち、所望の力または力パターンは、例えば振動またはパルスの形態でペダルレバー5に伝達されるが、不所望の、高い振動数の変動は、弾性結合部材9によって減衰されて、取り除かれるように、駆動制御される。付加的なアクチュエータ戻しばね39はギヤブレーシングに用いられ、従って、騒音および摩滅を低減させる。
【0035】
図4には、アクチュエータ13と、その制御のために、閉ループ制御ユニット3内に設けられている閉ループ制御部47とのブロックダイヤグラムが示されている。アクチュエータ13は、直流電流モータと、ギヤと、弾性結合部材としてのねじりばねとから成る。
【0036】
アクチュエータは、直流電流モータの電機子電圧(u)を介して制御され、アクチュエータのポジション、すなわちアクチュエータギヤの出力側の角度Φが出力量となる。直流電流モータを、電気的なシステム部分と機械的なシステム部分とに分けて見ることができる。2つのシステム部分は、1次遅延素子としてモデル構築される。ここで、電気的なシステム部分の定常的な増幅(K)と時定数(T)とは、電機子巻線の電気抵抗とインダクタンスとに依存している。機械的なシステム部分のパラメータ(K、T)は、モータ電機子の回転慣性と、速度に比例する摩擦成分とから決まる。モータ電機子は、負荷モーメント(M)とノイズモーメント(z)とを差し引いた、モータ定数(k)を介して電機子電流(i)に比例している電磁的な駆動モーメント(M)によって加速される。モータ電機子の角回転速度(ω)は、機械的なシステム部分の出力である。エアギャップ磁界における電機子導体の運動に基づいて、電圧(U)が誘起される。ここでこの電圧(U)は、電気的なシステム部分への機械的なシステム部分の反作用である。モータに後置接続されているギヤは、一定の変速比(g)によってモデル構築される。
【0037】
アクチュエータ13によって、ペダルレバー5に加えられる力は、アクチュエータレバーとペダルレバーとの間の角度に依存した変速比を介して、モータの負荷モーメントに依存している。従って、付加的な復元力の閉ループ制御が、モータ負荷モーメントの閉ループ制御によって実現される。モータ負荷モーメントは、弾性結合部材のばね剛性(C)と、ペダル角度とアクチュエータ角度との差(Φ−Φ)との積から得られる。ペダル角度Φは運転者によって設定され、ばね剛性の特性曲線は不変のものと想定されるので、負荷モーメントは、アクチュエータ角度Φのみを介して調整される。従って、負荷モーメントの閉ループ制御は、アクチュエータ角度に対するポジション閉ループ制御によって実現される。ここで、ペダル角度およびアクチュエータ角度を測定することによって、および、ばね剛性を知ることによって、モーメントセンサが模倣される。
【0038】
択一的に、負荷モーメントが直接的に測定される場合には、ばね剛性が受ける影響を、モデル構築時および閉ループ制御部設計時に考慮する必要はない。
【0039】
非線形摩擦成分の影響は線形のアクチュエータモデルに含まれておらず、未知のノイズ量(z)としてモデル構築される。観察部(B)において、システム状態の他にこのノイズ量が見積もられ、ノイズ量補償(u)に使用される。
【0040】
例えば、PIDアルゴリズムとして形成可能である閉ループ制御部(R)は、入力量として、目標アクチュエータ角度と実際アクチュエータ角度との間(Φa、s−Φ)の偏差(e)を得る。択一的に、観察部によって見積もられたシステム状態を用いる状態閉ループ制御部を組み込むことができる。付加的に電流測定部が存在する場合、これは、観察部の低減またはカスケード閉ループ制御の投入に利用可能である。
【0041】
ブロック(f)では、ペダル角度(Φ)と所望の付加的な復元力(F)とから、目標アクチュエータ角度(Φa,s)が計算される。この計算時には、ペダル角度(Φ)に依存している、アクチュエータレバーとペダルレバーとの間の変速比が考慮される。
【0042】
図5には、選択的な閉ループ制御回路の構造が示されている。これは、本発明の実施形態に従ったペダルシステム100を閉ループ制御する閉ループ制御ユニット3内に実装可能である。
【0043】
入力量51として、力プロファイルが用いられる。これは、時間またはペダル角度を横軸にして記載される。さらにこの力プロファイルは、結合ばね9を介して、ペダルレバー5に作用すべき付加的な復元力として表されるべきである。この力プロファイル51は、弾性結合部材9の既知の弾性特性に基づいて、特にばね剛性に基づいて、弾性結合部材9のばねのたわみ/ばねの角度に換算される。ここで、弾性結合部材9のばね剛性に基づいて、ばねのたわみ/ばねの角度が、付加的な復元力を生じさせる、ないしは、付加的な復元力を設定する。
【0044】
差引きモジュール53において、弾性結合部材9の既知の弾性特性は力プロファイルによって相殺され、差引きモジュール53は出力値として、ばねのたわみまたはばねの角度に対する基準値を供給する。ここでこの基準値は、弾性結合部材9のポジション変更に対する目標値を設定する。
【0045】
弾性結合部材9は、ギヤ側の懸架点58と、ペダル側の懸架点54とを有している。懸架点54、58相互の位置ないしは相対的な回転角度は、弾性結合部材9のばねのたわみ/ばねの角度を設定する。ペダル側の懸架点54は、基点β’とも称される。弾性結合部材9として用いられている結合ばねのペダル側の懸架点54の角度位置は、ペダル開放角度βのみに依存する。従って、ペダル開放角度βと関連する、ペダル側の懸架点54の角度位置に、力プロファイル願望から生じた、計算されたばねのたわみ/ばねの角度が加えられる。結果は、アクチュエータないしはそのギヤ駆動部の、弾性結合部材9のギヤ側の懸架点58での目標位置である。
【0046】
状態センサユニット61は、ペダル開放角度β並びにペダル側の懸架点58の基点β’のポジションないしは角度位置を求め、閉ループ制御部に供給するように構成されている。
【0047】
2自由度閉ループ制御部のタスクは、適切な操作信号によって、アクチュエータ、ひいては弾性結合部材のギヤ側の懸架点58を、力プロファイルから生じたばね力が得られるように位置付けることである。ここでこの2自由度閉ループ制御部は、一方では、状態閉ループ制御部55Aと、操作量制限部55Bと、閉ループ制御部モデル55Cとを備えたフィードフォワードコントロールコンポーネント55を含んでおり、他方では、PID閉ループ制御部57Aと操作量制限部57Bとを備えたPIDコントロールコンポーネント57を含んでいる。所望のばね力は、アクチュエータの相応する操作力において、例えば10〜40ms内で形成される。所望のばね力は、次のことによって形成される。すなわち、弾性結合部材9のギヤ側の懸架点58とペダル側の懸架点54との間の角距離を変えることによって形成される。
【0048】
ペダルシステムは3つの状態センサを有し得る:アクチュエータ角度位置αを検出するセンサ、操作部材27の角度位置β’ないしは操作部材27上の同調部材31の姿勢を検出する別のセンサ、および、ペダルレバー5の角度位置βを検出する別のセンサ。ある実施形態では、少なくとも2つの状態センサが必要である。すなわち、ペダルレバー5の角度位置を検出するための第1のセンサと、ギヤ側の懸架点58の角度位置を検出する第2のセンサである。これらの状態センサは、例えばホールセンサであり得る。ペダルレバーの角度位置βと操作部材の角度位置との間に、比例関係が存在していてもよい。すなわち、操作部材27は同調部材31を介して、次のようにペダルレバー5と結合されている。すなわち、操作部材がペダルレバーの運動時に相応に連動するように結合されている。択一的に、運転者方向でのペダルレバーの運動時に、操作部材が連動して動かされないようにペダルシステムを構成することもできる。
【0049】
上述した閉ループ制御を使用することによって、低い剛性を有する結合ばねは、短時間に大きい力を作り出すことができる。なぜなら、弾性結合部材9のばねのたわみが制御量として使用されるからである。これは、この閉ループ制御の主要課題のうちの1つと見なされる。本発明のペダルシステムでは、剛性の低い結合ばね、極めて迅速な閉ループ制御および迅速な操作特性を有するアクチュエータを提供することが有利であると見なされる。この3つのファクタの相互作用によって、所望の力プロファイルを、高さおよび運動エネルギーにおいて、ほぼそのまま伝達することができる。結合ばねは「剛性」を増したように見える。すなわち、迅速な閉ループ制御および迅速なアクチュエータによってこれが得られる。同時に、剛性の低い結合ばねの顕著な減衰特性が利用される。操作モータのトルク変動(リップルトルク)が抑圧され、ほぼアクチュエータから分離してペダルを操作することができる。従って、アクチュエータからのノイズとなる慣性モーメントは、
ペダルレバーにおいてほぼ感知されない。
【0050】
図6は、ねじりばねの形態の弾性結合部材9を示している。このねじりばねの2つの懸架点54、58は、ばねのたわみ/ばねの角度59ぶんだけ相互に間隔が空けられている。このねじりばねのばね剛性は次のように作用する。すなわち、外部の力が加えられた場合にのみ、懸架点54、58が相互に重なるように動かされるように作用する。従ってペダルシステムでは、上述のように、ギヤ側の懸架点とペダル側の懸架点との間の相対的な角度位置として見ることができるばねのたわみ/ばねの角度59は、懸架点54、58の間で、アクチュエータを閉ループ制御するための制御量である。このようなばねのたわみは、例えば、ペダルレバー状態センサの値を介して、および、アクチュエータ状態センサの値を介して求められる。第1の懸架点54はここでペダル側の懸架点54であり、第2の懸架点58はギヤ側の懸架点58である。懸架点54、58は、ねじりばねの2つのばねアームによって形成される。ねじりばねのねじり角度ないしは開放角度の変更を介して、ばねアーム相互の相対的なポジションが変えられる。これによって、ばねのたわみ/ばねの角度59も変えられる。従ってこれによって、ねじりばねの力印加を調整することができる。
【0051】
図7は、図6に対して代替的に、渦巻ばねの形態の圧縮ばねを示している。懸架点54、58、ひいては、閉ループ制御に関連するばねのたわみ/ばねの角度59は、ばねの長手方向において、間隔59を相互に空けて離れている。図6においても図7においても、ばねのたわみ/ばねの角度59、すなわちペダルシステムのアクチュエータの制御量は、懸架点54、58がばね剛性によって相互に離れるように押される方向に延在している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7