(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のエネルギー領域の各々に対応するフォトンカウンティングモード生データに基づいて前記複数のエネルギー領域の各々に対応するフォトンカウンティングモード投影データを生成する前処理部をさらに備え、
前記記憶部は、さらに、前記複数のエネルギー領域の各々に対応するフォトンカウンティングモード生データに基づくフォトンカウンティングモード投影データを記憶する、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
前記一時記憶部からの前記複数のエネルギー領域の各々に対応するフォトンカウンティングモード生データの読み出しと、前記第2生成部からの前記積分モードデータの読出しと、をビューの切替タイミングに同期して実行するように前記一時記憶部と前記第2生成部とを制御する制御部、をさらに備える請求項3記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
前記制御部は、前記第2生成部からの前記積分モードデータの読み出しと、前記一時記憶部からの前記積分モードデータと前記複数のエネルギー領域の各々に対応するフォトンカウンティングモード生データとの読み出しとを、異なるタイミングでビュー毎に個別に実行する、請求項4記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
前記複数のエネルギー領域の各々に対応するフォトンカウンティングモード生データは、前記エネルギー領域の各々についてのカウント数に関する情報、前記エネルギー領域の各々についてのカウント数とエネルギーとの積に関する情報、または、前記X線フォトン毎のエネルギー値と検出素子識別子とビュー識別子とを含む情報を含む、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるX線コンピュータ断層撮影装置を説明する。
【0011】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、フォトンカウンティングモード(以下、PCモードと呼ぶ)を実行可能な構成を装備している。X線検出器としては、シンチレータタイプ(シンチレータと光検出器との組合せ)や半導体検出器タイプ等があるがいずれのタイプでも本実施形態は適用可能である。しかしながら、以下の説明においてX線検出器は、PCモードに好適な半導体検出器であるものとして説明する。
【0012】
X線コンピュータ断層撮影装置には、X線管とX線検出器とが1体となって被検体の周囲を回転する回転/回転型(ROTATE/ROTATE―TYPE)や、リング状に配列された多数の検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転型(STATIONARY/ROTATE―TYPE)等様々なタイプがあるが、いずれのタイプでも本実施形態は適用可能である。しかしながら、以下の説明においてX線コンピュータ断層撮影装置は、回転/回転型であるものとして説明する。
【0013】
詳細は後述するが、PCCTにおいてはX線フォトンのカウントを表現する生データが収集される。PCCTにおける生データの形式としては、X線フォトンのカウント数を表現するタイプ(以下、カウントタイプと呼ぶ)と、X線フォトンの入射イベントを時系列に記録するリストモードタイプとが考えられている。本実施形態においては、これら二つの生データ形式の何れにも適用可能である。以下、第1実施形態においては計数タイプを、第2実施形態においてはリストモードタイプを具体例に挙げて本実施形態を説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置1は、架台(ガントリ)10、コンソール40、及びホストコンピュータ80を装備している。架台10は、例えば、CT撮影室等に設置される。コンソール40及びホストコンピュータ80は、例えば、制御室等に設置される。
【0015】
架台10は、円筒形状を有する回転リング11を回転軸Z回りに回転可能に支持している。回転リング11には、回転軸Zを挟んで対向するようにX線管13とX線検出器15とが取り付けられている。回転リング11の開口部は、FOV(field of view)に設定される。回転リング11の開口部内には、天板17が位置決めされる。天板17には被検体Pが載置される。天板17に載置された被検体Pの撮像部位がFOV内に含まれるように天板17が移動される。回転リング17は、リング回転部19からの駆動信号の供給を受けて回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。リング回転部19は、回転制御部21からの制御信号に従って回転リング11に駆動信号を供給する。回転制御部21は、ホストコンピュータ80の架台制御部89からの制御信号に従ってリング回転部19に制御信号を供給する。なお、架台制御部89からの制御信号は、ホストコンピュータ80の送信I/F91から送信され、架台10の受信I/F23が受信する。受信された制御信号は、受信I/F23から回転制御部21に供給される。
【0016】
なお、Z軸は、回転リング11の回転軸に規定される。Y軸は、X線管13のX線焦点とX線検出器15の検出面中心とを結ぶ軸に規定される。Y軸は、Z軸に直交する。X軸は、Y軸とZ軸とに直交する軸に規定される。このように、XYZ直交座標系は、回転リング11の回転とともに回転する回転座標系を構成する。
【0017】
X線管13は、高電圧発生部25からの高電圧の印加とフィラメント電流の供給とを受けてコーンビーム状のX線を発生する。高電圧発生部25は、X線制御部27からの制御信号に従う高電圧をX線管13に印加し、X線制御部27からの制御信号に従うフィラメント電流をX線管13に供給する。X線制御部27は、ホストコンピュータ80内の架台制御部89からの制御信号に従って高電圧発生部25に制御信号を供給する。なお、架台制御部89からのX線制御のための制御信号は、ホストコンピュータ80内の送信I/F91から送信され架台10内の受信I/F23が受信する。受信された制御信号は、受信I/F23からX線制御部27に供給される。なお、X線制御部27に供給される制御信号と回転制御部21に供給される制御信号とは、単一の受信I/F23により受信されるとしたが、別々の受信I/Fにより受信されても良い。
【0018】
X線制御部27の制御によりX線管13からは、既定のX線曝射周期に従ってX線が曝射される。X線曝射周期は、ビュー(view)の切替周期に同期される。ビューは、データ収集部29によるデータのサンプリング周期に対応する。他の観点からいえば、ビューは、回転軸Z回りのX線管13の回転角度に対応する。ビュー数は、X線管13一周あたり、例えば1000ビュー程度に設定される。
【0019】
X線検出器15は、X線管13から発生されたX線を検出する。X線検出器15は、2次元状に配列された複数の検出素子を搭載する。例えば、複数の検出素子は、回転リング11の回転軸Zを中心とした円弧に沿って配列される。この円弧に沿う検出素子の配列方向はチャンネル方向と呼ばれる。チャンネル方向に沿って配列された複数の検出素子は、検出素子列と呼ばれる。複数の検出素子列は、回転軸Zに沿う列方向に沿って配列される。各検出素子は、X線管13からのX線フォトンを検出し、検出されたX線フォトンのエネルギーに応じた電気パルス(電気信号)を生成する。具体的には、検出素子は、半導体の両端に電極が取り付けられてなる半導体ダイオードにより構成される。半導体に入射したX線フォトンは、電子・正孔対に変換される。1つのX線フォトンの入射により生成される電子・正孔対の数は、入射X線フォトンのエネルギーに依存する。電子・正孔対は電極に引き寄せられる。電極は、各電子・正孔対に応じた電荷に応じた波高値を有する電気パルスを発生する。電子・正孔対に起因する電荷は、例えば、X線フォトンの標準的な入射時間間隔に応じた微小時間だけ蓄積される。蓄積時間の経過後、蓄積された電荷は、電気パルスとしてデータ収集部により各検出素子から読み出される。読み出された一個の電気パルスは、入射X線フォトンのエネルギーに応じた波高値を有する。本実施形態に係る半導体材料としては、X線フォトンを効率良く正孔・電子対に変換可能な比較的原子番号が大きい物質が用いられると良い。PCCTに好適な半導体材料としては、例えば、CdTeやCdZnTe等が知られている。
【0020】
データ収集部29は、X線検出器15から電気パルスをビュー切替周期に従うタイミングで読み出す。データ収集部29は、X線管13から発生されるX線フォトンのエネルギースペクトル上の複数のエネルギー領域の各々について、X線検出器15により検出されたX線フォトンのカウントを表現する計数タイプの生データを、X線検出器15からの電気パルスに基づいて生成する。以下、X線フォトンのカウントを表現するカウントタイプの生データを、カウントモード生データと呼ぶことにする。エネルギー領域は、エネルギー・ビン(energy bin)とも呼ばれている。エネルギー領域は、ユーザによる操作部87を介した指示に従って予め設定されている。
【0021】
図2は、X線管13から発生されるX線フォトンのエネルギースペクトル上の複数のエネルギー領域を示す図である。なお、
図2の縦軸はカウントに規定され、横軸はX線フォトンのエネルギーに規定されている。エネルギースペクトルは、管電圧及び管電流毎に予め生成されている。エネルギー領域の数は、2以上であれば幾つでも良いが、以下の説明を具体的に行うため、
図2においては、4つのエネルギー領域が例示されている。第1エネルギー領域は0から第1閾値Th1までのエネルギー範囲に規定され、第2エネルギー領域は第1閾値Th1から第2閾値Th2までのエネルギー範囲に規定され、第3エネルギー領域は第2閾値Th2から第3閾値Th3までのエネルギー範囲に規定され、第4エネルギー領域は第3閾値Th3以上のエネルギー範囲に規定される。第1閾値Th1、第2閾値Th2、及び第3閾値Th3の値は、ユーザにより操作部87等を介して任意に設定可能である。例えば、第1エネルギー領域は、回路ノイズや2次線等のノイズが属するエネルギー範囲に規定される。第2エネルギー領域は、水を透過したX線フォトンが属するエネルギー範囲に規定される。第3エネルギー領域は、骨を透過したX線フォトンが属するエネルギー範囲に規定される。第4エネルギー領域は、造影剤を透過したX線フォトンが属するエネルギー範囲に規定される。
【0022】
具体的には、データ収集部29は、検出素子毎に波高弁別器及び計数器を有している。波高弁別器は、検出素子からの電気パルスの波高値を弁別する。換言すれば、波高弁別器は、X線検出器15からの電気パルスの波高値に基づいて、この電気パルスに由来する入射X線フォトンが属するエネルギー領域を複数のエネルギー領域の中から特定する。計数器は、複数のエネルギー領域の各々について、各エネルギー領域に属する電気パルス数を検出素子毎にビュー単位で計数する。電気パルス数は、理想的には、当該検出素子により検出されたX線フォトン数に対応する。計数器は、複数のエネルギー領域の各々について、ビュー毎の各検出素子によるカウント数を表現するデジタルデータ、すなわち、カウントモード生データを生成する。
【0023】
このようにして生成されたカウントモード生データは、送信I/F31に供給される。送信I/F31は、カウントモード生データをコンソール10に伝送する。
【0024】
コンソール40は、受信I/F41、積分モード生データ生成部43、前処理部45、記憶部47、再構成部49、及び送信I/F51を有している。
【0025】
受信I/F41は、架台10からカウントモード生データを受信する。受信されたカウントモード生データは、積分モード生データ生成部43と前処理部45とに供給される。
【0026】
積分モード生データ生成部43は、複数のエネルギー領域に関するPC生データに基づいて、X線検出器15により検出されたX線フォトンの総エネルギーを表現するデータをビュー毎に生成する。生成されたデータは、原理的に積分モードの生データに等しい。ここで、生成されたデータを積分モード生データと呼ぶことにする。理論的には、X線フォトンのカウント数を
図2のエネルギースペクトルの全域に亘ってエネルギー重み付けのデータ加算(エネルギー積分)することにより積分モード生データが生成される。具体的には、積分モード生データ生成部43は、まず、複数のエネルギー領域の各々について各エネルギー領域のエネルギー値をカウント数に乗じ、エネルギー値とカウント数との積をエネルギー領域毎に算出する。各エネルギー領域に関する積は、各ビューにおいてX線検出器により検出された、当該エネルギー領域に属する全てのX線フォトンの総エネルギーに対応する。各エネルギー領域のエネルギー値は、当該エネルギー領域の中間値や平均値等に設定される。そして積分モード生データ生成部43は、複数のエネルギー領域に関する複数の積の合計値を算出する。この合計値が積分モード生データに対応する。合計値は、各ビューにおいてX線検出器15により検出された全てのX線フォトンの総エネルギーに対応する。生成された積分モード生データは、前処理部45に供給される。
【0027】
前処理部45は、積分モード生データに前処理を施して、画像再構成処理の入力データである投影データを生成する。ここで、積分モード生データに基づく投影データを積分モード投影データと呼ぶことにする。また、前処理部45は、複数のエネルギー領域に関するカウントモード生データに前処理を施し複数のエネルギー領域に関する投影データを生成することもできる。以下、エネルギー領域毎の投影データをPCモード投影データと呼ぶことにする。積分モード投影データとPCモード投影データとは、記憶部47に供給される。前処理としては、例えば、ログ変換(対数変換)が実行される。ログ変換において、積分モード生データやカウントモード生データの対数が計算される。なお、前処理は、ログ変換のみに限定されず、不均一補正等の他の補正処理を含んでも良い。
【0028】
記憶部47は、積分モード投影データとPCモード投影データとを記憶する。記憶部47は、少なくとも1スキャンにより生成される全ての積分モード投影データとPCモード投影データとを記憶可能な大容量の記憶容量を有している。記憶部47としては、例えば、HDD(hard disk drive)等の比較的長期保存が可能なデバイスが適宜用いられる。
【0029】
再構成部49は、積分モード投影データに基づいて撮像領域内に存在する物質のX線減弱係数の空間分布を表現するCT画像データ(ボリュームデータ)を再構成する。以下、積分モード投影データに基づくCT画像データを積分モードCT画像データと呼ぶことにする。また、再構成部49は、各エネルギー領域に関するPCモード投影データに基づいて撮像領域内に存在する当該エネルギー領域に対応する物質のX線吸収係数の空間分布を表現するPCモードのCT画像データ(ボリュームデータ)を再構成する。以下、PCモードのCT画像データをPCCT画像データと呼ぶことにする。コーンビーム画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法等の解析学的画像再構成法や、ML−EM(maximum likelihood expectation maximization)やOS−EM(ordered subset expectation maximization)等の逐次近似画像再構成等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられれば良い。積分モードCT画像データとPCCT画像データとは、送信I/F51に供給される。
【0030】
送信I/F51は、積分モードCT画像データとPCCT画像データとをホストコンピュータ80に送信する。
【0031】
ホストコンピュータ80は、受信I/F81、画像処理部83、表示部85、操作部87、架台制御部89、送信I/F91、及びシステム制御部93を有している。
【0032】
受信I/F81は、コンソール80から送信された積分モードCT画像データとPCCT画像データとを受信する。受信された積分モードCT画像データとPCCT画像データとは、システム制御部93に供給される。
【0033】
画像処理部83は、積分モードCT画像データやPCCT画像データに種々の画像処理を施し、表示画像を発生する。画像処理としては、ボリュームレンダリング、サーフェスレンダリング、画素値投影処理、多断面再構成処理等が挙げられる。
【0034】
表示部85は、表示画像を表示機器に表示する。例えば、表示部85は、積分モードCT画像データに基づく表示画像をプレビュー画像として表示機器に即時的に表示する。表示機器としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が適宜利用可能である。
【0035】
操作部87は、入力機器によるユーザからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、スイッチ等が利用可能である。
【0036】
架台制御部89は、CTスキャンを実行するために、回転制御部21及びX線制御部27を制御する。具体的には、架台制御部89は、既定の角速度で回転リング11を回転させるための制御信号を送信I/F91及び受信I/F23を介して回転制御部21に供給する。また、架台制御部89は、ビューの切替周期に同期してコーンビームX線を繰り返し発生するための制御信号を送信I/F91及び受信I/F23を介してX線制御部27に供給する。
【0037】
システム制御部93は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の中枢として機能する。システム制御部93は、制御プログラムに従って各部を制御する。
【0038】
次に第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1の動作例について説明する。
【0039】
図3は、第1実施形態に係るコンソール40による画像再構成処理の典型的な流れを示す図である。CTスキャン時において架台10は、架台制御部89による制御に従ってビュー毎に複数のエネルギー領域に関するカウントモード生データを生成する。各ビューの複数のエネルギー領域に関するカウントモード生データは、所定のビュー数毎にコンソールに送信され、コンソール内の受信I/Fにより受信される。カウントモード生データは、積分モード生データ生成部43と前処理部45とに分配供給される。積分モード生データ生成部43は、複数のエネルギー領域に関するカウントモード生データに上述のデータ加算を施して積分モード生データをビュー毎に生成する(ステップSA1)。積分モード生データは、前処理部45に供給される。前処理部45は、積分モード生データにログ変換等の前処理を施して積分モード投影データをビュー毎に生成する(ステップSA2)。積分モード投影データは、記憶部47に供給される。また、前処理部45は、ステップSA1及びSA2に並行して、複数のエネルギー領域に関するカウントモード生データにログ変換等の前処理を施して複数のエネルギー領域に関するPCモード投影データを生成する(ステップSA3)。PCモード投影データは、記憶部47に書き込まれる。記憶部47は、積分モード投影データとPCモード投影データとを記憶する(ステップSA4)。
【0040】
ステップSA1からSA4は、例えば、画像再構成処理に必要なビュー数分の積分モード投影データが記憶部47に書き込まれるまで繰り返される。画像再構成処理に必要なビュー数分の積分モード投影データが記憶部47に書き込まれると、画像再構成処理に必要なビュー数分の積分モード投影データを記憶部47から読み出される(ステップSA5)。そして再構成部49は、読み出された積分モード投影データに基づいて積分モードCT画像データを再構成する(ステップSA6)。積分モードCT画像データの再構成は、CTスキャン時において即時的に実行される。積分モードCT画像データは、ホストコンピュータ80に送信される。その後、積分モードCT画像データは、画像処理部83により所望の表示画像に変換され、表示部85によりプレビュー画像としてCTスキャン時において即時的に表示される。
【0041】
以上で第1実施形態に係るコンソール10による画像再構成処理の動作についての説明を終了する。
【0042】
上述のように、PCCT画像データに基づく表示画像は、プレビュー画像としての性質は、積分モードCT画像データに基づく表示画像に劣る。従って、再構成部49は、CTスキャン中においてPCCT画像データをPCモード投影データに基づいて即時的に再構成してもよいし、CTスキャン後の任意のタイミングで再構成しても良い。PCCT画像データの再構成タイミングは、ユーザにより操作部87を介して任意に設定可能である。
【0043】
上記構成において前処理部45は、記憶部47の前段に設けられるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、前処理部45は、記憶部47の後段に設けられていても良い。この場合、記憶部47は、積分モード生データとカウントモード生データとを記憶する。そして前処理部45は、CTスキャン時において記憶部47から読み出された積分モード生データに前処理を施し、積分モード生データに基づいて積分モード投影データを生成する。その後、再構成部49は、上述のように、CTスキャン時において積分モード投影データに基づいて積分モードCT画像データを即時的に再構成する。
【0044】
第1実施形態においてカウントモード生データは、各エネルギー領域に属するX線フォトンのカウント数に関するデジタルデータであるとした。しかしながら、第1実施形態に係るカウントモード生データは、これのみに限定されず、各エネルギー領域に属するX線フォトンのカウント数と当該エネルギー領域のエネルギー値との積に関するデジタルデータでもよい。カウント数とエネルギー値との積は、上述のように、各ビューにおいてX線検出器により検出された、当該エネルギー領域に属するX線フォトンの総エネルギーに対応する。このタイプのPC生データをPCエネルギー積データと呼ぶことにする。各ビューについて、積分モード生データ生成部43は、複数のエネルギー領域のPCエネルギー積データを加算することにより、上述の積分モード生データを生成することができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置について説明する。なお、第2実施形態に係るPC生データは、X線フォトンの入射イベントを時系列に記録するリストモードタイプであるとする。以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0046】
図4は、第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置2の構成を示す図である。
図4に示すように、第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置2は、架台10B、コンソール40B、及びホストコンピュータ80を備えている。
【0047】
架台10Bのデータ収集部29Bは、X線検出器15から電気パルスをX線曝射周期に応じたビュー切替周期で読み出す。データ収集部20Bは、X線管13から発生されるX線フォトンのエネルギースペクトル上の複数のエネルギー領域に関するリストモードタイプのPC生データ(以下、リストモード生データと呼ぶ)を、X線検出器15からの電気パルスに基づいて生成する。具体的には、データ収集部29Bは、波高弁別器とイベント記録部とを有している。波高弁別器は、検出素子毎に設けられる。波高弁別器は、X線検出器からの電気パルスの波高値を弁別する。イベント記録部は、電気パルス毎にイベントに関するレコードを生成する。レコードは、互いに関連付けられたエネルギー値、検出素子識別子、及びビュー識別子を含んでいる。エネルギー値は、波高弁別器により特定された電気パルスのエネルギー値に規定される。換言すれば、エネルギー値は、電気パルスに由来するX線フォトンのエネルギー値に対応する。検出素子識別子は、電気パルスに由来するX線フォトンを検出した検出素子の位置座標や番号等の検出素子を一意に識別可能な識別子が用いられる。ビュー識別子は、電気パルスに由来するX線フォトンが検出されたビューの番号等のビューを一意に識別可能な識別子が用いられる。イベント記録部は、電気パルス、すなわち、X線フォトン毎にレコードを繰り返し生成する。そしてイベント記録部は、一ビューにおいて生成された全てのレコードをまとめてリストモード生データとする。リストモード生データは、送信I/F31を介してコンソール40Bに伝送される。
【0048】
コンソール40Bは、受信I/F41、積分モード生データ生成部43B、前処理部45B、記憶部47B、再構成部49、及び送信I/F51を有している。
【0049】
受信I/F41は、架台10Bからリストモード生データを受信する。受信されたリストモード生データは、積分モード生データ生成部43Bと記憶部47Bとに供給される。
【0050】
積分モード生データ生成部43Bは、リストモード生データに基づいて、X線検出器15により検出されたX線フォトンの総エネルギーを表現する積分モード生データをビュー毎に生成する。具体的には、積分モード生データ生成部43Bは、複数のレコードを検出素子識別子に従って分類し、各検出素子識別子についてエネルギー値の合計値を計算する。これにより、X線管13から発生されたX線フォトンの総エネルギーを表現する積分モード生データが生成される。積分モード生データは、前処理部45Bに供給される。
【0051】
前処理部45Bは、第1実施形態と同様に、積分モード生データに基づいて積分モード投影データを生成する。積分モード投影データは、記憶部47Bに供給される。また、前処理部45Bは、記憶部47Bからリストモード生データを読み出し、リストモード生データに基づいて複数のエネルギー領域に関するPCモード投影データを生成する。具体的には、前処理部45Bは、複数のエネルギー領域の各々について、複数のレコードを検出素子識別子に従って分類し、各検出素子識別子についてエネルギー値の合計値を計算する。これにより複数のエネルギー領域の各々について、エネルギー値とカウント数との積を表現するカウントモード生データが生成される。そして前処理部45Bは、複数のエネルギー領域に関するカウントモード生データに基づいて、第1実施形態と同様に、複数のエネルギー領域に関するPCモード投影データを生成する。PCモード投影データは、記憶部47Bに供給される。
【0052】
記憶部47Bは、リストモード生データ、積分モード投影データ、PCモード投影データを記憶する。記憶部47Bは、少なくとも1回のCTスキャンにより生成される全てのリストモード生データ、積分モード投影データ、及びPCモード投影データを記憶可能な大容量の記憶容量を有している。記憶部47Bとしては、例えば、第1実施形態と同様にHDD等の比較的長期保存が可能なデバイスが適宜用いられる。
【0053】
再構成部49は、積分モード投影データに基づいて積分モードCT画像データを再構成する。また、再構成部49は、各エネルギー領域に関するPCモード投影データに基づいて、各エネルギー領域に関するPCCT画像データを再構成する。積分モードCT画像データとPCCT画像データとは、送信I/F51に供給される。そして、積分モードCT画像データとPCCT画像データとは、送信I/F51によりホストコンピュータ80に送信される。
【0054】
次に第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置2の動作例について説明する。
【0055】
図5は、第2実施形態に係るコンソール40Bによる画像再構成処理の典型的な流れを示す図である。CTスキャン時において架台10Bは、架台制御部89による制御に従ってビュー毎にリストモード生データを生成する。各ビューのリストモード生データは、コンソール40Bに送信され、コンソール40B内の受信I/F41により受信される。リストモード生データは、積分モード生データ生成部43Bと記憶部47Bとに分配供給される。積分モード生データ生成部43Bは、リストモード生データにデータ加算を施して積分モード生データを生成する(ステップSB1)。積分モード生データは、前処理部45Bに供給される。前処理部45Bは、積分モード生データにログ変換等の前処理を施して積分モード投影データを生成する(ステップSB2)。積分モード投影データは、記憶部47Bに書き込まれる。記憶部47Bは、積分モード投影データとリストモード生データとを記憶する(ステップSB3)。
【0056】
ステップSB1からSB3は、例えば、画像再構成処理に必要なビュー数分の積分モード投影データが記憶部47Bに書き込まれるまで繰り返される。画像再構成処理に必要なビュー数分の積分モード投影データが記憶部47Bに書き込まれると、画像再構成処理に必要なビュー数分の積分モード投影データを記憶部47Bから読み出される(ステップSB4)。再構成部49は、読み出された積分モード投影データに基づいて積分モードCT画像データを再構成する(ステップSB5)。積分モードCT画像データの再構成は、典型的には、CTスキャンの実行時において即時的に実行される。積分モードCT画像データは、ホストコンピュータ80に送信される。その後、積分モードCT画像データは、画像処理部83により所望の表示画像に変換され、表示部85によりプレビュー画像としてCTスキャン時に即時的に表示される。
【0057】
以上で第2実施形態に係るコンソール40Bによる画像再構成処理の動作についての説明を終了する。
【0058】
上述のように、PCCT画像データに基づく表示画像は、プレビュー画像としての性質が積分モードCT画像データに基づく表示画像に劣る。従って、前処理部45Bは、CTスキャン中においてリストモード生データに前処理を施してPCモード投影データを生成しても良いし、CTスキャン後の任意のタイミングで前処理を施してPCモード投影データも生成しても良い。同様に、再構成部49は、CTスキャン中においてPCCT画像データをPCモード投影データに基づいて即時的に再構成してもよいし、CTスキャン後の任意のタイミングで再構成しても良い。PCCT画像データの再構成タイミングとリストモード生データに対する前処理タイミングとは、ユーザにより操作部87を介して個別に任意に設定可能である。
【0059】
なお、上記構成において前処理部45Bは、記憶部47Bの前段に設けられるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、前処理部45Bは、記憶部47Bの後段に設けられていても良い。この場合、記憶部47Bは、少なくとも積分モード生データとリストモード生データとを記憶する。そして前処理部45Bは、CTスキャン時において記憶部47Bから積分モード生データを読み出して前処理を実行し、積分モード生データに基づいて積分モード投影データを生成する。その後、再構成部49は、上述のように、CTスキャン時において積分モード投影データに基づいて積分モードCT画像データを即時的に再構成する。
【0060】
[効果]
次に本実施形態の主な効果について説明する。ここで、PCモード生データとリストモード生データとは、PCモードの生データであることが共通しているので、PCモード生データとリストモード生データとをまとめてPCモード生データと呼ぶことにする。PC生データとPCモード投影データとは、PCモードにおける画像再構成処理の前段のデータであることが共通しているので、PCモード生データとPCモード投影データとをまとめてPCモードデータと呼ぶことにする。積分モード生データと積分モード投影データとは、積分モードにおける画像再構成処理の前段のデータであることが共通しているので、積分モード生データと積分モード投影データとをまとめて積分モードデータと呼ぶことにする。
【0061】
上記の説明の通り、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1,2は、PCモードデータに基づいて生成された積分モードデータを記憶可能な記憶部47,47Bを設けている。具体的には、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、PCモードモード生データからPCモード投影データを生成する処理と、PCモード生データに基づいて直接的に積分モード投影データを生成する処理とを並列で実行し、PCモード投影データと積分モード投影データとの両タイプのデータを記憶する。あるいは、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、PCモード生データから直接的に積分モード生データを生成し、PCモード生データと積分モード生データとの両タイプのデータを記憶する。第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置2は、リストモード生データに基づいて直接的に積分モード投影データを生成し、積分モード投影データとリストモード生データとの両タイプのデータを記憶する。あるいは、第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置2は、リストモード生データに基づいて直接的に積分モード生データを生成し、積分モード生データとリストモード生データとの両タイプのデータを記憶する。
【0062】
一方、
図11に示すような従来例に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、PCモード投影データのみを記憶部に保存している。そしてCTスキャン時において積分モードCT画像データに基づく表示画像を表示する場合、従来例に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、PCモード投影データに基づくPCモード生データの生成(逆ログ変換)、PCモード生データに基づく積分モード生データの生成(データ加算)、及び積分モード生データに基づく積分モード投影データの生成(再ログ変換)を実行する。
【0063】
このように本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1,2は、PCモードデータだけでなく積分モードデータも記憶することが可能な記憶部を設けている、換言すれば、受信I/F41から記憶部47,47Bまでのデータフローから分岐して積分モードデータ生成部43,43Bを設けている。この構成により、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1,2は、逆ログ変換等を実行することなく、PCモード生データに基づいて積分モード投影データを生成することができる。すなわち、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1,2は、従来例に比して少ない画像処理工程で、PCモード生データから直接的に積分モードCT画像データを再構成することができる。これに伴い、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1,2は、従来例に比して迅速にPCモード生データに基づいて積分モードCT画像データを再構成することができ、ひいては、従来例に比して迅速に積分モードCT画像データに基づく表示画像をプレビュー画像として表示することができる。ユーザは、積分モードCT画像データに基づく表示画像をCTスキャン中に観察することにより、CTスキャンが正常に行われているか否かを、統計量に劣るPCCT画像データに基づく表示画像を観察する場合に比して、より正確に判断することができる。
【0064】
かくして本実施形態によれば、フォトンカウンティングモードを実行可能なX線コンピュータ断層撮影装置1,2において、積分モードのCT画像データを短時間で出力することが可能となる。
【0065】
[応用例]
上記の実施形態の場合、PCモードデータと積分モードデータとは単一の記憶デバイス(記憶部)に記憶される。従って、PCモードデータと積分モードデータとの記憶部への書き込みが競合してしまう場合が起こりうる。応用例に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、PCモードデータと積分モードデータとの記憶部への書き込みの競合を防止可能な構造を実装する。以下、応用例に係るX線コンピュータ断層撮影装置について説明する。応用例は、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1にも第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置2にも適用可能である。しかしながら、以下の説明を具体的に行うため、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1をベースとして説明する。以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0066】
図6は、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1に起こりうるPCモードデータ(カウントモード生データ)と積分モードデータとの競合を説明するための図である。
図6に示すように、第1実施形態において各エネルギー領域のPCモード生データは、コンソール40に供給された後、積分モード生データ生成部43と前処理部45とに分配供給される。そして積分モード生データ生成部43において複数のエネルギー領域に関するPCモード生データ(カウントモード生データ)に基づいて積分モード生データが生成され、積分モード生データは前処理部45に供給される。そして前処理部45において複数のエネルギー領域に関するPCモード生データ(カウントモード生データ)から複数のエネルギー領域のPCモード投影データが生成され、積分モード生データから積分モード投影データが生成される。この前処理部45において、PCモード生データ(カウントモード生データ)に対する前処理と積分モード生データに対する前処理とが競合する虞がある。競合が生じた場合、前処理部45が正常に動作しなくなり、PCモード投影データと積分モード投影データとに欠損が生じたりしてしまう。各エネルギー領域のPCモード投影データと積分モード投影データとは記憶部47に書き込まれる。この記憶部47においてPCモード投影データと積分モード投影データとの書き込みが競合する虞がある。競合が生じた場合、記憶部47が正常に動作しなくなったり、PCモード投影データと積分モード投影データとが正しく記憶されなかったり、消滅したりしてしまう。
【0067】
応用例に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、上述のような前処理部45と記憶部47とにおけるPCモードデータと積分モードデータとの競合を防止可能な構造を有している。
【0068】
図7は、応用例に係るX線コンピュータ断層撮影装置3の構成を示す図である。
図7に示すように、応用例に係るX線コンピュータ断層撮影装置3は、架台10C、コンソール40C、及びホストコンピュータ80を備えている。架台10Cの回転制御部21は、CTスキャン時において、リング回転部19を制御し、回転リング11を回転軸Z回りに一定の角速度で回転させる。この際、回転制御部21は、回転リング11の回転角度を繰り返し検出し、ビューの切替に同期してビュートリガ信号を発生する。
【0069】
図8は、ビューの切替とビュートリガ信号の発生とを説明するための図である。
図8に示すように、X線管13は、回転リング11の回転に伴い回転軸Z回りに回転する。ビューは、一定回転角度毎に切り替えられる。この一定回転角度だけ回転リング11が回転するのに要する時間は、ビューの切替周期に一致する。回転制御部21は、ビューの切替時においてビュートリガ信号を発生する。X線制御部27は、ビューの切替タイミング、すなわち、ビュートリガ信号の発生タイミングに同期してX線の曝射タイミングを制御している。同期制御によりX線管13は、ビュー毎にX線の曝射タイミングを切替タイミングに一致させてX線の曝射と停止とを交互に繰り返す。データ収集部29は、ビュー毎に複数のエネルギー領域に関するPCモード生データを生成する。ビュートリガ信号は、回転制御部21に接続された送信I/F33に供給される。送信I/F33は、ビュートリガ信号をコンソール40Cに送信する。
【0070】
コンソール40Cは、受信I/F41、積分モード生データ生成部43、前処理部45、記憶部47、再構成部49、及び送信I/F51に加え、一時記憶部53、受信I/F55、及び読み書き制御部57を備えている。
【0071】
一時記憶部53は、受信I/F41により受信された複数のエネルギー領域に関するPCモード生データを一時的に記憶する。一時記憶部53としては、高速に読み書きが可能なRAM(random-access memory)が用いられると良い。
【0072】
受信I/F55は、架台10Cから送信されたビュートリガ信号を受信する。受信されたビュートリガ信号は、読み書き制御部57に供給される。
【0073】
積分モード生データ生成部43は、一時記憶部53から読み出された複数のエネルギー領域に関するPCモード生データ(カウントモード生データ)に基づいて積分モード生データをビュー毎に生成する。生成された積分モード生データは、前処理部45に供給される。
【0074】
前処理部45は、積分モード生データ生成部43から供給された積分モード生データに前処理を施して積分モード投影データを生成する。また、前処理部45は、一時記憶部53から読み出された複数のエネルギー領域に関するPCモード生データに前処理を施し複数のエネルギー領域に関するPCモード投影データを生成する。積分モード投影データとPCモード投影データとは、大容量の記憶部47に記憶される。
【0075】
読み書き制御部57は、一時記憶部53からのPCモード生データの読み出しと積分モード生データ生成部43からの積分モード生データの読み出しとをビューの切替タイミングを基準として異なるタイミングで個別に実行するように一時記憶部53と積分モード生データ生成部43とを制御する。具体的には、読み書き制御部53は、受信I/F55からのビュートリガ信号の受信を契機として一時記憶部53からのPCモード生データの読み出しを実行し、PCモード生データの読み出しの完了を契機として積分モード生データ生成部43からの積分モード生データの読み出しを実行する。これにより、読み書き制御部57は、記憶部47におけるPCモード投影データと積分モード投影データとの書き込みの競合や、前処理部45によるPCモード生データに対する前処理と積分モード生データに対する前処理との競合を防止することができる。以下、読み書き制御部57の動作について詳細に説明する。
【0076】
上述のように読み書き制御部57による読み書き制御は、一時記憶部53からの読み出し局面と積分モード生データ生成部43からの読み出し局面とに分けることができる。以下、各局面における読み空き制御部57による読み書き制御について図面を参照しながら説明する。
【0077】
図9は、一時記憶部53からの読み出し局面における読み書き制御部57による読み書き制御を説明するための図である。
図10は、積分モード生データ生成部43からの読み出し局面における読み書き制御部57による読み書き制御を説明するための図である。なお一時記憶部53からの読み出し局面と積分モード生データ生成部43からの読み出し局面とは、各ビューにおいて順番に発生する。
【0078】
図9に示すように、CTスキャンの実行時において受信I/F55は、ビューの切替時において架台10Cからビュートリガ信号を受信し、読み書き制御部57に即時的に供給する。典型的には、ビューの切替時から既定のX線継続期間だけX線管13からX線が曝射される。X線継続期間の経過時点から次のビューの切替時点までX線が停止される。X線継続期間においてデータ収集部29により複数のエネルギー領域に関するPCモード生データが生成され、ビューの切替時において各ビューに関する複数のエネルギー領域に関するPCモード生データがコンソール10Cに送信される。受信I/F41は、各ビューにおいて架台10Cから複数のエネルギー領域に関するPCモード生データを受信し、一時記憶部53に即時的に供給する。一時記憶部53は、受信I/F55からのPCモード生データを一旦記憶する。
【0079】
ビュートリガ信号の供給を受けたことを契機として読み書き制御部57は、一時記憶部53に読み出し許可信号を供給し、積分モード生データ生成部43に読み出し禁止信号を供給する。読み出し許可信号の供給を受けた一時記憶部53は、記憶しているPCモード生データの読み出しを開始する。読み出されたPCモード生データは、積分モード生データ生成部43と前処理部45とに分配供給される。前処理部45は、供給された複数のエネルギー領域に関するPCモード生データに基づいて複数のエネルギー領域に関するPCモード投影データを即時的に生成する。生成された複数のエネルギー領域に関するPCモード投影データは、記憶部47に即時的に書き込まれる。また、積分モード生データ生成部43は、供給された複数のエネルギー領域に関するPCモード生データに基づいて積分モード生データを即時的に生成する。積分モード生データ生成部43は、読み出し禁止信号の供給を受けたことを契機として、生成した積分モード生データの前処理部45への読み出しを中断している。すなわち、この局面においては、前処理部45に積分モード生データは供給されず、積分モード生データ生成部43に保存されている。各ビューに関する全てのPCモード生データの読み出しが完了した場合、積分モード生データ生成部43は、読み書き制御部57に読み出し完了信号を供給する。読み出し完了信号の供給後、読み書き制御が積分モード生データ生成部43からの読み出し局面に移行される。なお、読み出し完了信号は、一時記憶部53から読み書き制御部57に供給されても良い。
【0080】
図10に示すように、読み出し完了信号の供給を受けたことを契機として読み書き制御部57は、一時記憶部53に読み出し禁止信号を供給し、積分モード生データ生成部43に読み出し許可信号を供給する。一時記憶部53は、読み出し禁止信号の供給を受けたことを契機として、複数のエネルギー領域に関するPCモード生データの読み出しを停止する。すなわち、この局面においては、積分モード生データ生成部43と前処理部45とにPCモード生データは供給されない。積分モード生データ生成部43は、読み出し許可信号の供給を受けたことを契機として、積分モード生データの読み出しを開始する。読み出された積分モード生データは、前処理部45に供給される。前処理部45は、供給された積分モード生データに基づいて積分モード投影データを即時的に生成する。生成された積分モード投影データは、記憶部47に即自的に書き込まれる。そして再びビュートリガ信号が架台10Cから受信I/F55に供給されると、読み出し制御が一時記憶部53からの読み出し局面に移行される。
【0081】
このようにして読み書き制御部57は、一時記憶部53からの読み出し局面と積分モード生データ生成部43からの読み出し局面とをビュー毎に異なるタイミングで個別に実行する。これより、記憶部47にPCモード投影データと積分モード投影データとが異なるタイミングで書き込まれるので、記憶部47におけるPCモード投影データと積分モード投影データとの書き込みの競合を防止することができる。また、記憶部47の前段に前処理部45が設けられている場合、前処理部45にPCモード生データと積分モード生データとが異なるタイミングで供給されるので、前処理部45におけるPCモード生データに対する前処理と積分モード生データに対する前処理との競合も防止することができる。
【0082】
なお上記構成において、コンソール10Cに生データ用の受信I/F41とビュートリガ信号用の受信I/F55とが設けられるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、コンソール10Cには生データとビュートリガ信号との両方を受信可能な単一の受信I/Fが設けられても良い。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。