(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のローラーブラインド装置では、減衰プロフィールが巻取シャフトの内側及び巻取ばねの外側に当接するように形成されているため、形状が複雑になってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、より簡単な形状で防音効果を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、シート巻取装置であって、シート状部材と、前記シート状部材の一端縁部が中心軸方向に沿って外周部に取り付けられた長尺筒状の巻取シャフトと、前記巻取シャフトをその中心軸周りに回転可能に支持する支持部と、前記巻取シャフトの内周側に前記巻取シャフトの中心軸方向に沿って配設され、前記巻取シャフトを前記支持部に対して前記シート状部材を巻き取る向きに回転付勢するコイルバネと、筒状に形成されると共にその中心軸方向に交差する方向に延在する分断部を有し、前記巻取シャフトの内周側で且つ前記コイルバネの外周側に配設された防音チューブとを備える。
【0007】
また、第1の態様では、前記分断部は、前記防音チューブの中心軸方向において複数の筒状体に分断する形状に形成されている。
【発明の効果】
【0012】
第1の態様に係るシート巻取装置によると、シート状部材の一端縁部が中心軸方向に沿って外周部に取り付けられた長尺筒状の巻取シャフトが、支持部によってその中心軸周りに回転可能に支持され、巻取シャフトの内周側に巻取シャフトの中心軸方向に沿って配設されたコイルバネが巻取シャフトを支持部に対してシート状部材を巻き取る向きに回転付勢している。また、筒状に形成されると共にその中心軸方向に交差する方向に延在する分断部を有する防音チューブが、巻取シャフトの内周側で且つコイルバネの外周側に配設されている。このため、コイルバネが捩られ又は圧縮されて波打った形状に変形することによって、コイルバネの外周側で且つ巻取シャフトの内周側に配設された防音チューブが、その中心軸方向において分断部でより大きく変形し、波打ったコイルバネによって巻取シャフトの内周面に押し付けられる。これにより、巻取シャフト内におけるコイルバネのがたつきによる異音を抑制することができ、より簡単な形状で防音効果を得ることができる。
【0013】
また、第1の態様に係るシート巻取装置によると、分断部が防音チューブの中心軸方向において複数の筒状体に分断する形状に形成されているため、波打ったコイルバネの形状により柔軟に対応して変形することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態に係るシート巻取装置10について説明する。シート巻取装置10は、シート状部材12を引出、収納可能に巻き取る装置である。
【0020】
このシート巻取装置10は、
図1、
図2に示すように自動車のウインドウ11を遮蔽するためのシート状部材12を引出、収納可能に巻き取るシェード装置の構成部品として用いられることもある。他にも、シート巻取装置10は、自動車の乗車空間と荷室とを区切るトノカバー装置の構成部品として用いられることもある。
【0021】
<シート巻取装置>
シート巻取装置10は、シート状部材12と、巻取シャフト20と、支持部30と、コイルバネ40と、防音チューブ50とを備えている。
【0022】
シート状部材12は、布材、メッシュ状の布材、樹脂シート等を裁断、縫製等して形成される部材である。このシート状部材12は、用途に応じた形状及び大きさ、例えばウインドウ11を遮蔽可能な形状及び大きさに形成されている。また、シート状部材12の一端縁部には、引出操作用の棒状の引出部材が設けられていてもよい。
【0023】
巻取シャフト20は、シート状部材12が巻き付けられる部分であり、長尺筒状に形成されている。この巻取シャフト20は、シート状部材12の一端部が中心軸方向に沿って外周部に取り付けられている。また、巻取シャフト20の両端部には、端部部材22、24が取り付けられている。より具体的には、端部部材22、24は、巻取シャフト20に対して中心軸周りに回転不能に取り付けられている。また、一方の端部部材22は、巻取シャフト20の一端部に取り付けられ、後述する支持部30の支持軸部35に対して回転可能に筒状内周面を有している。また、他方の端部部材24は、巻取シャフト20の他端部に取り付けられ、後述する支持部30の支持孔部37に対して回転可能な柱状外周面を有している。また、巻取シャフト20の内側には、後述するコイルバネ40の他端部を固定可能なバネ固定部26が相対回転不能に配設されている。
【0024】
巻取シャフト20は、支持部30により中心軸周りに回転可能に支持されている。この支持部30は、ケーシング本体部32と、サイドカバー34、36とを有している。ケーシング本体部32は、内側に巻取シャフト20を配設可能な空間と、該空間に連続すると共に外方に開口して巻取シャフト20に巻き付けられるシート状部材12を引出し可能な隙間とを有している。サイドカバー34、36は、ケーシング本体部32の両端部の開口を塞ぐと共に、巻取シャフト20の両端部を支持する部分である。一方のサイドカバー34は、ケーシング本体部32の一端部に固定され、円柱状の支持軸部35を有している。また、他方のサイドカバー36は、ケーシング本体部32の他端部に固定され、孔状の支持孔部37を有している。そして、支持部30は、支持軸部35が一方の端部部材22を支持すると共に支持孔部37が他方の端部部材24を支持することにより、巻取シャフト20を中心軸周りに回転可能に支持する。
【0025】
コイルバネ40は、巻取シャフト20を支持部30に対してシート状部材12を巻き取る向きに回転付勢する。このコイルバネ40は、巻取シャフト20の内周側に巻取シャフト20の中心軸方向に沿って配設されている。また、コイルバネ40は、一端部が一方のサイドカバー34の支持軸部35に固定されると共に、他端部が巻取シャフト20の内周側に配設されたバネ固定部26に対して固定されている。より具体的には、コイルバネ40は、巻取シャフト20を支持部30に対してシート状部材12を巻き取る向きに捩られ又は中心軸方向に圧縮され又は捩られた上で圧縮された状態で巻取シャフト20の内側に配設されている。すなわち、コイルバネ40は、シート状部材12が収納された状態においても、捩られ又は圧縮されることにより波打ち変形した形状に維持されている。
【0026】
防音チューブ50は、巻取シャフト20とコイルバネ40との間の接触音等を抑制するための部材である。この防音チューブ50は、筒状に形成されると共に中心軸方向に交差する方向に延在する分断部52を有し、巻取シャフト20の内周側で且つコイルバネ40の外周側に配設されている。ここでは、分断部52は、周方向全体に亘って延在し、中心軸方向において複数の筒状体51に分断する形状に形成されている。より具体的には、分断部52は、筒状体51の中心軸に直交する方向に沿って延在している。すなわち、防音チューブ50は、複数の筒状体51が中心軸方向に並べられた状態で巻取シャフト20とコイルバネ40との間に配設されている。
【0027】
複数の筒状体51は、少なくともコイルバネ40の波打ち変形時に隣り合う筒状体51同士が接触する程度の間隔に設定されているとよい。もっとも、複数の筒状体51は、コイルバネ40の波打ち変形時にも互いに接触しない間隔で配設されていてもよいが、その隙間からコイルバネ40が巻取シャフト20の内周面に当接しない程度に狭く設定されていることが好ましい。
【0028】
また、防音チューブ50の中心軸方向における筒状体51の中心軸方向の長さ(すなわち、複数の分断部52同士の間隔)は、コイルバネ40の直径、長さ、シート状部材12の操作による捩り数及び組付け時の作業性等を考慮して決定されるとよい。なお、組付け性の観点から言うと、筒状体51の数を少なく(分断部52同士の間隔を大きく)するほど組付け性が良くなると考えられる。また、コイルバネ40の変形に対する追従性の観点から言うと、コイルバネ40を最も多く捩った際の捩り数に対応する長手方向の波打ち変形の周期を最小として筒状体51の数を多く(分断部52の間隔を小さく)するとよいと考えられる。すなわち、これらのバランスを考慮して複数の筒状体51の中心軸方向の長さを決定するとよい。
【0029】
そして、シート状部材12が引き出されると支持部30に対して巻取シャフト20が相対回転されてコイルバネ40がより大きく捩られる。捩られたコイルバネ40は、より大きく波打った形状に変形しようとする。すると、防音チューブ50は、コイルバネ40の波打ち変形に伴い、その中心軸方向において変形し易い分断部52でより大きく曲がり変形する。すなわち、防音チューブ50は、波打つコイルバネ40により、主として、複数の筒状体51が互いに中心軸を傾けた形態或いは巻取シャフト20の中心軸に直交する方向にずれた形態に変形する。また、このとき、複数の筒状体51自体も曲げ変形され得る。これにより、巻取シャフト20内におけるコイルバネ40のがたつきを抑制できると共に、巻取シャフト20とコイルバネ40との衝突音を抑制できる。
【0030】
なお、仮に、分断部52を形成しないとすると、防音用のチューブの材質、厚さ等によってはコイルバネ40の波打ち変形に追従して変形しない(又はほとんど変形しない)こともある。このような材質、厚さの防音用のチューブを用いた場合でも、分断部52が形成されることにより、防音用チューブ50はコイルバネ40の波打ち変形に追従して分断部52で曲がり変形する。そして、防音チューブ50の分断部52近傍がコイルバネ40の変形しようとする力によって巻取シャフト20の内周面に押し付けられる。
【0031】
上記実施形態に係るシート巻取装置10によると、シート状部材12の一端縁部が中心軸方向に沿って外周部に取り付けられた長尺筒状の巻取シャフト20が、支持部によって中心軸周りに回転可能に支持され、巻取シャフト20の内周側に巻取シャフト20の中心軸方向に沿って配設されたコイルバネ40が巻取シャフト20を支持部30に対してシート状部材12を巻き取る向きに回転付勢している。また、筒状に形成されると共に中心軸方向に交差する方向に延在する分断部52が、巻取シャフト20の内周側で且つコイルバネ40の外周側に配設されている。このため、コイルバネ40が捩られ又は圧縮されて波打った形状に変形することによって、コイルバネ40の外周側で且つ巻取シャフト20の内周側に配設された防音チューブ50が、その中心軸方向において分断部52でより大きく変形し、波打ったコイルバネ40によって巻取シャフト20の内周面に押し付けられる。これにより、巻取シャフト20内におけるコイルバネ40のがたつきによる異音を抑制することができ、より簡単な形状で防音効果を得ることができる。
【0032】
また、分断部52が中心軸方向において複数の筒状体51に分断する形状に形成されているため、波打ったコイルバネ40の形状により柔軟に追従して変形することができる。
【0033】
また、従来技術と異なり、防音チューブ50が巻取シャフト20の中心軸方向に間隔を置いて部分的に接触させるため、シート状部材12の引出、収納操作力への影響をなるべく小さくすることができる。また、防音チューブ50を構成する個々の筒状体51を装着する際の組付け性がよい。
【0034】
<変形例>
次に、第1変形例に係る防音チューブ150について説明する(
図8参照)。防音チューブ150では、分断部152が、中心軸周りの周方向部分的に切り込まれた線状のスリット形状に形成されている。より具体的には、分断部152は、中心軸方向において複数形成され、中心軸周りの周方向において異なる位置に設けられている。ここでは、複数の分断部152は、中心軸を挟んで対向する両側から交互に切り込まれて形成されている。
【0035】
防音チューブ150の周方向における分断部152の寸法は、大きい(分断部152の両側を接続する接続部分が大きい)方がコイルバネ40に対する組付け性がよく、短い方がコイルバネ40の変形に対する追従性が良くなる。なお、以下の第2、第3及び第5変形例においても、防音チューブの周方向における分断部の長さは上述した設定基準で設定されるとよい。
【0036】
また、シート巻取装置10の使用に伴い、分断部152の両側を接続する接続部分が切断されてもよい。さらに、組付け時に接続部分を有する形態の防音チューブを供給し、組付け後に接続部分を切断して使用してもよい。この場合、結果的に、上記実施形態(
図7)の形態となり、防音効果を得ることができる。
【0037】
第1変形例に係る防音チューブ150を用いると、より簡単な形状で防音効果を得ることができる。
【0038】
次に、第2変形例に係る防音チューブ250について説明する(
図9参照)。第2変形例に係る防音チューブ250では、第1変形例に係る防音チューブ150と同様に、分断部252が、中心軸周りの周方向部分的に切り込まれた線状のスリット形状に形成されている。より具体的には、複数の分断部252は、周方向において90度間隔の4方向から順に切り込まれて形成されている。
【0039】
第2変形例に係る防音チューブ250を用いると、コイルバネ40の複数方向へ波打つ変形にも適応して変形し、巻取シャフト20の内周面に接触して防音効果を奏することができる。
【0040】
次に、第3変形例に係る防音チューブ350について説明する(
図10参照)。防音チューブ350では、第1変形例及び第2変形例に係る防音チューブ150、250と同様に、分断部352が、中心軸周りの周方向部分的に切り込まれた線状のスリット形状に形成されている。より具体的には、複数の分断部352は、周方向一方から切り込まれて形成されている。
【0041】
第3変形例に係る防音チューブ350は、より簡易に製造することができる。
【0042】
なお、防音チューブの分断部は、第1、第2及び第3変形例で示した複数の分断部152、252、352の位置に形成される場合に限られない。すなわち、複数の分断部は、45度間隔の8方向から順に切り込まれて形成されていても、その他の位置関係で形成されていてもよい。
【0043】
次に、第4変形例に係る防音チューブ450について説明する(
図11参照)。防音チューブ450では、分断部452が、螺旋状に切り込まれた線状のスリット形状に形成されている。すなわち、防音チューブ450は、螺旋状に連なる帯状体により筒状に形成されている。なお、防音チューブ450は、螺旋の角度が急になるほど(中心軸方向に対して直交する方向に近付くほど)、コイルバネ40の変形に対して追従しやすくなると推測される。
【0044】
第4変形例に係る防音チューブ450を用いると、コイルバネ40の波打ち変形により柔軟に適応して変形して、より高い防音効果を得ることができる。
【0045】
次に、第5変形例に係る防音チューブ550について説明する(
図12参照)。防音チューブ550では、分断部552が、中心軸周りの周方向部分的に中心軸方向に幅を有するスリット形状に形成されている。
【0046】
第5変形例に係る防音チューブ550を用いると、コイルバネ40のより大きく波打った変形にもより柔軟に追従して変形し、防音効果を得ることができる。
【0047】
また、上記各変形例に係る複数の分断部152、252、352、452、552の防音チューブ150、250、350、450、550の中心軸方向における間隔は、分断部52と同様の観点から設定されるとよい。
【0048】
以上のように、シート巻取装置10は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。