特許第6104559号(P6104559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104559
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
   G01N35/02 G
   G01N35/02 C
   G01N35/02 E
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-232721(P2012-232721)
(22)【出願日】2012年10月22日
(65)【公開番号】特開2014-85169(P2014-85169A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】雜賀 光一
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−243310(JP,A)
【文献】 特開2010−145210(JP,A)
【文献】 特開平10−019899(JP,A)
【文献】 特開2005−030855(JP,A)
【文献】 特開2005−300220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容する第1検体収容器を搬送する第1搬送部と、
前記第1検体収容器の識別情報を取得するための第1識別部と、
前記第1検体収容器から前記検体を採取して、第2検体収容器に移す検体受渡部と、
前記第2検体収容器を所定時間停止させる休止と、前記第2検体収容器を次の位置へ移動させる動作と、を所定の時間サイクルで繰り返すことで、複数の前記第2検体収容器を搬送する第2搬送部と、
前記第2検体収容器の識別情報を取得するための第2識別部と、
前記第2検体収容器に収容された前記検体を採取し、採取した前記検体の分析を行う複数の分析部と、
前記第2搬送部を制御する制御部と、
前記第2搬送部の所定の位置における前記第2検体収容器の有無のみを検出するためのセンサー部と、
を含み、
前記検体受渡部は、前記第2検体収容器に前記検体を第1位置で移し、
前記第2搬送部は、
前記第1位置に位置する前記第2検体収容器を搬送する第1搬送ラインと、
前記第1搬送ラインで搬送された前記第2検体収容器を、前記分析部が前記検体を採取する位置に搬送する複数の第2搬送ラインと、
前記分析部が前記検体を採取する位置に搬送された前記第2検体収容器を、前記第1位置に戻すための第3搬送ラインと、
を有し、
前記センサー部は、前記第2搬送部に複数設けられ、
前記制御部は、
前記第1検体収容器の識別情報と前記第2検体収容器の識別情報とを関連づける第1処理と、
前記第2検体収容器の識別情報と前記第2検体収容器の識別情報の取得順序に基づいて前記第2搬送部の休止ごとに前記第2検体収容器の移動位置を決定して前記第2搬送部で搬送されている複数の前記第2検体収容器の各々の位置をマッピングし、前記第2搬送部
で搬送されている複数の前記第2検体収容器の位置の情報であるマッピング情報を生成して、記憶部に記録する第2処理と、
前記記憶部に記録された前記マッピング情報に基づく複数の前記センサー部が配置された複数のセンサー位置における前記第2検体収容器の有無と、複数の前記センサー部の検出結果による前記複数のセンサー位置における前記第2検体収容器の有無と、の一致、および、前記マッピング情報に基づく前記第2識別部が配置された識別位置における前記第2検体収容器の識別情報と、前記第2識別部で取得された前記第2検体収容器の識別情報と、の一致を判定し、これらが全て一致していると判定した場合には、前記記憶部に記録された前記マッピング情報を、次の時間サイクルにおける前記マッピング情報に更新する第3処理と、
を行い、
前記制御部は、前記マッピング情報に基づいて、前記検体の分析を行う前記分析部を決める、自動分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記第1検体収容器の識別情報に基づいて、前記第1検体収容器に収容されている前記検体の検体情報を取得する処理を行う、自動分析装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
各前記分析部が前記検体を採取する位置に位置する前記第2検体収容器の識別情報を取得するための第3識別部を含む、自動分析装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第2搬送部における前記第2検体収容器の搬送経路は、閉じたループを形成している、自動分析装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記制御部は、前記第2検体収容器の識別情報に基づいて、前記検体が前記第2処理で決定された前記分析部で分析されたか否かを判定する処理を行う、自動分析装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記第3搬送ラインを通る前記第2検体収容器を洗浄するための洗浄部を含む、自動分析装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記制御部は、前記第2処理において、前記第2検体収容器の識別情報と、当該識別情報を取得した順番または当該識別情報を取得した時間と、を関連づけて、前記マッピング情報を生成する、自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血清、血球、尿、骨髄等の生体試料等を検体とし、当該検体を複数項目について分析を行うことが可能な臨床検査用の自動分析装置が知られている。このような自動分析装置では、大量の検体を短時間で分析することができる、高い処理能力が要求される。
【0003】
例えば、特許文献1の自動分析装置では、処理能力を高めるために、検体を投入した順番に検体識別情報を読み取り、検体ごとの分析依頼情報および各分析作業モジュールの分析作業状況に応じて、制御部が検体の行先、すなわち、どの分析モジュールに行くかを決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−19899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、簡易な構成で、処理能力を高めることができる自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る自動分析装置は、
検体を収容する第1検体収容器を搬送する第1搬送部と、
前記第1検体収容器の識別情報を取得するための第1識別部と、
前記第1検体収容器から前記検体を採取して、第2検体収容器に移す検体受渡部と、
前記第2検体収容器を所定時間停止させる休止と、前記第2検体収容器を次の位置へ移
動させる動作と、を所定の時間サイクルで繰り返すことで、複数の前記第2検体収容器を搬送する第2搬送部と、
前記第2検体収容器の識別情報を取得するための第2識別部と、
前記第2検体収容器に収容された前記検体を採取し、採取した前記検体の分析を行う複数の分析部と、
前記第2搬送部を制御する制御部と、
前記第2搬送部の所定の位置における前記第2検体収容器の有無のみを検出するためのセンサー部と、
を含み、
前記検体受渡部は、前記第2検体収容器に前記検体を第1位置で移し、
前記第2搬送部は、
前記第1位置に位置する前記第2検体収容器を搬送する第1搬送ラインと、
前記第1搬送ラインで搬送された前記第2検体収容器を、前記分析部が前記検体を採取する位置に搬送する複数の第2搬送ラインと、
前記分析部が前記検体を採取する位置に搬送された前記第2検体収容器を、前記第1位置に戻すための第3搬送ラインと、
を有し、
前記センサー部は、前記第2搬送部に複数設けられ、
前記制御部は、
前記第1検体収容器の識別情報と前記第2検体収容器の識別情報とを関連づける第1処理と、
前記第2検体収容器の識別情報と前記第2検体収容器の識別情報の取得順序に基づいて前記第2搬送部の休止ごとに前記第2検体収容器の移動位置を決定して前記第2搬送部で搬送されている複数の前記第2検体収容器の各々の位置をマッピングし、前記第2搬送部で搬送されている複数の前記第2検体収容器の位置の情報であるマッピング情報を生成して、記憶部に記録する第2処理と、
前記記憶部に記録された前記マッピング情報に基づく複数の前記センサー部が配置された複数のセンサー位置における前記第2検体収容器の有無と、複数の前記センサー部の検出結果による前記複数のセンサー位置における前記第2検体収容器の有無と、の一致、および、前記マッピング情報に基づく前記第2識別部が配置された識別位置における前記第2検体収容器の識別情報と、前記第2識別部で取得された前記第2検体収容器の識別情報と、の一致を判定し、これらが全て一致していると判定した場合には、前記記憶部に記録された前記マッピング情報を、次の時間サイクルにおける前記マッピング情報に更新する第3処理と、
を行い、
前記制御部は、前記マッピング情報に基づいて、前記検体の分析を行う前記分析部を決める。
【0007】
このような自動分析装置によれば、制御部が第2搬送部で搬送されている複数の第2検体収容器の各々の位置を把握して、検体の分析を行う分析部を決めるため、例えば、分析部の混雑状況に応じて、検体の分析を行う分析部を決めることができる。したがって、処理能力を高めることができる。
【0008】
また、このような自動分析装置によれば、第1搬送ライン、第2搬送ライン、および第3搬送ラインによって、第1位置に位置している第2検体収容器を、分析部で検体が採取された後に、再び、第1位置に戻すことができる。そのため、例えば、1つの第2識別部で複数の第2検体収容器の各々の位置を把握することができる。したがって、簡易な構成で、処理能力を高めることができる。
【0009】
(2)本発明に係る自動分析装置において、
前記制御部は、前記第1検体収容器の識別情報に基づいて、前記第1検体収容器に収容されている前記検体の検体情報を取得する処理を行う。
【0010】
このような自動分析装置によれば、簡易な構成で、処理能力を高めることができる。
【0011】
(3)本発明に係る自動分析装置において、
前記分析部が前記検体を採取する位置に位置する前記第2検体収容器の識別情報を取得するための第3識別部を含んでいてもよい。
【0012】
このような自動分析装置によれば、検体の取り違えを防ぐことができる。
【0013】
(4)本発明に係る自動分析装置において、
前記第2搬送部における前記第2検体収容器の搬送経路は、閉じたループを形成していてもよい。
【0014】
このような自動分析装置によれば、簡易な構成で、処理能力を高めることができる。
【0015】
(5)本発明に係る自動分析装置において、
前記制御部は、前記第2検体収容器の識別情報に基づいて、前記検体が前記第2処理で決定された前記分析部で分析されたか否かを判定する処理を行ってもよい。
【0016】
このような自動分析装置によれば、検体の取り違えを防ぐことができる。
【0019】
)本発明に係る自動分析装置において、
前記第3搬送ラインを通る前記第2検体収容器を洗浄するための洗浄部を含んでいてもよい。
【0020】
このような自動分析装置によれば、第2検体収容器を、再利用することができる。
(7)本発明に係る自動分析装置において、
前記制御部は、前記第2処理において、前記第2検体収容器の識別情報と、当該識別情報を取得した順番または当該識別情報を取得した時間と、を関連づけて、前記マッピング情報を生成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る自動分析装置の構成を説明するための図。
図2】第1実施形態に係る自動分析装置の第2搬送部の一部を模式的に示す図。
図3】第1実施形態に係る自動分析装置の第2搬送部の一部を模式的に示す図。
図4】第1検体収容器を模式的に示す斜視図。
図5】第2検体収容器を模式的に示す斜視図。
図6】第1実施形態に係る自動分析装置の動作フローの一例を説明するための図。
図7】第1実施形態に係る自動分析装置における情報フローの一例を説明するための図。
図8】第2検体収容器の監視方法について説明するための図。
図9】第2実施形態に係る自動分析装置の構成を説明するための図。
図10】第2実施形態に係る自動分析装置の第2搬送部の一部を模式的に示す図。
図11】第2実施形態に係る自動分析装置の動作フローの一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0023】
1. 第1実施形態
1.1. 自動分析装置の構成
まず、第1実施形態に係る自動分析装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る自動分析装置100の構成を説明するための図である。図2および図3は、自動分析装置100の第2搬送部40の一部を模式的に示す図である。なお、図2は、図1の領域αを模式的に示す図であり、図3は、図1の領域βを模式的に示す図である。
【0024】
自動分析装置100は、図1図3に示すように、第1搬送部10と、第1識別部20と、検体受渡部30と、第2搬送部40と、第2識別部50と、分析部60a,60b,60c,60dと、制御部72を有する操作部70と、を含む。自動分析装置100は、さらに、洗浄部80と、検体希釈部82と、攪拌部84と、センサー部90と、を含むことができる。
【0025】
自動分析装置100は、例えば、血清、血球、尿、骨髄等の生体試料等を検体とし、当該検体について分析を行うことが可能な臨床検査用の自動分析装置である。
【0026】
第1搬送部10は、検体(親検体)を収容する第1検体収容器2を搬送する。第1搬送部10は、複数の第1検体収容器2を搬送することができる。図示の例では、第1搬送部10は、複数の第1検体収容器2が保持されたラック1を搬送している。第1搬送部10は、第1検体収容器2を、検体が採取される位置P0に搬送する。位置P0は、第1搬送部10の搬送ライン12上の位置であり、検体受渡部30が第1検体収容器2から検体を採取する位置である。
【0027】
図示の例では、第1搬送部10は、第1検体収容器2を搬送する搬送ライン12と、検体が収容された複数の第1検体収容器2がセットされる検体供給部14と、検体が採取された第1検体収容器2が回収される回収部16と、を有している。搬送ライン12は、検体が収容された第1検体収容器2を、検体供給部14から位置P0まで搬送する。そして、搬送ライン12は、位置P0で検体が採取された第1検体収容器2を、位置P0から回収部16まで搬送する。
【0028】
図4は、第1検体収容器2を模式的に示す斜視図である。第1検体収容器2は、ラック1に収容されている。第1検体収容器2は、検体(親検体)を収容するための容器である。第1検体収容器2は、検体を収容するセル2aと、第1検体収容器2の識別情報を保持し、第1識別部20で読み取り可能な記録媒体2bと、を含んで構成されている。図示の例では、記録媒体2bは、セル2aに付されたバーコードである。記録媒体2bは、バーコードに限定されず、磁気記録媒体、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等のICタグであってもよい。ここで、第1検体収容器2の識別情報とは、対象となる第1検体収容器2を他の第1検体収容器2と識別するための情報である。すなわち、記録媒体2bには、各第1検体収容器2の固有の識別IDが記録されている。自動分析装置100では、第1検体収容器2の識別情報に基づいて、第1検体収容器2に収容されている検体の検体情報を、取得することができる。
【0029】
ラック1は、1個以上の第1検体収容器2を保持することができる。ラック1は、図示の例では、5個の第1検体収容器2を保持しているが、その数は限定されない。ラック1には、記録媒体(バーコード)2bの読み取り用の切欠きが設けられている。図示はしないが、第1検体収容器2の識別情報を保持する記録媒体2bが、ラック1に付されていてもよい。なお、ここでは、第1検体収容器2がラック1に保持されている場合について説明したが、第1検体収容器2がラック1に保持されずに、第1検体収容器2が、直接、搬送ライン上に置かれて搬送されていてもよい。
【0030】
第1識別部20は、第1検体収容器2の識別情報を取得する。第1識別部20は、第1検体収容器2の記録媒体2bから、第1検体収容器2の識別情報を読み取ることができる。図示の例では、第1識別部20は、検体供給部14と位置P0との間で第1検体収容器2の識別情報を読み取っている。第1識別部20は、例えば、第1検体収容器2の記録媒体(バーコード)2bを読み取るためのバーコードリーダーである。なお、記録媒体2bがICタグである場合、第1識別部20は、ICタグリーダーであってもよい。第1識別部20が取得した第1検体収容器2の識別情報は、操作部70に送られる。
【0031】
検体受渡部30は、第1検体収容器2から検体を採取して、第2検体収容器4に移す。検体受渡部30は、位置P0に位置している第1検体収容器2から検体を採取する。そして、検体受渡部30は、採取した検体を、位置P1(第1位置)に位置している第2検体収容器4内に吐出する。これにより、第1検体収容器2に収容されていた検体(親検体)は、第2検体収容器4に子検体として分注される。位置P1は、第2搬送部40の第1搬送ライン42上の位置であり、検体受渡部30が検体を第2検体収容器4に移す位置である。
【0032】
検体受渡部30は、図示の例では、検体を吸引および吐出するためのピペット32と、ピペット32を移動させるための移動機構34と、を有している。検体受渡部30は、位置P0に位置している第1検体収容器2からピペット32によって検体を吸引する。そして、移動機構34がピペット32を位置P1に位置している第2検体収容器4に検体を吐出できる位置まで移動させた後、ピペット32が第2検体収容器4内に検体を吐出する。なお、図示はしないが、検体受渡部30は、第1検体収容器2ごと検体を採取して、第2検体収容器4に移してもよい。すなわち、例えば、第2検体収容器4は、第1検体収容器2を収容可能に形成されており、検体受渡部30は、検体が収容された第1検体収容器2ごとを第2検体収容器4に移してもよい。
【0033】
第2搬送部40は、検体(子検体)を収容する第2検体収容器4を搬送する。第2搬送部40は、複数の第2検体収容器4を搬送する。第2搬送部40は、第1搬送ライン42と、複数の第2搬送ライン44a,44b,44c,44dと、第3搬送ライン46と、第4搬送ライン48と、を有している。第2搬送部40は、さらに、移送機構49を有し
ている。
【0034】
第1搬送ライン42は、位置P1に位置する第2検体収容器4を搬送する。第1搬送ライン42は、第2検体収容器4を、位置P1から位置P8まで搬送することができる。第1搬送ライン42は、位置P1に位置している第2検体収容器4を、位置P2、位置P3、位置P4、位置P5、位置P6、位置P7、位置P8に搬送することができる。第2検体収容器4は、位置P8まで搬送されると、移送機構49によって、第3搬送ライン46に移される。第1搬送ライン42は、第1方向Aに第2検体収容器4を移動させる。
【0035】
位置P1〜位置P8は、第1搬送ライン42上の位置である。位置P2では、第2検体収容器4に収容された検体を、攪拌部84によって攪拌することができる。位置P4では、第2検体収容器4を、移送機構49によって、第2搬送ライン44aに移すことができる。位置P5では、第2検体収容器4を、移送機構49によって、第2搬送ライン44bに移すことができる。位置P6では、第2検体収容器4を、移送機構49によって、第2搬送ライン44cに移すことができる。位置P7では、第2検体収容器4を、移送機構49によって、第2搬送ライン44dに移すことができる。なお、位置P4,P5,P6,P7に位置している第2検体収容器4を、第2搬送ライン44a,44b,44c,44dに移すか否かは、操作部70の制御部72によって決定される。
【0036】
第2搬送ライン44aは、第1搬送ライン42で搬送された第2検体収容器4を、位置P10に搬送する。位置P10は、第2搬送ライン44a上の位置であって、第1分析部60aが第2検体収容器4に収容された検体を採取する位置である。第2搬送ライン44aは、第1搬送ライン42の位置P4から移された第2検体収容器4を、位置P10に搬送する。第2搬送ライン44aは、第1方向Aに第2検体収容器4を移動させる。第1分析部60aによって検体が採取された後、第2搬送ライン44aは、位置P10に位置する第2検体収容器4を、位置P11に搬送する。第2検体収容器4は、位置P11に搬送されると、移送機構49によって、第1搬送ライン42に移される。
【0037】
第2搬送ライン44bは、第1搬送ライン42で搬送された第2検体収容器4を、位置P12に搬送する。位置P12は、第2搬送ライン44b上の位置であって、第2分析部60bが第2検体収容器4に収容された検体を採取する位置である。第2搬送ライン44bは、第1搬送ライン42の位置P5から移された第2検体収容器4を、位置P12に搬送する。第2搬送ライン44bは、第1方向Aに第2検体収容器4を移動させる。分析部60bによって検体が採取された後、第2搬送ライン44bは、位置P12に位置する第2検体収容器4を、位置P13に搬送する。第2検体収容器4は、位置P13に搬送されると、移送機構49によって、第1搬送ライン42に移される。
【0038】
第2搬送ライン44cは、第1搬送ライン42で搬送された第2検体収容器4を、位置P14に搬送する。位置P14は、第2搬送ライン44c上の位置であって、第3分析部60cが第2検体収容器4に収容された検体を採取する位置である。第2搬送ライン44cは、第1搬送ライン42の位置P6から移された第2検体収容器4を、位置P14に搬送する。第2搬送ライン44cは、第1方向Aに第2検体収容器4を移動させる。分析部60cによって検体が採取された後、第2搬送ライン44cは、位置P14に位置する第2検体収容器4を、位置P15に搬送する。第2検体収容器4は、位置P15に搬送されると、移送機構49によって、第1搬送ライン42に移される。
【0039】
第2搬送ライン44dは、第1搬送ライン42で搬送された第2検体収容器4を、位置P16に搬送する。位置P16は、第2搬送ライン44d上の位置であって、第4分析部60dが第2検体収容器4に収容された検体を採取する位置である。第2搬送ライン44dは、第1搬送ライン42の位置P7から移された第2検体収容器4を、位置P16に搬
送する。第2搬送ライン44dは、第1方向Aに第2検体収容器4を移動させる。分析部60dによって検体が採取された後、第2搬送ライン44dは、位置P16に位置する第2検体収容器4を、位置P17に搬送する。第2検体収容器4は、位置P17に搬送されると、移送機構49によって、第1搬送ライン42に移される。
【0040】
第3搬送ライン46は、位置P10、位置P12、位置P14、および位置P16の少なくとも1つに搬送された第2検体収容器4を、位置P1に戻すための搬送ラインである。すなわち、第3搬送ライン46は、分析部60a,60b,60c,60dで分析が行われた検体を収容していた第2検体収容器4を、検体が分注される位置P1に戻すための搬送ラインである。第3搬送ライン46は、第1方向Aとは反対方向である第2方向Bに第2検体収容器4を移動させる。第3搬送ライン46は、位置P20に位置している第2検体収容器4を、位置P21、位置P22、位置P23、位置P24、位置P25、位置P26に搬送することができる。
【0041】
位置P20〜位置P26は、第3搬送ライン46上の位置である。位置P20は、第2検体収容器4が移送機構49によって第1搬送ライン42から移される位置である。位置P21では、第2識別部50によって、第2検体収容器4の識別情報が読み取られる。位置P22では、第2検体収容器4を、移送機構49によって、第1搬送ライン42または第4搬送ライン48に移すことができる。なお、位置P22で第2検体収容器4を第1搬送ライン42または第4搬送ライン48のいずれかに移すか否かは、操作部70の制御部72によって決定される。位置P23、位置P24、位置P25では、洗浄部80によって第2検体収容器4を洗浄することができる。位置P26では、第2検体収容器4を、移送機構49によって第1搬送ライン42上の位置P1に移すことができる。
【0042】
第4搬送ライン48は、第2検体収容器4に収容された検体を希釈して第1搬送ライン42に戻すための搬送ラインである。第4搬送ライン48は、第3搬送ライン46から移された第2検体収容器4を、位置P30まで移動させる。位置P30は、第4搬送ライン48上の位置であって、第2検体収容器4内の検体が検体希釈部82によって希釈される位置である。第4搬送ライン48は、第2方向Bに第2検体収容器4を搬送する。第4搬送ライン48は、位置P30に位置する第2検体収容器4を位置P31に搬送することができる。第2検体収容器4は、位置P31に搬送されると、移送機構49によって位置P1に移される。
【0043】
搬送ライン42,44a,44b,44c,44d,46,48は、例えば、搬送ベルトを含んで構成されている。搬送ベルトは、一定の場所で循環しているベルトである。搬送ライン42,44a,44b,44c,44d,46,48では、搬送ベルト上に置かれた第2検体収容器4を移動させることができる。
【0044】
移送機構49は、第2搬送部40の搬送ライン42,44a,44b,44c,44d,46,48で搬送されている第2検体収容器4を、他の搬送ライン42,44a,44b,44c,44d,46,48に移すことができる。移送機構49は、例えば、第2検体収容器4を把持するための把持部と、把持部を移動させるための移動機構と、を含んで構成されている。移送機構49は、搬送ライン42,44a,44b,44c,44d,46,48で搬送されている第2検体収容器4を把持部によって把持し、第2検体収容器4を把持している把持部を移動機構によって移動させる。これにより、第2検体収容器4を他の搬送ライン42,44a,44b,44c,44d,46,48に移動させることができる。
【0045】
第2搬送部40における第2検体収容器4の搬送経路は、閉じたループを形成している。すなわち、第2検体収容器4は、位置P1から搬送されて、再び位置P1に戻るように
搬送される。ここで、第2検体収容器4の搬送経路とは、第2検体収容器4が通過する道筋をいう。第2搬送部40では、第2検体収容器4を、第1搬送ライン42、第2搬送ライン44a,44b,44c,44d、および第3搬送ライン46によって搬送することにより、位置P1に位置している第2検体収容器4を、再び位置P1に戻るように搬送することができる。
【0046】
図5は、第2検体収容器4を模式的に示す斜視図である。図示の例では、第2検体収容器4は、第1搬送ライン42上に置かれている。第2検体収容器4は、検体(子検体)を収容するための容器である。第2検体収容器4は、検体(子検体)を収容するためのセル4aを有している。さらに、第2検体収容器4は、第2検体収容器4の識別情報を保持し、第2識別部50で読み取り可能な記録媒体4bを有している。第2検体収容器4の識別情報とは、対象となる第2検体収容器4を他の第2検体収容器4と識別するための情報である。すなわち、記録媒体4bには、各第2検体収容器4の固有の識別IDが記録されている。図示の例では、記録媒体4bは、RFIDチップである。なお、記録媒体4bは、バーコードや、ICタグであってもよい。記録媒体4bでは、例えば、情報の書き込みや、情報の消去が可能である。
【0047】
第2識別部50は、第2検体収容器4の識別情報を取得する。第2識別部50は、第2検体収容器4の記録媒体4bから、第2検体収容器4の識別情報を読み取ることができる。図示の例では、第2識別部50は、第3搬送ライン46上の位置P21に位置している第2検体収容器4の識別情報を取得している。なお、第2識別部50が、第2検体収容器4の識別情報を読み取る位置は、第2検体収容器4の搬送経路上であれば特に限定されない。第2識別部50は、例えば、図4に示すように、アンテナ52を有し、アンテナ52を介して、記録媒体4bから情報を読み取ったり、情報を消去したりすることができる。第2識別部50は、例えば、ICタグリーダーである。
【0048】
分析部60a,60b,60c,60dは、第2検体収容器4に収容された検体を採取し、採取した検体の分析を行う。自動分析装置100は、第1〜第4分析部60a,60b,60c,60dを有している。すなわち、自動分析装置100は、複数の分析部を有している。なお、分析部の数は、2つ以上であれば特に限定されない。自動分析装置100では、1つの分析部60a,60b,60c,60dで複数項目の分析を行ってもよいし、1つの分析部60a,60b,60c,60dで1つの項目の分析を行ってもよい。また、分析部60a,60b,60c,60dは、互いに異なる項目の分析を行ってもよいし、同じ項目の分析を行ってもよい。分析部60a,60b,60c,60dで得られた分析結果は、操作部70の制御部72に送られる。
【0049】
各分析部60a,60b,60c,60dは、図1に示すように、第1分注装置62と、複数の反応セルが配置されたターンテーブル64と、第2分注装置66と、試薬容器が配置されたターンテーブル68と、分析装置69と、を含んで構成されている。第1分注装置62は、第2検体収容器4から検体を採取して、反応セル内に吐出する。第2分注装置66は、試薬容器から試薬を採取し、反応セル内に吐出する。第2分注装置66は、例えば、検体が分注される前に、反応セル内に試薬を吐出する。第2分注装置66は、例えば、複数設けられる。反応セル内の検体と試薬は、攪拌装置(図示せず)によって攪拌される。分析装置69は、試薬と反応した検体を測定する。ターンテーブル64は、反応セルを、検体が吐出される位置、試薬が吐出される位置、検体が測定される位置に移動させる。各分析部60a,60b,60c,60dでは、複数の検体の分析を並行して行うことができる。
【0050】
洗浄部80は、第3搬送ライン46を通る第2検体収容器4を洗浄する。洗浄部80は、図示(図2参照)の例では、位置P22と位置P26との間の第3搬送ライン46上の
位置P23、P24、P25に位置している第2検体収容器4を洗浄する。
【0051】
洗浄部80は、例えば、廃液吸引ポンプ80aと、洗浄液ポンプ80bと、乾燥装置80cと、を含んで構成されている。廃液吸引ポンプ80aは、第2検体収容器4内の検体を吸引し、廃液タンク(図示せず)に排出する。洗浄液ポンプ80bは、第2検体収容器4内に洗浄液を供給し、第2検体収容器4を洗浄する。乾燥装置80cは、第2検体収容器4を乾燥させる。このように、洗浄部80によって、第2検体収容器4を再生することができる。すなわち、検体を収容した第2検体収容器4を洗浄部80で洗浄することにより、第2検体収容器4内の当初の検体は除去され、第2検体収容器4に新たな検体を分注することができる。
【0052】
検体希釈部82は、第4搬送ライン48を通る第2検体収容器4に、検体を希釈するための希釈液を供給することができる。検体希釈部82は、例えば、ピペット32と、移動機構34と、希釈容器82cと、を有する。検体希釈部82では、例えば、ピペット32がターンテーブル上の希釈容器82cから希釈液を吸引した後、移動機構34によって移動し、第4搬送ライン48上の位置P30に位置している第2検体収容器4内に吐出する。これにより、第2検体収容器4内の検体を、再希釈することができる。
【0053】
攪拌部84は、第1搬送ライン42上の位置P3に位置している第2検体収容器4内の検体を攪拌する。攪拌部84は、例えば、検体の攪拌を行うための攪拌プローブ84aと、攪拌プローブ84aを回転運動または往復運動させるための動作機構(図示せず)と、を有している。さらに、攪拌部84は、攪拌プローブ84aを洗浄するための洗浄機構を有していてもよい。
【0054】
センサー部90は、第2検体収容器4が、所定の位置に位置しているか否かを判定するための装置である。センサー部90は、例えば、光学式センサーであり、所定の位置における第2検体収容器4の有無を光学的に検出することができる。センサー部90は、複数設けられている。図示の例では、センサー部90は、位置P1、位置P2、位置P6、位置P7、位置P8、位置P14、位置P16、位置P21、位置P30、位置P31の各位置における第2検体収容器4の有無を検出できるように複数設けられている。なお、センサー部90を設ける位置は特に限定されない。
【0055】
操作部70は、自動分析装置100を構成する各部10,20,30,40,50,60a,60b,60c,60d、80,82,84、90を制御する。また、操作部70は、例えば、臨床検査情報システム(LIS)や検査自動化システム(LAS)との通信を行うことができる。操作部70は、臨床検査情報システムや検査自動化システムへ検体の情報を問い合わせることができる。
【0056】
操作部70は、例えば、制御部72を含む処理部と、表示部74と、入力部76と、記憶部78と、情報記憶媒体79と、を含んで構成されているコンピューターである。
【0057】
表示部74は、処理部によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部74は、例えば、分析結果を表示することができる。
【0058】
入力部76は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部に出力する。入力部76の機能は、キーボード、マウス、タッチパネル型ディスプレイなどのハードウェアにより実現することができる。
【0059】
記憶部78は、処理部のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現で
きる。情報記憶媒体79(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部は、情報記憶媒体79に格納されるプログラムに基づいて本実施形態の種々の処理を行う。情報記憶媒体79には、処理部の各部としてコンピューターを機能させるためのプログラムが記憶される。記憶部78および情報記憶媒体79の少なくとも一方には、第1検体収容器2の識別情報、第2検体収容器4の識別情報、検体の検体情報を記憶させることができる。検体情報には、例えば、測定に必要な依頼項目、検体種別(血清、尿等)、患者属性等が含まれる。
【0060】
処理部は、入力部76からの操作データやプログラムなどに基づいて、各種処理などを行う。処理部は記憶部78をワーク領域として各種処理を行う。処理部の機能は各種プロセッサー(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、アプリケーションプログラム、OS(例えば汎用OS等)により実現できる。処理部は、制御部72を有している。制御部72は、自動分析装置100を構成する各部10,20,30,40,50,60a,60b,60c,60d、80,82,84、90を制御する処理を行う。また、制御部72は、臨床検査情報システム(LIS)や検査自動化システム(LAS)との通信を行うことができる。
【0061】
制御部72は、第1検体収容器2の識別情報と、第2検体収容器4の識別情報とを関連づける処理を行う。さらに、制御部72は、第2検体収容器4の識別情報に基づいて第2搬送部40で搬送されている複数の第2検体収容器4の各々の位置を把握し、検体の分析を行う分析部60a,60b,60c,60dを決める処理を行う。すなわち、制御部72は、第2検体収容器4の搬送経路を決める処理を行う。
【0062】
また、制御部72は、第1検体収容器2の識別情報に基づいて、LISまたはLASから、第1検体収容器2に収容されている検体の検体情報を取得することができる。
【0063】
1.2. 自動分析装置の動作
次に、第1実施形態に係る自動分析装置の動作について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態に係る自動分析装置100の動作フローの一例を説明するための図である。
【0064】
まず、第1搬送部10、検体受渡部30、第2搬送部40、および分析部60a,60b,60c,60dにスタート指示がなされる(ステップS10)。スタート指示は、例えば、操作部70(制御部72)によって行われる。
【0065】
次に、ユーザーが、検体(親検体)が収容された第1検体収容器2を検体供給部14にセットする(ステップS11)。第1検体収容器2は、ラック1に保持された状態で、検体供給部14にセットされる。
【0066】
次に、第1搬送部10が、第1検体収容器2の搬送を開始する(ステップS12)。第1搬送部10は、搬送ライン12によってラック1ごと第1検体収容器2を搬送する。第1搬送部10は、搬送ライン12によって第1検体収容器2を検体供給部14から第1識別部20の読み取り位置を通って、位置P0まで搬送する。
【0067】
第1検体収容器2が第1識別部20の読み取り位置に位置すると、第1識別部20が、第1検体収容器2の識別情報(固有識別ID)を読み取る(ステップS13)。第1識別部20は、第1検体収容器2の記録媒体2bから第1検体収容器2の識別情報を読み取る。第1識別部20は、読み取った識別情報を操作部70の制御部72に送る。第1検体収
容器2の識別情報は、記憶部78に記憶される。
【0068】
第1検体収容器2が位置P0(検体分注位置)まで搬送されると(ステップS14)、検体受渡部30が、第1検体収容器2から第2検体収容器4に検体を受け渡す(ステップS20)。検体受渡部30は、位置P0に位置している第1検体収容器2に収容されている検体を採取して、位置P1に位置している第2検体収容器4内に吐出する。第2検体収容器4に吐出された検体は、子検体となる。
【0069】
検体受渡部30によって第1検体収容器2から検体が採取されると、第1搬送部10が、第1検体収容器2を、搬送ライン12によって回収部16に搬送する(ステップS15)。第1搬送部10、第1識別部20、および検体受渡部30は、検体(親検体)数に応じて、ステップS13、ステップS14,ステップS20、ステップS15の動作を繰り返し行う。
【0070】
一方、スタート指示がなされると、第2搬送部40が、第2検体収容器4の搬送を開始する(ステップS30)。
【0071】
第3搬送ライン46上の第2検体収容器4が位置P21(図2参照)に位置すると、第2識別部50が、第2検体収容器4の識別情報(固有識別ID)を読み取る(ステップS31)。第2識別部50は、第2検体収容器4の記録媒体4bから第2検体収容器4の識別情報を読み取る。第2識別部50は、読み取った識別情報を操作部70の制御部72に送る。第2検体収容器4の識別情報は、記憶部78に記憶される。第2検体収容器4の識別情報の読み取りが終わると、第2搬送部40が、第2検体収容器4を、位置P23,P24,P25に搬送する。
【0072】
第2検体収容器4が位置P23,P24,P25に位置すると、洗浄部80が第2検体収容器4を洗浄する(ステップS32)。洗浄が終わると、第2搬送部40が、第2検体収容器4を、第3搬送ライン46によって位置P26に搬送し、移送機構49によって第1搬送ライン42上の位置P1に移す。第2検体収容器4が位置P1に移されると、検体受渡部30が、上述したステップS20の処理により、検体を分注する。このとき、操作部70の制御部72は、第1検体収容器2の識別情報と第2検体収容器4の識別情報とを、紐づけする(ステップS33)。すなわち、制御部72は、第1検体収容器2の識別情報と第2検体収容器4の識別情報とを関連づける。この紐付された情報は、例えば、操作部70の記憶部78に記憶される。
【0073】
位置P1で第2検体収容器4に検体が分注されると、第2搬送部40が、位置P1に位置している第2検体収容器4を、第1搬送ライン42によって、位置P4に搬送する。なお、第2検体収容器4が位置P4に到着する前に、位置P2において、攪拌部84が、第2検体収容器4に収容されている検体を攪拌してもよい。
【0074】
第2検体収容器4が位置P4に位置すると、制御部72が第1分析部60aで分析を行うと決定した場合、第2搬送部40が、第2検体収容器4を移送機構49によって第2搬送ライン44aに移す。このとき、制御部72が、第1分析部60aに、測定項目や分析条件等の分析に必要な情報を送る。なお、制御部72が、第1分析部60aに情報を送るタイミングは、第1分析部60aが、当該情報に基づいて、分析に必要な準備を行うことができるタイミングであれば特に限定されない。
【0075】
また、制御部72が第1分析部60aで分析を行わないと決定した場合、第2搬送部40が、第2検体収容器4を第1搬送ライン42によって、位置P5に搬送する。制御部72は、例えば、位置P4に位置する直前に、第1分析部60aで分析を行うか否かを決定
する処理、すなわち、第1分析部60aに引き込むか否かの判定処理を行う(ステップS34)。なお、制御部72がステップS34の処理を行うタイミングは特に限定されないが、位置P4に位置する直前に行われることが望ましい。制御部72は、第2搬送部40で搬送されている各第2検体収容器4の位置情報(マッピング情報)に基づいて、第1分析部60aで分析を行うか否かを決める。このときの制御部72の処理については後述する。
【0076】
第2検体収容器4が第2搬送ライン44aに送られると、第2搬送部40が、第2検体収容器4を第2搬送ライン44aによって、位置P10に搬送する(ステップS35)。
【0077】
第1分析部60aは、制御部72からの測定項目や分析条件等の情報を受けて、分析項目の確定、分析順番の確定、試薬等の採取準備を行う(ステップS40)。第2検体収容器4が位置P10に位置すると、第1分析部60aは、第2検体収容器4に収容されている検体を採取する(ステップS41)。そして、第1分析部60aは、採取した検体の分析を行う(ステップS42)。
【0078】
第1分析部60aによって第2検体収容器4から検体が採取されると、第2搬送部40が、第2検体収容器4を、第2搬送ライン44aによって位置P10から位置P11に搬送し、移送機構49によって第1搬送ライン42に戻す。第2検体収容器4が第1搬送ライン42に戻されると、第2搬送部40が、第2検体収容器4を、第1搬送ライン42によって位置P5に搬送する。
【0079】
第2検体収容器4が位置P5に位置すると、制御部72が第2分析部60bで分析を行うと決定した場合、第2搬送部40が、第2検体収容器4を移送機構49によって第2搬送ライン44bに移す。その後の動作は、第1分析部60aの場合と同様であり、その説明を省略する。また、制御部72が第2分析部60bで分析を行わないと決定した場合、第2搬送部40が、第2検体収容器4を第1搬送ライン42によって、位置P6に搬送する。
【0080】
第2検体収容器4が位置P6に位置すると、制御部72が第3分析部60cで分析を行うと決定した場合、第2搬送部40が、第2検体収容器4を移送機構49によって第2搬送ライン44cに移す。その後の動作は、第1分析部60aの場合と同様であり、その説明を省略する。また、制御部72が第3分析部60cで分析を行わないと決定した場合、第2搬送部40が、第2検体収容器4を第1搬送ライン42によって、位置P7に搬送する。
【0081】
第2検体収容器4が位置P7に位置すると、制御部72が第4分析部60dで分析を行うと決定した場合、第2搬送部40が、第2検体収容器4を移送機構49によって第2搬送ライン44dに移す。その後の動作は、第1分析部60aの場合と同様であり、その説明を省略する。また、制御部72が第4分析部60dで分析を行わないと決定した場合、第2搬送部40が、第2検体収容器4を第1搬送ライン42によって、位置P8に搬送する。
【0082】
第2検体収容器4が位置P8に位置すると、第2搬送部40が、第2検体収容器4を、移送機構49によって第3搬送ライン46に移す。第2検体収容器4が第3搬送ライン46に移されると、第2搬送部40が、第2検体収容器4を第3搬送ライン46によって、再び、位置P21に搬送する。第2検体収容器4が位置P21に位置すると、第2識別部50が第2検体収容器4の識別情報を読み取る(ステップS31)。
【0083】
ここで、操作部70の制御部72は、分析部60a,60b,60c,60dの分析結
果に基づいて、検体の再検査が必要か否かを判定する処理を行う。この結果、再検査が不要と判定された場合、自動分析装置100は、ステップS31〜S35の動作を行う。すなわち、第2検体収容器4には、新たな検体が収容されて、分析が行われる。このように、自動分析装置100では、第2検体収容器4は、再利用される。
【0084】
一方、再検査が必要と判定された場合、第2搬送部40が、第2検体収容器4を第3搬送ライン46によって位置P22に搬送し、移送機構49によって第1搬送ライン42の位置P3に移す。そして、制御部72および第2搬送部40が、上述したステップS34、ステップS35の動作を行い、分析部60a,60b,60c,60dが、ステップS40、ステップS41、ステップS42の動作を行う。再分析が行われた検体を収容していた第2検体収容器4が、再度、位置P21に位置すると、制御部72が、再び、再々検査が必要か否かを判定する処理を行うこともできる。その後の動作は、上述した場合と同様である。
【0085】
自動分析装置100では、上述した動作を繰り返し行い、複数の検体の分析を行う。
【0086】
1.3. 自動分析装置における情報の流れ
次に、第1実施形態に係る自動分析装置における情報の流れについて、図面を参照しながら説明する。図7は、第1実施形態に係る自動分析装置100における情報フローの一例を説明するための図である。
【0087】
親検体を収容している第1検体収容器2の固有識別ID(識別情報)は、第1識別部20で読み取られる。第1検体収容器2の識別情報は、第1識別部20によって、第1搬送部10の制御部10a、および検体受渡部30の制御部30aを介して、操作部70の制御部72に送られる。
【0088】
制御部72は、第1検体収容器2の検体情報に基づいて、当該第1検体収容器2に収容されている検体情報を取得する処理を行う。具体的には、操作部70の制御部72は、第1検体収容器2の識別情報に基づいて、検体情報を、臨床検査情報システム(LIS)101または検査自動化システム(LAS)101に問い合わせる。検体情報は、当該識別情報で識別される第1検体収容器2に収容されている検体の検体情報である。検体情報は、LIS/LAS101によって、操作部70に送られる。検体情報は、記憶部78に記憶される。
【0089】
一方、子検体を収容するための第2検体収容器4の固有識別ID(識別情報)は、第2識別部50で読み取られる。第2検体収容器4の識別情報は、第2搬送部40の制御部40aを介して、操作部70の制御部72に送られ、記憶部78に記憶される。
【0090】
操作部70の制御部72は、記憶部78に記憶された検体情報に基づいて、検体量や希釈条件等の検体の分注に必要な情報を検体受渡部30に送る。検体受渡部30は、この情報に基づいて、第1検体収容器2から第2検体収容器4に検体を受け渡す。このとき、操作部70の制御部72によって、親検体を収容している第1検体収容器2の識別情報と、子検体を収容している第2検体収容器4の識別情報とが紐づけされる。すなわち、操作部70の制御部72は、親検体を収容している第1検体収容器2の識別情報と、子検体を収容している第2検体収容器4の識別情報とを関連付ける。ここで、制御部72は、第1検体収容器2に収容されている親検体の検体情報を取得しているため、第1検体収容器2に収容されている親検体の検体情報と、第2検体収容器4の識別情報とを関連づける(紐づける)ことができる。
【0091】
第2検体収容器4が位置P4に位置すると、操作部70の制御部72が、第2検体収容
器4の識別情報に基づいて第2搬送部40で搬送されている各第2検体収容器4の位置を把握し、第1分析部60aで分析を行うか否かを決める。このときの制御部72の処理については後述する。第1分析部60aで分析を行うと決定した場合、測定項目や分析条件等の分析に必要な情報が、操作部70の制御部72から、第1分析部60aの制御部60aaに送られる。第1分析部60a(制御部60aa)は、この情報に基づいて動作する。
【0092】
第2検体収容器4が、位置P5、位置P6、位置P7に位置したときも、上述した第2検体収容器4が位置P4に位置したときと同様の処理が、制御部72および各分析部60b,60c,60d(制御部60ba,60ca,60da)で行われる。各分析部60a,60b,60c,60dで得られた分析結果は、制御部72に送られる。
【0093】
分析済みの検体が収容された第2検体収容器4は、第3搬送ライン46によって位置P21に搬送される。位置P21に搬送された第2検体収容器4の識別情報は、第2識別部50によって読み取られる。操作部70の制御部72は、この第2検体収容器4に収容されていた検体の分析結果に基づいて、分析が完了したか否かを判定する。言い換えると、操作部70の制御部72は、再分析が必要か否かを判定する。
【0094】
再分析が不要と判定された場合、第2検体収容器4の識別情報は、記憶部78に記憶されて、新たに分注された検体を収容していた第1検体収容器2の識別情報(検体情報)と紐づけされる。再分析が必要と判定された場合、再び、分析部60a,60b,60c,60dで分析が行われ、位置P21で再分析が必要か否かの判定が行われる。
【0095】
1.4. 第2検体収容器の搬送経路の決定方法
次に、第1実施形態に係る自動分析装置における第2検体収容器4の搬送経路の決定方法について説明する。ここでは、図1図3および図7を参照しながら説明する。
【0096】
操作部70の制御部72は、第2搬送部40で搬送されている複数の第2検体収容器4の各々の位置を把握して(マッピングして)、第2検体収容器4の搬送経路を決定している。すなわち、操作部70の制御部72は、第2搬送部40で搬送されている複数の第2検体収容器4の各々の位置を把握して(マッピングして)、検体の分析を行う分析部60a,60b,60c,60dを決定している。ここで、マッピングとは、第2搬送部40で搬送されている複数の第2検体収容器4の各々の位置を把握することをいう。制御部72は、第2識別部50で読み取られた第2検体収容器4の識別情報に基づいて、マッピングを行う。
【0097】
具体的には、制御部72は、例えば、第2検体収容器4の識別情報と、識別情報を取得した順番(第2検体収容器4が位置P21を通過した順番)とを、関連づける。これにより、制御部72は、第2検体収容器4が、次にどこに位置するのかを把握することができる。この処理を第2搬送部40で搬送されているすべての第2検体収容器4に対して行うことで、マッピングを行うことができる。なお、制御部72は、第2検体収容器4の識別情報と、識別情報を取得した時間(位置P21を通過した時間)とを、関連づけることでマッピングを行ってもよい。
【0098】
ここで、第2搬送部40は、例えば、所定の時間サイクルで動作する。すなわち、第2搬送部40は、所定の時間(例えば、3秒)休止した後、第2検体収容器4を次の位置に移動させ、また、所定の時間(例えば、3秒)休止した後、当該第2検体収容器4を次の位置に移動させるという動作を繰り返して、第2検体収容器4を搬送する。第2搬送部40は、この動作を、第2搬送部40で搬送されているすべての第2検体収容器4について同じタイミングで行うことができる。自動分析装置100の各部10,20,30,50
,60a,60b,60c,60d、80,82,84、90は、このサイクルに合わせて動作する。例えば、第2搬送部40が所定の時間休止している間に、検体受渡部30は第2検体収容器4に検体を分注し、分析部60a,60b,60c,60dは第2検体収容器4から検体を採取する。
【0099】
制御部72は、1サイクルごとに各第2検体収容器4がどこに位置するのかを把握し、1サイクルごとに第2搬送部40で搬送されている複数の第2検体収容器4の各々の位置を把握する(マッピングを行う)。このサイクルごとに得られるマッピング情報に基づいて、制御部72は、第2検体収容器4を次のサイクルでどの位置に移動させるかを決める処理を行う。すなわち、制御部72は、サイクルごとに得られるマッピング情報に基づいて、第2検体収容器4に収容された検体をどの分析部60a,60b,60c,60dで分析するかを決める処理を行う。
【0100】
なお、第2搬送部40における第2検体収容器4の搬送経路、すなわち、第2検体収容器4の移動の軌跡は、閉じたループを形成する。すなわち、第2検体収容器4は、例えば、所定の位置(例えば、検体が分注される位置P1)から出発すると、再び、同じ位置(位置P1)に戻る。そのため、制御部72は、一度、第2搬送部40で搬送されているすべての第2検体収容器4の識別情報を読み込めば、第2搬送部40で搬送されているすべての第2検体収容器4の位置を把握しつづけることができる。したがって、制御部72は、各第2検体収容器4の位置を容易に把握することができる。
【0101】
このようにして生成された第2搬送部40で搬送されている複数の第2検体収容器4の各々の位置の情報、すなわち、マッピング情報は、記憶部78に記憶される。制御部72は、このマッピング情報に基づいて、第2検体収容器4に収容された検体をどの分析部60a,60b,60c,60dで分析するかを決める処理を行う。具体的には、制御部72は、マッピング情報から各分析部60a,60b,60c,60dの混雑状況等を把握し、どの分析部60a,60b,60c,60dで分析を行えば、最も効率よく分析を行えるか、すなわち、最も早く処理を行えるかを判断することができる。したがって、自動分析装置100によれば、処理能力を高めることができる。以上の処理により、第2検体収容器4の搬送経路が決定される。
【0102】
1.5. 第2検体収容器の監視方法
次に、第1実施形態に係る自動分析装置における第2検体収容器4の監視方法について説明する。図8は、第2検体収容器4の監視方法について説明するための図である。
【0103】
センサー部90は、図2および図3に示すように、第2搬送部40の位置P1,P2,P6,P7,P8,P14,P16,P21,P30,P31の各位置における第2検体収容器4の有無を検出できるように複数設けられている。センサー部90の各々は、位置P1,P2,P6,P7,P8,P14,P16,P21,P30,P31における第2検体収容器4の有無の情報を、制御部72に送る。また、第2識別部50は、位置P21に到着した第2検体収容器4の識別情報を読み取り、この情報を制御部72に送る。
【0104】
制御部72は、各センサー部90からの各位置P1,P2,P6,P7,P8,P14,P16,P21,P30,P31における第2検体収容器4の有無の情報および第2識別部50からの第2検体収容器4の識別情報に基づいて、記憶部78に記憶されたマッピング情報に矛盾がないかを判定する。具体的には、制御部72は、第2検体収容器4の有無の情報から、第2検体収容器4が、マッピング情報どおりに各位置P1,P2,P6,P7,P8,P14,P16,P21,P30,P31に位置(到着)しているか否かを判定する(S90−1〜S90−10)。
【0105】
また、制御部72は、第2検体収容器4の識別情報に基づいて、マッピング情報どおりに、位置P21に、所定の第2検体収容器4が位置しているか否かを判定する(S50)。例えば、マッピング情報と異なる第2検体収容器4が位置P21に位置している場合、搬送中に第2検体収容器4(検体)が取り違えられている可能性がある。したがって、制御部72は、第2検体収容器4の識別情報に基づいて、マッピング情報どおりに、位置P21に、所定の第2検体収容器4が位置しているか否か、すなわち、制御部72が決定した分析部60a,60b,60c,60dで分析が行われたか否かを判定する。
【0106】
すべての判定の結果がマッピング情報どおりの場合(S90−1〜S90−10、およびS50がすべてYESの場合)、制御部72は、マッピング情報を更新し、新たなマッピング情報を、記憶部78に記憶させる(S100)。1つでも判定の結果がマッピング情報と異なっていた場合(S90−1〜S90−10、およびS50のうちの1つでもNOがあった場合)、制御部72は、警告を発する処理や、自動分析装置100の各部10,20,30,40,50,60a,60b,60c,60d、80,82,84、90の動作を止める処理を行う(S101)。警告は、例えば、表示部74に表示される。
【0107】
このようにして、制御部72は、第2検体収容器4を監視している。
【0108】
第1実施形態に係る自動分析装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0109】
自動分析装置100では、制御部72は、第1検体収容器2の識別情報と第2検体収容器4の識別情報とを関連づける処理(第1処理)と、第2検体収容器4の識別情報に基づいて第2搬送部40で搬送されている複数の第2検体収容器4の各々の位置を把握し、検体の分析を行う分析部60a,60b,60c,60dを決める処理(第2処理)と、を行う。このように自動分析装置100では、制御部72が、第2搬送部40で搬送されている複数の第2検体収容器4の各々の位置を把握し、検体の分析を行う分析部60a,60b,60c,60dを決めるため、分析部60a,60b,60c,60dの混雑状況に応じて、どの分析部60a,60b,60c,60dで分析を行うかを決定することができる。したがって、自動分析装置100によれば、処理能力を高めることができる。
【0110】
例えば、各分析部60a,60b,60c,60dで同じ項目の分析が可能である場合、自動分析装置の処理能力を高めるためには、混雑している分析部60a,60b,60c,60dを避けて他の分析部60a,60b,60c,60dで分析を行う必要がある。制御部72では、マッピングを行うことにより各第2検体収容器4の位置を把握できるため、混雑状況を正確に把握することができる。したがって、処理能力を高めることができる。
【0111】
さらに、自動分析装置100では、第2搬送部40が、位置P1(第1位置)に位置する第2検体収容器4を搬送する第1搬送ライン42と、第1搬送ライン42で搬送された第2検体収容器4を、位置P10,P12,P14,P16に搬送する複数の第2搬送ライン44a,44b,44c,44dと、位置P10,P12,P14,P16に搬送された前記第2検体収容器4を、位置P1(第1位置)に戻すための第3搬送ライン46と、を有している。したがって、自動分析装置100では、検体受渡部30で検体が分注される位置P1に位置している第2検体収容器4を、分析部60a,60b,60c,60dで分析を行った後に、再び、位置P1に戻すことができる。すなわち、第2搬送部40における第2検体収容器4の搬送経路は、閉じたループを形成する。そのため、少なくとも1つの第2識別部50で、第2搬送部40で搬送されている複数の第2検体収容器4の各々の位置を把握することができる。したがって、簡易な構成で、処理能力を高めることができる。
【0112】
また、第2搬送部40では、第2検体収容器4の搬送経路は、第2検体収容器4によって異なるため、第2検体収容器4の順番が入れ替わる場合がある。そのような場合でも制御部72は、各第2検体収容器4の位置を把握して(マッピング情報に基づいて)搬送経路を決めているため、検体の取り違えを防ぐことができる。
【0113】
自動分析装置100では、制御部72は、第2検体収容器4の識別情報に基づいて、制御部72で決定された分析部60a,60b,60c,60dで分析が行われたか否かを判定する処理を行う。これにより、検体の取り違えを防ぐことができる。
【0114】
さらに、自動分析装置100は、第2検体収容器4が所定の位置に到着しているか否かを判定するためのセンサー部90を有している。そのため、検体の取り違えを防ぐことができる。
【0115】
自動分析装置100は、第3搬送ライン46を通る第2検体収容器4を洗浄するための洗浄部80を含む。したがって、第2検体収容器4に、新たな検体を収容することができる。すなわち、第2検体収容器4を、繰り返し再利用することができる。
【0116】
2. 第2実施形態
2.1. 自動分析装置の構成
次に、第2実施形態に係る自動分析装置200の構成について、図面を参照しながら説明する。図9は、第2実施形態に係る自動分析装置200の構成を説明するための図である。図10は、第2実施形態に係る自動分析装置200の第2搬送部40の一部を模式的に示す図である。なお、図10は、図9の領域γを模式的に示す図である。
【0117】
以下、第2実施形態に係る自動分析装置200において、上述した第1実施形態に係る自動分析装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0118】
自動分析装置200では、位置P10に位置する第2検体収容器4の識別情報を取得するための第3識別部250aと、位置P12に位置する第2検体収容器4の識別情報を取得するための第3識別部250bと、位置P14に位置する第2検体収容器4の識別情報を取得するための第3識別部250cと、位置P16に位置する第2検体収容器4の識別情報を取得するための第3識別部250dと、を含むことができる。
【0119】
第3識別部250a,250b,250c,250dは、第2検体収容器4の識別情報を取得する。第3識別部250a,250b,250c,250dは、第2検体収容器4の記録媒体4bから、第2検体収容器4の識別情報を読み取ることができる。
【0120】
2.2. 自動分析装置の動作
次に、第2実施形態に係る自動分析装置の動作について、図面を参照しながら説明する。図11は、第2実施形態に係る自動分析装置200の動作フローの一例を説明するための図である。なお、上述した第1実施形態に係る自動分析装置100の動作と異なる点について説明し、同様の点については詳細な説明を省略する。
【0121】
自動分析装置200では、第2検体収容器4が位置P10に搬送される(ステップS35)と、第3識別部250aが、位置P10に位置している第2検体収容器4の識別情報を読み取る。第3識別部250aは、第2検体収容器4の識別情報を操作部70の制御部72に送る。制御部72は、第2検体収容器4の識別情報およびマッピング情報に基づいて、正しい検体(第2検体収容器4)か否かを判定する検体確認処理を行う(ステップS401)。すなわち、制御部72は、マッピング情報どおりに、位置P10に所定の第2
検体収容器4が位置しているか否かを判定する。正しい検体(第2検体収容器4)と判定された場合、第1分析部60aは、検体を採取する(ステップS41)。
【0122】
正しい検体(第2検体収容器4)ではないと判定された場合、第1分析部60aは、検体の採取を中止する。そして、操作部70は、警告を発する。
【0123】
また、第2検体収容器4が位置P12に搬送されると、第3識別部250bが、位置P12に位置している第2検体収容器4の識別情報を読み取り、操作部70の制御部72に送る。その後の制御部72の処理は、第3識別部250aの場合と同様である。
【0124】
また、第2検体収容器4が位置P14に搬送されると、第3識別部250cが、位置P14に位置している第2検体収容器4の識別情報を読み取り、操作部70の制御部72に送る。その後の制御部72の処理は、第3識別部250aの場合と同様である。
【0125】
また、第2検体収容器4が位置P16に搬送されると、第3識別部250dが、位置P16に位置している第2検体収容器4の識別情報を読み取り、操作部70の制御部72に送る。その後の制御部72の処理は、第3識別部250aの場合と同様である。
【0126】
第2実施形態に係る自動分析装置200は、分析部60a,60b,60c,60dが検体を採取する位置P10,P12,P14,P16に位置する第2検体収容器4の識別情報を取得するための第3識別部250a,250b,250c,250dを含んで構成されている。すなわち、検体を採取する位置と検体を確認する位置とが同じである。したがって、検体の取り違えをより確実に防ぐことができる。
【0127】
また、自動分析装置200では、操作部70の制御部72が、第2識別部50からの識別情報に基づいて、どの分析部60a,60b,60c,60dで分析を行うかを決定するため、第3識別部250a,250b,250c,250dでは、検体が正しいか否かだけを確認すればよい。そのため、分析部60a,60b,60c,60dは検体が採取される前に分析の準備を進めることができ、かつ、検体を採取する位置と検体を確認する位置とを同じ位置にすることができる。したがって、自動分析装置200では、検体の取り違えを確実に防ぎつつ、処理能力を高めることができる。
【0128】
なお、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0129】
1…ラック、2…第1検体収容器、2a…セル、2b…記録媒体、4…第2検体収容器、4a…セル、4b…記録媒体、10…第1搬送部、10a…制御部、12…搬送ライン、14…検体供給部、16…回収部、20…第1識別部、30…検体受渡部、30a…制御部、32…ピペット、34…移動機構、40…第2搬送部、40a…制御部、42…搬送ライン、42…第1搬送ライン、44a,44b,44c,44d…第2搬送ライン、46…第3搬送ライン、48…第4搬送ライン、49…移送機構、50…第2識別部、52…アンテナ、60a…分析部、60b…分析部、60c…分析部、60d…分析部、62…第1分注装置、64…ターンテーブル、66…第2分注装置、68…ターンテーブル、69…分析装置、70…操作部、72…制御部、74…表示部、76…入力部、78…記憶部、79…情報記憶媒体、80…洗浄部、80a…廃液吸引ポンプ、80b…洗浄液ポ
ンプ、80c…乾燥装置、82…検体希釈部、82c…希釈容器、84…攪拌部、84a…攪拌プローブ、90…センサー部、100,200…自動分析装置、250a,250b,250c,250d…第3識別部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11