(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一の前記上流側インク流路から分岐した前記複数の分岐流路に配設される複数の前記ポンプの前記ローラは、一の前記ポンプの前記ローラの動作に連動して他の前記ポンプの前記ローラが動作するように構成されており、
前記駆動部は、前記一のポンプの前記ローラを駆動することにより、前記他のポンプの前記ローラを、前記一のポンプの前記ローラと連動して動作させることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェットプリンタにおいて、脱気を行う機能は、例えば交換可能なモジュール(脱気モジュール)等で実現することが考えられる。そこで、本願の発明者は、先ず、脱気モジュールを配設する様々な構成について、検討を行った。そして、その検討の中で、複数の脱気モジュールを並列に配設した構成が好ましい場合があることを見出し、この構成について、鋭意研究を行った。
【0006】
しかし、実際に試作品を作成し、更に様々な検討を行ったところ、単に脱気モジュールを並列に配設するのみでは、複数の脱気モジュールに均一に吐出液が流れず、一部の脱気モジュールのみに偏ってインクが流れる場合があることを見出した。また、その結果、各脱気モジュールに流れるインクの流量のバラツキが思いの外大きくなるという問題点を更に見出した。各脱気モジュールに流れるインクの流量のバラツキが大きくなると、全体のインクの流量について設計どおりの流量が確保できたとしても、設計時に考えていた目論見どおりの脱気量を得られないおそれがある。また、各脱気モジュールに流れるインクの流量に差があると、各脱気モジュールを交換すべき時期にも差が生じ、管理上の手間が増大することとなる。また、一律の交換時期で全ての脱気モジュールを交換した場合、脱気モジュールの交換頻度が高まり、コストの大幅な上昇を招くこととなる。
【0007】
更に、例えば複数色のインクを用いるインクジェットプリンタにおいては、各色のインク流路にそれぞれ複数の脱気モジュールを並列に配設することとなる。そして、この場合、各色のインク流路における複数の脱気モジュールの流量にバラツキが生じると、各色のインクの脱気量にもバラツキが生じるおそれがある。また、その結果、インクの脱気量を適切に制御することがより困難になるとも考えられる。
【0008】
そのため、従来、より好ましい構成により脱気モジュールを配置することが望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる印刷装置、インク供給装置、及び印刷方法を提供することを目的とする。
【0009】
尚、インクの脱気を行う場合、必要な脱気量は、インクジェットプリンタの構成や、インクの種類によって様々に異なる。そのため、インクジェットプリンタにおいては、インクの種類等に合わせて脱気の能力を変更できる構成により脱気モジュールを用いることが望まれる。また、より低コストで適切に脱気を行うためには、例えば多種類の脱気モジュールを用いるのではなく、より少ない種類の脱気モジュール(好ましくは、汎用の安価な脱気モジュール)を用いて適切に脱気を行うことが望まれる。
【0010】
これに対し、複数の脱気モジュールを並列に配設した構成を用いた場合、例えば必要な脱気量に応じて使用する脱気モジュールの数を変更することにより、脱気量の調整を容易かつ適切に行うことができる。そのため、このような観点で、複数の脱気モジュールを並列に配設した構成が好ましい場合がある。
【0011】
また、インクジェットプリンタにおいては、構成上、インクジェットヘッドから離れた位置に脱気モジュールを設置することが必要になる場合がある。また、その結果、脱気モジュールからインクジェットヘッドまでのインク流路(チューブ等)が長くなる場合がある。
【0012】
例えば、インクタンクを用いる大型のインクジェットプリンタにおいて、インクタンクからインクジェットヘッドへインクを送る流路の途中に脱気モジュールを配設する場合、脱気モジュールからインクジェットヘッドまでのインク流路が長くなる場合がある。また、例えば被印刷物を載置するフラットベッドを有するフラットベッド型のインクジェットプリンタの場合、フラットベッド上の隅々までインクジェットヘッドを走査するためには、長いインク流路が必要になる。
【0013】
これに対し、本願の発明者は、鋭意研究により、このような長いインク流路が必要な構成においては、インク流路の抵抗が大きくなるため、脱気モジュールにインクを流すポンプやインク流路の負荷が大きくなり、耐久性が不十分になる場合があることを見出した。そして、このような問題を解決するためにも、複数の脱気モジュールを並列に配設した構成は好ましいと言える。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であって、インク滴を吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給部とを備え、インク供給部は、インクを貯留するインクタンクと、インクタンクからインクジェットヘッドへのインク流路中においてインク中に溶存する気体を脱気する脱気部と、脱気部よりも上流側のインク流路であり、インクタンクから供給されるインクを脱気部へ送る上流側インク流路と、脱気部よりも下流側のインク流路であり、脱気部を通過後のインクをインクジェットヘッドへ送る下流側インク流路とを有し、脱気部は、上流側インク流路から供給されるインクを複数の分岐流路に分岐させるインク分岐部と、
中空糸膜内にインクを流すことでインク中に溶存する気体を脱気するモジュールであり、複数の分岐流路のそれぞれに少なくとも1個以上配設されることにより、インク流路において並列に配設される複数の脱気モジュールと、複数の脱気モジュールに対応して配設される複数のポンプと、複数の分岐流路を合流させて下流側インク流路へインクを送るインク合流部とを有し、複数の脱気モジュールのそれぞれは、対応する分岐流路において、インク分岐部と、インク合流部との間に配設され、複数のポンプのそれぞれは、それぞれの分岐流路において、対応する脱気モジュールと直列に配設され、対応する脱気モジュールにインクを流
し、それぞれの分岐流路において、ポンプは、脱気モジュールよりもインク流路の下流側に配設され、分岐流路のそれぞれに配設されたポンプによって、ポンプのそれぞれに対応する脱気モジュールに同時にインクを流す。
【0015】
このように構成した場合、並列に配設されるそれぞれの脱気モジュールに流れるインクの流量を、その脱気モジュールと対応するポンプにより、適切に設定できる。そのため、例えば、並列に配設されるそれぞれの脱気モジュールに流れるインクの流量を、適切に均一化できる。また、これにより、複数の脱気モジュールを並列に配設した構成において、目論見どおりの脱気量を適切に得ることができる。また、各脱気モジュールを交換すべき時期等について、管理上の手間が増大すること等も適切に防ぐことができる。従って、このように構成すれば、複数の脱気モジュールを並列に配設した構成により、インクの脱気をより適切に行うことができる。
【0016】
(構成2)それぞれの分岐流路において、ポンプは、脱気モジュールよりもインク流路の下流側に配設される。
【0017】
本願発明者は、鋭意研究により、ポンプを脱気モジュールよりもインク流路の上流側に配設した場合、脱気モジュールにかかる負荷が大きくなりすぎ、脱気モジュールが破損する場合があることを見出した。例えば、脱気モジュールからインクジェットヘッドまでのインク流路が長い場合、この流路の抵抗が大きくなり、脱気モジュールより下流側でインクが流れにくくなる場合がある。そして、この場合において、チューブポンプ等のポンプで一定量のインクを脱気モジュールに送り続けた場合、脱気モジュールにかかる負荷が大きくなりすぎ、脱気モジュールが破裂する場合がある。
【0018】
これに対し、ポンプを脱気モジュールよりもインク流路の下流側に配設した場合、脱気モジュールに上記のような過剰な負荷がかかることはない。そのため、このように構成すれば、例えば、インクの脱気をより適切に行うことができる。
【0019】
(構成3)インク供給部は、複数のインクタンクと、複数のインクタンクに対応する複数の脱気部と、複数の脱気部に対応する複数の上流側インク流路と、複数の脱気部に対応する複数の下流側インク流路とを有し、それぞれの脱気部が、インク分岐部と、複数の脱気モジュールと、複数のポンプと、インク合流部とを有する。
【0020】
複数のインクタンクのそれぞれは、例えば、印刷に用いる各色のインク用のインクタンクであり、それぞれ異なる色のインクを貯留する。このように構成すれば、例えば、複数種類のインクを用いる場合において、それぞれのインクを適切に脱気できる。
【0021】
(構成4)ポンプは、ローラでチューブをしごくことによりインクを送るチューブポンプであり、脱気部は、ポンプにおけるローラを駆動する駆動部を更に有し、一の上流側インク流路から分岐した複数の分岐流路に配設される複数のポンプのローラを、一の駆動部により駆動する。
【0022】
このように構成すれば、例えば、各ポンプが送る液体の流量を、より適切に均一化できる。また、これにより、並列に配設されるそれぞれの脱気モジュールに流れるインクの流量を、より適切に均一化できる。更には、モータ等の駆動部を、複数のポンプに対して1個用いればよいため、装置のコストを低減することもできる。
【0023】
(構成5)一の上流側インク流路から分岐した複数の分岐流路に配設される複数のポンプのローラは、一のポンプのローラの動作に連動して他のポンプのローラが動作するように構成されており、駆動部は、一のポンプのローラを駆動することにより、他のポンプのローラを、一のポンプのローラと連動して動作させる。
【0024】
このように構成すれば、一の駆動部により、複数のポンプを適切に駆動できる。また、これにより、並列に配設されるそれぞれの脱気モジュールに流れるインクの流量を、より適切に均一化できる。
【0025】
(構成6)インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であって、インク滴を吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給部とを備え、インク供給部は、インクを貯留するインクタンクと、インクタンクからインクジェットヘッドへのインク流路中においてインク中に溶存する気体を脱気する脱気部とを有し、脱気部は、インク中に溶存する気体を脱気する脱気モジュールと、脱気モジュールにインクを流すポンプとを有し、インク流路において、ポンプは、脱気モジュールよりも下流側に配設される。
【0026】
このように構成すれば、例えば、脱気モジュールに過剰な負荷がかかることを適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、インクの脱気をより適切に行うことができる。
【0027】
(構成7)印刷装置は、フラットベッド型のインクジェットプリンタであり、脱気部は、印刷装置において固定された位置において、インクジェットヘッドから離間して配設される。
【0028】
フラットベッド型のインクジェットプリンタにおいては、例えば、インクジェットヘッドへインクを送るインク流路が特に長くなる。そのため、ポンプを脱気モジュールよりもインク流路の上流側に配設した場合、脱気モジュールにかかる負荷が大きくなりやすい。これに対し、このように構成すれば、フラットベッド型のインクジェットプリンタにおいても、インクの脱気をより適切に行うことができる。
【0029】
(構成8)インク供給部は、脱気部よりも下流側のインク流路であり、脱気部を通過後のインクをインクジェットヘッドへ送る下流側インク流路を更に有し、下流側流路は、長さ5m以上のチューブを含むインク流路である。下流側流路は、例えば8m以上(例えば8〜9m程度)のチューブを含むことが好ましい。
【0030】
このように下流側流路が長い場合、ポンプを脱気モジュールよりもインク流路の上流側に配設した場合、脱気モジュールにかかる負荷が大きくなりやすい。これに対し、このように構成すれば、下流側流路が長い場合にも、インクの脱気をより適切に行うことができる。
【0031】
(構成9)インクジェット方式で印刷を行う印刷装置において、インク滴を吐出するインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給装置であって、インクを貯留するインクタンクと、インクタンクからインクジェットヘッドへのインク流路中においてインク中に溶存する気体を脱気する脱気部と、脱気部よりも上流側のインク流路であり、インクタンクから供給されるインクを脱気部へ送る上流側インク流路と、脱気部よりも下流側のインク流路であり、脱気部を通過後のインクをインクジェットヘッドへ送る下流側インク流路とを有し、脱気部は、上流側インク流路から供給されるインクを複数の分岐流路に分岐させるインク分岐部と、インク中に溶存する気体を脱気するモジュールであり、複数の分岐流路のそれぞれに少なくとも1個以上配設されることにより、インク流路において並列に配設される複数の脱気モジュールと、複数の脱気モジュールに対応して配設される複数のポンプと、複数の分岐流路を合流させて下流側インク流路へインクを送るインク合流部とを有し、複数の脱気モジュールのそれぞれは、対応する分岐流路において、インク分岐部と、インク合流部との間に配設され、複数のポンプのそれぞれは、それぞれの分岐流路において、対応する脱気モジュールと直列に配設され、対応する脱気モジュールにインクを流す。このように構成すれば、例えば、構成1と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(構成10)インクジェット方式で印刷を行う印刷方法であって、インク滴を吐出するインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給装置を用い、インク供給装置は、インクを貯留するインクタンクと、インクタンクからインクジェットヘッドへのインク流路中においてインク中に溶存する気体を脱気する脱気部と、脱気部よりも上流側のインク流路であり、インクタンクから供給されるインクを脱気部へ送る上流側インク流路と、脱気部よりも下流側のインク流路であり、脱気部を通過後のインクをインクジェットヘッドへ送る下流側インク流路とを有し、脱気部は、上流側インク流路から供給されるインクを複数の分岐流路に分岐させるインク分岐部と、インク中に溶存する気体を脱気するモジュールであり、複数の分岐流路のそれぞれに少なくとも1個以上配設されることにより、インク流路において並列に配設される複数の脱気モジュールと、複数の脱気モジュールに対応して配設される複数のポンプと、複数の分岐流路を合流させて下流側インク流路へインクを送るインク合流部とを有し、複数の脱気モジュールのそれぞれは、対応する分岐流路において、インク分岐部と、インク合流部との間に配設され、複数のポンプのそれぞれは、それぞれの分岐流路において、対応する脱気モジュールと直列に配設され、対応する脱気モジュールにインクを流す。このように構成すれば、例えば、構成1と同様の効果を得ることができる。
【0033】
(構成11)インクジェット方式で印刷を行う印刷装置において、インク滴を吐出するインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給装置であって、インクを貯留するインクタンクと、インクタンクからインクジェットヘッドへのインク流路中においてインク中に溶存する気体を脱気する脱気部とを有し、脱気部は、インク中に溶存する気体を脱気する脱気モジュールと、脱気モジュールにインクを流すポンプとを有し、インク流路において、ポンプは、脱気モジュールよりも下流側に配設される。このように構成すれば、例えば、構成6と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(構成12)インクジェット方式で印刷を行う印刷方法であって、インク滴を吐出するインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給装置を用い、インク供給装置は、
インクを貯留するインクタンクと、インクタンクからインクジェットヘッドへのインク流路中においてインク中に溶存する気体を脱気する脱気部とを有し、脱気部は、インク中に溶存する気体を脱気する脱気モジュールと、脱気モジュールにインクを流すポンプと
を有し、インク流路において、ポンプは、脱気モジュールよりも下流側に配設される。このように構成すれば、例えば、構成6と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、インクジェットプリンタにおいて、インクの脱気をより適切に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ10の一例を示す。
図1(a)は、インクジェットプリンタ10の構成の一例を示す。本例において、インクジェットプリンタ10は、フラットベッド型のインクジェットプリンタであり、インクジェットヘッド12、キャリッジ14、ガイドレール16、台部18、及びインク供給部20を備える。
【0038】
インクジェットヘッド12は、印刷対象物である媒体50へインク滴を吐出する印刷ヘッドである。キャリッジ14は、インクジェットヘッド12を保持する部材であり、インクジェットヘッド12を保持した状態でガイドレール16に沿って所定のY方向(スキャン方向)へ走行することにより、インクジェットヘッド12に主走査動作(スキャン動作)を行わせる。ガイドレール16は、キャリッジ14を走行可能に保持するレール部材である。また、本例において、ガイドレール16は、Y方向と直交するX方向へ移動することにより、媒体50に対して相対的にインクジェットヘッド12を移動させる。また、以上の動作により、キャリッジ14及びガイドレール16は、媒体50上の各位置において、インクジェットヘッド12にインク滴を吐出させる。本例によれば、媒体50の各位置に対し、適切に印刷を行うことができる。
【0039】
尚、インクジェットプリンタ10の構成の変形例においては、ガイドレール16のX方向における位置を固定して、X方向へ媒体50を搬送することも考えられる。この場合も、媒体50の各位置に対し、適切に印刷を行うことができる。
【0040】
台部18は、上面に媒体50を載せて保持する台であり、インク供給部20と繋がった状態で設置されることにより、インク供給部20と共にインクジェットプリンタ10の支持体を構成する。また、本例において、台部18は、X方向へ移動可能にガイドレール16を支持する。
【0041】
インク供給部20は、インクジェットヘッド12にインクを供給するための構成である。本例において、インク供給部20は、インクジェットヘッド12と離間して、インクジェットプリンタ10において固定された位置に配設されており、チューブ等のインク流路を介してインクジェットヘッド12と接続される。そして、このインク流路を介して、インクジェットヘッド12へインクを供給する。
【0042】
図1(b)は、インク供給部20の構成の一例を示す。本例において、インク供給部20は、脱気用ポンプ104、及び複数の各色インク供給部102を有する。脱気用ポンプ104は、それぞれの各色インク供給部102に配設される脱気モジュールを排気するためのポンプである。本例において、脱気用ポンプ104は、複数の各色インク供給部102に対して共通に設けられており、一の脱気用ポンプ104により、複数の各色インク供給部102の脱気モジュールに対して排気を行う。
【0043】
各色インク供給部102は、インクジェットプリンタ10において用いる各色のインクを供給するための構成である。本例において、それぞれの各色インク供給部102は、インクタンク202、上流側インク流路204、脱気部152、及び下流側インク流路216を有する。
【0044】
尚、図示は省略したが、各色インク供給部102は、インク流路の途中に、インクの流れを制御する弁等を更に有してもよい。また、本例において、複数の各色インク供給部102のそれぞれは、供給するインクの種類(色)以外は、同一の構成を有する。インク供給部20の構成の変形例においては、例えばインクの特性に応じて、一部の各色インク供給部102の構成を、他の各色インク供給部102と異ならせてもよい。また、各色インク供給部102は、インク以外の各種の吐出液を供給してもよい。
【0045】
インクタンク202は、印刷に用いるインクを貯留するタンクである。インクタンク202は、上流側インク流路204、脱気部152、及び下流側インク流路216を介して、インクジェットヘッド12へインクを供給する。また、本例において、それぞれの各色インク供給部102におけるインクタンク202は、印刷に用いる複数種類(色)のインクのうち、1色のインクをそれぞれ貯留する。また、インクタンク202は、内部でのインクの流動性を保つために、貯留するインクを攪拌する機能を有している。
【0046】
上流側インク流路204は、インク流路において脱気部152よりも上流側の流路であり、インクタンク202から供給されるインクを、脱気部152へ送る。上流側インク流路204としては、例えばインクを送るチューブ等を好適に用いることができる。
【0047】
脱気部152は、インクタンク202からインクジェットヘッド12へのインク流路中においてインク中に溶存する気体を脱気するするための構成である。本例において、脱気部152は、インク供給部20内に配設されることにより、インクジェットプリンタ10において固定された位置において、インクジェットヘッド12から離間して配設される。また、本例において、脱気部152は、インク分岐部206、複数の分岐流路208、複数の脱気モジュール212a、212b、複数のポンプ214a、214b、ポンプ駆動モータ218、及びインク合流部210を有する。
【0048】
インク分岐部206は、上流側インク流路204から供給されるインクを複数の分岐流路208に分岐させる部分である。インク分岐部206としては、例えば分岐チューブ等を好適に用いることができる。また、本例において、インク分岐部206は、上流側インク流路204から供給されるインクを、2つの分岐流路208に分岐させる。
【0049】
複数の分岐流路208は、インク分岐部206において分岐されたインクを並列に流すインク流路である。本例において、複数の分岐流路208は、同じ太さのインク流路である。また、2個の分岐流路208の一方には、脱気モジュール212a及びポンプ214aが配設される。他方の分岐流路208には、脱気モジュール212b及びポンプ214bが配設される。
【0050】
脱気モジュール212a、212bは、インク中に溶存する気体を脱気するモジュールである。本例において、複数の脱気モジュール212a、212bのそれぞれは、複数の分岐流路208のそれぞれにおいてインク分岐部206とインク合流部210との間に配設される。これにより、複数の脱気モジュール212a、212bは、インク流路において並列に配設される。また、脱気モジュール212a、212bは、脱気用ポンプ104と接続される排気口を有しており、脱気用ポンプ104により排気がされることにより、脱気モジュール212a、212bを通過するインク中に溶存する気体(酸素等)を脱気する。
【0051】
尚、本例において、脱気モジュール212a、212bは、交換可能な部品である。脱気モジュール212a、212bとしては、例えば必要な脱気量に応じて、汎用品の脱気モジュールを用いることができる。また、脱気モジュール212a、212bの脱気の能力は、例えば、脱気用ポンプ104の排気量により、適宜調整される。脱気モジュール212a、212bの具体的な構成については、後に更に詳しく説明をする。
【0052】
複数のポンプ214a、214bは、複数の脱気モジュール212a、212bに対応されて配設されるポンプである。ポンプ214a、214bのそれぞれは、それぞれの分岐流路208において、対応する脱気モジュール212a、212bのそれぞれと直列に、脱気モジュール212a、212bよりも下流側に配設される。これにより、それぞれの分岐流路208において、ポンプ214a、214bは、対応する脱気モジュール212a、212bにインクを流す。また、本例において、ポンプ214a、214bは、ローラでチューブをしごくことによりインクを送るチューブポンプ(チュービングポンプ)であり、ポンプ駆動モータ218から受け取る動力に応じてローラを動かすことにより、それぞれの分岐流路208において、予め設定された流量のインクを、上流側から下流側へ流す。
【0053】
ポンプ駆動モータ218は、ポンプ214a、214bにおけるローラを駆動する駆動部となるモータである。ポンプ駆動モータ218としては、例えばステッピングモータを用いることができる。このように構成すれば、例えば、ポンプ214a、214bが流すインクの流量を、高い精度で適切に制御できる。
【0054】
また、本例において、ポンプ駆動モータ218は、一の上流側インク流路204から分岐した複数の分岐流路208に配設される複数のポンプ214a、214bに対して共通に配設されており、一のポンプ駆動モータ218により、複数のポンプ214a、214bを駆動する。このように構成すれば、例えば、ポンプ214a、214bの動作を高い精度で適切に同期させることができる。尚、ポンプ214a、214b、及びポンプ駆動モータ218の具体的な構成については、後に更に詳しく説明をする。
【0055】
インク合流部210は、複数の分岐流路208を合流させて下流側インク流路216へインクを送る部分である。これにより、インク合流部210は、複数の脱気モジュール212a、212bによる脱気後のインクを、下流側インク流路216へ送る。インク合流部210としては、例えば分岐チューブ等を好適に用いることができる。
【0056】
下流側インク流路216は、脱気部152よりも下流側のインク流路であり、脱気部152を通過後のインクを、インクジェットヘッド12へ送る。これにより、下流側インク流路216は、複数の各色インク供給部102のそれぞれにおいて脱気がされたインクを、インクジェットヘッド12へ供給する。
【0057】
また、本例において、下流側インク流路216は、長さ5m以上のチューブを含む構成の流路であり、台部18上でXY各方向へ移動するインクジェットヘッド12へインクを供給する。下流側流路は、例えば8m以上(例えば8〜9m程度)のチューブを含んでもよい。
【0058】
尚、下流側インク流路216としては、例えば、可とう性のチューブ等を用いることができる。複数の各色インク供給部102のそれぞれからのインクを送る下流側インク流路216は、例えば、束ねられた状態でインクジェットヘッド12と接続され、インクジェットヘッド12へインクを供給する。
【0059】
本例によれば、例えば、各色インク供給部102において、各色のインクを適切に脱気できる。これにより、脱気後のインクを用い、適切に印刷を行うことができる。また、インクタンク202に貯留するインクとして、予め脱気がされたインクを準備する必要がないため、低いコストでインクを提供することが可能になる。
【0060】
また、各色インク供給部102における脱気部152においては、並列に配設される複数の脱気モジュール212a、212bを用いることにより、個々の脱気モジュール212a、212bに流れるインクの流量を低減できる。これにより、例えば、脱気モジュール212a、212bにかかる圧力を低減し、脱気モジュール212a、212bの負荷を適切に低減できる。また、並列に配設された複数の脱気モジュール212a、212bを用いることにより、必要に応じて、より大きな脱気量を適切に実現できる。
【0061】
また、本例においては、上記において説明をした構成により、以下のような効果を得ることもできる。例えば、本例において、それぞれの脱気モジュール212a、212bが配設されている分岐流路208には、脱気モジュール212a、212bと直列にポンプ214a、214bを接続している。そのため、それぞれの脱気モジュール212a、212bに流れるインクの流量を、高い精度で適切に制御できる。従って、本例によれば、例えば、並列に配設される複数の脱気モジュール212a、212bにおいて、インクの流量にバラツキが生じることを適切に防ぐことができる。また、これにより、設計等により予め設定した脱気量に合わせ、高い精度で適切に脱気を行うことが可能となる。
【0062】
また、本例においては、一の上流側インク流路204から分岐した複数の分岐流路208に配設される複数のポンプ214a、214bの駆動を、一のポンプ駆動モータ218により行っている。そのため、複数のポンプ214a、214bの動作を高い精度で適切に同期させることができる。
【0063】
尚、複数のポンプ214a、214bについて、動作タイミングを適切に同期させることができない場合、一方の分岐流路208から出たインクが他方の分岐流路208に流れ込み、適切にインクを流せないおそれがある。また、複数のポンプ214a、214bの動作を同期させる場合においても、ポンプ214a、214b毎に個別にポンプ駆動モータを配設した場合、装置の構成や制御が複雑になるおそれがある。これに対し、本例によれば、装置の構成や制御を複雑にすることなく、複数のポンプ214a、214bの動作を高い精度で適切に同期させることができる。
【0064】
また、本例においては、それぞれの分岐流路208において、脱気モジュール212a、212bの下流側にポンプ214a、214bが配設されている。そのため、本例によれば、脱気モジュール212a、212bに過剰な負荷がかかることを適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、インクの脱気をより適切に行うことができる。
【0065】
尚、分岐流路208において、
図1(b)に示した構成とは逆に、例えばポンプ214a、214bを脱気モジュール212a、212bの上流側に配設した場合、ポンプ214a、214bは、脱気モジュール212a、212bに向かって、一定量のインクを送り続けることになる。しかし、本例のように、下流側インク流路216によりインクを長い距離にわたって送る場合、脱気モジュール212a、212bの下流側において、インクの流れの抵抗が大きくなる。そのため、このように構成した場合、ポンプ214a、214bと下流側インク流路216との間に挟まれる脱気モジュール212a、212bが受ける負荷が非常に大きくなるおそれがある。また、その結果、脱気モジュール212a、212b内の圧力が高まり、脱気モジュール212a、212bが破裂等により破損するおそれがある。
【0066】
これに対し、本例のように構成した場合、ポンプ214a、214b、及び下流側インク流路216が共に脱気モジュール212a、212bの下流側に配設されるため、下流側インク流路216におけるインクの流れの抵抗が大きい場合でも、脱気モジュール212a、212bに過剰な負荷がかかることはない。そのため、本例によれば、上記のとおり、脱気モジュール212a、212bに過剰な負荷がかかることを適切に防ぐことができる。従って、本例によれば、インクジェットプリンタにおいて、インクの脱気を高い精度で適切に行うことができる。
【0067】
続いて、以下において、インクジェットプリンタ10のより具体的な構成、及びインクジェットプリンタ10の構成の変形例等について、説明をする。本例の脱気部152においては、例えば、更に多く(3以上)の分岐流路208を有してもよい。この場合、それぞれの分岐流路208に、脱気モジュール212及びポンプ214が、直列に配設される。また、脱気部152は、それぞれの分岐流路208を開閉する弁を更に有してもよい。このように構成すれば、必要な脱気量に応じて、必要な数の分岐流路208を使用することが可能となる。
【0068】
また、脱気モジュール212a、212bの耐久性が十分に確保できる場合には、分岐流路208において、例えば、ポンプ214a、214bを脱気モジュール212a、212bの上流側に配設することも考えられる。このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッド12により近い位置でインクの脱気を行うことにより、より高い精度で適切に脱気を行うことができる。また、仮に、前段のポンプ214a、214bの継ぎ目等で空気がインクに混入した場合にも、その空気を適切に脱気できる。
【0069】
ここで、本例のインクジェットプリンタ10において用いるインクの粘度は、例えば1〜30mPa・s程度の範囲であることが好ましい。また、脱気モジュール212a、bの稼動時において、インクの温度は、10℃〜45℃の範囲であることが好ましい。また、非稼動時において、−20℃〜60℃の範囲で異常発生がないインクであることが好ましい。また、使用するインクは、文字や画像を平面上に記録する色材を含むインクの他、有機エレクトロニクス材料、金属ナノ粒子の分散インク等の機能性インク等であってもよい。
【0070】
また、より具体的に、インクジェットプリンタ10において用いるインクとして、例えば、UVインク(紫外線硬化型インク)を用いることが考えられる。この場合、インクジェットプリンタ10は、例えば、UVインクを硬化させる紫外線を発生する紫外線光源を更に備える。
【0071】
また、UVインクを用いる場合、インク中にある程度の酸素が含まれていないと、インクが固まってしまう場合がある。そのため、強すぎる脱気を行うと、脱気が行われた時点からインクの硬化が進んでしまうおそれがある。従って、UVインクを用いる場合、脱気量を適切に制御することが重要である。
【0072】
また、インクジェットプリンタ10において用いるインクとして、例えば、低沸点の溶剤成分を含むインクを用いることも考えられる。この場合、強すぎる脱気を行うと、脱気した気体と共に溶剤が失われてインクの粘度が上がってしまうおそれがある。そのため、この場合も、脱気量を適切に制御することが重要である。
【0073】
また、インクジェットプリンタ10において、使用するインクの種類を1種類に限定せず、同じ装置で、複数種類のインクを必要に応じて切り替えて使用してもよい。例えば、反応染料インクと酸性染料インクを必要に応じて切り替えて使用してもよい。また、水性染料インクと水性顔料インク、水性インクと溶剤インク、昇華転写インクと溶剤インク、透明インクと白インク等を必要に応じて切り替えて使用してもよい。また、硬化後の硬さの異なるUVインク間での切り替えを行うこと等も考えられる。
【0074】
このように複数の種類のインクを使用する場合、使用するインクの種類を切り替えてインクジェットプリンタ10を適切に動作させるためには、使用するインク毎に、必要な脱気量を設定することが必要である。そのため、この場合も、脱気量を適切に制御することが重要である。
【0075】
これに対し、本例によれば、ポンプ駆動モータ218の出力を調節することにより、脱気量を適切に変更することができる。また、複数の脱気モジュール212a、212bを並列に配設し、かつ、同期して動作する複数のポンプ214a、214bを脱気モジュール212a、212bよりも下流側に配設することにより、それぞれの脱気モジュール212a、212bに流れるインクの流量を適切に均一化できる。そのため、本例によれば、これらの各種インク毎に必要な脱気量に合わせ、高い精度で適切にインクを脱気できる。また、これにより、インクの性能を十分に発揮させ、高い精度で印刷を行うことができる。
【0076】
また、本例においては、脱気量を高い精度で適切に制御することが可能であるため、インクの種類等に合わせて専用の脱気モジュールを用いるのではなく、例えば、汎用の安価な脱気モジュールを用いて所望の脱気量を得ることができる。そのため、本例によれば、低いコストで高い精度の脱気を行うことが可能となる。
【0077】
また、本例のインク供給部20及び各色インク供給部102の構成は、例えばフラットベッド型等の大型のインクジェットプリンタ以外においても採用することができる。この場合も、例えば、用いるインクの種類に合わせ、インクの脱気を高い精度で適切に行うことができる。また、汎用の安価な脱気モジュールを用いることにより、低いコストで高い精度の脱気を行うことが可能となる。
【0078】
また、より一般化して考えた場合、本例のインク供給部20及び各色インク供給部102の構成は、印刷を行うインクジェットプリンタに限らず、液体吐出ヘッドから吐出液を吐出する液体吐出装置において用いることもできる。この場合、例えば、上記の説明におけるインクに換えて、吐出液を用いる構成とすることができる。この場合も、吐出液に対し、高い精度で適切に脱気を行うことができる。
【0079】
図2は、脱気モジュール212a、212bの詳細な構成の一例を示す図である。本例において、脱気モジュール212a、212bは、脱気膜302、インク導入口304、インク導出口306、及び脱気室308を有し、図中に矢印で示すように、インクタンク202から供給されるインクを通過させ、ポンプ214a、214に向かって送り出す。
【0080】
脱気膜302は、インクを通過させず、気体のみを通過させる機能性材料からなる膜である。本例において、脱気膜302は、例えば、チューブ状に形成された膜が束になった形状のもので構成され、脱気室308内に収容される。脱気膜302の材料としては、適切な内径や膜厚を有する中空糸膜、複合中空糸膜等が挙げられ、用途によって種々最適なものを選択することができる。例えば、ポリオレフィン系ポリマー、シリコンゴム系ポリマー、ウレタン系ポリマー、セルロース系ポリマー等のポリマー素材等を用いることが考えられる。また、用いるインクの材質、要求されるインク中の溶存気体濃度等の条件により、膜の厚さや形状を決定することが好ましい。更に、脱気膜302の構成は、1種類の膜を単一で用いる構成や、多層構造とすることができる。また、多層構造にする場合、異種の素材の組み合わせを用いて構成してもよい。
【0081】
インク導入口304は、脱気室308内にインクを導入する導入口であり、インクタンク202から供給されるインクを、脱気室308内に導入する。インク導出口306は、脱気室308から外へインクを導出する導出口であり、脱気膜302により脱気がされた後のインクを、ポンプ214a又は214bに向けて導出する。
【0082】
脱気室308は、脱気膜302を収容して保持する筐体部である。本例において、脱気室308は、枠体310、及び排気口312を有する。枠体310は、内部に脱気膜302を収容するケースである。また、排気口312は、脱気用ポンプ104と接続される開口部である。本例によれば、脱気モジュール212a、212bにより、インクの脱気を適切に行うことができる。
【0083】
図3〜
図5は、インク供給部20のより具体的な構成の一例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、
図3〜5に示した具体的な構成は、
図1、2に示した構成と同一又は同様である。例えば、
図3〜5において、
図1等と同じ符号を付した構成は、
図1、2における構成と同一又は同様のものである。また、
図3、4におけるインク流路中の各部の構成は、
図1等に示した構成と同様である。但し、図示の便宜上、
図3〜5においては、
図1等に示した構成と対応する構成のうち、一部の構成についてのみ、符号を付して示している。
【0084】
図3は、インク供給部20の具体的な構成の正面図である。
図4は、インク供給部20の具体的な構成の斜視図である。本例において、インク供給部20は、最大で8個のインクタンク202を使用可能である。また、使用可能なインクタンク202の数に対応して、インク供給部20は、8個の各色インク供給部102を有する。それぞれの各色インク供給部102は、
図1を用いて説明をしたように、脱気部152(
図1参照)において、2個の脱気モジュール212a、212b、2個のポンプ214a、214b、及び1個のポンプ駆動モータ218等を有する。2個の脱気モジュール212a、212bは、上流側インク流路204(
図1参照)から分岐したそれぞれの分岐流路208(
図1参照)に配設されることにより、並列に配設される。2個のポンプ214a、214bのそれぞれは、それぞれの分岐流路208において、インク流路の下流側で、脱気モジュール212a、212bのそれぞれと直列に接続される。また、ポンプ駆動モータ218は、2個のポンプ214a、214bを駆動する。
【0085】
また、
図3に示すように、本例において、各色インク供給部102からインクジェットヘッド12へインクを送る下流側インク流路216は、可とう性の筒状体内に束ねられた状態で、インクジェットヘッド12へとつながる。このような具体的な構成により、本例によれば、インクの脱気を適切に行うことができる。
【0086】
図5は、ポンプ214a、214b及びポンプ駆動モータ218の具体的な構成の一例を示す。
図5(a)、(b)は、ポンプ214a、214b及びポンプ駆動モータ218の具体的な構成の一例を示す斜視図である。
図5(c)、(d)は、ポンプ214aとポンプ214bとを連動させるための構成を示す斜視図である。尚、
図5(c)、(d)においては、ポンプ214a、214bの内部の構成を示すために、ポンプ214a、214bについて、断面形状を示している。
【0087】
本例において、ポンプ駆動モータ218は、例えばステッピングモータであり、軸を回転させる動力を、ギア502を介してポンプ214aに伝達する。ポンプ214a、214bは、同じ構造のチューブポンプであり、例えば、分岐流路208(
図1参照)中に接続されることでインクを通すチューブや、チューブをしごくローラ等を有する。また、ポンプ214a、214bは、ポンプ駆動モータ218から受け取る駆動力に応じてローラを動かすための構成として、ギア404及び軸402を有する。
【0088】
ギア404は、ポンプ駆動モータ218のギア502と噛み合わせるためのギアである。また、本例においては、複数のポンプ214a、214bのうち、ポンプ214aのギア404のみが、ポンプ駆動モータ218のギア502と噛み合わされる。これにより、ポンプ214aは、ポンプ駆動モータ218から受け取る動力に応じてローラを動かし、チューブにインクを流す。
【0089】
また、軸402は、チューブをしごくローラの動作と共に回転する軸である。また、本例において、軸402の先端は、十字形状になっている。そして、軸402の後端には、先端の十字形状に対応する溝が形成されており、他の軸402の先端がはめ込める構成になっている。そのため、
図5(c)、(d)に示したように、複数のポンプ214a、214bを重ねた場合、ポンプ214bの軸402の先端は、ポンプ214aの内部に挿入され、ポンプ214aの軸402の後端とつながる。また、このような軸402の構成により、ポンプ214a、214bの一方の軸402が回転した場合、他方の軸402も連動して回転する。また、ポンプ214a、214bにおいて、軸402が回転した場合、その回転に応じてローラが動作する。
【0090】
そのため、本例において、ポンプ駆動モータ218により一方のポンプ214aのローラを動かすと、ポンプ214aの軸402が回転し、その回転に応じて、ポンプ214bの軸402も回転する。また、軸402の回転に応じて、ポンプ214bのローラも動作する。
【0091】
このように、本例においては、一の上流側インク流路204(
図1参照)から分岐した複数の分岐流路208(
図1参照)に配設される複数のポンプ214a、214bのローラについて、一方のポンプ214aのローラの動作に連動して他方のポンプ214bのローラが動作するように構成されている。そのため、本例によれば、一のポンプ駆動モータ218により一方のポンプ214aのローラを駆動することにより、他方のポンプ214bのローラを、ポンプ214aローラと連動して適切に動作させることができる。また、これにより、高い精度でポンプ214a、214bを動作させ、インクの脱気を適切に行うことができる。
【0092】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。