(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検査対象に作動用電力を供給する第1電源部と、前記検査対象に前記作動用電力を供給している状態で当該検査対象から得られる電気的パラメータに基づいて当該検査対象についての機能検査を実行する検査部とを備えた検査装置であって、
前記検査対象に前記作動用電力を供給するための接続端子および前記第1電源部の間と基準電位との間に接続されるコンデンサと、前記接続端子および前記第1電源部の間と前記基準電位との間に前記コンデンサを接続した接続状態および接続していない非接続状態を切り替える切り替え部と、当該切り替え部を制御する制御部と、前記コンデンサに充電用電力を供給する第2電源部とを備え、
前記制御部は、前記機能検査としての静的機能検査を前記検査部が実行する際には前記切り替え部を制御して前記コンデンサを前記非接続状態に維持させ、前記機能検査としての動的機能検査を前記検査部が実行する際には前記切り替え部を制御して前記コンデンサを前記接続状態に維持させると共に、前記静的機能検査の実行後に前記動的機能検査が実行されるときの当該静的機能検査が実行されている間に前記第2電源部を制御して前記非接続状態の前記コンデンサに前記充電用電力を供給させて当該コンデンサを充電させる検査装置。
前記検査部は、前記作動用電力が供給されて前記検査対象が待機状態となっているときに測定した前記電気的パラメータとしての物理量の測定値に基づく当該検査対象の良否検査を前記静的機能検査として実行する請求項1記載の検査装置。
前記検査部は、前記作動用電力が供給されている状態において予め規定された電気的処理の実行を指示する指示信号に応じて前記検査対象が当該電気的処理を実行したときの前記電気的パラメータとしての処理結果に基づく当該検査対象の良否検査を前記動的機能検査として実行する請求項1または2記載の検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記したファンクションテスト・システムを含む機能検査を実行可能な従来の検査装置には、解決すべき以下の課題ある。すなわち、従来のこの種の検査装置では、検査対象の基板に作動用電力としての電圧を供給して基板を作動させて各種の機能検査が実行される。この場合、基板が電気的処理(例えば、演算処理)を開始したときには、急激な電圧降下が発生することがある。このようなときには、基板に備えられているリセット機能によって電気的処理が中断されて再び電気的処理が開始され、この電気的処理の開始によって再び電気的処理が中断される。このように、急激な電圧降下が発生することに起因して、電気的処理の開始と中断が繰り返されるという不都合が生じることがある。このような不都合を回避するため、この種の検査装置を用いて機能検査を実行する際には、作動用電力の出力部と信号供給用の端子との間にコンデンサを接続して急激な電圧降下を緩和することが考えられる。しかしながら、コンデンサを接続した状態で、待機状態(スタンバイ状態)における消費電流が規定値通りであるか否かの検査(静的機能検査)を実行する際には、コンデンサが充電されるまで作動用電力がコンデンサに供給されて、その間は電流値が変動することとなる。このため、変動が少なくなるまで測定を開始することができず、これに起因して検査効率が低下するという課題が存在する。また、コンデンサを接続した状態で、消費電流を測定したときには、コンデンサが充電された後においてもコンデンサの漏れ電流が加算されて測定されるため、基板の消費電流を正確に測定することが困難となり機能検査が不正確となるおそれもある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検査対象に対する機能検査を正確かつ効率的に実行し得る検査装置および検査方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の検査装置は、検査対象に作動用電力を供給する第1電源部と、前記検査対象に前記作動用電力を供給している状態で当該検査対象から得られる電気的パラメータに基づいて当該検査対象についての機能検査を実行する検査部とを備えた検査装置であって、前記検査対象に前記作動用電力を供給するための接続端子および前記第1電源部の間と基準電位との間に接続されるコンデンサと、前記接続端子および前記第1電源部の間と前記基準電位との間に前記コンデンサを接続した接続状態および接続していない非接続状態を切り替える切り替え部と、当該切り替え部を制御する制御部と
、前記コンデンサに充電用電力を供給する第2電源部とを備え、前記制御部は、前記機能検査としての静的機能検査を前記検査部が実行する際には前記切り替え部を制御して前記コンデンサを前記非接続状態に維持させ、前記機能検査としての動的機能検査を前記検査部が実行する際には前記切り替え部を制御して前記コンデンサを前記接続状態に維持させる
と共に、前記静的機能検査の実行後に前記動的機能検査が実行されるときの当該静的機能検査が実行されている間に前記第2電源部を制御して前記非接続状態の前記コンデンサに前記充電用電力を供給させて当該コンデンサを充電させる。
【0008】
また、請求項
2記載の検査装置は、請求項
1記載の検査装置において、前記検査部は、前記作動用電力が供給されて前記検査対象が待機状態となっているときに測定した前記電気的パラメータとしての物理量の測定値に基づく当該検査対象の良否検査を前記静的機能検査として実行する。
【0009】
また、請求項
3記載の検査装置は、請求項1
または2記載の検査装置において、前記検査部は、前記作動用電力が供給されている状態において予め規定された電気的処理の実行を指示する指示信号に応じて前記検査対象が当該電気的処理を実行したときの前記電気的パラメータとしての処理結果に基づく当該検査対象の良否検査を前記動的機能検査として実行する。
【0010】
また、請求項
4記載の検査方法は、検査対象に作動用電力を供給している状態で当該検査対象から得られる電気的パラメータに基づいて当該検査対象についての機能検査を実行する検査方法であって、前記機能検査としての静的機能検査を実行する際には、前記検査対象に前記作動用電力を供給するための接続端子および前記作動用電力を供給する第1電源部の間と基準電位との間にコンデンサを接続していない非接続状態に維持し、前記機能検査としての動的機能検査を実行する際には、前記接続端子および前記第1電源部の間と前記基準電位との間に前記コンデンサを接続した接続状態に維持する
と共に、前記静的機能検査の実行後に前記動的機能検査が実行されるときの当該静的機能検査が実行されている間に第2電源部を制御して前記非接続状態の前記コンデンサに充電用電力を供給させて当該コンデンサを充電させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の検査装置、および請求項
4記載の検査方法では、静的機能検査を実行する際には接続端子および第1電源部の間と基準電位との間にコンデンサを接続していない非接続状態に維持し、動的機能検査を実行する際には接続端子および第1電源部の間と基準電位との間にコンデンサを接続した接続状態に維持する。このため、静的機能検査を実行する際には、作動用電力がコンデンサに供給されない結果、静的機能検査に用いる電気的パラメータがコンデンサの充電に伴って変動する事態を回避することができる。したがって、この検査装置および検査方法によれば、作動用電力の供給の開始後直ちに静的機能検査を実行することができる結果、コンデンサが常に接続状態に維持されてコンデンサの充電に伴う電気的パラメータの変動が小さくなるまで静的機能検査を実行することができない構成および方法と比較して、検査効率を十分に向上させることができる。また、この検査装置および検査方法によれば、コンデンサを非接続状態とした後に静的機能検査を実行するため、コンデンサを接続した状態で静的機能検査を実行する構成および方法とは異なり、コンデンサの漏れ電流が加算された電流が静的機能検査に用いる電気的パラメータとして測定される事態を回避することができる。このため、この検査装置および検査方法によれば、静的機能検査に用いる電気的パラメータを正確に測定することができる結果、検査対象に対する機能検査を正確に実行することができる。さらに、この検査装置および検査方法によれば、動的機能検査を実行する際にはコンデンサを接続状態に維持することにより、動的機能検査において検査対象が電気的処理を開始したときの作動用電力の電圧降下をコンデンサの電力供給機能によって補うことができる。このため、この検査装置および検査方法によれば作動用電力の電圧降下によって検査対象による電気的処理が困難となって動的機能検査の実行が困難となる事態を確実に防止することができる。
【0012】
また、
この検査装置
および検査方法では、静的機能検査の実行後に動的機能検査が実行されるとき
の静的機能検査
が実行されている間に非接続状態のコンデンサに充電用電力を供給させてコンデンサを充電させる。この場合、静的機能検査の実行中にコンデンサに対する充電を行わない構成および方法では、静的機能検査の終了時点では、コンデンサが充電されておらず、その状態で直ちに動的機能検査を開始した(検査対象に電気的処理を開始させた)ときには、検査対象の処理開始に伴う電圧降下を補って電圧を平準化させることができないため、コンデンサを接続状態としてからコンデンサの充電が完了するまでの間は、動的機能検査を開始することができない結果、検査効率のさらなる向上が困難となる。これに対して、この検査装置によれば、静的機能検査の実行中にコンデンサを充電させることで、検査対象による電気的処理の開始時点でコンデンサの充電を完了させることができる結果、静的機能検査の終了後検査対象に対して電気的処理を直ちに実行させることができる。このため、この検査装置によれば、静的機能検査の実行中にコンデンサの充電を行わない構成および方法と比較して、検査効率をさらに向上させることができる。
【0013】
また、請求項
2記載の検査装置によれば、作動用電力が供給されて検査対象が待機状態となっているときに測定した物理量の測定値に基づく検査対象の良否検査を静的機能検査として実行することにより、機能検査の一環として一般的に行われる、この種の静的機能検査を正確かつ効率的に実行することができる。
【0014】
また、請求項
3記載の検査装置によれば、作動用電力が供給されている状態において指示信号に応じて検査対象が電気的処理を実行したときの処理結果に基づく検査対象の良否検査を前記動的機能検査として実行することにより、機能検査の一環として一般的に行われる、この種の動的機能検査を正確かつ効率的に実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、検査装置および検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0017】
最初に、
図1に示す検査装置1の構成について説明する。
図1に示す検査装置1は、検査装置の一例であって、第1電源部11、第2電源部12、検査部13、移動機構14、スキャナ15、コンデンサ16、切り替え部17、記憶部18、操作部19および制御部20を備えて、同図に示す部品実装済みの基板100(検査対象の一例)に対する機能検査(ファンクションテスト:検査対象を作動させて行う検査)を後述する検査方法に従って実行可能に構成されている。
【0018】
第1電源部11は、制御部20の制御に従って基板100に供給する作動用電圧Voを出力する。この場合、作動用電圧Voは、機能検査の実行時に基板100に供給して基板100を作動させるための作動用電力に相当する。また、第1電源部11は、図外のスイッチを備えて構成され、制御部20の制御に従ってこのスイッチを作動させることにより、基板100に対する作動用電圧Voの供給および供給停止を行う。
【0019】
第2電源部12は、コンデンサ16に対して充電用電力の一例としての充電用電圧Vcを供給する。また、第2電源部12は、図外のスイッチを備えて構成され、制御部20の制御に従ってこのスイッチを作動させることにより、コンデンサ16に対する充電用電圧Vcの供給および供給停止を行う。この場合、この検査装置1では、第1電源部11が出力する作動用電圧Voと同じ電圧値の充電用電圧Vcを第2電源部12が供給する。
【0020】
検査部13は、各種の機能検査を実行する。この場合検査部13は、後述する待機状態における消費電流を測定してその測定値に基づく静的機能検査を実行する電流検査ユニットや、後述する基板100による演算処理の処理結果に基づく動的機能検査を実行する演算結果判定ユニットなどの各種の検査ユニットを備えて構成されて、静的機能検査および動的機能検査を機能検査として実行する。この場合、静的機能は、基板100が電気的処理を実行することなく、作動用電圧Voの供給に伴って行う機能であって、具体的には、作動用電圧Voを供給して基板100が待機状態(スタンバイ状態)となっているときに消費電流(電気的パラメータ)を消費して待機状態を維持する機能がこの静的機能に相当する。また、このような静的機能を検査する機能検査が静的機能検査に相当する。一方、動的機能は、基板100が電気的処理を実行する機能であって、具体的には、作動用電圧Voが供給されている状態において基板100に対して予め規定した電気的処理(例えば、演算処理、通信処理、および表示器に対する表示処理等)の実行を指示する指示信号Scを出力し、その指示信号Sc応じて基板100がその電気的処理を実行して処理結果(電気的パラメータ)を出力する機能がこの動的機能に相当する。また、このような動的機能を検査する機能検査が動的機能検査に相当する。
【0021】
移動機構14は、制御部20の制御に従い、基板100に対してプローブユニット21をプロービングさせる。この場合、プローブユニット21は、例えば、
図1に示すように、複数のプローブ22(接続端子に相当する)を備えて治具型に構成されている。
【0022】
スキャナ15は、複数のスイッチ(図示せず)を備えて構成され、制御部20の制御に従って各スイッチを切り替えることにより、プローブユニット21の各プローブ22と第1電源部11との接断(接続および切断)、および各プローブ22と検査部13との接断を行う。
【0023】
コンデンサ16は、電圧供給用およびバイパス用として機能するコンデンサであって、基板100に対して動的機能検査を実行する際に、基板100が電気的処理を開始したときの基板100に供給されている作動用電圧Voの電圧降下を補って、電圧を平準化させる機能を有している。この場合、コンデンサ16は、切り替え部17の動作によって、プローブ22および第1電源部11の間(プローブ22および第1電源部11の接続点)と基準電位(グランド電位)との間(この例では、第1電源部11とプローブ22との間にスキャナ15が存在しているため、スキャナ15および第1電源部11の間(接続点)と基準電位との間)に接続された状態(以下「接続状態」ともいう)と接続されていない状態(以下「非接続状態」ともいう)とが切り替えられる。
【0024】
切り替え部17は、制御部20の制御に従って作動して、コンデンサ16の接続状態と非接続状態とを切り替える。記憶部18は、検査装置1の動作プログラムや機能検査の手順が記述されたシーケンスデータなどを記憶する。また、記憶部18は、制御部20の制御に従い、検査部13によって実行される機能検査の結果を記憶する。操作部19は、検査の開始を指示する指示操作や各種の設定操作を行うための操作キーを備えて構成され、これらが操作されたときに操作信号を出力する。
【0025】
制御部20は、操作部19から出力される操作信号、および記憶部18に記憶されている動作プログラムに従って検査装置1を構成する各構成要素を制御する。具体的には、制御部20は、移動機構14を制御してプロービングを実行させる。また、制御部20は、第1電源部11による作動用電圧Voの出力を制御する。また、制御部20は、記憶部18に記憶されているシーケンスデータに記述されている手順に従い、検査部13に対して機能検査(静的機能検査および動的機能検査)を実行させると共に、切り替え部17を制御してプローブ22および第1電源部11の間と基準電位との間にコンデンサ16を接続している接続状態と接続していない非接続状態とを切り替える処理(以下「切り替え処理」ともいう)を実行する。この場合、制御部20は、検査部13に対して静的機能検査を実行させているときには、コンデンサ16を非接続状態とさせ、検査部13に対して動的機能検査を実行させているときには、コンデンサ16を接続状態とさせる。
【0026】
また、制御部20は、検査部13に対して動的機能検査を実行させる際に、基板100に対して電気的処理を指示する指示信号Scを出力する。また、制御部20は、検査部13に対して静的機能検査および動的機能検査をこの順番で連続的に実行させるときには、第2電源部12を制御して、静的機能検査の実行時にコンデンサ16に充電用電圧Vcを供給させ、動的機能検査の実行時にはコンデンサ16に対する充電用電圧Vcの供給を停止させる。なお、この検査装置1では、上記したように、第1電源部11が出力する作動用電圧Voと同じ電圧値の充電用電圧Vcを第2電源部12が供給するため、第2電源部12からコンデンサ16に対して充電用電圧Vcを常時供給する(第2電源部12とコンデンサ16とを常時接続する)構成および方法を採用することもできる。また、作動用電圧Voと充電用電圧Vcの電圧値が異なる場合においても、逆流防止回路(例えば、ダイオード)を設けることで、第2電源部12からコンデンサ16に対して充電用電圧Vcを常時供給することができる。
【0027】
次に、検査装置1の動作および検査装置1を用いた検査方法について、図面を参照して説明する。なお、基板100に対して静的機能検査を実行した後に動的機能検査を実行する旨の手順を含んだシーケンスデータが記憶部18に記憶されているものとする。
【0028】
この検査装置1では、電源が投入されたときに、制御部20が記憶部18から動作プログラムを読み出して、各構成要素に対する制御を開始する。次いで、操作部19に対して検査の開始を指示する指示操作がされたときには、操作部19がその旨を示す操作信号を出力する。
【0029】
続いて、制御部20は、操作部19から出力された操作信号に従い、移動機構14を制御してプロービングを実行させる。これにより、プローブユニット21の各プローブ22が基板100に設けられている各ポイントに接触させられる。次いで、制御部20は、第1電源部11を制御して、作動用電圧Voの出力を開始させる。
【0030】
続いて、制御部20は、記憶部18からシーケンスデータを読み出す。次いで、制御部20は、シーケンスデータに記述されている手順に従い、検査部13に対して機能検査を実行させると共に、切り替え部17を制御する切り替え処理を実行し、機能検査の内容に応じて、コンデンサ16を接続状態および非接続状態のいずれかに切り替える。
【0031】
具体的には、制御部20は、まず、切り替え部17を制御してコンデンサ16を非接続状態(プローブ22および第1電源部11の間と基準電位との間にコンデンサ16を接続させない状態)とさせる。続いて、制御部20は、第1電源部11のスイッチ(図示せず)を作動させて、プローブ22を介して作動用電圧Voを供給させる。これにより、基板100に対する作動用電圧Voの供給が開始される。この場合、この時点では、電気的処理(基板100が実行する電気的処理)の開始を指示する指示信号Scが出力されていないため、基板100は、待機状態(指示信号Sc待ちの状態)を維持する。
【0032】
次いで、制御部20は、検査部13を制御して、待機状態において作動用電圧Voの供給に伴って基板100に流れる電流(待機状態における消費電流)を測定してその測定値(電流値)と予め規定された基準値とを比較して基板100の良否(静的機能の良否)を判定する検査(静的機能検査の一例)を実行させる。
【0033】
この場合、この時点では、コンデンサ16が非接続状態となっているため、作動用電圧Voがコンデンサ16に供給されない結果、
図2に示すように、コンデンサ16の充電に伴う電圧および消費電流の変動が回避される。したがって、この検査装置1および検査方法では、作動用電圧Voの供給の開始後直ちに(短時間のうちに)消費電流の測定を開始することができる結果、コンデンサ16が常に接続状態に維持されて、コンデンサ16の充電に伴う消費電流の変動が小さくなるまで(同図に破線で示すように、作動用電圧Voが定常状態となるまで)消費電流の測定を開始することができない構成および方法と比較して、検査効率を十分に向上させることが可能となっている。
【0034】
また、この検査装置1および検査方法では、コンデンサ16を非接続状態とした上で静的機能検査を実行する(消費電流を測定する)ため、コンデンサ16を接続した状態で静的機能検査を実行する構成および方法とは異なり、コンデンサ16の漏れ電流が加算された電流が消費電流として測定される事態を回避することができる。このため、この検査装置1および検査方法では、待機状態における基板100の消費電流を正確に測定することが可能となり、正確に測定した消費電流に基づいて基板100の良否を判定するため、検査精度を十分に向上させることが可能となっている。
【0035】
一方、制御部20は、第2電源部12を制御して、検査部13によって静的機能検査が実行されている間にコンデンサ16に充電用電圧Vcを供給させる。このため、この検査装置1および検査方法では、静的機能検査の実行中(静的機能検査が終了するまでの間)にコンデンサ16を充電させることが可能となっている。
【0036】
続いて、制御部20は、検査部13による上記の静的機能検査が終了したときには、検査結果を記憶部18に記憶させる。また、制御部20は、第2電源部12を制御して、コンデンサ16に対する充電用電圧Vcの供給を停止させる。
【0037】
次いで、制御部20は、切り替え部17を制御してコンデンサ16を接続状態(プローブ22および第1電源部11の間と基準電位との間にコンデンサ16を接続させた状態)とさせる。続いて、制御部20は、基板100に対して電気的処理(例えば、演算処理)の実行を指示する指示信号Scを出力する。この際に、基板100に搭載されている演算素子が指示信号Scに従って電気的処理を開始して、処理結果を出力する。
【0038】
ここで、コンデンサ16が非接続状態のときには、
図2に破線で示すように、基板100の演算素子による電気的処理の開始に伴って瞬間的な電圧降下が発生する。この場合、この種の基板100の多くは、急激な電圧降下が発生したときに基板100に備えられているリセット機能によって電気的処理を中断して再び電気的処理を開始し、この電気的処理の開始によって再び電気的処理を中断するというように、電気的処理の開始と中断が繰り返されて、電気的処理が実行されない(完了しない)という不都合が生じるおそれがある。これに対して、この検査装置1および検査方法では、この時点(基板100による電気的処理の開始時点)でコンデンサ16が接続状態となっているため、同図に実線で示すように、コンデンサ16の電力供給機能によって急激な電圧降下が補われて電圧が平準化される。このため、急激な電圧降下に起因する不都合の発生を防止することが可能となっている。
【0039】
また、この検査装置1および検査方法では、静的機能検査の実行中にコンデンサ16に対して充電用電圧Vcを供給してコンデンサ16の充電を行うため、基板100による電気的処理の開始時点でコンデンサ16の充電を完了させることができる結果、静的機能検査の終了後直ちに基板100に対して電気的処理を実行させることが可能となっている。このため、この検査装置1および検査方法では、静的機能検査の実行中にコンデンサ16の充電を行わない従来の構成および方法と比較して、検査効率を向上させることが可能となっている。
【0040】
次いで、制御部20は、検査部13を制御して、基板100から出力された処理結果が予め規定された値に合致しているか否かを判定して、その判定結果に基づいて基板100の良否を判定する検査(動的機能検査の一例)を実行させる。
【0041】
この場合、上記したように、基板100による電気的処理の開始時点でコンデンサ16が接続状態となっているため、電圧が平準化され、これによって基板100による電気的処理が確実に実行される結果、動的機能検査を確実に実行することが可能となっている。
【0042】
このように、この検査装置1および検査方法では、静的機能検査を実行する際にはプローブ22および第1電源部11の間と基準電位との間にコンデンサ16を接続していない非接続状態に維持し、動的機能検査を実行する際にはプローブ22および第1電源部11の間と基準電位との間にコンデンサ16を接続した接続状態に維持する。このため、静的機能検査を実行する際には、作動用電圧Voがコンデンサ16に供給されない結果、静的機能検査において測定する物理量(静的機能検査に用いる電気的パラメータ)がコンデンサ16の充電に伴って変動する事態を回避することができる。したがって、この検査装置1および検査方法によれば、作動用電圧Voの供給の開始後直ちに静的機能検査を実行することができる結果、コンデンサ16が常に接続状態に維持されてコンデンサ16の充電に伴う物理量の変動が小さくなるまで静的機能検査を実行することができない構成および方法と比較して、検査効率を十分に向上させることができる。また、この検査装置1および検査方法によれば、コンデンサ16を非接続状態とした後に静的機能検査を実行するため、コンデンサ16を接続した状態で静的機能検査を実行する構成および方法とは異なり、コンデンサ16の漏れ電流が加算された電流が静的機能検査に用いる物理量として測定される事態を回避することができる。このため、この検査装置1および検査方法によれば、静的機能検査に用いる物理量を正確に測定することができる結果、基板100に対する機能検査を正確に実行することができる。さらに、この検査装置1および検査方法によれば、動的機能検査を実行する際にはコンデンサ16を接続状態に維持することにより、動的機能検査において基板100が電気的処理を開始したときの作動用電圧Voの電圧降下をコンデンサ16の電力供給機能によって補うことができる。このため、この検査装置1および検査方法によれば作動用電圧Voの電圧降下によって基板100による電気的処理が困難となって動的機能検査の実行が困難となる事態を確実に防止することができる。
【0043】
また、この検査装置1および検査方法では、静的機能検査の実行後に動的機能検査が実行されるときに、静的機能検査の実行時にコンデンサ16に充電用電圧Vcを供給させてコンデンサ16を充電させる。この場合、静的機能検査の実行中にコンデンサ16に対する充電を行わない構成および方法では、静的機能検査の終了時点では、コンデンサ16が充電されておらず、その状態で直ちに動的機能検査を開始した(基板100に電気的処理を開始させた)ときには、基板100の処理開始に伴う電圧降下を補って電圧を平準化させることができないため、コンデンサ16を接続状態としてからコンデンサ16の充電が完了するまでの間は、動的機能検査を開始することができない結果、検査効率のさらなる向上が困難となる。これに対して、この検査装置1および検査方法によれば、静的機能検査の実行中にコンデンサ16を充電させることで、基板100による電気的処理の開始時点でコンデンサ16の充電を完了させることができる結果、静的機能検査の終了後基板100に対して電気的処理を直ちに実行させることができる。このため、この検査装置1および検査方法によれば、静的機能検査の実行中にコンデンサ16の充電を行わない構成および方法と比較して、検査効率をさらに向上させることができる。
【0044】
また、この検査装置1および検査方法によれば、作動用電圧Voが供給されて基板100が待機状態となっているときに測定した物理量の測定値に基づく基板100の良否検査を静的機能検査として実行することにより、機能検査の一環として一般的に行われる、この種の静的機能検査を正確かつ効率的に実行することができる。
【0045】
また、この検査装置1および検査方法によれば、作動用電圧Voが供給されている状態において指示信号Scに応じて基板100が電気的処理を実行したときの処理結果に基づく基板100の良否検査を動的機能検査として実行することにより、機能検査の一環として一般的に行われる、この種の動的機能検査を正確かつ効率的に実行することができる。
【0046】
なお、検査装置および検査方法の構成は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、静的機能検査を実行した後に動的機能検査を実行する構成および方法について上記したが、これとは逆に、動的機能検査を実行した後に静的機能検査を実行する構成および方法を採用することもできる。
【0047】
また、静的機能検査を実行している間に、第2電源部12からの充電用電圧Vcの供給によってコンデンサ16を充電する構成および方法について上記したが、第2電源部12を設けない(つまり、充電用電圧Vcを供給しない)構成および方法を採用することもできる。
【0048】
また、上記した静的機能検査は一例であって、他の各種の静的機能検査を実行することができる。例えば、作動用電力を供給している状態において基板100上の各ポイントにおける電位(物理量)を測定して、その測定値に基づく基板100の良否検査を静的機能検査として実行する構成および方法を採用することもできる。
【0049】
また、上記した動的機能検査も一例であって、他の各種の動的機能検査を実行することができる。例えば、基板100によって実行される電気的処理の途中で基板100内のメモリにデータを一時的に記憶させ、そのデータを用いて別の電気的処理を実行して出力された出力信号に基づく基板100の良否検査を動的機能検査として実行する構成および方法を採用することもできる。