(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0011】
図1は、X線診断装置の構成を示したブロック図である。このX線診断装置100は、被検体Pが移動可能に載置される寝台部10と、寝台部10に載置された被検体PにX線を照射するX線照射部20と、X線照射部20からの照射により被検体Pを透過したX線を検出するX線照射部20に対向配置されたX線検出部25と、X線照射部20及びX線検出部25を移動可能に保持するアーム30とを備えている。
【0012】
また、X線診断装置100は、寝台部10及びアーム30を駆動する移動機構部40と、X線照射部20のX線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部50と、X線検出部25で検出された検出信号に基づいて画像データを生成する画像処理部60と、画像処理部60で生成された画像データを表示する表示部70と、各種コマンドの入力等を行う操作部80と、上記の各ユニットを制御するシステム制御部90とを備えている。
【0013】
寝台部10は、被検体Pが載置される天板11と、被検体Pが載置された天板11を長手方向及び上下方向へ移動可能に支持する天板支持体12とを備えている。
【0014】
X線照射部20は、被検体Pに照射するX線を発生するX線管21と、X線管21からのX線が通過する照射口を可変できるX線絞り器22と、X線絞り器22を制御するX線絞り制御部23とを備えている。また、X線検出部25は、X線照射部20のX線絞り器22の照射口を通過して照射され、被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器26と、X線検出器26で検出された検出信号を処理してX線投影データを生成する信号処理部27とを備えている。
【0015】
移動機構部40は、寝台部10の天板11を長手方向及び上下方向へ移動する天板移動機構41と、X線照射部20及びX線検出部25を移動するアーム移動機構42と、天板移動機構41及びアーム移動機構42を制御する機構制御部43とを備えている。そして、アーム移動機構42は、アーム30をスライド駆動してX線照射部20及びX線検出部25をスライド方向に回動する。また、アーム30を回動駆動してX線照射部20及びX線検出部25をスライド方向に対して垂直な方向へ回動する。
【0016】
高電圧発生部50は、X線照射部20のX線管21に高電圧を供給する高電圧発生器及びこの高電圧発生器を制御するX線制御部を備えている。そして、システム制御部90から供給される透視用や撮影用の管電圧や管電流を含むX線照射条件に基づいて、X線を発生させるための高電圧をX線管21に供給する。
【0017】
画像処理部60は、被検体PへのX線照射によりX線検出部25の信号処理部27で生成されるX線投影データに基づいて画像データを生成する画像データ生成部61を備えている。また、画像データ生成部61で生成された画像データからスポット領域を設定するスポット領域設定部62を備えている。更に、スポット領域設定部62で設定されたスポット領域に基づいて画像データ生成部61で生成される画像データの合成処理を行う画像データ処理部63を備えている。
【0018】
表示部70は、液晶パネル或いはCRTのモニタを備え、画像処理部60の画像データ生成部61で生成された画像データを表示する。また、画像処理部60の画像データ処理部63で合成された画像データを表示する。
【0019】
操作部80は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウス、スイッチ等を備えている。そして、X線照射条件を設定するための入力、スポット領域を設定するための入力、X線を照射させる照射開始の入力、X線の照射を停止させる照射停止の入力等を行う。
【0020】
システム制御部90は、CPUと記憶回路を備え、操作部80から入力される入力情報を一旦記憶した後、これらの入力情報に基づいて、X線照射部20、X線検出部25、移動機構部40、高電圧発生部50及び画像処理部60を統括して制御する。
【0021】
次に、
図1及び
図2を参照して、X線照射部20のX線絞り器22及びX線検出部25のX線検出器26の構成の詳細を説明する。
図2は、X線絞り器22及びX線検出器26の構成の一例を示した図である。このX線絞り器22は、X線管21から照射されたX線が通過する照射口22aを形成する4つの絞り羽根221乃至224と、2つの絞り羽根221,222を移動する羽根移動機構225と、2つの絞り羽根223,224を移動する羽根移動機構226とを備えている。
【0022】
各絞り羽根221乃至224は、タングステンやモリブデン等のX線を吸収する素材から成り、X線管21からのX線の検出が可能なX線検出器26の検出面26aに対して平行に移動可能に配置される。そして、各絞り羽根221乃至224により、X線管21で発生したX線が通過する四角形の照射口22aを形成する。この照射口22aにより被検体Pに照射するX線の照射範囲が制限される。
【0023】
2つの絞り羽根221,222は、照射口22aの一方の両端を形成する各端面が互いに対向して平行に配置される。また、各絞り羽根221,222に対して垂直に配置される2つの絞り羽根223,224は、照射口22aの他方の両端を形成する各端面が互いに対向して平行に配置される。
【0024】
羽根移動機構225は、各絞り羽根221,222を、矢印L4方向及びL4方向とは反対方向の矢印L5方向に移動する。また、羽根移動機構226は、各絞り羽根223,224を、矢印L6方向及びL6方向とは反対方向の矢印L7方向に移動する。
【0025】
X線絞り制御部23は、システム制御部90から供給されるX線管21とX線検出器26の間の距離D1、X線管21とX線絞り器22の間の距離D2、及びX線検出器26の検出面26aの縦の長さ及び横の長さの情報に基づいて、羽根移動機構225,226を制御する。そして、X線管21から照射されたX線の入射範囲がX線検出器26の検出面26aに含まれるように各絞り羽根221乃至224を移動させる。
【0026】
次に、
図1乃至
図3を参照して、画像処理部60の構成の詳細を説明する。
図3は、画像処理部60の構成の詳細を示したブロック図である。この画像処理部60の画像データ生成部61は、操作部80から透視開始の入力が行われると、例えば線量の少ない透視用のX線照射によりX線検出部25で生成されるX線投影データから予め設定されたフレームレートで画像データを生成し、生成した画像データをフレーム毎に画像データ処理部63に出力する。
【0027】
また、画像データ生成部61は、操作部80から透視開始の入力が行われた後に2デバイスモード、屈曲モード、又は先端モードのいずれかのスポット領域モードを選択する入力が行われると、画像データをフレーム毎にスポット領域設定部62及び画像データ処理部63に出力する。
【0028】
スポット領域設定部62は、デバイス領域抽出部621及びスポット領域決定部622を備えている。そして、例えばインターベンションに用いられるカテーテルや治療用のワイヤ等のデバイスが挿入された被検体PにX線照射が行われているとき、操作部80から2デバイスモード、屈曲モード、又は先端モード等のいずれかのスポット領域モードを選択する入力が行われると、画像データ生成部61で時系列的に生成された複数フレームの画像データからデバイスの先端部に当たる先端領域を抽出し、抽出した先端領域に基づいてスポット領域を設定する。そして、スポット領域の位置を示す位置データを画像データ処理部63及びシステム制御部90に出力する。
【0029】
X線照射部20のX線絞り制御部23では、システム制御部90から供給されるスポット領域の位置データに基づいて、X線検出部25のX線検出器26のスポット領域に対応する検出範囲に向けてX線照射が可能なようにX線絞り器22を制御する。
【0030】
なお、インターベンションに用いられるデバイスの先端部は、その後方に連なる部分とはX線透過率が異なる材料により構成され、X線透視下においてデバイス先端部が識別できるようになっている。
【0031】
デバイス領域抽出部621は、操作部80からのいずれかのスポット領域モードを選択する入力に応じて、画像データ生成部61よりフレーム毎に出力される画像データから、被検体P内に挿入されたデバイスの先端部に当たる先端領域を抽出する。そして、抽出した先端領域の位置を示す位置データをフレーム毎に生成してスポット領域決定部622に出力する。
【0032】
ここで、第1及び第2のデバイスにより構成されるデバイスが使用される場合の2デバイスモードの選択入力に応じて画像データ生成部61よりフレーム毎に出力される画像データから、被検体P内に挿入された第1のデバイスである例えばカテーテルの先端部に当たる、予め設定された閾値以上の画素値を有する画素の領域である第1の先端領域を抽出する。更に、カテーテルの中空部への挿通により被検体P内に挿入された第2のデバイスである例えば治療用のワイヤの先端部に当たる、第1の先端領域から突出する予め設定された閾値以上の画素値を有する画素の領域(第2の先端領域)を抽出する。そして、抽出した第1及び第2の先端領域の位置を示す第1及び第2の位置データをフレーム毎に生成する。
【0033】
また、屈曲モードの選択入力に応じて画像データ生成部61よりフレーム毎に出力される画像データから、検体P内に挿入された例えば治療用のワイヤの先端部に当たる先端領域を抽出する。そして、抽出した先端領域の位置を示す第3の位置データをフレーム毎に生成する。
【0034】
更に、先端モードの選択入力に応じて画像データ生成部61よりフレーム毎に出力される画像データから、検体P内に挿入されたデバイスの先端部に当たる先端領域を抽出する。そして、抽出した先端領域の位置を示す第4の位置データをフレーム毎に生成する。
【0035】
スポット領域決定部622は、操作部80からのいずれかのスポット領域モードを選択する入力に応じてデバイス領域抽出部621からフレーム毎に出力された位置データを保存する。そして、保存した位置データに基づいて、画像データ生成部61で生成された画像データ上にスポット領域の位置を示す位置データをフレーム毎に生成する。そして、生成した位置データを画像データ処理部63に出力する。
【0036】
ここで、2デバイスモードの選択入力に応じて保存した複数の第1及び第2の位置データに基づいて、2デバイスモードが選択入力されてから第1及び第2のデバイスの先端部が移動した移動軌跡を含む領域を包囲するX線照射部20のX線絞り器22で形成可能な照射口22aの形状である四角形の枠(四角枠)内をスポット領域とし、その四角枠の位置を示す第5の位置データをフレーム毎に生成する。なお、移動軌跡の領域を包囲する際に、移動軌跡の領域を含む最小の四角枠を一定の距離を設けて包囲する四角枠をスポット領域として設定するように実施してもよい。
【0037】
また、屈曲モードの選択入力に応じて保存した複数の第3の位置データに基づいて、屈曲モードが選択入力されてからデバイス先端部が移動した移動軌跡の領域を辿り、その移動軌跡の領域のうちの予め設定された角度以上に屈曲している領域から最新の先端領域までを含む領域を包囲する四角枠内をスポット領域とし、その四角枠の位置を示す第6の位置データをフレーム毎に生成する。
【0038】
更に、先端モードの選択入力に応じて保存した最新の第4の位置データに基づいて、先端モードが選択入力されてから最新の先端領域を含む所定の範囲の領域を包囲する四角枠内をスポット領域とし、その四角枠の位置を示す第7の位置データをフレーム毎に生成する。
【0039】
画像データ処理部63は、操作部80からの透視開始の入力に応じて画像データ生成部61から出力される画像データをフレーム毎に表示部70に出力する。また、操作部80からのいずれかのスポット領域モードを選択する入力に応じてスポット領域設定部62のスポット領域決定部622からフレーム毎に出力される位置データに基づいて、画像データ生成部61で生成された画像データのスポット領域をフレーム毎に識別処理する。ここでは、画像データ生成部61で生成された画像データ上にスポット領域を包囲する四角枠を重畳する。そして、四角枠を重畳した画像データをフレーム毎に表示部70に出力する。
【0040】
また、画像データ処理部63は、操作部80からのスポット領域を承認する承認入力に応じて画像データ生成部61で生成される例えば1フレームの画像データを内部のメモリに保存する。そして、内部メモリに保存した画像データからスポット領域のデータを除いた静止画像データを、承認入力に応じてスポット領域決定部622からシステム制御部90に出力される位置データに基づいてX線絞り器22により照射口22aが絞られ、X線検出器26のスポット領域に対応する検出範囲に向けてのX線照射により生成される画像データと合成する。そして、合成した画像データを表示部70に出力する。
【0041】
以下、
図1乃至
図9を参照して、X線診断装置100の動作の一例を説明する。
図4は、X線診断装置100の動作を示したフローチャートである。デバイスを挿入して治療を行うために、被検体Pが寝台部10の天板11上に載置され、被検体Pの関心部位へのX線の照射が可能な位置へ天板11並びにX線照射部20及びX線検出部25が移動される。そして、X線照射部20のX線絞り器22の各絞り羽根221乃至224をホームポジションに設定する入力が操作部80から行われると、X線診断装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0042】
システム制御部90は、X線照射部20、X線検出部25、移動機構部40、高電圧発生部50及び画像処理部60に検査を指示する。そして、X線照射部20のX線絞り制御部23は、X線絞り器22の羽移動機構225,226を制御して各絞り羽根221乃至224をホームポジションへ移動させる。操作部80から透視開始の入力が行われると、高電圧発生部50は、透視用の高電圧をX線管21に供給する。X線照射部20は、天板11上の被検体PにX線を照射する。X線検出部25は、被検体Pを透過したX線を検出してX線投影データを生成する。
【0043】
画像処理部60の画像データ生成部61は、X線検出部25で生成されたX線投影データに基づいて予め設定されたフレームレートで画像データを生成して画像データ処理部63に出力する。画像データ処理部63は、画像データ生成部61から出力された画像データをフレーム毎に表示部70に出力する。表示部70は、画像データ処理部63から出力された画像データをリアルタイムに表示する。
【0044】
次に、カテーテル及び治療用のワイヤを被検体P内に挿入して治療が行われる第1及び第2のデバイスにより構成されるデバイスが使用される場合の操作部80からの2デバイスモードの選択入力により、動作する例について説明する。
【0045】
被検体P内に第1のデバイスを挿入する操作が行われ、第1のデバイスの先端部が被検体Pの関心部位付近に到達すると、表示部70に第1のデバイスの先端部のデータを含む画像データがリアルタイムに表示される。
【0046】
図5は、表示部70に表示された画像データ、この画像データが表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26の一例を示した図である。そして、
図5(a)は表示部70に表示された画像データを示し、
図5(b)は
図5(a)の画像データがリアルタイムに表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26を示している。
【0047】
この画像データ71は、X線検出器26の検出面26a全範囲に向けてX線照射されているときに生成され、被検体Pの関心部位P1のデータを含んでいる。また、関心部位P1付近に位置する第1のデバイス先端部に当たる第1の先端データ711、及び第1のデバイス先端部の後方に連なる後方部分に当たる第1の後方データ712を含んでいる。
【0048】
被検体Pの関心部位P1付近に到達した第1のデバイスを移動する操作が停止され、操作部80から2デバイスモードを選択する入力が行われると、画像データ生成部61は、生成した画像データをフレーム毎にスポット領域設定部62及び画像データ処理部63に出力する。
【0049】
スポット領域設定部62のデバイス領域抽出部621は、2デバイスモードの選択入力に応じて画像データ生成部61よりフレーム毎に出力される画像データから、被検体P内に挿入された第1のデバイスの先端部に当たる第1の先端領域を抽出し、抽出した第1の先端領域の位置を示す第1の位置データをフレーム毎に生成する。
【0050】
第1のデバイスの挿入操作が停止された後、第1のデバイスの中空部への挿通により被検体P内に第2のデバイスを挿入する操作が行われ、第2のデバイスの先端部が第1のデバイスの先端から突出すると、表示部70に第1及び第2のデバイスの先端部のデータを含む画像データがリアルタイムに表示される。
【0051】
更に第2のデバイスを被検体P内へ挿入する操作が行われると、デバイス領域抽出部621は、画像データ生成部61よりフレーム毎に出力される画像データから、被検体P内の第1のデバイスの先端部に当たる第1の先端領域及び第2のデバイスの先端部に当たる第1の先端領域から突出した第2の先端領域を抽出し、抽出した第1及び第2の先端領域の位置を示す第1及び第2の位置データをフレーム毎に生成する(
図4のステップS2)。
【0052】
スポット領域決定部622は、デバイス領域抽出部621でフレーム毎に生成された第1及び第2の位置データを保存する(
図4のステップS3)。
【0053】
スポット領域決定部622は、保存した複数の第1及び第2の位置データに基づいて、2デバイスモードが選択入力されてから第1及び第2のデバイスの先端部が移動した移動軌跡を含む領域をスポット領域として四角枠で包囲し、包囲した四角枠の位置を示す第5の位置データを生成する(
図4のステップS4)。
【0054】
画像データ処理部63は、スポット領域決定部622で生成された第5の位置データに基づいて、画像データ生成部61で生成された画像データ上にスポット領域を包囲する四角枠を重畳し、四角枠を重畳した画像データをフレーム毎に表示部70に出力する(
図4のステップS5)。
【0055】
図6は、2デバイスモードの選択入力に応じて表示部70に表示された四角枠が重畳される画像データ、この画像データが表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26の一例を示した図である。そして、
図6(a)は表示部70に表示された画像データを示し、
図6(b)は
図6(a)の画像データがリアルタイムに表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26を示している。
【0056】
この画像データ71aは、X線検出器26の検出面26a全範囲に向けてX線照射されているときに生成され、関心部位P1付近に位置する第1のデバイス先端部に当たる第1の先端データ711a及び第1のデバイス先端部の後方に連なる後方部分に当たる第1の後方データ712aを含んでいる。また、例えば関心部位P1に位置する第2のデバイス先端部に当たる第2の先端データ713及び第2のデバイス先端部の後方に連なる第1のデバイスから突出した後方部分に当たる第2の後方データ714を含んでいる。
【0057】
また、2デバイスモードが選択入力されてから画像データ71aが生成されるまでの間に移動した、第1のデバイス先端部の移動軌跡が例えば第1の先端データ711aに重複し、第2のデバイス先端部の移動軌跡が例えば第2の後方データ714に重複している場合の第1の先端データ711a、第2の先端データ713及び第2の後方データ714を含む領域を包囲する四角枠72が画像データ71a上に重畳されている。
【0058】
なお、表示部70に表示された四角枠72の画像データ71aに対する位置やサイズを操作部80からの入力により変更することができる。この場合、操作部80の入力デバイスを操作して、表示部70にカーソルを表示させて四角枠72の位置へ移動し、四角枠72を画像データ71a上で拡大、縮小、及び移動することにより変更することができる。
【0059】
表示部70に画像データ71a及び四角枠72が表示されているとき、操作部80より四角枠72内のスポット領域を承認する入力が行われると、画像データ処理部63は、その承認入力が行われたときに画像データ生成部61で生成された例えば1フレームの画像データを内部メモリに保存する。
【0060】
X線絞り制御部23は、承認入力に応じてシステム制御部90から供給される第5の位置データに基づいて、X線絞り器22の羽移動機構225,226を制御して絞り羽根221をL4方向に移動させると共に絞り羽根222をL5方向に移動させる。また、絞り羽根223をL6方向に移動させると共に絞り羽根224をL7方向に移動させる。そして、X線検出器26の四角枠72に対応する検出面26aよりも狭い検出範囲に向けてX線照射されるように照射口22aを絞らせる(
図4のステップS6)。
【0061】
このように、画像データ生成部61で時系列的に生成される複数フレームの画像データから第1及び第2のデバイス先端部に当たる第1及び第2の先端領域を抽出し、抽出した第1及び第2の先端領域に基づいて第1及び第2のデバイス先端部の移動した移動軌跡を含む領域をスポット領域として設定することにより、スポット領域を設定する操作を削減することができる。
【0062】
また、被検体Pの関心部位P1が例えば心臓又は心臓近傍のように動きのある部位である場合、第1及び第2のデバイス先端部の移動した移動軌跡を含む領域をスポット領域として設定することにより、冠動脈治療において重要となる第1のデバイス先端部から第1のデバイス先端部より突出した第2のデバイスの部分までを、被検体Pの部位の動きを含めた範囲に制限してのX線照射が可能となり、被検体PのX線被曝を低減することができる。
【0063】
画像データ処理部63は、X線絞り器22により照射範口22aが絞られる前に承認入力に応じて内部メモリに保存した例えば1フレームの画像データ71aから四角枠72内のデータを除いた静止画像データを、X線検出器26の検出範囲に向けてのX線照射により予め設定されたフレームレートで生成される画像データと合成して合成画像データを生成する(
図4のステップS7)。
【0064】
図7は、承認入力に応じて表示部70に表示された合成画像データ、X線絞り器22及びX線検出器26の一例を示した図である。そして、
図7(a)は表示部70に表示された合成画像データを示し、
図7(b)は
図7(a)の合成画像データが表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26を示している。
【0065】
この合成画像データ71bは、
図6(a)に示した四角枠72内のスポット領域にリアルタイムに表示される画像データ73及び四角枠72外の領域に表示される静止画像データ74により構成される。
【0066】
画像データ73は、
図7(b)に示すように、X線検出器26の検出面26aよりも狭い検出範囲26a1に向けてX線照射されているときに生成され、関心部位P1付近に位置する第1のデバイス先端部に当たる第1の先端データ711b及び第1のデバイス先端部の後方に連なる後方部分の一部に当たる第1の後方データ712bを含んでいる。また、関心部位P1に位置する第2のデバイス先端部に当たる第2の先端データ713a及び第2のデバイス先端部の後方に連なる第1のデバイスから突出した後方部分に当たる第2の後方データ714aを含んでいる。
【0067】
静止画像データ74は、操作部80からの承認入力に応じて画像データ処理部63に保存された1フレームの画像データから四角枠72内の領域のデータが除かれたものであり、
図6(a)の画像データ71aに含まれる第1の後方データ712aの四角枠72外の領域のデータである第1の後方データ712cを含んでいる。
【0068】
このように、操作部80からのスポット領域を承認する入力により、X線検出器26のスポット領域に対応する検出範囲26a1に向けてX線照射するようにX線絞り器22に照射口22aを絞らせることができる。これにより、X線絞り器22を作動させる操作を軽減することができる。また、その作業の軽減により、作業時間を短縮することができる。
【0069】
そして、操作部80から照射停止の入力が行われると、システム制御部90がX線照射部20、X線検出部25、移動機構部40、高電圧発生部50及び画像処理部60に検査の終了を指示することにより、X線診断装置100は動作を終了する(
図4のステップS8)。
【0070】
なお、上記実施形態に限定されるものではなく、X線照射部20及びX線検出部25をスライド方向に90°回動した位置に被検体PにX線を照射する第2のX線照射部及びこの第2のX線照射部から照射されたX線を検出する第2のX線照射部に対向配置された第2のX線検出部を設ける。そして、X線検出部25及び第2のX線検出部で検出された検出信号に基づいて生成される3次元画像データから、被検体P内へ挿入された第1及び第2のデバイスの先端部に当たる第1及び第2の先端領域を抽出し、抽出した第1及び第2の先端領域に基づいて第1及び第2のデバイス先端部の移動した移動軌跡の領域を包囲する3次元のスポット領域を設定するように実施してもよい。
【0071】
次に、
図4のステップS1の後、治療用のワイヤをデバイスとして被検体P内に挿入して治療が行われ、操作部80から屈曲モードの選択入力により動作する一例を説明する。被検体P内にデバイスを挿入する操作が行われ、デバイスの先端部が被検体Pの関心部位P1付近に達すると、表示部70にデバイスの先端部のデータを含む画像データがリアルタイムに表示される。
【0072】
操作部80から屈曲モードを選択する入力が行われると、デバイス領域抽出部621は、屈曲モードの選択入力に応じて画像データ生成部61よりフレーム毎に出力される画像データから、被検体P内に挿入されたデバイスの先端部に当たる先端領域を抽出して第3の位置データを生成する。
【0073】
スポット領域決定部622は、屈曲モードの選択入力に応じて保存した複数の第3の位置データに基づいて、屈曲モードが選択入力されてからデバイス先端部が移動した移動軌跡の領域を辿り、その移動軌跡の領域のうちの予め設定された角度以上に屈曲している領域から最新の先端領域までを含む領域を包囲する四角枠内をスポット領域とし、その四角枠の位置を示す第6の位置データをフレーム毎に生成する。
【0074】
画像データ処理部63は、スポット領域決定部622で生成された第6の位置データに基づいて、画像データ生成部61で生成された画像データ上にスポット領域を包囲する四角枠を重畳し、四角枠を重畳した画像データをフレーム毎に表示部70に出力する。
【0075】
図8は、屈曲モードの選択入力に応じて表示部70に表示された四角枠が重畳される画像データ、この画像データが表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26の一例を示した図である。そして、
図8(a)は表示部70に表示された画像データを示し、
図8(b)は
図8(a)の画像データがリアルタイムに表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26を示している。
【0076】
この画像データ75は、X線検出器26の検出面26a全範囲に向けてX線照射されているときに生成され、関心部位P2付近に位置するデバイス先端部に当たる先端データ751及びデバイス先端部の後方に連なる後方部分に当たる後方データ752を含んでいる。
【0077】
また、屈曲モードが選択入力されてから画像データ75が生成されるまでの間に移動したデバイス先端部の移動軌跡の領域を辿り、その移動軌跡が例えば後方データ752と重複している場合の予め設定された角度以上に屈曲している2つの領域753,754から最新の先端領域までを含む領域を包囲する四角枠76が画像データ75上に重畳されている。
【0078】
表示部70に画像データ75及び四角枠76が表示されているとき、操作部80より四角枠76内のスポット領域を承認する入力が行われると、X線絞り制御部23は、システム制御部90から供給される第6の位置データに基づいて、X線絞り器22に照射口22aを絞らせる。画像データ処理部63は、承認入力に応じて内部メモリに保存した1フレームの画像データ75から四角枠76内のデータを除いた静止画像データを、X線検出器26に向けてのX線絞り器22に照射口22aが絞られたX線照射により生成される画像データと合成して合成画像データを生成する。表示部70は画像データ処理部63で生成された合成画像データを表示する。
【0079】
このように、画像データ生成部61で時系列的に生成される複数フレームの画像データからデバイス先端部に当たる先端領域を抽出し、抽出した先端領域に基づいて屈曲した領域から最新の先端領域までを含む領域をスポット領域として設定することにより、スポット領域を設定する操作を削減することができる。また、被検体Pの関心部位P2が動きのある部位である場合、屈曲した領域から最新の先端領域までを含む領域をスポット領域として設定することにより、大動脈治療において重要となるデバイスが大動脈に接触して屈曲した部分からデバイス先端部までを、被検体Pの部位の動きを含めた範囲に制限してのX線照射が可能となり、被検体PのX線被曝を低減することができる。
【0080】
次に、
図4のステップS1の後、例えばカテーテルをデバイスとして被検体P内に挿入して治療が行われ、操作部80からの先端モードの選択入力により動作する一例を説明する。被検体P内にデバイスを挿入する操作が行われ、デバイスの先端部が被検体Pの関心部位P1付近に達すると、表示部70にデバイスの先端部のデータを含む画像データがリアルタイムに表示される。
【0081】
操作部80から先端モードを選択する入力が行われると、デバイス領域抽出部621は、先端モードの選択入力に応じて画像データ生成部61よりフレーム毎に出力される画像データから、被検体P内に挿入されたデバイスの先端部に当たる先端領域を抽出して第4の位置データを生成する。
【0082】
スポット領域決定部622は、先端モードの選択入力に応じて保存した第4の位置データに基づいて、最新の第4の位置データの領域を含む所定の範囲の領域を包囲する四角枠の位置を示す第7の位置データを生成する。画像データ処理部63は、スポット領域決定部622で生成された第7の位置データに基づいて、画像データ生成部61で生成された画像データ上にスポット領域を包囲する四角枠を重畳し、四角枠を重畳した画像データをフレーム毎に表示部70に出力する。
【0083】
図9は、先端モードの選択入力に応じて表示部70に表示された四角枠が重畳される画像データ、この画像データが表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26の一例を示した図である。そして、
図9(a)は表示部70に表示された画像データを示し、
図9(b)は
図9(a)の画像データがリアルタイムに表示されているときのX線絞り器22及びX線検出器26を示している。
【0084】
この画像データ77は、X線検出器26の検出面26a全範囲に向けてX線照射されているときに生成され、関心部位P3付近に位置するデバイス先端部に当たる先端データ771及びデバイス先端部の後方に連なる後方部分に当たる後方データ772を含んでいる。また、先端データ771を含む所定範囲の領域を包囲する四角枠78が画像データ77上に重畳されている。
【0085】
表示部70に画像データ77及び四角枠78が表示されているとき、操作部80より四角枠78内のスポット領域を承認する入力が行われると、X線絞り制御部23は、システム制御部90から供給される第7の位置データに基づいて、X線絞り器22に照射口22aを絞らせる。画像データ処理部63は、承認入力に応じて内部メモリに保存した1フレームの画像データ77から四角枠78内のデータを除いた静止画像データを、X線検出器26に向けてのX線絞り器22に照射口22aが絞られたX線照射により生成される画像データと合成して合成画像データを生成する。表示部70は画像データ処理部63で生成された合成画像データを表示する。
【0086】
このように、画像データ生成部61で時系列的に生成される複数フレームの画像データからデバイス先端部に当たる先端領域を抽出し、抽出した先端領域に基づいて最新の先端部領域を含む所定の範囲の領域をスポット領域として設定することにより、スポット領域を設定する操作を削減することができる。また、被検体Pの関心部位P3が動きのある部位である場合、最新の先端部領域を含む所定の範囲の領域をスポット領域として設定することにより、アブレーション治療において重要となるカテーテル先端を含む所定の範囲を、被検体Pの部位の動きを含めた範囲に制限してのX線照射が可能となり、被検体PのX線被曝を低減することができる。
【0087】
なお、上記実施形態に限定されるものではなく、デバイス先端部の移動軌跡の領域を辿り、移動軌跡の領域のうちの最新の先端領域から一定の距離の範囲をスポット領域として設定するように実施してもよい。また、デバイスを利用して被検体内に造影剤を注入する場合、画像データから造影剤が注入された領域を抽出し、抽出した領域に基づいてスポット領域を設定するように実施してもよい。また、移動軌跡の領域及び最新の先端領域からデバイス先端部が移動する進行方向の領域(進行領域)を求め、その進行領域及び最新の先端領域を含む領域をスポット領域として設定するように実施してもよい。
【0088】
以上述べた実施形態によれば、画像データ生成部61で生成される画像データからデバイス先端部に当たる先端領域を抽出し、抽出した先端領域に基づいてスポット領域を設定することができる。これにより、スポット領域を設定する操作を削減することができる。また、操作部80からのスポット領域を承認する入力により、X線検出器26のスポット領域に対応する検出範囲に向けてX線照射するようにX線絞り器22に照射口22aを絞らせることができる。これにより、X線絞り器22を作動させる操作を軽減することができる。
【0089】
そして、画像データ生成部61で時系列的に生成される複数フレームの画像データから第1及び第2のデバイス先端部に当たる第1及び第2の先端領域を抽出し、抽出した第1及び第2の先端領域に基づいて第1及び第2のデバイス先端部の移動した移動軌跡を含む領域をスポット領域として設定することができる。これにより、冠動脈治療において重要となる第1のデバイス先端部から第1のデバイス先端部より突出した第2のデバイスの部分までを、被検体Pの部位の動きを含めた範囲に制限してのX線照射が可能となり、被検体PのX線被曝を低減することができる。
【0090】
また、画像データ生成部61で時系列的に生成される複数フレームの画像データからデバイス先端部に当たる先端領域を抽出し、抽出した先端領域に基づいてデバイス先端部の移動した移動軌跡の領域を辿り、屈曲した領域から最新の先端領域までを含む領域をスポット領域として設定することができる。これにより、大動脈治療において重要となるデバイスが大動脈に接触して屈曲した部分からデバイス先端部までを、被検体Pの部位の動きを含めた範囲に制限してのX線照射が可能となり、被検体PのX線被曝を低減することができる。
【0091】
更に、画像データ生成部61で時系列的に生成される複数フレームの画像データからデバイス先端部に当たる先端領域を抽出し、抽出した先端領域に基づいて最新の先端領域を含む所定範囲の領域をスポット領域として設定することができる。これにより、アブレーション治療において重要となるカテーテル先端部を含む所定の範囲を、被検体Pの部位の動きを含めた範囲に制限してのX線照射が可能となり、被検体PのX線被曝を低減することができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。