(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104619
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】センサ回路
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20170316BHJP
【FI】
G01D5/12 C
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-14634(P2013-14634)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-145676(P2014-145676A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安斎 亮一
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特開平3−108906(JP,A)
【文献】
特開昭53−22772(JP,A)
【文献】
特開昭63−172918(JP,A)
【文献】
特開平3−267781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01B 7/00−7/34
G01R 33/00−33/18
H03F 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗ブリッジ型のセンサ素子と、
前記センサ素子の第一入力端子と第二入力端子との間に定電流を流す定電流回路と、
前記センサ素子の第一出力端子の電圧と第二出力端子の電圧との差分電圧を、増幅する増幅回路と、
一定の基準電圧を出力する基準電圧回路と、
前記第一出力端子の電圧及び前記第二出力端子の電圧のうち低いほうの電圧である出力コモン電圧と、前記基準電圧と、が等しくなるよう、前記第二入力端子の電圧を調整する出力コモン電圧調整回路と、を備え、
前記出力コモン電圧調整回路は、
第一非反転入力端子が前記センサ素子の第一出力端子に接続され、第二非反転入力端子が前記センサ素子の第二出力端子に接続され、反転入力端子が前記基準電圧回路の出力端子に接続される差動増幅回路と、
ゲートが前記差動増幅回路の出力端子に接続され、ソースが接地端子に接続され、ドレインが前記センサ素子の第二入力端子に接続される出力トランジスタと、
を備えることを特徴とするセンサ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ回路に関し、特に、抵抗ブリッジ型のセンサ素子を有するセンサ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の抵抗ブリッジ型センサ回路について説明する。
図4は、従来の抵抗ブリッジ型センサ回路を示すブロック図である。
【0003】
センサ素子(ホール素子)の低電圧側入力端子は接地端子に接続され、高電圧側入力端子は定電流部の出力端子に接続されている。センサ素子の出力端子は、差動増幅回路で構成される計装アンプの入力端子に接続されている。計装アンプは、バランス調整部によって電気特性を調整されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−210461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、計装アンプの差動増幅回路の同相入力電圧範囲は、センサ素子の出力コモン電圧の範囲よりも広くなる必要がある。
【0006】
従来の構成では、出力コモン電圧は、接地電圧基準であるので、出力コモン電圧の範囲は広くなる。また、センサ素子は製造バラツキや温度依存性を有するので、その分の出力コモン電圧が考慮されて回路設計されると、出力コモン電圧の範囲はさらに広くなる。よって、差動増幅回路において、同相入力電圧範囲も広くなるので、設計が困難になっている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、差動増幅回路の設計が容易になるセンサ回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、抵抗ブリッジ型のセンサ素子と、前記センサ素子の第一入力端子と第二入力端子との間に定電流を流す定電流回路と、前記センサ素子の第一出力端子の電圧と第二出力端子の電圧との差分電圧を、増幅する増幅回路と、前記第一出力端子の電圧及び前記第二出力端子の電圧のうち低いほうの電圧である出力コモン電圧と、基準電圧と、が等しくなるよう、前記第二入力端子の電圧を調整する出力コモン電圧調整回路と、を備えることを特徴とするセンサ回路を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、センサ素子の出力コモン電圧は、接地電圧基準でなくて基準電圧基準である。また、出力コモン電圧は、常時、基準電圧と等しくなるよう調整される。すると、差動増幅回路の同相入力電圧は、基準電圧基準になり、且つ、略一定の電圧になる。よって、差動増幅回路の設計が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】出力コモン電圧調整回路を示すブロック図である。
【
図3】出力コモン電圧調整回路を示す回路図である。
【
図4】従来の抵抗ブリッジ型センサ回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
まず、センサ回路の構成について説明する。
図1は、センサ回路を示すブロック図である。
図2は、出力コモン電圧調整回路を示すブロック図である。
図3は、出力コモン電圧調整回路を示す回路図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、抵抗ブリッジ型のセンサ素子100の第一入力端子が定電流回路101の出力端子に接続され、第二入力端子が出力コモン電圧調整回路102の出力トランジスタ120のドレイン(出力端子113)に接続され、第一出力端子が差動増幅回路104の第一入力端子に接続され、第二出力端子が差動増幅回路104の第二入力端子に接続される。出力コモン電圧調整回路102の差動増幅回路105の第一非反転入力端子110がセンサ素子100の第一出力端子に接続され、第二非反転入力端子111がセンサ素子100の第二出力端子に接続され、反転入力端子112が基準電圧回路103の出力端子に接続される。出力コモン電圧調整回路102の出力トランジスタ120のゲートが出力コモン電圧調整回路102の差動増幅回路105の出力端子に接続され、ソースが接地端子に接続され、ドレインがセンサ素子100の第二入力端子に接続される。
【0013】
図3に示すように、出力コモン電圧調整回路102において、PMOSトランジスタ131のゲートが第一非反転入力端子110に接続され、ソースが電流源140を介して電源端子に接続され、ドレインが内部ノード141に接続される。PMOSトランジスタ130のゲートが第二非反転入力端子111に接続され、ソースが電流源140を介して電源端子に接続され、ドレインが内部ノード141に接続される。PMOSトランジスタ132のゲートが反転入力端子112に接続され、ソースが電流源140を介して電源端子に接続され、ドレインが内部ノード142に接続される。PMOSトランジスタ130〜132は、差動対を構成する。
【0014】
また、NMOSトランジスタ121のゲート及びドレインが内部ノード141に接続され、ソースが接地端子に接続される。NMOSトランジスタ122のゲートが内部ノード141に接続され、ソースが接地端子に接続され、ドレインが内部ノード142に接続される。出力トランジスタ120のゲートが内部ノード142に接続され、ソースが接地端子に接続され、ドレインが出力端子113に接続される。NMOSトランジスタ121〜122は、カレントミラー回路を構成する。
【0015】
次に、センサ回路10の動作について説明する。
定電流回路101は、抵抗ブリッジ型のセンサ素子100の第一入力端子と第二入力端子との間に定電流を流し、センサ素子100を駆動する。この定電流及びセンサ素子100に印加される磁気などの物理量に基づき、センサ素子100は、第一出力端子及び第二出力端子に電圧を発生する。増幅回路104は、センサ素子100の第一出力端子の電圧と第二出力端子の電圧との差分電圧を、増幅する。
【0016】
ここで、センサ素子100の第一出力端子の電圧及び第二出力端子の電圧のいずれか低いほうの電圧は、センサ素子100の出力コモン電圧である。
【0017】
基準電圧回路103は、基準電圧を発生する。この基準電圧は、半導体製造プロセス終了後に、ヒューズトリミング工程などにより、最適な電圧に調整されている。出力コモン電圧調整回路102は、センサ素子100の出力コモン電圧と基準電圧とが等しくなるよう、センサ素子100の第二入力端子の電圧を調整する。例えば、温度によってセンサ素子100の内部抵抗値が変化しても、センサ素子100の第二入力端子の電圧が調整されることにより、センサ素子100の出力コモン電圧と基準電圧とが等しく制御される。つまり、この基準電圧の値は、センサ素子100の出力コモン電圧の設定値になっている。
【0018】
この出力コモン電圧調整回路102において、PMOSトランジスタ130〜132は、電流源140から供給される定電流で駆動される。PMOSトランジスタ130〜132は、ゲート電圧(第一非反転入力端子110、第二非反転入力端子111及び反転入力端子112の電圧)に基づき、ドレイン電圧(内部ノード141〜142の電圧)を出力する。NMOSトランジスタ121〜122は、PMOSトランジスタ130〜132の差動対のドレイン電圧を電圧増幅し、出力トランジスタ120のゲート電圧を出力する。出力トランジスタ120は、ゲート電圧に基づき、ドレイン電圧(出力端子113の電圧)を出力する。PMOSトランジスタ130〜131のゲート電圧において低い電圧とPMOSトランジスタ132のゲート電圧とがイマジナリショートの状態になるように、出力トランジスタ120のドレイン電圧は変動する。
【符号の説明】
【0019】
10 センサ回路
100 抵抗ブリッジ型のセンサ素子
101 定電流回路
102 出力コモン電圧調整回路
103 基準電圧回路
104 差動増幅回路
110 第一非反転入力端子
111 第二非反転入力端子
112 反転入力端子
113 出力端子