特許第6104641号(P6104641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三洋化成工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104641
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】相溶化剤
(51)【国際特許分類】
   C08F 255/00 20060101AFI20170316BHJP
   C08L 51/06 20060101ALI20170316BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20170316BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20170316BHJP
   C08F 8/50 20060101ALI20170316BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   C08F255/00
   C08L51/06
   C08L23/00
   C08L101/00
   C08F8/50
   C08J3/22CEP
   C08J3/22CES
   C08J3/22CFD
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-41615(P2013-41615)
(22)【出願日】2013年3月4日
(65)【公開番号】特開2014-12812(P2014-12812A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-130334(P2012-130334)
(32)【優先日】2012年6月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中田 陽介
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−132525(JP,A)
【文献】 特開2009−096892(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/023758(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00
C08L 51/06
C08L 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1,000個当たり0.1〜20個の二重結合を有するポリオレフィン(A)不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)、および炭素数6〜36のα−オレフィンである脂肪族不飽和炭化水素(C)を構成単位とし、50〜250mgKOH/gの酸価を有する共重合体(X)を含有してなり、該(X)が、(A)を幹、(B)と(C)の(共)重合体を枝とするグラフト共重合体である、ポリオレフィン樹脂(E)およびバイオマス由来樹脂(F)用相溶化剤(K)。
【請求項2】
(B)が、不飽和ジカルボン酸(無水物)である請求項1記載の相溶化剤。
【請求項3】
(A)が、数平均分子量30,000〜400,000のポリオレフィン(A0)の、熱減成物である請求項1または2記載の相溶化剤。
【請求項4】
(A)と(B)の重量比が、30/70〜92/8である請求項1〜3のいずれか記載の相溶化剤。
【請求項5】
(A)、(B)および(C)の合計重量に基づく含有量が、(A)が20〜85%、(B)が8〜45%、(C)が5〜65%である請求項1〜4のいずれか記載の相溶化剤。
【請求項6】
ポリオレフィン樹脂(E)、バイオマス由来樹脂(F)および請求項1〜5のいずれか記載の相溶化剤(K)を含有してなり、(K)の含有量が(E)、(F)および(K)の合計重量に基づいて0.1〜30%である成形用樹脂組成物。
【請求項7】
(E)と(F)の重量比が、90/10〜10/90である請求項6記載の組成物。
【請求項8】
ポリオレフィン樹脂(E)および/またはバイオマス由来樹脂(F)、並びに請求項1〜5のいずれか記載の相溶化剤(K)を含有してなり、(K)の含有量が(E)および/または(F)、並びに(K)の合計重量に基づいて30〜80%であるマスターバッチ樹脂組成物。
【請求項9】
請求項6または7記載の組成物を成形してなる成形品。
【請求項10】
請求項9記載の成形品に印刷および/または塗装を施してなる成形物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相溶化剤に関する。さらに詳しくはポリオレフィン樹脂とバイオマス由来樹脂を良好に相溶させる相溶化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは軽量、高強度、成形の容易さ等から大量に使用されている。しかし、その結果として増大したプラスチック廃棄物のために、海洋環境の破壊、環境汚染等が問題となっている。耐用年数が過ぎた廃棄プラスチックの処分方法としては焼却、埋立等が挙げられるが、これらの処分方法には以下のような問題がある。すなわち、焼却方法では、プラスチックは燃焼カロリーが高いために焼却炉を傷めやすい。さらに焼却方法では地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出も避けられない。
一方、埋立方法においてもこれらの樹脂が安定であることから生分解することなく残存し続け、埋立地の不足の原因の一つになっている。
そこで、焼却方法における実質的な二酸化炭素の排出量を低減し、埋立方法における生分解を促進する方策として、プラスチック原料にバイオマス由来の原料を極力併用するという動きがある(例えば特許文献1、2、3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−269720号公報
【特許文献2】特開2005−171204号公報
【特許文献3】特開2006−28299号公報
【特許文献4】特開2006−8868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、該バイオマス由来の原料を併用した場合、他のプラスチック原料との相溶性や、該併用原料からなる成形品の機械的強度(耐衝撃性等)が不十分であり改善が切望されていた。
本発明の目的は、成形品の機械的強度を損なうことなく、ポリオレフィン樹脂とバイオマス由来樹脂を良好に相溶させる相溶化剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、ポリオレフィン(A)および不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)を構成単位とし、50〜250mgKOH/gの酸価を有する共重合体(X)を含有してなる、ポリオレフィン樹脂(E)およびバイオマス由来樹脂(F)用相溶化剤である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の相溶化剤は下記の効果を奏する。
(1)ポリオレフィン樹脂(E)とバイオマス由来樹脂(F)を幅広い重量比で相溶化することができる。
(2)該相溶化剤、ポリオレフィン樹脂(E)およびバイオマス由来樹脂(F)を含有する樹脂組成物を成形してなる成形品は耐衝撃性等の機械的強度に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[ポリオレフィン(A)]
本発明におけるポリオレフィン(A)には、オレフィンの1種または2種以上の(共)重合体、並びにオレフィンの1種または2種以上と他の単量体の1種または2種以上との共重合体が含まれる。
上記オレフィンには、炭素数(以下、Cと略記)2〜30のアルケン、例えばエチレン、プロピレン、1−および2−ブテン、およびイソブテン、並びにC5〜30のα−オレフィン(1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン等);他の単量体には、オレフィンとの共重合性を有するC4〜30の不飽和単量体、例えば、酢酸ビニルが含まれる。
【0008】
(A)の具体例には、エチレン単位含有(プロピレン単位非含有)(共)重合体、例えば高、中および低密度ポリエチレン、およびエチレンとC4〜30の不飽和単量体[ブテン(1−ブテン等)、C5〜30のα−オレフィン(1−ヘキセン、1−ドデセン等)、酢酸ビニル等]との共重合体(重量比は後述する樹脂組成物の成形性および(A)の分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合量の観点から好ましくは30/70〜99/1、さらに好ましくは50/50〜95/5)等;プロピレン単位含有(エチレン単位非含有)(共)重合体、例えばポリプロピレン、プロピレンとC4〜30の不飽和単量体(前記に同じ)との共重合体(重量比は前記に同じ);エチレン/プロピレン共重合体(重量比は樹脂組成物の成形性および(A)の分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合量の観点から、好ましくは0.5/99.5〜30/70、さらに好ましくは2/98〜20/80);C4以上のオレフィンの(共)重合体、例えばポリブテンが含まれる。
これらのうち、後述する不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)および脂肪族不飽和炭化水素(C)との共重合性の観点から好ましいのはポリエチレン、プロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/C4〜30の不飽和単量体共重合体、さらに好ましいのはエチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/C4〜30の不飽和単量体共重合体である。
【0009】
(A)の数平均分子量[以下、Mnと略記。測定は後述するゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。以下同じ。]は、本発明の相溶化剤(K)を含有する組成物からなる成形品の機械的強度および該(K)の生産性の観点から、好ましくは800〜50,000、さらに好ましくは1,000〜45,000である。
【0010】
本発明におけるGPCによるMn[後述の(F)以外]の測定条件は以下のとおりである。
装置 :高温ゲルパーミエイションクロマトグラフ
[「Alliance GPC V2000」、Waters(株)製]
検出装置 :屈折率検出器
溶媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列
[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
カラム温度 :135℃
【0011】
(A)は、後述の不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)、もしくは(B)および脂肪族不飽和炭化水素(C)との重合性の観点から分子末端および/またはポリマー鎖中に二重結合を有することが好ましい。
(A)の炭素1,000個(炭素数1,000個ともいう)当たりの該分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合数は、(A)と、(B)、もしくは(B)および(C)との共重合性および(K)の生産性の観点から好ましくは0.1〜20個、さらに好ましくは0.3〜18個、とくに好ましくは0.5〜15個である。
ここにおいて該二重結合数は、(A)の1H−NMR(核磁気共鳴)分光法のスペクトルから求めることができる。すなわち、該スペクトル中のピークを帰属し、(A)の4.5〜6.0ppmにおける二重結合由来の積分値および(A)由来の積分値から、(a)の二重結合数と(A)の炭素数の相対値を求め、(A)の炭素1,000個当たりの該分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合数を算出する。後述の実施例における二重結合数は該方法に従った。
【0012】
(A)の製造方法には、重合法(例えば特開昭59−206409号公報に記載のもの)および減成法[熱的、化学的および機械的減成法等、これらのうち熱的減成法(以下において熱減成法ということがある)としては、例えば特公昭43−9368号公報、特公昭44−29742号公報、特公平6−70094号公報に記載のもの]が含まれる。
【0013】
重合法には前記オレフィンの1種または2種以上を(共)重合させる方法、およびオレフィンの1種または2種以上と他の単量体の1種または2種以上を共重合させる方法が含まれる。
【0014】
減成法には、前記重合法で得られる高分子量[好ましくはMn30,000〜400,000、さらに好ましくは50,000〜200,000]のポリオレフィン(A0)を熱的、化学的または機械的に減成する方法が含まれる。
【0015】
減成法のうち、熱減成法には、前記ポリオレフィン(A0)を窒素通気下で、(1)有機過酸化物不存在下、通常300〜450℃で0.5〜10時間、連続的または非連続的に熱減成する方法、および(2)有機過酸化物存在下、通常180〜300℃で0.5〜10時間、連続的または非連続的に熱減成する方法等が含まれる。
これらの(1)、(2)のうち得られる(A)と、(B)、もしくは(B)および(C)との共重合性の観点から好ましいのは、分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合数のより多いものが得やすい(1)の方法である。
【0016】
これらの(A)の製造方法のうち、分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合数のより多いものが得やすく、(A)と、(B)、もしくは(B)および(C)との共重合が容易であるとの観点から好ましいのは減成法、さらに好ましいのは熱減成法である。
【0017】
[不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)]
本発明における不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)は、重合性不飽和基を1個有するC3〜30の(ポリ)カルボン酸(無水物)である。なお、本発明において不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)は、不飽和モノカルボン酸、不飽和ポリカルボン酸および/または不飽和ポリカルボン酸無水物を意味する。
該(B)のうち、不飽和モノカルボン酸としては、脂肪族(C3〜24、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸)、脂環含有(C6〜24、例えばシクロヘキセンカルボン酸)等;不飽和ポリ(2〜3またはそれ以上)カルボン酸(無水物)としては、不飽和ジカルボン酸(無水物)[脂肪族ジカルボン酸(無水物)(C4〜24、例えばマレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、およびこれらの無水物)、脂環含有ジカルボン酸(無水物)(C8〜24、例えばシクロへキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、ビシクロヘプテンジカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、およびこれらの無水物)等]、不飽和トリカルボン酸(無水物)[脂肪族トリカルボン酸(無水物)(C5〜24、例えばアコニット酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、4−ペンテン−1,2,4−トリカルボン酸、およびこれらの無水物)、脂環含有トリカルボン酸(無水物)(C9〜24、例えば4−シクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、4−シクロヘプテン−1,2,3−トリカルボン酸およびこれらの無水物)等]等が挙げられる。上記(B)は1種単独でも、2種以上併用してもいずれでもよい。
上記(B)のうち、(A)および後述する脂肪族不飽和炭化水素(C)との共重合性の観点から、好ましいのは不飽和ジカルボン酸(無水物)、さらに好ましいのは脂肪族不飽和ジカルボン酸(無水物)、とくに好ましいのは脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物、最も好ましいのは無水マレイン酸である。
【0018】
[脂肪族不飽和炭化水素(C)]
本発明における脂肪族不飽和炭化水素(C)には、前記(A)を構成するC2〜30のアルケン、C6〜36(さらに好ましくはC8〜30)の、直鎖α−オレフィンおよび分岐鎖を有するα−オレフィンの他、オレフィンとの共重合性を有するC4〜30のその他の不飽和単量体(酢酸ビニル、ブタジエン等)が含まれる。
上記直鎖α−オレフィンとしては、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
また、分岐鎖を有するα−オレフィンとしては、プロピレン三量体、プロピレン四量体およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
上記(C)のうち、(A)、(B)との共重合性、後述する成形品の機械的強度および後述するポリオレフィン樹脂(E)とバイオマス由来樹脂(F)の相溶性の観点から好ましいのは、C6〜36(さらに好ましくはC8〜30)の、直鎖α−オレフィンおよび分岐鎖を有するα−オレフィンである。
【0019】
[ラジカル開始剤(D)]
本発明における共重合体(X)は、前記(A)、(B)、もしくは、(A)、(B)、(C)を、ラジカル発生源[ラジカル開始剤(D)、熱、光等]の存在下で共重合させることにより得られる。
ラジカル開始剤(D)としては、例えばアゾ化合物[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等]、過酸化物〔単官能(分子内にパーオキシド基を1個有するもの)(ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド等)および多官能(分子内にパーオキシド基を2個以上有するもの)[2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジアリルパーオキシジカーボネート等]〕等が挙げられる。
これらのうち(A)、(B)、もしくは、(A)、(B)、(C)のグラフト共重合性の観点、すなわち後述する、(A)を幹、(B)もしくは(B)と(C)の(共)重合体を枝とするグラフト共重合体の形成性の観点から好ましいのは、過酸化物、さらに好ましいのは単官能過酸化物、とくに好ましいのはジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジクミルパーオキシドである。
【0020】
(D)の使用量は、反応性および副反応抑制の観点から、(A)、(B)の合計重量、もしくは、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて好ましくは0.05〜10%、さらに好ましくは0.2〜5%、とくに好ましくは0.5〜3%である。
【0021】
[共重合体(X)]
本発明における共重合体(X)は、前記ポリオレフィン(A)および不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)を構成単位としてなる。
また、(X)は、(B)の共重合率を高めて相溶化剤(K)の相溶性をより向上させる観点から、さらに上記構成単位に脂肪族不飽和炭化水素(C)を加え、(A)、(B)および(C)を構成単位とする共重合体としてもよい。
なお、(X)の製造に際しては、共重合の構成単位としてスチレンもしくはスチレン誘導体(C9〜C15のもの、例えばメチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、m−ブチルスチレン等)を含有しないことが後述する成形用樹脂組成物の相溶性の観点から好ましい。
【0022】
(X)中の(A)と(B)の重量比[(A)/(B)]は、成形品の機械的強度および相溶化剤(K)の相溶性の観点から好ましくは30/70〜92/8、さらに好ましくは35/65〜80/20;(A)と(C)の重量比[(A)/(C)]は、成形品の機械的強度および相溶化剤(K)の相溶性の観点から好ましくは23/77〜94/6、さらに好ましくは30/70〜85/15;(A)と、(B)および(C)の合計との重量比〔(A)/[(B)+(C)]〕は、成形品の機械的強度および後述するバイオマス由来樹脂(F)との親和性の観点から好ましくは20/80〜85/15さらに好ましくは30/70〜80/20;また、(B)と(C)の重量比[(B)/(C)]は、バイオマス由来樹脂(F)との親和性および成形品の機械的強度の観点から好ましくは11/89〜90/10さらに好ましくは15/85〜80/20である。
【0023】
また、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づく各成分の含有量は、(A)は共重合体(X)を含有してなる相溶化剤(K)の生産性および成形品の相溶性向上の観点から好ましくは20〜85%、さらに好ましくは30〜80%;(B)は相溶化剤(K)の相溶性向上および(K)の生産性の観点から好ましくは8〜45%、さらに好ましくは10〜40%;(C)は通常70%以下、成形品の機械的強度および相溶化剤(K)の相溶性向上の観点から好ましくは5〜65%、さらに好ましくは10〜50%である。
【0024】
共重合体(X)は、好ましくはラジカル開始剤(D)の存在下で、ポリオレフィン(A)および不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)、もしくは(A)、(B)および脂肪族不飽和炭化水素(C)を共重合させて製造することができる。
【0025】
(X)の具体的な製造方法には、以下の[1]、[2]の方法が含まれる。
[1](A)、(B)、もしくは(A)、(B)、(C)を適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(ジ−、トリ−、およびテトラクロロエタン、ジクロロブタン等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジ−t−ブチルケトン等)、エーテル(エチル−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、ジオキサン等)]に懸濁あるいは溶解させ、これに必要により、(D)[もしくは(D)を適当な有機溶媒(上記に同じ)に溶解させた溶液]、後述の連鎖移動剤(t)、重合禁止剤(f)を加えて加熱撹拌する方法(溶液法);
[2](A)、(B)、もしくは(A)、(B)、(C)、および必要により(D)、(t)、(f)を予め混合し、押出機、バンバリーミキサー、ニーダ等を用いて溶融混練する方法(溶融法)。
【0026】
溶液法での反応温度は、(A)が有機溶媒に溶解する温度であればよく、(A)、(B)、もしくは(A)、(B)、(C)の共重合性および生産性の観点から好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、とくに好ましくは120〜180℃である。
【0027】
また、溶融法での反応温度は、(A)が溶融する温度であればよく、(A)、(B)、もしくは(A)、(B)、(C)の共重合性および反応生成物の分解温度の観点から好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。
【0028】
前記連鎖移動剤(t)としては、例えばアルコール(C1〜24、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−ブタノール、アリルアルコール);チオール(C1〜24、例えばエタンチオール、プロパンチオール、1−および2−ブタンチオール、1−オクタンチオール);アルデヒド(C2〜18、例えば、n−およびsec−ブチルアルデヒド、1−ペンチルアルデヒド);フェノール(C6〜36、例えばフェノール、o−、m−およびp−クレゾール);アミン(C3〜24、例えばジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、ジフェニルアミン);ジスルフィド(C2〜24、例えばジエチルジスルフィド、ジ−1−プロピルジスルフィド)が挙げられる。
(t)の使用量は、(A)、(B)の合計重量、もしくは、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて通常30%以下、(A)、(B)、もしくは(A)、(B)、(C)の共重合性および生産性の観点から好ましくは0.1〜20%である。
【0029】
前記重合禁止剤(f)としては、カテコール(C6〜36、例えば2−メチル−2−プロピルカテコール)、キノン(C6〜24、例えばp−ベンゾキノン)、ニトロ化合物(C3〜24、例えばニトロベンゼン)、安定化ラジカル[C5〜36、例えば1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシド(TEMPO)]が挙げられる。
(f)の使用量は、(A)、(B)の合計重量、もしくは、(A)、(B)、(C)の合計重量に基づいて通常5%以下、生産性、(A)、(B)、(C)の安定性および(A)、(B)、(C)の反応性の観点から好ましくは0.01〜0.5%である。
【0030】
(X)のMnは、成形品の機械的強度および成形性の観点から好ましくは1,500〜70,000、さらに好ましくは2,000〜60,000、とくに好ましくは2,500〜50,000である。
【0031】
(X)の酸価は、50〜250mgKOH/g(以下数値のみを示す。)、相溶化剤(K)と後述するバイオマス由来樹脂(F)との親和性および相溶化剤(K)と後述するポリオレフィン樹脂(E)との親和性の観点から好ましくは65〜200、とくに好ましくは80〜180である。(X)の酸価が50未満では相溶化剤(K)と(F)との親和性が悪くなり、250を超えると(K)と(E)との親和性が悪くなる。
ここにおける酸価は、JIS K0070に準じて以下の(i)〜(iii)の手順で測定して得られる値である。
(i)100℃に温度調整したキシレン100gに(X)1gを溶解させる。
(ii)同温度でフェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液[商品名「0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液」、和光純薬(株)製]で滴定を行う。
(iii)滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価(単位:mgKOH/g)を算出する。
なお、上記測定では1個の酸無水物基は1個のカルボキシル基と等価になる結果が得られる。後述の実施例における酸価は該方法に従った。
【0032】
(X)の酸価を上記範囲にする方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)適当な有機溶媒に懸濁もしくは溶解させ、加熱撹拌の条件下で、(A)と(B)の構成単位を共重合させる方法。
(2)(A)と(B)に、さらに(C)を構成単位に加えて共重合させる方法。
上記(1)は、具体的には、(A)および(B)を適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(ジ−、トリ−およびテトラクロロエタン、ジクロロブタン等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジ−t−ブチルケトン等)、エーテル(エチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、ジオキサン等)等]に懸濁もしくは溶解させ、これに必要により、(D)[もしくは(D)を適当な有機溶媒(上記に同じ)に溶解させた溶液]、前記の連鎖移動剤(t)、重合禁止剤(f)を加えて加熱撹拌して行うことができる。
上記(1)、(2)のうち(2)は、(C)を構成単位に加えることにより(B)の共重合率を容易にコントロールして(X)の酸価を上記範囲にできることから好ましい方法である。
【0033】
また、共重合体(X)の形態には次のものが含まれる。
[1](A)を幹、(B)もしくは(B)と(C)の(共)重合体を枝とするグラフト共重合体。
[2](A)および(B)、もしくは(A)、(B)および(C)のランダムおよび/またはブロック共重合体。
上記[1]の形態は、(D)、好ましくは過酸化物の存在下、(A)および(B)、もしくは(A)、(B)および(C)を加熱溶融、もしくは適当な有機溶媒に懸濁もしくは溶解させ、さらに必要により前記の連鎖移動剤(t)、重合禁止剤(f)を加えて加熱撹拌することにより形成させることができる。
上記[2]の形態は、(D)、好ましくはアゾ化合物存在下、(A)および(B)、もしくは(A)、(B)および(C)を加熱溶融、もしくは適当な有機溶媒に懸濁もしくは溶解させ、さらに必要により後述の連鎖移動剤(t)、重合禁止剤(f)を加えて加熱撹拌することにより形成させることができる。
[1]、[2]の形態のうち[1]の形態が、相溶化剤(K)の相溶性効果を向上する観点から好ましい。
【0034】
[相溶化剤(K)]
本発明の相溶化剤(K)は、前記ポリオレフィン(A)および不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)を構成単位とし、50〜250mgKOH/gの酸価を有する共重合体(X)を含有してなる。
(K)は、ポリオレフィン樹脂(E)とバイオマス由来樹脂(F)の相溶化剤として用いられる。
【0035】
[ポリオレフィン樹脂(E)]
ポリオレフィン樹脂(E)には、前記(A)の製造方法として例示した重合法、または高分子量ポリオレフィン(好ましくはMn80,000〜400,000)の減成(熱的、化学的および機械的減成)法で得られるものが含まれ、例えば、前記例示のエチレン単位含有(プロピレン単位非含有)(共)重合体、プロピレン単位含有(エチレン単位非含有)(共)重合体、エチレン/プロピレン共重合体およびC4以上のオレフィンの(共)重合体等が含まれる。
【0036】
(E)と(K)の組合せとしては、(E)の構成単位と(K)を構成するポリオレフィン(A)の構成単位が同じか類似している場合が(E)と(K)との相溶性の観点から好ましい。例えば、(E)がプロピレン単位含有(エチレン単位非含有)(共)重合体である場合は、(K)を構成する(A)もプロピレン単位含有(エチレン単位非含有)(共)重合体である場合が好ましい。
【0037】
(E)のMnは、成形品の機械的強度および(K)との親和性の観点から好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは20,000〜400,000である。
【0038】
[バイオマス由来樹脂(F)]
バイオマス由来樹脂(F)としては、具体的にはポリ乳酸(F1)、ポリヒドロキシブチレート(F2)、ポリトリメチレンテレフタレート(F3)、エステル化デンプン(F4)およびセルロースアセテート(F5)およびこれらの2種またはそれ以上の混合物が挙げられる。
【0039】
これらのうち(F)と(E)との相溶性の観点から好ましいのは、(F1)〜(F3)、さらに好ましいのは(F1)、(F2)である。
【0040】
ポリ乳酸(F1)には、乳酸単独重合体を含む、乳酸成分が50重量%以上のポリマーが含まれる。具体例としては、
(1)ポリ乳酸
(2)乳酸と他の脂肪族オキシカルボン酸とのコポリマー
(3)乳酸、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸とのコポリマー
(4)(1)〜(3)のいずれかの組み合わせによる混合物
等が挙げられる。
本発明で用いられる乳酸としては、L−、D−およびDL−乳酸、それらの混合物、および乳酸の環状二量体であるラクチドが挙げられる。
【0041】
(F1)の製造方法の具体例としては、下記の方法が挙げられるが、その製造方法はとくに限定されない。
[1]乳酸または乳酸と脂肪族オキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば米国特許5310865号明細書記載の製造方法)。
[2]乳酸の環状二量体(ラクチド)を溶融重合する開環重合法(例えば米国特許2758987号明細書記載の製造方法)。
[3]乳酸と脂肪族オキシカルボン酸の環状二量体、例えばラクチドやグリコリドとε−カプロラクトンを、触媒の存在下、溶融重合する開環重合法(例えば米国特許4057537号明細書記載の製造方法)。
[4]乳酸、脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸の混合物を、直接脱水重縮合する方法(例えば米国特許5428126号明細書記載の製造方法)。
[5]ポリ乳酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸とのポリマーを、有機溶媒存在下に縮合する方法(例えば欧州特許公報0712880 A2号明細書記載の製造方法)[6]乳酸を触媒の存在下、脱水重縮合反応を行うことによりポリエステル重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で固相重合を行う方法。
【0042】
また、少量のトリメチロールプロパン(以下TMPと略記)、グリセリン(以下GRと略記)等の脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多塩基酸、多糖類等の多価アルコールを共存させて共重合させてもよく、またジイソシアネート化合物等の結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を高めてもよく、ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド等の過酸化物で架橋させてもよい。
【0043】
(F1)のMn[後述のGPC法による]は、(E)との相溶性および工業上の観点から、好ましくは500〜500,000、さらに好ましくは1,000〜400,000、とくに好ましくは2,000〜250,000である。
分子量の調整は、モノマー濃度、その他原料濃度、反応温度等の条件を調整することで可能であり、高分子量ポリ乳酸の熱分解、加水分解、エステル交換等により低分子量化することでも調整可能である。
【0044】
ポリヒドロキシブチレート(F2)には、発酵合成法および化学合成法により得られるものが含まれる。発酵法により得られるポリヒドロキシブチレートは、ポリ[(R)−3−ヒドロキシブタン酸]ホモポリマーであり、化学合成法で得られるものは、ポリ[(R)−3−ヒドロキシブタン酸]とポリ[(S)−3−ヒドロキシブタン酸]との混合物(ラセミ体)である。
【0045】
(F2)の製造方法の具体例としては、下記の方法が挙げられるが、その製造方法はとくに限定されない。
[1]ポリヒドロキシブチレート生産能を有している微生物を炭素源、窒素源、無機イオンおよび必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地で培養することにより菌体内にポリヒドロキシブチレートを蓄積させ、クロロホルム等の有機溶媒により抽出する方法(例えば特開平9−131186号公報記載の製造方法)。
[2]ポリヒドロキシブチレート合成遺伝子を含む組換えDNAを導入して形質転換させた微生物を培養し、その菌体内に生成したポリヒドロキシブチレートを採取する方法(例えば特開平10−176070号公報記載の製造方法)。
[3]ヒドロキシブタン酸を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば米国特許5310865号明細書記載に示されている製造方法)
[4]β−ブチロラクトンを、触媒の存在下、溶融重合する開環重合法(例えば特開平11−323115号公報記載の製造方法)
【0046】
(F2)のMnは、(E)との相溶性および工業上の観点から好ましくは500〜2,
500,000、さらに好ましくは1,000〜1,500,000、とくに好ましくは2,000〜750,000である。
分子量の調整は、モノマー濃度、その他原料濃度、反応温度等の条件を調整することで可能であり、高分子量ポリヒドロキシブチレートの熱分解、加水分解、エステル交換等により低分子量化することでも調整可能である。
【0047】
ポリトリメチレンテレフタレート(F3)には、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸から得られるものが含まれる。ここで1,3−プロパンジオールは植物発酵により製造されるものである。1,3−プロパンジオールの製造方法としては、例えば、トウモロコシ等の植物を発酵させてグルコースを製造し、1,3−プロパンジオールに変換する方法等が挙げられる(特公表2006−504412号公報記載の方法等)。
【0048】
1,3−プロパンジオールとテレフタル酸の反応は、前記公知の方法(例えば、米国特許5428126号明細書記載の製造方法)により行われる。
【0049】
(F3)のMnは、(E)との相溶性および工業上の観点から好ましくは500〜500,000、さらに好ましくは1,000〜400,000、とくに好ましくは2,000〜250,000である。
分子量の調整は、モノマー濃度、その他原料濃度、反応温度等の条件を調整することで可能であり、高分子量ポリトリメチレンテレフタレートの熱分解、加水分解、エステル交換等により低分子量化することでも調整可能である。
【0050】
エステル化デンプン(F4)としては、例えば特開2006−299271号公報に記載のもの、すなわちデンプンのC2〜22エステル、例えばデンプンの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、ペンタン酸エステルおよびヘキサン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のデンプンエステルが挙げられる。
(F4)のMnは、(E)との相溶性および工業上の観点から好ましくは1,500〜500,000、さらに好ましくは5,000〜250,000、とくに好ましくは15,000〜50,000である。
【0051】
セルロースアセテート(F5)としては、例えば特開2008−56768号公報に記載のもの、例えばセルローストリアセテート、その他のアセチル化度の異なるセルロースアセテートが挙げられる。
(F5)のMnは、(E)との相溶性および工業上の観点から好ましくは5,000〜250,000、さらに好ましくは15,000〜150,000、とくに好ましくは50,000〜125,000である。
【0052】
本発明における(F)のGPC法によるMnの測定条件は以下のとおりである。
装置 :ゲルパーミエイションクロマトグラフ
[「HLC−802A」、東ソー(株)製 ]
カラム :TSK gel GMH6 2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5重量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液
溶液注入量:200μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :ポリスチレン
【0053】
[成形用樹脂組成物]
本発明の成形用樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(E)、バイオマス由来樹脂(F)および相溶化剤(K)を含有してなり、後述する方法で成形される。
成形用樹脂組成物における(E)と(F)の重量比は、成形品の機械的強度および環境対応の観点から好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは25/75〜85/15、とくに好ましくは50/50〜75/25である。
また、(K)の含有量は、(E)、(F)および(K)の合計重量に基づいて、(K)の(E)と(F)との相溶性および成形品の機械的強度の観点から好ましくは0.1〜30%、さらに好ましくは0.5〜20%、とくに好ましくは1〜15%、最も好ましくは3〜10%である。
【0054】
本発明の成形用樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりさらに種々の添加剤(G)を含有させることができる。
(G)としては、着色剤(G1)、難燃剤(G2)、充填剤(G3)、滑剤(G4)、帯電防止剤(G5)、分散剤(G6)、酸化防止剤(G7)および紫外線吸収剤(G8)からなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
【0055】
成形用樹脂組成物中の(G)全体の含有量は、該組成物の全重量に基づいて、通常20%以下、各(G)の機能発現および工業上の観点から好ましくは0.05〜10%、さらに好ましくは0.1〜5%である。
該組成物の全重量に基づく各添加剤の使用量は、(G1)は通常5%以下、好ましくは0.1〜3%;(G2)は通常8%以下、好ましくは1〜3%;(G3)は通常5%以下、好ましくは0.1〜1%;(G4)は通常8%以下、好ましくは1〜5%;(G5)は通常8%以下、好ましくは1〜3%;(G6)は通常1%以下、好ましくは0.1〜0.5%;(G7)、(G8)はそれぞれ通常2%以下、好ましくは0.05〜0.5%である。
【0056】
上記(G1)〜(G8)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量をそのまま使用するのではなく、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
【0057】
本発明の成形用樹脂組成物の製造方法としては、
(1)前記(E)、(F)、(K)および必要により(G)を一括混合して成形用樹脂組成物とする方法(一括法);
(2)(E)および/または(F)の一部、(K)の全量、並びに必要により(G)の一部もしくは全量を混合して高濃度の(K)を含有するマスターバッチ樹脂組成物を一旦作成し、その後残りの(E)および/または(F)、並びに必要により(G)の残りを加えて混合して成形用樹脂組成物とする方法(マスターバッチ法)が含まれる。
該成形用樹脂組成物用のマスターバッチ樹脂組成物において、(K)の含有量は、(E)および/または(F)、並びに(K)の合計重量に基づいて、(K)の(E)および/または(F)への混合効率および工業上の観点から、好ましくは30〜80%、さらに好ましくは40〜70%である。
上記(1)、(2)のうち、(K)の混合効率の観点から好ましいのは(2)の方法である。
【0058】
前記の成形用樹脂組成物の製造方法における具体的な混合方法としては、
(i)混合する各成分を、例えば粉体混合機〔「ヘンシェルミキサー」[商品名「ヘンシェルミキサーFM150L/B」、三井鉱山(株)、社名変更後は日本コークス工業(株)製]、「ナウターミキサー」[商品名「ナウターミキサーDBX3000RX」、ホソカワミクロン(株)製]、「バンバリーミキサー」[商品名「MIXTRON BB−16MIXER」、(株)神戸製鋼所製]等〕で混合した後、溶融混練装置[バッチ混練機、連続混練機(単軸混練機、二軸混練機等)等]を使用して通常120〜220℃で2〜30分間混練する方法;
(ii)混合する各成分をあらかじめ粉体混合することなく、上記と同様の溶融混練装置を使用して同様の条件で直接混練する方法が挙げられる。
これらの方法のうち混合効率の観点から(i)の方法が好ましい。
【0059】
[成形品および成形物品]
本発明の成形品は、前記成形用樹脂組成物を成形してなる。
成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形あるいは発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。成形品の形態としては、板状、シート状、フィルム、繊維(不織布等も含む)等が挙げられる。
【0060】
本発明の成形品は、優れた機械的強度を有すると共に、良好な塗装性および印刷性を有し、成形品に塗装および/または印刷を施すことにより成形物品が得られる。
該成形品を塗装する方法としては、例えばエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、浸漬塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塗料としては、例えば、ポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料等のプラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が挙げられ、これらのいわゆる極性の比較的高い塗料でも、また極性の低い塗料(オレフィン系等)でも使用することができる。
塗装膜厚(乾燥膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが通常10〜50μmである。
【0061】
また、該成形品または成形品に塗装を施した上にさらに印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられている印刷法であればいずれも用いることができ、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、ドライオフセット印刷およびオフセット印刷等が挙げられる。
印刷インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるもの、例えばグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキおよびオフセットインキが使用できる。
【実施例】
【0062】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、モル%以外の%は重量%を表す。なお、以下において、実施例8、14は、それぞれ参考例1、2とする。
【0063】
[ポリオレフィン(A)]
製造例1
反応容器に、プロピレン98モル%およびエチレン2モル%を構成単位とするポリオレフィン(A0−1)[商品名「サンアロマーPZA20A」、サンアロマー(株)製、Mn100,000、以下同じ。]100部を窒素雰囲気下に仕込み、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で70分間熱減成を行い、ポリオレフィン(A−1)を得た。(A−1)は、炭素1,000個当たりの分子末端および/またはポリマー鎖中の二重結合数は7.2個、Mnは3,000であった。
【0064】
製造例2〜6
製造例1において、表1に従って、熱減成を行った以外は、製造例1と同様に行い、ポリオレフィン(A−2)〜(A−6)を得た。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
[相溶化剤]
実施例1
反応容器に(A−1)100部、無水マレイン酸(B−1)24部、1−デセン(C−1)18.5部、およびキシレン100部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に130℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにジクミルパーオキシド[商品名「パークミルD」、日油(株)製](D−1)0.5部をキシレン10部に溶解させた溶液を10分間で滴下した後、キシレン還流下3時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)でキシレンおよび未反応の無水マレイン酸を留去して、共重合体(X−1)を含有してなる相溶化剤(K−1)を得た。(X−1)は、酸価は95、Mnは5,000であった。
【0067】
実施例2〜15、比較例1〜3
実施例1において、表2に従って、各使用原料を用いた以外は、実施例1と同様に行い、相溶化剤(K−2)〜(K−15)、(RK−1)〜(RK−3)を得た。結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
[マスターバッチ樹脂組成物]
実施例16
相溶化剤(K−1)80部およびポリオレフィン樹脂(E−1)[ポリプロピレン、商品名「サンアロマーPL500A」、サンアロマー(株)製、Mn300,000、以下同じ]20部をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、200℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練してマスターバッチ樹脂組成物(MZ−1)を得た。
【0070】
実施例17
実施例16において、(K−1)80部および(E−1)20部に代えて、(K−1)30部およびバイオマス由来樹脂(F−1)[市販のポリ乳酸、商品名「レイシアH−100」、三井化学(株)製、Mn68,000、以下同じ]70部を用いたこと以外は実施例16と同様に行い、マスターバッチ樹脂組成物(MZ−2)を得た。
【0071】
[成形用樹脂組成物、成形品]
実施例18〜42、比較例4〜17
前記得られた相溶化剤、マスターバッチ樹脂組成物および表3,4の使用原料[ポリオレフィン樹脂(E)、バイオマス由来樹脂(F)]を、表3、4の配合組成(部)に従って、それぞれヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して成形用樹脂組成物を得た。各成形用樹脂組成物について射出成形機[商品名「PS40E5ASE」、日精樹脂工業(株)]を用い、シリンダー温度190℃、金型温度60℃で成形し、所定の試験片を作成後、後述の評価方法に従って評価した。結果を表3、4に示す。
【0072】
<試験方法>
[1]衝撃強度
アイゾット衝撃値をASTM D256に準拠して測定した。(単位:J/m)
[2]曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して測定した。(単位:MPa)
[3]相溶性
上記衝撃強度評価用試験片の破断面を−100℃条件下、ウルトラミクロトーム[型番「EMFC6」、LEICA(株)製]を用いてガラスカッターおよびダイヤモンドカッターで削り鏡面を作成した後、走査型電子顕微鏡[型番「S4800」、(株)日立製作所製]を用いて20μm×25μmの範囲で観察し、マトリックス樹脂中の分散樹脂粒子の数平均分散粒径を測定して相溶性を評価した。数平均分散粒径は該20μm×25μmの範囲での数平均値である。単位はμm。数平均分散粒径が小さいほど相溶性が良好であることを示す。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
表3、4の結果から、本発明の相溶化剤(K)は、比較のものに比べ、ポリオレフィン樹脂(E)とバイオマス由来樹脂(F)を幅広い重量比で良好に相溶させることができることがわかる。また、(K)、(E)および(F)を含有する成形用樹脂組成物を成形してなる成形品は、比較のものに比べ、耐衝撃性、曲げ弾性率等の機械的強度に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の相溶化剤(K)は、ポリオレフィン樹脂(E)とバイオマス由来樹脂(F)とを幅広い重量比で相溶化できる。また、(K)、(E)および(F)を含有する組成物を成形してなる成形品は機械的強度に優れ、廃棄時の環境負荷が少ない環境調和型であることから、電気・電子機器用、搬送材用、生活資材用および建材用等の分野に幅広く好適に適用することができ、極めて有用である。