特許第6104653号(P6104653)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6104653導光板用ポリスチレン系樹脂組成物及び導光板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104653
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】導光板用ポリスチレン系樹脂組成物及び導光板
(51)【国際特許分類】
   C08L 25/04 20060101AFI20170316BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20170316BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20170316BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20170316BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20170316BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20170316BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170316BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170316BHJP
【FI】
   C08L25/04
   G02F1/13357
   C08K5/05
   C08K5/09
   C08K5/13
   C08K5/524
   F21S2/00 412
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-48201(P2013-48201)
(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-173033(P2014-173033A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】500199479
【氏名又は名称】PSジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純
【審査官】 岸 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−093121(JP,A)
【文献】 特開2008−189902(JP,A)
【文献】 特開2007−177230(JP,A)
【文献】 特開2009−282146(JP,A)
【文献】 特開2006−137911(JP,A)
【文献】 特開2001−206436(JP,A)
【文献】 特開2013−006724(JP,A)
【文献】 特開2014−031491(JP,A)
【文献】 特開2011−016915(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/071152(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/129393(WO,A1)
【文献】 特許第6038497(JP,B2)
【文献】 特許第6006298(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 − 101/16
C08K 3/00 − 13/08
G02F 1/1335 − 1/13363
F21S 2/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系単量体のみからなるポリスチレン系樹脂100質量部、リン系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、フェノール系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、及び離型剤0.1〜1質量部を含み、かつ前記離型剤が高級アルコール又は高級脂肪酸である、ポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記スチレン系樹脂組成物を成形して製造された、光路長300mmの平板試験板を用いた試験における500〜600nmの平行光の平均透過率が84%以上である、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項3】
記スチレン系樹脂組成物を成形して製造された、光路長300mmの平板試験板を用いた試験における黄色度(YI)が10以下である、請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項4】
記スチレン系樹脂組成物を成形して製造された、光路長300mmの平板試験板を用いた試験における80℃及び500時間の曝露処理後におけるΔYIが6以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載のポリスチレン系樹脂組成物を成形して製造された導光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスチレン系樹脂組成物、及び該組成物から構成される導光板に関する。より詳しくは、本発明は、LED光源を備えた液晶ディスプレイのバックライトユニットを構成する導光板及び該導光板用ポリスチレン系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトには、光源を表示装置の正面に配置する直下型と側面に配置するエッジライト型がある。導光板は、エッジライト型バックライトに用いられ、側面に配置された光源の光を正面に導く役割を果たす。エッジライト型バックライトは、テレビ、パーソナルコンピュータ用モニター(デスクトップ用、ノートブック用)、カーナビゲーションシステム用モニター、携帯電話、PDAなど、より薄型が求められる用途で使用される範囲が拡大しており、以前は直下型がほとんどだった大画面サイズテレビでも(32インチ〜)エッジライト型バックライトが使用されるケースが増えており、バックライトの主流となっている。
【0003】
エッジライト方式では導光板中の光透過距離が比較的長いため導光板中での光損失が大きく、それを防止するために、材料に高い光線透過率を有することが求められている。このため、導光板にはメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂が使用されるのがほとんどであるが、アクリル樹脂は吸水性の高さから、片面から吸水したときの成形品のソリや全面から吸水したときの寸法変化が発生するという問題があり、この問題は大画面になる程より顕著になる。
【0004】
ポリスチレン系樹脂においては、吸水率0.05%と低く、成形品のソリや寸法変化という問題は無い。吸水性という観点では優れるポリスチレン系樹脂ではあるが、光線透過率はアクリル系樹脂と比較してやや劣る。更に、ポリスチレン系樹脂はその性質上アクリル系樹脂と比較してやや黄色味を帯びた透明樹脂である為、カラー液晶表示における色合いに影響を及ぼすという問題もある。そのため、導光板の原料として、ポリスチレン系樹脂を単独で用いることはほとんど無く、ポリスチレン系樹脂の光学特性を向上するための検討は成されていない。また、導光板が効率よく光を正面に導く為には、表面に正確な賦型を施す必要があり、アクリル系樹脂と比較しても強度が劣るポリスチレン系樹脂は表面凹凸の転写性や離型性でも不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-75648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポリスチレンは吸水性が低く、成形品のソリや寸法変化という問題がほとんどないものの、透過率が十分でなく、離型性、転写性の点からも導光板の原料としては必ずしも満足のいくものではなかった。
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、透過率及び色調が向上し、かつ、離型性に優れた賦型導光板の製造に好適なポリスチレン系樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、ポリスチレン系樹脂組成物から導光板を成形する際に、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して特定量のリン系酸化防止剤、特定量のフェノール系酸化防止剤、及び特定量の離型剤を添加することにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]ポリスチレン系樹脂100質量部、リン系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、フェノール系酸化防止剤0.02〜0.2質量部、及び離型剤0.1〜1質量部を含むポリスチレン系樹脂組成物。
【0009】
[2]前記離型剤が、高級アルコール又は高級脂肪酸である、前記[1]に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【0010】
[3]前記スチレン系樹脂組成物を成形して製造された光路長300mmの平板試験板を用いた試験における500〜600nmの平行光の平均透過率が84%以上である、前記[1]又は[2]に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【0011】
[4]前記前記スチレン系樹脂組成物を成形して製造された光路長300mmの平板試験板を用いた試験における黄色度(YI)が10以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【0012】
[5]前記前記スチレン系樹脂組成物を成形して製造された光路長300mmの平板試験板を用いた試験における80℃及び500時間の曝露処理後におけるΔYIが6以下である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【0013】
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物を成形して製造された導光板。
【発明の効果】
【0014】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物を成形して製造した導光板は、吸水性が低いため、成形品のソリや寸法変化がほとんどないことに加え、優れた光学特性(光線透過率、特に、短い波長の光線透過率が高いこと)、を有し、更に離型性に優れるため、テレビやパーソナルコンピュータ用モニターなどの液晶表示装置のバックライトに好適に利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明について詳細に説明する。
<ポリスチレン系樹脂組成物>
本発明の実施形態では、ポリスチレン系樹脂組成物は、ポリスチレン系樹脂、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、離型剤、及び所望により各種の添加剤を含む。
【0016】
(ポリスチレン系樹脂)
ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系単量体を主成分として(具体的には50質量%超で)含む樹脂である。本発明に係るスチレン系樹脂を形成する為に使用されるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。本発明に係る「スチレン系樹脂」としては、スチレンと共重合可能なコモノマーを共重合されたものを用いても構わない。スチレンと共重合可能なコモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、αーメチルスチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン以外の芳香族ビニル単量体類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジ脂肪酸無水物類,N−フェニルマレイミド等の不飽和ジ脂肪酸イミド類等が挙げられる。これらの単量体は1種類又は2種類以上併用しても構わない。
【0017】
本発明に係るポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を熱重合又は有機過酸化物群を重合開始剤として重合させたものであることができる。有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシエステル類、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、p−メンタハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーアミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどの多官能過酸化物類を挙げることができる。
【0018】
これらの有機過酸化物はスチレン系単量体重合のいずれかの工程にて重合系(重合原料溶液又は重合途中の溶液)に添加される。これらの有機過酸化物は重合原料溶液に加えられても、重合途中の溶液に必要に応じて複数回に分割して添加されてもよい。有機過酸化物の添加量は、重合原料溶液100質量部に対して好ましくは0.0005〜0.2質量部であり、より好ましくは0.01〜0.1質量部、さらに好ましくは0.03〜0.08質量部である。有機過酸化物の添加量が0.0005質量部未満では、開始剤添加の所望の効果が得られず、一方、0.2質量部を超えると、重合時に大量の反応熱が発生するため重合の制御が困難となる場合があり、好ましくない。
【0019】
本発明のスチレン系単量体の重合方法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられるが、なかでも塊状重合または溶液重合が好ましく、さらには、連続塊状重合または連続溶液重合が生産性と経済性の面で特に好ましい。即ち、スチレン系単量体及び必要に応じてエチルベンゼン、トルエン、キシレン等の重合溶媒、ラジカル開始剤として有機過酸化物、連鎖移動剤、安定剤、流動パラフィン(ミネラルオイル)などの添加剤を混合、溶解した原料溶液を攪拌機付き反応機に供給し、重合を行う。重合温度は、ラジカル開始剤として有機過酸化物を用いた場合は、有機過酸化物の分解温度、生産性、反応機の徐熱能力、目的としているスチレン系重合体の流動性等を考慮して、公知の技術を用いて設定することができる。重合反応機を出た重合溶液は、回収装置に導かれ加熱脱揮で溶媒と未反応単量体を除去する。回収装置はスチレン系樹脂の製造で常用される装置、例えば、フラッシュタンクシステム、多段ベント付き押出機等を用いることができる。
【0020】
本発明のスチレン系単量体の重合装置は、完全混合型、プラグフロー型、循環装置を備えたプラグフロー型などいずれも好適に用いることができる。
【0021】
(リン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤)
リン系酸化防止剤は、分子中にリン原子を有する化合物を含む酸化防止剤である。リン系酸化防止剤は、高温下で劣化の原因となるヒドロキシペルオキシドを還元することで安定化するため、比較的短い波長(例えば、420〜500nm)の光の透過率の向上に寄与し、特に黄変の低減に寄与する。リン系酸化防止剤としては、例えば、アルキルホスファイト類、及びアリールホスファイト類が挙げられ、工業的には、(株)ADEKA製のアデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112等が入手可能である。これらの中でも、アデカスタブ2112が好ましい。
【0022】
フェノール系酸化防止剤には、分子中にヒンダードフェノール構造を含む酸化防止剤である。フェノール系酸化防止剤は、自動酸化において発生するペルオキシラジカルを捕捉し、準安定なヒドロキシペルオキシドとすることで、連鎖的な劣化の進行を抑制する。さらに、ヒドロキシペルオキシドは、リン系酸化防止剤により還元され安定化される。このことに起因して、高温曝露時の光線透過率の保持率の向上に特に寄与し、特に高温環境下での使用時の黄変の低減に寄与する。フェノール系酸化防止剤として、工業的には、BASFジャパン(株)製の、イルガノックス1010、イルガノックス1076等が入手可能である。これらの中でも、イルガノックス1076が好ましい。
【0023】
リン系酸化防止剤、フェノール酸化防止剤は、同一分子内にホスファイト構造とヒンダードフェノールを併せ持つ酸化防止剤として、住友化学(株)製スミライザーGP等も好適に用いることができる。
【0024】
ポリスチレン系樹脂組成物のリン系酸化防止剤の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量部当たり、0.02〜0.2質量部である。この含有量が0.02質量部以上であると、成形時等の樹脂が溶融するような高温での劣化による光線透過率の低下を抑えることができ、他方、0.2質量部を超えると、樹脂中に完全に溶解しない酸化防止剤が原因となり白濁を生じ透過率の点で不利である。リン系酸化防止剤の含有量は、0.03質量部〜0.15質量部が好ましく、0.04〜0.12質量部がより好ましい。
【0025】
ポリスチレン系樹脂組成物中のフェノール系酸化防止剤の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量部当たり、0.02質量部〜0.2質量部である。この含有量が0.02質量部以上であると、導光板として使用される環境温度(室温〜70℃)での劣化による光線透過率の低下を抑制でき、他方、0.2質量部を超えると、フェノール系酸化防止剤自身が原因となり光線透過率が低下する他、コストの点でも不利である。フェノール系酸化防止剤の含有量は、0.03質量部〜0.15質量部が好ましく、0.04質量部〜0.12質量部がより好ましい。
【0026】
本発明において、ポリスチレン系樹脂組成物中のリン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤の含有量は、ガスクロマトグラフィーを用いて定量する。
【0027】
(離型剤)
本発明のスチレン系樹脂組成物における離型剤としては、高級アルコール及び/又は高級脂肪酸が好ましい。その他の離型剤では、色調、透過率と離型性の両方を向上させることは難しい。
【0028】
(高級アルコール)
高級アルコールとしては、炭素数が6〜20の一価のアルコールが挙げられ、具体的にはオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等である。高級アルコールの含有量としては、スチレン系樹脂組成物100質量部に対して0.1〜1質量部であり、好ましくは0.2〜0.8質量部である。高級アルコールの含有量が0.1質量部未満では離型性が向上しないおそれがあり、1質量部を超えると耐熱性や強度を低下させるおそれがある。
【0029】
(高級脂肪酸)
高級脂肪酸としては炭素数が12〜20の脂肪酸が挙げられ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等である。高級脂肪酸の含有量としては、スチレン系樹脂組成物100質量部に対して0.1〜1質量部であり、好ましくは0.2〜0.8質量部である。高級脂肪酸の含有量が0.1質量部未満では離型性が向上しないおそれがあり、1質量部を超えると耐熱性や強度を低下させるおそれがある。
【0030】
本発明においてスチレン系重合体製造時の回収工程の前後の任意の段階、あるいは,押出加工、成形加工する段階において、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、各種染料や顔料、蛍光増白剤、選択波長吸収剤を添加してもよい。
【0031】
本発明の導光板用ポリスチレン系樹脂組成物には、光源から発生する紫外線による着色を防止する目的で、紫外線吸収剤、光安定剤を添加することができる。紫外線吸収剤とは、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5ビス(α,α‘ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2−(1−アリールアルキデン)マロン酸エステル系紫外線吸収剤、オキサルアニリド系紫外線吸収剤が挙げられる。また、光安定剤とは、例えばヒンダートアミン系光安定剤などが挙げられる。ヒンダートアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物が挙げられる。紫外線吸収剤、光安定剤は、各々単独もしくは複数での使用が可能であり、添加量は、紫外線吸収剤と光安定剤の総和でスチレン系重合体100質量部に対して0.02〜2.0質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜1.5質量部である。
【0032】
本発明の導光板用ポリスチレン系樹脂組成物には、必要に応じて、蛍光増白剤、ブルーイング剤等のマスキング剤を更に任意に使用することが可能である。
【0033】
(導光板)
本発明の実施形態では、導光板は、上述のポリスチレン系樹脂組成物を成形して得られるものである。成形の方法としては既知の方法を用いることができ、シート成形押出機で成形することによりシート状成形体を得る方法、又は圧縮成形、射出成形等により、所望の成形体を得る方法等が挙げられる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。尚、得られたスチレン系重合体の物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
【0035】
<リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤の定量方法>
ポリスチレン系樹脂組成物のペレット1gをメチルエチルケトン20mlに十分溶解した後に、メタノールを5ml滴下し、約20分間攪拌した。遠心分離機により分離した上澄み液をガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。濃度の決定については、それぞれの酸化防止剤に対して予め作成した検量線を用いた。
GC測定条件:
GC装置:島津製作所GC-2010
カラム:DB-1(0.25mm i.d.×30m)
液相厚 0.10mm
カラム温度:240℃(1min保持)→(10℃/min昇温)→320℃(5min保持) 合計14min
注入口温度:320℃
注入法:スプリット法(スプリット比1:5)
試料量:1μl
【0036】
<光学特性>
本発明のポリスチレン系樹脂祖組成物について射出成形を行い、300×20×4(mm)の試験片を作製した。成形条件は下記の通りであった。
射出成形機:東芝機械IS-100G
スクリュー径:36mm
シリンダー設定温度:250℃
スクリュー回転数:80rpm
作製した試験片に対して日本電色工業(株)製長光路分光透過色計ASA-1を用いて、波長400〜700nmの範囲で、20nm間隔で光路長300mmの透過率を測定した。また、透過率から、JIS Z-8722に記載の方法に従ってXYZ値を求め、JIS K-7105に記載の方法に従って黄色度(YI)を求めた。YIが0に近いほど黄色味が少ないことを示している。
【0037】
<曝露による平行光透過率の保持率測定方法>
300×20×4(mm)の試験片を、エスペック製ギアオーブンGPH-201を用いて、温度を80℃に設定した槽内で500時間曝露を実施した。曝露後の試験片について、日本電色工業(株)製長光路分光透過色計ASA-1を用いて、波長400〜700nmの範囲で、20nm間隔で光路長300mmの透過率を測定した。曝露前のYIと曝露後のYIの差分ΔYI求めた。ΔYIの値が小さいほど曝露試験による黄変度が小さいことを示している。
【0038】
<離型性の評価方法>
格子状の成形品を成形可能な最大の保圧にて評価をおこなった。保圧の値が大きいほど離型性が良好であることを示している。
【0039】
[実施例1]
<ポリスチレン系樹脂組成物の製造>
スチレン83重量%、エチルベンゼン17重量%の混合液100重量部に対し、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.05重量部添加した重合液を5.4リットルの完全混合型反応器に0.70リットル/hrで連続的に仕込み、104℃に調整した。重合体溶液を引き続き、攪拌器を備え3ゾーンで温度コントロール可能な3.0リットルの層流型反応器に連続的に仕込んだ。層流型反応器の温度を115℃/123℃/130℃に調整した。
得られた重合溶液を2段ベント付き脱揮押出機連続的に供給し、押出機温度225℃、1段ベント及び2段ベントの真空度を15torrで、未反応単量体及び溶媒を回収した後に、添加剤フィード口からリン系酸化防止剤(商品名:アデカスタブ2112)、フェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1076)、ステアリルアルコール(商品名:NAA-45)を重合体100質量部に対してそれぞれ0.05質量部、0.05質量部、0.4質量部になるように添加してスチレン系重合体を得た。単量体の重合率は、70%であった。得られたペレット状のスチレン系樹脂組成物について分析及び評価の結果を以下の表1に示す。
【0040】
[実施例2]
ステアリルアルコール(商品名:NAA-45)をポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.2質量部の濃度になるよう添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0041】
[実施例3]
ステアリルアルコールをステアリン酸0.2質量部に代えた以外は、実施例1と同様にポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0042】
[実施例4]
リン系酸化防止剤をポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.1質量部の濃度になるように添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0043】
[実施例5]
フェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1076)を重量体100質量部に対して、0.1質量部の濃度になるように添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0044】
[比較例1]
ステアリルアルコールを添加していないこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0045】
[比較例2]
リン系酸化防止剤をポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.3質量部の濃度になるように添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0046】
[比較例3]
フェノール系酸化防止剤をポリスチレン系樹脂100質量部に対して、0.3質量部の濃度になるように添加したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0047】
[比較例4]
リン系酸化防止剤を添加していないこと以外は、実施例1と同様の方法でポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0048】
[比較例5]
フェノール系酸化防止剤を添加していないこと以外は、実施例1と同様にポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0049】
[比較例6]
ステアリルアルコールをペンタエリスリトールテトラステアレート0.4質量部に代えた以外は、実施例1と同様にポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0050】
[比較例7]
ステアリルアルコールをエルカ酸アミド0.4質量部に代えた以外は、実施例1と同様にポリスチレン系樹脂組成物を調製した。
【0051】
実施例1から、及び比較例1〜で得たポリスチレン系樹脂組成物を成形して前記した光学特性を測定・評価した。結果を以下の表1と2に示す。尚、以下の表1と表2中の離型剤は下記の通りであった:
StOH:ステアリルアルコール 日油製 NAA-45
StAc:ステアリン酸 大日化学工業 ダイワックスSTF
PETS:ペンタエリスリトールテトラステアレート 日油製 ユニスター H-476
EA:エルカ酸アミド 日油製 アルフロー P-10
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
表1と2に示す結果から分かるように、本発明のポリスチレン系樹脂組成物を用いて得た導光板は透過率と色調と離型性を両立している。比較例6と7において高級アルコール以外の離型剤を用いた場合に色調の悪化又は離型不良が生じた。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物を成形して製造した導光板は、透過率、色調の光学特性に優れているため、テレビ、パーソナルコンピュータ用モニター(デスクトップ、ノートブック)、カーナビゲーションシステム用モニター、携帯電話など幅広い用途に好適に用いることができる。