特許第6104654号(P6104654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104654
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20170316BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20170316BHJP
   H01H 9/06 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   B62D1/04
   B60R16/027 T
   H01H9/06
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-48287(P2013-48287)
(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-172545(P2014-172545A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092107
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 達也
(72)【発明者】
【氏名】小見山 将彦
(72)【発明者】
【氏名】村松 克弥
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−141559(JP,U)
【文献】 特開2004−087376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/001/28
B60R 16/027
H01H 9/02−9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員に対向して位置するセンタパッドと、センタパッドの下側を覆うボディカバーとを備えたステアリングホイールにおいて、ボディカバーには、その側壁の上側部分に偏倚して外方に突出するようにブロック体が設けられ、ボディカバーの高さ方向の中間位置であって、ブロック体の下端部の近傍の前記側壁に撓み部が形成され、ブロック体が下方に押し下げ力を受けたとき前記側壁が高さ方向の中間部と中心に屈曲可能にしたことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
ボディカバーには、センタパッドに当接して側壁が高さ方向の中間部と中心に屈曲するのを規制する規制リブを設けた請求項1記載のステアリングホイール
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種車両に使用されるステアリングホイールに関し、センタパッドの側部にブロック体を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等のステアリングホイールには、中央部であるボス部上に乗員に対向してセンタパッドが配置される。そして、センタパッドの背後を覆うボディカバーの外周部分である縦壁に張り出すようにブロック体を取り付け、そこにオートクルーズ操作スイッチ、オーディオ、エアコン、カーナビ、トランスミッションやエコドライブモード切替などの操作用にスイッチやインジケータを設けて、操作性を向上している。また、左右対称になるように、ブロック体を左右の縦壁に取り付け、一方には前記のスイッチ類を配置し、他方にはスイッチを含まないブロック体とする場合もある。
【0003】
従来より、挿入用開口部を有するスイッチ取付カバーと、このスイッチ取付カバーの後方に設けられたスイッチ固定部と、後部に被固定部を有すると共に、前部の周縁部に側方へ向けて突出する張出し部を有するスイッチ装置を備えたステアリングホイールが知られている。前記スイッチ装置の後部を挿入用開口部に前方から挿入した後、被固定部をスイッチ固定部にねじ止めすることにより、張り出し部が挿入用開口部を前方から覆う状態で、スイッチ装置が取り付けられる。
【0004】
前記スイッチ取付カバーにおいて、挿入用開口の両側部に挿入用開口と連通する凸部挿入用開口部を形成する。スイッチ装置の両側部に、それぞれ側方へ向けて突出し、前面が張出し部の背面との間に所定の隙間を形成する凸部を突設し、両凸部を凸部挿入用開口に前方から挿入するとともに、スイッチ装置を凸部挿入用開口部の並び方向に交差する方向に移動させ、前記凸部が挿入用開口部の周縁部の裏側に配置される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4005450号公報(特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明の欄、及び図1図4を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、スイッチブロックの延長された支持脚を芯金に取り付けるようにしている。しかしながら、スイッチブロックの支持脚が芯金周辺の相当のスペースを占有し、ステアリングホイールを構成する種々の他の機構部との合理的でコンパクトな配置を難しくしている。また、スイッチブロックがしっかり取り付けられないと、操作時の押し下げ力などで変形を生じ、それによって手応え、しっかり感を向上させることが容易でないとの課題がある。
本発明は、上記課題を解決できるステアリングホイールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1の発明は、請求項1に記載された通りのステアリングホイールであり、次のようなものである。
乗員に対向して位置するセンタパッドと、センタパッドの下側を覆うボディカバーとを備えたステアリングホイールにおいて、ボディカバーには、その側壁の上側部分に偏倚して外方に突出するようにブロック体が設けられ、ボディカバーの高さ方向の中間位置であって、ブロック体の下端部の近傍の前記側壁に撓み部が形成され、ブロック体が下方に押し下げ力を受けたとき前記側壁が高さ方向の中間部と中心に屈曲可能な構成である。
【0008】
本願の第2の発明は、請求項2に記載された通りのステアリングホイールであり、次のようなものである。
請求項1に記載の発明に加えて、ボディカバーには、センタパッドに当接して側壁が高さ方向の中間部と中心に屈曲するのを規制する規制リブを設けた構成である。
【発明の効果】
【0009】
本願発明に係るステアリングホイールは、上記のような構成を有するので、センタパッド内部のスペースを大きく占有することがない。また、ブロック体に押し下げる方向の荷重が加わったときでも、ボディカバーの側壁が高さ方向中間位置で撓むことができるので、ブロック体が乗員から見て少ない変形移動量でボディカバーが変形するようになる。変形はセンタパッドによって規制されるので、ボディカバーがブロック体の回転を伴う変形を生じても、ブロック体の乗員対向側が小さな変化にとどまり、手応え、しっかり感を向上できる、との効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態である、ブロック体を備えたステアリングホイールの一例を示す概略平面図である。
図2図1のステアリングホイールのブロック体を押し下げた際のボディカバーの変形状態を示したもので、(a)は従来のボディカバーを、(b)撓み部としての段差形状を設けたものの部分断面図である。
図3】変形を規制する規制リブの作用を説明する部分断面図であって、(a)はブロック体を押し下げる前の状態を示し、(b)はブロック体が押し下げられボディカバーが内側に変形した状態を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のステアリングホイールの一実施例を図面を参照して説明する。
図1は、乗員に対向して操作キーが並んだ各種スイッチを配列したブロック体を備えたステアリングホイールの一例を示している。ブロック体2は、例えば高速道路などでの定速巡航のためのオートスピードコントロール装置(ASCD、クルーズコントロール装置ともいう)の操作部であり、ASCDのオン・オフ(ON/OFF)ボタン、速度設定(SET/COAST)ボタン、増速(加速、ACCEL/RES)ボタンの3つのボタンと、内部のLED光源が点灯して装置のオン状態を表示する1つのインジケータ部を備える。ステアリングホイールのセンタパッドの横に突出し円環状リム部(グリップ部)の内側にあるので、すぐ指が届き、走行時の操作がしやすい。
【0012】
ステアリングホイールには、他のスイッチやインジケータを備えたブロック体を設置してもよい。
例えば、図1では向かって左下にブロック体を設けたが、左下の形状と対称になるように右下に同様のブロック体を設けてもよいし、右下のブロック体にはスイッチを設けず、それでも左下のブロック体と調和した外観となるように、例えば左右ともにつや消し黒の塗装を付与したり、さらに右下のブロック体には飾り文字や図形を入れるなど、種々の態様とすることができる。
【0013】
ステアリングホイールには、ボディカバー1の側面にブロック体2を取り付けるための座面が設定され、直接ブロック体2を取り付ける構造としている。
図2(b)に示すように、スイッチを押すときに掛かる荷重によってボディカバー1の高さ方向の中間位置に撓み部である段差部3を設けている。さらに、その外側にブロック体2の外周部を覆うカバー4が取り付けられている。
【0014】
次に作用を説明する。図2(a)は、比較用として段差部3を設けていない場合の荷重変形を示しており、ブロック体2が押し下げられることでボディカバー1の最下部5を中心に縦壁全体が外側に倒れるように変形する。
センタパッドとブロック体2との間に大きな隙間を発生させてブロック体2の横移動が大きく、しっかり感が出せず、腰砕けのような手応えになり好ましくない。
【0015】
一方、段差部3を設けた場合には、図2(b)に示すように、この段差部3が撓み部または折れ点となって、ボディカバー1の高さ方向の中間部を中心に屈曲する。
すなわち、ブロック体2の押し下げ荷重の掛かる部位に曲がりの起点を近づけることとなって、押し下げ荷重に対してのモーメントを小さくし、変形が最小限に抑えられる。センタパッドとブロック体2との間に大きな隙間を発生せずブロック体2の横移動が小さい。
さらに、ブロック体2の下端であるカバー4の下端6がボディカバー1に当接し、押さえの役割を果たすことになって、スイッチの操作における操作性、操作感(手応え、しっかり感)を向上できる。
【0016】
ボディカバー1の内側には、図3に示すように、リブ7を設けてあり、ボディカバー1がブロック体2の部分を内側に変形させる際には、センタパッドであるエアバッグモジュールカバーの取り付け片8にこのリブ7が当接することによって内側への変形移動量を規制している。
【0017】
エアバッグモジュールは、全体がホーンスイッチボタンとして使用されるもので、エアバッグモジュールを押し下げると、下面の図示しない接点とステアリングホイールのボス部の接点とが当接し、ホーンが鳴るようになっている。ホーンスイッチ操作のための昇降ストロークは2ミリメートル程度とされる。この僅かな可動ストロークにおいては、昇降方向に交差する方向、例えば左右方向へのブレは僅少である。
【0018】
従って、リブ7と取り付け片8との間のスペースは僅かでよく、例えば0.5〜1ミリメートル程度とすることができる。このスペース分の内方への移動を最大とする規制ができるので、操作荷重を受けても実質問題となるブロック体の移動や見栄え及び操作感の悪化の問題は生じない。
【0019】
上記実施例のステアリングホイールのセンタパッドは運転席エアバッグモジュールとして説明したが、エアバッグモジュールでない、衝撃吸収体などを組み込んだ、いわゆるノンエアバッグタイプのセンタパッドでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
各種車両に取り付けられるステアリングホイールに利用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1・・・・ボディカバー
2・・・・ブロック体
3・・・・撓み部である段差部
4・・・・カバー
5・・・・最下部
6・・・・下端
7・・・・変形防止リブ
8・・・・エアバッグモジュールカバーの取り付け片
図1
図2
図3