特許第6104656号(P6104656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104656
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】自動車用ドアのウエストサイドシール
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/75 20160101AFI20170316BHJP
【FI】
   B60J10/75
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-52788(P2013-52788)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-177210(P2014-177210A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】飛田 規夫
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−521349(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/109641(WO,A1)
【文献】 特表2009−502634(JP,A)
【文献】 特開平06−092146(JP,A)
【文献】 特開2005−053442(JP,A)
【文献】 特表2013−521183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ドアのドア本体におけるウエスト開口部の室外側または室内側の開口縁に装着されて、上記ウエスト開口部を通して昇降するドアガラスと摺接して当該ドアガラスとの間をシールするウエストサイドシールの構造であって、
上記ウエスト開口部を形成しているウエストフランジ部に嵌合保持される取付基部と、
上記取付基部からドアガラス側に向かって突出形成された上部リップと、
上記取付基部のうち上部リップの下方位置からドアガラス側に向かって突出形成されたガラスシールリップと、
上記ガラスシールリップの先端から折り曲げられるようにして反ドアガラス側に向かって突出形成されたサブリップと、
上記取付基部に対するガラスシールリップの根元部に形成された薄肉部と、
を備えていて、
上記上部リップの下面は凹状の湾曲面として、上記サブリップの上面は凸状の湾曲面としてそれぞれ形成されているとともに、
上記上部リップ側の湾曲面とサブリップ側の湾曲面とが共に同じ曲率のものとなっていて、
上記ガラスシールリップがドアガラスに当接している状態では、上記上部リップとサブリップとが、上記湾曲面同士をもって相対摺動可能に重なり合うようになっていることを特徴とする自動車用ドアのウエストサイドシール。
【請求項2】
上記上部リップ側の湾曲面に、上記サブリップの先端に当接して双方の湾曲面同士の相対摺動量を規制する突起部を形成してあることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ドアのウエストサイドシール。
【請求項3】
上記ガラスシールリップのうちドアガラスとの当接面には植毛層を形成してあるとともに、
上記サブリップの湾曲面には同時押出皮膜または塗布皮膜タイプの摺動材層を形成してあることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用ドアのウエストサイドシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアにおけるウエストサイドシールの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のサイドドアのドア本体におけるウエスト開口部の室外側にはウエストサイドシール(加飾性に主眼を置く場合には「ウエストサイドモールディング」と称することもある。)としてアウトサイドシールが、室内側には同じくインサイドシールがそれぞれ装着され、これらのウエストサイドシールはウエスト開口部を通して昇降するドアガラスと摺接して当該ドアガラスとの間をシールすることになる。そして、かかるウエストサイドシールの構造として特許文献1に記載のものが提案されている。
【0003】
この特許文献1に記載されたウエストサイドシールの構造では、断面略逆U字状の固定部からドアガラス側に向けて上下一対のシールリップが斜めに突出形成されているとともに、下側のシールリップの先端には上側のシールリップに向けてさらに折り曲げ部が曲折形成されている。そして、下側のシールリップがドアガラスに当接した状態では、その下側のシールリップの先端の折り曲げ部が上側のシールリップに当接して、実質的に上下のシールリップにより中空シールリップの如き閉空間を形成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−521349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような特許文献1に記載されたウエストサイドシールの構造では、上側のシールリップの内側面が所定曲率の湾曲面(円弧状面)となっているのに対して、この内側面に当接することになる下側のシールリップ側の折り曲げ部が単に直線状に延びるいわゆる真直状のものとなっているため、折り曲げ部が上側のシールリップの内側面に当接する際にいわゆるスティックスリップ現象が生じ、それに伴って異音が発生するおそれがある。
【0006】
また、下側のシールリップ全体の撓み変形時の挙動は、上記のようなスティックスリップ現象が生じやすい先端側の折り曲げ部の当接状態にも依存しているため、上記下側のシールリップ全体の撓み変形時の挙動が不安定になりやすく、ドアガラスの車幅方向でのばたつきを十分に抑制できない可能性を残している。
【0007】
本発明はこのような課題に着目してなされたもので、ウエストサイドシールの本来の機能であるところの走行時やドア閉時におけるドアガラスのばたつきを十分に抑制できて、しかも異音の発生を未然に防止できるようにしたウエストサイドシールの構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、自動車用ドアのドア本体におけるウエスト開口部の室外側または室内側の開口縁に装着されて、上記ウエスト開口部を通して昇降するドアガラスと摺接して当該ドアガラスとの間をシールするウエストサイドシールの構造である。そして、上記ウエスト開口部を形成しているウエストフランジ部に嵌合保持される取付基部と、上記取付基部からドアガラス側に向かって突出形成された上部リップと、上記取付基部のうち上部リップの下方位置からドアガラス側に向かって突出形成されたガラスシールリップと、上記ガラスシールリップの先端から折り曲げられるようにして反ドアガラス側に向かって突出形成されたサブリップと、上記取付基部に対するガラスシールリップの根元部に形成された薄肉部と、を備えている。
【0009】
その上で、上記上部リップの下面は凹状の湾曲面として、上記サブリップの上面は凸状の湾曲面としてそれぞれ形成されているとともに、上記上部リップ側の湾曲面とサブリップ側の湾曲面とが共に同じ曲率のものとなっていて、上記ガラスシールリップがドアガラスに当接している状態では、上記上部リップとサブリップとが、上記湾曲面同士をもって相対摺動可能に重なり合うようになっていることを特徴とする。
【0010】
この場合において、本発明におけるウエストサイドシールの構造は、室外側のアウトサイドシールだけでなく、室内側のインサイドシールにも当然に適用可能である。
【0012】
そして、ドアガラスのばたつきを効果的に抑制する上では、所定量以上の上記湾曲面同士の相対摺動を規制することが望ましく、例えば請求項に記載のように、上記上部リップ側の湾曲面に、上記サブリップの先端に当接して双方の湾曲面同士の相対摺動量を規制する突起部を形成してあることが望ましい。
【0013】
さらに、ガラスシールリップとドアガラスとの摺動性、および上部リップとサブリップの湾曲面同士の摺動性をそれぞれ確保する上で、サブリップと当該サブリップ以外のガラスシールリップの一般部での摺動性向上部材を使い分けることが望ましく、例えば請求項に記載のように、上記ガラスシールリップのうちドアガラスとの当接面には植毛層を形成してあるとともに、上記サブリップの湾曲面には同時押出皮膜または塗布皮膜タイプの摺動材層を形成してあるものとする。
【0014】
なお、同時押出皮膜タイプの摺動材層とは、サブリップがガラスシールリップとともに押出成形される際に、同時にサブリップの表面に皮膜状に形成されるものを言い、また塗布皮膜タイプの摺動材層とは、サブリップがガラスシールリップとともに押出成形された後に、塗布処理によってサブリップの表面に皮膜状に形成されるものを言う。
【0015】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、ガラスシールリップがドアガラスに当接している状態では、ガラスシールリップは薄肉部を起点として撓み変形し、その結果として上部リップとサブリップとが湾曲面同士をもって相対摺動可能に重なり合っていることになる。そのため、ガラスシールリップの撓み変形時の挙動が安定化し、ドアガラスが車幅方向でばたついたとしても、当該ドアガラスのばたつきを効果的に抑制することができる。
【0016】
また、上部リップとサブリップとの接触面が双方共に湾曲面となっているため、両者が当接し始める時はもちろんのこと、両者が湾曲面同士で当接して重なり合っている状態からドアガラスの車幅方向での変位に応じて相対摺動したとしても、スティックスリップ現象が生じることもなければ、異音が発生することもなくなる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、ガラスシールリップの本来の機能としてドアガラスの車幅方向でのばたつきを効果的に抑制できることはもちろんのこと、スティックスリップ現象が生じることがないので、異音の発生も未然に防止できる。
【0018】
また、上部リップ側の湾曲面とサブリップ側の湾曲面とを共に同じ曲率のものとしたことにより、上記スティックスリップ現象の抑制効果および異音発生防止効果が一段と顕著となる。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、上部リップ側の湾曲面に形成した突起部によって双方の湾曲面同士の相対摺動量が規制されるため、当該相対摺動量が所定量以上になると、ガラスシールリップの荷重−撓み特性である反力が上昇することになり、ドアガラスの車幅方向でのばたつきを一段と効果的に抑制することができる。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、ガラスシールリップのうちドアガラスとの当接面には植毛層を、サブリップの湾曲面には同時押出皮膜または塗布皮膜タイプの摺動材層をそれぞれ形成してあるため、それぞれの相手側部材に対する摺動性が良好なものとなることはもちろんのこと、特にサブリップの湾曲面には植毛層ではなく同時押出皮膜または塗布皮膜タイプの摺動材層を形成してあるため、塵埃等を捕捉しにくく、外観的な見栄えの面でも良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】自動車の前部斜視図。
図2】本発明に係るウエストサイドシールの第1の実施の形態を示す図で、図1のA−A線に沿う拡大断面図。
図3図2におけるアウトサイドシールの要部拡大図。
図4】本発明に係るウエストサイドシールの第2の実施の形態を示す図で、図3と同等部位の断面図。
図5図3,4に示したウエストサイドシールにおけるガラスシールリップの荷重−撓み(変位)特性を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜3は本発明に係るウエストサイドシールの構造を実施するためのより具体的な形態を示し、図1は自動車の前部斜視図を、図2図1のA−A線に沿う拡大断面図を、図3図2のさらなる要部拡大図をそれぞれ示している。そして、本実施の形態では、図2において室外側に位置するアウトサイドシール12の例を示している。
【0023】
図1,2に示すように、例えば自動車におけるサイドドア1は、ドア本体2と、このドア本体2の上部に一体的に結合されたアーチ状のドアサッシュ3とから構成され、ドアサッシュ3の内側にはドアグラスラン4を介して昇降式のドアガラス5が配設される。
【0024】
ドア本体2は、図2に示すように、ドアアウタパネル6とドアインナパネル7とを例えばヘミング結合することにより構成したものであって、そのドア本体2の上端部であるいわゆるドアウエスト部にはドアウエスト開口部8が形成される。
【0025】
図2の例では、ドアアウタパネル6とレインフォース9とのヘミング結合部10と、ドアインナパネル7とレインフォース9との溶接等によるパネル重合部11との対向間隙がドアウエスト開口部8となっている。ドア本体2内には周知のように図示外のウインドレギュレータ機構が収容されているとともに、このウインドレギュレータ機構に対してドアガラス5の下端部が連結されるようになっていて、このウインドレギュレータ機構の作動に応じてドアガラス5がドアウエスト開口部8を通して昇降動作することになる。なお、ヘミング結合部10およびパネル重合部11はそれぞれ特許請求の範囲の記載におけるウエストフランジ部に相当する。
【0026】
そして、ドアアウタパネル6側のヘミング結合部10にウエストサイドシールとしてアウトサイドシール12が装着され、同様にドアインナパネル7側のパネル重合部11にウエストサイドシールとしてインサイドシール13が上記アウトサイドシール12と対向するように装着される。これらのアウトサイドシール12およびインサイドシール13は、ドアガラス5に対して弾接または圧接するガラスシールリップ14,34をそれぞれに備えており、上記ドアウエスト開口部8を通して昇降するドアガラス5と摺接して当該ドアガラス5との間をシールすることになる。
【0027】
図3において、アウトサイドシール12は例えばオレフィン系熱可塑性エラストマーであるTPVにて形成され、概略的には、断面略逆U字状の取付基部15と、この取付基部15からドアガラス5側に向けて斜め上方に突出形成された上部リップ16と、取付基部15のうち上部リップ16の根元部よりも下方位置から同様にドアガラス5側に向けて斜め上方に突出形成されたガラスシールリップ14と、から構成されている。
【0028】
取付基部15には断面略逆U字状に曲折形成された金属製の芯材17が埋設されているほか、内側面には複数の保持リップ18が形成されており、芯材17を含む取付基部15の嵌合保持力をもってヘミング結合部10に堅固に嵌合保持される。なお、取付基部15の室外側の面には加飾性や耐傷付性向上のための硬質の表皮層19が形成されている。
【0029】
また、図3に示すように、上部リップ16の内側面(下面)は比較的滑らかな円弧状で下方に向かって凹状の湾曲面16aとして形成されていて、その湾曲面16aの下方位置から斜め上方にガラスシールリップ14が突出形成されている。また、このガラスシールリップ14の根元にはその近傍の部位よりも肉厚が薄いノッチ部20(薄肉部)が形成されている。さらに、ガラスシールリップ14の先端には反ドアガラス5側に向けて折り曲げるかたちでサブリップ21が突出形成されている。このサブリップ21は肉厚がガラスシールリップ14それ自体よりも薄く、比較的滑らかな円弧状のリップ形状となっているとともに、特に上面側は上方に向かって凸状の湾曲面21aとして形成されている。そして、図2にも示すように、ガラスシールリップ14がドアガラス5に当接した時には、ガラスシールリップ14がノッチ部20を基点として撓み変形しつつ、先に述べた上部リップ16側およびサブリップ21側の湾曲面16a,21a同士が互いに摺接または摺動することになることから、この点を考慮して、先に述べた上部リップ側の湾曲面16aおよびサブリップ21の湾曲面21a共に略同じ曲率(曲率半径)の湾曲面(円弧状面)として形成されている。
【0030】
上記ガラスシールリップ14のうちドアガラス5側の側面には、そのドアガラス5との摺動性を考慮してポリアミド樹脂製の植毛層22を形成してあるとともに、先端側のサブリップ21の湾曲面21aには、同時押出皮膜または塗布皮膜タイプの摺動材層23を形成してある。
【0031】
ここで、車体前後方向に長い長尺なアウトサイドシール12の押出成形に際しては、例えばアウトサイドシール12そのものの材料と例えば硬質の表皮層19となる材料とを共通の口金から押し出して一体成形することが行われる。その際に、サブリップ21を含むガラスシールリップ14の材料とともに摺動材層23となるべき材料までも同時に押し出せば、サブリップ21の湾曲面21aに皮膜状の摺動材層23を形成することができ、この方法によって成形される摺動材層を上記同時押出皮膜タイプの摺動材層23としている。もちろん、アウトサイドシール12が押出成形された後に、サブリップ21の湾曲面21aに事後的に摺動材を塗布して摺動材層23を形成しても良く、ここでは当該方法によって成形される摺動材層を上記塗布皮膜タイプの摺動材層23と称する。上記摺動材層23としては、その組成として例えばポリオレフィン系樹脂材料にカーボンブラック、無機充填剤、シリコーン化合物等を配合したものを用いるものとする。
【0032】
したがって、このように構成されたアウトサイドシール12の構造によれば、昇降式のドアガラス5が最下降位置またはそれに近い位置にないかぎりは、図2に示すようにドアガラス5に対してその両側からアウトサイドシール12およびインサイドシール13がそれぞれに弾接または圧接することになる。
【0033】
そして、アウトサイドシール12がドアガラス5に弾接または圧接すると、ガラスシールリップ14は先端側のサブリップ21とともに薄肉部である根元側のノッチ部20を起点として反ドアガラス側、すなわち上部リップ16側に向かって撓み変形することになる。このガラスシールリップ14の撓み変形に伴い、図3に示すように上部リップ16側およびサブリップ21側のそれぞれの湾曲面16a,21a同士が相対摺動可能に当接し、上部リップ16とサブリップ21とは互いに重なり合って、上部リップ16を含む取付基部15とサブリップ21を含むガラスシールリップ14との間に空間24を形成することになる。
【0034】
この時、図3から明らかなように、上部リップ16側およびサブリップ21側のそれぞれの湾曲面16a,21a同士は共に同じ曲率のものであるから、両者は曲面接触していることになり、サブリップ21側の湾曲面21aが上部リップ16側の湾曲面16aに当接する際はもちろんのこと、例えばドアガラス5の車幅方向での移動に応じてガラスシールリップ14の撓み変形量が変動したとしても、ノッチ部20を起点とする安定的なガラスシールリップ14の撓み変形をもってドアガラス5のばたつきを吸収しつつ、双方の湾曲面16a,21a同士は曲面接触したまま相対摺動するだけであり、スティックスリップ現象が生ずることもなければ、異音の発生を伴うこともなく、これによって、例えば車体振動を受けてドアガラス5が車幅方向で小刻みに揺動するいわゆるドアガラス5のばたつきを効果的に抑制することができる。
【0035】
図5の実線L1は図3におけるガラスシールリップ14の荷重−撓み(変位)特性、すなわちガラスシールリップ14の反力特性を示していて、ドアガラス5の室外側への移動量(図2の矢印P方向への移動量)がある程度大きくなると、ガラスシールリップ14の反力が急激に増加するように設定されており、これによって先に述べたドアガラス5のばたつきを効果的に抑制できることが理解できる。
【0036】
特に、サブリップ21の湾曲面21aには予め摺動材層23を形成してあるので、双方の湾曲面16a,21a同士の相対摺動が安定的に且つ円滑に行われることになり、上記のスティックスリップ現象や異音の発生を防止する上で一段と有利になる。また、ガラスシールリップ14のうちドアガラス5と摺接または摺動する部位には植毛層22を形成してあるので、ドアガラス5に付着した塵埃等を効果的に捕捉または捕集することができ、ドアガラス5への傷付きや異音の発生を未然に防止できることになる。
【0037】
ここで、サブリップ21の湾曲面21aに植毛層ではなく摺動材層23を形成しているのは次のような理由による。すなわち、湾曲面21aへの摺動性付与だけに着目するならば、ガラスシールリップ14のうちドアガラス5との当接部位に設定した植毛層22をサブリップ21の湾曲面21a側まで延長することで対応可能ではある。その一方、植毛層22は摺動性付与機能と共に先に述べたように塵埃等の捕集または捕捉機能があり、上記のようにガラスシールリップ14のうちドアガラス5との当接部位に設定した植毛層22を湾曲面21a側まで延長するとサブリップ21の湾曲面21aでも塵埃等を捕集または捕捉してしまうことになる。
【0038】
サブリップ21の湾曲面21aは、例えばドアガラス5の最下降状態等においてドアウエスト開口部8側からのぞき込めば視認可能であり、塵埃等を捕集または捕捉している湾曲面21aが視認されることは外観的な見栄えの観点から好ましくない。そこで、上記のようにサブリップ21の湾曲面21aについては、視認容易性を考慮して植毛層ではなく摺動材層23とすることで、摺動性付与と同時に外観的な見栄えの向上を図ることができる。
【0039】
図4は本発明に係るウエストサイドシールの第2の実施の形態を示す図で、図3と共通する部分には同一符号を付してある。
【0040】
この第2の実施の形態では、ガラスシールリップ14の先端のサブリップ21と摺接または摺動することになる上部リップ26側の湾曲面26aのうち比較的下側の部位に、ガラスシールリップ14側に向かって突出する突起部25を一体的に形成したものである。この突起部25の位置としては、図4に示すようにドアガラス5が室外側へ最大移動量(図2の矢印P方向への最大移動量)だけばらついたと仮定し、その場合にガラスシールリップ14側のサブリップ21の先端が突起部25に当接して、それ以上の湾曲面16a,21a同士の相対摺動が規制されるような位置に設定してある。
【0041】
図5の一点鎖線L2は図4におけるガラスシールリップ14の荷重−撓み(変位)特性、すなわちガラスシールリップ14の反力特性を示していて、ドアガラス5の室外側への移動量(図2の矢印P方向への移動量)がある程度大きくなると、実線L1で示した第1の実施の形態のものに比べてガラスシールリップ14の反力が一段と急激に増加するように設定されている。
【0042】
したがって、この第2の実施の形態によれば、先の第1の実施の形態のものと同様の効果が得られることはもちろんのこと、上記ガラスシールリップ14の反力急増効果によって、先に述べたドアガラス5のばたつきを一段と効果的に抑制することができることになる。
【0043】
ここで、上記第1,第2の実施の形態では図2に示したアウトサイドシール12を例にとって説明したが、本発明はその技術的特徴からして必要に応じ図2のインサイドシール13にも同様に適用できるものである。
【符号の説明】
【0044】
1…サイドドア(自動車用ドア)
2…ドア本体
5…ドアガラス
8…ドアウエスト開口部(ウエスト開口部)
10…ヘミング結合部(ウエストフランジ部)
11…パネル重合部(ウエストフランジ部)
12…アウトサイドシール(ウエストサイドシール)
13…インサイドシール(ウエストサイドシール)
14…ガラスシールリップ
15…取付基部
16…上部リップ
16a…湾曲面
20…ノッチ部(薄肉部)
21…サブリップ
21a…湾曲面
22…植毛層
25…突起部
26…上部リップ
26a…湾曲面
図1
図2
図3
図4
図5