特許第6104666号(P6104666)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社御池鐵工所の特許一覧

特許6104666有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム
<>
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000002
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000003
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000004
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000005
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000006
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000007
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000008
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000009
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000010
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000011
  • 特許6104666-有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104666
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】有機廃棄物を用いた熱源システム及び発電システム
(51)【国際特許分類】
   F23D 1/02 20060101AFI20170316BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20170316BHJP
   F23G 7/06 20060101ALI20170316BHJP
   B02C 13/04 20060101ALI20170316BHJP
   B01F 7/04 20060101ALI20170316BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20170316BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20170316BHJP
   C02F 11/12 20060101ALI20170316BHJP
   C02F 11/06 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   F23D1/02 AZAB
   F23G5/50 M
   F23G5/50 H
   F23G7/06 E
   B02C13/04
   B01F7/04 B
   B01D53/38 150
   B09B3/00 303Z
   C02F11/12 B
   C02F11/06 B
【請求項の数】16
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-66515(P2013-66515)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-190620(P2014-190620A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
(72)【発明者】
【氏名】長江 弘希
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−051609(JP,A)
【文献】 特開昭58−036700(JP,A)
【文献】 特開2005−111422(JP,A)
【文献】 特開2002−331247(JP,A)
【文献】 特開昭61−262515(JP,A)
【文献】 特開2005−053984(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/016556(WO,A1)
【文献】 特開昭62−293097(JP,A)
【文献】 特開2009−066563(JP,A)
【文献】 特開2010−234223(JP,A)
【文献】 特公平03−057367(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 1/00− 1/06
F23G 5/50
F23G 7/06
B01F 7/04
B01D53/38
B01D53/77
B09B 3/00
B02C13/04
C02F11/06
C02F11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物と、有機廃棄物が乾燥されてなる乾燥廃棄物とが投入され、前記有機廃棄物と乾燥廃棄物を混合して前記有機廃棄物よりも含水率の低い混合廃棄物を形成する混合装置と、
縦長の流動室と、当該流動室の下部に設置され、前記混合装置からの混合廃棄物が投入されて当該混合廃棄物を解砕する解砕機と、前記流動室の下部に乾燥空気を供給する乾燥空気供給部と、前記流動室の上部に配置され、当該流動室内を下部から上部に流れた混合廃棄物を排出する排出口とを有する流動乾燥装置と、
前記流動乾燥装置で混合廃棄物が乾燥されてなる乾燥廃棄物が搬送空気によって投入される筒状部と、当該筒状部に連なると共に下方に向かうにつれて縮径する円錐台部とを有し、接線方向に燃焼空気が供給されて前記乾燥廃棄物を旋回状に流しながら燃焼させる旋回燃焼室と、当該旋回燃焼室の筒状部の上端から下方に向かって突出し、前記乾燥廃棄物の燃焼ガスを排出する排気筒と、前記旋回燃焼室の下端に設けられ、当該旋回燃焼室内で燃焼ガスから分離された固形物を排出する排出部とを有する旋回燃焼装置と、
前記旋回燃焼装置から排出された燃焼ガスと熱交換を行う第1熱交換器とを備え、
前記流動乾燥装置の乾燥空気供給部で供給される乾燥空気は、前記旋回燃焼装置の排気筒から排出された燃焼ガス、又は、当該燃焼ガスで空気を加熱してなる加熱ガスであり、
前記旋回燃焼装置の排気筒から排出された燃焼ガスと空気とを熱交換する第2熱交換器と、
前記第2熱交換器で空気と熱交換した燃焼ガスの集塵を行う集塵装置と、
前記第2熱交換器で空気と熱交換した燃焼ガスの脱臭を行う脱臭装置とを備え、
前記第2熱交換器で空気が燃焼ガスと熱交換してなる加熱ガスが、乾燥空気として前記流動乾燥装置に供給され、
前記混合装置内の空気を、前記第2熱交換器で熱交換して乾燥空気として流動乾燥装置に供給することを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項2】
請求項1に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気の少なくとも一部が、前記旋回燃焼装置の旋回燃焼室に燃焼空気として供給されることを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項3】
請求項に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記第2熱交換器からの燃焼ガスと、前記流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気とを熱交換する第3熱交換器を備え、
前記第3熱交換器で燃焼ガスと熱交換した乾燥空気を、前記乾燥廃棄物を旋回燃焼装置に搬送する搬送空気、及び/又は、前記旋回燃焼装置の燃焼空気に用いる一方、前記第3熱交換器で乾燥空気と熱交換した燃焼ガスを、前記集塵装置及び脱臭装置に送ることを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項4】
請求項に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記有機廃棄物を貯留すると共に前記混合装置へ定量供給を行う第1定量供給装置を備え、
前記第1定量供給装置内の空気を、前記第2熱交換器で熱交換して乾燥空気として流動乾燥装置に供給することを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項5】
請求項に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記流動乾燥装置で乾燥された乾燥廃棄物を貯留すると共に前記混合装置及び旋回燃焼装置へ定量供給を行う第2定量供給装置を備え、
前記第2定量供給装置内の空気を、前記第2熱交換器で熱交換して乾燥空気として流動乾燥装置に供給することを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項6】
請求項1に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記混合装置は、
有機廃棄物及び乾燥廃棄物が投入される投入口と、
処理済みの廃棄物が排出される排出口と、
前記投入口と排出口の間に延在する回転軸と、
前記回転軸に取り付けられた複数の混合羽根を有し、
前記投入口に近い側の混合羽根は、回転軸への取り付け角度が被処理物を送る角度に設定されている一方、前記投入口から遠い混合羽根の一部は、回転軸への取り付け角度が被処理物を戻す角度に設定されていることを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項7】
請求項1に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記流動乾燥装置の解砕機は、
混合廃棄物の解砕を行うハンマー体と、
前記ハンマー体を揺動自在に支持する支持部材と、
前記支持部材を回転駆動する回転軸と
を有することを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項8】
請求項1に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記旋回燃焼装置は、
前記旋回燃焼室の筒状部と円錐台部の少なくとも一方の側面に設けられ、当該旋回燃焼室内の温度を測定する温度計と、
前記旋回燃焼室の筒状部と円錐台部の少なくとも一方の側面に、前記温度計が設けられた軸方向位置と同じ軸方向位置に設けられ、当該旋回燃焼室内に燃焼空気を供給する燃焼空気供給部と、
前記温度計が測定した温度に基づいて、前記燃焼空気供給部が旋回燃焼室内に供給する燃焼空気の量を制御する燃焼空気制御部と
を有することを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項9】
請求項に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記旋回燃焼装置は、前記温度計が、前記旋回燃焼室の筒状部に複数個設けられていると共に、前記燃焼空気供給部が、前記旋回燃焼室の筒状部に複数個設けられていることを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項10】
請求項に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記旋回燃焼装置は、前記温度計が、前記旋回燃焼室の円錐台部に複数個設けられていると共に、前記燃焼空気供給部が、前記旋回燃焼室の円錐台部に複数個設けられていることを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項11】
請求項に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記旋回燃焼装置は、前記排出部に連なり、前記旋回燃焼室で燃焼ガスから分離された固形物が導かれる第2燃焼室を有することを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項12】
請求項11に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記旋回燃焼装置は、前記第2燃焼室が、前記排出部に接続されて前記固形物を搬送する搬送装置内に形成されていることを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項13】
請求項1に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記旋回燃焼装置は、前記乾燥廃棄物に補助燃料を混合してなる廃棄物燃料が供給されることを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項14】
請求項13に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記補助燃料は、木屑、廃プラスチック又はRPFの少なくとも1つであることを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項15】
請求項1乃至14に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムにおいて、
前記第1熱交換器はボイラであることを特徴とする有機廃棄物を用いた熱源システム。
【請求項16】
請求項15に記載の有機廃棄物を用いた熱源システムと、
前記ボイラで加熱された蒸気で駆動される発電機とを備えることを特徴とする有機廃棄物を用いた発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機汚泥等の有機廃棄物を用いた熱源システムと、これを用いた発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場や製紙工場等から排出される有機汚泥は、水分量が80wt%を超えるものが多く、このような高水分量の有機汚泥は、化石燃料の燃焼熱を利用したロータリーキルンやストーカー炉等で焼却して処分されていた。しかしながら、高水分の有機汚泥を化石燃料で焼却すると、多額の燃料費がかかる問題がある。また、ロータリーキルンやストーカー炉で有機汚泥を乾燥した高熱ガスは、バグフィルターで集塵されると共にスクラバで脱臭された後に大気に排出されるが、余剰汚泥等のように臭気の強い有機汚泥を処理する場合、臭気が残留して周辺環境に悪影響を与える問題がある。
【0003】
ところで、有機汚泥は、水分量を20wt%程度に乾燥させると15MJ/kg(3500kcal/kg)程度の熱量が得られるので、燃料として利用することができるが、乾燥のための燃料費が嵩む問題と、臭気の残留の問題がある。このような問題を解決するため、本出願人は、有機汚泥を用いた固形燃料の製造方法を、既に提案している(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の固形燃料の製造方法では、有機汚泥を、内部が減圧される加熱炉内に微生物と共に投入し、減圧に伴う沸点の降下により低温で有機汚泥を乾燥させて燃料費の削減を行うと共に、微生物分解で臭気の削減を行っている。加熱炉は、ボイラから熱媒体としての水蒸気が供給されるジャケットヒーターにより有機汚泥を加熱している。また、この固形燃料の製造方法では、加熱炉内に水蒸気の凝縮装置を設け、凝縮装置で生成された凝縮水と加熱炉内の空気を、微生物が添加された凝縮装置の冷却水に合流させて冷却塔で冷却して、臭気の削減を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4536744号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の固形燃料の製造方法は、有機汚泥を乾燥させる加熱炉の構造が複雑であり、また、凝縮装置や冷却塔等が必要で装置点数が多いという問題がある。また、加熱炉は内部が減圧されるので、有機汚泥の乾燥処理はバッチ処理となる。したがって、処理能力が比較的低いという問題がある。また、水蒸気を熱媒体とするジャケットヒーターで有機汚泥を加熱するので、熱損失が比較的多く、燃料消費の無駄が比較的多いという問題がある。すなわち、有機汚泥を利用する際のエネルギー効率が比較的低いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、有機汚泥等の有機廃棄物を、比較的簡易な装置と比較的少ない装置構成で乾燥できる熱源システム及び発電システムを提供することにある。また、有機廃棄物を連続処理で乾燥できる熱源システム及び発電システムを提供することにある。また、従来よりも高いエネルギー効率で有機廃棄物を利用できる熱源システム及び発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の熱源システムは、有機廃棄物と、有機廃棄物が乾燥されてなる乾燥廃棄物とが投入され、前記有機廃棄物と乾燥廃棄物を混合して前記有機廃棄物よりも含水率の低い混合廃棄物を形成する混合装置と、
縦長の流動室と、当該流動室の下部に設置され、前記混合装置からの混合廃棄物が投入されて当該混合廃棄物を解砕する解砕機と、前記流動室の下部に乾燥空気を供給する乾燥空気供給部と、前記流動室の上部に配置され、当該流動室内を下部から上部に流れた混合廃棄物を排出する排出口とを有する流動乾燥装置と、
前記流動乾燥装置で混合廃棄物が乾燥されてなる乾燥廃棄物が搬送空気によって投入される筒状部と、当該筒状部に連なると共に下方に向かうにつれて縮径する円錐台部とを有し、接線方向に燃焼空気が供給されて前記乾燥廃棄物を旋回状に流しながら燃焼させる旋回燃焼室と、当該旋回燃焼室の筒状部の上端から下方に向かって突出し、前記乾燥廃棄物の燃焼ガスを排出する排気筒と、前記旋回燃焼室の下端に設けられ、当該旋回燃焼室内で燃焼ガスから分離された固形物を排出する排出部とを有する旋回燃焼装置と、
前記旋回燃焼装置から排出された燃焼ガスと熱交換を行う第1熱交換器とを備え、
前記流動乾燥装置の乾燥空気供給部で供給される乾燥空気は、前記旋回燃焼装置の排気筒から排出された燃焼ガス、又は、当該燃焼ガスで空気を加熱してなる加熱ガスであることを特徴としている。
【0009】
前記構成によれば、有機廃棄物と、有機廃棄物が乾燥されてなる乾燥廃棄物とが混合装置に投入され、前記有機廃棄物と乾燥廃棄物が混合されて前記有機廃棄物よりも含水率の低い混合廃棄物が形成される。有機廃棄物は、例えば下水汚泥、パルプスラッジ、食品残渣、浄化槽汚泥、生汚泥、活性汚泥及び余剰汚泥等のように、有機質で形成され、含水率が80wt%を超える廃棄物をいう。このような高含水率の有機廃棄物を、乾燥廃棄物と混合して含水率の比較的低い混合廃棄物とすることにより、後続の流動乾燥装置における乾燥の効率化を図ることができる。前記混合装置で混合された混合廃棄物は流動乾燥装置に投入され、流動乾燥装置の解砕機で解砕され、乾燥空気供給部から供給されて流動室の下部から上部に向かって流れる乾燥空気により、流動室内を上方に流れる。粒子が小さく乾燥した廃棄物は、乾燥空気の流れによって流動室の上部の排出口から排出される。粒子が大きい廃棄物は、流動室内を落下して解砕機に達し、当該解砕機で解砕されて小さい粒子になる。含水率が比較的大きい廃棄物は、流動室内を概ね上下方向に流れて乾燥空気に接触し、含水率が低下すると、乾燥空気の流れによって流動室の上部の排出口から排出される。流動乾燥装置で乾燥された乾燥廃棄物は、搬送空気によって旋回燃焼装置に搬送され、当該旋回燃焼装置の旋回燃焼室の筒状部に投入され、当該旋回燃焼室に接線方向に供給される燃焼空気によって旋回燃焼室内を旋回状に流れながら燃焼する。当該旋回燃焼室内で乾燥廃棄物が燃焼して燃焼ガスが生成され、排気筒から当該燃焼ガスが排出される。前記旋回燃焼室内で燃焼しないで残留した未燃成分や不燃成分を含む固形物は、旋回燃焼室の円錐台部を流れる際に作用する遠心力によって燃焼ガスから分離され、当該旋回燃焼室の下端に設けられた排出部から排出される。前記旋回燃焼装置から排出された燃焼ガスは、第1熱交換器により、加熱対象を加熱する。ここで、前記流動乾燥装置の乾燥空気供給部で供給される乾燥空気は、前記旋回燃焼装置の排気筒から排出された燃焼ガス、又は、当該燃焼ガスで空気を加熱してなる加熱ガスである。したがって、混合廃棄物を、実質的に化石燃料を用いることなく乾燥させることができるので、燃料費を低廉にすることができる。
【0010】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気の少なくとも一部が、前記旋回燃焼装置の旋回燃焼室に燃焼空気として供給される。
【0011】
前記実施形態によれば、前記流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気の少なくとも一部が、前記旋回燃焼装置の旋回燃焼室に燃焼空気として供給される。したがって、流動乾燥装置で混合廃棄物から生成された臭気を含む乾燥空気を旋回燃焼装置に導いて、当該旋回燃焼装置の旋回燃焼室で燃焼空気として燃焼させるので、臭気が外部に拡散する不都合を効果的に防止できる。また、臭気を含む乾燥空気を、旋回燃焼装置の燃焼空気として燃焼させて脱臭を行うので、従来よりも少ない装置構成で臭気を削減できる。
【0012】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記旋回燃焼装置の排気筒から排出された燃焼ガスと空気とを熱交換する第2熱交換器と、
前記第2熱交換器で空気と熱交換した燃焼ガスの集塵を行う集塵装置と、
前記第2熱交換器で空気と熱交換した燃焼ガスの脱臭を行う脱臭装置とを備え、
前記第2熱交換器で空気が燃焼ガスと熱交換してなる加熱ガスが、乾燥空気として前記流動乾燥装置に供給される。
【0013】
前記実施形態によれば、第2熱交換器で、燃焼ガスの塵と臭気の混入を防ぎながら高温の乾燥空気を生成できると共に、第2熱交換器で空気と熱交換を行った燃焼ガスの塵と臭気を集塵装置と脱臭装置で除去する。これにより、旋回燃焼装置の燃焼ガスの熱を混合廃棄物の乾燥のために効率的に利用できると共に、旋回燃焼装置からの塵と臭気を効率的に回収して除去できる。なお、第2熱交換器は、第1熱交換器の上流側又は下流側のいずれにも設置可能であり、第1熱交換器で加熱対象を加熱する温度と、乾燥空気の温度とに応じて、第1熱交換器及び第2熱交換器の接続順序を適宜設定すればよい。
【0014】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記第2熱交換器からの燃焼ガスと、前記流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気とを熱交換する第3熱交換器を備え、
前記第3熱交換器で燃焼ガスと熱交換した乾燥空気を、前記乾燥廃棄物を旋回燃焼装置に搬送する搬送空気、及び/又は、前記旋回燃焼装置の燃焼空気に用いる一方、前記第3熱交換器で乾燥空気と熱交換した燃焼ガスを、前記集塵装置及び脱臭装置に送る。
【0015】
前記実施形態によれば、流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気を、第3熱交換器で熱交換して加熱することにより、旋回燃焼装置に供給される搬送空気及び/又は燃焼空気の温度を高くできるので、当該旋回燃焼装置の燃焼効率を向上することができる。また、第2熱交換器で空気と熱交換した後においても温度が比較的高い燃焼ガスを、第3熱交換器で乾燥空気の加熱に用いることにより、旋回燃焼装置で生成される熱の利用効率を向上することができる。また、流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥して臭気を含む乾燥空気を、搬送空気及び/又は燃焼空気として旋回燃焼装置に供給することにより、当該旋回燃焼装置で臭気を燃焼させることにより、効果的に脱臭を行うことができる。
【0016】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記混合装置内の空気を、前記第2熱交換器で熱交換して乾燥空気として流動乾燥装置に供給する。
【0017】
前記実施形態によれば、混合装置内で有機廃棄物と乾燥廃棄物が混合される際に生成される臭気を含む空気が、第2熱交換機で旋回燃焼装置からの燃焼ガスと熱交換して加熱され、乾燥空気として流動乾燥装置に供給される。流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気は、搬送空気及び/又は燃焼空気として旋回燃焼装置に導かれて、臭気と共に燃焼する。したがって、臭気が外部に拡散する不都合を効果的に防止できる。また、臭気を含む空気を、旋回燃焼装置で燃焼させて脱臭を行うので、従来よりも少ない装置構成で臭気を削減できる。
【0018】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記有機廃棄物を貯留すると共に前記混合装置へ定量供給を行う第1定量供給装置を備え、
前記第1定量供給装置内の空気を、前記第2熱交換器で熱交換して乾燥空気として流動乾燥装置に供給する。
【0019】
前記実施形態によれば、第1定量供給装置内に有機廃棄物が貯留される際に生成される臭気を含む空気が、第2熱交換機で旋回燃焼装置からの燃焼ガスと熱交換して加熱され、乾燥空気として流動乾燥装置に供給される。流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気は、搬送空気及び/又は燃焼空気として旋回燃焼装置に導かれて、臭気と共に燃焼する。したがって、臭気が外部に拡散する不都合を効果的に防止できる。また、臭気を含む空気を、旋回燃焼装置で燃焼させて脱臭を行うので、従来よりも少ない装置構成で臭気を削減できる。
【0020】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記流動乾燥装置で乾燥された乾燥廃棄物を貯留すると共に前記混合装置及び旋回燃焼装置へ定量供給を行う第2定量供給装置を備え、
前記第2定量供給装置内の空気を、前記第2熱交換器で熱交換して乾燥空気として流動乾燥装置に供給する。
【0021】
前記実施形態によれば、第2定量供給装置内に乾燥廃棄物が貯留される際に生成される臭気を含む空気が、第2熱交換機で旋回燃焼装置からの燃焼ガスと熱交換して加熱され、乾燥空気として流動乾燥装置に供給される。流動乾燥装置で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気は、搬送空気及び/又は燃焼空気として旋回燃焼装置に導かれて、臭気と共に燃焼する。したがって、臭気が外部に拡散する不都合を効果的に防止できる。また、臭気を含む空気を、旋回燃焼装置で燃焼させて脱臭を行うので、従来よりも少ない装置構成で臭気を削減できる。
【0022】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記混合装置は、
有機廃棄物及び乾燥廃棄物が投入される投入口と、
処理済みの廃棄物が排出される排出口と、
前記投入口と排出口の間に延在する回転軸と、
前記回転軸に取り付けられた複数の混合羽根を有し、
前記投入口に近い側の混合羽根は、回転軸への取り付け角度が被処理物を送る角度に設定されている一方、前記投入口から遠い混合羽根の一部は、回転軸への取り付け角度が被処理物を戻す角度に設定されている。
【0023】
前記実施形態によれば、混合装置の投入口に投入された有機廃棄物と乾燥廃棄物は、回転軸で回転駆動される複数の混合羽根で撹拌されて混合し、混合廃棄物となって排出口から排出される。ここで、投入口に近い側の混合羽根は、回転軸への取り付け角度が被処理物を送る角度に設定されているので、投入口に投入された有機廃棄物と乾燥廃棄物は、回転軸に沿って速やかに投入口から排出口に向かって送られる。前記投入口から遠い位置に達した有機廃棄物と乾燥廃棄物は、回転軸への取り付け角度が被処理物を戻す角度に設定された一部の混合羽根から、排出口から投入口に向かう力を受ける。これにより、投入口から遠い位置において、有機廃棄物と乾燥廃棄物が、投入口から排出口に向かう力と、排出口から投入口に向かう力とを受けるので、回転軸に沿って正逆方向に移動する。その結果、有機廃棄物と乾燥廃棄物が効果的に混合されて、水分量の均一な混合廃棄物が得られる。ここで、投入口に近い側とは、当該投入口から、回転軸方向において、前記投入口と排出口との間の距離の半分の位置までの間のいずれかの位置をいう。すなわち、前記投入口から、前記投入口と排出口との間の距離の半分の位置までの間に適宜設定される基準位置に関し、この基準位置よりも投入口側が近い側であり、前記基準位置よりも排出口側が遠い側である。
【0024】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記流動乾燥装置の解砕機は、
混合廃棄物の解砕を行うハンマー体と、
前記ハンマー体を揺動自在に支持する支持部材と、
前記支持部材を回転駆動する回転軸と
を有する。
【0025】
前記実施形態によれば、回転軸によって支持部材と共に回転駆動されると共に、支持部材に対して揺動するハンマー体により、混合廃棄物を効果的に解砕することができる。
【0026】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記旋回燃焼装置は、
前記旋回燃焼室の筒状部と円錐台部の少なくとも一方の側面に設けられ、当該旋回燃焼室内の温度を測定する温度計と、
前記旋回燃焼室の筒状部と円錐台部の少なくとも一方の側面に、前記温度計が設けられた軸方向位置と同じ軸方向位置に設けられ、当該旋回燃焼室内に燃焼空気を供給する燃焼空気供給部と、
前記温度計が測定した温度に基づいて、前記燃焼空気供給部が旋回燃焼室内に供給する燃焼空気の量を制御する燃焼空気制御部と
を有する。
【0027】
前記実施形態によれば、旋回燃焼室の筒状部と円錐台部の少なくとも一方の側面に設けられた温度計で、旋回燃焼室内の温度を測定し、温度計で測定された旋回燃焼室内の温度に基づいて、燃焼空気制御部により、前記温度計と同じ軸方向位置に設けられた燃焼空気供給部で供給される燃焼空気の量を制御する。例えば、温度計で測定された温度が所定の基準値よりも高い場合は燃焼空気の量を増大させ、温度計で測定された温度が所定の基準値よりも低いときは燃焼空気の量を減少させる。これにより、旋回燃焼室内の温度が安定して所定の温度に保たれるので、旋回燃焼室に供給される乾燥廃棄物の種類や大きさにばらつきが存在しても、旋回燃焼装置は安定した燃焼熱を生成することができる。
【0028】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記旋回燃焼装置は、前記温度計が、前記旋回燃焼室の筒状部に複数個設けられていると共に、前記燃焼空気供給部が、前記旋回燃焼室の筒状部に複数個設けられている。
【0029】
前記実施形態によれば、複数個の温度計で旋回燃焼室の筒状部の複数位置の温度が測定され、これらの温度計で測定された温度に基づいて、複数個の燃焼空気供給部により、旋回燃焼室の筒状部の複数位置に供給される燃焼空気の量が制御される。したがって、旋回燃焼室の筒状部の燃焼温度が、安定して所定の温度に保たれる。
【0030】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記旋回燃焼装置は、前記温度計が、前記旋回燃焼室の円錐台部に複数個設けられていると共に、前記燃焼空気供給部が、前記旋回燃焼室の円錐台部に複数個設けられている。
【0031】
前記実施形態によれば、複数個の温度計で旋回燃焼室の円錐台部の複数位置の温度が測定され、これらの温度計で測定された温度に基づいて、複数個の燃焼空気供給部により、旋回燃焼室の円錐台部の複数位置に供給される燃焼空気の量が制御される。したがって、旋回燃焼室の円錐台部の燃焼温度が、安定して所定の温度に保たれる。
【0032】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記旋回燃焼装置は、前記排出部に連なり、前記旋回燃焼室で燃焼ガスから分離された固形物が導かれる第2燃焼室を有する。
【0033】
前記実施形態によれば、旋回燃焼室で燃焼しないで残留した固形物が、旋回燃焼室内の旋回流によって燃焼ガスから分離され、第2燃焼室に導かれる。この固形物のうちの未燃成分が第2燃焼室で燃焼する。したがって、旋回燃焼室で燃焼しないで残留した未燃物を効果的に燃焼させて、旋回燃焼装置の燃焼効率を向上することができる。
【0034】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記旋回燃焼装置は、前記第2燃焼室が、前記排出部に接続されて前記固形物を搬送する搬送装置内に形成されている。
【0035】
前記実施形態によれば、旋回燃焼室から固形物としての灰や不燃物を排出するために必須である搬送装置を、第2燃焼室として兼用する。これにより、旋回燃焼装置の装置構成を増やすことなく、乾燥廃棄物の燃焼効率を高めることができる。したがって、大きさや燃焼物質の分布にばらつきのある乾燥廃棄物を燃焼するにもかかわらず、コンパクトで燃焼効率の高い旋回燃焼装置が得られる。なお、搬送装置としては、スクリューコンベヤや密閉式チェンコンベヤ等を採用することができる。
【0036】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記旋回燃焼装置は、前記乾燥廃棄物に補助燃料を混合してなる廃棄物燃料が供給される。
【0037】
前記実施形態によれば、乾燥廃棄物に補助燃料が混合されてなる廃棄物燃料を旋回燃焼装置で燃焼することにより、高い熱量を安定して得ることができる。したがって、第1熱交換器による媒体の加熱温度を安定にできる。
【0038】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記補助燃料は、木屑、廃プラスチック又はRPFの少なくとも1つである。
【0039】
前記実施形態によれば、木屑、廃プラスチック又はRPF(Refuse Paper
& Plastic Fuel;古紙及び廃プラスチックを主原料とする固形燃料)の少なくとも1つを補助燃料に用いることにより、廃棄物由来の燃料を用いて、化石燃料を実質的に用いることなく安定した熱量が得られる。
【0040】
一実施形態の有機廃棄物を用いた熱源システムは、前記第1熱交換器はボイラである。
【0041】
前記実施形態によれば、ボイラにより、旋回燃焼装置から排出された燃焼ガスと熱交換を行って媒体を加熱することにより、加熱された媒体を種々の熱機器や発動機に供給することができる。
【0042】
本発明の有機廃棄物を用いた発電システムは、前記有機廃棄物を用いた熱源システムと、前記ボイラで加熱された蒸気で駆動される発電機とを備えることを特徴としている。
【0043】
前記実施形態によれば、有機物廃棄物を用いた熱源システムにより、有機廃棄物から安定した熱量の蒸気が生成できるので、当該蒸気で発電機を駆動して安定した電力が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の実施形態の有機廃棄物を用いた発電システムの構成を示す模式図である。
図2】混合装置を示す縦断面図である。
図3】混合装置を示す正面図である。
図4】混合装置を示す横断面図である。
図5】混合装置を示す横断面図である。
図6】混合装置の混合羽根を示す図である。
図7】流動乾燥装置を示す縦断面図である。
図8】流動乾燥装置の解砕機を示す平断面図である。
図9】流動乾燥装置の解砕機の端部支持円盤を示す正面図である。
図10】旋回燃焼装置を示す軸方向断面図である。
図11】本発明の他の実施形態の有機廃棄物を用いた発電システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明の第1実施形態としての有機廃棄物を用いた発電システムを示す模式図である。この発電システム1は、有機廃棄物を主要な燃料として蒸気を生成する熱源システムに発電機8を組み合わせて構成されている。
【0047】
この発電システム1が燃料として使用する有機廃棄物は、下水汚泥、パルプスラッジ、食品残渣、浄化槽汚泥、生汚泥、活性汚泥及び余剰汚泥等であり、有機質で形成され、含水率が80wt%を超える廃棄物である。この有機廃棄物を、実質的に化石燃料を用いることなく乾燥させて燃料を生成し、この燃料を用いて発電を行う。
【0048】
この発電システム1は、有機廃棄物と乾燥廃棄物を混合して混合廃棄物を生成する混合装置としてのパドルミキサ2と、混合廃棄物を乾燥させて乾燥廃棄物を生成する流動乾燥装置3と、乾燥廃棄物を燃焼させて燃焼ガスを生成する旋回燃焼装置としてのサイクロンバーナー4と、サイクロンバーナー4からの燃焼ガスで蒸気を生成する第1熱交換器としての蒸気ボイラ7と、蒸気ボイラ7で生成された蒸気で駆動されて発電を行う蒸気タービンで駆動される発電機8を備えて大略構成されている。
【0049】
パドルミキサ2には、第1定量供給装置としての廃棄物供給装置11から有機廃棄物が供給されると共に、この有機廃棄物を乾燥してなる乾燥廃棄物が、第2定量供給装置としての乾燥廃棄物供給装置13から供給される。廃棄物供給装置11は、有機廃棄物が投入され、投入された有機廃棄物を貯留する貯留タンクと、貯留タンクの下端に設置され、スクリューコンベヤで形成されて貯留タンクから有機廃棄物を排出する排出コンベヤとを有する。排出コンベヤは、密閉式のスクリューコンベヤで形成された搬送コンベヤに接続され、搬送コンベヤはロータリーバルブを介してパドルミキサ2に接続されている。廃棄物供給装置11、搬送コンベヤ及びロータリーバルブは、コントローラによって動作が制御される。
【0050】
乾燥廃棄物供給装置13は、流動乾燥装置3からの乾燥廃棄物が投入され、投入された乾燥廃棄物を貯留する貯留タンクと、貯留タンクの下端に設置され、密閉式のスクリューコンベヤで形成されて貯留タンクから乾燥廃棄物を排出する2つの排出コンベヤとを有する。2つの排出コンベヤのうちの一方は、パドルミキサ2にロータリーバルブを介して接続されている。2つの排出コンベヤのうちの他方は、サイクロンバーナー4へ燃料を搬送する燃料搬送管F1にロータリーバルブを介して接続されている。乾燥廃棄物供給装置13は、貯留タンク内の所定の高さに設置され、貯留タンク内の所定量を超えた乾燥廃棄物を排出する上部排出コンベヤを有する。この上部排出コンベヤから排出した乾燥廃棄物は、搬送容器14に投入され、堆肥等の他の用途のために利用される。乾燥廃棄物供給装置13の動作は、コントローラによって制御される。
【0051】
パドルミキサ2は、図2の縦断面図に示すように、廃棄物供給装置11からの有機廃棄物が投入される第1投入口22と、乾燥廃棄物供給装置13からの乾燥廃棄物が投入される第2投入口23と、有機廃棄物と乾燥廃棄物とを混合してなる混合廃棄物を排出する排出口24を有し、内部に混合室が形成されるケーシング21を備える。ケーシング21内には、第1及び第2投入口22,23と排出口24の間に2本の回転軸25,25が平行に配置され、回転軸25,25の各々に、複数の混合羽根27,27,・・・が螺旋状に固定されている。2本の回転軸25,25には、ケーシング21の外側に位置して互いに噛み合う歯車26が夫々設けられている。図3の正面図に示すように、ケーシング21の外側にはモータ27が設けられており、モータ27の出力軸のスプロケットと、一方の回転軸25に固定されたスプロケットとにチェーン28が巻回されている。当該モータ27でチェーン27を介して一方の回転軸25が回転駆動されると共に、歯車26を介して他方の回転軸25が一方の回転軸25と反対方向に回転駆動される。これにより、2本の回転軸25,25に固定された混合羽根27,27が回転駆動されて、有機廃棄物と乾燥廃棄物の送り動作及び混合動作をするようになっている。モータ27の回転数がコントローラによって制御され、パドルミキサ2の動作が制御される。
【0052】
図4は、パドルミキサ2の第1投入口22の配置位置における横断面図である。2本の回転軸25,25の周りには、複数の混合羽根27,27,・・・が螺旋状の軌跡をなすように固定されている。図4に示すように、複数の混合羽根27,27,・・・は、回転軸25方向視において互いに90°の角度間隔で配置されている。図4に示すように、回転軸25方向視において、回転軸25,25の間で混合羽根27,27がオーバーラップするように配置されている。なお、図5に示すように、複数の混合羽根27,27,・・・は、回転軸25方向視において、回転軸25,25の間でオーバーラップしなくてもよい。各回転軸25の混合羽根27,27,・・・は、取付軸29によって回転軸25に取り付けられており、回転軸25の直角面に対して傾斜するように、取付軸29回りのピッチ角が調整されている。第1投入口22から、回転軸25方向において投入口22と排出口24との間の距離の半分の位置までに配置された混合羽根27,27,・・・は、ピッチ角が、いずれも同じ方向に設定されている。これにより、回転軸25が回転するに伴い、被処理物を投入口22,23から排出口24に向かって送るようになっている。一方、回転軸25方向において投入口22と排出口24との間の距離の半分の位置から、排出口24までに配置された混合羽根27,27,・・・は、隣り合う混合羽根27のピッチ角が、互いに反対方向になるように設定されている。すなわち、図6の軸直角方向断面に示すように、回転軸25の周りに互いに90°の角度をなして配置された4枚の混合羽根27a,27b,27c,27dのうち、図6において縦方向の同一径上に位置する混合羽根27a,27cのピッチ角が、互いに同じ方向r1に設定されている。一方、図6において横方向の同一径上に位置する混合羽根27b,27dのピッチ角が、前記混合羽根27a,27cのピッチ角と反対の方向r2に設定されている。これにより、回転軸25が回転するに伴い、混合羽根27,27,・・・から被処理物に、投入口22,23から排出口24に向かう力と、排出口24から投入口22,23に向かうと力とを作用させて、被処理物を効果的に混合するようになっている。なお、回転軸25方向において投入口22と排出口24との間の距離の半分の位置から、排出口24までに配置された混合羽根27,27,・・・は、混合羽根27のピッチ角を、所定数おきに反対向きに設定してもよく、例えば、4枚のうちの1枚の割合で反対向きに設定してもよい。また、ピッチ角が反対方向の混合羽根27を設置する範囲は、第2投入口23から排出口24までの間のいずれの部分であってもよい。2つの回転軸25,25は、混合羽根27,27,・・・の螺旋状をなす取付位置と、混合羽根27,27,・・・のピッチ角が、互いに鏡像対象をなすように配置されている。また、2つの回転軸25,25は、図4に示すように、軸方向視において互いの混合羽根27,27,・・・の軌跡が重なり合うように配置されている。これにより、回転軸25,25が互いに反対方向に回転するに伴い、軸方向において同じ方向に効果的に送り動作と混合動作を行うようになっている。
【0053】
流動乾燥装置3は、図7の縦断面図に示すように、鉛直方向に延在して内部に縦長の流動乾燥室が形成された塔状ケーシング31と、塔状ケーシング31の下部に設けられた解砕機35と、塔状ケーシング31の下部かつ解砕機35よりも上方に設けられて混合廃棄物を投入する投入口32と、塔状ケーシング31の下部かつ解砕機35よりも上方に設けられて乾燥空気を供給する乾燥空気供給部としての乾燥空気供給管33と、塔状ケーシング31の上部に設けられて乾燥済みの乾燥廃棄物を乾燥空気と共に排出する排出口34を備える。
【0054】
解砕機35は、図8に示すように、塔状ケーシング31の下部の内側に、互いに平行に配置されてモータM1,M2で夫々駆動される2本の回転軸351,351と、各回転軸351の軸方向に配列されて回転軸351に固定された複数の支持円盤353,353,・・・と、各回転軸351の複数の支持円盤353,353,・・・の両側に配置された端部円盤352,352と、回転軸351と並行に配置され、支持円盤353及び支持円盤353を貫通して固定された複数の枢着軸354,354,・・・と、支持円盤353の相互間及び支持円盤353と端部円盤352との間に配置され、枢着軸354の周りに揺動自在に枢着された複数のハンマー体355,355,・・・とを備えて形成されている。一方の端部円盤352は支持円盤353と程同じ径を有し、他方の端部円盤352は一方の端部円盤352よりも大きい径を有する。端部円盤352は、図9に示すように、円盤本体352aと、円盤本体352aに放射状に配置された複数のブレード352b,ブレード352b,・・・を有する。ブレード352bは、塔状ケーシング31の内側面を臨んで回転することにより、このケーシングの内側面と円盤本体352aとの間の被処理物を除去する。一方の回転軸351の支持円盤353と他方の回転軸351の支持円盤353は、軸方向において交互に配置されている。これにより、平面視において、一方の支持円盤353の相互間に他方のハンマー体351が通過するように形成され、各回転軸351のハンマー体351が描く軌跡の相互間の隙間が小さくなるように形成されている。また、一方の回転軸351の小径の端部円盤352の厚みは、他方の大径の端部円盤352と当該大径の端部円盤352に隣接するハンマー体351とを合わせた軸方向寸法と、略同じに形成されている。これにより、平面視において、塔状ケーシング31の内側面と端部円盤352との間の隙間が小さくなるように形成されている。このように、平面視におけるハンマー体351の軌跡の相互間や、塔状ケーシング31の内側面と端部円盤352の間に形成される隙間を小さく形成することにより、投入口32から投入された混合廃棄物が塔状ケーシング31の底に溜まる不都合を防止している。
【0055】
この解砕機35は、モータM1,M2によって2つの回転軸351,351が互いに反対方向に回転駆動され、図7に示す断面において、回転軸351,351の間をハンマー体355が上方に向かって移動するように作動する。乾燥空気供給管33は、解砕機35の2つの回転軸351,351の間に向かって乾燥空気を吹き出すように、傾斜して配置されている。このように、回転軸351,351の間をハンマー体355が上方に向かって移動するように回転軸351,351を回転駆動すると共に、これらの回転軸351,351の間に向かって乾燥空気を吹き出すことにより、投入口32から投入された混合廃棄物を乾燥空気の流れによって解砕部35に効果的に送ると共に、この解砕部35で解砕された混合廃棄物をハンマー体355からの衝撃力で効果的に上方に移動させることができる。解砕部35で解砕された後においても粒径が比較的大きい混合廃棄物は、ハンマー体355の衝撃力で上方に移動した後に再び落下し、解砕部35で再び解砕される。このようにして、乾燥空気が吹き付けられる解砕部35において、粒径の大きい混合廃棄物が繰り返して解砕されることにより、混合廃棄物は効果的に粒径が小さくなると共に乾燥が進行する。解砕部35で解砕されて小粒径となった混合廃棄物は、塔状ケーシング31内を上向きに流れる乾燥空気によって上方に搬送され、搬送の過程で更に乾燥されて乾燥廃棄物となり、排出口34から乾燥空気と共に排出される。含水の多い混合廃棄物は、排出口34に達する前に上昇が停止して塔状ケーシング31内を浮遊する。塔状ケーシング31内を浮遊する混合廃棄物は、乾燥空気と接触して乾燥が進行して乾燥廃棄物となり、乾燥空気と共に排出口34から排出される。流動乾燥装置3は、解砕部35のモータM1,M2の回転数がコントローラで制御される。
【0056】
流動乾燥装置3の排出口34は、サイクロンセパレータ15に接続されている。サイクロンセパレータ15は、乾燥廃棄物及び乾燥空気が導かれる筒状部と、この筒状部の下部に連なると共に下方に向かうにつれて縮径する円錐部とを有する分離室と、この分離室内に中心軸を一致して配置された排気筒とを有する。サイクロンセパレータ15の排気筒は、乾燥空気を吸引して排気を行う排気送風機B2の吸引口に連なっている。排気送風機B2は、ターボファン型の送風機であり、コントローラによって動作が制御される。なお、排気送風機B2は、例えばプレートファンや軸流ファン等の他の送風機でもよい。排気送風機B2の吸引動作により、乾燥廃棄物及び乾燥空気が分離室の筒状部から導入されて分離室内に旋回流を形成し、この旋回流の遠心力で乾燥廃棄物を乾燥空気から分離するようになっている。分離した乾燥廃棄物は、乾燥廃棄物供給装置13に供給される。サイクロンセパレータ15の乾燥廃棄物の排出口には、サイクロンセパレータ15内の圧力を保持するためのロータリーバルブが設けられている。サイクロンセパレータ15の排気口は、排気送風機B2の吸引口に接続されている。排気送風機B2の吹出し口には、乾燥空気管Y1が接続されている。乾燥空気管Y1は、乾燥空気を燃焼空気の一部としてサイクロンバーナー4に供給する分岐管Y2が分岐している。乾燥空気管Y1の下流端はバグフィルター5に接続されており、サイクロンセパレータ15から吸引されて排気送風機B2で圧送された乾燥空気は、バグフィルター5で塵が除去される。バグフィルター5で塵が除去された乾燥空気は、排気塔18から大気に排出される。
【0057】
この発電システム1は、サイクロンバーナー4の燃料として、有機廃棄物を乾燥してなる乾燥廃棄物に、木屑で形成される補助燃料を混合してなる廃棄物燃料を用いる。補助燃料としての木屑は、建築廃材や間伐材や端材等の木質材料を、1mm乃至20mmの寸法に破砕したものを用いる。補助燃料としての木屑は、補助燃料供給装置12で貯留すると共に、サイクロンバーナー4の運転状況に応じた量をサイクロンバーナー4に向けて供給する。補助燃料供給装置12は、木屑が投入され、投入された木屑を貯留する貯留タンクと、貯留タンクの下端に設置され、スクリューコンベヤで形成されて貯留タンクから木屑を排出する排出コンベヤとを有する。排出コンベヤで排出された木屑は、スクリューコンベヤで形成された搬送コンベヤを通って解砕機16に導かれる。解砕機16は、上部に投入口を有するとともに下部に排出口を有するケーシングと、ケーシング内に配置されたドラム状の回転軸と、この回転軸の周りに固定された複数の回転刃と、回転刃に近接してケーシング内に固定された固定刃とを備えた1軸型の解砕機である。この解砕機16は、補助燃料供給装置12から供給されてケーシングの上部の投入口から投入された木屑を、回転駆動される回転軸の回転刃と固定刃でせん断して破砕する。解砕機16の排出口にはロータリーバルブが設けられており、解砕機16で破砕された木屑を、ロータリーバルブを通して、搬送流で被圧された燃料搬送管F1内に投入するようになっている。
【0058】
補助燃料としては、木屑以外に廃プラスチック又はRPFを用いることができる。廃プラスチックは、事業所や家庭から回収されて脱塩素処理が行われたものを、1mm乃至20mm角の寸法に破砕して形成する。補助燃料として廃プラスチックを用いる場合、廃プラスチックを補助燃料供給装置12に投入し、サイクロンバーナー4の運転状況に応じた量の廃プラスチックを補助燃料供給装置12から解砕機16に導いて解砕し、解砕した廃プラスチックを燃料搬送管F1に投入する。また、補助燃料として、木屑と廃プラスチックとRPFのうちの2以上の混合物を用いてもよく、サイクロンバーナー4の運転状況に応じて木屑と廃プラスチックとRPFのうちの2以上の混合割合を適宜調整した後に、燃料搬送管F1に投入してもよい。
【0059】
燃料搬送管F1は、外気を吸引して搬送風を吹き出す搬送送風機B1と、サイクロンバーナー4の燃料供給口43との間を連結しており、解砕機16の排出口と、乾燥廃棄物供給装置13の排出コンベヤの排出口に、各々ロータリーバルブを介して接続されている。搬送送風機B1は、送風翼の出口角が90°以下に形成されたターボファン型の送風機であり、送風翼を回転駆動するモータは、コントローラによって動作が制御される。なお、搬送送風機B1は、プレートファンや軸流ファン等の他の送風機を用いてもよい。燃料搬送管F1は、解砕機16からの補助燃料と、乾燥廃棄物供給装置13からの乾燥廃棄物とを搬送し、これらの補助燃料と乾燥廃棄物とで形成される廃棄物燃料をサイクロンバーナー4に供給する。
【0060】
図10は、サイクロンバーナー4を示す軸方向断面図である。図10に示すように、サイクロンバーナー4は、筒状部41と、この筒状部41に連なって先端側に向かうにつれて径が縮小する円錐台部42とを有するバーナーケーシング40と、このバーナーケーシング40の筒状部41の内側に同軸に配置された排気筒44と、バーナーケーシング40の円錐台部42の下端に接続されたスクリューコンベヤ60を備える。
【0061】
バーナーケーシング40は、耐熱鋼の内側に断熱材と耐火材を配置して作成されている。断熱材としては、ケイ酸カルシウム等で形成された断熱ボードを用いることができ、耐火材としては、耐火煉瓦やキャスタブル耐火物等を用いることができる。前記バーナーケーシング40の筒状部41及び円錐台部42の内側に、第1燃焼室R1が形成される。
【0062】
バーナーケーシング40の筒状部41には、搬送空気と、被燃焼物である廃棄物燃料が導かれる燃料供給口43と、燃料供給口43と同じ軸方向位置の第1燃焼室R1の温度を測定する供給部温度計50が設けられている。供給部温度計50の信号は、後述するコントローラに入力される。
【0063】
また、バーナーケーシング40の筒状部41には、燃料供給口43に近い側から順に、軸方向の異なる位置に配置されて燃焼空気を供給する燃焼空気供給部としての第1乃至第3給気口141,142,143が設けられている。当該第1乃至第3給気口141,142,143と同じ軸方向位置には、第1燃焼室R1の筒状部41に対応する部分の温度を測定する第1乃至第3温度計51,52,53が設けられている。また、バーナーケーシング40の円錐台部42には、燃料供給口43に近い側から順に、軸方向の異なる位置に配置された燃焼空気供給部としての第4及び第5給気口144,145が設けられている。当該第4及び第5給気口144,145と同じ軸方向位置には、第1燃焼室R1の円錐台部42に対応する部分の温度を測定する第4及び第5温度計54,55が設けられている。
【0064】
前記第1乃至第5温度計51,52,53,54,55の信号T1,T2,T3,T4,T5は、コントローラに入力される。前記第1乃至第5給気口141,142,143,144,145には、燃焼送風機B3の吹き出し口に連なる燃焼空気供給管F21が接続されており、この燃焼空気供給管F21には、第1乃至第5給気口141,142,143,144,145に供給される燃焼空気の流量を調節する流量制御弁V1,V2,V3,V4,V5が設けられている。流量制御弁V1,V2,V3,V4,V5は、バタフライダンパー弁で形成され、コントローラから制御信号P1,P2,P3,P4,P5を受けて作動し、コントローラによって開度が制御されるようになっている。なお、バーナーケーシング40の筒状部41に設置する給気口及び温度計の数は、3個以外であってもよく、また、バーナーケーシング40の円錐台部42に設置する給気口及び温度計の数は、2個以外であってもよい。
【0065】
バーナーケーシング40に設けられた第1乃至第5給気口141,142,143,144,145は、円形断面を有する筒状部41及び円錐台部42の接線方向を向いており、これらの第1乃至第5給気口141,142,143,144,145からの燃焼空気によって第1燃焼室R1に旋回流を形成する。
【0066】
バーナーケーシング40の筒状部41に設けられた燃料供給口43は、円形断面を有する筒状部41の接線方向を向いている。これにより、燃料供給口43から供給された搬送空気と廃棄物燃料が、筒状部41の内側に旋回状に流入するようになっている。
【0067】
燃料供給口43から供給された搬送空気と廃棄物燃料は、第1燃焼室R1内の燃焼空気の旋回流に合流し、筒状部41から円錐台部42に向かって流れるに伴って廃棄物燃料が燃焼する。円錐台部42に達した廃棄物燃料は、旋回流の遠心力によって未燃の廃棄物燃料や不燃物等の固形物が分離される。
【0068】
バーナーケーシング40の筒状部41には、中心軸に関して燃料供給口43の反対側に火炎口45が設けられており、この火炎口45に着火部としての起動バーナー46が設けられている。起動バーナー46の吹出し口には、起動バーナー46の作動時に開く一方、起動バーナー46の停止時に閉じる開閉弁47が設けられている。火炎口45の側部には、燃焼送風機B3から火炎調整空気が導かれる給気口が設けられている。この給気口に火炎調整空気を供給する配管には、火炎調整空気の量を調節する流量制御弁V6が設けられている。この流量制御弁V6は、コントローラからの駆動信号P6に応じて作動し、コントローラによって開度が制御されるようになっている。起動バーナー46は、燃焼空気を吹き出す送風翼と、この送風翼の下流側に設けられた燃料噴射ノズルを有し、前記送風翼を回転駆動するモータは、コントローラで供給電力が制御される。燃料噴射ノズルは、灯油を貯蔵する燃料タンク49に接続され、燃料タンク49と燃料噴射ノズルを接続する燃料配管に、灯油の流量を調節する燃料バルブ48が設けられている。燃料バルブ48は、コントローラによって開度が制御されるようになっている。サイクロンバーナー4の起動時に、コントローラの制御により、起動バーナー46から灯油の燃焼による火炎を第1燃焼室R1に放射して、第1燃焼室R1の温度を乾燥廃棄物の燃焼温度に上昇させるようになっている。火炎口45は、円形断面を有する筒状部41の接線方向を向いており、これにより、火炎口45に設けられた起動バーナー46の火炎が、第1燃焼室R1の筒状部41の内側に旋回状に放射される。
【0069】
排気筒44は、耐熱鋼で作成された管状の部材であり、バーナーケーシング40の筒状部41の天井面を貫通して固定されている。排気筒44の下端は、軸方向において筒状部41と円錐台部42との境界のやや上方の位置に開口している。排気筒44の上端は、バーナーケーシング40から排出された燃焼ガスを蒸気ボイラ7に導く第1燃焼ガス管X1が接続されている。
【0070】
スクリューコンベヤ60は、円筒形の搬送ケーシング62と、搬送ケーシング62の外側を取り囲むジャケットケーシング63と、搬送ケーシング62の内側に回転可能に収容された搬送スクリュー64と、搬送スクリュー64を回転駆動するモータM3で大略構成されている。搬送ケーシング62の一端側は、バーナーケーシング40の円錐台部42の下端に設けられて固形物を排出する固形物排出口65に連通している。このバーナーケーシング40の固形物排出口65から、第1燃焼室R1で燃焼されずに残った廃棄物燃料や、廃棄物燃料の灰や、廃棄物燃料に混入した不燃物が搬送ケーシング62内に投入される。これらの固形物は、搬送ケーシング62と搬送スクリュー64の間に形成された搬送空間によって他端側に搬送され、搬送ケーシング62の他端側に設けられた排出口66から排出される。スクリューコンベヤ60の排出口66にはロータリーバルブ67が設けられており、バーナーケーシング40と搬送ケーシング62の内側の気圧を保持するようになっている。搬送ケーシング62とジャケットケーシング63の間には冷却室61が形成され、ジャケットケーシング63の一端側に設けられた給水口68から冷却媒体としての水が冷却室61に供給されて、搬送空間を冷却する冷却ジャケットが形成される。冷却媒体としての水は、給水口68に連なる給水管の上流に接続された給水ポンプPによって冷却室61に供給される。搬送空間を冷却した水は、ジャケットケーシング63の他端側に設けられた排水口69から排出される。
【0071】
搬送ケーシング62の固形物排出口65との連通部と対向する位置に、燃焼空気を供給するコンベヤ給気口70が設けられており、このコンベヤ給気口70に、燃焼送風機B3の吹き出し口に連なる配管が接続されている。給気口70に接続された配管には、コンベヤ給気口70に供給される燃焼空気の量を調節する流量制御弁V7が設けられている。流量制御弁V7は、コントローラから駆動信号P7を受けて作動し、コントローラによって開度が制御されるようになっている。なお、給気口70に供給する燃焼空気は、流量制御弁以外の他の流量調整弁によって流量を調整してもよい。搬送ケーシング62の他端側には、固形物排出口65と連通する側と同じ側であって、搬送ケーシング62の中心軸に関してコンベヤ給気口70と反対側に、搬送ケーシング62内のガスを排出するガス排出口71が設けられている。スクリューコンベヤ60の搬送空間の前記コンベヤ給気口70とガス排出口71との間の部分に、搬送する固形物のうちの未燃の廃棄物燃料を燃焼させる第2燃焼室R2が形成される。第2燃焼室R2には、この第2燃焼室R2内の温度を測定する第6温度計56が設けられている。第6温度計56の信号は、コントローラに入力される。ガス排出口71には燃焼ガスを導く第2燃焼ガス管X2が接続され、この第2燃焼ガス管X2は、バーナーケーシング40から燃焼ガスを蒸気ボイラ7に導く第1燃焼ガス管X1に接続されている。
【0072】
燃焼送風機B3は、サイクロンバーナー4の第1乃至第5給気口141,142,143,144,145に燃焼空気を供給すると共に、サイクロンバーナー4のスクリューコンベヤ60のコンベヤ給気口70に燃焼空気を供給する。また、燃焼送風機B3は、サイクロンバーナー4の起動時に、火炎口45の給気口に火炎調整空気を供給する。燃焼送風機B3は、外気と共に、流動乾燥装置3から排出された乾燥空気の一部を吸引し、前記外気と乾燥空気との混合気体を燃焼空気としてサイクロンバーナー4に供給する。燃焼送風機B3は、搬送送風機B1と同様のターボファン型の送風機であり、コントローラで制御される。なお、燃焼送風機B3は、例えばプレートファンや軸流ファン等の他の送風機でもよい。燃焼送風機B3の吹出し口に接続された送風管F2は、サイクロンバーナー4のバーナーケーシング40側の送風枝管F21と、スクリューコンベヤ60のコンベヤ給気口70に接続される送風枝管F22とに分かれる。バーナーケーシング40側の送風枝管F21は、更に、第1乃至第5給気口141,142,143,144,145に接続する枝管が分岐し、最下流に残った管が火炎口45の給気口に接続している。
【0073】
蒸気ボイラ7は、サイクロンバーナー4の燃焼ガスと、媒体としての水Wが導かれ、高温の燃焼ガスと低温の水を熱交換して蒸気を生成する。蒸気ボイラ7としては、多管円筒形熱交換器、二重管式熱交換器、単管式熱交換器、プレート式熱交換器、蒸気ボイラ等の種々の形式のものを採用することができる。蒸気ボイラ7で生成された蒸気は、発電機8に導かれる。発電機8は、蒸気で回転駆動される蒸気タービンと、蒸気タービンに連結された回転子を備え、回転子の回転に伴う電磁誘導により電力Eを生成するように構成されている。発電機8で発電に用いられた蒸気Vは凝縮器で凝縮され、凝縮水は蒸気ボイラ7に戻される。或いは、発電機8で発電に用いられた蒸気Vは、低圧蒸気として利用されてもよい。蒸気ボイラ7で水と熱交換を行った燃焼ガスは、流動乾燥装置3に導かれ、この流動乾燥装置3の乾燥空気供給管33から乾燥空気として塔状ケーシング31内に供給される。
【0074】
サイクロンバーナー4のスクリューコンベヤ60は、ロータリーバルブ67を介して灰搬送管Zに接続されている。灰搬送管Zは、搬送送風機B4の吹出し口と、サイクロンセパレータ17の吸入口との間を連結している。灰搬送管Zには、サイクロンバーナー4のロータリーバルブ67の接続部よりも下流側に、バグフィルター5の塵の排出口が接続されている。サイクロンバーナー4から排出された燃料の灰及び不燃物と、バグフィルター5から排出された塵は、搬送送風機B4からの搬送風によって灰搬送管Zを通ってサイクロンセパレータ17に導かれる。サイクロンセパレータ17で搬送風から分離された灰、不燃物及び塵は、アッシュバンカー6に集められる。サイクロンセパレータ17で灰、不燃物及び塵が分離された搬送風は、バグフィルター5に導かれ、微細な塵が除去されて排気塔18から大気に排出される。
【0075】
コントローラは、CPU及びメモリ等で構成された電子機器であり、予めメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、発電システム1の動作を制御する。
【0076】
前記構成の発電システム1は、次のように作動する。
【0077】
まず、コントローラの操作部が操作され、発電システム1の起動を指令する入力が行われると、コントローラは、サイクロンバーナー4を起動する。すなわち、サイクロンバーナー4の燃料バルブ48に駆動信号Vを出力して燃料バルブ48を開き、起動バーナー46に灯油を供給すると共に、起動バーナー46の送風翼を起動し、起動バーナー46の燃焼動作を開始する。起動バーナー46は、火炎口45を通して火炎を第1燃焼室R1内に放射し、これにより、第1燃焼室R1内の温度が上昇する。ここで、コントローラは、第1燃焼室R1の筒状部41の供給部温度計50が検出する温度に基づいて、火炎口45に供給する火炎調整空気の流量を制御する。詳しくは、コントローラは、燃焼送風機B3を作動させ、燃焼空気供給管F21を介して火炎口45に向かって火炎調整空気を供給する。また、コントローラは、流量制御弁V6に駆動信号P6を出力して流量制御弁V6の開度を調整し、火炎調整空気の流量を調整して、火炎口45から放射される火炎の強さを調整する。これにより、供給部温度計50の検出温度が約600℃になるように制御する。なお、供給部温度計50の検出温度が550℃以上650℃以下となるように、火炎調整空気の流量を制御し、火炎の強さを制御してもよい。
【0078】
続いて、コントローラは、供給部温度計50の温度信号T0により、第1燃焼室R1内の温度が所定の着火温度に上昇したことを検知すると、第1燃焼室R1への廃棄物燃料の供給を開始する。すなわち、搬送送風機B1を起動して燃料搬送管F1への搬送空気の供給を開始する。これと共に、乾燥廃棄物供給装置13の排出コンベヤを起動して乾燥廃棄物を燃料搬送管F1に供給し、補助燃料供給装置12の排出コンベヤと解砕機16を起動して補助燃料を燃料搬送管F1に供給する。これにより、燃料搬送管F1内を乾燥廃棄物及び補助燃料が搬送され、乾燥廃棄物及び補助燃料で形成される廃棄物燃料が、燃料供給口43から第1燃焼室R1内に供給される。ここで、燃料搬送管F1を通して燃料供給口43に廃棄物燃料を搬送する搬送空気の量は、サイクロンバーナー4に供給される全体の空気量の25%以上35%以下に設定するのが好ましく、特に好ましくは30%である。前記全体の空気量とは、第1燃焼室R1内に供給される全ての空気の量であり、搬送送風機B1で供給される搬送空気の量と、燃焼送風機B3で供給される燃焼空気のうち、第1乃至第5給気口141,142,143,144,145に供給される燃焼空気の量の合計である。本実施形態では、サイクロンバーナー4の第1燃焼室R1を750℃以上850℃以下の燃焼温度に保持して廃棄物燃料を完全燃焼させるために、廃棄物燃料を燃焼する理論空気量の2.5倍以上3.0倍以下の量の燃焼空気を、全体の空気量として供給するのが好ましい。
【0079】
第1燃焼室R1への廃棄物燃料と搬送空気の供給が開始すると、コントローラは、第1乃至第5給気口141,142,143,144,145を通じて第1燃焼室R1への燃焼空気の供給を開始する。すなわち、コントローラは、燃焼送風機B3の送風量を増大させ、送風枝管F21を介して第1乃至第5給気口141,142,143,144,145に向かって燃焼空気を供給する。また、コントローラは、流量制御弁V1,V2,V3,V4,V5に制御信号P1,P2,P3,P4,P5を出力して流量制御弁V1,V2,V3,V4,V5の開度を調整し、第1燃焼室R1に供給する燃焼空気の流量を制御する。ここで、送風枝管F21から第1乃至第5給気口141,142,143,144,145を通して第1燃焼室R1に供給する燃焼空気の量は、全体の空気量の65%以上75%以下に設定するのが好ましく、特に好ましくは70%である。このように、コントローラは、サイクロンバーナー4の起動時において、燃料供給口43から供給する廃棄物燃料に対して、全体の空気量の25%以上35%以下を搬送空気として第1燃焼室R1に供給すると共に、全体の空気量の65%以上75%以下を燃焼空気として第1燃焼室R1に供給する。また、サイクロンバーナー4の起動時において、燃焼空気を供給する流量制御弁V1,V2,V3,V4,V5の開度は、燃料供給口43に近い側ほど大きい開度に設定する。これにより、燃料供給口43に最も近い流量制御弁V1が最大の流量となる一方、燃料供給口43から最も遠い流量制御弁V5が最小の流量となるように、燃焼空気を第1乃至第5給気口141,142,143,144,145から第1燃焼室R1へ供給する。
【0080】
第1燃焼室R1への廃棄物燃料と搬送空気及び燃焼空気の供給が開始されると、搬送空気及び燃焼空気は旋回流を形成し、第1燃焼室R1の筒状部41側から円錐台部42側に向かって流れる。搬送空気と共に燃料供給口43から第1燃焼室R1に供給された廃棄物燃料は、旋回流に搬送される過程で燃焼し、燃焼ガスを生成する。第1燃焼室R1を円錐台部42の下端部まで流れた旋回流は大部分が燃焼ガスとなり、第1燃焼室R1の中心軸側を旋回状に流れて上昇し、排気筒44を通ってバーナーケーシング40から排出される。バーナーケーシング40から排出された燃焼ガスは、第1燃焼ガス管X1を通って蒸気ボイラ7に導かれる。一方、旋回流によって第1燃焼室R1を円錐台部42の下端部まで流れた廃棄物燃料のうち、燃焼しないで残留した廃棄物燃料や不燃物等の固形物は、旋回状に流れる際に作用する遠心力によって旋回流から分離し、バーナーケーシング40の内壁面に沿って円錐台部42の下端に落下する。円錐台部42の下端に達した固形物は、固形物排出口65から排出され、スクリューコンベヤ60の搬送ケーシング62に導かれる。
【0081】
第1燃焼室R1に供給される廃棄物燃料は、有機汚泥由来の乾燥廃棄物と補助燃料との混合物であるので、燃料の種類や大きさにばらつきが存在し、燃焼しやすさや発熱量にばらつきが存在する。このような廃棄物燃料のばらつきに起因する第1燃焼室R1内の燃焼温度の分布のばらつきを解消するため、コントローラは、供給口141,142,143,144,145から第1燃焼室R1へ供給する燃焼空気量を個別に制御する。第1乃至第5温度計51,52,53,54,55のうちのいずれかの検出温度が、基準範囲よりも低下した場合、低下した温度を検出した温度計51,52,53,54,55に対応する流量制御弁V1,V2,V3,V4,V5の開度を減少させ、検出温度が低下した温度計51,52,53,54,55に対応する供給口141,142,143,144,145からの燃焼空気の供給量を減少させる。一方、第1乃至第5温度計51,52,53,54,55のうちのいずれかの検出温度が、基準範囲を超えて上昇した場合、コントローラは、上昇した温度を検出した温度計51,52,53,54,55に対応する流量制御弁V1,V2,V3,V4,V5の開度を増大させ、検出温度が上昇した温度計51,52,53,54,55に対応する供給口141,142,143,144,145からの燃焼空気の供給量を増大させる。こうして、コントローラは、第1乃至第5温度計51,52,53,54,55の検出温度が所定の基準範囲内となるように、流量制御弁V1,V2,V3,V4,V5の開度をフィードバック制御し、燃焼空気制御部として機能する。したがって、廃棄物燃料の粒径や可燃物質の種類や分布にばらつきが存在しても、第1燃焼室R1内の燃焼温度を安定して保持することができる。ここで、第1乃至第5温度計51,52,53,54,55が検出する温度の基準範囲は、所定の基準値の±30℃の範囲に設定することができ、前記所定の基準値は、780℃以上820℃以下の間に設定するのが好ましい。これにより、第1燃焼室R1内の燃焼温度を、安定して750℃以上850℃以下に保持することができる。このように、第1燃焼室R1内の燃焼温度を750℃以上にすることにより、廃棄物燃料の塩素成分を効果的に酸化することができ、ダイオキシンの発生を防止することができる。また、第1燃焼室R1内の燃焼温度を850℃以下にすることにより、バーナーケーシング40や排気筒44が高温によって損傷する不都合を防止することができる。
【0082】
コントローラは、第1燃焼室R1への廃棄物燃料と搬送空気の供給を開始するとき、スクリューコンベヤ60を起動する。すなわち、モータM3に電力を供給して搬送スクリュー64を回転駆動すると共に、流量制御弁V7の駆動部に駆動信号P7を出力して流量制御弁V7を開き、コンベヤ給気口70から搬送ケーシング62内の第2燃焼室R2に向けて燃焼空気を吹き出す。さらに、コントローラは給水ポンプPを作動させ、冷却媒体としての水を給水口68から冷却室61に供給する。
【0083】
円錐台部42の下端の固形物排出口65からスクリューコンベヤ60の第2燃焼室R2内に導かれた廃棄物燃料は、搬送スクリュー64で搬送ケーシング62の他端側に搬送される過程で、コンベヤ給気口70から供給された燃焼空気によって燃焼する。廃棄物燃料が燃焼して生成された燃焼ガスは、ガス排出口71を介して第2燃焼室R2から排出され、第2燃焼ガス管X2と第1燃焼ガス管X1を流れて蒸気ボイラ7に導かれる。第2燃焼室R2で燃焼されずに残留した不燃物等は、搬送スクリュー64によって他端側に搬送され、排出口66から排出され、ロータリーバルブ67を介して灰搬送管Zに導かれる。
【0084】
コントローラは、第6温度計56で測定された第2燃焼室R2の温度に基づいて、コンベヤ給気口70から第2燃焼室R2に供給する燃焼空気の量を制御する。第6温度計56の検出温度が所定の基準値を下回る場合、流量制御弁V7の開度を減少させて燃焼空気の供給量を減少させる。一方、第6温度計56の検出温度が所定の基準値を上回る場合、流量制御弁V7の開度を増大させて燃焼空気の供給量を増大させる。これにより、第2燃焼室R2の燃焼温度を、所定の温度に保つようにしている。この第2燃焼室R2の燃焼温度は、500℃以上600℃以下に設定するのが好ましい。燃焼温度を500℃以上とすることにより、第1燃焼室R1で燃焼しないで残留した廃棄物燃料を、効率的に燃焼させることができる。また、燃焼温度を600℃以下とすることにより、第2燃焼室を形成するスクリューコンベヤ60の搬送ケーシング62及び搬送スクリュー64の損傷を効果的に防止することができる。
【0085】
サイクロンバーナー4から排出された燃焼ガスは、第1燃焼ガス管X1を通って蒸気ボイラ7に導かれ、水Wを加熱して蒸気を生成する。蒸気ボイラ7で生成された蒸気は、発電機8に導かれ、蒸気タービンを回転駆動して電力Eを生成する。発電機8で発電に用いられた蒸気Vは、凝縮器で凝縮され、凝縮水が蒸気ボイラ7に戻され、或いは、低圧蒸気として利用される。蒸気ボイラ7で水と熱交換を行った燃焼ガスは、流動乾燥装置3に導かれる。
【0086】
サイクロンバーナー4の動作を開始すると、コントローラは、パドルミキサ2の動作を開始する。すなわち、廃棄物供給装置11から排出コンベヤ及び搬送コンベヤを介して廃棄物供給装置11の第1投入口22へ有機廃棄物を供給すると共に、乾燥廃棄物供給装置13から排出コンベヤを介して廃棄物供給装置11の第2投入口23へ乾燥廃棄物を供給する。これと共に、モータ27で2本の回転軸25,25を回転駆動し、混合羽根27,27,・・・を回転駆動する。回転する混合羽根27,27,・・・により、有機廃棄物と乾燥廃棄物が混合されつつ、投入口22,23から投入口22,23と排出口24との間の距離の半分の位置まで送られる。投入口22,23から投入口22,23と排出口24との間の距離の半分の位置まで送られた有機廃棄物と乾燥廃棄物は、正逆両方向のピッチ角を有する混合羽根27,27,・・・によって効果的に混合され、含水率が概ね35〜45wt%に低下する。有機廃棄物と乾燥廃棄物が混合され、含水率が概ね35〜45wt%に低下した混合廃棄物は、排出口24から排出され、投入口32から流動乾燥装置3の塔状ケーシング31内に投入される。
【0087】
また、サイクロンバーナー4の動作を開始すると、コントローラは、流動乾燥装置3の動作を開始する。すなわち、解砕機35のモータM1,M2を作動させ、2本の回転軸351,351を回転駆動し、枢着軸354周りに揺動するハンマー体355を、前記2本の回転軸351,351の間を上方に向かって移動するように回転駆動する。これと共に、乾燥空気供給管33から解砕機35に向けて、蒸気ボイラ7で水と熱交換を行った燃焼ガスを乾燥空気として吹き出す。投入口32から投入された混合廃棄物は、解砕機35の上に落下し、ハンマー体355の衝撃力を受けて解砕されて粒径が小さくなると共に、乾燥空気と接触して乾燥する。粒径が小さくかつ乾燥が進行した混合廃棄物の粒子は、塔状ケーシング31内を流れる乾燥空気によって上方に流れ、乾燥廃棄物として排出口34から乾燥空気と共に排出される。水分の多い未乾燥の混合廃棄物は、塔状ケーシング31内を浮遊する過程で乾燥空気と接触し、乾燥が進行すると、乾燥廃棄物となって乾燥空気と共に排出口34から排出される。
【0088】
流動乾燥装置3の排出口34から排出された乾燥廃棄物は、サイクロンセパレータ15によって乾燥空気から分離され、乾燥廃棄物供給装置13の貯留タンクに投入される。乾燥廃棄物供給装置13の貯留タンク内に投入された乾燥廃棄物は、前述のように、パドルミキサ2に導かれて有機廃棄物と混合され、また、燃料搬送管F1に投入されて補助廃棄物と共にサイクロンバーナー4に供給される。乾燥廃棄物供給装置13内の乾燥廃棄物が所定量を超えると、乾燥廃棄物が上部排出コンベヤによって搬送容器14に投入され、堆肥等の用途に利用される。
【0089】
サイクロンセパレータ15によって乾燥廃棄物と分離された乾燥空気は、排気送風機B2に吸引され、乾燥空気管Y1に送られてバグフィルター5に導かれると共に、分岐管Y2を通って外気と共に燃焼送風機B3に吸引され、燃焼空気としてサイクロンバーナー4に供給される。バグフィルター5に導かれた乾燥空気は、乾燥空気に含まれる塵が除去された後、排気塔18から大気に排出される。
【0090】
このように、第1実施形態の有機廃棄物を用いた発電システム1は、パドルミキサ2、流動乾燥装置3、サイクロンバーナー4のいずれも連続運転が可能であるので、水分含有率が80wt%を超える有機廃棄物を連続的に乾燥及び燃焼させて、安定に蒸気を生成して電力を安定に生成することができる。
【0091】
また、前記流動乾燥装置3で混合廃棄物を乾燥させる乾燥空気として、サイクロンバーナー4の燃焼ガスを用いるので、実質的に化石燃料を用いることなく混合廃棄物を乾燥させることができる。したがって、燃料費を低廉にすることができる。
【0092】
また、前記流動乾燥装置3で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気の一部を、燃焼空気としてサイクロンバーナー4に供給するので、流動乾燥装置3で混合廃棄物から生成された臭気を含む乾燥空気をサイクロンバーナー4で燃焼させて効果的に脱臭を行うことができる。その結果、脱臭装置を用いることなく、臭気が外部に拡散する不都合を防止できる。
【0093】
図11は、本発明の有機廃棄物を用いた発電システムの第2実施形態を示す図である。第2実施形態の発電システムにおいて、第1実施形態と同じ部分には同一の符号を引用して、詳細な説明を省略する。
【0094】
第2実施形態の発電システム100は、第1熱交換器としての蒸気ボイラ7の下流側に、サイクロンバーナー4の燃焼ガスと、外気との熱交換を行う第2熱交換器101を備える。この第2熱交換器101は、蒸気ボイラ7で熱交換を行った燃焼ガスにより、外気を加熱して加熱ガスを生成し、この加熱ガスを、乾燥空気として流動乾燥装置3に供給する。
【0095】
また、第2実施形態の発電システム100は、第2熱交換器101から排出された燃焼ガスと、流動乾燥装置3から排出された乾燥空気との熱交換を行う第3熱交換器102を備える。第3熱交換器102は、流動乾燥装置3から排出された乾燥空気を、第2熱交換器101から排出された燃焼ガスで加熱して、廃棄物燃料の搬送空気及び燃焼空気としてサイクロンバーナー4に供給する。第3熱交換器102の燃焼ガスの出口は乾燥空気管Y3に接続され、乾燥空気管Y3はバグフィルター5に接続されている。第3熱交換器102の乾燥空気の出口は、搬送燃焼管F3に接続されている。搬送燃焼管F3は、下流が燃料搬送管F1と燃焼空気供給管F2に分岐しており、燃料搬送管F1に搬送送風機B1が介設されている。
【0096】
また、第2実施形態の発電システム100は、廃棄物供給装置11の貯留タンク内の空気を排出する排気管と、乾燥廃棄物供給装置13の貯留タンク内の空気を排出する排気管と、パドルミキサ2内の空気を排出する排気管とを備え、これらの排気管が、第2熱交換器101の外気の吸入口に接続されている。パドルミキサ2内の空気を排出する排気管は、第1投入口22に接続された搬送コンベヤの終端部に接続されており、搬送コンベヤのロータリーバルブを介してパドルミキサ2内の空気を排出するようになっている。なお、パドルミキサ2の排気管は、パドルミキサ2のケーシング21に接続してもよい。前記各排気管を通して、廃棄物供給装置11の貯留タンク内の臭気を有する空気と、乾燥廃棄物供給装置13の貯留タンク内の臭気を有する空気と、パドルミキサ2内の臭気を有する空気を、矢印Cで示すように、外気と共に第2熱交換器101に吸入する。これらの廃棄物供給装置11、乾燥廃棄物供給装置13及びパドルミキサ2の空気と外気とを混合して第2熱交換器101で加熱し、乾燥空気として流動乾燥装置3に供給するようになっている。流動乾燥装置3で混合廃棄物を乾燥させた臭気を有する乾燥空気は、サイクロンセパレータ15、第3熱交換器102、搬送燃焼管F3、及び、燃料搬送管F1又は燃焼空気供給管F2を経由して、搬送空気及び燃焼空気としてサイクロンバーナー4に導かれる。
【0097】
さらに、バグフィルター5の下流側にはスクラバ104が接続されており、バグフィルター5で塵を除去した排気を脱臭する。スクラバ104は、公知の湿式脱臭装置を利用することができ、処理対象の気体に接触する洗浄液として、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いるのが好ましい。
【0098】
第2実施形態の発電システム100によれば、第2熱交換器101により、燃焼ガスの塵と臭気の混入を防ぎながら高温の乾燥空気を生成できると共に、第2熱交換器101で空気と熱交換を行った燃焼ガスの塵と臭気をバグフィルター5とスクラバ104で除去する。これにより、燃焼ガスの熱を流動乾燥装置3における混合廃棄物の乾燥に効率的に利用できると共に、サイクロンバーナー4からの塵と臭気を効率的に除去できる。なお、第2熱交換器101は、蒸気ボイラ7の上流側又は下流側のいずれに設置してもよい。
【0099】
また、第3熱交換器102により、流動乾燥装置3から排出された乾燥空気を、第2熱交換器101から排出された燃焼ガスで加熱して、廃棄物燃料の搬送空気及び燃焼空気としてサイクロンバーナー4に供給するので、サイクロンバーナー4の燃焼温度を維持して燃焼効率を向上することができる。また、第2熱交換器101で空気と熱交換した後においても温度が比較的高い燃焼ガスを、第3熱交換器102で乾燥空気の加熱に用いるので、燃焼ガスの熱の利用効率を向上することができる。また、流動乾燥装置3で混合廃棄物を乾燥して臭気を含む乾燥空気を、搬送空気及び燃焼空気としてサイクロンバーナー4に供給するので、サイクロンバーナー4で前記乾燥空気の臭気を燃焼させることにより、効果的に脱臭を行うことができる。なお、第3熱交換器102で加熱した乾燥空気は、搬送空気又は燃焼空気のいずれか一方のみに用いてもよい。
【0100】
また、第2実施形態の発電システム100によれば、廃棄物供給装置11の貯留タンク内の臭気を有する空気と、乾燥廃棄物供給装置13の貯留タンク内の臭気を有する空気と、パドルミキサ2内の臭気を有する空気を、外気と混合して第2熱交換器101で加熱し、乾燥空気として流動乾燥装置3に供給するので、この流動乾燥装置3で混合廃棄物を乾燥した乾燥空気が搬送空気及び燃焼空気としてサイクロンバーナー4に導かれて燃焼することにより、臭気を効果的に除去することができる。また、臭気の発生源である有機廃棄物を貯留、乾燥及び混合する工程において、有機廃棄物及び有機廃棄物を含む被処理物に接触した空気をサイクロンバーナー4に導いて燃焼して脱臭し、さらに、サイクロンバーナー4の燃焼ガスをスクラバ104で脱臭するので、強い臭気を有する有機廃棄物を用いても、臭気を効果的に除去することができる。また、有機廃棄物の臭気をサイクロンバーナー4で燃焼した後にスクラバ104で脱臭を行うので、臭気の強い有機廃棄物を用いても、一般的なスクラバ104により効果的に脱臭を行うことができる。したがって、装置構成を簡単にして、発電システム100の装置コストを低廉にできる。
【0101】
第1及び第2実施形態において、蒸気ボイラ7で生成した蒸気により発電機8で発電を行ったが、蒸気ボイラ7で生成した蒸気は、動力、加熱、乾燥、蒸留、殺菌及び洗浄等の他の種々の用途に用いることができる。また、サイクロンバーナー4の燃焼ガスは、蒸気ボイラ7の他に、温水ボイラ、ヒーター及び空気調和器等の種々の熱機器の熱源として用いることができる。
【0102】
また、第1及び第2実施形態において、有機廃棄物に由来する乾燥廃棄物に、補助燃料を混合してなる廃棄物燃料をサイクロンバーナー4で燃焼して燃焼ガスを生成したが、補助燃料を用いずに、乾燥廃棄物のみをサイクロンバーナー4で燃焼して燃焼ガスを生成してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 発電システム
2 パドルミキサ
3 流動乾燥装置
4 サイクロンバーナー
5 バグフィルター
7 蒸気ボイラ
8 発電機
11 廃棄物供給装置
12 補助燃料供給装置
13 乾燥廃棄物供給装置
14 搬送容器
15,17 サイクロンセパレータ
18 排気塔
B1,B4 搬送送風機
B2 排気送風機
B3 燃焼送風機
F1 燃料搬送管
F2 燃焼空気供給管
X1 第1燃焼ガス管
Y1 乾燥空気管
Y2 分岐管
Z 灰搬送管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11