(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラジエータと前記ファンユニットとの間に位置し、前記ラジエータと前記ファンユニットとの間における空気の流れをガイドするダクトをさらに備えた請求項1に記載のX線管装置。
空気が前記エアフィルタを透過すること無しに前記ラジエータを透過するものと仮定した場合の前記ファンユニットの稼動時間に対する前記ラジエータを透過する空気の量の低下率をk(0)、
空気が前記エアフィルタを透過した後に前記ラジエータを透過する場合の前記ファンユニットの稼動時間に対する前記ラジエータを透過する空気の量の低下率をk(1)とすると、
k(0)>k(1)である請求項1に記載のX線管装置。
前記ラジエータと前記ファンユニットとの間に位置し、前記ラジエータと前記ファンユニットとの間における空気の流れをガイドするダクトをさらに備えた請求項8に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
空気が前記エアフィルタを透過すること無しに前記ラジエータを透過するものと仮定した場合の前記ファンユニットの稼動時間に対する前記ラジエータを透過する空気の量の低下率をk(0)、
空気が前記エアフィルタを透過した後に前記ラジエータを透過する場合の前記ファンユニットの稼動時間に対する前記ラジエータを透過する空気の量の低下率をk(1)とすると、
k(0)>k(1)である請求項8に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置について詳細に説明する。X線コンピュータ断層撮影装置は、X線CT(computerized tomography)装置である。
【0017】
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置のガントリーの外観を示す斜視図である。
図2は、
図1の線II−IIに沿ったX線CT装置を示す断面図である。
図3は、
図2に示した回転架台、並びに回転架台に搭載されたX線管装置、冷却ユニット及びX線検出器を示す正面図である。
【0018】
図1乃至
図3に示すように、X線CT装置1は、筐体2、土台部4、固定架台5、回転架台6、ベアリング部材8、X線管装置10、冷却ユニット20、及びX線検出器40を備えている。
【0019】
筐体2は、上記の多くの部材を収容している。筐体2は、X線CT装置1の外観を飾っている。筐体2は、排気口2a、吸気口2b及び導入口2cを含んでいる。
排気口2aは、筐体2の上部に形成されている。排気口2aは、通気性に優れたメッシュ状のカバー3で塞がれている。なお、図示しないが、X線CT装置1は、筐体2内に設けられカバー3に対向したファンユニットをさらに備えている。これにより、筐体2内の空気を、排気口2aを通して筐体2の外部に排出することができる。
【0020】
吸気口2bは、筐体2の下部に形成されている。ここでは、吸気口2bは、筐体2と土台部4の間の隙間に形成されている。筐体2の外部の新しい空気を、吸気口2bを通して筐体2の内部に取入れることができる。
上記のことから、筐体2の内部の空気を入れ替えることができるため、筐体2の内部の空気の温度の上昇を抑制することができる。
導入口2cは、被検体を導入するものである。図示しないが、X線CT装置1は、被検体を載せる寝台も備えている。
【0021】
固定架台5は、土台部4に固定されている。軸受機構として機能するベアリング(転がり軸受け、ボール/ロールベアリング)部材8は、固定架台5及び回転架台6間に設けられている。
【0022】
回転架台6は、ベアリング部材8を介して固定架台5に回転可能に支持されている。回転架台6は、ガントリーと呼ばれ、回転架台6の回転軸(ガントリー中心)a1を中心に回転可能である。回転架台6を高速回転させるために、X線CT装置は、例えばダイレクトドライブモータを採用している。
【0023】
回転架台6は、最外周に位置したリング状のフレーム部7を有している。フレーム部7には、開口部7aが形成されている。ここでは、開口部7aのサイズ及び個数は、後述するファンユニット25のサイズ及び個数に対応付けることができる。
【0024】
X線管装置10、冷却ユニット20及びX線検出器40は、回転架台6に取付けられている。X線管装置10及び冷却ユニット20は、フレーム部7の内壁に取付けられている。図示しないが、高電圧発生電源などもフレーム部7の内壁に取付けられていてもよい。
【0025】
X線管装置10及び冷却ユニット20は、比較的コンパクトでありながら質量が大きく、設置面の圧力が高いため、フレーム部7に強固に固着されている。これにより、回転架台6が高速で回転し、その結果多大な遠心力がX線管装置10及び冷却ユニット20に加わるような場合でも、これらはフレーム部7に対する強固な固着を維持できるものである。
【0026】
X線管装置10は、X線発生器として機能し、X線を放射する。X線検出器40は、回転軸a1を挟んでX線管装置10(X線管)と対向している。X線検出器40は、例えば円弧状に配列された複数のX線検出素子を有している。X線CT装置は、X線検出器40を複数備え、配列させていてもよい。X線検出器40は、X線管装置10から放射され被検体を透過したX線を検出し、検出したX線を電気信号に変換する。
【0027】
図示しないが、X線CT装置1は、回転架台6に取付けられ、X線検出器40から出力する電気信号を増幅し、かつAD変換するデータ収集装置をさらに備えていてもよい。また、図示しないが、固定架台5には電力あるいは制御信号などをX線管装置10及び冷却ユニット20などに与えるための機器が設けられていてもよい。上記機器は、スリップリングを介して回転架台6に取付けられているX線管装置10及び冷却ユニット20などに与えることができる。
【0028】
X線CT装置1は、動作状態に入ると回転架台6が回転軸a1を中心に回転する。このとき、X線管装置10、冷却ユニット20及びX線検出器40などは、被検体の周囲を一体になって回転する。これと同時に、X線管装置10からX線が放射される。
【0029】
X線は、被検体を透過し、X線検出器40に入射し、X線検出器40においてX線の強度が検出される。X線検出器40で検出された検出信号は、例えば、上記データ収集装置で増幅され、かつA/D変換によってディジタル検出信号に変換され、図示しないコンピュータに供給される。
【0030】
コンピュータは、ディジタル検出信号をもとに、被検体の関心領域におけるX線吸収率を演算し、その演算結果から被検体の断層画像を生成するための画像データを構築する。画像データは、図示しない表示装置などに送られ、画面上に断層画像として表示される。
【0031】
上記のように、X線CT装置1は、X線管装置10及びX線検出器40が被検体を挟んで回転し、被検体の検査断面内のあらゆる点を透過したX線の強弱いわゆる投影データを、いろいろな角度、例えば360°の範囲から獲得する。そして、この投影データをもとに、予めプログラムされたデータ再構成プログラムにより断層画像を生成する。
【0032】
図4は、X線管装置10及び冷却ユニット20示す概念構成図である。
図4では、開口部7a及び後述する熱交換器23の位置関係を強調して示している。
図3及び
図4に示すように、X線管装置10は、ハウジング12と、ハウジング12に収納されたX線管13と、を有している。ハウジング12(X線管装置10)は、独立して回転架台6に直接又は間接的に取付けられ、固定されている。ここでは、ハウジング12は、フレーム部7の内壁に直接取付けられている。
【0033】
X線管13は、電子ビームを放出する陰極、電子ビームが照射されることによりX線を放出する陽極ターゲット、並びに陰極及び陽極ターゲットを収納した真空外囲器を含んでいる。ここで、X線CT装置1は、冷却液9を有している。冷却液9には、X線管13が発生する熱の少なくとも一部が伝達される。
【0034】
X線管装置10は、導管11a及び導管11bを有している。導管11aは、一端がハウジング12の冷却液取入れ口12iに気密に取付けられ、他端がソケット72に気密に取付けられている。導管11bは、一端がハウジング12の冷却液排出口12oに気密に取付けられ、他端がソケット82に気密に取付けられている。導管11a及び導管11bは、冷却液9が循環する循環路30の一部を形成している。
【0035】
熱伝達面がX線管13の外面である場合、ハウジング12内に冷却液9が収容されている。ハウジング12は、導管11a及び導管11bとともに循環路30の一部を形成している。そして、X線管13の熱伝達面を冷却液9が循環することで、X線管13、特に後述する陽極ターゲットを冷却することができる。
【0036】
熱伝達面がX線管13の内部に位置している場合、導管11a及びX線管13を、直接又は連結部材を介して間接的に連結するか、又は、導管11b及びX線管13を、直接又は連結部材を介して間接的に連結する。ハウジング12及びX線管13の内部は、導管11a及び導管11bとともに循環路30の一部を形成している。これにより、X線管13の内部の熱伝達面を冷却液9が循環することで、X線管13、特に後述する陽極ターゲットを冷却することができる。
【0037】
その他、熱伝達面がX線管13の内部に位置し、導管11a及び導管11bをともにX線管13に連結した場合、ハウジング12内に冷却液は収容されていてもよく、逆に収容されていなくともよい。この場合、ハウジング12内に収容される冷却液を冷却液9とは異なる種類の冷却液とすることもできる。X線管13の内部は、導管11a及び導管11bとともに循環路30の一部を形成している。これにより、X線管13の内部の熱伝達面を冷却液9が循環することで、X線管13、特に後述する陽極ターゲットを冷却することができる。
【0038】
冷却ユニット20は、導管21a、導管21b、導管21c、導管21d、循環ポンプ22、熱交換器23及びベローズ機構としての空盆60を有している。導管21aは、一端がプラグ81に気密に取付けられている。導管21cは、一端がプラグ71に気密に取付けられている。導管21dは、一端が導管21aに気密に取付けられている。導管21a、導管21b、導管21c及び導管21dは、循環路30の一部を形成している。
【0039】
循環ポンプ22は、独立してフレーム部7の内壁に直接又は間接的に取付けられ、固定されている。ここでは、循環ポンプ22は、フレーム部7の内壁に直接取付けられている。循環ポンプ22は、循環路30に取付けられている。ここでは、循環ポンプ22は、導管21a及び導管21b間に気密に取付けられている。循環ポンプ22は、導管21bに冷却液9を吐き出し、導管21aから冷却液9を取り込む。循環ポンプ22は、循環路30において冷却液9を循環させることができる。
【0040】
図5は、冷却ユニット20の一部を示す概略断面図である。
図3乃至
図5に示すように、熱交換器23は、循環路30に取付けられ、冷却液9の熱を外部に放出する。熱交換器23は、ラジエータ24及びファンユニット25を有している。
【0041】
ラジエータ24は、循環路30に取付けられている。ラジエータ24は、導管21b及び導管21c間に接続された図示しない、冷却液が流れる複数の放熱パイプと、放熱パイプに取付けられた図示しない複数の放熱フィンと、を有している。ラジエータ24は、冷却液9の熱を外部へ放出させることができる。
【0042】
詳しくは、ラジエータ24は、フィンチューブ方式の構造(フィンチューブ型のラジエータ)であり、概略パネル形状を有している。放熱パイプの断面形状は、円形状や扁平形状である。ラジエータ24は、放熱フィンを設けることにより、表面積を大きくし、空気に接する面積を大きくしている。
【0043】
ラジエータ24は、ラジエータを透過する空気の流れの風上側となる前面24fと、風下側となる背面24rを有している。例えば、平板状のフィンが放熱パイプの長手方向に直交するように放熱パイプに取り付けられている場合には、互いに隣合う放熱フィン間の隙間が空気の流路となる。また、例えば、等間隔に多数配置した扁平形状の放熱パイプと、その隙間に波板状の放熱フィンを各頂部が放熱パイプの各扁平な側面に接合されて取り付けられている場合には、放熱フィンと放熱パイプの扁平な側面との間の隙間が空気の流路となる。
【0044】
ファンユニット25は、ラジエータ24の前面24fに対向して位置している。ファンユニット25は、ラジエータ24の前面24fから背面24rへと透過する空気の流れを作りだすことができる。ファンユニット25は、ラジエータ24を透過する空気を開口部7aを通して回転架台6(フレーム部7)の外部へと放出させることができる。
【0045】
上記のことから、熱交換器23は、冷却液9の熱を外部へ放出させることができる。また、ラジエータ24を透過した空気を回転架台6の外部へと放出させることができるため、回転架台6の内部の空気の温度の上昇を抑制することができる。
【0046】
エアフィルタFは、ファンユニット25の空気取り込み側に対向配置されている。エアフィルタFは、空気を透過させ、空気に含まれる埃を取り除くものである。このため、ファンユニット25は、エアフィルタFを透過した後にラジエータ24を透過する空気の流れを作りだすことができる。
【0047】
上記のことから、埃が取り除かれた空気がラジエータ24を透過するため、ラジエータ24(放熱パイプ及び放熱フィン)への埃の堆積を抑制することができる。すなわち、ラジエータ24の通気部(放熱パイプ及び放熱フィンの間の隙間)を塞がり難くすることができる。なお、本実施形態において、ラジエータ24の通気部は、1mm乃至2mm程度の隙間である。ラジエータ24を透過する空気の量(風量)の低下を抑制することができるため、ラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)の低下を抑制することができる。
【0048】
冷却ユニット20は、回転架台6に取付けられた筐体50をさらに備えている。筐体50は、フレーム部7の内壁に取付けられ、固定されている。筐体50は、例えば板金で形成されている。筐体50は、回転架台6の回転に伴って加わる遠心力に耐え得る機械的強度を持つように設計されている。
【0049】
ラジエータ24及びファンユニット25は、筐体50に収納され、ユニット化されている。筐体50は、ラジエータ24及びファンユニット25を外部に露出させるよう開口して形成されている。エアフィルタFは、ファンユニット25が露出する筐体50の開口を閉塞するように設けられている。これにより、筐体50内への埃の侵入を抑制することができる。
【0050】
ラジエータ24及びファンユニット25は、回転架台6に直接又は間接的に取付けられ、固定されている。ここでは、ラジエータ24及びファンユニット25は、筐体50を介してフレーム部7の内壁に間接的に取付けられている。
【0051】
図3及び
図4に示すように、空盆60は、回転架台6に直接又は間接的に取付けられている。ここでは、空盆60は、ハウジング12、循環ポンプ22、ラジエータ24及びファンユニット25などとは独立して、フレーム部7に直接取付けられている。空盆60は、循環路30に取付けられている。
【0052】
空盆60は、開口部61aを有したケース61を有している。開口部61aは、導管21dに気密に連通されている。空盆60は、ケース61内を開口部61aと繋がった第1空間63及び第2空間64に区域する弾性隔膜としてのベローズ62を有している。ケース61には、第2空間64に繋がった通気孔65が形成されている。通気孔65は空気の出入りを許可するため、第2空間64は大気に開放されている。ベローズ62は、ケース61に液密に取付けられている。ベローズ62は伸縮自在である。ここでは、ベローズ62はゴムで形成されている。ベローズ62は、冷却液9の温度変化による体積変化(体積の膨張及び収縮)を吸収することができる。ベローズ62は、ガスに対して不透過性を示す材料で形成することが好ましい。
【0053】
プラグ71及びソケット72は、着脱自在の連結部材としてのカプラ70を形成し、プラグ81及びソケット82は、着脱自在の連結部材としてのカプラ80を形成している。カプラ70、80は、プラグ及びソケットが連結した連結状態(固定状態)と、プラグ及びソケットが分離した分離状態とに切替え可能である。カプラ70、80は、連結状態において、気密、かつ液密に連結されている。カプラ70、80は、シャットオフバルブ付きのカプラである。カプラ70、80の分離状態において、プラグ71、81及びソケット72、82は、それぞれ、外部への液(冷却液9)漏れを防止することができ、内部への空気の混入を防止することができる構造を採っている。カプラ70、80をそれぞれ分離状態に切替えることにより、2系統に分離することができ、X線管装置10及び冷却ユニット20を分離することができる。
【0054】
分離状態のX線管装置10は、冷却液9の体積変化を吸収し難い構成である。そこで、導管11a、11bをゴムホースで形成することにより、導管11a、11bに、冷却液9の体積変化を吸収させる機能を持たせることができる。しかし、導管11a、11bだけでは冷却液9の体積変化を十分に吸収できない場合がある。この場合、分離状態のX線管装置10には空盆を取付けた方が好ましい。
【0055】
ここで、この第1の実施形態に係るX線CT装置のX線管装置10の例として、実施例1及び実施例2のX線管装置について説明する。始めに、実施例1のX線管装置10について説明する。
図6は、実施例1のX線管装置10を示す断面図である。
【0056】
図6に示すように、X線管装置10は回転陽極型のX線管装置であり、X線管13は回転陽極型のX線管である。X線管装置10は、X線管13の他、磁界を発生させるコイルとしてのステータコイル102を備えている。図示しないが、ハウジング12(
図4)は、X線管13及びステータコイル102を収容している。
【0057】
X線管13は、固定体としての固定シャフト110と、管部130と、陽極ターゲット150と、回転体160と、潤滑剤としての液体金属170と、陰極180と、真空外囲器190とを備えている。X線管13は動圧すべり軸受を使っている。
【0058】
固定シャフト110は、回転軸a2に沿って延出して回転軸a2を中心軸として筒状に形成され、一端部が閉塞されている。固定シャフト110は、上記一端部から外れた側面に軸受面110Sを有している。固定シャフト110は、Fe(鉄)合金やMo(モリブデン)合金等の材料で形成されている。固定シャフト110の内部は冷却液9で満たされている。固定シャフト110は、この内部に冷却液9が流れる流路が形成されている。固定シャフト110は、この他端部側に冷却液9を外部に吐出す吐出し口110bを有している。
【0059】
管部130は、固定シャフト110の内部に設けられ、固定シャフトとともに流路を形成している。管部130の一端部は、固定シャフト110の他端部に形成された開口部110aを通って固定シャフト110の外部に延出している。管部130は、開口部110aに密接に固定されている。
【0060】
管部130は、この内部に冷却液9を取り入れる取り入れ口130aと、冷却液9を固定シャフト110の内部に吐出す吐出し口130bとを有している。取り入れ口130aは、固定シャフト110の外部に位置している。吐出し口130bは、固定シャフト110の一端部に隙間を置いて位置している。
【0061】
取り入れ口130aは導管11aに直接又は連結部材を介して間接的に連結され、吐出し口110bはハウジング12内に開放されている。又は、取り入れ口130aはハウジング12内に開放され、吐出し口110bは導管11bに直接又は連結部材を介して間接的に連結されている。
【0062】
上記したことから、X線管13外部からの冷却液9は、取り入れ口130aから取り入れられ、管部130内部を通って固定シャフト110の内部に吐出され、固定シャフト110及び管部130の間を通り、吐出し口110bからX線管13外部に吐出される。
【0063】
陽極ターゲット150は、陽極151と、この陽極の外面の一部に設けられたターゲット層152とを有している。陽極151は、円盤状に形成され、固定シャフト110と同軸的に設けられている。陽極151は、Mo合金等の材料で形成されている。陽極151は、回転軸a2に沿った方向に凹部151aを有している。凹部151aは、円盤状に窪めて形成されている。凹部151aには固定シャフト110の一端部が嵌合されている。凹部151aは、固定シャフト110の一端部に隙間を置いて形成されている。ターゲット層152は、W(タングステン)合金等の材料で輪状に形成されている。ターゲット層152の表面は電子衝突面である。
【0064】
回転体160は、固定シャフト110より径の大きい筒状に形成されている。回転体160は、固定シャフト110及び陽極ターゲット150と同軸的に設けられている。回転体160は、固定シャフト110より短く形成されている。
【0065】
回転体160は、FeやMo等の材料で形成されている。より詳しくは、回転体160は、筒部161と、筒部161の一端部の側面を囲むように筒部と一体に形成された環部162と、筒部161の他端部に設けられたシール部163と、筒部164とを有している。
【0066】
筒部161は、固定シャフト110の側面を囲んでいる。筒部161は、内面に軸受面110Sに隙間を置いて対向した軸受面160Sを有している。回転体160の一端部、すなわち、筒部161の一端部及び環部162は陽極ターゲット150と接合されている。回転体160は、固定シャフト110を軸に陽極ターゲット150とともに回転可能に設けられている。
【0067】
シール部163は、軸受面160Sに対して環部162(一端部)の反対側に位置している。シール部163は、筒部161の他端部に接合されている。シール部163は、環状に形成され、固定シャフト110の側面全周に亘って隙間を置いて設けられている。筒部164は、筒部161の側面と接合され、筒部161に固定されている。筒部164は、例えばCu(銅)で形成されている。
【0068】
液体金属170は、固定シャフト110の一端部及び凹部151a間の隙間、並びに固定シャフト110(軸受面110S)及び筒部161(軸受面160S)間の隙間に充填されている。なお、これらの隙間は全て繋がっている。この実施の形態において、液体金属170は、ガリウム・インジウム・錫合金(GaInSn)である。
【0069】
回転軸a2に直交した方向において、シール部163及び固定シャフト110間の隙間(クリアランス)は、回転体160の回転を維持するとともに液体金属170の漏洩を抑制できる値に設定されている。上記したことから、隙間はわずかであり、500μm以下である。このため、シール部163は、ラビリンスシールリング(labyrinth seal ring)として機能する。
【0070】
また、シール部163は、内側を円形枠状に窪めてそれぞれ形成された複数の収容部を有している。上記収容部は、万一隙間から液体金属170が漏れた場合、漏れた液体金属170を収容する。
【0071】
陰極180は、陽極ターゲット150のターゲット層252に間隔を置いて対向配置されている。陰極180は、電子を放出するフィラメント181を有している。
真空外囲器190は、固定シャフト110、管部130、陽極ターゲット150、回転体160、液体金属170及び陰極180を収容している。真空外囲器190は、X線透過窓190a及び開口部190bを有している。X線透過窓190aは、回転軸a2に対して直交した方向にターゲット層152と対向している。固定シャフト110の他端部は、開口部190bを通って真空外囲器190の外部に露出されている。開口部190bは、固定シャフト110を密接に固定している。
陰極180は、真空外囲器190の内壁に取付けられている。真空外囲器190は密閉されている。真空外囲器190の内部は真空状態に維持されている。
【0072】
ステータコイル102は、回転体160の側面、より詳しくは筒部164の側面に対向して真空外囲器190の外側を囲むように設けられている。ステータコイル102の形状は環状である。
【0073】
ここで、上記X線管13及びステータコイル102の動作状態について説明する。ステータコイル102は回転体160(特に筒部164)に与える磁界を発生するため、回転体は回転する。これにより、陽極ターゲット150も回転する。また、陰極180に負の電圧(高電圧)が印加され、陽極ターゲット150は接地電位に設定される。
【0074】
これにより、陰極180及び陽極ターゲット150間に電位差が生じる。このため、陰極180が電子を放出すると、この電子は、加速され、ターゲット層152に衝突する。すなわち、陰極180は、ターゲット層152に電子ビームを照射する。これにより、ターゲット層152は、電子と衝突するときにX線を放出し、放出されたX線はX線透過窓190aを介して真空外囲器190外部、ひいてはハウジング12外部に放出される。 上記のように、実施例1のX線管装置10が形成されている。
【0075】
次に、実施例2のX線管装置10について説明する。
図7は、実施例2のX線管装置を示す断面図である。
図8は、
図7に示したX線管装置を示す他の断面図である。
図9は、
図7及び
図8に示したX線管装置の一部を拡大して示す断面図である。
【0076】
図7乃至
図9に示すように、X線管装置10は固定陽極型のX線管装置であり、X線管13は固定陽極型のX線管である。X線管13は、真空外囲器231を備えている。真空外囲器231は、真空容器232と、絶縁部材250とを備えている。この実施形態において、絶縁部材250は、高電圧絶縁部材として機能している。絶縁部材250には陰極236が取り付けられ、絶縁部材250は、真空外囲器231の一部を形成している。
【0077】
陽極ターゲット235は、真空外囲器231の一部を形成している。陽極ターゲット235は、真空外囲器231の外部に小さく開口し、ターゲット面235b近傍で膨らんだ壺形に形成されている。陽極ターゲット235、陰極236、集束電極209及び加速電極208は、真空外囲器231に収納されている。陽極ターゲット235には、電圧供給配線が接続されている。陽極ターゲット235及び加速電極208は接地電位に設定されている。陰極236及び集束電極209と対向した個所の真空容器232は筒状に形成されている。陰極236には、負の高電圧が印加される。集束電極209には、調整された負の高電圧が供給される。真空外囲器231の内部は真空状態である。金属表面部234は、X線放射窓231wの真空側の表面を含む真空容器232の内側に設けられ、接地電位に設定されている。
【0078】
また、X線管13は、管部241と、環部242とを備えている。管部241は、金属で形成されている。管部241の一端部は、陽極ターゲット235の内部に挿入されている。環部242は、陽極ターゲット235内に設けられている。環部242は、管部241の一端部の側面を囲むように管部241と一体に形成されている。環部242は陽極ターゲット235に隙間を置いて設けられている。管部241の他端部は、冷却液取入れ口を形成し、導管11aに連結されている。陽極ターゲット235の開口は、管部241との間に冷却液排出口を形成している。このため、ハウジング12内は、冷却液9で満たされる。ハウジング12は、X線放射窓231wに対向したX線放射窓12wを有している。
【0079】
ハウジング12内には、偏向部270が収容されている。偏向部270は、磁気偏向部であり、真空容器232の外側で、電子ビームの軌道を取り囲む位置に設けられている。偏向部270は、陰極236から放出される電子ビームを偏向させ、焦点の位置をターゲット面235b上で移動させるものである。
上記のように、実施例2のX線管装置が形成されている。
【0080】
次に、上記エアフィルタFについて説明する。
エアフィルタFは、空間体積率が93%以上の不織布を用いて形成されている。ここで、空間体積率(%)とは、単位体積内に含まれる空間の体積率である。
【0081】
空間率が93%以上である不織布としては、例えば、サランロック、及びクレハロンロック(登録商標)を挙げることができる。どちらも樹脂繊維が不規則にからみあい三次元網状体を形成している。上記樹脂繊維の材質は塩化ビニリデンを主成分としている。
【0082】
サランロックは、旭化成ホームプロダクツ株式会社製のサラン(登録商標)繊維を利用した三次元不織布である。三次元網状体は塩化ビニリデンを主成分とするラテックスで被覆結合されている。サランロックにおいて、厚さは10mm乃至50mm、空間体積率は93%乃至97%、繊維直径は0.09mm乃至0.58mmのそれぞれの範囲内で幾つかの組合せが規格製品となっている。
【0083】
クレハロンロックは、武蔵野技研株式会社の3次元不織布である。三次元網状体は塩化ビニリデンを主成分とするラテックスで被覆結合されている。クレハロンロックにおいては、厚さは10mm乃至50mm、空間体積率は95乃至97%、繊維直径は0.09mm乃至0.29mmのそれぞれの範囲内で幾つかの組合せが規格製品となっている。
【0084】
次に、上記エアフィルタFを使用することにより、ラジエータ24を透過する空気の量(風量)の低下を抑制できることを、本願発明者等の調査結果に基づいて明らかにする。
図10は、本実施形態に係るX線CT装置1及び比較例1のX線CT装置における、経過日数に対するラジエータ24を透過する風量の変化をグラフで示す図である。すなわち、
図10は、ラジエータ24を透過する風量の減衰率を示している。ここでは厚さ10mm、空間率は96%、繊維直径は0.23mmであるクレハロンロックを使用した例を示している。ここで、
図24に示すように、比較例1のX線CT装置の構成は、本実施形態に係るX線CT装置1と、エアフィルタF無しに形成されている点でのみ異なる。
【0085】
ラジエータ24を透過する風量の減衰率を調査する際、本実施形態に係るX線CT装置1と比較例1のX線CT装置とを同一条件の下で調査した。例えば、本実施形態に係るX線CT装置1と比較例1のX線CT装置とを、同一の環境の下で同じ頻度で継続的に稼動させた。なお、X線CT装置1を稼動させる際、勿論、冷却ユニット20(ファンユニット25)は稼動させたが、X線管装置10については稼動させなかった。本実施形態に係るX線CT装置1に関しては、ラジエータ24のメンテナンス無しに行った。
【0086】
図10に示すように、ラジエータ24を透過する風量は相対的に示している。例えば、比較例1のX線CT装置の初期状態におけるラジエータ24を透過する風量を100%としている。そして、上記風量の限界、すなわちラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)を維持できる上記風量の下限を60%としている。本実施形態における上記風量の調査結果については線形L1で、比較例1における上記風量の調査結果については線形L2で、それぞれ示している。
【0087】
本実施形態に関しては、線形L1から分かるように、エアフィルタFが空気の流れを遮るため、初期状態において、ラジエータ24を透過する風量は比較例1に比べて低い。但し、初期状態の上記風量は、95%であり、60%を大きく超えている。また、上記風量の低下率は低く、500日を経過しても89%の上記風量を得ていることが分かった。エアフィルタFが空気に含まれる埃を取り除き、ラジエータ24への埃の堆積が抑制された結果である。上記のことから、本実施形態においては、ラジエータ24を透過する風量の低下を抑制できたことが分かる。エアフィルタFに堆積した埃はすべて繊維屑(所謂 綿埃)であった。
【0088】
一方、比較例1に関しては、線形L2から分かるように、初期状態のラジエータ24を透過する風量は高いものの、上記風量の低下率は高いことが分かった。250日程度経過したところで、上記風量が60%を下回る結果となった。空気がエアフィルタFを透過すること無しにラジエータ24を透過し、ラジエータ24への埃の堆積が続いたためである。上記のことから、比較例1においては、ラジエータ24を透過する風量の低下を抑制できなかったことが分かる。ラジエータに堆積した埃はエアフィルタFに堆積した埃と同様の繊維屑(所謂 綿埃)であった。
【0089】
ここで、空気がエアフィルタFを透過すること無しにラジエータ24を透過するものと仮定した場合のファンユニット25の稼動時間に対するラジエータ24を透過する空気の量の低下率をk(0)とする。言い換えると、k(0)は、比較例1におけるラジエータ24を透過する風量の低下率である。
【0090】
また、空気がエアフィルタFを透過した後にラジエータ24を透過する場合のファンユニット25の稼動時間に対するラジエータ24を透過する空気の量の低下率をk(1)とする。言い換えると、k(1)は、本実施形態におけるラジエータ24を透過する風量の低下率である。
【0091】
すると、k(0)>k(1)である。上記のことは、線形L1、L2からも了解できるものである。
ここで、k(k(0)、k(1))は、次の式(1)、(2)から求めることができる。
Qa=Q(0)(1−k(0)t) …式(1)
Qb=Q(1)(1−k(1)t) …式(2)
なお、Qaは比較例1のラジエータ24を透過する空気の量であり、Q(0)は比較例1のラジエータ24を透過する空気の量の初期値であり、Qbは本実施形態に係るラジエータ24を透過する空気の量であり、Q(1)は本実施形態に係るラジエータ24を透過する空気の量の初期値であり、tは時間である。kは正の値である。ここで、Q(1)<Q(0)である。
【0092】
次に、上記エアフィルタFのより好ましい条件を、本願発明者等の調査結果に基づいて明らかにする。ここでは、本実施形態及び比較例1におけるラジエータ24を透過する風量の変化を同一条件の下で調査することにより上記条件を明らかにする。
図11は、本実施形態及び比較例におけるX線CT装置1の使用時間に対するラジエータ24を透過する風量の変化をグラフで示す図である。
【0093】
図11に示すように、ラジエータ24を透過する風量は相対的に示している。本実施形態における上記風量の調査結果については線形L3で、比較例1における上記風量の調査結果については線形L4で、それぞれ示している。
【0094】
また、Q(min)はラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)を維持できる風量Qa、Qbの下限(限界値)である。さらに、線形L3と線形L4とが交差する時点の時間(同一の使用時間でQa=Qbとなるときの時間)をta、線形L4が風量Q(min)を示す破線と交差する時点の時間(Qa=Q(min)となるときの時間)をtb、線形L3が風量Q(min)を示す破線と交差する時点の時間(Qb=Q(min)となるときの時間)をtcとする。
【0095】
ここで、ta、tb、tcは、上記式(1)、(2)から次の関係式を求めることができる。
ta=( Q(0)−Q(1) )/( k(0)・Q(0)−k(1)・Q(1) )
tb=( Q(0)−Q(min) )/( k(0)・Q(0) )
tc=( Q(1)−Q(min) )/( k(1)・Q(1) )
上記エアフィルタFの満たすべき条件は、tb<tcである。
また、上記エアフィルタFのより好ましい条件は、2×tb<tcを満たすことである。
【0096】
上記のように構成された第1の実施形態に係るX線CT装置1によれば、X線CT装置1は、X線管装置10と、冷却ユニット20と、X線検出器40と、回転架台6と、を備えている。冷却ユニット20は、循環ポンプ22と、ラジエータ24と、ファンユニット25と、を有している。回転架台6は、フレーム部7を有し、X線管装置10、循環ポンプ22、ラジエータ24、ファンユニット25及びX線検出器40が取付けられている。
【0097】
ファンユニット25は、ラジエータ24の周囲を流れる空気を開口部7aを通して回転架台6の外部へと放出させる。
X線CT装置1の使用時間の経過とともに、ラジエータ24の放熱パイプや放熱フィン間の隙間に埃が堆積すると、空気は次第にラジエータ24を透過し難くなってしまい、熱交換器23の冷却性能が低下し、X線管の冷却率も低下してしまう。
【0098】
しかしながら、X線CT装置1は、空気を透過させ、空気に含まれる埃を取り除くエアフィルタFを備えている。ファンユニット25は、エアフィルタFを透過した後にラジエータ24を透過する空気の流れを作りだすことができる。ラジエータ24(放熱パイプ及び放熱フィン)への埃の堆積を抑制することができるため、ラジエータ24の通気部(放熱パイプ及び放熱フィンの間の隙間)を塞がり難くすることができる。一方、ファンユニット25に埃が堆積したことによるファンユニット25を透過する空気の量(風量)の低下は、小さいため、ラジエータ24を透過する空気の量(風量)の低下を抑制することができ、その結果ラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)の低下を抑制することができる。
【0099】
上記のことから、ラジエータ24のメンテナンス(清掃)頻度の低減及びメンテナンス作業性の向上、又はメンテナンスフリー化を実現することができる。
熱交換器23の機能が低下しないようにメンテナンスすることによりX線管13に生じる過熱を低減することができる。このため、X線管13に頻発する放電の発生を低減することができ、X線管13の製品寿命の短縮を低減することができる。その他、上記実施例1のX線管装置10(
図6)においては、軸受温度の過度の上昇を抑制することができる。液体金属170と軸受部材との反応を抑制することができるため、軸受が固着して回転不能となる事態を回避することができる。
上記のことから、ラジエータ24の放熱性能の低下を抑制することができるX線CT装置1を得ることができる。
【0100】
ここで、上記第1の実施形態に係るX線CT装置1の変形例について説明する。
上記冷却ユニット20は、筐体50に替えてダクトを備えていてもよい。ダクトは、ラジエータ24及びファンユニット25の間に位置している。ダクトは、ラジエータ24の周縁部及びファンユニット25の周縁部をそれぞれ囲んでいる。ダクトは、ファンユニット25が作りだす空気の流れの拡散を防止することができ、空気をラジエータ24まで効率良くガイドすることができる。例えば、回転架台6の内部(回転架台6及び筐体2で囲まれた領域)の空気の温度の上昇を抑制することができる。そして、熱交換器23の冷却性能や、X線検出器40の感度の安定性を高い状態に維持することができる。
【0101】
次に、第2の実施形態に係るX線CT装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図12は、第2の実施形態に係るX線CT装置1の冷却ユニット20の一部を示す概略断面図である。
【0102】
図12に示すように、エアフィルタFは間接的に筐体50に取り付けられていてもよい。冷却ユニット20はダクト26をさらに備えている。
ダクト26の空気を取り込む側(風上側)の開口には、エアフィルタFが取り付けられている。ダクト26の空気を送り出す側(風下側)の開口は、筐体50に取り付けられ、ファンユニット25が露出する筐体50の開口に繋がっている。ダクト26の形状は、特に限定されるものではなく、種々変形可能である。ダクト26は、エアフィルタFを透過した空気をファンユニット25までガイドすることができる。埃が除去された空気のみをラジエータ24に与えることができる。上記のことから、ダクト26を利用する場合でも、ラジエータ24への埃の堆積を抑制することができる。
【0103】
上記のように構成された第2の実施形態に係るX線CT装置1によれば、X線CT装置1は、さらにダクト26を備えている。ファンユニット25は、エアフィルタFを透過し、ダクト26によってガイドされた後にラジエータ24を透過する空気の流れを作りだすことができる。本実施形態においても、ラジエータ24(放熱パイプ及び放熱フィン)への埃の堆積を抑制することができ、ラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)の低下を抑制することができる。
【0104】
その他、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記のことから、ラジエータ24の放熱性能の低下を抑制することができるX線CT装置1を得ることができる。
【0105】
次に、第3の実施形態に係るX線CT装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図13は、第3の実施形態に係るX線CT装置1の冷却ユニット20の一部を示す概略断面図である。
【0106】
図13に示すように、回転軸a1からファンユニット25までの距離は、回転軸a1からラジエータ24までの距離より長くなっている(
図3)。ラジエータ24の風上側は、フレーム部7の内壁側の空間側における筐体50の開口を通り、筐体50の外側に露出している。エアフィルタFは、ラジエータ24の風上側に対向している。
【0107】
上記のように構成された第3の実施形態に係るX線CT装置1によれば、ラジエータ24の風上側が筐体50の外側に露出している。この場合も、ファンユニット25は、エアフィルタFを透過した後にラジエータ24を透過する空気の流れを作りだすことができる。本実施形態においても、ラジエータ24(放熱パイプ及び放熱フィン)への埃の堆積を抑制することができ、ラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)の低下を抑制することができる。
【0108】
上記実施形態では、厚さが10mm、空間体積率が96%、繊維直径が0.23mmであるクレハロンロックをエアフィルタFに使用した場合について述べてきたが、構造を変えないで厚さを10mmよりも大きくした場合には初期のエア透過率は減少するものの、経時的なエア透過率の変化にはほとんど差がみられなかった。また、空間体積率がより大きいほど、または繊維直径がより大きいほど経時的なエア透過率の変化は小さかった。また、厚さ10mm乃至50mm、空間体積率90%乃至97%、繊維直径0.23乃至0.58mmのそれぞれの範囲内で組合わされたサランロックおよびクレハロンロックの規格製品を使用した場合において、ラジエータ24(放熱パイプ及び放熱フィン)への埃の堆積を抑制することができ、ラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)の低下を抑制することができることを確認した。
【0109】
上記のエアフィルタは、フィンチューブ方式のラジエータに一般的に使用されているものではなく、本願発明者らが実験的にフィンチューブ方式のラジエータに初めて使用したものである。上記した効果は、本願発明者らにとっても予想外の驚くべき結果であり、また、一般的に知られているものでもない。
【0110】
X管用の冷却システムに使用されている従来のエアフィルタは、上記特許文献3に示されるフォーム材からなるスポンジフィルタのように、細かいメッシュ状の格子によって開口部を形成している。空気はこの狭い開口部を通って流れるため、時間の経過とともにエアフィルタに徐々に堆積した綿埃は、やがてこの開口部を塞いでしまい、早期に空気透過率の低下が引き起こされてしまうものと考えられる。
【0111】
次に、上記エアフィルタFと従来のエアフィルタとの違いを、本願発明者らの調査結果に基づいて明らかにする。
図14は、本実施形態に係るX線CT装置1、並びに比較例2及び比較例3のX線CT装置における、経過日数に対するラジエータ24を透過する風量の変化をグラフで示す図である。すなわち、
図14は、ラジエータ24を透過する風量の減衰率を示している。ここで、
図25に示すように、比較例2のX線CT装置の構成は、本実施形態に係るX線CT装置1と、エアフィルタF無しに形成されている点でのみ異なる。また、
図26に示すように、比較例3のX線CT装置は、エアフィルタFをスポンジフィルタSに替えた以外、本実施形態に係るX線CT装置1と同様に構成されている。
【0112】
ラジエータ24を透過する風量の減衰率を調査する際、本実施形態に係るX線CT装置1、並びに比較例2及び比較例3のX線CT装置を同一条件の下で調査した。例えば、本実施形態に係るX線CT装置1、並びに比較例2及び比較例3のX線CT装置を、同一の環境の下で同じ頻度で継続的に稼動させた。なお、X線CT装置1を稼動させる際、勿論、冷却ユニット20(ファンユニット25)は稼動させたが、X線管装置10については稼動させなかった。本実施形態に係るX線CT装置1および比較例3のX線CT装置に関しては、ラジエータ24のメンテナンス無しに行った。
【0113】
図14に示すように、ラジエータ24を透過する風量は相対的に示している。例えば、比較例2のX線CT装置の初期状態におけるラジエータ24を透過する風量を100%としている。そして、上記風量の限界、すなわちラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)を維持できる上記風量の下限を60%としている。本実施形態における上記風量の調査結果については線形L5で、比較例2における上記風量の調査結果については線形L6で、比較例3における上記風量の調査結果については線形L7で、それぞれ示している。
【0114】
本実施形態と比較例3に関しては、線形L5及び線形L7から分かるように、エアフィルタF又はスポンジフィルタSが空気の流れを遮るため、初期状態において、ラジエータ24を透過する風量は比較例に比べて低い。但し、初期状態の上記風量は、60%以上(本実施形態の場合95%、比較例3の場合92%)であり、60%を大きく超えている。また、本実施形態の場合、上記風量の低下率は低く、500日を経過しても89%の上記風量を得ていることが分かった。エアフィルタFが空気に含まれる埃を取り除き、ラジエータ24への埃の堆積が抑制された結果である。上記のことから、本実施形態においては、ラジエータ24を透過する風量の低下を抑制できたことが分かる。
【0115】
一方、比較例2及び3に関しては、線形L6及び線形L7から分かるように、上記風量の低下率は高いことが分かった。線形L6については250日程度経過したところで、線形L7については150日程度経過したところで上記風量が60%を下回る結果となった。上記のことから、比較例2及び3においては、ラジエータ24を透過する風量の低下を抑制できなかったことが分かる。
【0116】
また本実施形態では、筐体2の一部を取り外し、エアフィルタFを取り外すだけで、フレーム部7の内壁側の空間からラジエータ24を清掃することができ、ラジエータ24に堆積した埃を除去することができる。回転架台6から、冷却ユニット20を取り外したり、さらに冷却ユニット20に連結されたX線管装置10を併せて取り外したりすることなくラジエータ24を清掃することができる。このため、メンテナンスする場合においては、清掃(メンテナンス作業)にかかる時間を短縮することができる。
【0117】
その他、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記のことから、ラジエータ24の放熱性能の低下を抑制することができるX線CT装置1を得ることができる。
【0118】
次に、第4の実施形態に係るX線CT装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第3の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図15は、第4の実施形態に係るX線CT装置1の冷却ユニット20の一部を示す概略断面図である。
【0119】
図15に示すように、エアフィルタFは間接的に筐体50に取り付けられていてもよい。冷却ユニット20はダクト26をさらに備えている。
ダクト26の空気を取り込む側(風上側)の開口には、エアフィルタFが取り付けられている。ダクト26の空気を送り出す側(風下側)の開口は、筐体50に取り付けられ、ラジエータ24が露出する筐体50の開口に繋がっている。ダクト26の形状は、特に限定されるものではなく、種々変形可能である。ダクト26は、エアフィルタFを透過した空気をラジエータ24までガイドすることができる。埃が除去された空気のみをラジエータ24に与えることができる。上記のことから、ダクト26を利用する場合でも、ラジエータ24への埃の堆積を抑制することができる。
【0120】
上記のように構成された第4の実施形態に係るX線CT装置1によれば、X線CT装置1は、さらにダクト26を備えている。ファンユニット25は、エアフィルタFを透過し、ダクト26によってガイドされた後にラジエータ24を透過する空気の流れを作りだすことができる。本実施形態においても、ラジエータ24(放熱パイプ及び放熱フィン)への埃の堆積を抑制することができ、ラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)の低下を抑制することができる。
【0121】
その他、上記第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記のことから、ラジエータ24の放熱性能の低下を抑制することができるX線CT装置1を得ることができる。
【0122】
次に、第5の実施形態に係るX線CT装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図16は、第5の実施形態に係るX線CT装置1の冷却ユニット20の一部を示す概略断面図である。
図16において、ラジエータ24及びファンユニット25の図示は省略している。
図16に示すように、X線CT装置1は、枠部材91、保持部材92及び固定部材をさらに備えている。固定部材としては、締め具としてのねじ93を利用することができる。
【0123】
枠部材91は、エアフィルタFの形状に対応して枠状に形成されている。枠部材91は、エアフィルタFの周縁を取り囲みエアフィルタFを支持している。エアフィルタFは枠部材91に常時、固定されている。
保持部材92は、筐体50に固定されている。保持部材92は、枠部材91の一側縁部を収容可能に形成されている。なお、枠部材91のがたつきを低減するため、保持部材92の収容部の形状及びサイズは、枠部材91の形状及びサイズとほぼ同一であってもよい。枠部材91の一側縁部を保持し、エアフィルタFを間接的に保持している。保持部材92は、エアフィルタF及び枠部材91の位置決めに利用することもできる。
【0124】
ねじ93は、枠部材91の他の側縁部を固定し、エアフィルタFの位置を間接的に固定している。このため、ねじ93は、枠部材91に形成された貫通孔を通って筐体50のねじ穴に締め付けられている。
【0125】
筐体50にエアフィルタFを装着する際は、まず、エアフィルタFと一体となった枠部材91を保持部材92の収容部に嵌め込む。その後、枠部材91の貫通孔を通って筐体50のねじ穴にねじ93を締め付ける。
筐体50からエアフィルタFを取り外す際は、まず、ねじ93を緩め、その後、エアフィルタFと一体となった枠部材91を保持部材92の収容部から引き抜く。
上記のように、エアフィルタFは枠部材91と一体に着脱可能に筐体50の外面側に設置することができる。
【0126】
上記のように構成された第5の実施形態に係るX線CT装置1及びエアフィルタFの装着方法によれば、X線CT装置1は、エアフィルタFを備えている。このため、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0127】
上記のことから、ラジエータ24の放熱性能の低下を抑制することができるX線CT装置1を得ることができる。
【0128】
また、X線CT装置1は、枠部材91、保持部材92及びねじ93をさらに備えている。このため、エアフィルタFと枠部材91とが一体に構成されることで、エアフィルタFを容易に着脱可能に設けることができる。
【0129】
次に、上記第5の実施形態に係るX線CT装置の変形例について説明する。
図17は、上記第5の実施形態に係るX線CT装置1の冷却ユニット20の一部の変形例を示す概略断面図であり、エアフィルタFの設置例を示す図である。
図17において、ラジエータ24及びファンユニット25の図示は省略している。
【0130】
図17に示すように、X線CT装置1は、保持部材92を備えていない。ここでは、枠部材91の複数の側縁部に複数の貫通孔が形成されている。各ねじ93は対応する貫通孔を通って筐体50の対応するねじ穴に締め付けられている。
【0131】
図18は、上記第5の実施形態に係るX線CT装置1の冷却ユニット20の一部の他の変形例を示す概略断面図であり、エアフィルタFの設置例を示す図である。
図18において、ラジエータ24及びファンユニット25の図示は省略している。
【0132】
図18に示すように、X線CT装置1は、保持部材92及びねじ93の替わりに固定部材としての磁石94を備えている。磁石94は、筐体50と枠部材91との間に位置している。磁石94は、少なくとも筐体50及び枠部材91の一方に取り付けられている。この場合、磁力により、枠部材91を筐体50に固定することができる。言うまでもないが、この場合、枠部材91、筐体50は磁力の影響を受ける金属などの材料で形成されている。
固定部材としては、磁石94に限定されるものではなく、種々変形可能であり、例えば面ファスナや、両面テープを利用するものであってもよい。
【0133】
図19は、上記第5の実施形態に係るX線CT装置1の冷却ユニット20の一部の他の変形例を示す概略断面図であり、エアフィルタFの設置例を示す図である。
図19において、ラジエータ24及びファンユニット25の図示は省略している。
図20は、
図19に示した冷却ユニット20の一部を拡大して示す図であり、枠部材及び突出部を取り出して示す図である。
【0134】
図19及び
図20に示すように、エアフィルタFは、嵌め込みタイプの枠部材91を利用することにより設置されている。枠部材91は、弾性変形可能な材料で形成されている。枠部材91は、筐体50に対向した嵌め込み穴である開口部91oを有している。開口部91oの内面には切り欠き91rが形成されている。
【0135】
開口部91oと対向した筐体50には、突出部95が形成されている。突出部95には突起95pが形成されている。突起95pは、突出部95が筐体50から突出した方向に直交する方向に突出している。突起95pは、切り欠き91rに対向している。そして、突起95pに切り欠き91rが嵌ることにより、枠部材91の位置を固定することができる。
【0136】
筐体50にエアフィルタFを装着する際は、エアフィルタFと一体となった枠部材91の開口部91oを突出部95に押し込むことにより行う。
【0137】
筐体50からエアフィルタFを取り外す際は、突出部95から枠部材91を引き抜くことにより行う。
【0138】
上記のように、エアフィルタFは枠部材91と一体に着脱可能に筐体50の外面側に設置することができる。
【0139】
図21は、上記第5の実施形態に係るX線CT装置の冷却ユニットの一部の他の変形例を示す概略断面図であり、エアフィルタの設置例を示す図である。
図21において、ラジエータ24及びファンユニット25の図示は省略している。
図22は、
図21に示したエアフィルタF及び枠部材91を示す上面図である。
【0140】
図21及び
図22に示すように、エアフィルタFは、枠部材91に固定されていない。枠部材91は、筐体50と一体に形成され、又は筐体50に取り付けられている。枠部材91は、エアフィルタFの周縁部を収容する枠状の収容部を有している。
【0141】
エアフィルタFを装着する際は、エアフィルタFを曲げて枠部材91の収容部に押し込むことにより行うことができる。
【0142】
上記のように、エアフィルタFは単体で着脱可能に設置することができる。
【0143】
次に、第6の実施形態に係るX線CT装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図23は、第6の実施形態に係るX線CT装置1の冷却ユニット20の一部を示す概略断面図である。
【0144】
図23に示すように、エアフィルタFは筐体50に収納されている。エアフィルタFは、ラジエータ24の風上側に対向している。
【0145】
上記のように構成された第6の実施形態に係るX線CT装置1によれば、X線CT装置1は、ラジエータ24の風上側に対向したエアフィルタFを備えている。この場合も、ファンユニット25は、エアフィルタFを透過した後にラジエータ24を透過する空気の流れを作りだすことができる。本実施形態においても、ラジエータ24(放熱パイプ及び放熱フィン)への埃の堆積を抑制することができ、ラジエータ24の放熱性能(冷却ユニット20の冷却性能)の低下を抑制することができる。ラジエータ24のメンテナンス(清掃)頻度の低減又はメンテナンスフリー化を実現することができる。
上記のことから、ラジエータ24の放熱性能の低下を抑制することができるX線CT装置1を得ることができる。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0147】
例えば、上述した実施形態は、X線CT装置に限らず、各種のX線装置に適用することが可能である。
X線管装置10は冷却ユニット20を備えていてもよい。この場合、上述した実施形態は、各種のX線管装置に適用することも可能である。