特許第6104751号(P6104751)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6104751真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6104751
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 9/20 20060101AFI20170316BHJP
   C22B 9/04 20060101ALI20170316BHJP
   C22B 34/12 20060101ALI20170316BHJP
   F27D 11/08 20060101ALI20170316BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20170316BHJP
   B22D 27/02 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   C22B9/20
   C22B9/04
   C22B34/12 103
   F27D11/08 B
   F27D21/00 A
   B22D27/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-161101(P2013-161101)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-30876(P2015-30876A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】397064944
【氏名又は名称】株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】武田 宜大
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−158114(JP,A)
【文献】 特開昭62−199737(JP,A)
【文献】 特開2003−221630(JP,A)
【文献】 特開2007−064618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 9/00−9/22
C22B 34/00−34/36
B22D 21/00−21/06
B22D 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空アーク溶解炉を用いて消耗電極をアークにより溶解し、坩堝に滴下する金属を凝固させてインゴットを製造する真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法であって、
前記真空アーク溶解炉が、前記坩堝の内面に前記アークにより溶解した金属が飛散して形成された堆積物を検知する堆積物検知装置を備え、
インゴットの製造中に、前記堆積物検知装置によって前記坩堝の内面における前記堆積物が増大したことを検知したとき、または今後増大することを予測したときには、消耗電極の溶解条件を一方向に変動させ、
前記溶解条件を変動させた後、前記堆積物が増大したことを検知した場合、または今後増大することを予測した場合には、前記溶解条件を前記一方向に変動させる前の条件から逆方向に変動させ、
前記溶解条件を変動させた後、前記堆積物が増大したことを検知せず、かつ今後増大することを予測しなかった場合には、前記溶解条件を保持する制御を行い、
これらの溶解条件の制御を繰り返し、
変動させる前記消耗電極の溶解条件が、坩堝に滴下した金属の磁場による攪拌の強度、前記磁場による攪拌の方向の反転周期、アーク溶解を行う際の電流の大きさ、およびアーク溶解を行う際の電圧の大きさのうち、1または2以上であり、
前記一方向が、前記攪拌の強度を強くすることおよび弱くすることの一方、前記反転周期を長くすることおよび短くすることの一方、前記電流の大きさを大きくすることおよび小さくすることの一方、ならびに前記電圧の大きさを大きくすることおよび小さくすることの一方であることを特徴とする真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法。
【請求項2】
前記堆積物検知装置が、0.7〜2.5μmの波長の光を用いて前記真空アーク溶解炉内の光強度分布または熱分布を観測する装置であることを特徴とする請求項1に記載の真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法。
【請求項3】
前記堆積物検知装置を用いて観測した光強度分布または熱分布から前記堆積物の大きさを検知することを特徴とする請求項2に記載の真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法。
【請求項4】
前記堆積物検知装置を用いて観測した光強度分布または熱分布から、前記堆積物の全部または一部を含む領域の平均光強度または平均温度を測定し、
測定した平均光強度または平均温度があらかじめ定めた値未満となったとき、前記堆積物が増大したことを検知したこととし、
前記測定した平均光強度または平均温度が今後前記あらかじめ定めた値未満となることを予測したとき、前記堆積物が今後増大することを予測したこととすることを特徴とする請求項2に記載の真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法。
【請求項5】
前記堆積物検知装置を用いて観測した光強度分布または熱分布から、前記堆積物の全部または一部を含む領域の平均光強度または平均温度を測定し、前記平均光強度または平均温度を0.1〜5秒周期で測定し、10〜1000秒間の前記平均光強度または平均温度について移動平均値を算出し、
前記移動平均値があらかじめ定めた値未満となったとき、前記堆積物が増大したことを検知したこととし、
前記移動平均値が今後前記あらかじめ定めた値未満となることを予測したとき、前記堆積物が今後増大することを予測したこととすることを特徴とする請求項2に記載の真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法。
【請求項6】
前記金属がチタンまたはチタン合金であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法に関し、特に鋳肌の品質が良好なインゴットの製造方法に関する
【背景技術】
【0002】
従来、チタンやジルコニウム等は融点が高く、しかも、高温での活性が極めて高いことから、これらの金属の精製には、消耗電極式真空アーク溶解法(Vacuum Arc Remelting:以下、「VAR法」という)が用いられる。VAR法は、真空または不活性ガス雰囲気下で、精製対象となる金属を円柱状の消耗電極とし、一定の間隔をあけて銅製坩堝の上方に配置し、消耗電極と銅製坩堝とに電流を流し、アーク放電を発生させ、その熱により消耗電極を溶融滴下し、不純物を蒸発させ、坩堝の中に金属を凝固させてインゴットを形成する方法である。
【0003】
チタンの場合、スポンジ状チタンを押し固めて作製した消耗電極を溶解する1次溶解と、1次溶解で得られたインゴットを消耗電極として再溶解する2次溶解とが行われ、必要に応じて3次溶解も行われる。
【0004】
VAR法を用いた金属精製では、精製対象の金属を溶解し、水冷により冷却した銅製坩堝上に滴下させる。坩堝に滴下された金属は、坩堝の底面および側面により冷却され、順次凝固し、形成されたインゴットの上面は凹状となり滴下した金属(溶湯)が存在する。
【0005】
VAR法で製造されたインゴットの歩留りに最も影響を及ぼす因子はインゴットの表面(以下「鋳肌」という。)の品質である。鋳肌の品質が低いほど、インゴットの歩留りが悪くなる。その理由について説明する。
【0006】
VAR法により消耗電極を溶解する際には、鋳型内に保持された溶湯表面や消耗電極からスプラッシュが発生する。スプラッシュは溶融金属の飛沫であり、坩堝の内面に付着して凝固する。スプラッシュの凝固物は、坩堝内面の溶湯直上部分で特に堆積しやすく、環状に堆積する。そのため、この堆積物は「冠」とも呼ばれる。
【0007】
消耗電極が溶解し、インゴットが成長する過程で、冠の大部分は坩堝内で上昇する溶湯によって再溶解される。しかし、冠が完全に再溶解されず、坩堝内面に残存した場合には、インゴットの鋳肌に疵が生じ、鋳肌の品質を低下させる。鋳肌に疵を有するインゴットを鍛造や圧延といった加工工程に供した場合には、加工中にこの疵を起点とした割れが発生する。
【0008】
この割れの発生を抑制するため、インゴットは、グラインダーによる切削等により鋳肌の疵を除去した上で加工工程に供するのが一般的である。そのため、鋳肌の品質が低く、疵が多いほど、疵を除去するために必要な工数が多くなるとともに、切削量も多くなり、歩留りが悪くなる。また、歩留りの悪化に伴って、コストも上昇する。
【0009】
そのため、従来から、VAR法で坩堝内面に冠を残存させないことにより鋳肌品質の高いインゴットを製造する方法が提案されている。特許文献1では所定の回転速度でアークを回転させて溶湯を攪拌する方法が提案されており、特許文献2では消耗電極の下端から溶湯までの距離を、チタンインゴットの種類によって変更する方法が提案されている。
【0010】
しかし、坩堝内面に形成される冠の厚さや量は、製造するインゴットの大きさや、原料である消耗電極中の不純物の含有率のみならず、坩堝内面の状態や冷却状態等の様々な条件によっても変動する。そのため、これらの方法では、冠を再溶解することが必ずしも容易ではなく、安定して鋳肌品質を向上させることが困難である。
【0011】
また、特許文献3では、坩堝の内部上下方向に所定の強度の磁場を付加して溶湯を回転させる方法が提案されている。しかし、この方法でも、インゴットを製造する毎に冠の状態や凝固界面の状態等が変動するため、常に適正な磁場の条件を設定することは不可能であり、安定して鋳肌品質を向上させることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010―37651号公報
【特許文献2】特開2010―116581号公報
【特許文献3】特開昭61―143528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、従来の方法では鋳肌品質が良好なインゴットを安定して得ることが困難であった。本発明は、この課題に鑑みてなされたものであり、VAR法によって、鋳肌品質が良好なインゴットを安定して得ることができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述のように、VAR法によって消耗電極を溶解している際に、坩堝内面に形成された冠の再溶解が不足すると、冠が残存することとなり、インゴットの鋳肌品質が低下する。
【0015】
冠の再溶解の不足は、消耗電極の溶解条件が適正でないことにより生じる。冠の再溶解に影響を及ぼす消耗電極の溶解条件には、磁場による坩堝内の溶湯の攪拌強度、磁場による攪拌の方向の反転周期、アーク溶解を行う際に印加する電流の大きさ、およびアーク溶解を行う際に印加する電圧の大きさが挙げられる。
【0016】
例えば磁場による坩堝内の溶湯の攪拌強度が適正である場合には、冠に高温の溶湯が適度に被さり、冠の再溶解が促進される。これに対し、攪拌強度が弱すぎる場合には、冠に被さる溶湯が不足するため、冠を再溶解させる能力が不足し、冠が残存することとなる。また、攪拌強度が強すぎる場合には、溶湯の流動が速く、スプラッシュの発生量が増加し、再溶解される量より新たに堆積する量が多くなるため、冠の再溶解が不足し、冠が残存することとなる。そこで、本発明者は以下の仮説を立てた。
【0017】
図1は、本発明者の仮説に基づく消耗電極の溶解条件と冠の再溶解の状態との関係を示す概念図である。本発明者は、上述の磁場攪拌強度と冠の再溶解の状態との関係は、同図のように図示できると推定した。すなわち、溶解条件が適正である場合には冠の再溶解が最も促進され、適正条件から大小いずれの方向(同図のピーク位置から左右方向)にずれた場合とも、冠の再溶解が不足すると推定した。また、本発明者は、適正な溶解条件は、インゴットの製造の進行とともに自然に変化すると推定した。しかし、その時点での溶解条件が適正条件であるか、適正条件からずれているのかを知る方法がなく、溶解条件の適正な制御が困難であるという問題があった。
【0018】
本発明者は、これらの問題について検討したところ、VAR法で消耗電極を溶解している際に堆積物検知装置によって冠の再溶解の不足を検知したとき、溶解条件が適正条件からずれたことを知ることができ、また、冠の再溶解が今後不足することを予測したとき、溶解条件が適正条件から今後ずれることを知ることができることを知見した。
【0019】
また、溶解条件が適正条件からずれたこと、または今後ずれることを知った場合に、溶解条件を一方向に変動させ、その結果、依然として再溶解の不足を検知または予測したときには溶解条件を最初とは逆方向に変動させ、再溶解不足を検知も予測もしなかったときには溶解条件を維持することにより、鋳肌品質が良好なインゴットを安定して得ることができることを知見した。
【0020】
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、その要旨は下記のVAR法によるインゴットの製造方法にある。
【0021】
真空アーク溶解炉を用いて消耗電極をアークにより溶解し、坩堝に滴下する金属を凝固させてインゴットを製造する真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法であって、前記真空アーク溶解炉が、前記坩堝の内面に前記アークにより溶解した金属が飛散して形成された堆積物を検知する堆積物検知装置を備え、インゴットの製造中に、前記堆積物検知装置によって前記坩堝の内面における前記堆積物が増大したことを検知したとき、または今後増大することを予測したときには、消耗電極の溶解条件を一方向に変動させ、前記溶解条件を変動させた後、前記堆積物が増大したことを検知した場合、または今後増大することを予測した場合には、前記溶解条件を前記一方向に変動させる前の条件から逆方向に変動させ、前記溶解条件を変動させた後、前記堆積物が増大したことを検知せず、かつ今後増大することを予測しなかった場合には、前記溶解条件を保持する制御を行い、これらの溶解条件の制御を繰り返し、変動させる前記消耗電極の溶解条件が、坩堝に滴下した金属の磁場による攪拌の強度、前記磁場による攪拌の方向の反転周期、アーク溶解を行う際の電流の大きさ、およびアーク溶解を行う際の電圧の大きさのうち、1または2以上であり、前記一方向が、前記攪拌の強度を強くすることおよび弱くすることの一方、前記反転周期を長くすることおよび短くすることの一方、前記電流の大きさを大きくすることおよび小さくすることの一方、ならびに前記電圧の大きさを大きくすることおよび小さくすることの一方であることを特徴とする真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法。
【0022】
本発明の真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法では、前記堆積物検知装置を、0.7〜2.5μmの波長の光を用いて前記真空アーク溶解炉内の光強度分布または熱分布を観測する装置とすることが望ましく、前記堆積物検知装置を用いて観測した光強度分布または熱分布から堆積物の大きさを検知することが望ましい。
【0023】
また、前記堆積物検知装置を用いて観測した光強度分布または熱分布から、前記堆積物の全部または一部を含む領域の平均光強度または平均温度を測定し、測定した平均光強度もしくは平均温度またはそれらの移動平均値があらかじめ定めた値未満となったとき、前記堆積物が増大したことを検知したこととし、前記測定した平均光強度もしくは平均温度またはそれらの移動平均値が今後前記あらかじめ定めた値未満となることを予測したとき、前記堆積物が今後増大することを予測したこととすることが望ましい。前記移動平均値は、0.1〜5秒周期で測定した、10〜1000秒間の範囲の前記平均光強度または平均温度をから算出することが望ましい。
【0024】
記金属はチタンまたはチタン合金とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法によれば、鋳肌品質が良好なインゴットを安定して得ることが可能である
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明者の仮説に基づく消耗電極の溶解条件と冠の再溶解の状態との関係を示す概念図である。
図2】本発明のインゴットの製造方法を適用可能な真空アーク溶解炉の構成図である。
図3】操業中のVAR炉内の平面図である。
図4】本発明における消耗電極の溶解条件の制御方法のフローチャートである。
図5】熱分布測定装置で測定したVAR炉内の熱分布を示す図である。
図6】溶解時間と測定領域の平均温度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1.真空アーク溶解炉の構成およびインゴットの製造方法
図2は、本発明のインゴットの製造方法を適用可能な真空アーク溶解炉(以下「VAR炉」という。)の構成図である。VAR炉は、銅製の坩堝1と、坩堝1の上部に配置され、内部の気密状態を維持するチャンバー2と、スタブ3および消耗電極4を昇降させる昇降装置5とを備える。チャンバー2の側面には、図示しない排気装置が接続された排気口6を備える。坩堝1の周囲には、図示しないコイルを備え、このコイルにより坩堝1の内部に軸方向(鉛直方向)の磁場が印加される。チャンバー2の上面には、チャンバー2の内部の状態を検知する検知装置7が設けられている。同図には、2個の検知装置7が示されているが、1個でも3個以上でもよい。坩堝1および昇降装置5には、坩堝1と消耗電極4との間に電圧を印加する図示しない電源が接続されている。検知装置7、コイル、電源には、図示しない制御装置が接続されており、それぞれ自動で制御することが可能である。
【0029】
VAR炉を用いてインゴットを製造する際には、図2に示すように、昇降装置5の下端に、消耗電極4の上面に溶接されたスタブ3を溶接する。そして、排気口6からチャンバー2内部の空気を排出して不活性ガス雰囲気または真空雰囲気とし、坩堝1と消耗電極4との間に電圧を印加する。電圧の印加に伴い、消耗電極4と坩堝1との間にアークが発生し、アーク熱によって消耗電極4が下端から溶解滴下する。溶解滴下した溶融金属は、水冷された坩堝1によって冷却されて凝固し、インゴット8が形成される。インゴット8の上部には、滴下した溶融金属(溶湯)9が保持され、溶湯9は、坩堝1の周囲に配置されたコイルにより印加された磁場により攪拌される。
【0030】
2.本発明のインゴットの製造方法における溶解条件の制御
図3は、操業中のVAR炉内の平面図である。坩堝1の内面には、溶融金属が飛散したスプラッシュが付着し、スプラッシュの堆積物である冠10が形成される。
【0031】
消耗電極4の溶解条件が適正であれば、冠10はインゴット8の成長に伴って上昇した溶湯9が被さって再溶解されるため、鋳肌品質の良好なインゴット8が得られる。しかし、VAR炉内の状態が変化し、溶解条件が適正ではなくなった場合には、冠10の再溶解が不足し、冠10が増大して坩堝1の内面に残存するため、インゴット8の鋳肌品質が低下する。
【0032】
本発明のインゴットの製造方法では、冠10の状態およびその変化をチャンバー2の上面に設けられた検知装置7によって検知し、その検知結果に基づいて溶解条件を制御する。
【0033】
2−1.溶解条件の制御方法
図4は、本発明における消耗電極の溶解条件の制御方法のフローチャートである。同図を用いて溶解条件の制御方法について説明する。VAR炉の操業を開始後、VAR炉の操業中に冠の状態の検知を開始する。検知は例えば0.1〜5秒周期で行う。
【0034】
検知を開始してから所定の時間(例えば5〜30秒)が経過するまでの間に冠が増大したことを検知したとき、または今後増大することを予測したとき(ステップ#1のYES)には、溶解条件を一方向に変動させる(ステップ#2)。
【0035】
一方、冠が増大したことを検知せず、かつ今後増大することを予測しなかったとき(ステップ#1のNO)には、溶解条件を維持し(ステップ#3)、その時点で溶解条件の制御を終了しない場合(ステップ#6のNO)には冠の状態の検知を継続する(ステップ#1)。すなわち、冠の増大が検知または予測されず、正常な消耗電極の溶解が維持されている場合には、このループが繰り返される。
【0036】
ステップ#2で溶解条件を一方向に変動させた後、再びさらに冠の状態を検知する(ステップ#4)。検知を開始してから所定の時間(例えば5〜30秒)が経過するまでの間に冠が増大したことを検知したとき、または今後増大することを予測したとき(ステップ#4のYES)には、溶解条件をステップ#2で変動させる前の条件から逆方向に変動させ(ステップ#5)、溶解条件の制御を終了しない場合(ステップ#6のNO)には冠の状態の検知を継続する(ステップ#1)。
【0037】
一方、ステップ#4で冠が増大したことを検知せず、かつ今後増大することを予測しなかったときには、溶解条件を維持し(ステップ#3)、溶解条件の制御を終了しない場合(ステップ#6のNO)には冠の状態の検知を継続する(ステップ#1)。
【0038】
この溶解条件の制御を、終了する任意の時点(ステップ#6のYES)まで行う。
【0039】
このように溶解条件を制御することにより、安定して冠を再溶解させることができ、鋳肌品質の良好なインゴットを得ることができる。一般に、VAR法による消耗電極の溶解は複数回行われることが多い。インゴット表面の切削は最終溶解後に行われるため、本発明の溶解条件の制御は最終の溶解時に行うことにより、高い効果を得られる。
【0040】
また、本発明の溶解条件の制御は、消耗電極の溶解の開始から終了まで行ってもよいし、溶解の開始から終了までの間の任意の時間だけ行ってもよい。任意の時間だけ行った場合でも、その間に凝固した部分では鋳肌品質の良好なインゴットが得られる。本発明のインゴットの製造方法は、チタンまたはチタン合金に好適に適用することができる。
【0041】
本発明の溶解条件の制御時における冠の増大の検知または予測(ステップ#1および#4)、およびこれに基づく溶解条件の変動(ステップ#2および#5)は、真空アーク溶解炉に設けられた制御装置を用いて自動で行うことが好ましい。しかし、オペレータが冠の状態を観測し、冠の増大の検知または予測を行って、溶解条件を手動で変化させてもよい。
【0042】
2−2.溶解条件
本発明で制御の対象として変動させる溶解条件は、磁場による坩堝内の溶湯の攪拌強度(磁場攪拌強度)、磁場による攪拌の方向の反転周期(攪拌反転周期)、アーク溶解を行う際に印加する電流(溶解電流)、およびアーク溶解を行う際に印加する電圧(溶解電圧)のうち、1個または2個以上である。
【0043】
(1)磁場攪拌強度
磁場攪拌強度を変動させる場合、坩堝の周囲に配置したコイルに印加する電流を変動させ、坩堝の内部に印加する磁場の強度を変動させる。上述のように、磁場攪拌強度が適正である場合には、冠に高温の溶湯が適度に被さり、冠の再溶解が促進される。これに対して、磁場攪拌強度が弱すぎる場合には冠に被さる溶湯が不足するため、また、磁場攪拌強度が強すぎる場合にはスプラッシュの発生量が増加するため、いずれの場合も冠の再溶解が不足し、冠が増大することとなる。
【0044】
(2)攪拌反転周期
磁場による攪拌の方向を変動させる場合、坩堝の周囲に配置したコイルに印加する電流の向きを変動させる。攪拌反転周期が適正である場合には、反転時に生じる溶湯の変動により、液面が冠に高温の溶湯が適度に被さり、冠の再溶解が促進される。攪拌反転周期が短すぎてまたは長すぎて適正でない場合には、反転時に生じる溶湯の液面の変動が不足または過多となる。溶湯の液面の変動が過多である場合には、溶湯の液面の変動が不足である場合には冠に被さる溶湯が不足するため、また、溶湯の液面の変動が過多である場合にはスプラッシュの発生量が増加するため、いずれの場合も冠の再溶解が不足し、冠が増大することとなる。
【0045】
(3)溶解電流および溶解電圧
溶解電流または溶解電圧が適正な場合には、アーク熱を適度供給することとなるため、冠の再溶解が促進される。これに対して、溶解電流または溶解電圧が小さすぎる場合には、アーク熱が不足し、冠の再溶解が不足するのみならず、消耗電極の溶解も十分に行えないこととなる。また、溶解電流または溶解電圧が大きすぎる場合には、スプラッシュの発生量が増加して冠の再溶解が不足し、冠が増大することとなる。
【0046】
鋳肌品質の向上の効果は、これらの溶解条件のうち溶解電流を変動させた場合が最も高く、次いで溶解電圧、磁場攪拌強度、攪拌反転周期の順に高い。しかし、溶解電流と溶解電圧は、インゴットの成分偏析や空孔の位置・大きさ等の内部品質に及ぼす影響が大きいため、溶解中に鋳肌品質の向上を目的として変動させる条件として好ましくない。これに対して、磁場攪拌強度と磁場攪拌周期は、インゴットの内部品質に及ぼす影響が少ないため、鋳肌品質の向上を目的として変動させる条件として好ましい。
【0047】
2−3.冠の状態の検知方法
冠の状態の検知は、前記図2に示す、チャンバー2の上面に設けられた検知装置7によって行う。溶解電流が数kAと小さく、アーク光が弱い条件で操業する場合には、検知装置7として、可視光でチャンバー2の内部を観察する一般的なビデオカメラを用いることができる。しかし、一般的な操業では、溶解電流は数十kAとされており、この場合には、アーク光が強すぎるため可視光を用いるビデオカメラでは冠の状態を検知することが困難なことがある。本発明者が検討した結果、可視光に代えて、波長が0.7〜2.5μmの光を使用することにより、アーク光が強い場合であっても、アーク光の影響をほとんど受けずに冠の状態、大きさや形状を検知できることがわかった。そのため、検知装置として、0.7〜2.5μmの範囲内の光を検知する装置を用いることが好ましい。さらに、0.7〜2.5μmの範囲外の光の影響を抑制するため、この装置に0.7〜2.5μmの範囲外の光を遮断するフィルターを用いることが好ましい。
【0048】
アーク光は、紫外線を含む短波長の光を強く発しているため、0.7μm未満の波長域ではアーク光の影響を受けるものと考えられる。また、2.5μmよりも長い波長域では、プランクの放射法則に従って光の強度が弱くなるため、アーク光の影響が大きくなるものと考えられる。
【0049】
また、検知装置7としては、光強度分布測定装置や熱分布測定装置が好ましい。これらの装置では、光強度分布や熱分布等を広範囲にわたって定量的に検知できるため、冠の状態も広範囲にわたって定量的に検知することができる。光強度分布測定装置や熱分布測定装置は、波長が0.7〜2.5μmの範囲内の光を用いて光強度分布や熱分布を観測するものとすることにより、アーク光の影響をほとんど受けずに冠の状態を検知できる。
【0050】
検知装置7によって検知する領域は、冠10の全体または一部を含む領域とする。冠10の一部を含む領域を検知領域とする場合、坩堝1の内面と消耗電極4の外周面とを含む領域であって、坩堝1の横断面の中心角で30°以上の領域とすることが好ましい。前記図3には、中心角を60°とした検知領域11を破線で示す。検知領域は、坩堝1内部の全域を含む領域とすることが最も好ましい。
【0051】
冠10の大きさの基準としては、検知領域11内で測定した冠10の厚さ(坩堝1内面の半径方向の長さ)、または検知領域11に占める冠10の面積の割合を使用することができる。この場合、冠10の厚さや面積の割合の増加を検知したとき、冠10が増大したことを検知したこととする。そして、冠の大きさを連続的に測定したデータを、時間で一階微分して得られた値や二階微分して得られた値を用いることによって、冠の大きさを予測することができる。
【0052】
図5は、熱分布測定装置で測定したVAR炉内の熱分布を示す図である。同図には、波長が0.7〜2.5μmの範囲内の光を用いて熱分布を観測する熱分布測定装置を1個用いて測定した熱分布を示す。熱分布測定装置の視野の制限から、測定範囲はVAR炉内の半分の領域となっている。熱分布測定装置を2個使用することにより、VAR炉内のほぼ全域を測定することができる。同図では、温度が低いほど色が濃く、温度が高いほど色が薄く表示されている。
【0053】
スタブ3および坩堝1は最も温度が低く、溶湯9は最も温度が高い。消耗電極4は、スタブ3よりも高温である。また、溶湯9から発生し、凝固したスプラッシュが堆積して形成された冠10は、溶湯9より温度が低い。このように、VAR炉内の各部で温度が異なることから、図5に示すように、アーク光の影響をほとんど受けず、各部の形状を明確に判別できる。そのため、熱分布を連続して測定することにより、冠10の形状の変化も検知することが可能である。
【0054】
このように、熱分布測定装置で冠の形状から冠の大きさを検知し、これを基準とすることにより、アーク光の影響をほとんど受けずに精度よく溶解条件を制御することができる。同様に、光強度分布測定装置でも、VAR炉内の光強度分布から冠の形状および大きさを検知することができ、これを基準として溶解条件を精度よく制御することができる。
【0055】
さらに、本発明者らの検討の結果、炉内光強度分布から測定した冠10の一部または全部を含む領域の平均光強度、または炉内熱分布から測定した冠10の一部または全部を含む領域の平均温度からも、冠の状態を検知できることがわかった。測定領域の平均光強度または平均温度は検知装置によって算出することができる。測定領域の平均光強度または平均温度があらかじめ測定して定めた所定の基準光強度または基準温度より低下すると、冠の再溶解が不足して、冠が増大し、測定領域の平均光強度または平均温度が所定の基準温度より上昇すると、冠の再溶解が促進される。
【0056】
そして、この測定領域の平均光強度または平均温度に基づいて、溶解条件を制御することにより、より鋳肌品質の良好なインゴットを得られることがわかった。次に、測定領域の平均温度に基づいた溶解条件の制御について説明する。
【0057】
2−4.炉内の測定領域の平均温度に基づいた溶解条件の制御
溶解条件の制御に用いる測定領域の平均温度としては、採取したままの測定領域の平均温度、および採取した平均温度を移動平均した値のいずれも用いることができる。しかし、溶湯の表面は常に変動しているため、採取したままの平均温度では時間の経過に伴う変動が細かいのに対し、移動平均値ではこの変動がなだらかとなる。そのため、移動平均値の方が、冠の状態に変化が生じた場合の平均温度の変化を検知するのが容易であり、溶解条件の制御を適正なタイミングで行うのが容易である。
【0058】
測定領域の平均温度に基づく溶解条件の制御には、上述の基準温度を、目標温度として用い、測定領域の平均温度が目標温度未満となったとき、冠が増大したことを検知し、測定領域の平均温度が今後目標温度未満となることをなることを予測したとき、冠が今後増大することを予測したこととする。
【0059】
移動平均値を用いる場合、0.1〜5秒周期で採取した、10〜1000秒の範囲の測定領域の温度を用いて算出することが好ましい。移動平均に用いる値の範囲が10秒未満では、移動平均値の変動が依然として細かく、1000秒を超えると実際の平均温度の変化を検知するのが遅くなりやすいからである。また、移動平均に用いる値の範囲は30〜300秒の範囲が好ましい。この範囲とした場合、より鋳肌品質の良好なインゴットを得ることができる。以下、VAR炉の操業時における、測定領域の平均温度に基づく溶解条件の制御について、実際に実施した一例を挙げて説明する。
【0060】
図6は、溶解時間と測定領域の平均温度との関係を示す図である。同図には、実線で180秒の範囲で移動平均した測定領域の平均温度を示し、破線で目標温度を示した。溶解時間が経過するに従って目標温度が上昇しているのは、インゴットの成長に従って溶湯の液面および冠が熱分布測定装置に近づき、測定される平均温度が上昇するからである。平均温度の測定領域は、前記図5の破線で示した測定領域11とした。
【0061】
溶解条件の制御の対象は、磁場による坩堝内の溶湯の攪拌強度とし、初期の段階での攪拌強度を100(相対値)とし、制御時の最初の変動方向は強める方向とした。以下の説明では、前記図4のフローチャートを参照する。
【0062】
図6に示すように、初期の段階では、目標温度以上で次第に温度が上昇したため(ステップ#1のNO)、溶解条件を維持した(ステップ#3)。その後、測定領域の平均温度が低下し始め、時刻t1で、今後目標温度未満となることを予測、すなわち冠が増大することを予測し(ステップ#1のYES)、攪拌強度を110に強めた(ステップ#2)。この予測は、測定領域の平均温度の変化を時間で一階微分した値および二階微分した値を用いることによって行った。
【0063】
そして、攪拌強度の変更から30秒が経過するまでに、再度、測定領域の平均温度が今後目標温度未満となることを予測したため(ステップ#4のYES)、攪拌強度を、ステップ#2で変動させる前よりも弱い80に弱めた(ステップ#5)。この時点ではVAR炉の操業を終了しないため、溶解条件の制御も終了せず(ステップ#6のNO)、温度の測定を継続した(ステップ#1)。
【0064】
攪拌強度を弱めた後も測定領域の平均温度は低下し続け、一旦目標温度を下回った。しかし、攪拌強度を弱めてから30秒が経過するまでに、目標温度を上回ることを予測したため(ステップ#1のNO)、溶解条件を維持したところ(ステップ#3)、時刻t2で測定領域の平均温度が上昇に転じ、再び目標温度を上回った。
【0065】
その後しばらく目標温度以上で温度が上昇したため(ステップ#1のNO)、溶解条件を維持した(ステップ#3)。時刻t3の手前で測定領域の平均温度が低下し始め、時刻t3で目標温度未満となることを予測し(ステップ#1のYES)、攪拌強度を110に強めた(ステップ#2)。
【0066】
そして、攪拌強度の変更から30秒が経過するまでに、再度、測定領域の平均温度が今後目標温度未満となることを予測したため(ステップ#4のYES)、攪拌強度を80に弱めた(ステップ#5)。この時点ではVAR炉の操業を終了しないため、溶解条件の制御も終了せず(ステップ#6のNO)、温度の測定を継続した(ステップ#1)。測定領域の平均温度は、しばらく低下し続けたものの、攪拌強度の変更から30秒が経過するまでに目標温度未満とならず、また、目標温度未満となることを予測しなかった(ステップ#1のNO)。そのため、溶解条件を維持した(ステップ#3)ところ、目標温度未満となることなく時刻t4で上昇に転じた。
【0067】
その後、目標温度以上が維持されていたところ、再度測定領域の平均温度が低下し始め、時刻t5で目標温度未満となることを予測した。そのため、冠が増大することを予測し(ステップ#1のYES)、攪拌強度を110に強めた(ステップ#2)。そして、攪拌強度の変更から30秒が経過するまでに目標温度未満とならず、また、目標温度未満となることを予測しなかったため(ステップ#1のNO)、溶解条件を維持した(ステップ#3)ところ、目標温度未満となることなく時刻t6で上昇に転じた。その後、目標温度以上が維持され、また、目標温度未満となることを予測しなかったため(ステップ#1のNO)、溶解条件を維持した後(ステップ#3)、VAR炉の操業を終了するとともに溶解条件の制御を終了した(ステップ#6のYES)。
【0068】
以上説明した、測定領域の平均温度に基づいた溶解条件の制御と同様の制御は、測定領域の平均光強度に基づいても行うことができる。この場合、以上の説明において、「基準温度」および「目標温度」をそれぞれ「基準光強度」および「目標光強度」とする。
【実施例】
【0069】
本発明の真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法の効果を確認するため、以下の試験を行い、その結果を評価した。
【0070】
1.試験条件
VAR炉は、前記図2に示すものを用いた。また、検知装置として、熱分布測定装置を用いた。製造したインゴットはチタンとし、溶解は1次溶解および2次溶解(最終溶解)の2回行った。消耗電極は、1次溶解ではスポンジチタンを押し固めたものを用い、最終溶解では1次溶解で製造したインゴットを用いた。試験条件は、表1に示す条件とした。
【0071】
【表1】
【0072】
比較例は、本発明の製造方法を適用せず、溶解条件を変動させずにインゴットを製造した。本発明例では、本発明の製造方法を適用し、炉内の測定領域の平均温度に基づいて溶解条件を制御した。測定領域は、前記図3に示す領域11とし、1秒周期で採取した測定領域の平均温度を180秒の範囲で移動平均した値を制御に用いた。
【0073】
本発明例1〜4では、2回の溶解のうち最終溶解でのみ本発明の製造方法を適用し、本発明例5では1次溶解でのみ本発明の製造方法を適用した。最終溶解後のインゴットは、表面に生じた疵を切削により除去した。実施例6では、1次溶解および最終溶解の2回ともで本発明の製造方法を適用した。
【0074】
変動させた溶解条件は、本発明例1、5および6では磁場攪拌強度、本発明例2では攪拌反転周期、本発明例3では溶解電流、本発明例4では溶解電圧とした。
【0075】
2.試験結果
表1には、試験条件と併せて評価を示した。評価は、表面を切削した後のインゴットの重量と、スポンジチタンを押し固めた消耗電極の重量から算出した歩留りおよびその偏差とし、比較例の歩留りおよびその偏差を100とした相対値で記載した。歩留りの偏差は、小さいほどインゴット毎の歩留りのバラツキが小さく、品質管理上望ましい。
【0076】
表1に示すように、実施例1〜6はいずれも比較例よりも鋳肌品質が良好であったため、歩留りが良好であるとともに歩留りの偏差が小さかった。また、1次溶解でのみ本発明の製造方法を適用した本発明例5よりも、最終溶解でのみ適用した本発明例1〜4の方が歩留りが良好であり、歩留りの偏差が小さかった。また、1次溶解および最終溶解で適用した本発明例6が歩留りが最も良好であり、歩留りの偏差が最も小さかった。
【0077】
実施例1〜4から、溶解条件の制御による鋳肌品質の向上効果は、溶解電流が最も高く、次いで溶解電圧、磁場攪拌強度、磁場攪拌周期の順に高かったことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の真空アーク溶解法によるインゴットの製造方法によれば、鋳肌品質が良好なインゴットを安定して得ることが可能である。したがって、本発明は、真空アーク溶解法を用いたインゴットの生産の分野において有用な技術である。
【符号の説明】
【0079】
1:坩堝、 2:チャンバー、 3:スタブ、 4:消耗電極、 5:昇降装置、
6:排気口、 7:検知装置、 8:インゴット、 9:溶湯、 10:冠、
11:検知領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6